説明

光ディスク装置及びその制御方法

【課題】スピンドルモータから回転速度に関する情報が得られない場合であっても回転速度制御可能とする。
【解決手段】光ディスクを回転させるモータと、光ディスクのバースト・カッティング・エリアに記録されているBCAデータを再生可能な再生部と、BCAデータの再生信号から光ディスクの回転速度を検出する回転速度検出部82と、回転速度検出部にて検出される回転速度が、BCAデータを再生するために規定されている基準回転速度と一致するように、モータの回転速度を制御するモータ制御部62と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及びその制御方法に係り、特に、バースト・カッティング・エリアを有する光ディスクを再生する光ディスク装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、デジタルテレビ放送等の番組は、一回だけの記録を許可する(所謂、コピー・ワンス)コンテンツとして放送されている。このため、記録型の光ディスク、例えば、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等では、CPRM(Content Protection for Recordable Media)と呼ばれる著作権保護を目的とした技術が用いられている。
【0003】
CPRM技術では、光ディスクに記録された固有の識別番号(メディアIDと呼ばれる)を光ディスク装置で読み取り、読み取ったメディアIDに基づいて暗号鍵を生成する。そして、この暗号鍵を用いてデータを暗号化してその光ディスクに記録する。
【0004】
一方、光ディスクを再生するときにも、同様にメディアIDを読み取り、読み取ったメディアIDに基づいて暗号鍵を生成し、暗号化データを解読する。
【0005】
ある特定の光ディスクに対しては、記録時も再生時も同じメディアIDに基づいて暗号鍵が生成されるため、暗号化された記録データを解読して読み取ることができる。しかしながら、この記録データが別の光ディスクにコピーされた場合は、その別の光ディスクのメディアIDはコピー元の光ディスクのものと異なるため、生成される暗号鍵も異なる。このため、コピーされたデータは解読できず(即ち、CPRMの認証ができず)、実質的にコピーが禁止されることになる。
【0006】
メディアIDは、光ディスクの中央部近傍に設けられた同心円状のバースト・カッティング・エリア(BCA:Burst Cutting Area)と呼ばれる領域に、光ディスク毎に予め記録されている。
【0007】
BCAに記録されたデータを読み取る処理は、通常のデータエリアに記録されたデータを読み取る処理とは大きく異なっている。BCAには、メディアID等の重要なデータ記録される一方、そのデータ量は比較的少ない。そのため、BCAに記録されているデータ(以下、BCAデータという)を再生する場合の回転速度は、通常のデータエリア再生時の回転速度よりも遅い値、具体的には、1440rpmに規定されている。このため、BCAデータの再生時には、通常のユーザエリアの回転制御とは異なるBCAデータ再生専用の回転制御が必要となる。例えば特許文献1等には、BCAに光ピックアップを移動させた後に通常の回転速度から低速の回転速度に切り換え、BCAデータを読み取った後に通常の回転速度に戻し、その後データエリアに移動する、といった技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−228713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
BCAデータ再生のための回転制御は、回転速度が一定(具体的には、1440rpm)となるように行われる。この一定回転速度制御(CAV)は、通常、光ディスクを回転させるスピンドルモータから出力されるFG(Frequency Generator)パルス等に基づいて行われる。FGパルスは、例えば、スピンドルモータの内部に等間隔で円周方向に配置されたホール素子から出力されるパルスであり、所定時間内に出力されるFGパルス数をカウントすることによってスピンドルモータの回転速度(或いは角速度)を測定することができる。この回転速度(或いは角速度)の測定値が基準値(具体的には、1440rpm)と一致するようにスピンドルモータの回転駆動量を制御することによって一定回転速度制御を行っている。
【0009】
上述したように、BCAに記録されているディスクIDは、CPRMの認証を行う上で非常に重要なデータであり、BCAデータの再生には高い信頼性が求められる。しかしながら、例えば、上記のホール素子等に何らかの不具合が発生し、スピンドルモータから正常な回転速度情報が得られなくなった場合、回転速度一定の制御を行うことができず、BCAデータを読み取ることができなくなってしまう。通常のデータを一定線速度制御(CLV:Constant Liner Velocity)で再生する場合には、再生データから抽出したクロックによってCLV制御を行っており、FGパルスの有無に依存しない回転制御によって通常のデータは読み取ることが可能である。それにもかかわらず、FGパルスの出力系に何らかの不具合が発生した場合には、BCAデータが再生できないためCPRM認証ができず、結果的には通常のデータの再生が出来ないことになってしまう。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、スピンドルモータから回転速度に関する情報が得られない場合であってもBCAデータを再生することが可能であり、その結果、信頼性の高いデータ再生を実現することができる光ディスク装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク装置は、請求項1に記載したように、光ディスクを回転させるモータと、前記光ディスクのバースト・カッティング・エリアに記録されているBCAデータを再生可能な再生部と、前記BCAデータの再生信号から前記光ディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と、前記回転速度検出部にて検出される回転速度が、前記BCAデータを再生するために規定されている基準回転速度と一致するように、前記モータの回転速度を制御するモータ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク装置の制御方法は、請求項5に記載したように、(a)光ディスクをモータで回転させ、(b)前記光ディスクのバースト・カッティング・エリアに記録されているBCAデータを再生し、(c)前記BCAデータの再生信号から前記光ディスクの回転速度を検出し、(d)検出した回転速度が、前記BCAデータを再生するために規定されている基準回転速度と一致するように、前記モータの回転速度を制御する、ステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光ディスク装置及びその制御方法によれば、スピンドルモータから回転速度に関する情報が得られない場合であってもBCAデータを再生することが可能であり、その結果、信頼性の高いデータ再生を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る光ディスク装置及びその制御方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
(1)光ディスク装置の構成と全般動作
図1は、本実施形態に係る光ディスク装置1の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示した光ディスク装置1は、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等の記録型光ディスク100に対して、記録と再生の双方が可能な構成を示しているが、本発明は再生専用の光ディスク装置に対しても適用可能である。
【0017】
光ディスク100には、螺旋状に溝が刻まれており、溝の凹部をグルーブ、凸部をランドと呼び、グループ又はランドの一周をトラックと呼ぶ。ユーザデータはこのトラック(グルーブのみ又はグルーブ及びランド)に沿って、強度変調されたレーザ光を照射してデータの符号長に対応するマークとスペースを形成することで記録される。
【0018】
データ再生は、記録時より弱いリードパワー(read power)のレーザ光をトラックに沿って照射して、トラック上にあるマーク及びスペースからの反射光の強度の変化を検出することにより行われる。記録されたデータの消去は、前記リードパワーより強いイレースパワー(erase power)のレーザ光をトラックに沿って照射し、記録層を結晶化することにより行われる。
【0019】
なお、再生専用の光ディスク100、例えばCD−ROMやDVD−ROMの場合、記録情報に対応するピットが予めトラック上に形成されており、ピットの有無によって変化する反射光の強弱によって再生信号を生成している。
【0020】
光ディスク100はスピンドルモータ(モータ)2によって回転駆動される。スピンドルモータ2に設けられたロータリエンコーダ2aからは回転速度(或いは角速度)モニタ信号が出力される。ロータリエンコーダ2aの内部には、例えばホール素子が等間隔に配置されており、スピンドルモータ2が回転すると、各ホール素子からパルス(FGパルス:Frequency Generator pulseと呼ばれることもある)が出力され、スピンドルモータ2の1回転で所定数の複数パルスがロータリエンコーダ2aから出力される。このFGパルスをカウントするにことによってスピンドルモータ2の回転速度を検出することができる。スピンドルモータ2の回転速度の具体的な検出方法や回転速度モニタ信号の形態は特に限定するものではなく、スピンドルモータ2の回転速度を検出することができる他の手法、例えば光学的な回転速度検出方法や、機構的な回転速度検出方法であってもよい。
【0021】
モータ制御部(スピンドルモータ制御回路)62では、ロータリエンコーダ2aから出力される回転速度情報(回転速度モニタ信号)が、制御部70から指示される基準回転速度に一致するように、一定回転速度(角速度)制御(CAV:Constant Angular Velocity)を行っている。BCAデータを読み取る場合にも一定回転速度制御が行われ、この場合の基準回転速度は前述したように1440rpmと規定されている。
【0022】
一方、モータ制御部62では、一定線速度制御(CLV:Constant Linear Velocity)も行っている。CLVは、トラックの線速度が一定となるように回転速度を制御する方法であり、光ディスク100の内側では回転速度が高く、外側では回転速度が低くなるように制御している。CLVでは、再生信号からPLL制御回路61によって再生用基準クロックを生成し、この基準クロックの周波数が一定となるように回転速度制御を行っている。音楽CDや、映画等のストリームデータを記録している多くのDVDではCLVを用いてこれらのコンテンツデータを再生している。
【0023】
光ディスク100に対する情報の記録、再生は、光ピックアップ3によって行われる。光ピックアップ3は、送りモータ4とギア4b及びスクリューシャフト4aを介して連結されており、この送りモータ4は送りモータ制御回路5により制御される。送りモータ4が送りモータ制御回路5からの送りモータ駆動電流により回転することにより、光ピックアップ3が光ディスク100の半径方向に移動する。
【0024】
光ピックアップ3には、図示しないワイヤ或いは板バネによって支持された対物レンズ30が設けられている。対物レンズ30は駆動コイル31の駆動によりフォーカシング方向(対物レンズの光軸方向)への移動が可能である。また、駆動コイル32の駆動によりトラッキング方向(レンズの光軸と直交する方向)への移動が可能である。
【0025】
レーザ駆動回路(記録部)6は、変調部72にてEFM(Eight to Fourteen Modulation)方式や8/16変調方式等で変調された記録データ基づいて、書き込み用の駆動電流をレーザダイオード(レーザ発光素子)33に供給する。変調部72には、ホスト装置200からI/F部71を介して記録用のデータが供給される。
【0026】
一方、レーザ駆動回路6は情報読取り時には、書き込み用の駆動電流よりも小さな読み取り用の駆動電流をレーザダイオード33に提供する。
【0027】
フォトダイオード等により構成されるパワー検出部34(フロントモニタ(FM)と呼ぶ場合もある)はレーザ発光素子33が発生するレーザ光の一部をハーフミラー35により一定比率だけ分岐し、光量、即ち発光パワーに比例した信号を受光信号として検出する。検出した受光信号はレーザ駆動回路6にフィードバックされる。レーザ駆動回路6はパワー検出部34からの受光信号に基づいて、所定のレーザパワーで発光するように、レーザ発光素子33を制御する。
【0028】
レーザ発光素子33はレーザ駆動回路6から供給される駆動電流に応じてレーザ光を発生する。レーザ発光素子33から発せられるレーザ光は、コリメータレンズ36、ハーフプリズム37、対物レンズ30を介して光ディスク100上に照射される。
【0029】
一方、光ディスク100からの反射光は、対物レンズ30、ハーフプリズム37、集光レンズ38、およびシリンドリカルレンズ39を介して、光検出器40に導かれる。
【0030】
光検出器40は、例えば4分割の光検出セルから成り、これら光検出セルの検知信号は再生部60のRFアンプ64に出力される。RFアンプ64は光検知セルからの信号を処理し、ジャストフォーカスからの誤差を示すフォーカスエラー信号FE、レーザ光のビームスポット中心とトラック中心との誤差を示すトラッキングエラー信号TE、及び光検知セル信号の全加算信号である再生信号を生成する。
【0031】
フォーカスエラー信号FEはフォーカス制御回路8に供給される。フォーカス制御回路8は、フォーカスサーボループが閉じている状態では、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス駆動信号を生成する。フォーカス駆動信号はフォーカシング方向の駆動コイル31に供給され対物レンズ30を光軸方向に駆動する。この結果、レーザ光の焦点が光ディスク100の記録面上に常時ジャストフォーカスとなるフォーカスサーボ制御が行われる。
【0032】
一方、トラッキングエラー信号TEはトラック制御回路9に供給される。トラック制御回路9はトラッキングエラー信号TEに応じてトラック駆動信号を生成する。トラック制御回路9から出力されるトラック駆動信号は、トラッキング方向の駆動コイル32に供給される。これによりレーザ光が光ディスク100上に形成されたトラック上を常にトレースするトラッキングサーボ制御が行われる。
【0033】
上記フォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御が行われることで、レーザ光の焦点は、光ディスク記録面のトラック上を精度良く追従することができる。この結果、光検出器40の各光検出セルの出力信号の全加算信号RFには、記録情報に対応して光ディスク100のトラック上に形成されたマークやスペースからの反射光の変化が正確に反映され、品質の良い再生信号を得ることができる。
【0034】
この再生信号(全加算信号RF)は、プリアンプ/等化器65に入力され、ここで適宜の振幅に増幅されアナログ的な波形整形が行われる。プリアンプ/等化器65の出力は、2値化処理部66に入力され、適宜の閾値でスライスされてデジタルデータに変換される。また、このデジタルデータの一部は、PLL制御回路61に入力され、デジタルデータの基本波成分から再生用基本クロックが生成される。
【0035】
デジタル化された再生信号は、データ復号部80に入力される。データ復号部80では、再生信号に含まれる同期信号を検出し、同期信号に所定の遅延時間で連なっているデータ系列を抽出し、復号データを得る。
【0036】
データ復号部80から出力される復号データはエラー訂正部75に入力され、ここでエラー訂正処理が行われた後I/F部71を介してホスト装置200に出力される。
【0037】
光ピックアップ3が光ディスク100のBCAに移動しているときは、2値化処理部66から出力されるデータはBCAデータとなる。BCAデータ復号部81は、BCAデータに含まれる同期信号を検出て復号する。復号されたディスクID等のBCAデータはエラー訂正部73で誤り検出処理等が行われた後、I/F部71を介してホスト装置200に取り込まれる。
【0038】
CPRMが適用されている光ディスク100では、データエリアに記録されているコンテンツデータは暗号化されている。そこで、ホスト装置200では、BCAデータからディスクIDを抽出して暗号鍵を生成し、この暗号鍵で暗号化されたコンテンツデータの解読を行っている。
【0039】
(2)BCA再生信号に基づく回転速度制御
本実施形態に係る光ディスク装置1では、回転速度検出部82を設けた構成としている。回転速度検出部82では、BCA再生信号から光ディスク100の回転速度を検出し、検出した回転速度情報に基づく一定回転速度制御を可能としている。これにより、何らかの故障等によってロータリエンコーダ2aから回転速度モニタ信号が出力されなかった場合や、出力された回転速度モニタ信号に異常があった場合でも、一定回転速度制御が可能となり、BCAデータを読み取ることができる。以下、BCA再生信号に基づく回転速度制御について説明する。
【0040】
図2は、光ディスク100のBCAを模式的に説明する図であり、図2(a)が水平断面図、図2(b)が平面図(レーザ光が照射される側から見た図)である。
【0041】
光ディスク100の内周には、同心帯状の金属反射膜が形成されており、この金属反射膜の領域がBCA(Burst Cutting Area)となる。ディスクID等のBCAデータの記録は、YAGレーザ等のパルスレーザを金属反射膜に照射して、その一部をストライプ状に除去することによって行われる。BCAデータの「0」又は「1」は、ストライプ状に除去された金属反射膜の有無によって記録される。
【0042】
レーザ光は、金属反射膜から強く反射されるため、金属反射膜が残存している領域からは大きな振幅の再生信号が得られ、金属反射膜が除去された領域から得られる再生信号の振幅は小さくなる。
【0043】
BCAデータのデータ量はそれ程多くなく、図2(b)に示したようにBCAの一周は、BCAデータが記録された「BCA記録領域」と、金属反射膜が初期状態のまま残っている「BCA未記録領域」とに分割されることになる。
【0044】
図3は、BCA再生信号から回転速度を求める処理を概念的に説明する図である。このうち、図3(a)は、BCA再生信号(2値化信号)を模式的に示す図である。
【0045】
「BCA記録領域」から得られる再生信号は、ストライプの幅や間隔に対応した多数の短いパルス列信号となる。一方、「BCA未記録領域」には金属反射膜が連続して残存しているため、ここから得られる再生信号は、大きな振幅が長い期間連続する、1つの長パルスとなる。この長パルスは、光ディスク100が一回転する毎に1つ得られることになる。
【0046】
図3(b)は、BCA再生信号から抽出した長パルスを示す図である。「BCA記録領域」から得られる再生信号は図3(a)に示したように短いパルス幅のパルスが短い周期で多数連続する波形であり、高い周波数成分をもつ。これに対して「BCA未記録領域」から得られる長パルスの周波数成分は低い。この周波数成分の差を利用して、例えば、BCA再生信号をローパスフィルタに通し、適宜の閾値で波形整形することによって図3(b)の長パルスを抽出することができる。この他、パルス幅の差を利用して「BCA記録領域」の短いパルス幅の信号を除去する処理を行っても良い。
【0047】
前述したように長パルスのパスル周期は、光ディスク100の回転周期と一致している。従って、例えば図3(c)に示したように長パルスの立ち上がりエッジを検出し、単位時間あたりの立ち上がりエッジの数から光ディスク100の回転速度を求めることが可能となる。
【0048】
図4は、BCA再生信号から得られる回転速度に基づいてBCAの回転制御を行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、光ピックアップ3をBCAに移動させ、BCAに記録されているデータを再生する(ステップST1)。この段階では、光ディスク100の回転速度は、BCAの基準回転速度(1440rpm)に厳密に一致している必要はない。
【0050】
次に、BCA再生信号を2値化し(ステップST2)、この2値化信号から、前述した長パルス(「BCA未記録領域」からの再生信号)を抽出する(ステップST3)。
【0051】
この長パルスの立ち上がりエッジ等からその周期を求め(ステップST4)、求めた周期から光ディスク100の回転速度を検出する(ステップST5)。
【0052】
次に、スピンドルモータ2のロータリエンコーダ2aから回転速度モニタ信号が出力されているか否か、或いはその信号が正常か否かを判定する(ステップST6)。
【0053】
正常な回転速度モニタ信号がロータリエンコーダ2aから出力されていない場合には、ステップST5にて検出されたBCA再生信号に基づく回転速度情報を、スピンドルモータ2の回転制御に用いる回転速度として決定する。
【0054】
一方、正常な回転速度モニタ信号がロータリエンコーダ2aから出力されている場合には、ステップST8へ進み、BCA再生信号に基づいて検出された回転速度と、ロータリエンコーダ2aから出力されている回転速度の何れか一方を選択して、スピンドルモータ2の回転制御に用いる回転速度として決定する。また、2つの回転速度の平均値を、スピンドルモータ2の回転制御に用いる回転速度として決定してもよい。
【0055】
ステップST9では、ステップST7又はステップST8で決定された回転速度を用いて、BCAデータを確実に再生するため、スピンドルモータ2の回転速度が基準回転速度(1440rpm)となるよう、一定回転速度制御を行う。この一定回転速度制御によってBCAデータを確実に再生することができる。
【0056】
最後に、一定回転速度制御によって得られたBCAデータのディスクIDを用いて、CPRM等で保護されたコンテンツデータの復号(解読)・再生を行う(ステップST10)。
【0057】
以上説明してきたように、本実施形態に係る光ディスク装置1及びその制御方法によれば、スピンドルモータ2から回転速度に関する情報が得られない場合であってもBCAデータを再生することが可能であり、その結果、信頼性の高いデータ再生を実現することができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成例を示す図。
【図2】光ディスクのBCAと、その記録状況を概念的に説明する図。
【図3】BCA再生信号から光ディスクの回転速度を検出する方法を説明する図。
【図4】BCA再生時の速度制御処理の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0060】
1 光ディスク装置
2 スピンドルモータ(モータ)
2a ロータリエンコーダ
3 光ピックアップ
60 再生部
62 スピンドルモータ制御回路(モータ制御部)
70 制御部
72 変調部
73 エラー訂正部
80 データ復号部
81 BCAデータ復号部
82 回転速度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転させるモータと、
前記光ディスクのバースト・カッティング・エリアに記録されているBCAデータを再生可能な再生部と、
前記BCAデータの再生信号から前記光ディスクの回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記回転速度検出部にて検出される回転速度が、前記BCAデータを再生するために規定されている基準回転速度と一致するように、前記モータの回転速度を制御するモータ制御部と、
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記回転速度検出部は、
前記BCAデータの再生信号に含まれる、前記バースト・カッティング・エリアの未記録領域の再生信号の周期を求め、その周期から前記回転速度を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記バースト・カッティング・エリアの内、記録領域から再生されるBCAデータは高い周波数成分を持つ一方、未記録領域から再生されるBCAデータは低い周波数成分を持っており、
前記回転速度検出部は、
低い周波数成分の信号を前記BCAデータから抽出して前記未記録領域の再生信号を生成し、生成した前記再生信号からその周期を求める、
ことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記モータは、その回転速度を示す回転速度モニタ信号を前記モータ制御部に出力し、
前記モータ制御部は、
前記回転速度モニタ信号が正常であるか否かを判定し、
正常である場合には、前記回転速度モニタ信号が示す回転速度と前記前記回転速度検出部にて検出される回転速度の少なくともいずれか一方の回転速度を用いて前記モータの回転速度を制御し、
正常でない場合は、前記前記回転速度検出部にて検出される回転速度を用いて前記モータの回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
(a)光ディスクをモータで回転させ、
(b)前記光ディスクのバースト・カッティング・エリアに記録されているBCAデータを再生し、
(c)前記BCAデータの再生信号から前記光ディスクの回転速度を検出し、
(d)検出した回転速度が、前記BCAデータを再生するために規定されている基準回転速度と一致するように、前記モータの回転速度を制御する、
ステップを備えたことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項6】
ステップ(c)では、
前記BCAデータの再生信号に含まれる、前記バースト・カッティング・エリアの未記録領域の再生信号の周期を求め、その周期から前記回転速度を検出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項7】
前記バースト・カッティング・エリアの内、記録領域から再生されるBCAデータは高い周波数成分を持つ一方、未記録領域から再生されるBCAデータは低い周波数成分を持っており、
ステップ(c)では、
低い周波数成分の信号を前記BCAデータから抽出して前記未記録領域の再生信号を生成し、生成した前記再生信号からその周期を求める、
ことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項8】
前記モータは、その回転速度を示す回転速度モニタ信号を前記モータ制御部に出力し、
ステップ(d)では、
前記回転速度モニタ信号が正常であるか否かを判定し、
正常である場合には、前記回転速度モニタ信号が示す回転速度とステップ(c)にて検出される回転速度の少なくともいずれか一方の回転速度を用いて前記モータの回転速度を制御し、
正常でない場合は、ステップ(c)にて検出される回転速度を用いて前記モータの回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−300003(P2008−300003A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147301(P2007−147301)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】