説明

光ディスク装置

【課題】本発明は、装置全体を容易に薄型化する。
【解決手段】本発明は、光ディスク装置1において、光ディスク37の記録面に照射するレーザ光を生成するための受発光素子31及び33等の電気部品と、当該電気部品に一端側が接続されたフレキシブル配線板45とが設けられた光ピックアップ11と、当該光ピックアップ11を互いに逆向きの一方向及び他方向へ移動可能に保持するピックアップ保持部20とを設けるようにして、当該フレキシブル配線板45の他端側を、光ピックアップ11からピックアップ保持部20の外側に直接引き出すことにより、光ピックアップ11から引き出すフレキシブル配線板45の他端側を当該光ピックアップ11の上側に引き回さない分、光ピックアップ11全体を薄型化することができ、かくして装置全体を容易に薄型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置に関し、例えば、CD(Compact Disc)方式及びDVD(Digital Versatile Disc)方式の2種類の光ディスクそれぞれに対して情報を記録及び再生可能な光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク装置は、スピンドルモータ部、光ピックアップ部及びフィード部が搭載されたモジュールベースを有し、当該スピンドルモータ部のターンテーブルに光ディスクを着脱可能に装着し得るようになされている。
【0003】
また光ディスク装置は、フィード部により光ピックアップ部を、ターンテーブルに装着された光ディスクの内周方向(以下、これをディスク内周方向とも呼ぶ)及び当該光ディスクの外周方向(以下、これをディスク外周方向とも呼ぶ)へ移動させることができる。
【0004】
さらに光ピックアップ部は、キャリッジに、対物レンズ等の種々の光学素子と、レーザダイオードやフォトディテクタ、IC(Integrated Circuit)チップ構成のレーザドライバ等の各種電子部品とが設けられて形成されている。
【0005】
さらにまた光ピックアップ部には、一端側に各種電子部品が接続された帯状のフレキシブル配線板も設けられ、当該フレキシブル配線板の他端側が、モジュールベースの外部に設けられた回路基板に接続されている。
【0006】
光ディスク装置は、情報記録時、スピンドルモータ部においてターンテーブルと共に光ディスクを回転させた状態で、回路基板から記録対象の情報に応じた記録信号を、フレキシブル配線板を介して光ピックアップ部のレーザドライバに送出する。
【0007】
この際、光ディスク装置は、光ピックアップ部においてレーザドライバにより記録信号に基づいてレーザダイオードを駆動制御してレーザ光を発射させると共に、当該発射させたレーザ光を対物レンズに通して集光させて光ディスクの記録面に照射する。
【0008】
これにより光ディスク装置は、光ディスクの記録面においてレーザ光の照射位置に記録対象の情報を記録していた。
【0009】
また光ディスク装置は、情報再生時、スピンドルモータ部においてターンテーブルと共に光ディスクを回転させた状態で、回路基板から再生制御信号を、フレキシブル配線板を介して光ピックアップ部のレーザドライバに送出する。
【0010】
この際、光ディスク装置は、光ピックアップ部においてレーザドライバにより再生制御信号に基づいてレーザダイオードを駆動制御してレーザ光を発射させると共に、当該発射させたレーザ光を対物レンズに通して集光させて光ディスクの記録面に照射する。
【0011】
そして光ディスク装置は、光ディスクの記録面においてレーザ光が反射して得られる反射光をフォトディテクタで受光して光電変換し、その結果得られた光電信号を、フレキシブル配線板を介して回路基板に送出する。
【0012】
これにより光ディスク装置は、回路基板において、その光電信号に基づき再生対象の情報に応じた再生信号を生成するようにして、光ディスクの記録面から情報を再生していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−188297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、かかる構成の光ディスク装置は、光ピックアップ部においてフレキシブル配線板がキャリッジからディスク外周方向に引き出され、当該光ディスクの情報記録面側に湾曲させてディスク内周方向へ戻すように引き回されている。
【0014】
また光ディスク装置は、ディスク外周方向から湾曲させてディスク内周方向へ引き回されたフレキシブル配線板が、さらにキャリッジの上側を通ってモジュールベースの外側の回路基板まで引き回されている。
【0015】
そして光ディスク装置は、フレキシブル配線板の長さが比較的長く選定されており、光ピックアップ部をディスク内周方向へ移動させた場合、フレキシブル配線板の湾曲部分の輪を比較的大きくして弛ませるようにしている。
【0016】
これにより光ディスク装置は、光ピックアップ部をディスク外周方向へ移動させる場合、フレキシブル配線板の湾曲部分の輪が比較的小さくなるものの折り曲げることなく、当該光ピックアップ部をディスク外周方向へめいっぱい移動させ得るようになされている。
【0017】
そして、このような光ディスク装置としては、例えば、ノートブック型のコンピュータ装置に搭載されるものがあり、当該コンピュータ装置の薄型化に伴い光ディスク装置も薄型化することが望まれている。
【0018】
ところが、かかる構成の光ディスク装置は、光ピックアップ部においてキャリッジの上側にフレキシブル配線板が引き回される分、光ピックアップ部全体の厚みが比較的厚くなり、装置全体を容易には薄型化し難いという問題があった。
【0019】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、装置全体を容易に薄型化し得る光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる課題を解決するため本発明においては、光ディスク装置において、光ディスクの記録面に照射するレーザ光を生成するための電気部品と、当該電気部品に一端側が接続されたフレキシブル配線板とが設けられた光ピックアップと、当該光ピックアップを互いに逆向きの一方向及び他方向へ移動可能に保持するピックアップ保持部とを設けるようにして、当該フレキシブル配線板の他端側を、光ピックアップからピックアップ保持部の外側に直接引き出すようにした。
【0021】
従って本発明では、光ディスク装置において、光ピックアップから引き出すフレキシブル配線板の他端側を当該光ピックアップの上側に引き回さない分、光ピックアップ全体を薄型化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、光ディスク装置において、光ディスクの記録面に照射するレーザ光を生成するための電気部品と、当該電気部品に一端側が接続されたフレキシブル配線板とが設けられた光ピックアップと、当該光ピックアップを互いに逆向きの一方向及び他方向へ移動可能に保持するピックアップ保持部とを設けるようにして、当該フレキシブル配線板の他端側を、光ピックアップからピックアップ保持部の外側に直接引き出すようにしたことにより、光ピックアップから引き出すフレキシブル配線板の他端側を当該光ピックアップの上側に引き回さない分、光ピックアップ全体を薄型化することができ、かくして装置全体を容易に薄型化し得る光ディスク装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0024】
(1)実施の形態による光ディスク装置の構成
図1及び図2において、1は全体として本発明による光ディスク装置を示す。かかる光ディスク装置1は、例えば、ノートブック型のコンピュータ装置を構成する折畳可能な本体部及び表示部のうち当該本体部に収納されている。
【0025】
そして光ディスク装置1は、CD方式及びDVD方式の2種類の光ディスクそれぞれに対して情報を記録し、また情報を再生し得るようになされている。
【0026】
この光ディスク装置1は、全体として偏平矩形状の外観を有し、略偏平箱型のトレイ保持部2に、光ディスクを収容するための略偏平矩形状のトレイ3が保持されている。
【0027】
トレイ保持部2は、長方形状の底面5Aの1つの短辺、及び互いに平行な2つの長辺それぞれに側壁5B乃至5Dが形成された筐体5を有している。
【0028】
因みに、以下の説明では、筐体5において唯一側壁のない1辺の縁部を前縁部とも呼び、当該前縁部とは反対側の短辺の側壁5Bを、筐体後側壁5Bとも呼ぶ。
【0029】
さらに、以下の説明では、筐体5の2つの長辺の互いに対向する一方及び他方の側壁5C及び5Dのうち、筐体後側壁5Bから前縁部を見た場合に右側に位置する一方の側壁5Cを筐体右側壁5Cとも呼ぶ。
【0030】
さらに、以下の説明では、筐体5の2つの長辺の互いに対向する一方及び他方の側壁5C及び5Dのうち、筐体後側壁5Bから前縁部を見た場合に左側に位置する他方の側壁5Dを筐体左側壁5Dとも呼ぶ。
【0031】
さらに、以下の説明では、筐体5において筐体後側壁5Bから前縁部へ向かう方向を、後述するように筐体3内からトレイ3を外部に突出させて露出させるための露出方向とも呼ぶ。
【0032】
さらに、以下の説明では、筐体5において露出方向とは逆の、前縁部から筐体後側壁5Bへ向かう方向を、後述するようにトレイ保持部2内にトレイ3を収納するための収納方向とも呼ぶ。
【0033】
そして、以下の説明では、筐体5の底面5Aの2つの長辺に沿った露出方向と、これとは逆の収納方向とを特には区別する必要のない場合、当該露出方向及び収納方向をまとめて筐体長手方向とも呼ぶ。
【0034】
トレイ保持部2の筐体5は、筐体右側壁5C及び筐体左側壁5Dの内側(すなわち、互いに対向する対向面)それぞれに、直線状のレールガイド6及び7が筐体長手方向と平行に取り付けられている。
【0035】
またレールガイド6及び7には、それぞれ直線状のスライドレール8及び9が、露出方向及び収納方向へスライド可能に取り付けられている。
【0036】
一方、トレイ3は、略長方形状のトレイ底板10を有し、当該トレイ底板10の一面10Aに、光ピックアップ11や、光ディスクを回転駆動する回転駆動部12等を有するベースユニット13が配置されている。
【0037】
またトレイ底板10の一面10Aには、トレイ3の上板となり、光ディスクを収容するための凹部が形成されたディスク収容部14が、ベースユニット13を露出させるように設けられている。
【0038】
因みに、以下の説明では、トレイ3の上板となるディスク収容部14を、トレイ上板14とも呼び、当該ディスク収容部14において、光ディスクを収容するための凹部を、収容凹部とも呼ぶ。
【0039】
また、以下の説明では、トレイ3において、略長方形状のトレイ底板10の2つの長辺に沿った互いに逆向きの2方向をまとめてトレイ長手方向とも呼ぶ。
【0040】
そしてトレイ上板14は、トレイ長手方向と平行な一方及び他方の側壁14A及び14Bを筐体長手方向と平行にした状態で、当該一方及び他方の側壁14A及び14Bがスライドレール8及び9に露出方向及び収納方向へスライド可能に保持されている。
【0041】
よって光ディスク装置1は、トレイ3を、トレイ保持部2内からレールガイド6及び7並びにスライドレール8及び9を介して露出方向へ移動させて外部(ノートブック型のコンピュータ装置の外部でもある)に露出させることができる。
【0042】
また光ディスク装置1は、トレイ3を、トレイ保持部2の外部からレールガイド6及び7並びにスライドレール8及び9を介して収納方向へ移動させて当該トレイ保持部2内に収納させることができる。
【0043】
因みに、以下の説明では、トレイ3において、トレイ保持部2に取り付けられた状態で露出方向側を前側とも呼び、収納方向側を後側とも呼ぶ。
【0044】
また、以下の説明では、トレイ3において、その後側から前側を見た場合を基準として、トレイ上板14の一方の側壁14A側を右側とも呼び、同様にトレイ上板14の他方の側壁14B側を左側とも呼ぶ。
【0045】
そして、以下の説明では、トレイ上板14において一方及び他方の側壁14A及び14Bのうち右側の一方の側壁14Aを、上板右側壁14Aとも呼び、左側の他方の側壁14Bを、上板左側壁14Bとも呼ぶ。
【0046】
ところで、図3及び図4に示すように、ベースユニット13は、上述の光ピックアップ11を保持すると共に、回転駆動部12等が取り付けられる略六角形状のピックアップ保持部20を有している。
【0047】
ピックアップ保持部20は、対向する頂点同士を結ぶ3本の仮想の対角線のうち1本の対角線が他の2本の対角線よりも長くなるように、当該1本の対角線に沿って長く形成されている。
【0048】
またピックアップ保持部20は、他の2本の対角線よりも長い1本の対角線と平行な2本の一方及び他方の縁部20A及び20Bの間に、その1本の対角線に沿って光ディスクの半径よりも長い略長方形状の穴部が穿設されている。
【0049】
因みに、以下の説明では、ピックアップ保持部20において他の2本の仮想の対角線よりも長い1本の仮想の対角線を基準対角線とも呼ぶ。
【0050】
また、以下の説明では、ピックアップ保持部20において基準対角線に沿った互いに逆向きの一方向及び他方向をまとめて保持部長手方向とも呼び、当該保持部長手方向と直交する方向を、保持部直交方向とも呼ぶ。
【0051】
また、以下の説明では、ピックアップ保持部2において保持部長手方向の一端部及び他端部を保持一端部及び保持他端部とも呼ぶ。
【0052】
また、以下の説明では、ピックアップ保持部20において保持一端部の頂点(すなわち、基準対角線の一端が繋がる頂点)を一端部頂点とも呼ぶ。
【0053】
さらに、以下の説明では、ピックアップ保持部20において保持他端部の頂点(すなわち、基準対角線の他端が繋がる頂点)を他端部頂点とも呼ぶ。
【0054】
さらにまた、以下の説明では、ピックアップ保持部20の保持部直交方向の外側で、一方及び他方の縁部20A及び20Bに添う位置を、それぞれピックアップ保持部20の脇とも呼ぶ。
【0055】
かかるピックアップ保持部20の保持一端部には、回転駆動部12が設けられている。この回転駆動部12は、スピンドルモータ21を有しており、当該スピンドルモータ21のモータ本体部21Aがピックアップ保持部20の保持一端部に固定されている。
【0056】
この場合、スピンドルモータ21は、モータ出力軸21Bをトレイ底板10の一面10Aに垂直にして、モータ本体部21Aをトレイ底板10の一面10A側に位置させている。
【0057】
またスピンドルモータ21は、モータ出力軸21Bの端部を基準対角線と直交させるようにして、ピックアップ保持部20の上面20Cよりも上側に突出させている。
【0058】
さらにスピンドルモータ21のモータ出力軸21Bの端部には、光ディスクを装着可能なターンテーブル22が、ピックアップ保持部20の上面20Cよりも上側に位置させるように取り付けられている。
【0059】
そして回転駆動部12は、スピンドルモータ21を駆動することにより、モータ出力軸21Bと共にターンテーブル22を回転させ得るようになされている。
【0060】
またピックアップ保持部20には、一方の縁部20Aの内側に沿わせて、保持一端部から保持他端部に渡る一方のガイド軸25が保持部長手方向と平行に設けられている。
【0061】
さらにピックアップ保持部20には、他方の縁部20Bの内側に沿わせて、保持一端部から保持他端部に渡る他方のガイド軸26が保持部長手方向と平行に設けられている。
【0062】
因みに、一方及び他方のガイド軸25及び26は、ピックアップ保持部20の下面よりも下側には位置しないように、当該ピックアップ保持部20の一方及び他方の縁部20A及び20Bの間に収められている。
【0063】
さらにピックアップ保持部20には、他方の縁部20Bと他方のガイド軸26との間に、保持一端部から保持他端部に渡るリードスクリュ27が保持部長手方向と平行な姿勢で回転可能に設けられている。
【0064】
かかるリードスクリュ27は、一端部から他端部にかけて表面に螺旋状の溝が形成され、他端にリードギヤ27Aが設けられている。
【0065】
そしてピックアップ保持部20の保持他端部には、モータ28と共に1又は複数のギヤ(図示せず)が配置され、そのモータ28の出力軸が当該1又は複数のギヤを介して、リードスクリュ27のリードギヤ27Aに連結されている。
【0066】
よってピックアップ保持部20は、モータ28が駆動されると、当該モータ28の出力軸の回転を1又は複数のギヤを介してリードスクリュ27のリードギヤ27Aに伝達する。
【0067】
これによりピックアップ保持部20は、モータ28の出力軸の回転に応じて、リードスクリュ27を順方向及び逆方向の何れにも回転させ得るようになされている。
【0068】
ところで、光ピックアップ11は、略偏平弓形状のピックアップベース30を有している。因みに、以下の説明では、ピックアップベース30において互いに平行な一方の側面30A及び他方の側面30Bを、一方側面30A及び他方側面30Bとも呼ぶ。
【0069】
また、以下の説明では、ピックアップベース30において略円弧状に突出した側面30Cを、突出側面30Cとも呼び、当該突出側面30Cとは反対側の略円弧状に凹んだ側面30Dを、凹み側面30Dとも呼ぶ。
【0070】
ピックアップベース30は、その表面において一方側面30A寄り及び突出側面30C寄りにそれぞれ略コ字状の切欠部が形成されている。
【0071】
そしてピックアップベース30は、これら切欠部内にDVD方式のレーザ光用の受発光素子31及びCD方式のレーザ光用の受発光素子32が配置されている。
【0072】
またピックアップベース30は、その表面において他方側面30B寄りに穴部が穿設され、当該穴部内に対物レンズユニット33が配置されている。
【0073】
対物レンズユニット33は、受発光素子31及び32によって発射されたレーザ光を集光させるための対物レンズと、当該対物レンズの位置を微調整するアクチュエータとを有している。
【0074】
因みに、以下の説明では、ピックアップベース30の表面30Jに形成された切欠部を、それぞれ素子配置用切欠部とも呼び、当該ピックアップベース30の表面30Jに穿設された穴部を、ユニット配置用穴部とも呼ぶ。
【0075】
また光ピックアップ11は、ピックアップベース30の突出側面30Cから表面を介して一方側面30A及び他方側面30Bに渡り、比較的薄い金属板により略弓形状に形成されたベースカバー34が取り付けられている。
【0076】
ベースカバー34は、その一面34Aの2箇所に切欠部34B及び34Cが形成されており、これら切欠部34B及び34Cを介して受発光素子31及び32を露出させている。
【0077】
また、ベースカバー34は、その一面34Aに穴部34Dが穿設されており、当該穴部34Dを介して対物レンズユニット33を露出させている。
【0078】
因みに、以下の説明では、ベースカバー34の2箇所の切欠部34B及び34Cを、それぞれ素子露出用切欠部34B及び34Cとも呼び、当該ベースカバー34の穴部34Dを、ユニット露出用穴部34Dとも呼ぶ。
【0079】
ピックアップベース30において一方側面30Aには、略コ字状の軸係合部30Eが設けられ、他方側面30Bには、円形の穴が穿設された2つの軸挿通部30F及び30Gが設けられている。
【0080】
そしてピックアップベース30は、2つの軸挿通部30F及び30Gの穴に他方のガイド軸26が挿通されている。
【0081】
またピックアップベース30の軸係合部30Eは、一方のガイド軸25をくわえ込むようにして当該一方のガイド軸25と係合している。
【0082】
このようにしてピックアップベース30は、裏面30Hをトレイ底板10の一面10Aに平行に近接させ、かつ表面のベースカバー34をピックアップ保持部20の上面20Cよりも上側には突出させないような姿勢でピックアップ保持部20に保持されている。
【0083】
これにより光ピックアップ11は、ピックアップベース30の姿勢は変えずに一方及び他方のガイド軸25及び26に沿って保持部長手方向(すなわち、一方向及び他方向)へ移動し得るようになされている。
【0084】
すなわち、光ピックアップ11は、一方向及び他方向として、ピックアップベース30の凹み側面30Dをスピンドルモータ21の円形の側面に近接させる方向と、これとは逆の離隔させる方向とへ移動し得るようになされている。
【0085】
因みに、ベースユニット13は、スピンドルモータ21に設けられたターンテーブル22に光ディスクの中心部が装着される。
【0086】
このため、ベースユニット13では、ターンテーブル22に光ディスクの中心部が装着されていると、光ピックアップ11をスピンドルモータ21に近接させる方向が、当該光ピックアップ11を光ディスクの内周側に移動させる方向となる。
【0087】
また、ベースユニット13は、では、ターンテーブル22に光ディスクの中心部が装着されていると、光ピックアップ11をスピンドルモータ21から離隔させる方向が、当該光ピックアップ11を光ディスクの外周側へ移動させる方向となる。
【0088】
このため以下の説明では、ターンテーブル22に対する光ディスクの装着の有無にかかわらずに、光ピックアップ11をスピンドルモータ21に近接させる方向を、当該光ピックアップ11を光ディスクの内周側へ移動させるためのディスク内周方向とも呼ぶ。
【0089】
また、以下の説明では、ターンテーブル22に対する光ディスクの装着の有無にかかわらずに、光ピックアップ11をスピンドルモータ21から離隔させる方向を、当該光ピックアップ11を光ディスクの外周側へ移動させるためのディスク外周方向とも呼ぶ。
【0090】
ところで、ピックアップベース30は、その裏面30Hにおいて他方側面30B寄りの縁部に凹部が形成されている。
【0091】
そしてピックアップベース30は、凹部にラック35の一端部が固定され、当該ラック35の他端部に形成されたラック歯35Aをリードスクリュ27表面の螺旋状の溝に歯合させている。
【0092】
これによりピックアップベース30は、モータ28の駆動に応じてリードスクリュ27が順方向及び逆方向に回転した場合、その回転に応じてラック35のラック歯35Aに当該リードスクリュ27の溝を辿らせることができる。
【0093】
よって光ピックアップ11は、モータ28の駆動に応じてディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動することができる。
【0094】
ところで、ラック35は、中央部分に他方のガイド軸26と平行な溝が形成され、当該溝内に他方のガイド軸26を入り込ませている。
【0095】
このためラック35は、その一面をピックアップベース30の裏面30Hよりもトレイ底板10の一面10A側へは突出しないようになされている。
【0096】
よって光ピックアップ11は、ピックアップベース30の裏面30Hを、トレイ底板10の一面10Aに極力近づけた状態でディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動し得るようになされている。
【0097】
ところで光ピックアップ11は、ディスク内周方向やディスク外形方向へ移動したとき、対物レンズをターンテーブル22の近傍及び保持他端部の間で基準対角線と一致する軌跡、又は基準対角線と近接して平行な軌跡を辿るようにピックアップ保持部20に保持されている。
【0098】
またピックアップ保持部20は、光ピックアップ11を移動させる穴部の、保持部長手方向に沿った長さが光ディスクの半径よりも長く選定されている。
【0099】
よって光ピックアップ11は、ディスク内周方向やディスク外周方向へ移動すると、ターンテーブル22に装着されている光ディスクの内周側から外周側までの何れの位置にも、受発光素子31及び32により発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて照射することができる。
【0100】
そしてベースユニット13においてピックアップ保持部20(図3)は、他端部頂点及び当該他端部頂点を交点とする2辺が、トレイ底板10の前側の右隅(以下、これを底板前右隅とも呼ぶ)及び当該底板前右隅を交点とする2辺の一部に合せられている。
【0101】
またピックアップ保持部20は、一端部頂点及び当該一端部頂点に繋がる1辺(すなわち、他方の縁部20B側の1辺)が、トレイ底板10の左辺の中央部分(以下、これを底板左辺中央部とも呼ぶ)に合せられている。
【0102】
すなわち、ピックアップ保持部20は、トレイ底板10の一面10Aに対し保持部長手方向(すなわち、ディスク内周方向及びディスク外周方向)をトレイ長手方向と所定角度で交差させるように位置決めされている。
【0103】
そしてピックアップ保持部20(図3)には、一端部頂点、一方の縁部20Aの保持他端部寄り、他方の縁部20Bの中央部にそれぞれ平ワッシャ状のねじ係合部20D乃至20Fが、当該ピックアップ保持部20の周囲に突出するように設けられている。
【0104】
またトレイ底板10の一面10Aには、ピックアップ保持部20のねじ係合部20D乃至20Fと対向するねじ穴(図示せず)が穿設されている。
【0105】
よってピックアップ保持部20は、ねじ39がねじ係合部20D乃至20Fの穴に通されてトレイ底板10のねじ穴にねじ込まれることで、当該トレイ底板10の一面10Aに位置決めされた状態で固定されている。
【0106】
このようにしてベースユニット13は、トレイ底板10の一面10Aに取り付けられている。
【0107】
これによりベースユニット13は、トレイ底板10の底板左辺中央部の近傍に回転駆動部12を位置させ、当該底板左辺中央部から底板前右隅に向かう方向をディスク外周方向として、当該ディスク外周方向へ光ピックアップ11を移動させる。
【0108】
またベースユニット13は、トレイ底板10の底板前右隅から底板左辺中央部に向かう方向をディスク内周方向として、当該ディスク内周方向へ光ピックアップ11を移動させる。
【0109】
ところで図5に示すように、トレイ上板14は、樹脂材により一体成形され、表面14Cの前後の長さ及び左右の幅が、トレイ底板10の一面10Aの前後の長さ及び左右の幅とほぼ等しくなるように選定されている。
【0110】
これによりトレイ上板14は、その前後左右の辺を、それぞれトレイ底板10の前後左右の辺に合せるようにして当該トレイ底板10の一面10Aに配置されている。
【0111】
またトレイ上板14の表面14Cには、スピンドルモータ21のモータ出力軸21Bの端部と対向する位置(すなわち、一点であり、以下、これを軸対向位置とも呼ぶ)VDCを中心とした円形の収容凹部14Dが形成されている。
【0112】
さらにトレイ上板14の収容凹部14D内には、当該トレイ上板14の前右隅部分の表面14Cとの段差から軸対向位置VDC周囲までの部分に、ベースユニット13を露出させるための穴部14Eが穿設されている。
【0113】
因みに、以下の説明では、トレイ上板14の穴部14Eを、ベース露出穴部14Eとも呼ぶ。
【0114】
そしてトレイ上板14は、収容凹部14D内のベース露出穴部14Eにより、ベースユニット13として、ピックアップ保持部20の保持一端部並びに一方及び他方の縁部20A及び20Bをターンテーブル22及び光ピックアップ11と共に露出させている。
【0115】
またトレイ上板14は、全体の厚みに対する収容凹部14Dの深さ(すなわち、板左側壁14Bの下端から収容凹部14Dの表面までの高さ)が、トレイ底板10及びピックアップ保持部20の厚みに応じて適宜選定されている。
【0116】
これによりトレイ上板14(図1及び図2)は、ベース露出穴部14Eによって露出させるピックアップ保持部20の一部やターンテーブル22及び光ピックアップ11のうち当該ターンテーブル11のみを収容凹部14Dの底面よりも上側に位置させている。
【0117】
実際にトレイ上板14(図5)では、当該トレイ上板14の中心位置よりも軸対向位置VDCが左側にずれている。
【0118】
このためトレイ上板14は、前側の右隅部分から上板右側壁14Aを介して後側の右隅部分までが収容凹部14Dよりも一段高い表面14Cとなる。
【0119】
またトレイ上板14は、上板左側壁14B寄りがほぼ全体に渡り収容凹部14Dとなって、表面14Cよりも一段低くなっている。
【0120】
従ってトレイ上板14は、光ディスク37がターンテーブル22に装着されると、当該光ディスク37のほとんどを収容凹部14D内に収めるものの、一部分については上板左側壁14Bよりも左側にはみ出させている。
【0121】
この状態でトレイ上板14は、光ディスク37と共にトレイ保持部2に収納され、また当該トレイ保持部2内から押し出されて光ディスク37と共に外部に露出される。
【0122】
これによりトレイ上板14は、トレイ保持部2から押し出されてターンテーブル22に対し光ディスク37が着脱される際、当該光ディスク37において上板左側壁14Bよりも左側にはみ出す一部分の縁に指をかけさせて、その着脱を行い易くしている。
【0123】
次いで、かかる構成の光ディスク装置1に設けられた光ピックアップ11の構成について詳細に説明する。
【0124】
図6に示すように、光ピックアップ11においてピックアップベース30は、表面30Jに対し、上述したように受発光素子31及び32が配置される素子配置用切欠部30K及び30Lが形成されている。
【0125】
またピックアップベース30は、表面30Jに対し、上述したように対物レンズユニット33が配置されるユニット配置用穴部30Mも形成されている。
【0126】
さらにピックアップベース30は、表面30Jの中央部に凹部30Nが形成され、当該凹部30N内にビームスプリッタやコリメータレンズ等の種々の光学素子40が配置されている。
【0127】
因みに、以下の説明では、ピックアップベース30の凹部30Nを、素子配置用凹部30Nとも呼ぶ。
【0128】
そしてピックアップベース30には、これら受発光素子31及び32や対物レンズユニット33、光学素子40等が光軸を合せるように位置調整されて配置されている。
【0129】
これによりピックアップベース30では、受発光素子31によって発射されたレーザ光を光学素子40に通して対物レンズユニット33に導き対物レンズ41により集光させて、表面30Jよりも上側に位置する光ディスク37の記録面に照射することができる。
【0130】
またピックアップベース30では、この際、光ディスク37の記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を対物レンズ41に取り込んで対物レンズユニット33から光学素子40を介して受発光素子31に導くようにして受光することもできる。
【0131】
またピックアップベース30では、受発光素子32によってレーザ光を発射させる場合も、そのレーザ光を、光学素子40を介して対物レンズユニット33に導き対物レンズ41により集光させて光ディスク37の記録面に照射することができる。
【0132】
そしてピックアップベース30では、この際にも、光ディスク37の記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を対物レンズ41に取り込んで対物レンズユニット33から光学素子40を介して受発光素子32に導くようにして受光することができる。
【0133】
これに加えて図7に示すように、光ピックアップ11には、フレキシブル配線板45も設けられている。
【0134】
フレキシブル配線板45は、所定パターンに配線された複数の導電線を2枚の絶縁性フィルムで挟み込むように被覆して全体が極めて薄く形成されており、可撓性を有している。
【0135】
実際にフレキシブル配線板45の一端側は、光ディスクの記録面に照射するレーザ光を生成するための種々の電気部品が電気的に接続される部品接続部45Aとして形成されている。
【0136】
またフレキシブル配線板45の他端側は、これら種々の電気部品を、後述するようにトレイ上板14の裏面に配置された回路基板と電気的に接続するために引き回される引回部45Bとして形成されている。
【0137】
フレキシブル配線板45において部品接続部45Aは、ピックアップベース30の表面30Jの形状に応じた外形を有している。
【0138】
そして部品接続部45Aには、ピックアップベース30の素子配置用切欠部30K及び30L並びにユニット配置用穴部30Mに対応する切欠部45C乃至45Eが形成されている。
【0139】
また部品接続部45Aは、一面45Fの種々の箇所で導電線の端部や途中の一部分が接続端子として露出され、これら接続端子にIC(Integrated Circuit)チップ構成のレーザドライバ46や抵抗等の電気部品の端子が電気的に接続されている。
【0140】
すなわち、フレキシブル配線板45の部品接続部45Aには、一面45Fにレーザドライバ46等の種々の電気部品が表面実装されている。
【0141】
さらに部品接続部45Aには、切欠部45C乃至45Eの近傍それぞれに、当該切欠部45C乃至45Eを避けるように、例えば数本の導電線部分を分岐させ、これら数本の導電線の端部を接続端子として露出させた分岐配線板45G乃至45Iが形成されている。
【0142】
一方、フレキシブル配線板45において引回部45Bは、複数の導電線を所定ピッチに並べるようにして帯状に形成されている。
【0143】
また引回部45Bは、端部(すなわち、フレキシブル配線板45の他端)に、複数の導電線の端部が接続端子として露出されてなる基板接続部45Jが形成されている。
【0144】
そして図8に示すように、フレキシブル配線板45は、部品接続部45Aが一面45Fをピックアップベース30の表面30Jと対向させて当該表面30Jに載置されている。
【0145】
またフレキシブル配線板45は、部品接続部45Aと引回部45Bとの境界部分をピックアップベース30の表面30Jと一方側面30Aとの境界部分に位置させて、当該引回部45Bを、ピックアップベース30の表面30Jよりも外側にはみ出させている。
【0146】
ただしフレキシブル配線板45は、部品接続部45Aがピックアップベース30の表面30Jに載置された際、切欠部45C乃至45Eを当該ピックアップベース30の素子配置用切欠部30K及び30Lやユニット配置用穴部30Mに対向させている。
【0147】
これによりフレキシブル配線板45は、部品接続部45Aにより、ピックアップベース30に配置されている受発光素子31及び32並びに対物レンズユニット33を隠蔽しないようになされている。
【0148】
またピックアップベース30(図6)は、表面30Jにおいて、フレキシブル配線板45に表面実装されているレーザドライバ46と対向する位置に凹部(以下、これをドライバ配置用凹部とも呼ぶ)30Pが形成されている。
【0149】
よってピックアップベース30は、表面30Jにフレキシブル配線板45の部品接続部45Aが載置されたとき、ドライバ配置用凹部30P内にレーザドライバ46を収容して、当該表面30Jで部品接続部45Aを平らにしている。
【0150】
この状態でフレキシブル配線板45は、分岐配線板45G乃至45Iの接続端子が、ピックアップベース30に配置されている電気部品としての受発光素子31及び32並びに対物レンズユニット33のアクチュエータの端子に電気的に接続されている。
【0151】
これによりフレキシブル配線板45は、レーザドライバ46を、導電線を介して受発光素子31及び32と電気的に接続し、当該レーザドライバ46により受発光素子31及び32を記録用及び再生用に駆動させ得るようになされている。
【0152】
一方、図9に示すように、ベースカバー34は、比較的薄い金属板を折り曲げる等して形成され、上述したように一面34Aに素子露出用切欠部34B及び34Cが形成されていると共に、ユニット露出用穴部34Dが穿設されている。
【0153】
またベースカバー34は、一面34Aの素子露出用切欠部34B側の縁に、当該一面34Aに垂直な平板状の側壁34Eが設けられている。
【0154】
さらにベースカバー34の側壁34Eの下端には、フレキシブル配線板45の引回部45Bの一部を保持する平板状の配線保持板34Fが、当該下端に対し垂直、かつ一面34Aよりも外側に突出するように設けられている。
【0155】
すなわち、ベースカバー34の側壁34Eは、その高さ方向の一端(すなわち、上端)が一面34Aの縁につながり、当該高さ方向の他端(すなわち、下端)が配線保持板34Fの端部につながっている。
【0156】
そして図10に示すように、ベースカバー34は、一面34Aの裏側となる他面、及び側壁34E内面を、ピックアップベース30の表面30J、及び一方側面30Aと対向させるように、当該ピックアップベース30に取り付けられている。
【0157】
これによりベースカバー34は、その他面とピックアップベース30の表面30Jとの間にフレキシブル配線板45の部品接続部45Aを挟み込むようにしている。
【0158】
またベースカバー34は、他面と側壁34E内面との境界部分で、フレキシブル配線板45の部品接続部45Aと引回部45Bとの境界部分を折り曲げるようにしている。
【0159】
これによりベースカバー34は、側壁34E内面とピックアップベース30の一方側面30Aとの間に、フレキシブル配線板45の引回部45Bの根元部分(すなわち、引回部45Bにおける部品接続部45Aとの境界寄りの部分)を挟み込むようにしている。
【0160】
さらにフレキシブル配線板45の引回部45Bは、ベースカバー34の側壁34E内面から配線保持板34Fの裏面に添うように折り曲げられている。
【0161】
そしてフレキシブル配線板45は、引回部45Bにおいて、ベースカバー34の配線保持板34Fの裏面と対向する部分が、当該配線保持板34Fの裏面に粘着テープ等によって貼着されている。
【0162】
因みに、以下の説明では、フレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて、ベースカバー34の配線保持板34Fの裏面に貼着された部分を、裏面貼着部分とも呼ぶ。
【0163】
またベースカバー34は、一面34Aから配線保持板34Fの裏面までの高さが、ピックアップベース30と、これに載置されたフレキシブル配線板45との全体の厚みに応じて適宜選定されている。
【0164】
これによりベースカバー34は、ピックアップベース30に取り付けられた状態で、フレキシブル配線板45の裏面貼着部分を、当該ピックアップベース30の裏面30Hよりもトレイ底板10の一面10A側には突出させないようになされている。
【0165】
ところで図11に示すように、ピックアップ保持部20は、ねじ係合部20D乃至20F各々とトレイ底板10の一面10Aとの間に、振動吸収用の樹脂材で形成された所定の厚みを有する円形の振動吸収板48を挟み込んで、当該一面10Aに固定されている。
【0166】
因みに、以下の説明では、ピックアップ保持部20のねじ係合部20D乃至20Fとトレイ底板10の一面10Aとの間に介在された振動吸収板48を、ダンパ48とも呼ぶ。
【0167】
従ってピックアップ保持部20は、光ディスク37の回転やスピンドルモータ21等の駆動によって発生する振動をダンパ48に吸収させて、その振動をトレイ底板10には伝えないようにしている。
【0168】
またピックアップ保持部20は、ねじ係合部20D乃至20Fとトレイ底板10の一面10Aとの間に介在しているダンパ48により、一方及び他方の縁部20A及び20B等と、トレイ底板10の一面10Aとの間にわずかな隙間が形成されている。
【0169】
よってフレキシブル配線板45の引回部45Bは、ベースカバー34の配線保持板34Fと共にピックアップ保持部20の一方の縁部20Aとトレイ底板10の一面10Aとの隙間に通されて当該ピックアップ保持部20の脇に引き出されている。
【0170】
すなわち、フレキシブル配線板45の引回部45Bは、光ピックアップ11からピックアップ保持部20の脇(すなわち、トレイ上板14の裏面14Fと対向する位置)に直接引き出されている。
【0171】
ここでフレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて基板接続部45Jを除く部分は、光ピックアップ11から保持部直交方向に沿ってピックアップ保持部20の脇に引き出された後、一方の縁部20Aに添ってトレイ底板10の後側へ引き回されるように略L字状に形成されている。
【0172】
因みに、以下の説明では、フレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて、ピックアップ保持部20の脇で保持部長手方向と平行に(すなわち、一方の縁部20Aに添って)トレイ底板10の後側へ引き回される直線状の部分を、外側引回部分45BXとも呼ぶ。
【0173】
またフレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて基板接続部45Jは、保持部直交方向に沿って外側引回部分45BXよりも一方の縁部20Aから離れるように張り出し、各接続端子を保持部長手方向に沿って並べるように形成されている。
【0174】
一方、トレイ上板14の裏面14Fには、その後側において、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aと隣り合い、フレキシブル配線板45の外側引回部分45BXの一部を押え込むための領域14FAを除く位置に回路基板49が配置されている。
【0175】
因みに、以下の説明では、トレイ上板14の裏面14Fにおいて、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aと隣り合い、フレキシブル配線板45の外側引回部分45BXの一部を押え込むための領域14FAを、配線板押え領域14FAとも呼ぶ。
【0176】
この場合、配線板押え領域14FAは、保持部長手方向へ長い略長方形の形状を有し、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aの一端からトレイ上板14の一方の側壁14Aまでの長さを有している。
【0177】
また、かかる配線板押え領域14FAは、少なくともフレキシブル配線板45の外側引回部分45BXの幅と等しい幅を有しており、当該フレキシブル配線板45の裏面貼着部分及び外側引回部分45BXと対向している。
【0178】
さらにトレイ上板14の裏面14Fに配置された回路基板49には、直方体状のコネクタ50が、その長手方向を保持部長手方向と平行にし、かつ長方形状の側面に形成された端子を、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aの中央部に向けて実装されている。
【0179】
そしてフレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて外側引回部分45BXは、ピックアップ保持部20の脇で一旦は保持部長手方向と平行にトレイ底板10の後側(すなわち、トレイ上板14の後側でもある)へ引き回される。
【0180】
またフレキシブル配線板45の引回部45Bにおいて外側引回部分45BXは、引き続きトレイ上板14の配線板押え領域14FA側に湾曲されてトレイ上板14の一方の側壁14A側へ戻すように引き回されている。
【0181】
そしてフレキシブル配線板45の引回部45Bは、このように外側引回部分45BXが湾曲されて引き回された状態で、基板接続部45Jの接続端子がコネクタ50の端子に電気的に接続されている。
【0182】
これにより光ピックアップ11は、光ディスク37の記録面に照射するレーザ光を生成するための受発光素子31及び32やレーザドライバ46等の電気部品が、フレキシブル配線板45及びコネクタ50を順次介して回路基板49の回路素子に電気的に接続されている。
【0183】
この状態で図12に示すように、ベースユニット13は、モータ28を駆動して光ピックアップ11をディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動させたとき、フレキシブル配線板45において外側引回部分45BXの湾曲位置を、保持部長手方向に沿って適宜変位させる。
【0184】
これによりベースユニット13は、光ピックアップ11の各電気部品と回路基板45との電気的な接続を維持した状態で、当該光ピックアップ11をディスク内周方向及びディスク外周方向へ自由に移動させることができる。
【0185】
また図13に示すように、トレイ上板14は、ベースユニット13における光ピックアップ11の移動の有無にかかわらずに、フレキシブル配線板45の外側引回部分45BXを配線板押え領域14FAと対向させている。
【0186】
よってトレイ上板14は、ベースユニット13における光ピックアップ11の移動の有無にかかわらずに、フレキシブル配線板45の外側引回部分45BXが光ディスク37の記録面に接触して傷つけることを防止している。
【0187】
そしてトレイ上板14の裏面14F(図11)には、配線板押え領域14FAの中央部よりも一方の側壁14A寄りに、略L字状の配線板保持部52が設けられている。
【0188】
配線板保持部52は、幅広な保持板52Aをトレイ上板14の裏面14Fから僅かに離して平行にした状態で、当該保持板52Aに設けられた足部が、その保持板52Aよりも一方の側壁14A寄りに位置して裏面14Fに植設されている。
【0189】
そして配線板保持部52は、保持板52Aとトレイ上板14の裏面14Fとの間に、フレキシブル配線板45において外側引回部分45BXの最も他端寄りの部分が差し込まれている。
【0190】
このようにして配線板保持部52は、保持板52Aとトレイ上板14の裏面14Fとの間にフレキシブル配線板45を保持している。
【0191】
これにより配線板保持部52は、光ピックアップ11がディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動したときに、フレキシブル配線板45の基板接続部45Jがコネクタ50から外れて、ピックアップ保持部20や回路基板49の下側に巻き込まれることを防止することができる。
【0192】
これに加えてトレイ底板10(図3)の一面10Aには、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aと隣り合い、フレキシブル配線板45の裏面貼着部分及び外側引回部分45BXと対向する位置に比較的薄い帯状の保護テープ55が貼着されている。
【0193】
保護テープ55は、例えば、摩擦抵抗が極力小さいシリコン樹脂により比較的薄い帯状に形成されている。
【0194】
また保護テープ55は、少なくともフレキシブル配線板45の外側引回部分45BXの幅以上の幅を有すると共に、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aの一端からねじ係合部20Eの近傍までに亘るような長さを有している。
【0195】
すなわちトレイ底板10は、光ピックアップ11がディスク内周方向及びディスク外周方向の何れに移動した場合でも、一面10Aと、フレキシブル配線板45の裏面貼着部分及び外側引回部分45BXとの間に保護テープ55を介在させている。
【0196】
これによりトレイ底板10は、例えば、ピックアップ保持部20に対する光ピックアップ11の取付精度等により、一面10Aにフレキシブル配線板45の裏面貼着部分や外側引回部分45BXが比較的近づいている場合でも、これらを一面10Aに直接は接触させずに保護シート55に接触させている。
【0197】
またトレイ底板10は、光ピックアップ11がディスク内周方向及びディスク外周方向に移動したときに、フレキシブル配線板45の外側引回部分45BXが弛んでも、当該外側引回部分45BXを一面10Aに直接は接触させずに保護シート55に接触させている。
【0198】
よってトレイ底板10は、光ピックアップ11がディスク内周方向及びディスク外周方向の何れに移動したときでも、フレキシブル配線板45の裏面貼着部分及び外側引回部分45BXが一面10Aに擦り付けられて破損することを未然に回避している。
【0199】
またベースカバー34(図9及び図3)は、配線保持板34Fにおいて略円弧状の縁の中央部に凹み34FXが形成されている。
【0200】
さらにフレキシブル配線板45(図7及び図8並びに図3)は、裏面貼着部分45BYの略円弧状の縁において、ベースカバー34の配線保持板34Fに形成された凹み34FXと対応する位置に凹み45BZが形成されている。
【0201】
すなわち、フレキシブル配線板45は、凹み45BZをベースカバー34の凹み34FXに合せるようにして裏面貼着部分45BYが当該ベースカバー34の配線保持板34Fに貼着されている。
【0202】
これによりフレキシブル配線板45は、ベースカバー34の配線保持板34Fから裏面貼着部分45BYをはみ出させないようにしている。
【0203】
この状態で光ピックアップ11は、トレイ底板10の一面10Aを基準としたねじ係合部20Eの下面までの高さよりも低い所定高さ位置で、ベースカバー34の配線保持板34Fを移動させるようにピックアップ保持部20に取り付けられている。
【0204】
そして光ピックアップ11は、ディスク外周方向へめいっぱい移動した場合、ベースカバー34の配線保持板34Fにおいて略円弧状の縁側を僅かにトレイ底板10の一面10Aとねじ係合部20Eとの隙間に入り込ませている。
【0205】
ただし光ピックアップ11は、この際、ベースカバー34の配線保持板34Fに形成されている凹み34FXにより、当該配線保持板34Fがトレイ底板10の一面10Aとねじ係合部20Eとの間のダンパ48に接触しないようにしている。
【0206】
これにより光ピックアップ11は、ディスク外周方向へ移動したときにベースカバー34の配線保持板34Fが向かう先にダンパ48が位置しているものの、当該ダンパ48により移動範囲が制限されることを回避している。
【0207】
よって光ピックアップ11は、フレキシブル配線板45がトレイ底板10の一面10Aとピックアップ保持部20の一方の縁部20Aとの隙間を通すようにして当該ピックアップ保持部20の脇に引き出されているものの、規定範囲内で移動することができる。
【0208】
ところでトレイ上板14は、上述したようにベース露出穴部14Eにより、光ピックアップ11と共にピックアップ保持部20の保持一端部並びに一方及び他方の縁部20A及び20Bを露出させている。
【0209】
また光ピックアップ11は、ピックアップベース30の表面30Jに配置された受発光素子31及び32を、ベースカバー34の素子露出用切欠部34B及び34Cによって露出させている。
【0210】
よってトレイ上板14は、情報記録時や情報再生時にターンテーブル22と共に光ディスク37が回転すると、その回転によって発生する風を光ピックアップ11の受発光素子31及び32に直接、吹き付けることができる。
【0211】
これによりトレイ上板14は、受発光素子31及び32がレーザ光を発射すると、これに応じて発熱するものの、光ディスク37の回転によって発生する風により、当該受発光素子31及び32を冷却することができる。
【0212】
また図14に示すように、ピックアップベース30は、素子配置用切欠部30K及び30Lが受発光素子31及び32よりも幅広に形成されている。
【0213】
これによりピックアップベース30は、素子配置用切欠部30K及び30L内で受発光素子31及び32の配置位置を調整させて、当該受発光素子31及び32と他の光学素子との光軸を合せることができるようにしている。
【0214】
さらにピックアップベース30は、素子配置用切欠部30K及び30L内で受発光素子31及び32の配置位置が調整された状態で、当該素子配置用切欠部30K及び30Lの内面と受発光素子31及び32の外壁との隙間に放熱材56が充填されている。
【0215】
かかる放熱材56は、例えば、接着剤にアルミナが混練されて生成されており、素子配置用切欠部30K及び30L内に受発光素子31及び32を固定し得ると共に、当該受発光素子31及び32が発生する熱を吸収して外部に放熱することができる。
【0216】
そして光ピックアップ11は、ピックアップベース30の素子配置用切欠部30K及び30L内に充填された放熱材56に対し、光ディスク37の回転により発生する風を直接吹き付けさせることにより、当該放熱材56に効率良く放熱させることができる。
【0217】
ところで光ピックアップ11は、受発光素子31及び32を露出させているため、ピックアップベース30の表面30Jと、ベースカバー34の他面との間に、受発光素子31及び32が発生した熱を逃がすための隙間を設ける必要がない。
【0218】
このため光ピックアップ11は、ピックアップベース30の表面30Jと、ベースカバー34の他面とをフレキシブル配線板45の部品接続部45Aを介在させても近接させることができ、その結果、全体の厚みを極力薄くすることができる。
【0219】
またベースカバー34は、フレキシブル配線板45の部品接続部45Aにおいてレーザドライバ46の実装位置の裏側(すなわち、フレキシブル配線板45の他面であり、以下、これを実装裏側位置とも呼ぶ)と対向する位置に穴部34Gが穿設されている。
【0220】
これによりベースカバー34は、光ディスク37が回転した場合、その回転により発生する風を穴部34Gに通してフレキシブル配線板45の実装裏側位置に吹き付けることができる。
【0221】
よってベースカバー34は、情報記録時や情報再生時にレーザドライバ46が動作すると発熱するものの、そのレーザドライバ46からフレキシブル配線板45の実装位置に伝わる熱を実装裏側位置に吹き付けた風により冷却することができる。
【0222】
すなわち、ベースカバー34は、情報記録時や情報再生時、レーザドライバ46が発生させる熱を、その熱が伝わるフレキシブル配線板45を介して効率良く放熱させることができる。
【0223】
さらにピックアップベース30(図6)は、ドライバ配置用凹部30Pの底に複数の穴部30Qが穿設されている。
【0224】
これによりピックアップベース30は、情報記録時や情報再生時、レーザドライバ46が発生させる熱を複数の穴部30Qを介して外部に放出させて、当該ドライバ配置用凹部30P内に熱がこもることも回避することができる。
【0225】
さらにまたベースカバー34(図14)及びフレキシブル配線板45の部品接続部45Aには、ピックアップベース30に配置された光学素子40と対向する位置に穴部34Hが穿設されている。
【0226】
よってベースカバー34及びフレキシブル配線板45の部品接続部45Aは、情報記録時や情報再生時に受発光素子31及び32により発射されたレーザ光を受けた光学素子40が熱をもっても、光ディスク37の回転により発生する風を、穴部34Hを介して光学素子40に吹き付けて冷却することができる。
【0227】
なお、この実施の形態の場合、上述したようにピックアップ保持部20に設けられたスピンドルモータ21やモータ28等の電気部品も、トレイ上板14の裏面14Fに配置された回路基板49に電気的に接続されている。
【0228】
そして、かかる回路基板49は、筐体5(図2)の底面5Aに配置されたフレキシブルケーブル60の一端に電気的に接続されている。
【0229】
また、かかるフレキシブルケーブル60の他端は、筐体5(図2)の筐体後側壁5Bに取り付けられた外部コネクタ61に電気的に接続されている。
【0230】
そして、かかる外部コネクタ61は、コンピュータ装置の本体部内に設けられているCPU(Central Processing Unit)のような制御部に電気的に接続されている。
【0231】
すなわち、光ピックアップ11の各電気部品は、フレキシブル配線板45、回路基板49、フレキシブルケーブル60及び外部コネクタ61を順次介してコンピュータ装置内の制御部に電気的に接続されている。
【0232】
よって、ベースユニット13は、コンピュータ装置内の制御部の制御のもとに光ピックアップ11の各電気部品や、スピンドルモータ21及びモータ28等の電気部品を動作させ得るようになされている。
【0233】
(2)実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置1は、光ピックアップ11のピックアップベース30に受発光素子31及び32等の各種電気部品と共に、フレキシブル配線板45を設け、当該フレキシブル配線板45の一端側に、これら各種電気部品を接続する。
【0234】
また光ディスク装置1は、ピックアップ保持部20に対し、その光ピックアップ11をディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動可能に保持する。
【0235】
そして光ディスク装置1は、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側をピックアップ保持部20の脇へ直接引き出して、当該ピックアップ保持部20の外側に配置された回路基板49に接続する。
【0236】
従って光ディスク装置1は、光ピックアップ11から引き出すフレキシブル配線板45の他端側を当該光ピックアップ11の上側に引き回さない分、光ピックアップ11全体を薄型化することができる。
【0237】
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、ピックアップ保持部20に移動可能に保持された光ピックアップ11からフレキシブル配線板45を当該ピックアップ保持部20の脇に直接引き出すようにした。これにより光ディスク装置1は、光ピックアップ11から引き出すフレキシブル配線板45の他端側を当該光ピックアップ11の上側に引き回さない分、光ピックアップ11全体を薄型化することができる。かくして光ディスク装置1は、光ピックアップ11全体を薄型化し得る分、装置全体を容易に薄型化することができる。
【0238】
また光ディスク装置1は、ピックアップ保持部20の脇に引き出したフレキシブル配線板45の他端側を、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aに添わせながら、一旦はディスク内周方向へ引き回した後、湾曲させてディスク外周方向へ戻すように引き回して回路基板49に接続するようにした。
【0239】
従って光ディスク装置1は、フレキシブル配線板45を、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aの長さ、すなわち、光ピックアップ11の移動範囲に相当する長さを有する極力短い引回スペース内で引き回すようにしても、光ピックアップ11の移動に応じて湾曲部分の位置を変位させることができる。
【0240】
すなわち、光ディスク装置1は、このように極力短い引回スペース内でフレキシブル配線板45を引き回すようにしても、光ピックアップ11をディスク内周方向及びディスク外周方向へ自由に移動させることができる。
【0241】
よって光ディスク装置1は、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45をピックアップ保持部20の脇に直接引き出すものの、当該フレキシブル配線板45の引回スペースによって装置全体が大型化することを回避することができる。
【0242】
また従来の光ディスク装置であれば、光ピックアップ部からフレキシブル配線板をディスク外周方向へ引き出した後、湾曲させてディスク内周方向へ戻すようにして、そのままベースユニットの外側まで引き回しているため、比較的長いフレキシブル配線板が必要になっていた。
【0243】
これに対して光ディスク装置1は、このように光ピックアップ11の移動範囲に相当する長さを有する極力短い引回スペース内でフレキシブル配線板45を引き回すことにより、当該フレキシブル配線板45の長さを従来に比べて大幅に短くすることができる。
【0244】
さらに光ディスク装置1は、トレイ上板14によりピックアップ保持部20の脇でフレキシブル配線板45の他端側を押え込み、当該フレキシブル配線板45の他端側が光ディスク37の記録面に接触することを防止するようにした。
【0245】
すなわち、従来の光ディスク装置であれば、トレイ上板とは別に光ピックアップ部の上側に、フレキシブル配線板を押え込むための保護カバーが設けられる。
【0246】
これに対して光ディスク装置1は、トレイ上板14によりフレキシブル配線板45を押え込むようにして、当該トレイ上板14に対し従来の保護カバーの機能も持たせたことで、部品点数を減らして構成を簡易化することができる。
【0247】
そして光ディスク装置1は、光ピックアップ11の上側に、フレキシブル配線板45を押え込むためにトレイ上板14を配置する必要がない分、装置全体をさらに薄型化することもできる。
【0248】
さらに光ディスク装置1は、トレイ上板14によりピックアップ保持部20の脇でフレキシブル配線板45の他端側を押え込むことにより、当該トレイ上板14にベース露出穴部14Eを穿設してベースユニット13を露出させることができる。
【0249】
よって光ディスク装置1は、光ディスク37を回転させたときに、その回転によって発生する風を光ピックアップ11に吹き付けて、当該光ピックアップ11に設けられた各種電気部品や光学素子を効率良く冷却することができる。
【0250】
さらに光ディスク装置1は、トレイ底板10の一面10Aからトレイ上板14における収容凹部14Dの底面までの高さを、当該トレイ底板10の一面10Aから光ピックアップ11の上面(すなわち、ベースカバー34の一面34A)までの高さとほぼ同一とした。
【0251】
すなわち、光ディスク装置1は、トレイ上板14における収容凹部14Dの底面を、光ピックアップ11の上面と同一平面内に位置させるようにした。
【0252】
従って光ディスク装置1は、トレイ上板14の下端から収容凹部14Dの底面までの厚みを薄くすることができる。
【0253】
よって光ディスク装置1は、収容凹部14Dの深さを光ディスク37の厚みに合せるようにしても、トレイ上板14の下端から表面14Cまでの厚みを、従来の光ディスク装置のトレイ上板に比べて薄くすることができ、装置全体をさらに薄型化することができる。
【0254】
これに加えて光ディスク装置1は、トレイ上板14の裏面14Fにおいて配線板押え領域14FA内に配線板保持部52を設け、当該配線板保持部52によりフレキシブル配線板45において外側引回部分45BXの最も他端寄りの部分を保持するようにした。
【0255】
従って光ディスク装置1は、光ピックアップ11をディスク内周方向及びディスク外周方向へ移動させたときに、フレキシブル配線板45の基板接続部45Jがコネクタ50から外れて、ピックアップ保持部20の下側や回路基板49の下側に巻き込まれ、その結果、フレキシブル配線板45が破損することを防止することができる。
【0256】
(3)他の実施の形態
(3−1)他の実施の形態1
なお上述した実施の形態においては、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bをピックアップ保持部20の一方の縁部20Aとトレイ底板10の一面10Aとの隙間に通してピックアップ保持部20の脇に直接引き出すようにした場合について述べた。
【0257】
しかしながら本発明はこれに限らず、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bをピックアップ保持部20の他方の縁部20Bとトレイ底板10の一面10Aとの隙間に通してピックアップ保持部20の脇に直接引き出すようにしても良い。
【0258】
また本発明は、ピックアップ保持部20の一方又は他方の縁部20A又は20Bを、その上面がベースカバー34の一面34Aよりも低くなるように形成しておき、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bを当該一方又は他方の縁部20A又は20Bの上側を通してピックアップ保持部20の脇に直接引き出すようにしても良い。
【0259】
さらに本発明は、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bをピックアップ保持部20の保持一端部や保持他端部とトレイ底板10の一面10Aとの隙間に通してピックアップ保持部20の外側に直接引き出すようにしても良い。
【0260】
さらに本発明は、ピックアップ保持部20の保持一端部や保持他端部を、その上面がベースカバー34の一面34Aよりも低くなるように形成しておき、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bを当該保持一端部や保持他端部の上側を通してピックアップ保持部20の外側に直接引き出すようにしても良い。
【0261】
そして、これら種々の構成によっても、光ディスク装置では、光ピックアップ11の上側にフレキシブル配線板45を引き回さない分、当該光ピックアップ11全体を薄型化することができ、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0262】
ところで、光ディスク装置1では、光ピックアップ11からフレキシブル配線板45の他端側の引回部45Bを一方又は他方の縁部20A又は20Bの上側を通してピックアップ保持部20の脇に直接引き出す場合、トレイ底板10の一面10Aに回路基板を配置して当該フレキシブル配線板45を接続するようにしても良い。
【0263】
また、かかる構成の場合、光ディスク装置1では、トレイ底板10の一面10Aに配線板保持部を設けるようにしても良い。そして、かかる構成によっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0264】
(3−2)他の実施の形態2
また上述した実施の形態においては、ピックアップ保持部20の脇に引き出したフレキシブル配線板45の他端側を、ピックアップ保持部20の一方の縁部20Aに添わせながら、一旦はディスク内周方向へ引き回した後、湾曲させてディスク外周方向へ戻すように引き回すようにした場合について述べた。
【0265】
しかしながら本発明はこれに限らず、ピックアップ保持部20の脇(一方又は他方の縁部20A又は20Bの脇)に引き出したフレキシブル配線板45の他端側を、トレイ底板10の前側又は後側に引き回す。
【0266】
そして本発明は、フレキシブル配線板45の他端側を、光ピックアップ11が移動範囲の一端まで移動したときに撓ませ、他端まで移動したときには張るような状態にして回路基板に接続するようにしても良く、かかる構成によっても上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0267】
(3−3)他の実施の形態3
さらに上述した実施の形態においては、本発明による光ディスク装置を、図1乃至図14について上述したノートブック型のコンピュータ装置に設けられる光ディスク装置1に適用するようにした場合について述べた。
【0268】
しかしながら本発明はこれに限らず、デスクトップ型のコンピュータ装置に設けられる光ディスク装置や、上述したトレイ保持部2及びトレイ3が偏平矩形状の外装ケースに収納されて形成された光ディスク装置(すなわち、光ディスク装置単体)、1種類の光ディスクに対してのみ情報を記録及び又は再生可能な光ディスク装置、光ディスクに対し情報を記録可能な記録装置や、光ディスクから情報を再生可能な再生装置等のように、この他種々の構成の光ディスク装置に広く適用することができる。
【0269】
(3−4)他の実施の形態4
さらに上述した実施の形態においては、光ピックアップに設けられた、光ディスクの記録面に照射するレーザ光を生成するための電気部品として、図1乃至図14について上述した受発光素子31及び32、対物レンズユニット33のアクチュエータ、レーザドライバ46を適用するようにした場合について述べた。
【0270】
しかしながら本発明はこれに限らず、受発光素子31及び32、対物レンズユニット33のアクチュエータ、レーザドライバ46の他に、レーザ光の発光強度を監視するためのフロントモニタ回路と呼ばれる強度監視回路や、トランジスタのような能動素子、抵抗及びコンデンサのような受動素子等のように、この他種々の電気回路を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明は、コンピュータ装置に設けられる光ディスク装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1】本発明による光ディスク装置の全体構成(1)の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】本発明による光ディスク装置の全体構成(2)の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図3】トレイ底板に対するベースユニットの取り付けの説明に供する略線的斜視図である。
【図4】ベースユニットの構成を示す略線的上面図である。
【図5】トレイ上板の構成を示す略線的斜視図である。
【図6】ピックアップベースの構成を示す略線的斜視図である。
【図7】フレキシブル配線板の構成を示す略線的斜視図である。
【図8】ピックアップベースに対するフレキシブル配線板の取り付けの説明に供する略線的斜視図である。
【図9】ベースカバーの構成を示す略線的斜視図である。
【図10】光ピックアップの構成を示す略線的斜視図である。
【図11】フレキシブル配線板の回路基板への接続の説明に供する略線的斜視図である。
【図12】光ピックアップが移動したときのフレキシブル配線板の説明に供する略線的斜視図である。
【図13】トレイ上板によるフレキシブル配線板の押えの説明に供する略線的断面図である。
【図14】受発光素子の放熱の説明に供する略線的斜視図である。
【符号の説明】
【0273】
1……光ディスク装置、10……トレイ底板、11……光ピックアップ、12……回転駆動部、13……ベースユニット、14……トレイ上板、20……ピックアップ保持部、31、32……受発光素子、33……対物レンズユニット、45……フレキシブル配線板、46……レーザドライバ、49……回路基板、52……配線板保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの記録面に照射するレーザ光を生成するための電気部品と、当該電気部品に一端側が接続されたフレキシブル配線板とが設けられた光ピックアップと、
上記光ピックアップを互いに逆向きの一方向及び他方向へ移動可能に保持するピックアップ保持部と
を具え、
上記フレキシブル配線板は、
他端側が上記光ピックアップから上記ピックアップ保持部の外側に直接引き出された
光ディスク装置。
【請求項2】
上記フレキシブル配線板は、
上記他端側が上記光ピックアップから上記ピックアップ保持部の上記外側としての脇に直接引き出された
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記フレキシブル配線板は、
上記ピックアップ保持部の上記脇で上記他端側が、上記一方向に引き回された後、湾曲されて上記他方向へ戻すように引き回された
請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記光ディスクを収容するための凹部が形成され、上記ピックアップ保持部の上記脇で引き回された上記フレキシブル配線板の上記他端側に、裏面の所定領域を対向させて配置されたディスク収容部
を具える請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
上記ディスク収容部は、
上記凹部の底面に上記ピックアップ保持部と共に上記光ピックアップを露出させる開口部が形成された
請求項4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
上記ディスク収容部は、
上記凹部の上記底面を、上記光ピックアップの上面と同一平面内に位置させるように配置された
請求項5に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
上記ピックアップ保持部の上記脇に配置され、上記フレキシブル配線板の他端が接続される回路基板と、
上記ディスク収容部の上記裏面に設けられ、上記フレキシブル配線板の上記他端側の所定位置を保持する配線板保持部と
を具える請求項6に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−259311(P2009−259311A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104804(P2008−104804)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】