説明

光ディスク装置

【課題】組み立てに必要なねじの数を減らし、部品点数を減らすとともに、組み立てに要する手間及び時間を低減できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】メインシャーシの上面を覆うカバーシャーシ4と、光ディスクDsを搬送ローラ側に押すフラップ31と、フラップ31を回動可能に支持するフラップホルダ32R(32L)とを備え、フラップホルダ32R(32L)がカバーシャーシ4に取り付けられたとき、カバーシャーシ4との間に隙間ができるように形成されている止め部33R(33L)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクに光を照射することで情報を記録/再生することができる光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−Ray Disc)等の光ディスクを記録媒体として用いる光ディスク装置では、光ピックアップより出射されたレーザ光を光ディスクの記録面に集光させて照射することでデータの記録及び(又は)前記記録面に照射され反射してきたレーザ光を検出して情報の再生を行っている。
【0003】
従来の光ディスク装置として、前記光ディスクをそのまま挿入するスロットインタイプのものがある(特開2007−207371号公報等参照)。従来の光ディスク装置について図面を参照して説明する。図13は従来の光ディスク装置の概略図であり、図14は図13の光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの概略図である。図13に示すように、光ディスク装置は、メインシャーシ91と、メインシャーシ91に昇降自在に配置された昇降シャーシ92と、メインシャーシ91の上部にメインシャーシ91を覆うように設けられたカバーシャーシ93とを備えている。
【0004】
メインシャーシ91は、樹脂の一体成型品であり、平面視長方形状の函体である。メインシャーシ91には、光ディスクDsが挿入される開口部が形成されており、光ディスクDsの挿入方向の奥側で昇降シャーシ92を昇降可能に支持している。また、メインシャーシ91の開口部の近くには光ディスクDsを搬送するための搬送ローラ912が備えられている。
【0005】
昇降シャーシ92は光ディスクDsが所定の位置に搬送されてきたときに光ディスクDsを持ち上げるために上昇し、光ディスクDsが搬出されるときに下降する。昇降シャーシ92には、光ディスクDsを下から保持し、回転駆動するディスク駆動機構94と、光ディスクDsに記録または再生用の光を照射する光ピックアップ95とを備えている。
【0006】
カバーシャーシ93は、樹脂の一体成型で形成されるものであり、メインシャーシ91の辺縁部より立設されたリブ911の上部に配置される。カバーシャーシ94には、ディスク駆動機構94で持ち上げられた光ディスクDsの上面を保持するクランパ931が備えられている。カバーシャーシ93はメインシャーシ91の正面側の両角部及び背面側にねじで固定されている。
【0007】
カバーシャーシ93の正面側には、挿入された光ディスクDsを搬送ローラ912に押し当てるためのフラップ部96が備えられている。フラップ部96は、長尺形状を有し光ディスクDsを押すためのフラップ961と、フラップ961の長手方向両端部より突出した回動軸962とを備えている。フラップ部96は回転軸962をカバーシャーシ93に形成されたフラップホルダ932に回動可能に支持されている。また、フラップ961は図示を省略した弾性部材にて下方、すなわち、光ディスクDsを搬送ローラ912に押し当てるように付勢されている。
【0008】
フラップホルダ932は、光ディスク装置を正面から見て左右両方に形成されており、一方(図13において左側)は回転軸962を差し込むことで支持できる形状となっており、他方(図13において右側)は回転軸962を配置した後、ねじBsでとめる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−207371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、フラップ部96の回動軸962の一方がねじBsにて支持されている場合、構成部材が多くなり、ねじ止めのための手間も増える。また、ねじBsの締め付け具合によって、フラップ961にがたつきがあったり、回動しにくかったりといった、フラップ961の動作にばらつき(個体差)が生じることも考えられる。
【0011】
さらに、フラップ961を取り付けるときに、樹脂で形成されたカバーシャーシ93にねじBsを締結するので、ねじBsの締め付けがゆるいとねじのがたつきでねじ山がつぶれてしまうことも考えられる。ねじ山がつぶれてしまうと使用(フラップ961の回動)によって回転軸962をとめているねじBsが緩みフラップ961が外れてしまうことがありえる。フラップ961が外れてしまうと、光ディスクDsを安定して搬入することができなかったり、内部に挿入されている光ディスクDsを排出できなくなったりする不具合が発生する。
【0012】
そこで本発明は、形状を工夫することで組み立てに必要なねじの数を減らし、部品点数を減らすとともに、組み立てに要する手間及び時間を低減できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、メインシャーシの上面を覆うカバーシャーシと、光ディスクを前記メインシャーシに備えられた搬送ローラ側に押すフラップと、前記カバーシャーシに取り付けられ前記フラップを回動可能に支持するフラップホルダとを備え、光ディスクが単体で搬送される光ディスク装置であって、前記フラップホルダは前記カバーシャーシに形成された係止孔に係合される係止部を備えており、前記係止部は前記フラップホルダより立設された立設部と、前記立設部と交差する方向に伸び前記係止部が前記係止孔から抜けるのを抑制する止め部とを備えており、前記止め部は前記フラップホルダが前記カバーシャーシに取り付けられたとき、前記カバーシャーシとの間に隙間ができるように形成されている。
【0014】
この構成によると、前記フラップホルダの前記係止部を前記カバーシャーシの係止孔に係合することで仮止めするので、前記フラップホルダを前記カバーシャーシに仮止めするねじが不要であり、それだけ、構成部材を減らすことができる。
【0015】
また、前記止め部と前記カバーシャーシとの間に隙間があるので、前記フラップホルダは前記カバーシャーシに可動に取り付けられており、前記フラップホルダを前記カバーシャーシからずらす(回動させる)ことで、前記フラップを取り付けることができる。これにより、前記フラップを前記カバーシャーシに止めるためのねじが不要であり、構成部材をさらに減らすことが可能である。
【0016】
以上に示したように、ねじを減らすことで、組み立てに要する手間及び時間も減らすことができる。
【0017】
上記構成において、前記フラップホルダは前記フラップの回動方向と同じ方向に回動することで前記カバーシャーシに取り付けられるものであり、前記係止部は前記フラップの回動方向と平行な方向に曲がる形状であってもよい。この構成によると、前記フラップホルダを取り付けるときに回す方向と同じ方向に曲がる形状であるので、前記フラップホルダを容易に前記カバーシャーシに取り付けることが可能である。
【0018】
上記構成において、前記係止部は、前記立設部と平行に配置された係合部と、前記立設部の先端と前記係合部とを連結する連結部とを備えたU字形状を有し、前記止め部は前記係合部の先端に形成されているものを挙げることができる。
【0019】
この構成によると、前記係止部がU字形状を有しているので、前記係止部は変形量が大きくなる。これにより、前記フラップホルダを前記カバーシャーシに取り付けやすくなるとともに、前記フラップホルダを前記カバーシャーシに対する移動(回動)量を大きくすることが可能である。移動量が大きくなることで、前記フラップを前記フラップホルダに容易に取り付けることが可能である。
【0020】
上記構成において、前記係止部は、前記止め部が前記立設部の先端に配置されているものであってもよい。
【0021】
上記構成において、前記止め部は前記フラップホルダに近づくにしたがって広がる楔形状であってもよい。この構成によると、前記係止部を前記係止孔に押し付けることで、前記フラップホルダを前記カバーシャーシに取り付けることができる。これにより、前記フラップホルダの取り付けが容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、組み立てに必要なねじの数を減らし、部品点数を減らすとともに、組み立てに要する手間及び時間を低減できる光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の概略配置図である。
【図2】本発明にかかる光ディスク装置に用いられる左フラップホルダの平面図である。
【図3】図2に示す左フラップホルダの側面図である。
【図4】本発明にかかる光ディスク装置に用いられる右フラップホルダの平面図である。
【図5】図4に示す右フラップホルダの側面図である。
【図6】フラップホルダが取り付けられたカバーシャーシの平面図である。
【図7】図6に示すカバーシャーシの右側面から見た拡大図である。
【図8】右フラップホルダをカバーシャーシに取り付けする前の状態を示す図である。
【図9】右フラップホルダ及びカバーシャーシの取り付け完了直前の状態を示す図である。
【図10】図(A)、(B)は左右フラップホルダが取り付けられた状態のカバーシャーシにフラップを取り付ける手順を示す図である。
【図11】本発明にかかる光ディスク装置に用いられる左フラップホルダの側面図である。
【図12】本発明にかかる光ディスク装置を用いたBD(ブルーレイ)レコーダの斜視図である。
【図13】従来の光ディスク装置の概略図である。
【図14】図13の光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる光ディスク装置の概略配置図である。なお、図1に示すように、光ディスクの挿入方向を前後方向とし、光ディスク装置の光ディスクが挿入される方向を背面方向(B方向)あるいは背面側(B側)とし、光ディスクが排出される方向を正面方向(F方向)あるいは正面側(F側)とする。以下、特に記述しない限り、この表現を用いる。
【0025】
図1に示すように、光ディスク装置Aは、メインシャーシ1と、メインシャーシ1に昇降可能に取り付けられた昇降シャーシ2と、メインシャーシ1の前側に配置され、光ディスクDsをメインシャーシ1側に押すフラップ部3と、メインシャーシ1及びフラップ部3の上部に取り付けられたカバーシャーシ4とを備えている。
【0026】
メインシャーシ1は辺縁部に形成されたリブ11と、リブ11のメインシャーシの角部にリブ11と一体形成されたねじ止め用のねじ止めリブ12と、前側Fに形成され光ディスクDsを入出させる開口部13と、開口部13から見て内部側に配置され、光ディスクDsを搬送する搬送ローラ14とを備えている。
【0027】
また、ねじ止めリブ12にはカバーシャーシ4をねじ止めするねじBtが螺合される雌ねじ穴15が形成されている。光ディスク装置Aにおいて、ねじ止めリブ12はF側に2個、B側に2個形成されているが、それに限定されるものではなく、カバーシャーシ4を確実に固定することができる個数及び場所のものを広く採用することができる。少なくとも、F側に2個以上、B側に1個以上備えられていることが好ましい。
【0028】
昇降シャーシ2は平面視長方形状の部材であり、長手方向一方の端部(B側の端部)に取り付け孔21が形成されている。この取り付け孔21をメインシャーシ1に形成されているボス10が貫通する。昇降シャーシ2の取り付け孔21とボス10との間は隙間が形成されている。ボス10と取り付け孔21との隙間にはフローティングゴム(ダンパー)100が配置されている。
【0029】
昇降シャーシ2はフローティングゴム100が配置されている隙間が形成されていることで、取り付け孔21が形成されているB側を中心に回動可能であり、F側が光ディスクに対して昇降する。昇降シャーシ2はF側の端部より突出したボス22を備えており、ボス22がメインシャーシ1に備えられたスライダ16のカム溝(不図示)に係合されている。スライダ16が移動することでボス22がカム溝に押され、昇降シャーシ2のF側は昇降する。
【0030】
また、昇降シャーシ2のF側にはディスク駆動部5が配置されている。ディスク駆動部5は駆動力が出力されるモータ51と、モータ51の出力軸に固定されたターンテーブル52とを有している。ディスク駆動部5は昇降シャーシ2の昇降によって、光ディスクDsに対して接近離反する。昇降シャーシ2が上昇するとき、ターンテーブル52が光ディスクDsを押し上げる。また、昇降シャーシ2が下降するとき、ターンテーブル52は光ディスクDsの搬送の邪魔にならない位置まで下方に移動する。
【0031】
さらに、昇降シャーシ2には、光ディスクDsに情報の再生/記録のための光を照射させる光ピックアップ6も備えられている。光ピックアップ6は昇降シャーシ2に形成された配置孔20に配置されており、ディスク駆動部5に対して接近/離反するように直線移動する。このように移動することで、光ピックアップ6から照射される光の光ディスクDs上での照射部は光ディスクDsの径方向に移動する。
【0032】
フラップ部3は、開口部13より挿入される光ディスクDsのB側の先端部を搬送ローラ14と接触するように押すフラップ31と、フラップ31を回転可能に支持するフラップホルダ32と、カバーシャーシ4に取り付けられフラップ31のB側を下方に押圧するばね34とを備えている。フラップ31は、矩形の板状の部材であり、長手方向に伸びる回転軸311が形成されている。回転軸311はフラップ31の長手方向両端面部より突出しており、フラップホルダ32に回動自在に支持されている。
【0033】
また、フラップ31は、昇降シャーシ2の上昇にあわせて、B側が持ち上げられるように構成されている。昇降シャーシ2が上昇することで光ディスクDsが持ち上げられても、光ディスクDsがフラップ31と接触するのを抑制することができる。さらに、フラップ31は、B側が持ち上げられるとF側に備えられた蓋部(不図示)が下方に下がり、開口部13を閉じる。すなわち、内部に光ディスクDsが挿入されているときは、開口部13が蓋部で閉じられており、内部に光ディスクDsが挿入された状態のときに、誤って光ディスクが挿入されるのを抑制することができる。
【0034】
フラップホルダ32は、メインシャーシ1のリブ11のF側の角部の両方の上部に配置されるものであり、光ディスク装置AのF側から見て右側の右フラップホルダ32Rと、左側の左フラップホルダ32Lとを有している。フラップホルダ32の形状の詳細については後述する。
【0035】
カバーシャーシ4は金属板を折り曲げて形成された部材であり、メインシャーシ1の上部に配置され、ねじBtにて固定される。カバーシャーシ4には、光ディスクDsが挿入されたとき光ディスクDsのB側の先端部で押されるディスクストッパ41と、カバーシャーシ4に回動可能に取り付けられるとともに、ディスクストッパ41と連結されたディスクアーム42とが配置されている。
【0036】
また、カバーシャーシ4の四隅にはねじBtが貫通する貫通孔40が形成されている。貫通孔40はカバーシャーシ4をメインシャーシ1の上部に配置したとき、メインシャーシ1の雌ねじ穴15と重なる位置に形成されている。さらに、カバーシャーシ4には、ディスクストッパ41が摺動するときのガイドとなるガイド孔43が形成されている。
【0037】
メインシャーシ1には、ディスクアーム42と係合し、ディスクアーム42の回動にあわせてB側/F側に摺動するプッシュロッド17と、プッシュロッド17に押されるディスクスライダ18とを備えている。また、プッシュロッド17にはF側の先端にディスク判別ボス19が設けられている。
【0038】
ディスクストッパ41は光ディスクDsに押されることで、ガイド孔43に沿ってB側に摺動する。このとき、ディスクアーム42はディスクストッパ41の動きに合わせて回動する。ディスクアーム42の回動によって、プッシュロッド17がF側に押され、さらに、プッシュロッド17に押されるディスクスライダ18がF側に押される。このディスクスライダ18の移動によってスライダ16が駆動され、スライダ16の駆動によって昇降シャーシ2が昇降する。
【0039】
なお、プッシュロッド17は、F側の先端に設けられたディスク判別ボス19が光ディスクDsの外周部に押されているとき、回動するように形成されている。このとき、プッシュロッド17はディスクアーム42と係合しておらず、ディスクアーム42が回動しても、プッシュロッド17は移動しない。そして、光ディスクDsが所定の位置を越えると、ディスク判別ボス19は光ディスクDsのF側に回り込み、プッシュロッド17が元の位置にもどる。このとき、プッシュロッド17はディスクアーム42と係合し、ディスクアーム42の回動によって、F側に移動される。これにより、光ディスクDsの外形寸法を判別し、光ディスクDsの中心が適切な位置に移動したときに、昇降シャーシ2を上昇させることができる。
【0040】
また、カバーシャーシ4には、回動可能に支持されたクランパ44が備えられている。クランパ44は、昇降シャーシ2の上昇によってターンテーブル52に持ち上げられた光ディスクDsをターンテーブル52とで挟持する。これにより、光ディスクDsはターンテーブル52とクランパ44にて、他の部材と接触しないように支持されている。この状態でモータ51を駆動して光ディスクDsを回転させ、光ピックアップ6より光を照射して光ディスクDsに情報を記録したり、光ディスクDsに記録されている情報を再生したりすることができる。
【0041】
次に、本発明にかかる光ディスク装置の要部であるフラップホルダの詳細について図面を参照して説明する。図2は本発明にかかる光ディスク装置に用いられる左フラップホルダの平面図であり、図3は図2に示す左フラップホルダの側面図であり、図4は本発明にかかる光ディスク装置に用いられる右フラップホルダの平面図であり、図5は図4に示す右フラップホルダの側面図である。
【0042】
図2、図3に示すように、左フラップホルダ32Lは、天板部321Lと、天板部321Lの辺縁部より立設されメインシャーシ1のリブ11の角部と接触配置される補強リブ322Lと、補強リブ322Lに一体形成され、カバーシャーシ4をメインシャーシ1に固定するねじが貫通するねじ孔323Lと、天板部321Lに一体形成されカバーシャーシ4と接触配置される抜け止め部324Lと、フラップ31の回転軸311を回動可能に支持する軸支部325Lとを備えている。
【0043】
天板部321Lは、補強リブ322Lと反対側に立設された円柱形状の位置決めボス326Lを備えている。位置決めボス326Lは、天板部321Lの長手方向に並んで配置されている。天板部321Lは補強リブ322Lにて補強されており、変形しにくい。ねじ孔323Lは貫通するねじの外径よりも大きな内径を有する円筒状の貫通孔であり、補強リブ322Lより外側に突出して形成されたねじ止めリブに形成されている。
【0044】
軸支部325Lは、補強リブ322Lに形成されているものであり、補強リブ322Lより突出した突出部327Lを備えている。突出部327Lは、四方を囲むように配置された壁面を有する筒形状を有しており、フラップ31の回転軸311が挿入されるとともに回動可能に支持される。また、突出部327Lはフラップ31の長手方向の端部と接触し、フラップ31が回転軸311の軸方向に移動するのもを抑制する。
【0045】
また、左フラップホルダ32Lは天板部321Lに設けられ、天板部321Lの補強リブ322Lと反対側に突出した係止部33Lを備えている。係止部33Lは、U字状の形状を有しており、天板部321Lと一体形成された立設部331Lと、立設部331Lと平行に形成された係合部332Lと、立設部331Lと係合部332Lとを連結する連結部333Lと、係合部332Lの先端に形成された止め部334Lとを備えている。
【0046】
係止部33Lの立設部331L、係合部332L及び連結部333Lはそれぞれ弾性的に曲げ変形可能である。立設部331Lは断面長方形状であり、断面の長辺が抜け止め部324Lが延伸する方向と直交するように、すなわち、立設部331Lが抜け止め部324Lの延伸方向に曲がりやすくなるように形成されている。また、止め部334Lは係合部332Lの先端部に向かって厚みが増す楔形の形状を有している。
【0047】
一方、図4、図5に示すように、右フラップホルダ32Rは、天板部321Rと、天板部321Rの辺縁部より立設されメインシャーシ1のリブ11の角部と接触配置される補強リブ322Rと、補強リブ322Rに一体形成され、カバーシャーシ4をメインシャーシ1に固定するねじが貫通するねじ孔323Rと、天板部321Rに一体形成されカバーシャーシ4と接触配置される抜け止め部324Rと、フラップ31の回転軸311を回動可能に支持する軸支部325Rとを備えている。
【0048】
天板部321Rは、補強リブ322Rと反対側に立設された円柱形状の位置決めボス326Rを備えている。位置決めボス326Rは、天板部321Rの長手方向に並んで配置されている。天板部321Rは補強リブ322Rにて補強されており、変形しにくい。ねじ孔323Rは貫通するねじの外径よりも大きな内径を有する円筒状の貫通孔であり、補強リブ322Rより外側に突出して形成されたねじ止めリブに形成されている。
【0049】
軸支部325Rは、補強リブ322Rに形成されているものであり、補強リブ322Rより突出した突出部327Rと、補強リブ322Rに形成された貫通孔328Rとを備えている。フラップ31の回転軸311は貫通孔328Rを貫通するとともに、突出部327Rに支持される。突出部327Rは、フラップ31の長手方向の端部と接触し、フラップ31が回転軸311の軸方向に移動するのを抑制する。
【0050】
また、右フラップホルダ32Rは天板部321Rに設けられ、天板部321Rの補強リブ322Rと反対側に突出した係止部33Rを備えている。係止部33Rは、U字状の形状を有しており、天板部321Rと一体形成された立設部331Rと、立設部331Rと平行に形成された係合部332Rと、立設部331Rと係合部332Rとを連結する連結部333Rと、係合部332Rの先端に形成された止め部334Rとを備えている。
【0051】
係止部33Rの立設部331R、係合部332R及び連結部333Rはそれぞれ弾性的に曲げ変形可能である。立設部331Rは断面長方形状であり、断面の長辺が抜け止め部324Rが延伸する方向と直交するように、すなわち、立設部331Rが抜け止め部324Rの延伸方向に曲がりやすくなるように形成されている。また、止め部334Rは係合部332Rの先端部に向かって厚みが増す楔形の形状を有している。
【0052】
なお、図2、図3に示す左フラップホルダ32Lの天板部321Lと、図4、図5に示す右フラップホルダ32Rの天板部321R形状は異なっているが、カバーシャーシ4の形状及びフラップ31の形状によって異なるものであり、互いに鏡像の関係であってもよい。
【0053】
以下に、光ディスク装置の組み立て手順について詳しく説明する。光ディスク装置Aは、フラップ部3がカバーシャーシ4に仮固定された後、フラップ部3を保持したカバーシャーシ4を昇降シャーシ2が取り付けられているメインシャーシ1の上部に載置し、ねじ止めにて固定することで組み立てられる。
【0054】
左右フラップ部32(32L、32R)が仮設された状態のカバーシャーシ4について詳しく説明する。図6はフラップホルダが取り付けられたカバーシャーシの平面図であり、図7は図6に示すカバーシャーシの右側面から見た拡大図である。
【0055】
図6、図7に示すように、カバーシャーシ4のF側は、フラップ部3が係合することができるように、段差45が形成されている。また、段差45の左右両端部には、左フラップホルダ32L及び右フラップホルダ32Rのそれぞれが配置される。各フラップホルダ32L、32Rが配置される部分には、抜け止め部324L、324Rがそれぞれ係合される保持部451と、位置決めボス326L、326Rが貫通する位置決め孔452と、係止部33L、33Rが係合される係止孔453と、係止孔453の内側に突出するように形成された係止凸部454とを備えている。
【0056】
また、段差45には、左右二箇所にフラップ31を付勢するための弾性部材であるばね34が取り付けられるばね設置部46が形成されている。なお、本実施形態のカバーシャーシ4では、係止孔453とばね設置部46とは隣接して一体の孔として形成されているが、これに限定されるものではなく、別途形成されていてもよい。
【0057】
ばね34は中間部にコイル部340と、コイル部340の両端部に形成された第1直線部341と、第2直線部342とを備えている。ばね設置部46は貫通した孔であり、コイル部340を係合するコイル係合部461と、第1直線部341が係合されたばね係合部462とを備えている。また、ばね係合部462はばね34を仮設置するときに、第2直線部342も係合される凸部である。
【0058】
カバーシャーシ4にフラップホルダ32を取り付ける手順について図面を参照して説明する。図8は右フラップホルダをカバーシャーシに取り付けする前の状態を示す図であり、図9は右フラップホルダ及びカバーシャーシの取り付け完了直前の状態を示す図である。なお、ここでは、右フラップホルダ32Rを取り付ける手順について説明するが、右フラップホルダ32Rの取り付け手順も同様であり、右フラップホルダ32Rの取り付けの手順に関する詳細な記載は省略する。
【0059】
図8に示すように、カバーシャーシ4の保持部451に抜け止め部324Rを係合させつつ、天板部321Rがカバーシャーシ4の段差45の右端部と接触するように、右フラップホルダ32Rを抜け止め部324Rを中心に回転させる。これにより、位置決めボス326Rが位置決め孔452に向かって移動する。
【0060】
図9に示すように、位置決め孔452に位置決めボス326Rが挿入されるとき、係止部33Rの立設部331R、係合部332R及び連結部333Rは変形(弾性曲げ)しながら係止孔453に挿入される。すなわち、係止部33Rは連結部333R側から係止孔453に挿入され、止め部334Rが係止凸部454と接触するときに、止め部334Rの傾斜部が係止凸部454と接触して立設部331R、係合部332R及び連結部333Rが変形する。
【0061】
止め部334Rが係止孔453を通過し終えると、止め部334Rが係止凸部454から受けていた力が解放され、立設部331R、係合部332R及び連結部333Rは元の形状に戻る(図7参照)。このとき、止め部334Rの一部が係止凸部454と上下に重なるように移動する。これにより、右フラップホルダ32Rはカバーシャーシ4の段差の右端正規位置に仮止めされる。なお、右フラップホルダ32Rがカバーシャーシ4に取り付けられた状態において、止め部334Rの先端とカバーシャーシ4との間に隙間があり、右フラップホルダ32Rは遊びがある状態でカバーシャーシ4に取り付けられている(図7参照)。左フラップホルダ32Lも同様の手順で、遊びがある状態でカバーシャーシ4に取り付けられている。
【0062】
次に、左フラップホルダ32L及び右フラップホルダ32Rにフラップ31を取り付ける手順について図面を参照して説明する。図10(A)、(B)は左右フラップホルダが取り付けられた状態のカバーシャーシにフラップを取り付ける手順を示す図である。
【0063】
図10(A)に示すように、右フラップホルダ32Rは右側を中心に下方に回転される。右フラップホルダ32Rには係止部33Rの止め部334Rとカバーシャーシ4の隙間分の遊びがあり、さらに、係止部33Rが弾性変形することで、右フラップホルダ32Rは遊びによる変位量以上の回転が可能である。右フラップホルダ32Rを回転させた状態で、右フラップホルダ32Rの軸支部325Rに回転軸311のフラップ31の右端部より突出した部分を挿入する。回転軸311は右フラップホルダ32Rの補強リブ323Rに形成された貫通孔328Rに挿入される。
【0064】
右フラップホルダ32Rの軸支部325Rに回転軸311を挿入配置した後、左フラップホルダ32Lは、右ラップホルダ32Rと反対側、すなわち、左側を中心に下方に回動される。左フラップホルダ32Lも右フラップホルダ32Rと同様、係止部33Lとカバーシャーシ4との遊び、及び、係止部33Lの弾性変形によって回転される。左フラップホルダ32Lは回転させた状態で回転軸311のフラップ31の左端部より突出した部分が係合される。このとき、回転軸311は右フラップホルダ32Rの補強リブ323Rに形成された突出部327Lの下部に形成された切り欠き部329Lを通過し、突出部327Lで囲まれた部分に移動する。
【0065】
そして、左フラップホルダ32L及び右フラップホルダ32Rのそれぞれの天板部321L及び321Rがカバーシャーシ4に当接される。これにより、フラップ31は回転軸311の両端部が左右フラップ部32L、32Rそれぞれの軸支部325L、325Rに脱落しないよう回動自在に支持されて、カバーシャーシ4に取り付けられる(図10(B)参照)。なお、この状態では、フラップ部3はカバーシャーシ4に仮設されている状態である。
【0066】
左右フラップホルダ32L、32Rが仮設されたカバーシャーシ4はメインシャーシ1の上面に固定される。このとき、左右フラップホルダ32L、32Rはメインシャーシ1のリブ11のF側両角部と接触する。そして、ねじBtをカバーシャーシ4の貫通孔40及び左右フラップホルダ32L、32Rのねじ孔323L、323Rを貫通させるとともに、メインシャーシ1のねじ穴15に螺合させる。これにより、カバーシャーシ4がメインシャーシ1に固定されるとともに、フラップ部3はメインシャーシ1とカバーシャーシ4に挟持されて強固に固定される。左右フラップホルダ32L、32Rはメインシャーシ1のリブ11のF側の左右両角部と接触しており、カバーシャーシ4の段差45以外の部分はリブ11と接触して配置されている。
【0067】
そして、予めばね設置部46に仮設されていたばね34の第2直線部342を、ばね係合部462から外し、フラップ31の上部と当接させ、フラップ31を回転軸311中心に下方に押すように配置する。このように、左右フラップホルダ32L、32Rとカバーシャーシ4とをねじBtにてメインシャーシ1に共締めすることで、左右フラップホルダ32L、32Rはメインシャーシ1とカバーシャーシ4に挟まれて固定されるので、フラップ部3がぐらつくことはない。
【0068】
以上、示したように、左右フラップホルダ32L、32Rがカバーシャーシ4に取り付けられるときに、遊びがあるとともに、カバーシャーシ4に係合する部分が弾性変形可能に形成されていることで、フラップ31を容易に取り付けることができる。また、係止部33L、33Rの弾性変形による回転であるので、左右フラップホルダ32L、32Rは天板部321L、321Rがカバーシャーシ4と接触する位置に戻る。これにより、フラップ31を左右フラップホルダ32L、32Rから抜けるのを抑制するための、ねじ等の支持部材が不要であり、構成部材を減らすことが可能であるとともに、組み立てに要する手間と時間を低減することができる。
【0069】
また、回転軸311は軸支部325L、325Rに回動自在に支持されるので、ねじ止め或いは支持部材の取り付けによって、回転軸311の動作が制限されてしまい、フラップ31の動作が悪くなったり、逆にねじ止め或いは支持部材の取り付けが不十分で、フラップ31の動作が不安定になったりするのを抑制することができる。
【0070】
また、抜け止め部324L、324R及び係止部33L、33Rを用いて左右フラップホルダ32L、32Rをカバーシャーシ4に仮止めするので、従来仮止めに必要であったねじ及び(または)仮止め部材をなくすことが可能であり、構成部材を減らすことができる。これによって、左右フラップホルダ32L、32Rを取り付けるときの手間及び時間を減らすことが可能である。
【0071】
上記実施形態において、係止部33L、33Rが抜け止め部324L、324Rの延伸方向と同じ方向に弾性的に曲げられているが、それに限定されるものではなく、抜け止め部324L、324Rの延伸方向と係止部33L、33Rの曲げ方向とが同じ方向でなくてもよい。抜け止め部324L、324Rの延伸方向と係止部33L、33Rの曲げ方向とが同じ方向の場合、抜け止め部324L、324Rを保持部451に取り付けるべくフラップホルダ32L、32Rを傾けたときに、係止部33L、33Rを曲げることで容易に係止凸部454に係止させることができるので、着脱を容易に行うことが可能である。
【0072】
本発明にかかるフラップホルダの他の例を図面を参照して説明する。図11は本発明にかかる光ディスク装置に用いられる左フラップホルダの側面図である。なお、図11には、左フラップホルダのみを示すが右フラップホルダについても同様の形状を有するものである。図11に示す左フラップホルダは、係止部が異なる以外は図3に示す左フラップホルダと同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分には同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分に関しての説明は省略する。
【0073】
図11に示すように、左フラップホルダ32Lの係止部35Lは、天板部321Lより立設された立設部351Lと、立設部351Lの先端部に備えられた止め部352Lとを備えている。立設部351Lは抜け止め部324Lの延伸方向に曲げられるように配置された柱状の部材である。止め部352Lは、先端に向かって細くなる楔形状を有するものであり、最も根元側の部分が立設部351Lの外側に飛び出した形状を有している。
【0074】
左フラップホルダ32Lがカバーホルダ4に取り付けられているとき、係止部35Lとカバーシャーシ4との間には隙間が形成されており、左フラップホルダ32Lは遊びがある状態で、カバーシャーシ4に取り付けられる。取り付け手順については、上述しているとおりである。また、右側フラップホルダ32Rも同様に遊びがある状態で取り付けられる。
【0075】
図11に示す左フラップホルダ32Lのように係止部35Lの形状が簡単な形状なので、製造の手間、時間を省くことが可能である。また、係止部35Lが破損しにくい。
【0076】
図12は本発明にかかる光ディスク装置を用いたBD(ブルーレイ)レコーダの斜視図である。図12に示すように、BDレコーダRdは、筐体Ohの内部に光ディスク装置Aが配置されており、筐体Ohの正面に配置されたフロントパネルFpに形成された開口Opより光ディスクDsを直接光ディスク装置Aの内部に挿入するものである。
【0077】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、光ディスクに情報を記録または光ディスクから情報を再生する光ディスク装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
A 光ディスク装置
1 メインシャーシ
10 ボス
100 フローティングゴム
11 リブ
12 ねじ止めリブ
13 開口部
14 搬送ローラ
15 ねじ穴
16 スライダ
17 プッシュロッド
18 ディスクスライダ
19 ディスク判別ボス
2 昇降シャーシ
20 配置孔
21 取り付け孔
3 フラップ部
31 フラップ
311 回転軸
32L 左側フラップホルダ
32R 右側フラップホルダ
321L、321R 天板部
322L、322R 補強リブ
323L、323R ねじ孔
324L、324R 抜け止め部
325L、325R 軸支部
326L、326R 位置決めボス
327L、327R 突出部
328R 貫通孔
33L、33R 係止部
331L、331R 立設部
332L、332R 係合部
333L、333R 連結部
334L、334R 止め部
4 カバーシャーシ
40 貫通孔
41 ディスクストッパ
42 ディスクアーム
43 ガイド孔
44 クランパ
45 段差
451 保持部
452 位置決め孔
453 係止孔
46 ばね設置部
461 コイル係合部
462 ばね係合部
5 ディスク駆動部
51 モータ
52 ターンテーブル
Ds 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシャーシの上面を覆うカバーシャーシと、
光ディスクを前記メインシャーシに備えられた搬送ローラ側に押すフラップと、
前記カバーシャーシに取り付けられ前記フラップを回動可能に支持するフラップホルダとを備え、光ディスクが単体で搬送される光ディスク装置であって、
前記フラップホルダは前記カバーシャーシに形成された係止孔に係合される係止部を備えており、
前記係止部は前記フラップホルダより立設された立設部と、前記立設部と交差する方向に伸び前記係止部が前記係止孔から抜けるのを抑制する止め部とを備えており、
前記止め部は前記フラップホルダが前記カバーシャーシに取り付けられたとき、前記カバーシャーシとの間に隙間ができるように形成されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記フラップホルダは前記フラップの回動方向と同じ方向に回動することで前記カバーシャーシに取り付けられるものであり、
前記係止部は前記フラップの回動方向と平行な方向に曲がる形状を有している請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記立設部と平行に配置された係合部と、前記立設部の先端と前記係合部とを連結する連結部とを備えたU字形状を有しており、
前記止め部は前記係合部の先端に形成されている請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記係止部は、前記止め部が前記立設部の先端に配置されている請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記止め部は前記フラップホルダに近づくにしたがって広がる楔形状である請求項2から請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−198652(P2010−198652A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38983(P2009−38983)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】