説明

光ディスク装置

【課題】収差補正を行う光ディスク装置において、温度変化によって発生する収差変化を適正に補正する。
【解決手段】光ディスク装置は、温度変化による収差補正位置変化の割合を示す収差補正感度を有しており、温度センサによる温度検出値が収差補正機構位置付け時の温度に対しTh1以上変化したことを検出した際に温度変化量に応じて前記収差補正感度より算出される収差補正位置変化量を収差補正機構に設定して収差補正を行う。また光ディスク装置は、温度センサによる温度検出値が前回収差補正調整時の温度に対しTh2以上変化したことを検出した際に再度収差補正調整方法を実施して収差補正機構を適正な再位置付けする。そして温度閾値Th1とTh2の関係を、Th1<Th2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクに対し、記録あるいは再生を行う光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに記録あるいは再生する媒体として、近年ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)が開発されている。また、ブルーレイディスクに対して記録再生を行なう装置が、球面収差を補正する手段を備える旨開示した発明が出願されている。
【0003】
特許文献1には、その請求項1に、「記録面に記録された補正用データから得られる補正用再生信号の振幅が最大になるように球面収差を精補正する球面収差精補正工程とを含むことを特徴とする球面収差補正方法。」が記載されている。また、その段落番号0011に、「ビームの光径を調整するのに、BE(ビームエキスパンダ)または液晶パネルが用いられている。」ことが記載されている。また、その段落番号0074には、「システムマイコンによって得られたエラーレートと予め設定された基準値とを比較することで、RF信号の記録品質の品質を評価する。」と記載されている。
【0004】
引用文献2には、その背景技術の欄に、「単玉プラスチックレンズで高NAを実現しようとすると、温度変化によるビームスポットでの球面収差の発生が顕著となり、波面収差がゼロの状態から摂氏で20度程度の温度変化があっただけで、球面収差がマレシャル限界を超えてしまう。」との記載がある。また、引用文献2には、その課題の欄に、「温度センサを用いて温度変化を検知する温度を検知することが考えられるが、単純に温度センサを設置した場合には、検知した温度が、発生した球面収差量に対応していないことがあり得る。」との記載がある。また、引用文献2には、その請求項に「当該温度センサから出力された温度信号が示す温度に対応して、前記対物レンズが当該温度においてビームスポットに生じさせる球面収差を補正する位置へ前記コリメートレンズを移動させる様、前記コリメートレンズアクチュエータに制御信号を入力するコントローラ」を備える光ピックアップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−318590号公報
【特許文献2】特開2008−4169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6は、温度によって球面収差が変化する光ディスク装置100における温度と収差補正手段の最適収差補正位置を示した図である。図に示すように温度変化に応じて最適な収差補正位置が変化している。ここで温度変化に対応する最適収差補正位置変化の割合を収差補正感度とする。ディスクローディング時には、ディスクの信号品質を評価して最適な収差補正位置を調整するので、図7に示すようにディスクローディング時の温度T1での最適位置y1を求めることができる。
【0007】
次に、ディスクローディング後、光ディスク装置を動作させて温度が上昇したときの温度と最適収差補正位置を図8に示す。光ディスク装置を動作させると、アクチュエータ、レーザ、ドライバ、LSIなど電力を消費するデバイスから熱が発生し装置内部温度が上昇する。このためディスクローディング時の温度T1に対し、温度がT2に変化する。このときの最適収差補正位置は、図8によるとy2となる。しかし、実際には図9に示すように、温度センサの温度検出誤差(温度測定部と実際の対物レンズとの温度差を含む)ΔT2、収差補正感度ばらつきΔKがあるため、求められる最適収差補正位置にはΔy2のばらつきが生じ、適正な収差補正ができない。収差補正感度はレンズの特性より推測可能であるが、実際には部品ばらつき、組み立てばらつき等のばらつきが発生する。光ディスク装置生産時に温度を変化させて、装置毎の感度を測定し設定することも可能であるが、工数が増加し高コスト化の要因となる。
【0008】
特許文献2では温度検出誤差ΔT2を低減させるため、温度センサは対物レンズを保持するレンズホルダ上に配置して対物レンズの温度を直接検出するようにしている。これによりΔT2のばらつきを抑えることが可能になる。しかし、レンズホルダは可動部であり光ディスクの回転変動に追従して移動する必要があるが、レンズホルダに温度センサを配置すると可動部質量が大きくなるためより大きな駆動力が必要となる。可動部を駆動する駆動力はコイルと磁石から発生する磁力を用いているが、駆動力を増やすにはコイルに流す電流を大きくする必要があるため、消費電力が高くなり熱の発生も増加し光学部品の温度上昇を招く可能性がある。また収差補正感度のばらつきは本方法では解決できない。
【0009】
また、例えば、温度変化が検出される毎に、収差補正調整を再度行う方法が考えられる。これは光ディスクの信号品質が適正になるように収差補正手段を調整するので最適収差補正位置を求めるのに有効な方法であるが、収差補正手段の位置を変化させて信号品質の変化を求め、最適となる位置を検索する必要があるため処理に時間がかかる。この処理をディスクローディング時以外に行うと、データ転送速度の低下が発生し光ディスク装置としての性能が低下することになる。
【0010】
本発明は、温度変化が発生した場合でも収差補正の精度低下を抑制することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、例えば、特許請求の範囲に記載の発明によって解決される。また、要点を簡単に説明すると以下の通りである。
【0012】
本光ディスク装置は、光ディスクのロード処理を行なう場合に、光ディスクより得られた信号品質に基づいて収差補正位置を取得し、また、温度を取得する。
【0013】
その後、光ディスク装置は、前記温度センサにより検出された温度がTh1以上変化した場合に、温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係に基づいて収差補正を行う。また、光ディスク装置は、温度がTh2(Th1<Th2)以上変化した場合に、前記光ディスクから得られた信号品質に基づいて収差補正を行なう。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、温度変化が発生した場合でも収差補正の精度低下を抑制することができる光ディスク装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】光ディスク装置の構成図である。
【図2】ディスクローディング時の収差補正調整について説明した図である。
【図3】ディスクローディング後の温度変化検出時の収差補正処理について説明した図である。
【図4】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係および、温度変化Th1検出時の収差補正について説明した図である。
【図5】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係および、温度変化Th2検出時の収差補正について説明した図である。
【図6】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係について説明した図である。
【図7】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係および、ディスクローディング時の温度と収差補正位置について説明した図である。
【図8】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係および、ディスクローディング後の温度と最適収差補正位置について説明した図である。
【図9】光ディスク装置の温度と収差補正手段の最適収差補正位置の関係および、ディスクローディング後の温度と最適収差補正位置ばらつきについて説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例について以下、図1〜図5を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本実施例の示す光ディスク装置100の構成を示した図である。
【0018】
光ディスク装置100は、スピンドルモータ101、ドライバ回路103により、光ディスク102を回転した状態にする。光ピックアップユニット105に搭載されたレーザダイオード107からレーザ光を出射する。出射された光はビームスプリッタ111、収差補正機構114を経由し、対物レンズ104により、光ディスク102上のデータ記録面に集光される。そして、光ディスク102に集光された光はデータ記録面で反射される。その反射光は再度対物レンズ104、収差補正機構114、ビームスプリッタ111を通過した後、受光素子106に入り電気信号に変換される。
【0019】
また、光ピックアップユニット105には、温度センサ112が搭載されており光ピックアップユニット105近傍の温度を検出することができる。受光素子106から出力される電気信号は、信号処理回路108に入力される。
【0020】
信号処理回路108は、入力された信号を処理し、インターフェース109を通じて外部接続機器との通信を行ったり、ドライバ回路103にフィードバックし、スピンドルモータ101や光ピックアップユニット107の制御を行っている。また、信号処理回路108にはあらかじめ温度変化に対する収差補正感度が設定されており、収差補正機構114の制御も行っている。このように、信号処理回路108は、光ディスク装置100における制御回路としての機能を有する。
【0021】
また信号処理回路108は、例えばその内部に不揮発性メモリ113を備える。不揮発性メモリ113は、電源が切断された後でも必要な情報を保持することができる。なお、不揮発性メモリ113の他の記憶手段を備える構成でもよい。また、記憶手段は、信号処理回路108の外部に備えられてもよい。
【0022】
次に図2により、ディスクローディング時の収差補正調整処理について説明する。図2は、光ディスク装置100に光ディスク102を挿入した際の処理の流れを示したものである。
【0023】
光ディスク装置100は電源投入時あるいは、ディスク挿入時に光ディスク有を検出(処理2)するとディスクロード処理(処理3)に移行する。ディスクロード処理では、挿入された光ディスク102の特性に合わせた調整処理を実施する。これらの調整処理の一つとして収差補正調整(処理5)を実施する。収差補正調整とは、光ディスク102から得られるトラッキングエラー信号振幅や記録信号振幅や記録信号のジッタ、エラーレートといった指標を元に適正な収差補正位置を調整するものである。実際の信号をもとに調整しているため、調整時の温度に適した収差補正位置を得ることができる。なお、上述の処理においては、ディスクロード時に収差補正調整を行なう例について記載しているが、ユーザデータの記録再生を行なう前の一般的な初期調整の段階でもよい。
【0024】
また、収差補正調整のを行う場合には、温度センサ112により温度を取得する(処理4)。なお、この処理4を実行するタイミングは、収差補正調整を実行するタイミングに近いことが望ましい。例えば、このタイミングは、直前、または直後であることが望ましい。そして、調整時温度Tadj、収差補正位置づけ温度Tcalとし、温度センサ112で取得した温度Tを、温度初期値Tiniとして、Tadj、Tcalに格納する。(Tadj=Tcal=Tini)そして、ロード処理内のすべての処理が終了した後、記録再生Ready(処理6)状態に移行し、ディスクローディング処理は終了する。
【0025】
次に、光ディスク装置使用状態における、収差補正について図3を用いて説明する。
【0026】
なお、光ディスク装置使用状態とは、例えばディスクロード処理の後光ディスク装置100を使用している状態を示す。さらに具体的な例としては、例えばユーザデータの記録または再生を実行している状態の事を示す。
【0027】
まず温度センサ112により現在の温度Tを取得(処理12)する。温度Tと調整時温度Tadjとを比較(処理13)する。(処理13)において、温度変化の絶対値があらかじめ設定した閾値Th2より大きかった場合は、ディスクローディング時と同様の収差補正処理(処理14)を実施し、温度センサ112で取得した温度Tを、Tadj、Tcalに格納(処理15)して終了する。
【0028】
(処理14)では、光ディスク102からの信号品質から適正な収差補正位置を求めているため、得られた収差補正位置は調整時の温度において適正な値である。しかし調整処理を実施するため処理時間が一定時間必要になる。
【0029】
(処理13)において、温度変化がTh2以下であった場合はさらに温度Tと収差補正位置づけ温度Tcalとを比較する(処理16)。(処理16)において、温度変化の絶対値があらかじめ設定した閾値Th1より大きかった場合は、光ディスク装置100が有する収差補正感度より温度変化量に応じた収差補正を行う(処理17)。そして、温度センサ112で取得した温度Tを、Tcalに格納(処理18)して終了する。なお、(処理17)では、光ディスク102からの信号品質を確認せず、温度変化量と収差補正感度の情報によってのみ収差補正手段を移動している。このため、収差補正感度のばらつきや、温度取得誤差によって最適収差補正位置にばらつきが生じる。しかし、計算によって収差補正量を決めるので処理時間は非常に短くできる。
【0030】
また、図中の(処理15)、(処理18)によって、光ディスク装置100が収差補正を行なう基準となる温度は、初期温度Tiniから更新されることとなる。これにより、ディスクローディング時の初期温度からの温度変化だけでは無く、更新された基準温度からの変化に応じた収差補正を行なうことが可能となる。また、温度センサ112によって取得される温度以外にも、収差補正感度に影響を与える要因は存在し得るが、本図の処理により、直近に更新された基準値を用いることにより、それらの要因に対応することが可能となる。
【0031】
なお、収差補正感度はあらかじめ基準となる光ディスク装置100において、温度を変化させたときの収差補正位置を測定して求めて設定してもよいし、また対物レンズ104の温度特性から収差変動を計算して設定してもよい。なお、(処理17)は、例えば、信号処理回路108が、収差補正感度を取得することにより行なう。収差補正感度とは、温度変化に対応する最適収差補正位置変化の割合を示す情報である。また、収差補正感度は、温度変化に対応する最適収差補正位置変化の割合でなくとも、温度と最適収差補正位置との関係を示す情報であれば何でもよい。また、本図中における収差補正感度の初期値は、信号処理回路108が、光ディスク102より取得してもよい。また、この収差補正感度の初期値は、信号処理回路108が、光ディスク102より取得したディスクの識別情報に基づいて、対応する感度を不揮発メモリ113等の記憶手段より得られる情報としてもよい。
【0032】
本実施例の光ディスク装置100では、このように温度変化に対し閾値Th1とTh2を用いて2種類の処理を使い分けて実施し、Th1<Th2とすることで処理時間と収差補正精度の適正化を図っている。こうした処理は、特に、温度変化による特性変化が大きいプラスチック対物レンズを使用した光ディスク装置100において有効である。なお、本実施例において、Th1、Th2は、例えば、不揮発性メモリ113により保持されているものとする。
【0033】
次に本実施例の光ディスク装置100における温度と収差補正手段の位置について図4、図5を用いて説明する。
【0034】
図4は、ディスクローディング後、温度変化がTh1発生したときの温度と収差補正位置を示した図である。
【0035】
図中、T1は、例えば、ディスクローディング時の温度を示す。なお、この値は、図3中の(処理18)等により更新されうる値とする。また、図中、y1は温度T1時における最適な収差補正位置を示す。また、図中、T2は、光ディスク装置使用状態に、温度センサ112が取得した温度を示す。y2は、温度T2時における最適な収差補正位置を示す。
【0036】
また、図中、直線Kの傾きは温度センサ112が取り付けられた位置の温度と最適収差補正位置の関係を表す収差補正感度を示したものである。K‘の傾きは光ディスク装置100に設定された収差補正感度である。感度K’は基準装置のデータあるいは設計値から得られたものである。一方、直線Kの傾きは、実際の光ディスク装置100の収差補正感度を示す。ここで、K‘とKとは、部品ばらつき、組み立てばらつきなどにより差が生じている。このため、温度センサ112により検出した温度に対し、感度K‘で補正をした点P2’から収差補正位置y2’を求めても、真に最適な収差補正位置y2とはΔy2の誤差が生じる。しかし、Δy2は、温度変化による収差補正位置の差(y2-y1)よりも小さくできるため、温度補正を行ったほうが収差補正誤差は小さくできる。
【0037】
上記、収差補正感度から計算で算出した収差補正位置は、図4から明らかなように収差補正調整した温度からの温度変化が大きくなるに従い、誤差も増大する。このため、温度変化がある一定以上に達した場合は収差補正調整処理を再度行うことで誤差をなくすことが可能になる。
【0038】
この収差補正調整の再調整方法について図5を用いて説明する。
【0039】
図中、T3は、光ディスク装置使用状態に温度センサ112が取得した温度を示す。y3は、T3時に最適な収差補正位置を示す。
【0040】
前回収差補正調整を行った温度T1と現在温度T3の差が閾値Th2(Th1<Th2)となった場合においても、仮に収差補正感度K‘を使用して収差補正を行うと点P3’が求められる。しかし、P3‘は、収差補正誤差が大きい。ここで、信号処理回路108は、収差補正調整を再度実施するよう制御することで、適正な収差補正点P3が求めることができ、最適収差補正位置y3を得ることができる。収差補正調整は処理時間がかかるが、閾値Th2が大きいため実際に調整を行う頻度は少なく、データ転送時間に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0041】
このように、収差補正調整処理からの温度変化が小さく、収差補正感度からの計算による誤差も小さい間は計算によって収差補正を行い、温度変化が大きくなったときには収差補正調整を行って適正位置を求めることで、収差補正誤差の増加防止と処理時間の増加防止を行うことが可能になる。
なお、温度変化による再収差補正調整を行った際に、実際に取得した温度と収差補正位置から、その光ディスク装置100の収差補正感度を再計算して不揮発性メモリ113に記憶させておき、次回よりこの値を読み出して使用することで、光ディスク装置毎の収差補正感度ばらつきを低減することが可能になる。この再計算は、例えば、信号処理回路108がP1、P3の値を取得し、その他の値を補間することにより、収差補正感度を取得することにより実行する。補間の方法は、線形補間でも、非線形補間でも構わないものとする。また、信号処理回路108は、P1、P3以外にも、再収差補正調整で得られた値(例えば、P4、P5等)を不揮発性メモリ113に記憶させ、また、収差補正感度の更新等を行なう構成としてもよい。
【0042】
また、収差補正感度から計算によって収差補正を行う場合、光ディスク102のトラックに光スポットを追従させた状態(トラッキングサーボをかけた状態)で行うことで、さらに処理時間の短縮を図ることができる。収差補正機構114を動作させる際には、光スポットに変化が生じるため、トラッキングサーボを外した状態で収差補正機構114を動作させたほうが安全である。しかし、収差補正感度による計算で収差補正を行う際には、収差補正機構114の補正位置の変化量が少ないためトラッキングサーボをかけた状態でもサーボ外れが発生する可能性は少ない。またトラッキングサーボオフ、トラッキングサーボオン処理が不要になるため、処理時間を短くすることができる。
【0043】
以上述べた実施例の要点を纏めると以下の通りである。
【0044】
本実施例の光ディスク装置100は、光ピックアップユニットにレーザ、光学部品、温度センサ、収差補正機構を備える。そして、光ディスクから得られた信号品質より収差補正機構の適正な収差補正位置を検出する収差補正調整方法を有しており、ディスクローディング時のロード処理において収差補正調整方法により収差補正機構を適正な位置付けるとともに調整時の温度を温度センサにより取得する。
【0045】
光ディスク装置100は、温度変化による収差補正位置変化の割合を示す収差補正感度を有しており、温度センサによる温度検出値が収差補正機構位置付け時の温度に対しTh1以上変化したことを検出した際に温度変化量に応じて収差補正感度より算出される収差補正位置変化量を収差補正機構に設定して収差補正を行う。
【0046】
また光ディスク装置100は、温度センサによる温度検出値が前回収差補正調整時の温度に対しTh2以上変化したことを検出した際に再度収差補正調整方法を実施して収差補正機構を適正な再位置付けする。そして温度閾値Th1とTh2の関係を、Th1<Th2とする。
【0047】
また光ディスクの対物レンズにプラスチックレンズを用いた装置について前記処理を実施する。
【0048】
また、光ディスク装置100に不揮発性メモリを搭載し、収差補正調整を行った際の温度と調整位置から、収差補正感度を求めて不揮発性メモリに記録し、以降収差補正感度は不揮発性メモリに記録した値を用いる。
【0049】
また、収差補正感度に応じ収差補正機構を制御して収差補正を行う際、光ディスク上のトラックに光を追従させた状態で収差補正機構を適正位置に動作させる。
【0050】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることことが可能である。
【0051】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100…光ディスク装置
101…スピンドルモータ
102…光ディスク
103…ドライバ回路
104…対物レンズ
105…光ピックアップユニット
106…受光素子
107…レーザダイオード
108…信号処理回路
109…インターフェース
111…ビームスプリッタ
112…温度センサ
113…不揮発性メモリ
114…収差補正機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対して、情報の記録または再生を行なう光ディスク装置であって、
収差補正機構と、温度センサとを有する光ピックアップ部と、
温度センサにより取得される温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係を示す情報を取得し、前記光ピックアップ部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記光ディスクが搭載された場合に前記光ディスクから得られた信号品質に基づいて前記収差補正位置を取得し、該光ディスクが搭載された場合の温度である初期温度を前記温度センサにより取得し、
前記温度センサにより取得される温度が前記初期温度に対してTh以上変化した場合に、前記温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係に基づいて収差補正を行い、
前記温度センサにより取得される温度が前記初期温度に対しTh2(Th1<Th2)以上変化した場合に、再び前記光ディスクから得られた信号品質に基づいて収差補正を行なうよう制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光ピックアップ部が備える対物レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記信号品質に基づいて行なった収差補正よって得られた温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係を示す情報を前記記憶部が記憶し、以降の取得される温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係を示す情報は、前記記憶部が記憶した値を用いるよう制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスク装置であって、
前記記憶部は、不揮発性メモリであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記温度と前記収差補正機構の収差補正位置との関係を示す情報に基づいて収差補正を行う場合、前記光ディスク上のトラックに光を追従させた状態で収差補正機構を動作させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
光ピックアップユニットにレーザ、光学部品、温度センサが搭載されており、前記レーザから発した光を前記光学部品を経由して光ディスク上に合焦させて記録あるいは再生を行う光ディスク装置において、
前記光学部品には、前記光ディスク上に発生する収差を補正する収差補正機構を有し、
前記光ディスク装置は、光ディスクから得られた信号品質より前記収差補正機構の適正な収差補正位置を検出する収差補正調整方法を有しており、ディスクローディング時のロード処理において前記収差補正調整方法により前記収差補正機構を適正に位置付けるとともに調整時の温度を前記温度センサにより取得し、
前記光ディスク装置は、温度変化による収差補正位置変化の割合を示す収差補正感度を有しており、前記温度センサによる温度検出値が前回収差補正機構位置付け時の温度に対しTh1以上変化したことを検出した際に、温度変化量に応じて前記収差補正感度より算出される収差補正位置変化量を収差補正機構に設定して収差補正を行い、
また前記光ディスク装置は、前記温度センサによる温度検出値が前回収差補正調整時の温度に対しTh2以上変化したことを検出した際に再度収差補正調整方法を実施して前記収差補正機構を適正な位置に再位置付けし、
前記温度閾値Th1とTh2の関係を、Th1<Th2としたことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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