説明

光ディスク装置

【課題】簡単な構造を有し、縦置き横置きにかかわらず光ディスクの搬入/搬出動作を安定して行うことができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】カバーシャーシ4と、カバーシャーシ4に摺動可能に配置され、光ディスクDsの搬送に合わせて移動するディスクストッパ41とを備え、ディスクストッパ41の摺動面と接触し、ディスクストッパ41を支持する凸条45を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクに光を照射することで情報を記録/再生することができる光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−Ray Disc)等の光ディスクを記録媒体として用いる光ディスク装置では、光ピックアップより出射されたレーザ光を光ディスクの記録面に集光させて照射することでデータの記録を行い、及び(又は)前記記録面に照射され反射してきたレーザ光を検出して情報の再生を行っている。
【0003】
従来の光ディスク装置として、前記光ディスクをそのまま搬入するスロットインタイプのものがある。従来の光ディスク装置について図面を参照して説明する。図7は従来の光ディスク装置の概略図であり、図8は図7の光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの概略図である。図7に示すように、光ディスク装置は、メインシャーシ91と、メインシャーシ91に昇降自在に配置された昇降シャーシ92と、メインシャーシ91の上部にメインシャーシ91を覆うように設けられたカバーシャーシ93とを備えている。
【0004】
メインシャーシ91は、樹脂の一体成型体であり、平面視長方形状の函体である。メインシャーシ91には、光ディスクDsが搬入される開口が形成されている。メインシャーシ91内部の開口の近傍には光ディスクDsを搬送するための搬送ローラ911が備えられている。
【0005】
昇降シャーシ92は光ディスクの搬入方向の奥側をメインシャーシ91に旋回可能に支持されている。昇降シャーシ92は旋回することで搬入されている光ディスクに対して上昇又は下降する。昇降シャーシ92は光ディスクDsが所定の位置に搬入されてきたときに光ディスクDsに対して上昇し、光ディスクDsが搬出されるときに下降する。昇降シャーシ92には、光ディスクDsを記録面側から保持し、回転駆動するディスク駆動機構94と、光ディスクDsに記録または再生用の光を照射する光ピックアップ95とを備えている。
【0006】
カバーシャーシ93は樹脂の一体成型で形成されるものであり、メインシャーシ91の辺縁部より立設されたリブの上部に配置される。カバーシャーシ93には、ディスク駆動機構94で持ち上げられた光ディスクDsのラベル面側と当接するクランパ931が備えられている。カバーシャーシ93はメインシャーシ91の正面側の両角部及び背面側をねじで固定されている。
【0007】
カバーシャーシ93には搬入された光ディスクDsによって押されるまたは搬出される光ディスクDsを押すディスクストッパ96と、カバーシャーシ93に回動可能に支持されディスクストッパ96と連結されたディスクアーム97とが設けられている。カバーシャーシ93にはディスクストッパ96をガイドするガイド孔932が形成されている。
【0008】
ディスクアーム97はカバーシャーシ93に回動可能に支持されており、光ディスクDsが搬入されてきたときは、ディスクストッパ96の移動によって回動され、光ディスクが搬出されるときは、ディスクアーム97の回動によってディスクストッパ96を移動させ光ディスクDsを押す(たとえば、特開2007−58907号公報、特開2006−190407号公報等参照)。
【0009】
従来の光ディスク装置ではディスクストッパ96とカバーシャーシ93との間に隙間が形成されており、ディスクストッパ96が摺動するときのカバーシャーシ93との間に摩擦力が発生すのを抑えていた。近年、光ディスクDsを立てた状態で搬入することができる縦設置可能な光ディスク装置も出てきている。このような縦設置可能な光ディスク装置において、ディスクストッパ96とカバーシャーシ93との間に隙間があると、ディスクストッパ96が傾いたりずれたりしてしまい、ディスクストッパ96が光ディスクDs或いは光ディスク装置の他の部分と接触したり、動作が不安定になったりする不具合が発生する。
【0010】
そこで、縦型設置可能な光ディスク装置ではディスクストッパ96とカバーシャーシ93との間の隙間をなくし或いは非常に小さくしたものが用いられている。この光ディスク装置ではディスクストッパ96が停止中、摺動中にかかわらず広い面で接触するように形成されており、ディスクストッパ96の傾きは発生しにくい。さらに、ディスクストッパ96とカバーシャーシ93との摩擦力が大きくなるのを低減するために、ディスクストッパ96のカバーシャーシ93と接触する面より突出する摺動突起を備え、ディスクストッパ96の摺動時、摺動突起とカバーシャーシ93とが接触する光ディスク装置も出てきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−58907号公報
【特許文献2】特開2006−190407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ディスクストッパ96は光ディスクDsの搬入/搬出のときに、光ディスクDsと連動して移動するものであり、光ディスクDsの移動にあわせて、精度良く移動することが好ましい。ディスクストッパ96が精度良く移動するためには、ディスクストッパ96とカバーシャーシ93との摩擦力が少なく、しかも一定であることが好ましい。そのために、カバーシャーシ93のディスクストッパ96が接触する面を、平坦に形成する必要がある。
【0013】
しかしながら、カバーシャーシ93は樹脂の一体成型体であるとともに、ディスクストッパ96が摺動するときの接触面が大きく、接触面を平坦に形成するためには、高精度な加工装置及び高度な加工技術が必要であり、製造にかかる手間と、コストが高くなってしてしまう。
【0014】
そこで本発明は、簡単な構造を有し、縦置き横置きにかかわらず光ディスクの搬入/搬出動作を安定して行うことができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、メインシャーシの上面を覆うカバーシャーシと、前記カバーシャーシに摺動可能に配置され、光ディスクの搬送に合わせて移動するディスクストッパとを備え、前記光ディスクに光を照射して情報の記録または再生を行う光ディスク装置であって、前記カバーシャーシは前記ディスクストッパの摺動面と接触し、前記ディスクストッパを支持する凸条を備えている。
【0016】
この構成によると、前記ディスクストッパの摺動面が前記凸条と接触しているので、前記カバーシャーシの前記ディスクストッパの摺動面が接触する摺擦部(摺擦面)が前記凸条だけになる。そして、摺擦部の面積を小さくすることができ、それだけ、寸法精度(平面度)を高めるのが容易になる。
【0017】
これにより、簡単な構造を有するとともに、光ディスクの搬入/搬出を安定して行うことが可能である。
【0018】
上記構成において、前記凸条は少なくとも2個並んで形成された突出部であってもよい。この構成によると、2個の凸条が並んで形成されているので、凸条によって前記カバーシャーシが曲げに強い形状になる。これにより、前記摺擦部(摺擦面)の平面度が安定するので、光ディスクの搬入/搬出を安定して行うことが可能である。
【0019】
上記構成において、前記凸条として、前記ディスクストッパと接触する平面部を備えているもの、ディスクストッパと接触する部分の少なくとも一部が曲面であるもの、前記ディスクストッパと接触する部分の少なくとも一部がエッジ状に形成されているものを挙げることができる。
【0020】
上記構成において、前記凸条は前記カバーシャーシからの突出量が部分的に変化するように形成されていてもよい。この凸条の例として、少なくとも一方の端部の突出量が中間部の突出量に比べて大きいものを挙げることができる。
【0021】
前記凸条の突出量を変更することで、前記ディスクストッパが前記凸条より受ける摩擦力が変化する。たとえば、突出量が大きいところでは摩擦力が大きく、小さいところでは摩擦力が小さくなる。なお、光ディスク装置の場合、前記ディスクストッパは凸条の端部にあるとき待機状態であり、中間部にあるとき摺動状態であるので、端部の突出量が中間部の突出量より大きくなるように形成することで、前記ディスクストッパは静止した状態で待機し、摩擦の少ない状態で摺動することが可能である。これにより、光ディスクの搬入/搬出を安定して行うことが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、簡単な構造を有し、縦置き横置きにかかわらず光ディスクの搬入/搬出動作を安定して行うことができる光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置の概略配置図である。
【図2】図1に示す光ディスク装置に用いられているカバーシャーシの底面図である。
【図3】図2に示すカバーシャーシをIII−III線で切断した断面図である。
【図4】本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの他の例を図3と同じ線で切断した断面図である。
【図5】本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの底面図である。
【図6】図5に示すカバーシャーシをVI−VI線で切断した断面図である。
【図7】従来の光ディスク装置の概略図である。
【図8】図7の光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる光ディスク装置の概略配置図である。なお、図1に示すように、光ディスクの搬入方向を前後方向とし、光ディスク装置の光ディスクが搬入される方向を背面方向(B方向)あるいは背面側(B側)とし、光ディスクが搬出される方向を正面方向(F方向)あるいは正面側(F側)とする。以下、特に記述しない限り、この表現を用いる。
【0025】
図1に示すように、光ディスク装置Aは、メインシャーシ1と、メインシャーシ1に昇降可能に取り付けられた昇降シャーシ2と、メインシャーシ1の前側に配置され、光ディスクDsをメインシャーシ1側に押すフラップ部3と、メインシャーシ1及びフラップ部3の上部に取り付けられたカバーシャーシ4とを備えている。
【0026】
メインシャーシ1は辺縁部に形成されたリブ11と、リブ11のメインシャーシの角部にリブ11と一体形成されたねじ止め用のねじ止めリブ12と、前側Fに形成され光ディスクDsを入出させる開口部13と、開口部13の内部側に配置され、光ディスクDsを搬送する搬送ローラ14とを備えている。
【0027】
また、ねじ止めリブ12にはカバーシャーシ4をねじ止めするねじBtが螺合される雌ねじ穴15が形成されている。光ディスク装置Aにおいて、ねじ止めリブ12はF側に2個、B側に2個形成されているが、それに限定されるものではなく、カバーシャーシ4を確実に固定することができる個数及び場所のものを広く採用することができる。少なくとも、F側に2個以上、B側に1個以上備えられていることが好ましい。
【0028】
昇降シャーシ2は平面視長方形状の部材であり、長手方向一方の端部(B側の端部)に取り付け孔21が形成されている。この取り付け孔21をメインシャーシ1に形成されているボス10が貫通される。昇降シャーシ2の取り付け孔21とボス10との間は隙間が形成されている。ボス10と取り付け孔21との間にはフローティングゴム(ダンパー)100が配置されている。
【0029】
昇降シャーシ2は取り付け孔21を中心に旋回し、昇降シャーシ2の長手方向他方の端部(F側の端部)が光ディスクに対して昇降する。昇降シャーシ2はF側の端部より突出したボス22を備えており、ボス22がメインシャーシ1に備えられているスライダ16のカム溝(不図示)に摺動可能に挿入されている。
【0030】
スライダ16は光ディスクDsの移動方向と直交する方向に摺動可能にメインシャーシ1に取り付けられている。スライダ16はB側/F側に摺動するプッシュロッド17と、プッシュロッド17に押されるディスクスライダ18との移動と連動して摺動する部材である。スライダ16が移動することでボス22がカム溝に押され、昇降シャーシ2のF側が昇降する。
【0031】
昇降シャーシ2にはディスク駆動部5が配置されている。ディスク駆動部5は駆動力が出力されるモータ51と、モータ51の出力軸に固定されたターンテーブル52とを備えている。ディスク駆動部5は昇降シャーシ2のF側に取り付けられており、昇降シャーシ2の昇降にあわせて、光ディスクDsに対して接近離反する。すなわち、昇降シャーシ2が上昇するとき、ターンテーブル52は光ディスクDsを押し上げ、光ディスクDsが回転するときに他の部材と接触するのを抑制する。また、昇降シャーシ2が下降するとき、ターンテーブル52は光ディスクDsの搬送の邪魔にならない位置まで下方に移動する。
【0032】
昇降シャーシ2には、光ディスクDsに情報の再生/記録のための光を照射させる光ピックアップ6も備えられている。光ピックアップ6は昇降シャーシ2に形成された配置孔20に配置されており、ディスク駆動部5に対して接近/離反するように直線移動する。このように移動することで、光ピックアップ6から照射される光の光ディスクDs上での照射部は光ディスクDsの径方向に移動する。
【0033】
フラップ部3は、光ディスクDsを搬送ローラ14と接触するように導くフラップ31と、フラップ31を回転可能に支持するフラップホルダ32とを備えている。フラップ31は、矩形の板状の部材であり、長辺の一方の近傍に長手方向に伸びる回転軸311が形成されている。回転軸311はフラップ31の長手方向両端面より突出しており、フラップホルダ32に回動自在に支持されている。フラップホルダ32は、メインシャーシ1のリブ11のF側の角部の両方の上部に配置されるものである。
【0034】
カバーシャーシ4は金属板を折り曲げて形成された部材であり、カバーシャーシ4の四隅にはねじBtが貫通する貫通孔40が形成され、メインシャーシ1の上部にねじBtにて固定される。カバーシャーシ4には、光ディスクDsが搬入されたとき光ディスクDsのB側の先端部で押されるディスクストッパ41と、ディスクストッパ41と連結され、カバーシャーシ4に回動自在に支持されたディスクアーム42と、回動可能に支持されたクランパ44とが備えられている。また、カバーシャーシ4には、ディスクストッパ41が摺動するときのガイドとなるガイド孔43と、ガイド孔43を挟むように形成された凸条45とが形成されている。ディスクストッパ41は凸条45と接触配置されている。
【0035】
ディスクストッパ41は光ディスクDsに押されることで、ガイド孔43に沿ってB側に摺動する。このとき、ディスクアーム42はディスクストッパ41の動きに合わせて回動する。ディスクアーム42の回動によって、プッシュロッド17がF側に押され、さらに、プッシュロッド17に押されるディスクスライダ18がF側に押される。このディスクスライダ18の移動によってスライダ16が駆動され、スライダ16の駆動によって昇降シャーシ2が昇降する。
【0036】
なお、プッシュロッド17は、F側の先端に設けられたディスク判別ボス19が光ディスクDsの外周部に押されているとき、回動する。このとき、プッシュロッド17はディスクアーム42と係合しておらず、ディスクアーム42が回動しても、プッシュロッド17は移動しない。そして、光ディスクDsが所定の位置を越えると、ディスク判別ボス19は光ディスクDsのF側に回り込み、プッシュロッド17は元の位置にもどる。このとき、プッシュロッド17はディスクアーム42と係合され、ディスクアーム42の回動と連動してF側に移動し、スライダ16を摺動させ昇降シャーシ2を上昇させる。
【0037】
搬送量の異なる(半径の異なる)光ディスクが搬入される場合でも、その光ディスクの中心が所定の位置に達したときに、昇降シャーシ2の昇降を開始させることができる。これにより、異なる半径の光ディスクが搬入される場合でも、ターンテーブル52がその中心を正確に持ち上げることが可能となっている。
【0038】
光ディスクDsはターンテーブル52に持ち上げられたとき、ターンテーブル52の反対側をクランパ44で保持される。これにより、光ディスクDsはターンテーブル52とクランパ44に支持され、他の構成部材とは接触しない。この状態でモータ51を駆動し、光ピックアップ6より光を照射して、光ディスクDsに情報を記録したり、光ディスクDsに記録されている情報を再生したりすることができる。
【0039】
本発明にかかる光ディスク装置の要部であるカバーシャーシ及びディスクストッパについて図面を参照して詳細に説明する。図2は図1に示す光ディスク装置に用いられているカバーシャーシの底面図であり、図3は図2に示すカバーシャーシをIII−III線で切断した断面図である。
【0040】
図2、図3に示すように、カバーシャーシ4は、ガイド孔43と平行で、なおかつ、ガイド孔43を挟むように形成された一対の凸条45を備えている。凸条45はカバーシャーシ4をメインシャーシ1と反対側からの押し出し成型(ハーフパンチ成型)することで形成される。凸条45は上部に平面部451を備えており、一対の凸条45のそれぞれに形成されている平面部451は平坦な1つの平面の一部をなすように形成されている。
【0041】
ディスクストッパ41の上部に形成された摺動ボス410がカバーシャーシ4に形成された摺動孔43を貫通している。摺動ボス410の摺動孔43より突出した部分には、摺動ボス410が摺動孔43から抜けるのを抑制するための抜け止めリング411が取り付けられており、抜け止めリング411で抜け止めされることで、ディスクストッパ41の上部の摺動面412が凸条45の平面部451と接触している。ディスクストッパ41は光ディスクDsの動きに合わせて、ガイド孔43にガイドされて移動するものであり、摺動面412は停止中、移動中にかかわらず凸条45の平面部451と接触している。
【0042】
以上の構成とすることで、ディスクストッパ41が常に凸条45に接触支持されるので、ディスクストッパ41が光ディスクDsに対して傾いてしまったり、ずれたりするのを抑制することが可能である。これにより、光ディスク装置Aを立てて用いる場合であっても、光ディスクDsの搬入/搬出を円滑に行うことが可能である。
【0043】
カバーシャーシ4はディスク搬送方向である長手方向に伸びる凸条45が形成されていることで、長手方向に曲げる力に対する強度をあげることができる。これにより、カバーシャーシ4全体を薄肉化しても従来のものと同等の強度を得ることができ、それだけ、軽量化することができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、カバーシャーシに凸条を形成する方法として、押し出し成型を採用しているが、凸条を一定の精度で成型できる成型方法を広く採用することができる。また、金属板を折り曲げて作製されているカバーシャーシ4を例に説明しているが、それに限定されるものではなく、樹脂の一体成型で作製されるカバーシャーシにおいて、凸条を備えるようにしてもよい。樹脂の一体成型で作製されるカバーシャーシであっても、凸条を備えることで、強度を上げることができる。また、摺動面が凸状に形成された平面部であるので、従来のカバーシャーシに比べて摺動面を小さくすることができ、それだけ、摺動面を平坦にしやすい。
【0045】
次に、本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの他の例について図面を参照して説明する。図4は本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの他の例を図3と同じ線で切断した断面図である。図4に示すカバーシャーシ4bは凸条45bが異なる以外は、カバーシャーシ4と同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分には同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0046】
図4に示すように、カバーシャーシ4bの平面部には、ガイド溝43と平行且つガイド溝43を挟んで形成された一対の凸条45bが形成されている。一対の凸条45bはカバーシャーシ4bの平板部より張り出した半円筒形状を有しており、凸条45bのそれぞれは同じ突出量(カバーシャーシ4bの平面部から最も離れた部分までの高さが同じ)である。
【0047】
図4に示すカバーシャーシ4bを用いると、凸条45bとディスクストッパ41の摺動面412との接触部が面ではなく、線となるので摩擦力を低減することが可能である。また、一対の凸条45bのディスクストッパ41が摺動する部分を小さくすることで、摺動部分のディスクストッパ41との隙間の調整が容易であり、それだけ、製造にかかる手間とコストを削減することができる。
【0048】
なお、本実施形態において、半円筒形状の凸条45bを例に説明しているがそれに限定するものではなく、適当な中心角度を有する扇状の断面形状を有するもの、三角形断面のもの、断面形状が楕円を切断した形状のもの等摺動部分が線状或いは略線状であるものを広く採用することが可能である。
【0049】
本発明にかかる光ディスクに用いられるカバーシャーシのさらに他の例について図面を参照して説明する。図5は本発明にかかる光ディスク装置に用いられるカバーシャーシの底面図であり、図6は図5に示すカバーシャーシをVI−VI線で切断した断面図である。図
5、6に示すカバーシャーシ4cは、凸条45cが異なる以外は、図2等に示すカバーシャーシ4と同じ構成を有するものであり、実質上同じ部分には同じ符号が付してある。また、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0050】
図5、図6に示すように、凸条45cはF側及びB側に形成された端部452cと、端部452cに挟まれた中間部453cとを備えている。端部452cは中間部453cよりも、突出量が多い。なお、中間部453cの突出量は平面部451cとディスクストッパ41の摺動面412とが接触する大きさであり、端部452cの突出量は平面部451cがディスクストッパ41の摺動面412に押圧される大きさである。凸条45cの平面部451cは端部452cに配置される部分と中間部453cに配置される部分とが滑らかに接続されるように形成されている。
【0051】
ディスクストッパ41は凸条45cの平面部451cと接触した状態で移動するので、ディスクストッパ41の摺動面412が平面部451cから受ける力が異なる。すなわち、ディスクストッパ41の摺動面412は平面部からの突出量が大きい端部452cに配置されているときに、突出量が小さい中間部453cに配置されているときに比べて平面部451cから大きな力で押されており、大きな摩擦力が作用する。
【0052】
光ディスクDsが搬入されていない状態(ディスクストッパ41はF側で待機している状態)のとき、ディスクストッパ41は平板部451cから大きな摩擦力を受けており、ぐらついたり、傾いたり等を抑制することが可能である。これにより、ディスクストッパ41が光ディスクDsに押されるときのがたや傾きによって、光ディスク装置Aの動作が不安定になるのを抑制することが可能である。
【0053】
同様に、光ディスクDsが駆動されている状態(ディスクストッパ41はB側で待機している状態)のときも、ディスクストッパ41は平板部451cから大きな摩擦力を受けており、ぐらついたり、傾いたり等の移動が抑えられる。このことによると、光ディスクDsの駆動中にディスクストッパ41が光ディスクDsと接触する不具合の発生を抑制することができる。また、ディスクストッパ41がぐらついたり、傾いたり等しにくいので、光ディスクDsの搬出準備が整う前に光ディスクDsがディスクストッパ41と接触したり、ディスクストッパ41に押されたりして、光ディスクDsが傷ついたり、破損したりする不具合を抑制することができる。
【0054】
そして、光ディスク装置Aが光ディスクDsの搬入/搬出動作を行っている場合、ディスクストッパ41は平面部451cの中間部453cを摺動するので、小さな摩擦力で摺動することが可能である。これにより、光ディスクDsの搬入/搬出時の、ディスクストッパ41と凸条45cとの摩擦抵抗による駆動力のロスを低減することができる。
【0055】
上記実施形態において、ディスクストッパ41の摺動面412と平板部451cの中間部453cに形成されている部分とが接触する凸条45cを例に説明しているが、それに限定されるものではなく、ディスクストッパ41が中間部453cにあるとき、摺動面412と平板部451cとにわずかに隙間が形成されており、端部452cにあるとき、摺動面412が平板部451cと接触し、摺動面412に摩擦力が作用するように形成されているものであってもよい。
【0056】
上記実施形態において、凸条45cのF側及びB側の両端部の突出量が、中間部に対して大きくなるように形成されているが、それに限定されるものではなく、どちらか一方の端部のみ、或いは、中間部のみ突出量が大きくなるようにしてもよい。凸条の突出量が他の部分よりも大きくなる部分として、ディスクストッパ41が移動するときに、所定の摩擦力を作用させたい部分を広く採用することができる。
【0057】
また、上記実施形態において、平面部451cを有する凸条45cを備えたカバーシャーシ4cを例に説明しているが、それに限定されるものではなく、凸条45bに示すような、接触部の形状が線状となる凸条を有し、突出量が端部と中間部で異なるものとしてもよい。
【0058】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、光ディスクに情報を記録または光ディスクから情報を再生する光ディスク装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
A 光ディスク装置
1 メインシャーシ
10 ボス
100 フローティングゴム
11 リブ
12 ねじ止めリブ
13 開口部
14 搬送ローラ
15 ねじ穴
16 スライダ
17 プッシュロッド
18 ディスクスライダ
19 ディスク判別ボス
2 昇降シャーシ
20 配置孔
21 取り付け孔
3 フラップ部
31 フラップ
311 回転軸
32 フラップホルダ
4 カバーシャーシ
40 貫通孔
41 ディスクストッパ
411 抜け止めリング
412 摺動面
42 ディスクアーム
43 ガイド孔
44 クランパ
45 凸条
451 平面部
5 ディスク駆動部
51 モータ
52 ターンテーブル
Ds 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシャーシの上面を覆うカバーシャーシと、
前記カバーシャーシに摺動可能に配置され、光ディスクの搬送に合わせて移動するディスクストッパとを備え、前記光ディスクに光を照射して情報の記録または再生を行う光ディスク装置であって、
前記カバーシャーシは前記ディスクストッパの摺動面と接触し、前記ディスクストッパを支持する凸条を備えていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記凸条は少なくとも2個並んで形成された突出部である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記凸条は前記ディスクストッパと接触する平面部を備えている請求項1または請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記凸条は前記ディスクストッパと接触する部分の少なくとも一部が曲面である請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記凸条は前記ディスクストッパと接触する部分の少なくとも一部がエッジ状に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記凸条は前記カバーシャーシからの突出量が部分的に変化するように形成されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記凸条は少なくとも一方の端部の突出量が中間部の突出量に比べて大きい請求項6に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−225217(P2010−225217A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69645(P2009−69645)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】