説明

光ディスク装置

【課題】前記ディスクトレイが外部に突出したときの傾きを抑え、前記ディスクトレイの移動時の急激な姿勢変化を抑えることができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスクトレイ2と、正面壁部13にディスクトレイ2が出入りする開口130を具備するメインシャーシ1と、ディスクトレイ2のガイドレール22の下面を支持する複数個の受け部151、151fと、ガイドレール22の浮き上がりを押える複数個の押え部16(17)とを有し、複数個の受け部151、151fはディスクトレイ2がメインシャーシ1に収納されているとき、収納手前側が上方に傾くように配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体である光ディスクメディアを搬入/搬出するためのディスクトレイを備えた光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクメディアの記録面に光を照射し、情報の記録又は情報の再生を行う光ディスク装置が広く用いられている。光ディスク装置は、筐体として利用されるシャーシと、前記シャーシに形成されている開口から入出自在となるように前記シャーシに配置されたディスクトレイとを備えている。
【0003】
前記ディスクトレイが前記シャーシの外部に突出しているとき、出ている前記光ディスクメディアを載置し、前記ディスクトレイを前記シャーシの内部に移動させることで、前記光ディスクメディアが記録/再生位置に搬入される。また、記録/再生が終了した時点で前記光ディスクメディアを前記ディスクトレイ上に載置し、前記ディスクトレイを外部に移動させることで、光ディスクメディアが外部の着脱位置に搬出される。
【0004】
前記ディスクトレイは両側部に摺動方向に延びるレールを備えている。そして、前記シャーシは、前記レールの下面を支持する受け部と、前記レールの上面を押える押え部とを備えている。前記ディスクトレイは前記レールが前記受け部に支持されて摺動する。そして、前記押え部が前記レールの上面を押えることで前記ディスクトレイが浮き上がるのを抑制している。
【0005】
前記ディスクトレイを円滑に摺動させるため、前記押え部と前記レールの上面との間には隙間が形成されている。前記ディスクトレイが前記開口から突出されているとき、前記ディスクトレイの重心は前記開口の外部に移動しており、前記ディスクトレイには自重によって前記開口より突出している先端側に、該先端側が下方に傾く方向の力が作用する。前記押え部と前記レールとの間に隙間が形成されていることで、外部に突出した前記ディスクトレイの先端は前記レールの上面が前記押え部と当接するまで下方に傾く。
【0006】
前記ディスクトレイが前記シャーシに引き込まれるとき、前記ディスクトレイの重心が前記開口を通過するとき、傾いていた前記ディスクトレイが急激に元の角度に戻ることが確認されている。このような、前記ディスクトレイの急激な姿勢の変化は光ディスク装置の品位を著しく低下させる原因となっていた。
【0007】
そこで、特開2007−200507号公報に記載されているディスク装置は、トレイに形成されている案内レールの上面と当接するガイドリブと傾動緩和リブとを備えることで、急激な姿勢の変化を抑制している。このガイドリブ及び傾動緩和リブは、下面がトレイの挿入方向に向かって次第に低くなる傾斜面で形成されている。前記トレイが外部から内部に移動するとき、案内レールの後端部が傾斜面によって円滑に案内され、前記トレイの急激な姿勢の変化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−200507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2007−200507号公報に記載のディスク装置では、前記ディスクトレイが移動するときの急激な傾動を抑制することはできるが、前記ディスクトレイが外部に突出しているときの該ディスクトレイ先端部の下方への傾きを緩和することは困難である。
【0010】
また、前記光ディスクメディアが載置されていない場合、12cmの光ディスクメディアが載置されている場合、8cmの光ディスクメディアが載置されている場合、それぞれ、前記ディスクトレイの重心は異なる。前記ディスクトレイの重心が異なると、前記ディスクトレイが急激に傾動する位置が異なる。特開2007−200507号公報に記載されている傾動緩和リブでは、異なる大きさのディスクが載置されたとき、或いは、光ディスクメディアが載置されていないときで前記ディスクトレイの急激な傾動を抑制するのが困難な場合がある。
【0011】
そこで本発明は、ディスクトレイを用いて光ディスクメディアを搬入/搬出する光ディスク装置であって、前記ディスクトレイが外部に突出したときの傾きを抑え、前記ディスクトレイの移動時の急激な姿勢変化を抑えることができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、光ディスクメディアを載置するディスクトレイと、上部が開いた函形状を有し、正面壁部に前記ディスクトレイが出入りする開口を具備するメインシャーシと、前記メインシャーシに形成され、前記ディスクトレイの側部に形成されたガイドレールの下面を支持する複数個の受け部と、前記メインシャーシに形成され、前記ガイドレールの浮き上がりを押える複数個の押え部とを有する光ディスク装置であって、前記複数個の受け部は前記ディスクトレイが前記メインシャーシに収納されているとき、収納手前側が上方に傾くように配列されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、前記ディスクトレイの突出している部分に自重による力が作用した場合、前記正面側の受け部が高くなるように受け部が形成されているので、前記ディスクトレイの正面側の下方に傾斜する傾斜量を低減することができる。
【0014】
前記ディスクトレイが前記メインシャーシに対して出入りするときに、前記ディスクトレイの傾きが大きく変化するのを抑制することが可能である。これにより、自重による姿勢の急激な変化を小さくすることができ、前記ディスクトレイの移動を円滑にすることができる。
【0015】
上記構成において、前記押え部のひとつは他の押え部よりも摺動方向に長く形成された長押え部であり、前記長押え部の下面は手前側に形成され下方に向かって傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の奥側と連結し、前記受け部の上部を結んだ面と平行となるように形成された平行部とを備えていてもよい。
【0016】
前記ガイドレールの奥側の端部が前記傾斜部に、前記受け部の上に載るように誘導され、前記ガイドレールに作用している自重による力の向きが変化するときには、前記平行部と接触させることができるので、急激な姿勢の変化を抑えることができる。これにより、自重による姿勢の急激な変化を小さくすることができ、前記ディスクトレイの移動を円滑にすることができる。
【0017】
上記構成において、前記長押え部は、光ディスクメディアを載置していない前記ディスクトレイの重心の摺動方向に対する位置と、最も開口側の受け部とが重なったとき、前記平行部が前記ガイドレールの奥側の端部と対向するように形成されていてもよい。
【0018】
この構成によると、前記ディスクトレイが移動するとき、前記ディスクトレイに載置されているか否か、及び、載置されている光ディスクメディアの大きさにかかわらず、前記ガイドレールの奥側の端部が前記傾斜部に誘導される。これにより、光ディスクメディアの大きさにかかわらず、急激な姿勢の変化を抑制することが可能である。これにより、自重による姿勢の急激な変化を小さくすることができ、前記ディスクトレイの移動を円滑にすることができる。
【0019】
上記構成において、前記長押え部は、載置可能な最大径の光ディスクメディアを載置した前記ディスクトレイの重心の摺動方向に対する位置と、最も開口側の受け部とが重なったとき、前記平行部が前記ガイドレールの奥側の端部と対向するように形成されていてもよい。なお、前記傾斜部と前記平行部との境界部分は曲面形状で形成されていてもよい。
【0020】
この構成によると、前記ディスクトレイは光ディスクメディアが載置されているか否か、及び、載置されている光ディスクの大きさにかかわらず、その重心が最も開口側の受け部と重なったときに前記ガイドレールの奥側が前記平行部と接触する。これにより、自重による姿勢の急激な変化を小さくすることができ、前記ディスクトレイの移動を円滑にすることができる。
【0021】
上記構成において、前記メインシャーシは底面部の前記ディスクトレイの摺動方向に対して両側部に段差部が形成されており、前記受け部は前記段差部の上面より突出した凸形状であってもよい。
【0022】
上記構成において、前記メインシャーシは底面部の前記ディスクトレイの摺動方向に対して両側部に側壁部を備えており、前記押え部は前記側壁部より前記メインシャーシの内部に突出して形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、ディスクトレイを用いて光ディスクメディアを搬入/搬出する光ディスク装置であって、前記ディスクトレイが外部に突出したときの傾きを抑え、前記ディスクトレイの移動時の急激な姿勢変化を抑えることができる光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイが突出された状態の平面図である。
【図2】図1に示す光ディスクのディスクトレイが内部に移動したときの平面図である。
【図3】インシャーシの平面図である。
【図4】ディスクトレイが最も外部に突出した状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図である。
【図5】ディスクトレイの正面側の端部が開口から突出した状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図である。
【図6】ディスクトレイがメインシャーシ内部に配置されている状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図である。
【図7】トラバースシャーシが昇降するときの光ディスクメディアとターンテーブルの相対位置を示す図である。
【図8】本発明にかかる光ディスク装置の長押え部を拡大した図である。
【図9】本発明にかかる光ディスク装置を用いたDVDレコーダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる光ディスク装置のディスクトレイが突出された状態の平面図であり、図2は図1に示す光ディスクのディスクトレイが内部に移動したときの平面図であり、図3はメインシャーシの平面図であり、図4はディスクトレイが最も外部に突出した状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図であり、図5はディスクトレイの正面側の端部が開口から突出した状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図であり、図6はディスクトレイがメインシャーシ内部に配置されている状態のディスクトレイのメインシャーシに対する位置を示す図である。なお、図4〜図6に示す図では、ディスクトレイに光ディスクメディアが載置されていない状態のものである。
【0026】
図1、図2に示すように、光ディスク装置はメインシャーシ1と、メインシャーシ1に摺動可能に取り付けられ光ディスクを搬送するディスクトレイ2と、メインシャーシ1に旋回可能に支持され、旋回することで搬入されたディスクトレイ2に対して接近離反(昇降)するトラバースシャーシ3と、トラバースシャーシ3に取り付けられ光ディスクを保持するとともに回転駆動するディスク駆動部4と、トラバースシャーシ3に取り付けられ光ディスクに記録/再生用のレーザ光を照射する光ピックアップ5とを備えている。
【0027】
なお、以下の説明において、ディスクトレイ2が突出する方向を正面側(図中Fで示す)、ディスクトレイ2が進入する方向を背面側(図中Bで示す)として説明する(図1参照)。
【0028】
メインシャーシ1は、長方形状の底面部11と、底面部11の両側端部に立設された側壁部12と、底面部11の正面側端部に立設された正面壁部13と、背面側端部に立設された背面壁部14とを備えた有底函体である。メインシャーシ1において、底面部1、側壁部12、正面壁部13及び背面壁部14は樹脂の一体成型体である。また、図示を省略しているが、メインシャーシ1の上部にはカバーシャーシが取り付けられるようになっており、カバーシャーシが取り付けられることで、メインシャーシは密閉される。
【0029】
メインシャーシ1の底面部11の両側部には段差部15が形成されている。段差部15は底部11の長手方向全長にわたって形成されており、底面部11及び側壁部12と一体的に形成されている。段差部15には、上面より突出した複数個の受け部151が形成されている。受け部151は、摺動するディスクトレイ2を支持している。正面壁部13には、開口130が形成されており、ディスクトレイ2は開口130よりメインシャーシ1の外部に突出し、光ディスクメディアを着脱する着脱位置(図1に示す、ディスクトレイ2が最も外部に突出した位置)に移動する。受け部151は正面側が最も高く、背面側に行くにしたがって低く形成されており、上部を順に結ぶと一本の直線L1となる(図4、図5参照)。この直線L1はディスクトレイ2が所定の範囲で摺動するとき、後述のガイドレール22の下面が描く軌跡である。
【0030】
ディスクトレイ2は樹脂の一体成型体であり、図面に示すように、光ディスクメディアを載置するための略円形のディスク載置凹部を備えている。ディスク載置凹部は内側に形成され、8cmの光ディスクメディアを載置するための小径部20S、外側に形成され、12cmの光ディスクメディアを載置するための大径部20Lを有している。小径部20Sは大径部20Lに比べて深い。また、ディスクトレイ2の中央部には貫通孔21が形成されている。トラバースシャーシ3が旋回しディスクトレイ2に接近したとき、ディスク駆動部4や光ピックアップ5が貫通孔21の内部に移動するので、ディスクトレイ2とディスク駆動部4及び光ピックアップ5との接触は回避される。
【0031】
さらに、ディスクトレイ2は、両側面部に側方に向かって突出されたガイドレール22を備えている。ガイドレール22はディスクトレイ2の側面部の長手方向に沿って、正面側端部から背面側端部に連続して形成されている。
【0032】
図3に示すように、メインシャーシ1の側壁部12には、内面側に突出形成された複数個の短い短押え部16と、短押え部16よりも長い長押え部17とが形成されている。長押え部17は左右の側壁部12にそれぞれ1個ずつ形成されている。短押え部16は正面側の端部近傍に距離を開けて2個、背面側の端部に1個形成されている。長押え部17は正面側の短押え部16fと背面側の短押え部16bの間に配置されている。短押え部16及び長押え部17はガイドレール22が受け部151の上部に配置されたときに、ガイドレール22の上部に配置されるものである。
【0033】
図4等に示すように、長押え部17は正面側に形成され背面側に向かって下方に傾斜した傾斜部171と、傾斜部171の背面側に形成され直線L1と略平行に形成された平行部172とを備えている。長押え部17の形状の詳細については後述する。
【0034】
トラバースシャーシ3は樹脂の一体成型体である。図1に示すように、トラバースシャーシ3は背面側にボス孔30を備えており、メインシャーシ1の背面側に形成され、ボス孔30の内径よりも小さな外形を有するボス10が貫通している。そして、ボス孔30とボス10との間にはフローティングゴム(ダンパー)100が配置されている。ボス10とボス孔30との間に隙間が形成されていることで、トラバースシャーシ3はディスクトレイ2に対して旋回(昇降)するようにメインシャーシ1に支持される。なお、トラバースシャーシ3は、図示を省略したカムスライダーの動きによって旋回する。
【0035】
トラバースシャーシ3に配置されたディスク駆動部4は、動力源であるモータ41と、モータ41の出力軸に固定され、光ディスクメディアの記録面の中央を支持するターンテーブル42とを備えている。そして、光ピックアップ5は光ディスクメディアに光を照射するための光学系(レンズ、光源等を含む)と駆動部を備えており、トラバースシャーシ3に形成された開口窓31に、光ディスクメディアの径方向に移動できるように配置されている。
【0036】
ディスクトレイ2がメインシャーシ1の内部に配置されているとき、ディスクトレイ2のガイドレール22の下面は受け部151に支持されている。図6に示すように、ディスクトレイ2はメインシャーシ1の最奥部(以下、記録/再生位置という)にあるとき、ガイドレール22の下面と直線L1とが重なり、正面側が背面側に比べて高くなっている。このとき、ガイドレール22の上面と正面側の短押え部16f及び長押え部17との間には隙間が形成されている。背面側の短押え部16bはガイドレール22の上面と接触している。
【0037】
ディスクトレイ2が記録/再生位置にあるとき、背面側の短押え部16bがガイドレール22の上面を押えている。これにより、ディスクトレイ2が上方に浮き上がるのを抑制している。ディスクトレイ2が記録/再生位置にあるとき、トラバースシャーシ3はディスクトレイ2側に旋回(上昇)しており、ディスクトレイ2の貫通孔21よりターンテーブル42が突出する。このとき、ディスク載置凹部に配置されていた光ディスクメディアを持ち上げ、カバーシャーシに配置されているクランパ(不図示)とで光ディスクメディアを挟持する。
【0038】
また、メインシャーシ1の内部には、ディスクトレイ2、トラバースシャーシ3及び光ピックアップ5を駆動するための駆動機構(不図示)が備えられている。ディスクトレイ2、トラバースシャーシ3及び光ピックアップ5が共通の駆動機構で駆動されていてもよく、2個以上の異なる駆動機構を備えていてもよい。
【0039】
ディスクトレイ2及びトラバースシャーシ3の移動について、図面を参照して詳細に説明する。図4に示すように、ディスクトレイ2が開口130より最も突出している(以下、ディスク交換位置という)場合、ディスクトレイ2の重心gpは開口130より外側に突出している。このとき、ディスクトレイ2には、最も正面側の受け部151fを支点として正面側の端部が下方に傾く方向(すなわち、背面側の端部が上方に傾く方向)に自重による力が作用している。
【0040】
図4に示すように、正面側の短押え部16fがガイドレール22の背面側端部の上面と当接し、ディスクトレイ2の自重による力を支えている。ディスクトレイ2は最も正面側の受け部151fを支点として支持されており、最も正面側の受け部151fの高さを調整することで、ディスク交換位置にあるときの、ディスクトレイ2の傾きを調整することができる。本発明の光ディスク装置では、ディスクトレイ2は略水平(直線L1に対して傾いた位置)である。
【0041】
開口130から外部に突出しているディスクトレイ2は駆動機構によって、メインシャーシ1の内部に移動する。このとき、トラバースシャーシ3は下方に旋回(下降)しており、ディスクトレイ2が移動するときに、ディスク駆動部4や光ピックアップ5と干渉するのを防止している。
【0042】
ディスクトレイ2の傾きは自重によるものであり、重心gpの位置によってその作用する方向は変化する。すなわち、重心gpが最も正面側の受け部151fよりも外側にあるとき、ディスクトレイ2には正面側を下げる力が作用する。重心gpが最も正面側の受け部151fよりも内側にあるとき、ディスクトレイ2には逆の力(背面側を下げる力)が作用する。ディスクトレイ2に作用する力は、重心gpが最も正面側の受け部151fと重なる位置のときに釣り合い、その点を通過したときに方向が変わる。ディスクトレイ2の姿勢(傾き)は、その重心gpが最も正面側の受け部151fを通過した瞬間に急激に変化する。その姿勢の急激な変化を抑制するために、側壁部12に長押え部17が形成されている。
【0043】
図5に示すように、ディスクトレイ2が所定の位置まで移動したとき、ガイドレール22の背面側端部の上部が長押え部17の傾斜部171と接触する。なお、図5において、ディスクトレイ2はその重心gpが最も正面側の押え部151よりも外側に位置している。このとき、ディスクトレイ2にはガイドレール22の背面側端部の上部を持ち上げる力が作用している。ディスクトレイ2はガイドレール22の背面側端部が、傾斜部171に押し当てられた状態で背面側に移動する。このとき、ガイドレール22の背面側端部が傾斜部171に誘導され、ディスクトレイ2は直線L1に対する角度を小さくしつつ摺動される。
【0044】
そして、ディスクトレイ2の重心gpが最も正面側の受け部151fに到達する前に、ガイドレール22の背面側端部の上部が平行部172に押し当てられる。このとき、ガイドレール22の下面と直線L1との隙間は小さくなっている。ディスクトレイ2がさらに移動し、重心gpが最も正面側の受け部151fよりも内側に移動したとき、自重による力の作用方向が入れ替わり、ディスクトレイ2には背面側を押し下げる力が作用する。そして、ディスクトレイ2はガイドレール22の下面が直線L1と重なるように傾動する。これにより、ディスクトレイ2はガイドレール22の下面が直線L1に接近した状態で、傾きが変化するので、急激な姿勢変化を起こしにくい。
【0045】
そして、ディスクトレイ2がさらに内部に移動したときに、トラバースシャーシ3が上昇をはじめる。トラバースシャーシ3が上昇を開始するときの、ディスクトレイ2の位置は、ディスク駆動部4及び光ピックアップ5がディスクトレイ2の移動の邪魔にならないタイミングである。ディスクトレイ2が記録/再生位置に完全移動したとき、ディスクトレイ2に載置されている光ディスクメディアがターンテーブル42に持ち上げられる。
【0046】
また、反対にディスクトレイ2がメインシャーシ1内部の記録/再生位置から外部のディスク交換位置に移動するときも同様に、急激な姿勢の変化が抑制される。すなわち、ディスクトレイ2の重心gpが最も正面側の受け部151fよりも外部に到達しても、ガイドレール22の背面側端部の上部が長押え部17の平行部172に押えられている。これによりディスクトレイ2の正面側が急激に下方に傾くのが抑制される。ディスクトレイ2がさらに外部に移動しても、ガイドレール22の背面側端部の上部が傾斜部171と接触しながら移動するので、ディスクトレイ2の傾きは徐々に変化する。
【0047】
図7はトラバースシャーシが昇降するときの光ディスクメディアとターンテーブルの相対位置を示す図である。トラバースシャーシ3が下降するとき、ターンテーブル42に保持された光ディスクメディアDsは、ディスク載置凹部と面全体で接触せず端部から接触するので接触時に発生する音を小さく抑えることができる。
【0048】
また、ターンテーブル42とクランパとはそれぞれ磁石とヨークとを備え、磁石とヨークとの間に発生する磁力で光ディスクメディアを挟持するものである。光ディスクメディアがディスク載置凹部に斜めに接触するので、光ディスクメディアが旋回しつつディスク載置凹部に配置されるときに、磁石とヨークとを小さな力で引き剥がすことが可能である。磁力の反動によって光ディスクメディアDsが段差部に勢い良く接触するのを抑制し、そのときの音の発生を抑制することが可能である。
【0049】
長押え部の詳細について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる光ディスク装置の長押え部を拡大した図である。なお、説明の便宜上、長押え部17及びガイドレール22の傾き角は実際の光ディスク装置の傾き角よりも大きく示している。
【0050】
まず、長押え部17の説明を行うために、ディスクトレイ2について説明する。ディスクトレイ2は上部に光ディスクメディアを載置するためのディスク載置凹部を備えている。ディスク載置凹部はディスクトレイ2の重心からずれた中心を備えた円形の凹部である。
【0051】
ディスクトレイ2において、ディスク載置凹部に光ディスクメディアを配置していないとき(以下、空:no disc)、小径(一般的に8cm)の光ディスクメディアを載置したとき(以下、小ディスク:small disc)、及び、大径(一般的に12cm)の光ディスクメディアを載置したとき(以下、大ディスク:large disc)、それぞれで、重心の位置がずれる。すなわち、光ディスクメディアの有無、大きさによって、ディスクトレイ2の正面側に下方に向けた力が作用し始めるときの、ディスクトレイ2の位置が異なる。そして、ガイドレール22の背面側端部が長押え部17と接触し始める位置が異なる。
【0052】
ディスクトレイ2の重心は空のとき最も背面側であり、大ディスクのとき最も正面側の位置になる。図8に示すように、ディスクトレイ2が空のとき、ガイドレール22の背面側端部の上面は平行部171の最も正面側の点P1で接触する(離れる)。そして、小ディスクのとき、大ディスクのときとディスクが大きくなるにしたがって、背面側の点P2、P3で接触する(離れる)。
【0053】
このように、載置された光ディスクメディアの有無、大きさにかかわらず、ディスクトレイ2は姿勢変化の前又は後で平行部172に接触する。これにより、重心移動による急激な姿勢の変化を抑制することができる。ディスクトレイ2がディスク着脱位置とガイドレール22の背面側端部が傾斜部と接触する位置との間にあるときは、最も正面側に配置された受け部151と正面側の短押え部16fとで下面及び上面を押えているので、ディスクの有無或いは大きさにかかわらず同じ軌跡を通る。
【0054】
すなわち長押え部17は、ディスクトレイ2が空のとき、すなわち、重心が最も正面側の受け部151fより外部にあるとき、ガイドレール22の背面側端部が傾斜部171と接触し、重心が最も正面側の受け部151fを通過するときにはガイドレール22の背面側端部が平行部172に到達するような形状及び位置に形成されている。そして、ディスクトレイ2が大ディスクを載置し、重心が最も正面側の受け部151fと重なったとき、ガイドレール22の背面側端部と接触するように平行部172が形成されている。このように、長押え部17の形状及び位置が決められていることで、光ディスクメディアの有無或いは大きさにかかわらずディスクトレイ2は大きく急激な姿勢変化をすることなく、光ディスクメディアを搬送することが可能である。
【0055】
上記構成において、受け部として段差部より突出するものとしているが、それに限定されるものではなく、側壁部より内側に突出する形状のものであってもよい。ディスクトレイのガイドレールの下面を安定して支持できるものを広く採用することができる。また、上記構成において、押え部が左右両方に形成されているが、どちらか一方のみであってもよい。また、片方は長押え部のみ備えているものや短押え部の数が少ない(多い)ものであってもよい。
【0056】
図9は本発明にかかる光ディスク装置を用いたDVDレコーダの斜視図である。図9に示すように、DVDレコーダRdは、筐体Ohの内部に光ディスク装置Aが配置されており、筐体Ohの正面に配置されたフロントパネルFpに形成された開口Opより光ディスクDsをディスクトレイ2に載置して光ディスク装置Aの内部に挿入するものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、記録媒体として光ディスクメディアを用いる電子機器(たとえば、DVDプレーヤ、DVDレコーダ等)に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
A 光ディスク装置
1 メインシャーシ
10 ボス
100 フローティングゴム
11 底面部
12 側壁部
13 正面壁部
130 開口
14 背面壁部
15 段差部
151 受け部
16 短押え部
17 長押え部
171 傾斜部
172 平行部
2 ディスクトレイ
20 段差部
20S 小径部
20L 大径部
21 貫通孔
22 ガイドレール
3 トラバースシャーシ
30 ボス孔
4 ディスク駆動部
5 光ピックアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクメディアを載置するディスクトレイと、
上部が開いた函形状を有し、正面の壁部に前記ディスクトレイが出入りする開口を具備するメインシャーシと、
前記メインシャーシに形成され、前記ディスクトレイの側部に形成されたガイドレールの下面を支持する複数個の受け部と、
前記メインシャーシに形成され、前記ガイドレールの浮き上がりを押える複数個の押え部とを有する光ディスク装置であって、
前記複数個の受け部は前記ディスクトレイが前記メインシャーシに収納されているとき、収納手前側が上方に傾くように配列されていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記押え部のひとつは他の押え部よりも摺動方向に長く形成された長押え部であり、
前記長押え部の下面は手前側に形成され下方に向かって傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の奥側と連結し、前記受け部の上部を結んだ面と平行となるように形成された平行部とを備えている請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記長押え部は、光ディスクメディアを載置していない前記ディスクトレイの重心の摺動方向に対する位置と、最も開口側の受け部とが重なったとき、前記平行部が前記ガイドレールの奥側の端部と対向するように形成されている請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記長押え部は、載置可能な最大径の光ディスクメディアを載置した前記ディスクトレイの重心の摺動方向に対する位置と、最も開口側の受け部とが重なったとき、前記平行部が前記ガイドレールの奥側の端部と対向するように形成されている請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記傾斜部と前記平行部との境界部分は曲面形状で形成されている請求項2から請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記メインシャーシは底面部の前記ディスクトレイの摺動方向に対して両側部に段差部が形成されており、
前記受け部は前記段差部の上面より突出した凸形状である請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記メインシャーシは底面部の前記ディスクトレイの摺動方向に対して両側部に側壁部を備えており、
前記押え部は前記側壁部より前記メインシャーシの内部に突出して形成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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