説明

光ディスク装置

【課題】外部から見たときの書き込み速度の低下を防止するとき、初期設定に要する時間を短縮する。
【課題解決手段】電源の投入時または光ディスク1の交換時に、装着された光ディスク1の最も外周側に位置するトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取るTDB読取部5と、TDB読取部5が読み取った書き込み方法を記憶するTDB記憶部6とを備え、光ディスク1に対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部6に記憶された書き込み方法とが一致するとき、データの書き込みを行う。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、トラック先頭部のプリギャップ部には、データの書き込み方法を示すトラック・ディスクリプタ・ブロックが記録された光ディスクに書き込みを行う光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
追記型光ディスク等のように、書き込み可能な光ディスクでは、データの記録を一時的に中断した場合でも、中断後に記録されたデータを、中断前に記録されたデータと一体化し、1つの完結したトラックとして記録することができる。一方、トラックにデータを書き込む方法には、トラックアトワンスによる方法と、パケットライトによる方法とがある。また、パケットライトによる方法には、固定長と可変長との2つ方法がある。つまり、トラックにデータを書き込む方法には、上記したように3種の方法がある。しかし、1つのトラック内においては、データの書き込み方法は同一でなければならない。従って、データの記録を一時的に中断し、引き続いてデータを書き込む場合では、引き続くデータの書き込み方法が、中断以前の書き込み方法と一致しなければならない。このため、一時的に書き込みを中断したトラックに、引き続いて書き込みを行う場合では、書き込み方法が、中断以前の書き込み方法に一致しているかどうかを確認する必要がある。
【0003】
一方、データの書き込み方法は、トラック・ディスクリプタ・ブロック(以下ではTDBと称する)内に示されており、TDBは、トラックの先頭部に設けられたプリギャップ部に記録されている。従って、書き込みの中断後に、引き続いてデータを書き込む場合では、書き込みに先立ち、TDBが示す書き込み方法を読み取って、書き込み方法が一致することを確かめておく必要がある。しかし、TDBに記録された書き込み方法を読み取る動作には、500mS程度の時間が必要となる。従って、外部からの命令に従って書き込みを行うときには、TDBが示す書き込み方法を読み取るための時間と、実際にデータを書き込む時間との2種の時間が必要となり、外部から見たときには、書き込み速度が遅くなる。
【0004】
一方、予め、各トラックのMODEを知ることにより、書き込み時間の短縮化や重ね書きの防止を図る従来技術が、特開平8−22689号として提案されている。すなわち、この技術では、PMA情報に基づいてトラック数Nを求めている。そして、トラック1が書き込み済みがどうかを調べ、その書き込み状態に応じて、トラック1のデータモードを判定している。すなわち、トラック1にデータが書き込まれていない場合では、データモードがMODE1であると判定している。また、トラック1が書き込み済みの場合では、トラック1の状態に応じて、MODE1であるのかMODE2であるのかを判定している。次に、各トラックの先頭部に配置されたプリギャップ部の長さを、トラック数Nに達するまで、繰り返し調べている。そして、調べたプリギャップ部の長さが2秒以上であるときには、そのトラックのデータモードは、その直前のトラックのデータモードと同一であると判定している。また、プリギャップ部の長さが3秒以上であるときには、そのトラックのデータモードは、その直前のトラックのデータモードと異なると判定している。従って、最初に調べたトラック1のデータモードに基づき、全てのトラックのデータモードが判定され、記憶されることになる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術では、以下に示す問題を生じていた。すなわち、1つのトラックのプリギャップ部の長さを読み取るには、プリギャップ部にピックアップが移動するまでの時間と、プリギャップ部の長さを読み取る時間とが必要である。一方、トラック数は、最大では100トラックとなることがある。従って、全てのトラックのデータモードの判定が終了するまでには、極めて長い時間を要する。このため、光ディスクを取り替えたときには、命令の受け付けが可能となるまでに長い時間を要し、装置が使い勝手の悪いものとなっていた。
【0006】
本考案は上記課題を解決するため創案されたものであって、請求項1〜2記載の考案の目的は、電源投入時または光ディスクの交換時に、最も外周側に位置するTDBが示す書き込み方法を、予め読み取って記憶することにより、装置外部から見たときの書き込み速度の低下を防止するとき、初期設定に要する時間を短縮することのできる光ディスク装置を提供することにある。
【0007】
また請求項2記載の考案の目的は、上記目的に加え、インビジブルデータが書き込まれた光ディスクが装着されたとき、読み取り対象となるTDBのアドレスの演算を容易にすることのできる光ディスク装置を提供することにある。
【0008】
また請求項3記載の考案の目的は、上記目的に加え、書き込みを指示されたトラックが、アドレス情報エリアに登録された最終トラックであるとき、書き込み時間を短縮することのできる光ディスク装置を提供することにある。
【0009】
また請求項4記載の考案の目的は、上記目的に加え、書き込み可能な光ディスクであるときにのみ、TDBの読み取りを行うことによって、装着された光ディスクが読み出し専用であるとき、読み出し可能となるまでの初期動作の時間を短縮することのできる光ディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の考案に係る光ディスク装置は、トラックの先頭部に配置されたプリギャップ部には、前記トラックのデータの書き込み方法を示すトラック・ディスクリプタ・ブロックが記録された光ディスクにデータの書き込みを行う光ディスク装置に適用し、電源が投入されたとき又は光ディスクが交換されたときには、装着された光ディスクの最も外周側に位置するトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取るTDB読取部と、TDB読取部が読み取った書き込み方法を記憶するTDB記憶部とを備え、前記光ディスクに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するか否かを調べ、一致する場合には前記光ディスクにデータの書き込みを行い、一致しない場合には、前記書き込みを行わない構成としている。
すなわち、TDB読取部は、装着された光ディスクの最も外周側に位置するトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取り、読み取った書き込み方法をTDB記憶部に送出する。つまり、1つのプリギャップ部のみを読み取ればよいので、読み取りが短時間で完了する。また、データの書き込みにおいては、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するとき、データを書き込むので、書き込み時においては、トラック・ディスクリプタ・ブロックを読み取る必要がなくなる。
【0011】
また請求項2記載の考案に係る光ディスク装置は、上記構成に加え、書き込まれたデータの記録アドレスが登録されるアドレス情報エリアに記録アドレスが登録されないインビジブルデータの書き込みが許容された光ディスクにデータの書き込みを行う光ディスク装置に適用し、前記TDB読取部は、アドレス情報エリアに記録された最終アドレスの次のアドレスから始まるプリギャップ部のトラック・ディスクリプタ・ブロックにより示される書き込み方法を読み取る構成としている。すなわち、TDB読取部は、アドレス情報エリアに記録された最終アドレスの次のフレームを、プリギャップ部の開始アドレスとして、トラック・ディスクリプタ・ブロックを読み取ればよい。
【0012】
また請求項3記載の考案に係る光ディスク装置は、上記構成に加え、前記TDB読取部は、前記アドレス情報エリアに登録された最終アドレスより外周側にトラック・ディスクリプタ・ブロックが無いことを検出したときには、アドレス情報エリアに登録された最終トラックのトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取り、前記最終トラックに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するか否かを調べ、一致する場合には前記光ディスクにデータを書き込みを行い、一致しない場合には前記書き込みを行わない構成としている。
すなわち、書き込みを指示されたトラックが、アドレス情報エリアに登録された最終トラックであるときには、最終トラックの書き込み方法が既に得られているので、書き込み方法の読み取りが不要となる。
【0013】
また請求項4記載の考案に係る光ディスク装置は、装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであるかどうかを判別する判別部を備え、TDB読取部は、装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであると判別部が判別したときには、トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行い、光ディスクが書き込み可能な光ディスクではないと判別部が判別したときには、トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行わない。
すなわち、読み出し専用の光ディスクの場合では、トラック・ディスクリプタ・ブロックを読み取る動作が行われない。このため、電源投入後、または光ディスクの交換後の初期動作の時間が短縮されることになる。
【0014】
【考案の実施の形態】
以下に本考案の実施例の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本考案に係る光ディスク装置の一実施形態の電気的構成を示すブロック線図である。
【0015】
図において、光ディスク1は、スパイラル状のトラックに沿ってデータが書き込まれる光ディスクであり、具体的には、CD−RまたはCD−RWとなっている。なお、本実施形態は、書き込みを行わない読み出し専用の光ディスクであるCD−ROMからもデータの読み取りを行う。従って、光ディスク1は、CD−ROMの場合もある。
【0016】
図2は、光ディスク1に書き込まれたトラックの状態を示す説明図である。なお、同図における矢印Cは、内周から外周に向かう方向を示している。
【0017】
エリア39に書き込まれたトラック21,・・・,22は、ファイルとして閉じられたトラック群を示している。また、PMA29は、請求項に記載されたアドレス情報エリアとなっている。すなわち、PMA29には、トラック21,・・・,22のそれぞれの開始アドレスおよび終了アドレスが登録されている。また、アドレスAは、PMA29に登録されたアドレスの最終値であり、請求項に記載された最終アドレスを示している。そして、最終アドレスAの次のアドレスから始まるトラック23は、データの書き込みが途中で中断されたトラックであり、PMA29にはアドレスが登録されていないインビジブルデータとなっている。また、各トラック21,・・・,22,23の先頭部に設けられたプリギャップ部31,・・・,32,33には、対応するトラック21,・・・,22,23のデータの書き込み方法やトラック番号等を示すトラック・ディスクリプタ・ブロック(以下ではTDBと称する)が記録されている。
【0018】
図1に戻る。
ピックアップ2は、レーザ光の発光素子、光ディスク1により反射されたレーザ光を受光する受光素子、および集光用のレンズ等の光学素子を備えだブロックとなっており、光ディスク1にデータの書き込みを行う。また、光ディスク1に書き込まれたデータを読み取る。
R/W回路3は、データの書き込み時には、ピックアップ2に書き込み信号を出力し、データの読み取り時には、ピックアップ2の出力の増幅と波形整形等を行うブロックとなっている。また、ピックアップ2のトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号等をピックアップ制御部10に出力する。
【0019】
信号処理回路4は、データの書き込み時には、信号線12を介して導かれたデータに所定のエンコード処理を施し、エンコード処理によって得られた書き込みデータをR/W回路3に出力するブロックとなっている。また、データの読み取り時には、R/W回路3から出力される信号に所定のデコード処理を施し、デコード処理によって得られたデータを、信号線13を介して外部に出力する。また、デコード処理によって得られたデータを、TDB読取部5、判別部7、および、主制御部9に出力する。
【0020】
TDB読取部5は、電源が投入されたとき、または光ディスク1が交換されたとき、装着された光ディスク1の最も外周側に位置するTDBが示す書き込み方法を読み取るブロックとなっている。すなわち、電源投入後であること、または光ディスク1が交換されたことを主制御部9が示し、光ディスク1が書き込み可能であることを判別部7が示すとき、最終アドレスAの次のアドレスから始まるプリギャップ部33のTDBを読み取る。そして読み取ったTDBにより示される書き込み方法およびトラック番号をTDB記憶部6に送出する。
【0021】
しかし、装着された光ディスク1が、インビジブルデータ23の無いディスクの場合では、最終アドレスAより外周側のプリギャップ部33が書き込まれていない。従って、最終アドレスAより外周側にTDBを検出することができなかった場合、TDB読取部5は、PMA29に登録された最終トラック22のプリギャップ部32のTDBを読み取る。そして、読み取ったTDBにより示される書き込み方法やトラック番号等を、TDB記憶部6に送出する。
【0022】
TDB記憶部6は、TDB読取部5が読み取った書き込み方法やトラック番号
等を記憶するブロックとなっている。また、記録した書き込み方法やトラック番号等を主制御部9に送出する。
判別部7は、信号処理回路4から出力されるデータ中の所定情報から、光ディスク1が書き込み可能であるかどうかを判別するブロックとなっている。すなわち、光ディスク1が、CD−RやCD−RW等の書き込み可能な光ディスク1であるのか、あるいは書き込みできないCD−ROMであるのかを判別し、判別結果を、TDB読取部5と主制御部9とに出力する。
【0023】
ピックアップ制御部10は、ピックアップ2のトラッキングの制御と、フォーカスの制御とを行うブロックとなっている。また、ピックアップ2を、主制御部9が指示するトラックに移動させる制御を行う。
主制御部9は、光ディスク装置としての主要動作を制御するブロックとなっている。すなわち、R/W回路3の動作および信号処理回路4の動作を、書き込み用の動作、あるいは読み取り用の動作に切り換える。また、光ディスク1へのデータの書き込みが指示された場合、指示された書き込み方法とTDB記憶部6に記憶された書き込み方法とが一致するか否かを調べる。そして、一致する場合には光ディスク1にデータの書き込みを行う。しかし、一致しない場合には、データの書き込みを行わない(書き込み動作については、後に詳述する)。また、電源投入後の初期設定動作、あるいは光ディスク1の交換後の初期設定動作時には、データが書き込まれた最も外周側のフレームの次のフレームアドレスを、ニュー・ライタブル・アドレス(以下では、NWAと称する)として、予め検出し、記憶する。
【0024】
図3は、光ディスク1の交換に伴う初期設定動作を示すフローチャート、図4は、データの書き込み動作を示すフローチャートである。必要に応じて同図を参照しつつ、実施形態の動作を説明する。
【0025】
いま、電源の投入、または光ディスク1の交換が行われたとする。また、交換された光ディスク1は、CD−RまたはCD−RWであるとする。また、交換された光ディスク1のエリア39には、ファイルとして閉じられたトラック21,・・・,22が既に書き込まれると共に、ファイルとして閉じられていないトラック(インビジブルデータ)23が書き込まれているとする。
【0026】
光ディスク1が上記した光ディスクであるとき、主制御部9は、図示されないトレースイッチにより、光ディスク1の装着を確認する。そして後、スピンドルモータ11を回転させる制御を行う。そして、スピンドルモータ11が所定速度で回転したことを検出すると、主制御部9は、R/W回路3と信号処理回路4とに、読み取り動作の開始を指示する(ステップS1)。
その結果、光ディスク1に記録されたディスクの種別を示す情報は、ピックアップ2、R/W回路3、信号処理回路4を介して、判別部7に送出される。判別部7は、与えられた情報から、光ディスク1が書き込み可能な光ディスク(CD−RまたはCD−RW)であるのか、あるいは読み出し専用の光ディスク(CD−ROM)であるのかを判別する。このときでは、書き込み可能なため、判別部7は、書き込み可能であることを、TDB読取部5と主制御部9とに知らせる(ステップS2)。
【0027】
光ディスク1が書き込み可能であることを知らされた主制御部9は、PMA29を読み取るための制御を行う。このため、PMA29の情報がTDB読取部5に導かれる。TDB読取部5は、PMA29の情報から、最終アドレスAを読み取る。そして、読み取った最終アドレスAから105フレームだけ外周側に位置するアドレスを読み取る。このアドレスには、TDBを有するプリギャップ部33が記録されている。このため、TDB読取部5は、プリギャップ部33のTDBを、最も外周側に位置するTDBとして読み取る。そして、読み取ったTDBが示す書き込み方法やトラック番号をTDB記憶部6に送出する。TDB記憶部6は、TDB読取部5から送出された書き込み方法やトラック番号を記憶する(ステップS3〜S5)。また、主制御部9は、インビジブルデータ23の最終フレームの次のフレームアドレス求め、求めたアドレスを、NWAとして記憶する。また、TOCを読み取る制御を行い、読み取ったTOC情報を内部に記憶する(ステップS6)。そして後、書き込み命令、あるいは読み出し命令の受け付けが可能であることを外部に知らせる。
【0028】
いま、装着された光ディスク1が、インビジブルデータ23が書き込まれていない光ディスクであるとする。この場合、最終アドレスAから105フレームだけ外周側に位置するアドレスには、プリギャップ部33が記録されていない。従って、TDB読取部5は、最終アドレスAから105フレームだけ外周側に位置するアドレスを読み取ったときにも、TDBを検出することができない。このため、動作はステップS4からステップS7に移行し、TDB読取部5は、最終トラック22のプリギャップ部32のTDBを読み取る。そして、読み取ったTDBが示す書き込み方法やトラック番号をTDB記憶部6に送出する。TDB記憶部6は、TDB読取部5から送出された書き込み方法やトラック番号を記憶する。また、主制御部9は、最終アドレスAの次のフレームのアドレスを、NWAとして記憶する。また、TOCを読み取る制御を行い、読み取ったTOC情報を内部に記憶する(ステップS6)。そして後、書き込み命令、あるいは読み出し命令の受け付けが可能であることを外部に知らせる。
【0029】
いま、装着された光ディスク1がCD−ROMであるとする。この場合、光ディスク1の種別等の情報を示すデータは、読み出し専用の光ディスクであることを示す。従って、判別部7は、書き込み可能な光ディスクではないこと(読み出し専用の光ディスクであること)を、主制御部9とTDB読取部5とに知らせる。その結果、TDBの読み取りやNWAを求める動作、等の一連の動作(ステップS3〜S5,S7)が省略され、直ちにTOC情報の読み出しが行われる(ステップS6)。そして後、読み出し命令の受け付けが可能であることを、主制御部9は外部に知らせる。従って、交換された光ディスク1が読み出し専用である場合、電源投入後の初期設定動作、あるいは光ディスク1の交換後の初期設定の動作時間が短縮されることになる。
【0030】
以下に、光ディスク1が、インビジブルデータ23が書き込まれた光ディスクであるとして、データの書き込み時の動作について説明する。
TDB記憶部6には、トラック23の書き込み方法やトラック番号が記憶されている。このため、外部から書き込みの指示が与えられると、主制御部9は、書き込み指示におけるトラック番号が、TDB記憶部6に記憶されたトラック番号
に一致するかどうかを調べる(ステップS11)。トラック番号が一致するときには、指示された書き込み方法が、TDB記憶部6に記憶された書き込み方法と一致するかどうかを調べる(ステップS12)。書き込み方法が一致する場合、主制御部9は、R/W回路3と信号処理回路4とを制御することにより、予め検出したNWAを開始アドレスとして、信号線12を介して導かれたデータを光ディスク1に書き込む(ステップS13)。しかし、ステップS12の判定において、書き込み方法が一致しなかった場合、主制御部9は、書き込み命令が正しくないことを外部に知らせる(ステップS14)。
【0031】
次に、光ディスク1が、インビジブルデータ23が書き込まれていない光ディスクであり、トラック22が、未完成(インコンプリート)トラックであるとして、データの書き込み時の動作を説明する。
TDB記憶部6には、トラック22の書き込み方法やトラック番号が記憶されている。このため、外部から書き込み指示が与えられると、主制御部9は、書き込み指示におけるトラック番号が、TDB記憶部6に記憶されたトラック番号に一致するかどうかを調べる(ステップS11)。トラック番号が一致するときには、指示された書き込み方法が、TDB記憶部6に記憶された書き込み方法と一致するかどうかを調べる(ステップS12)。そして、書き込み方法が一致する場合、主制御部9は、R/W回路3と信号処理回路4との制御を行うことによって、光ディスク1にデータの書き込みを行う(ステップS13)。一方、ステップS12の判定において、書き込み方法が一致しない場合、主制御部9は、書き込み命令が正しくないことを外部に知らせる(ステップS14)。
【0032】
一方、書き込み指示におけるトラック番号が、トラック22の次のトラックの番号(トラック23の番号)である場合、動作は、ステップS11からステップS15に移行する。このため、主制御部9は、光ディスク1にトラック23を新しく作成し、作成したトラック23に、指示された書き込み方法でもってデータを書き込む。また、指示された書き込み方法やトラック番号を示すTDBを有するプリギャップ部33を、トラック23の先頭部に書き込む。
【0033】
なお、本考案は上記実施形態に限定されず、光ディスク1については、CD−RまたはCD−RWとした場合について説明したが、DVD等の光ディスクの場合にも、同様に適用することが可能である。
【0034】
【考案の効果】
請求項1記載の考案に係る光ディスク装置は、電源が投入されたとき又は光ディスクが交換されたときには、装着された光ディスクの最も外周側に位置するトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取るTDB読取部と、TDB読取部が読み取った書き込み方法を記憶するTDB記憶部とを備え、光ディスクに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するとき、光ディスクにデータの書き込みを行う構成としている。すなわち、最も外周側に位置するTDBが示す書き込み方法のみを、予め読み取って記憶し、書き込み時では、読み取った書き込み方法に基づいて、書き込み方法が一致しているかどうかを判定している。従って、装置外部から見たときの書き込み速度の低下を防止するとき、初期設定に要する時間を短縮することが可能となっている。
【0035】
また請求項2記載の考案に係る光ディスク装置は、上記構成に加え、書き込まれたデータの記録アドレスが登録されるアドレス情報エリアに記録アドレスが登録されないインビジブルデータの書き込みが許容された光ディスクにデータの書き込みを行う光ディスク装置に適用し、TDB読取部は、アドレス情報エリアに記録された最終アドレスの次のアドレスから始まるプリギャップ部のトラック・ディスクリプタ・ブロックにより示される書き込み方法を読み取る構成としている。すなわち、TDB読取部は、アドレス情報エリアに記録された最終アドレスの次のフレームを、プリギャップ部の開始アドレスとして、トラック・ディスクリプタ・ブロックを読み取ればよい。このため、インビジブルデータが書き込まれた光ディスクが装着されたとき、読み取り対象となるトラック・ディスクリプタ・ブロックのアドレスの演算を容易にすることが可能となっている。
【0036】
また請求項3記載の考案に係る光ディスク装置は、上記構成に加え、TDB読取部は、アドレス情報エリアに登録された最終アドレスより外周側にトラック・ディスクリプタ・ブロックが無いことを検出したときには、アドレス情報エリアに登録された最終トラックのトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取り、最終トラックに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するとき、データを書き込む構成としている。すなわち、書き込みを指示されたトラックが、アドレス情報エリアに登録された最終トラックであるときには、最終トラックの書き込み方法が既に得られているので、書き込み方法の読み取りが不要となる。このため、書き込みを指示されたトラックが、アドレス情報エリアに登録された最終トラックであるとき、書き込み時間を短縮することが可能となっている。
【0037】
また請求項4記載の考案に係る光ディスク装置は、装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであるかどうかを判別する判別部を備え、TDB読取部は、装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであると判別部が判別したときには、トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行い、光ディスクが書き込み可能な光ディスクではないと判別部が判別したときには、トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行わない。すなわち、読み出し専用の光ディスクの場合では、トラック・ディスクリプタ・ブロックを読み取る動作が行われない。このため、電源投入後、または光ディスクの交換後の初期動作の時間が短縮されるので、装着された光ディスクが読み出し専用であるとき、読み出し可能となるまでの初期動作の時間を短縮することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る光ディスク装置の一実施形態の電気的構成を示すブロック線図である。
【図2】光ディスクのデータの構成を示す説明図である。
【図3】電源投入あるいは光ディスクの交換に伴う初期設定の動作を示すフローチャートである。
【図4】光ディスクへのデータの書き込み動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光ディスク
5 TDB読取部
6 TDB記憶部
7 判別部
22 アドレス情報エリアに登録された最終トラック
23 インビジブルデータ
29 アドレス情報エリアであるPMA
31〜33 プリギャップ部
39 PMAに登録されたトラックの記録エリア

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 トラックの先頭部に配置されたプリギャップ部には、前記トラックのデータの書き込み方法を示すトラック・ディスクリプタ・ブロックが記録された光ディスクにデータの書き込みを行う光ディスク装置において、電源が投入されたとき又は光ディスクが交換されたときには、装着された光ディスクの最も外周側に位置するトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取るTDB読取部と、TDB読取部が読み取った書き込み方法を記憶するTDB記憶部とを備え、前記光ディスクに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するか否かを調べ、一致する場合には前記光ディスクにデータの書き込みを行い、一致しない場合には、前記書き込みを行わないことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】 書き込まれたデータの記録アドレスが登録されるアドレス情報エリアに記録アドレスが登録されないインビジブルデータの書き込みが許容された光ディスクにデータの書き込みを行う光ディスク装置において、前記TDB読取部は、アドレス情報エリアに記録された最終アドレスの次のアドレスから始まるプリギャップ部のトラック・ディスクリプタ・ブロックにより示される書き込み方法を読み取ることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】 前記TDB読取部は、前記アドレス情報エリアに登録された最終アドレスより外周側にトラック・ディスクリプタ・ブロックが無いことを検出したときには、アドレス情報エリアに登録された最終トラックのトラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法を読み取り、前記最終トラックに対するデータの書き込みを指示されたときには、指示された書き込み方法とTDB記憶部に記憶された書き込み方法とが一致するか否かを調べ、一致する場合には前記光ディスクにデータを書き込みを行い、一致しない場合には前記書き込みを行わないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】 前記装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであるかどうかを判別する判別部を備え、前記TDB読取部は、前記装着された光ディスクが書き込み可能な光ディスクであると前記判別部が判別したときには、前記トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行い、前記光ディスクが書き込み可能な光ディスクではないと前記判別部が判別したときには、前記トラック・ディスクリプタ・ブロックが示す書き込み方法の読み取りを行わないことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3047408号
【登録日】平成10年(1998)1月21日
【発行日】平成10年(1998)4月14日
【考案の名称】光ディスク装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平9−9025
【出願日】平成9年(1997)9月24日
【出願人】(391017805)船井テクノシステム株式会社 (1)