説明

光デバイスの特性測定装置および特性測定方法

【課題】光デバイスの特性を精度よく且つ低コストにて測定する方法および装置を提供する。
【解決手段】光源100と、前記光源からの光の偏光方向を調整する偏光子104と、前記偏光方向が調整された光を伝搬する光ファイバー106と、所定位置に配置され、複屈折性を有するフィルターを含む光デバイス120の入力端子の位置に対し、前記光ファイバー106の出力端部の位置を調整する調芯手段108と、前記光ファイバー106を介して前記入力端子から前記光デバイス120に入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記フィルター120から出力された光を検出する検出手段132と、前記調整された光の偏光方向と、前記検出された光の周波数および強度とに基づいて前記フィルターから出力された光の偏光方向を分析する偏光方向分析手段138とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスの特性測定装置および特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光フィルターや光スイッチなど、導波路を用いて信号を処理する光デバイスには、光を分岐する機能や、自由に曲直できる機能の他、伝搬する光の減衰をできる限り小さくすることなどの特性が求められる。このような要求から、光フィルターや光スイッチなどの光デバイスの特性を向上させるための研究・開発が活発になされている。
【0003】
一般に、光デバイスに形成される導波路は、その加工の便宜上、断面が扁平な形状となっているため、伝搬する光の偏光方向によって導波路の特性に差異が生じる。このような光の偏光方向に対する依存性は、導波路を有する光デバイスにも現れ、特に、波長多重技術に関わる光フィルターや光スイッチなどでは顕著に現れる。このため、試作段階の光デバイスの特性を評価する際には、光デバイスに入力された光を、電場が導波路の扁平な断面の長手方向を向くTE光と、電場が導波路の短手方向を向くTM光とに分け、TE光およびTM光のそれぞれに対する特性を別個に評価する必要がある。
【0004】
従来の光デバイスの特性測定装置および特性測定方法を、図7〜図9を参照して説明する。
従来の特性測定装置は、図7,図8に示すように、偏光をもたない光を生成する光源100、光源100からの光を伝搬する光ファイバー102および106、光源から照射される光の偏光方向を所望の向きに調整する第1の偏光子104、光ファイバー106の端部の位置を調整する調芯機108、光ファイバー106からの光の偏光方向を調べる際に用いる第2の偏光子110およびCCDカメラ112、試料となる光デバイス320の位置を調整するXYZステージ114、光デバイス320から出力された光を検出・分析するスペクトル分析器132、光デバイス320から出力される光をスペクトル分析器132に伝搬する光ファイバー130から構成される。
【0005】
従来の光デバイスの特性測定方法は、図9に示すように、大きく分けて、光源100からの光の偏光方向を調節する工程(ステップS310)、光デバイス310を配置すると共に光ファイバー106の位置を調節する工程(ステップS320)、光デバイス320に光を入力して出力された光を検出する工程(ステップS330)、光デバイス320の特性を分析する工程(ステップS340)、という四つの工程から構成されている。以下、各工程を順番に説明する。
【0006】
まず、第1の偏光子104の向き調節することにより、光源100からの光の偏光方向を調節する(ステップS310)。具体的には、図7に示すように、光源100からの光を第1の偏光子104を介して光の偏光方向を調節したうえで第2の偏光子110に入射し、その透過光をCCDカメラ112で検出する。ここで、たとえば、第2の偏光子110の向きを電場の向きが水平であるTE光のみを抽出するよう調整しておき、CCDカメラ112で検出した透過光の強度が最大になるように、光ファイバー106の端部の位置や,第1の偏光子104の向きを調整することにより、光源100から第2の偏光子110に入力される光の偏光方向をTE光の向きに調整することができる。なお、光ファイバー106の端部の位置が変化しないよう、光ファイバー106の端部付近を調芯機108のチャックにより機械的に固定しておく。
【0007】
次いで、図8に示すように、第2の偏光子110を退け、もともと第2の偏光子110があった位置に試料となる光デバイス320を配置する(ステップS320)。この状態で、光源100から第1の偏光子104および光ファイバー106を介して光デバイス320に光を照射し、その透過光をスペクトル分析器132で検出する(ステップS330)。このようにして検出した透過光の周波数・強度を分析することにより、光デバイス320の特性を測定することが可能となる(ステップS340)。
【0008】
ところで、光デバイス320の大きさが約数mm角と小さいときには、図9のステップS320の工程において、光デバイス320の入力端子と光ファイバー106の端部との位置関係を50nm程度の微細なオーダーで調整する必要が生じる場合がある。光デバイス320を搭載するXYZステージ114は、このような数十nmオーダーでの微調整には対応できないのに対し、光ファイバー106の端部の位置を調整する調芯機108はこのような微細なオーダーでの位置調整にも対応することができる。このため、通常、XYZステージ114により光デバイス320を移動させて、おおよその位置関係の調整を行なった後に、光ファイバー106の端部の位置を調芯機108により調整することで最終的な調芯を行なっている。
【0009】
ところが、調芯機108により光ファイバー106の端部の位置を調整した場合、光ファイバー106に加わる応力が変化することに起因して、光ファイバー106の内部に僅かなひずみが生じる。この場合、光ファイバー106の内部に生じた僅かなひずみにより、光ファイバー106の内部を透過する光や,光ファイバー106を透過して光デバイス320に入力される光の偏光方向も僅かながら変化してしまう恐れがある。内部を透過する光の偏光方向を維持する特殊な光ファイバーも市販されているが、その信頼性はそれほど高くない。
すなわち、せっかく図9のステップS310の工程によって光源100からの光の偏光方向をTE光に調整したとしても、図9のステップS320の工程で光ファイバー106の端部の位置を調整することに起因して、ステップS330の工程で光デバイス320に入力する光の偏光方向がTE光から変化してしまう恐れがある。
【0010】
従来の手法では、図9のステップS320の工程に起因した光の偏光方向の変化はないか、または無視できるほど小さいという前提のもと、光の偏光方向の変化を修正せずに光デバイス320の特性を分析している。しかしながら、光デバイス320の特性を測定する際の信頼性を高めるためには、実際に光デバイス320に入力された光の偏光方向を正確にモニターすることが望ましい。
そこで、被検査対象である光デバイス320自体にTE光およびTM光をそれぞれ別個に分けて検出する偏光検出素子を形成して、実際に光デバイス320に入力された光の偏光方向を直接モニターするという方法が考えられる。
【0011】
たとえば、特許文献1には、ジオデシックレンズによりTE光およびTM光が互いに異なる地点に集光することを利用した偏光検出素子が記載されてる。この偏光検出素子では、TE光およびTM光の混ざった光をグレーティングカプラを介して基板上の光導波層に導波するとともに、同じ基板上のジオデシックレンズを用いてTE光およびTM光をそれぞれ別の位置に集光させ、異なる位置に集光したTE光およびTM光をそれぞれ同一基板上に形成された光電変換素子により電流に変換し、同じ基板上に搭載されたアンプを介して電流信号として観測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−334758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載されたようなジオデシックレンズや光電変換素子を、試作段階の光デバイス上に形成して光を照射してその透過光であるTE光およびTM光それぞれの振る舞いを調べることができれば、TE光およびTM光それぞれに対するデバイスの応答を調べることが可能になるとも考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載されたジオデシックレンズは、焦点距離が通常20mm程度と光デバイスの大きさに比べると長いので、たとえば、光デバイスの大きさが数mm角程度と小さい場合にはこの方法を採用することはできない。また、光デバイス中に光電変換素子を形成する必要があるため、試作段階の光デバイスの特性を評価する方法としては、工数およびコストが嵩みすぎてしまうという問題もある。
【0014】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、光デバイスの特性を精度よく且つ低コストにて測定する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる光デバイスの特性測定装置は、光源と、前記光源からの光の偏光方向を調整する偏光子と、前記偏光方向が調整された光を伝搬する光ファイバーと、所定位置に配置され、複屈折性を有するフィルターを含む光デバイスの入力端子の位置に対し、前記光ファイバーの出力端部の位置を調整する調芯手段と、前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記フィルターから出力された光を検出する検出手段と、前記調整された光の偏光方向と、前記検出された光の周波数および強度とに基づいて前記フィルターから出力された光の偏光方向を分析する偏光方向分析手段とを少なくとも備える。
【0016】
このような本発明にかかる光デバイスの特性測定装置において、前記光デバイスは、入力された光を処理して出力する複数の機能部を有し、これらの機能部は、前記入力端子から入力された光を分岐する方向性結合器と、前記フィルターと、その他の機能部とを含み、前記方向性結合器は、分岐した光を前記フィルターと前記その他の機能部とにそれぞれ入力するものとしてもよい。
【0017】
また、本発明にかかる光デバイスの特性測定装置において、前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記その他の機能部から出力された光を分析する分析手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0018】
さらに、本発明にかかる光デバイスの特性測定装置において、前記フィルターは、二本の導波路と、これら二本の導波路と近接するリング導波路とからなるリング共振器としてもよい。
【0019】
また、本発明にかかる光デバイスの特性測定装置において、前記偏光方向分析手段は、前記光源から前記光ファイバーを介して出力される光の偏光方向を前記偏光子によりTE光(TM光)に調整したときには、前記検出された光のうち強度の大きい周波数成分をTE成分(TM成分)と同定するとともに、強度の小さい周波数成分をTM成分(TE成分)と同定し、前記同定したTE成分およびTM成分の強度比から前記光デバイスに入力された光の偏光方向を分析する手段としてもよい。
【0020】
本発明にかかる光デバイスの特性測定方法は、光源からの光の偏光方向を偏光子の向きにより調整する第1の工程と、所定位置に配置され、複屈折性を有するフィルターを含む光デバイスの入力端子の位置に対し、前記光ファイバーの出力端部の位置を調整する第2の工程と、前記偏光方向が調整された光を前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力するとともに、この光デバイスを透過した光のうち、前記フィルターから出力された光を検出する第3の工程と、前記第1の工程で調整された前記光の偏光方向と、前記第3の工程で検出された光の波長および強度とに基づいて、前記フィルターから出力された光の偏光方向を分析する第4の工程とを少なくとも備える。
【0021】
このような本発明にかかる光デバイスの特性測定方法において、前記光デバイスは、入力された光を処理して出力する複数の機能部を有し、これらの機能部は、前記入力端子から入力された光を分岐する方向性結合器と、前記フィルターと、その他の機能部とを含み、前記方向性結合器は、分岐した光を前記フィルターと前記その他の機能部とにそれぞれ入力するものとしてもよい。
【0022】
また、本発明にかかる光デバイスの特性測定方法において、前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記その他の機能部から出力された光を分析する第5の工程をさらに含むものとしてもよい。
【0023】
さらに、本発明にかかる光デバイスの特性測定方法において、前記フィルターは、二本の導波路と、これら二本の導波路と近接するリング導波路とからなるリング共振器としてもよい。
【0024】
また、本発明に係る光デバイスの特性測定方法において、前記第1の工程は、前記光源から前記光ファイバーを介して出力される光の偏光方向を前記偏光子によりTE光(TM光)に調整する工程とし、前記第4の工程は、前記第3の工程で検出された光のうち強度の大きい周波数成分をTE成分(TM成分)と同定するとともに、強度の小さい周波数成分をTM成分(TE成分)と同定し、前記同定したTE成分およびTM成分の強度比から前記光デバイスに入力された光の偏光方向を分析する工程としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる光デバイスの特性測定装置および特性測定方法によれば、偏光子により予め偏光方向が調整された光を複屈折性を有するフィルターを含む光デバイスに入力するとともに、この光デバイスを透過した光のうち前記フィルターから出力された光を検出する。この際、予め調整した偏光方向と、検出した光の周波数および強度とに基づいて、前記フィルターから出力された光の偏光方向の変化を分析することができる。したがって、光ファイバーの調芯作業に際して、光デバイスに入力する光の偏光方向に変化が生じたときでも、この偏光方向の変化をモニターして光デバイスの特性を精度よく測定することができる。
さらに、光デバイスに光電変換素子を形成する必要がないので、低コストにて光デバイスの特性を測定することができる。
【0026】
また、本発明に係る光デバイスの特性測定装置および特性測定方法によれば、特に、前記光デバイスは、入力された光を処理して出力する複数の機能部を有し、これらの機能部は、前記入力端子から入力された光を分岐する方向性結合器と、前記フィルターと、その他の機能部とを含み、前記方向性結合器は、分岐した光を前記フィルターと前記その他の機能部とにそれぞれ入力するものである場合、前記フィルターを透過した光を検出して分析することにより、光デバイスに入力された光の偏光方向の変化をモニターしながら、前記その他の機能部を透過した光の検出して分析することにより、偏光方向の変化が既知の光に対する前記その他の機能部の特性を測定することができる。したがって、光ファイバーの調芯作業に際して、光デバイスに入力する光の偏光方向に変化が生じたときでも、この偏光方向の変化をモニターしながら前記その他の機能部の特性を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係る特性測定方法において用いられる光デバイスの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光デバイスの特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る特性測定方法において用いられる光デバイスを透過した光のスペクトルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る特性測定方法において用いられる光デバイスの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定方法に使用する装置を説明するための図である。
【図7】従来の光デバイスの特性測定方法に使用する装置を説明するための図である。
【図8】従来の光デバイスの特性測定方法に使用する装置を説明するための図である。
【図9】従来の光デバイスの特性測定方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施の形態1に係る光デバイスの特性測定装置および特性測定方法は、光デバイスに偏光をもつ光を入力するとともに光デバイスから出力された光を検出し、検出した光の周波数・強度を分析することにより光デバイスの特性測定を行なうものである。
【0029】
まず、本発明の実施の形態1に係る光デバイスの特性測定装置の構成を説明する。
実施の形態1に係る光デバイスの特性測定装置は、背景技術で用いた図7および図8に示すように、偏光をもたない光を生成する光源100、光源100からの光を伝搬する光ファイバー102および106、光源から照射される光の偏光方向を所望の向きに調整する第1の偏光子104、光ファイバー106の端部の位置を調整する調芯機108、光ファイバー106からの光の偏光方向を調べる際に用いる第2の偏光子110およびCCDカメラ112、試料となる光デバイス320の位置を調整するXYZステージ114、光デバイス320から出力された光を検出・分析するスペクトル分析器132、光デバイス320から出力される光をスペクトル分析器132に伝搬する光ファイバー130から構成される。
ここで、光源100が光源に相当し、偏光子104,110が偏光子に相当し、光ファイバー106が光ファイバーに相当し、調芯機108やXYZステージ114が調芯手段に相当し、光ファイバー130とスペクトル分析器132との組み合わせが検出手段に相当し、スペクトル分析器132が偏光方向分析手段に相当する。
なお、実施の形態1に係る測定装置の各構成要素は、背景技術として説明した従来のものと共通するため、これらについては背景技術と同一の符号を用いた。
【0030】
次に、本発明の実施の形態1で用いられる光デバイス120の構成を説明する。
光デバイス120は、数mm角程度の大きさのSOI(Silicon on Insulator)基板の上にリング共振器124(複屈折性を有するフィルターに相当する。)が形成されている。フィルターは、SOI基板上に形成された直線導波路121,123と、直線導波路121,123に近接するリング導波路122と、出力端子125とを基本的な構成要素としている。
ここで、直線導波路121,123やリング導波路122は、それぞれシリコン(Si)からなるコアが、二酸化珪素(SiO2)などからなる下部クラッド・上部クラッドにより覆われてなる構造をしている。コアは方形あるいは台形で、その各辺は150〜500nm程度の長さである。
また、出力端子125にはV字溝が形成されており、光ファイバー130の端部をこの出力端子に嵌め込むと共に、接着剤により固定することができるよう構成されている。
【0031】
次いで、光デバイス120に光が入力された際の動作について説明する。
リング共振器124を構成する、リング導波路122と直線導波路121,123との間の距離はそれぞれ約100〜500nmと、近接している。このため、直線導波路121から伝搬されてきた光の一部がクロストークによりリング導波路122に伝搬し、リング導波路122に共振する所定の周波数の光だけが抽出されたうえで直線導波路123を経由して出力端子125から出力される。
【0032】
ここで、リング導波路122を構成するシリコンからなるコアの屈折率がTE成分およびTM成分で異なることや導波路の断面形状における幅・厚さの比率などに起因して、光がリング導波路122を透過する際の振る舞いは、TE成分およびTM成分で差異を生じる。このため、リング共振器124から抽出されて出力端子125から出力される光の周波数は、TE成分とTM成分とで互いに異なったものとなる。
この互いに異なる周波数として出力されるTE成分およびTM成分の強度を分析することにより、光デバイス120に入力された光の偏光方向の変化をモニターすることが可能となる。
【0033】
次に、本発明の実施の形態1に係る光デバイスの特性測定方法により光デバイス120の特性測定を行なう手順を、主に図2を参照して説明する。
実施の形態1に係る光デバイスの特性測定方法は、図2に示すように、大きく分けて、光源100からの光の偏光方向を調節する工程(ステップS110)、光デバイス120を配置すると共に光ファイバー106の位置を調節する工程(ステップS120)、光デバイス120に光を入力して出力された光を検出する工程(ステップS130)、光デバイス120の特性分析を行なう工程(ステップS140)、という四つの工程から構成されている。以下、各工程を順番に説明する。
【0034】
まず、第1の偏光子104の向きを調整することにより、光源100からの光の偏光方向を調整する(ステップS110)。具体的な調整の仕方は、背景技術の説明ですでに述べた通りである。なお、実施の形態1では、説明の便宜上、第2の偏光子110の位置における光の偏光方向をTE光(後述するステップS120の工程で配置する光デバイス120に対するTE光)に調整することにする。
【0035】
次いで、第2の偏光子110を退け、もともと第2の偏光子110があった位置に試料となる光デバイス120を配置し、光ファイバー106の端部の調芯を行なう(ステップS120)。
ここで、光デバイス120の出力端子125に、予め光ファイバー130の端部のうち一方を嵌め込んで接着剤により固定し、光ファイバー130の端部のうち他方をスペクトル分析器132と接続しておくことに留意されたい。これにより、光デバイス120に光を入力したときに、光デバイス120を透過して出力端子125から出力される光をスペクトル分析器132により検出することができる。
なお、光ファイバー106の端部と光デバイス120の入力端子である直線導波路122との間の位置関係は約50nm程度の微細なオーダーで調整する必要があるので、光デバイス120を搭載するXYZステージ114により光デバイス120のおおよその位置調整をした後に、光ファイバー106の端部の位置を調芯機108により調整し、最終的な調芯を行なう。この場合、光ファイバー106に加わる応力が変化することに起因して、光ファイバー106の内部を伝搬する光の偏光方向が変化する恐れがあることについては、上述したとおりである。
【0036】
続いて、光源100から光デバイス120に対して光を入力し、その透過光をスペクトル分析器132で検出する(ステップS130)。
具体的には、まず、光源100からの光を、図2のステップS110の工程にて向きを調整した第1の偏光子104や図2のステップS120の工程にて端部の位置を調整した光ファイバー106を介して光デバイス120の入力端子としての直線導波路122に入力する。すると、上述したように、リング共振器124から抽出されて出力端子125から出力される光の周波数は、TE成分とTM成分とで互いに異なったものとなるので、スペクトル分析器132により検出した光のスペクトルは、図3(a)に示すように、互いに周波数が異なる二本のピークとして現れる。これら二本のピークは、一方がスペクトル分析器132が検出した光のうちTE成分の強度を現し、他方がTM成分の強度を現している。このため、スペクトル分析器132が検出した光がTE成分のみであったときや、TM成分のみであったときには、図3(b),(c)に示すように、ピークは一本のみ現れる。
【0037】
次いで、光デバイス120の特性分析を行なう(ステップS140)。
ここでは、光デバイス120の機能はもっぱらリング共振器124により特定周波数の光を抽出する機能にあるので、たとえば、リング共振器124により抽出されたTE光およびTM光の周波数や強度,透過率などが所望の値となっているか否かを調べる。
【0038】
この際、上述したように、図3(a)に示すような、二本のピークをもつスペクトルを得た場合、光の偏光方向の変化を求めるために、二本のピークをそれぞれTE成分およびTM成分のいずれかと同定し、偏光方向の変化が大きいか否かを判断する必要がある。
ここで、図2のステップS120の工程にて光ファイバー106の端部を僅かほどしか動かしていないため、光ファイバー106の端部から照射される光の偏光方向の変化も僅かであると考えられる。したがって、二本のピークのうち強度が大きい方を図2のステップS110の工程にて偏光方向を調整したTE光と同じ偏光方向をもつTE成分と同定し、他方のピークをこれに直交するTM成分と同定することができる。
【0039】
なお、リング共振器124のTE光に対する屈折率とTM光に対する屈折率との間の差が大きいほど、スペクトル分析器132により検出された光のうちTE成分の周波数と、TM成分の周波数との間の差が顕著になる。このため、TE成分およびTM成分を周波数の差により区別するという観点からは、リング共振器124のTE光に対する屈折率とTM光に対する屈折率との間の差はなるべく大きい方が望ましい。この点、リング共振器124では、他の形態の共振器に比べてTE光に対する屈折率とTM光に対する屈折率との間の差を大きくしやすいという利点がある。
【0040】
また、リング共振器124の光に対する結合度を低くすることにより、つまり、リング導波路122と直線導波路121,123との間のギャップを大きくすることにより、リング導波路122に結合するわずかな周波数幅の光だけが共振できることになり、周波数分解能を高くすることができる。この結果、スペクトルのピークの周波数幅が狭くなり、より同定がしやすくなる。
【0041】
図3(a)に示すような、二本のピークをもつスペクトルを得たならば、目視によりTE成分およびTM成分のおおよその比率を判断することも可能である。しかしながら、このスペクトルに対して、たとえば、二つのローレンツ関数の重ね合わせとしてフィッティングを行なうことによって、TE成分およびTM成分それぞれの正確な周波数・強度を求めた後に、TE成分の強度に対するTM成分の強度の比率を求めることもできる。
ここで、TE成分の強度に対するTM成分の強度の比率は、図2のステップS120の工程によって生じた光の偏光方向の変化の度合いを示す物理量でもある。したがって、TE成分の強度に対するTM成分の強度の比率が閾値(たとえば、5%や10%など)より小さいときに、光の偏光方向の変化は無視できるほど小さいとみなし、得られたスペクトルを、TM光の混合度が少ない、純粋なTE光に対する光デバイス120の応答とみなして分析することができる。
また、TM成分の強度がより小さくなるよう、スペクトルの変化の様子を観測しながら、第1の偏光子104の向きを微調整するという手だても考えられる。
【0042】
こうして、TE光に対する光デバイス120の応答を分析した後に、スペクトルの変化の様子を観測しながら、第1の偏光子104の向きを90°変更することにより、今度は光デバイス120に入力される光を純粋なTM光に調整することもできる。このため、TM光に対する光デバイス120の応答を分析することも容易である。このようにして、TE光およびTM光の双方に対する光デバイス120の応答を精度よく測定することができるのである。
【0043】
以上、本発明の実施の形態1に係る光デバイスの特性測定方法および特性測定装置によれば、第1の偏光子104により予め偏光方向が調整された光をリング共振器124を含む光デバイス120に入力するとともに、光デバイス120を透過した光のうちリング共振器124から出力された光を検出する。この際、第1の偏光子104により予め調整した偏光方向と、検出した光の周波数および強度とに基づいて、リング共振器124から出力された光の偏光方向の変化を分析することができる。したがって、光ファイバー106の調芯作業に際して、光デバイス120に入力する光の偏光方向に変化が生じたときでも、この偏光方向の変化をモニターして光デバイス120の特性を精度よく測定することができる。
さらに、光デバイス120に光電変換素子を形成する必要がないので、低コストにて光デバイス120の特性を測定することができる。
【0044】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定装置および特性測定方法も、実施の形態1と同じく、光デバイスに偏光をもつ光を入力するとともに光デバイスから出力された光を検出し、検出した光の周波数・強度を分析することにより光デバイスの特性測定を行なうものである。
【0045】
まず、本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定装置の構成を説明する。
実施の形態2に係る光デバイスの特性測定装置は、図6および図7に示すように、実施の形態1で用いた、偏光をもたない光を生成する光源100、光源100からの光を伝搬する光ファイバー102および106、光源から照射される光の偏光方向を所望の向きに調整する第1の偏光子104、光ファイバー106の端部の位置を調整する調芯機108、光ファイバー106からの光の偏光方向を調べる際に用いる第2の偏光子110およびCCDカメラ112、試料となる光デバイス320の位置を調整するXYZステージ114、光デバイス320から出力された光を検出・分析するスペクトル分析器132、光デバイス320から出力される光をスペクトル分析器132に伝搬する光ファイバー130に加えて、光デバイス220から出力される光を検出・分析するスペクトル分析器138,光デバイス220から出力される光を伝搬する光ファイバー136,光ファイバー136の端部の位置を調整する調芯機134から構成される。
ここで、光源100が光源に相当し、偏光子104,110が偏光子に相当し、光ファイバー106が光ファイバーに相当し、調芯機108やXYZステージ114が調芯手段に相当し、光ファイバー130とスペクトル分析器132との組み合わせが検出手段に相当し、スペクトル分析器132が偏光方向分析手段に相当し、スペクトル分析器138が分析手段に相当する。
なお、実施の形態2に係る測定装置の各構成要素のうち、背景技術として説明したものと重複するものについては背景技術と同一の符号を用いた。
【0046】
次に、実施の発明2で用いられる光デバイス220の構成を説明する。
光デバイス220は、数mm角程度の大きさのSOI基板の上に導波路が形成されている点で、実施の形態1に係る光デバイス120と共通している。また、リング共振器228が設けられている点でも、実施の形態1に係る光デバイス120と共通している。
しかしながら、光デバイス220には、直線導波路221からの光路を二つに分岐する方向性結合器222や、方向性結合器222により分岐された光路の一方の先にラティスフィルター223が設けられている点が、実施の形態1に係る光デバイス120とは大きく異なる。
なお、光デバイス220はラティスフィルター223の特性を測定するために作成された試作段階の試料であり、方向性結合器222やリング共振器228,出力端子229は、ラティスフィルター223の特性を測定する際の便宜を図るために設けられたものである。
【0047】
続いて、光デバイス220に光が入力された際の動作について説明する。
直線導波路221から入力された光は方向性結合器222により二つに分岐され、一方はラティスフィルター223へと導波され、他方はリング共振器228へと導波される。ここで、方向性結合器222は、たとえば入力された光のうち数%〜50%程度をリング共振器228に導波するものとする。
方向性結合器222による分岐機能は、入力された光の周波数に依存するものの、数十PHz程度の周波数帯域(すなわち、数十nm程度の波長帯域。)の光をほぼ同じ強度で分岐することが可能である。
なお、ラティスフィルター223に伝搬された光は、ラティスフィルター223に設けられた回折格子の幅に依存する所望の周波数の光だけが抽出されて、直線導波路224から出力されることが期待される。
リング共振器228に伝搬され、出力端子229から出力される光は、TE成分とTM成分とで互いに周波数が異なるものとなるが、この理由は上述したとおりである。
【0048】
次に、本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定方法により光デバイス220の特性測定を行なう手順を、主に図5を参照して説明する。
実施の形態2に係る光デバイスの特性測定方法は、図5に示すように、大きく分けて、光源100からの光の偏光方向を調節する工程(ステップS210)、光デバイス220を配置すると共に光ファイバー106,130の位置を調節する工程(ステップS220)、光デバイス220に光を入力して出力された光を検出する工程(ステップS230)、検出した光の偏光方向を求める工程(ステップS240)、光デバイス220の特性分析を行なう工程(ステップS250)、という五つの工程から構成されている。以下、各工程を順番に説明する。
【0049】
まず、第1の偏光子104の角度を調整することにより、光源100の偏光方向を調整する(ステップS210)。具体的な調整の仕方は、背景技術の説明ですでに述べた通りである。なお、実施の形態2では、説明の便宜上、第2の偏光子110の位置における光の偏光方向をTE光(後述するステップS220の工程で配置する光デバイス220に対してTE光)に調整する。
【0050】
次いで、第2の偏光子110を退け、もともと第2の偏光子110があった位置に試料となる光デバイス220を配置し、光ファイバー106の出力端部や光ファイバー136の入力端部の調芯を行なう(ステップS220)。
光ファイバー106の調芯を行なう方法は、実施の形態1で図2のステップS120で説明した通りである。しかしながら、光デバイス220の出力端子224に対しても、XYZステージ134を操作することにより光ファイバー136の端部の位置を調節して調芯を行なう点が実施の形態1とは異なる。
このような構成にすることにより、後述するように、光デバイス220に入力された光の応答を二つのスペクトル分析器132,138で同時に調べることが可能となる。
【0051】
続いて、光源100から光デバイス220に対して光を入力し、その透過光をスペクトル分析器132,138で検出する(ステップS230)。
詳細には、まず、光源100からの光を、図5のステップS210の工程にて向きを調整した第1の偏光子104や図5のステップS220の工程にて端部の位置を調整した光ファイバー106を介して光デバイス220の入力端子としての直線導波路221に入力する。すると、直線導波路221に入力された光は方向性結合器222により二つに分岐され、一方はラティスフィルター223へと導波され、他方はリング共振器228へと導波される。そこで、ラティスフィルター223を透過して出力端子224から出力された光を光ファイバー136を介してスペクトル分析器138で検出すると共に、リング共振器228を透過して出力端子229から出力された光を光ファイバー130を介してスペクトル分析器132により検出する。
ここで、スペクトル分析器132により検出した光は、リング共振器228を透過しているので、実施の形態1で説明したように、TE成分とTM成分とで互いに周波数が異なる二本のピークを有するスペクトルとして観測することができる。
【0052】
次いで、検出した光の偏光方向を分析する(ステップS240)。
具体的には、実施の形態1で説明した図2のステップS140と同様の手順によって、スペクトル分析器132により検出した光の偏光方向の変化が無視できるほど小さいか否かを調べる。
なお、光デバイス220に入力された光は方向性結合器222により分岐されているところ、方向性結合器222における光結合の程度はTE成分およびTM成分で異なるため、リング共振器228まで到達した光のTE成分およびTM成分の割合は、入力された光のTE成分およびTM成分の割合と必ずしも一致するわけではない。しかしながら、モードマッチング法などで計算するとTE成分とTM成分との間の光結合の程度の差は高々3dBと、小さいことが分かっている。
【0053】
続いて、光デバイス220の特性分析を行なう(ステップS250)。
具体的には、図5のステップS230の工程にて観測した、ラティスフィルター223を透過した光のスペクトルを分析することにより、光デバイス220(ラティスフィルター223)の特性を評価する。
ここで、ラティスフィルター223を透過した光のなかにはTE成分とともに、TM成分が混合しているおそれがあるが、図5のステップS240の工程にて、光デバイス220に入力された光の偏光方向の変化を調べ、TM成分の割合が無視できるほど小さいと判断した場合には、スペクトル分析器138により検出したラティスフィルター223に入力された光に含まれるTM成分の割合も無視できるほど小さいと判断し、スペクトル分析器138により得たスペクトルを純粋なTE光に対するラティスフィルター223の応答であるとみなして、信頼性の高い分析を行なうことができる。
ここでは、TE光に対する光デバイス220の応答を調べる際の手順を例として説明したが、第1の偏光子104の向きを90°変更することによってTM光に対する光デバイス220の応答も調べることができる。
【0054】
このようにして、ラティスフィルター223のTE光およびTM光に対する特性を調べ、所望の結果が得られたときには、次は光デバイス220の量産する段階に入る。
ここで、光デバイス220の機能がもっぱらラティスフィルター223によるものであり、方向性結合器222やリング共振器228,出力端子229は試作品の検査をするために設けられたものであるから、量産する段階では、これらについては設ける必要がないのは言うまでもない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態2に係る光デバイスの特性測定方法および特性測定装置によれば、リング共振器228を透過した光を検出して分析することにより、光デバイス220に入力された光の偏光方向の変化をモニターしながら、ラティスフィルター223を透過した光の検出して分析することにより、偏光方向の変化が既知の光に対するラティスフィルター223の特性を測定することができる。したがって、光ファイバー106の調芯作業に際して、光デバイス220に入力する光の偏光方向に変化が生じたときでも、この偏光方向の変化をモニターしながらラティスフィルター223の特性を精度よく測定することができる。
【0056】
なお、実施の形態2では、光デバイス220の主たる機能を果たす構成要素としてラティスフィルター223を挙げたが、ラティスフィルター223に限定されるものではなく、センサやスプリッタなど、他の構成要素を用いてもかまわない。
【0057】
また、実施の形態1,2では、リング共振器122,228を用いて光デバイスに入力された光をTE成分とTM成分とで異なる周波数として分離して抽出しているが、リング共振器に限られず、複屈折性を有するフィルターであれば、たとえばラティスフィルターなど、他の形態のフィルターを用いてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、光デバイスの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
100…光源、102…光ファイバー、104…第1の偏光子、106…光ファイバー、108…調芯機、110…第2の偏光子、112…CCDカメラ、114…XYZステージ、120…光デバイス、121…直線導波路、122…リング導波路、123…直線導波路、124…リング共振器、125…出力端子、130…光ファイバー、132…スペクトル分析器、134…調芯機、136…光ファイバー、138…スペクトル分析器、220…光デバイス、221…直線導波路、222…方向性結合器、223…ラティスフィルター、224…直線導波路、226…リング導波路、227…直線導波路、228…リング共振器、229…出力端子、320…光デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光の偏光方向を調整する偏光子と、
前記偏光方向が調整された光を伝搬する光ファイバーと、
所定位置に配置され、複屈折性を有するフィルターを含む光デバイスの入力端子の位置に対し、前記光ファイバーの出力端部の位置を調整する調芯手段と、
前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記フィルターから出力された光を検出する検出手段と、
前記調整された光の偏光方向と、前記検出された光の周波数および強度とに基づいて前記フィルターから出力された光の偏光方向を分析する偏光方向分析手段と
を少なくとも備えることを特徴とする光デバイスの特性測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光デバイスの特性測定装置において、
前記光デバイスは、入力された光を処理して出力する複数の機能部を有し、
これらの機能部は、前記入力端子から入力された光を分岐する方向性結合器と、前記フィルターと、その他の機能部とを含み、
前記方向性結合器は、分岐した光を前記フィルターと前記その他の機能部とにそれぞれ入力する
ことを特徴とする光デバイスの特性測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光デバイスの特性測定装置において、
前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記その他の機能部から出力された光を分析する分析手段
をさらに備えることを特徴とする光デバイスの特性測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光デバイスの特性測定装置において、
前記フィルターは、二本の導波路と、これら二本の導波路と近接するリング導波路とからなるリング共振器である
ことを特徴とする光デバイスの特性測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光デバイスの特性測定装置において、
前記偏光方向分析手段は、前記光源から前記光ファイバーを介して出力される光の偏光方向を前記偏光子によりTE光(TM光)に調整したときには、前記検出された光のうち強度の大きい波長成分をTE成分(TM成分)と同定するとともに、強度の小さい波長成分をTM成分(TE成分)と同定し、前記同定したTE成分・TM成分の強度比から前記光デバイスに入力された光の偏光方向を分析する手段である
ことを特徴とする光デバイスの特性測定装置。
【請求項6】
光源からの光の偏光方向を偏光子の向きにより調整する第1の工程と、
所定位置に配置され、複屈折性を有するフィルターを含む光デバイスの入力端子の位置に対し、前記光ファイバーの出力端部の位置を調整する第2の工程と、
前記偏光方向が調整された光を前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力するとともに、この光デバイスを透過した光のうち、前記フィルターから出力された光を検出する第3の工程と、
前記第1の工程で調整された前記光の偏光方向と、前記第3の工程で検出された光の波長および強度とに基づいて、前記フィルターから出力された光の偏光方向を分析する第4の工程と
を少なくとも備えることを特徴とする光デバイスの特性測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光デバイスの特性測定方法において、
前記光デバイスは、入力された光を処理して出力する複数の機能部を有し、
これらの機能部は、前記入力端子から入力された光を分岐する方向性結合器と、前記フィルターと、その他の機能部とを含み、
前記方向性結合器は、分岐した光を前記フィルターと前記その他の機能部とにそれぞれ入力する
ことを特徴とする光デバイスの特性測定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光デバイスの特性測定方法において、
前記光ファイバーを介して前記入力端子から前記光デバイスに入力され、この光デバイスを透過した光のうち、前記その他の機能部から出力された光を分析する第5の工程
をさらに含むことを特徴とする光デバイスの特性測定方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の光デバイスの特性測定方法において、
前記フィルターは、二本の導波路と、これら二本の導波路と近接するリング導波路とからなるリング共振器である
ことを特徴とする光デバイスの特性測定方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の光デバイスの特性測定方法において、
前記第1の工程は、前記光源から前記光ファイバーを介して出力される光の偏光方向を前記偏光子によりTE光(TM光)に調整する工程であり、
前記第4の工程は、前記第3の工程で検出された光のうち強度の大きい波長成分をTE成分(TM成分)と同定するとともに、強度の小さい波長成分をTM成分(TE成分)と同定し、前記同定したTE成分・TM成分の強度比から前記光デバイスに入力された光の偏光方向を分析する工程である
ことを特徴とする光デバイスの特性測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7655(P2011−7655A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151992(P2009−151992)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】