説明

光トランシーバ

【課題】ガスケットの密着性を確保して、電磁遮蔽効果を確保することができる光トランシーバを提供することを目的とする。
【解決手段】光トランシーバは、電気光学部品11と、電気光学部品11を収納する導電性のケース10と、ケース10に取り付けられた導電性のカバー16と、ケース10とカバー16の間に介在する導電性のガスケット34と、を有し、ガスケット34は、閉曲線に沿って延びる無端形状を有し、弾力性を有し、ケース10及びカバー16に挟まれることで圧縮されて生じる弾性力でケース10とカバー16に密着し、ケース10は、ガスケット34が収容される溝42を有し、溝42は、ガスケット34の圧縮前の太さよりも大きい幅を有する第1溝部43と、ガスケット34の圧縮前の太さよりも小さい幅を有する第2溝部45と、を有し、第2溝部45でガスケット34が幅方向に圧縮されて保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバでは、光学部品や電子部品から発せられる不要電磁波が、光トランシーバの筺体を構成する部品の合わせ目の間隙から漏洩することが問題となっていた。そこで、導電性のガスケットを部品の合わせ目に固着させたり、溝に挟持させたりして、間隙を導電部材で埋めることで、電磁遮蔽していた。また、部品の合せ目の間隙が加工公差により増減することや接触面の増大を加味して、弾性体からなるガスケットを使用して、これを押圧して用いている。したがって、ガスケットを溝に狭持させる場合、溝ですでにガスケットが圧縮されているので、押圧による変形が抑制されて反発力が増す。これが原因となって筺体が変形し、合わせ目の密閉度を減少させ、間隙の増加によるノイズ漏れが問題となる。
【0003】
このような問題を解決するために、特許文献1では、部品の合わせ目に窪みを設け、この窪みにガスケットの突起部を入れることでその反発力を低減させ、密閉度を損なうことなく電磁遮蔽可能な構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−68377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、ガスケットを係着させる経路が複雑となる場合や間隙が十分に設けられない場合には不向きである。また、ガスケットの突起部の形成も、小型化、高密度化実装化が進む光トランシーバに適用することが難しい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ガスケットの密着性を確保して、電磁遮蔽効果を確保することができる光トランシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る光トランシーバは、電気光学部品と、前記電気光学部品を収納する導電性のケースと、前記ケースに取り付けられた導電性のカバーと、前記ケースと前記カバーの間に介在する導電性のガスケットと、を有し、前記ガスケットは、閉曲線に沿って延びる無端形状を有し、弾力性を有し、前記ケース及び前記カバーに挟まれることで圧縮されて生じる弾性力で前記ケースと前記カバーに密着し、前記ケースは、前記ガスケットが収容される溝を有し、前記溝は、前記ガスケットの圧縮前の太さよりも大きい幅を有する第1溝部と、前記ガスケットの圧縮前の太さよりも小さい幅を有する第2溝部と、を有し、前記第2溝部で前記ガスケットが前記幅方向に圧縮されて保持されていることを特徴とする。本発明によれば、第1溝部の幅がガスケットの圧縮前の太さよりも大きいので、ケース及びカバーに挟まれることで圧縮されても、反発力が小さい。したがって、カバーの変形を防止することができるので、ガスケットの密着性を確保して、電磁遮蔽効果を確保することができる。その一方で、ガスケットは、第2溝部で保持することができる。
【0008】
(2)(1)に記載された光トランシーバにおいて、前記カバーは、前記ガスケットの前記弾性力に対抗する外れ止めのための係合部を有し、前記係合部は、前記第2溝部の隣に配置されていることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載された光トランシーバにおいて、前記ガスケットは、前記ケース及び前記カバーに挟まれることで、前記第1溝部で幅方向に膨張して前記溝の側壁面に密着していることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(3)に記載された光トランシーバにおいて、前記ガスケットは、前記溝の全体にわたって、前記側壁面に密着していることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、前記ケースは、開口を有し、前記溝は、前記開口を囲むように形成されていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。
【図2】光トランシーバのカバーを外した状態を示す下面図である。
【図3】光トランシーバの下ケース下面図である。
【図4】光トランシーバの側面図である。
【図5】図4に示す光トランシーバのV−V線断面図である。
【図6】図4に示す光トランシーバのVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。
【0015】
光トランシーバ100は、電気光学部品11を有する。電気光学部品11は、不要電磁波を発生させる部品であり、例えば、少なくとも1つの光送信アセンブリ28や、少なくとも1つの光受信アセンブリ30を含む。光送信アセンブリ28は、電気信号を光信号に変換するための発光素子を内蔵する。光受信アセンブリ30は、光信号を電気信号に変換するための受光素子を内蔵する。光送信アセンブリ28及び光受信アセンブリ30は、それぞれ、回路基板18に搭載され、回路基板18と電気的に接続される。その電気的接続には半田を使用することができる。
【0016】
光送信アセンブリ28や光受信アセンブリ30との光学的接続に入出力用コネクタ22が使用される。入出力用コネクタ22は、たとえばプラスチックで形成された、外部から挿入される光ファイバとの光学的接続のためのコネクタである。入出力用コネクタ22は、入力用コネクタと出力用コネクタとを含む。
【0017】
回路基板18は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる基板と、基板上に形成された図示しない配線パターンと、を含み、下ケース14に図示しないねじで固定される。回路基板18上には、図示しない電子部品が搭載される。また、回路基板18の一端には、外部との電気的接続のための端子20が設けられている。
【0018】
回路基板18には、さらに、多重器24や分離器26が搭載されている。多重器24は、複数の光信号を1つの光信号に多重化して出力するマルチプレクサである。分離器26は、1つの光信号を複数の光信号に分離して出力するデマルチプレクサである。多重器24及び分離器26は、それぞれ、主に金属で形成されている。
【0019】
電気光学部品11は、導電性のケース10に収容されている。ケース10は例えばアルミニウムにニッケルめっきを施したものからなる。ケース10は、種々の部品(光送信アセンブリ28、光受信アセンブリ30など)を収納するための内部空間を有する。ケース10は、その内部空間に収納される部品を保護する役割を果たす。ケース10は、上ケース12と下ケース14を含み、両者はたとえば図示しないねじで固定される。上ケース12と下ケース14の間には導電性のガスケット32が設けられ、不要電磁波の漏れを防止しているが、その詳細は周知であるため説明を省略する。入出力用コネクタ22は、ケース10の内側に形成された収納部に嵌め込んで固定される。多重器24及び分離器26は、それぞれ、ケース10に図示しないねじで固定されている。
【0020】
ケース10(下ケース14)は、開口13を有している。開口13は、部品の取り付けの便宜上形成される。例えば、上ケース12と下ケース14を固定してケース10を構成した後に、電気光学部品11などの部品を開口13から回路基板18に搭載する。
【0021】
ケース10には、導電性のカバー16が取り付けられている。カバー16は例えばステンレスからなる。カバー16は、剛性を高めるため、周縁部が曲げ加工されている。カバー16は、ケース10の開口13を覆うように配置されており、ケース10と併せて内部空間に収納される部品を保護する役割を果たす。カバー16は、ケース10の開口13から漏れ出る不要電磁波を遮断する役割も果たす。なお、ケース10に開口13が無くても、カバー16を取り付けることで電磁波を遮断する効果が高まる。
【0022】
ケース10とカバー16の間に導電性のガスケット34が介在する。ガスケット34は、閉曲線に沿って延びる無端形状を有する。ガスケット34は、たとえばシリコーンゴムと銀の2層から形成された、電磁波遮蔽可能なチューブ状の弾性部材である。ガスケット34は、弾力性を有している。ガスケット34は、ケース10及びカバー16に挟まれることで圧縮されて生じる弾性力でケース10とカバー16に密着する。
【0023】
図2は、光トランシーバ100のカバー16を外した下面図である。ケース10(下ケース14)は、ガスケット34が収容される溝42を有する。溝42は、開口13を囲むように形成されている。上ケース12や回路基板18、多重器24、分離器26をねじ締結するため、ねじ穴を複数設ける必要があるため、溝42の経路は複雑になる。
【0024】
図3は、下ケース14の下面図である。溝42は、幅の異なる第1溝部43及び第2溝部45を含む。第1溝部43は、ガスケット34の圧縮前の太さよりも大きい幅を有する。第2溝部45は、ガスケット34の圧縮前の太さよりも小さい幅を有する。溝42の凸部40によって第2溝部45が形成される。溝42は、複数の第2溝部45を有し、それ以外の部分が第1溝部43である。第2溝部45でガスケット34が幅方向に圧縮されて保持(挟持)される。
【0025】
本実施形態によれば、第1溝部43の幅がガスケット34の圧縮前の太さよりも大きいので、ケース10及びカバー16に挟まれることで圧縮されても、反発力が小さい。したがって、カバー16の変形を防止することができるので、ガスケット34の密着性を確保して、電磁遮蔽効果を確保することができる。
【0026】
図4は、光トランシーバ100の側面図である。図5は、図4に示す光トランシーバ100のV−V線断面図である。図6は、図4に示す光トランシーバ100のVI−VI線断面図である。
【0027】
図5及び図6に示すように、ガスケット34は、溝42の全体にわたって、側壁面に密着している。ガスケット34は、ケース10及びカバー16に挟まれることで、特に、第1溝部43でも、幅方向に膨張して溝42の側壁面に密着している。これにより、ガスケット34に囲まれた領域の全体を切れ目なく電磁的にシールドすることができる。
【0028】
図5に示すように、カバー16は、ガスケット34の弾性力に対抗する外れ止めのための係合部15を有する。係合部15は、カバー16の曲げ加工された周縁部に形成された係合孔36である。下ケース14に形成された係合用突起38が、カバー16の係合孔36に係合することで、カバー16の下ケース14からの外れ止めが図られる。
【0029】
第2溝部45(凸部40)の隣に、カバー16の係合部15が位置している。第2溝部45では、ガスケット34を溝42の幅方向に圧縮するため反発力が大きいが、その部分の隣でカバー16を下ケース14に係合させている。したがって、反発力を係合で対抗することができるのでカバー16の変形を防止することができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。また上記実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0031】
たとえば、上記実施形態では、ガスケット34が円筒チューブ状だが、断面四角形であってもよいし、中実状であってもよい。また、凸部40の形状として四角錐などを採用してもよい。カバー16と下ケース14との固定方法は、係合のみならずねじ締結であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 ケース、11 電気光学部品、12 上ケース、13 開口、14 下ケース、15 係合部、16 カバー、18 回路基板、20 端子、22 入出力用コネクタ、24 多重器、26 分離器、28 光送信アセンブリ、30 光受信アセンブリ、32 ガスケット、34 ガスケット、36 係合孔、38 係合用突起、40 凸部、42 溝、43 第1溝部、45 第2溝部、100 光トランシーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学部品と、
前記電気光学部品を収納する導電性のケースと、
前記ケースに取り付けられた導電性のカバーと、
前記ケースと前記カバーの間に介在する導電性のガスケットと、
を有し、
前記ガスケットは、閉曲線に沿って延びる無端形状を有し、弾力性を有し、前記ケース及び前記カバーに挟まれることで圧縮されて生じる弾性力で前記ケースと前記カバーに密着し、
前記ケースは、前記ガスケットが収容される溝を有し、
前記溝は、前記ガスケットの圧縮前の太さよりも大きい幅を有する第1溝部と、前記ガスケットの圧縮前の太さよりも小さい幅を有する第2溝部と、を有し、
前記第2溝部で前記ガスケットが前記幅方向に圧縮されて保持されていることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載された光トランシーバにおいて、
前記カバーは、前記ガスケットの前記弾性力に対抗する外れ止めのための係合部を有し、
前記係合部は、前記第2溝部の隣に配置されていることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光トランシーバにおいて、
前記ガスケットは、前記ケース及び前記カバーに挟まれることで、前記第1溝部で幅方向に膨張して前記溝の側壁面に密着していることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項4】
請求項3に記載された光トランシーバにおいて、
前記ガスケットは、前記溝の全体にわたって、前記側壁面に密着していることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、
前記ケースは、開口を有し、
前記溝は、前記開口を囲むように形成されていることを特徴とする光トランシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−92903(P2012−92903A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240821(P2010−240821)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】