説明

光ナノインプリント用硬化性組成物および硬化性組成物から得られた硬化膜

【課題】ガラス・金属との密着性が高い硬化膜が求められている。また、たとえば、半導体集積回路に形成された硬化膜であって、加熱されても、基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる硬化膜が求められている。たとえば、半導体集積回路の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮し、消耗品も削減することが求められている。
【解決手段】リン酸エステルを有する化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)と、界面活性剤(F)を含む光ナノインプリント用硬化性組成物により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ナノインプリント用硬化性組成物、光ナノインプリント用硬化性組成物から得られた硬化膜(パターン化された硬化膜を含む)およびその形成方法に関する。さらに本発明は、光ナノインプリント用硬化性組成物から得られた硬化膜を有する表示素子等に関する。
【背景技術】
【0002】
光ナノインプリント法は、光ディスク製作ではよく知られているエンボス技術を発展させ、凹凸のパターンを形成した金型原器(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートと呼ばれる)を、レジストにプレスして力学的に変形させて微細パターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノ構造等の微細構造が簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄・排出物が少ないナノ加工技術であるため、近年、さまざまな分野への応用が期待されている。
【0003】
フォトリソグラフィ法に比べて、光ナノインプリント法によるパターン形成は工程が簡単になるうえに、材料使用量の削減も期待できるので、高密度半導体集積回路作成に用いることが提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2にはシリコンウエハをモールドとして用い、25nm以下の微細構造を転写により形成する光ナノインプリント技術が開示されている。
また、特許文献3には、半導体マイクロリソグラフィ分野に適用される光ナノインプリントを使ったコンポジット組成物が開示されている。
【0004】
一方、近年では、半導体集積回路を構成するSi等の半導体材料や、半導体搭載用セラミックス(Al 等)基板の熱膨張係数に近くするために、モリブデン(Mo)を基材とし、この基材の両側に銅(Cu)またはCu合金を被覆した複合材料が提案されている。
さらに、Si等の基板上にTFTを形成した場合、シリコンウエハを使用するため、基板が不透明であり、面積もウエハの大きさ以下に限られる。これを解決するために、ガラス基板上にTFTを形成するという研究が盛んに行われている。
【0005】
そのため、半導体集積回路を作成する光ナノインプリント材料は、金属やガラスとの良好な密着性が要求される。しかしながら、従来は、どちらの基板とも密着性が良好な材料がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,772,905号公報
【特許文献2】米国特許第5,259,926号公報
【特許文献3】特表2005−527110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の状況の下、ガラス・金属との密着性が高い硬化膜が求められている。また、たとえば、半導体集積回路に形成された硬化膜であって、加熱されても、基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる硬化膜が求められている。たとえば、半導体集積回路の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮し、消耗品も削減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、光ナノインプリント用硬化性組成物に、所定の構造を有する化合物(A)とシランカップリング剤(B)を併用することにより、ガラス基板とも金属基板とも高い密着性が得られることを見出し、この知見に基づいて、化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)と、界面活性剤(F)を含む光ナノインプリント用硬化性組成物に関する本発明を完成した。
本発明は以下のような光ナノインプリント用硬化性組成物、光ナノインプリント用硬化性組成物から得られた硬化膜およびその形成方法等を提供する。
【0009】
[1] 一般式(1)で表される化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)と界面活性剤(F)を含む光ナノインプリント用硬化性組成物



(式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、Rはそれぞれ独立して環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、mは0〜2の整数である。)
【0010】
[1] Rはそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Rはエチレンである、項[1]に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0011】
[1] シランカップリング剤(B)がエポキシ基含有シランカップリング剤である、項[1]または[2]に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0012】
[1] ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が、炭素間二重結合または炭素間三重結合を一つ以上有する、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマーである、項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0013】
[1] ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が、一般式(2)で表される化合物である、項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。



(式(2)中、R11は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R12はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、nは1〜30の整数である。)
【0014】
[1] ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0015】
[1] ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、項[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0016】
[1] さらに、界面活性剤(F)を含む、項[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0017】
[9] 界面活性剤(F)が、光反応性基を有する界面活性剤である、項[8]に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0018】
[10] 化合物(A)が0.1〜20重量%、シランカップリング剤(B)が0.1〜20重量%、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が1〜60重量%、光重合開始剤(D)が0.2〜20重量%、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が5〜80重量%、界面活性剤(F)が0.01〜10重量%含まれる、項[8]または[9]に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【0019】
[11] 基板上に、項[1]〜[10]のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物を塗布し、その塗膜上にモールドを載せ、そこに光を照射して硬化膜を形成し、モールドを剥離することにより、微細凹凸パターンを有する硬化膜を形成する方法。
【0020】
[12] 光ナノインプリント用硬化性組成物の塗膜に光を照射して得られた硬化膜を、さらに加熱する、項[11]に記載の微細凹凸パターンを有する硬化膜を形成する方法。
【0021】
[13] 項[11]または[12]に記載された方法で得られた微細凹凸パターンを有する硬化膜。
【0022】
[14] 項[13]に記載された微細凹凸パターンを有する硬化膜を有する、表示素子。
【0023】
なお、本明細書中、アクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
【発明の効果】
【0024】
本発明の好ましい態様に係る光ナノインプリント用硬化性組成物から得られる硬化膜は、たとえば、金属・ガラスとの密着性が高い硬化膜を提供できる。本発明の好ましい態様に係る光ナノインプリント用硬化性組成物から得られる硬化膜は半導体集積回路の表面に形成された場合、加熱されても、基板界面での膨れや剥離を防ぐことができる。
また、本発明の好ましい態様に係る光ナノインプリント用硬化性組成物は、高い透明性を有する。
さらに、本発明の好ましい態様に係る光ナノインプリント用硬化性組成物を用いることにより、半導体集積回路の製造における保護膜の形成にかかる手間や時間を短縮でき、消耗品も削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外のラジカル重合性モノマー(E)と界面活性剤(F)を含む硬化性組成物である。
【0026】
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(B)以外のラジカル重合性モノマー(E)と、界面活性剤(F)との他に、任意に、熱硬化性化合物、溶媒、添加剤、重合禁止剤、着色剤等をさらに含むことができる。
【0027】
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、E型粘度計で測定した25℃における粘度が2〜500mPa・sであると光ナノインプリント用硬化性組成物とモールドとの剥離性が良好となるので好ましい。
【0028】
1.1 化合物(A)
化合物(A)は、前記一般式(1)で表される化合物であり、一般式(1)を書き下した下記一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される化合物である。



式(1−1)〜(1−3)中のRは炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、Rは環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであるが、これらの中でも、Rは炭素数1または水素であり、Rはエチレンであることが好ましい。
【0029】
化合物(A)は、式(1−1)〜(1−3)で表される化合物から選ばれる1種の化合物であっても、これらの混合物であってもよい。
化合物(A)が式(1−1)〜(1−3)で表される化合物から選ばれる2種以上の混合物の場合、主成分が(1−1)または(1−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0030】
これらの中でも、Rがメチルであり、Rがエチレンである式(1−1)で表される化合物が主成分であり、Rがメチルであり、Rがエチレンである式(1−2)または式(1−3)で表される化合物が副成分である混合物[(東邦化学工業株式会社)PPME(商品名)]、および、Rが水素またはメチルであり、Rがエチレンである式(1−2)で表される化合物が主成分であり、Rが水素またはメチルであり、Rがエチレンである式(1−1)または式(1−3)で表される化合物が副成分である混合物[(ダイセル・サイテック株式会社)EBECRYL168(商品名)]が好ましい。
【0031】
光ナノインプリント用硬化性組成物中に化合物(A)が0.1〜20重量%含まれると、硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜の金属に対する密着性が高まるので好ましく、光ナノインプリント用硬化性組成物中に化合物(A)が0.5〜10重量%含まれるとより好ましく、1.5〜6重量%であるとさらに好ましい。
【0032】
1.2 シランカップリング剤(B)
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、シランカップリング剤(B)を含む。本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物に含まれるシランカップリング剤としては、エポキシ基含有シランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0033】
エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
【0034】
シランカップリング剤(B)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0035】
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物において、シランカップリング剤(B)が光ナノインプリント用硬化性組成物中に0.1〜20重量%含まれると、得られる硬化膜と基板の密着性を向上させる効果が大きいため好ましく、硬化性組成物全体の1〜10重量%含まれるとより好ましく、3〜6重量%であるとさらに好ましい。
【0036】
1.3 ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性の化合物であれば特に限定されない。
【0037】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、重合性官能基(炭素間二重結合、炭素間三重結合を含む)を少なくとも1つ有することが好ましい。
【0038】
なお、本発明の好ましい態様の光ナノインプリント用硬化性組成物におけるヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、光ナノインプリント用硬化性組成物中に含まれる他の成分との相溶性を高める効果を有する。
【0039】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)の好ましい例としては、ヒドロキシと1つの炭素間二重結合を有する重合性モノマー、ヒドロキシと2つの炭素間二重結合を有する重合性モノマー、ヒドロキシと3つ以上の炭素間二重結合を有する重合性モノマーを挙げることができる。
【0040】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)において、ヒドロキシと1つの炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0041】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)において、ヒドロキシと2つの炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0042】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)において、ヒドロキシと3つ以上の炭素間二重結合を有する重合性モノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0043】
これらの中でも、光ナノインプリント用硬化性組成物に応用した場合の塗布安定性の観点から、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0044】
また、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。一般式(2)中、R12はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであるが、これらの中でも、エチレン、プロピレン、ブチレンまたは下記式(20)の構造で表される基が好ましい。


【0045】
また、上記一般式(2)のnは1〜30の整数であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。
【0046】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)として用いる化合物は、25℃における粘度が100mPa・s以下であると、たとえば得られる硬化性組成物の粘度を低下させることができるので好ましい。
【0047】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0048】
光ナノインプリント用硬化性組成物中にヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が1〜60重量%含まれると、光ナノインプリント硬化性組成物の塗布性の面で好ましく、5〜50重量%含まれるとより好ましく、10〜35重量%であるとさらに好ましい。
【0049】
1.4 光重合開始剤(D)
本発明の光ナノインプリント硬化性組成物には、光重合開始剤を含む。本発明に用いられる光重合開始剤は、光照射により上述の重合性化合物を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤、光照射により酸を発生するカチオン重合開始剤が好ましく、より好ましくはラジカル重合開始剤であるが、前記重合性化合物の重合性基の種類に応じて適宜決定される。即ち、本発明における光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して活性を有するものが配合され、反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)に応じて適切な活性種を発生させるものを用いる必要がある。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
【0050】
本発明に用いられる光重合開始剤は例えば市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としては、Irgacure2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、Irgacure184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Irgacure651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン1−オン)、Irgacure369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、Irgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、Irgacure1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、Irgacure1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、IrgacureOXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム))、Darocur1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Darocur1116、1398、1174および1020、CGI242(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、DarocurTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)(以上いずれも商品名、BASFジャパン株式会社);ESACURE 1001M(1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン)(以上いずれも商品名、DKSHジャパン株式会社);アデカオプトマーN−1414(カルバゾール・フェノン系)、アデカオプトマーN−1717(アクリジン系)、アデカオプトマーN−1606(トリアジン系)(以上いずれも商品名、株式会社ADEKA);TFE−トリアジン(2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、TME−トリアジン(2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、MP−トリアジン(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)(以上いずれも商品名、三和ケミカル株式会社);TAZ−113(2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、TAZ−108(2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)(以上いずれも商品名、みどり化学株式会社);
その他に、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、が挙げられる。
【0051】
光重合開始剤(D)は、光ナノインプリント用硬化性組成物中に0.2〜20重量%含まれると、光ナノインプリント用硬化性組成物とした場合に高感度となるので好ましく、0.5〜15重量%であるとより好ましく、3〜10重量%であるとさらに好ましい。
【0052】
1.5 ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)を含む。
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)は、光感度を高める観点から有用である。本発明のラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)は、耐めっき液性や耐薬品性の観点から、ヒドロキシを有しない多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい
【0053】
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートである。
【0054】
これらの中でも、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートから選ばれる1つ以上を含有していると、本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物から得られる硬化膜の耐薬品性が高くなるので好ましい。
【0055】
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)として用いる化合物は、25℃における粘度が3000mPa・s以下であると、たとえば得られる硬化性組成物の粘度が低下させることができるので好ましい。
【0056】
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0057】
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が、光ナノインプリント用硬化性組成物中に5〜80重量%含まれると、光ナノインプリント用硬化性組成物が光に対して高感度となるため好ましく、30〜80重量%含まれると、光ナノインプリント用硬化性組成物から得られる硬化膜の耐薬品性が高くなるので、より好ましく、50〜75重量%であるとさらに好ましい。
【0058】
1.6 界面活性剤(F)
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、界面活性剤(F)を含む。
【0059】
このような界面活性剤としては、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商品名、共栄社化学工業株式会社)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346、BYK−UV3500、BYK−UV3570(以上いずれも商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商品名、信越化学工業株式会社)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(以上いずれも商品名、セイミケミカル株式会社)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(以上いずれも商品名、株式会社ネオス)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(以上いずれも商品名、三菱マテリアル株式会社)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックF−556、メガファックF−477、メガファックR−30、メガファックRS−72−K(以上いずれも商品名、DIC株式会社)、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250N(以上いずれも商品名、エボニック テゴ ケミー株式会社)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、またはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が挙げられる。
【0060】
これらの中でも、光反応性基を有する界面活性剤である、BYK−UV3500、BYK−UV3570、メガファックRS−72−K、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250Nは、光ナノインプリント用硬化性組成物の光硬化性を高める観点から好ましい。
【0061】
界面活性剤(F)は、光ナノインプリント用硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%含まれると、光ナノインプリント用硬化性組成物の塗布均一性を高める観点から好ましく、0.05〜3重量%であることがより好ましく、0.1〜1重量%であることがさらに好ましい。
【0062】
1.7 その他の成分
光ナノインプリント用硬化性組成物は、保存安定性や、形成される膜の耐久性、硬化性組成物の塗布特性等を向上させるために溶媒、重合禁止剤、着色剤等をさらに含んでもよい。
光ナノインプリント用硬化性組成物に、これらの成分が1種含まれても、2種以上含まれてもよい。
【0063】
1.7.1 溶媒(G)
光ナノインプリント用硬化性組成物は硬化性組成物の塗布特性を向上させるために溶媒(G)を含んでもよい。この溶媒(G)としては沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。
【0064】
沸点が100℃以上である溶媒(G)の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
【0065】
これらの溶媒(G)の中でも、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を用いると、硬化性組成物の塗布性が安定するので好ましい。
【0066】
溶媒(G)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0067】
溶媒(G)の含有量は、光ナノインプリント用硬化性組成物中、3重量%以下であることが好ましい。すなわち本発明の組成物は、好ましくは特定の1官能およびまたは2官能の単量体を反応性希釈剤として含むため、本発明の組成物の成分を溶解させるための有機溶剤は、必ずしも含有する必要がない。また、有機溶剤を含まなければ、溶剤の揮発を目的としたベーキング工程が不要となるため、プロセス簡略化に有効となるなどのメリットが大きい。従って、溶媒(G)の含有量は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下であり、含有しないことが特に好ましい。このように、本発明の組成物は、必ずしも、有機溶剤を含むものではないが、反応性希釈剤では、溶解しない化合物などを、本発明の組成物として溶解させる場合や粘度を微調整する際など、任意に添加してもよい。
【0068】
1.7.2 重合禁止剤(H)
光ナノインプリント用硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために重合禁止剤(H)を含んでもよい。
重合禁止剤(H)の具体例としては、3,5-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジンを挙げることができる。これらの中でも、光ナノインプリント用硬化性組成物の粘度変化を最小にする観点から、重合禁止剤(H)としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
【0069】
重合禁止剤(H)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0070】
重合禁止剤(H)は、光ナノインプリント用硬化性組成物の保存安定性と光に対する高感度性とを両立させるという観点から、光ナノインプリント用硬化性組成物中に0.01〜1重量%含まれることが好ましい。
【0071】
1.7.3 着色剤(I)
光ナノインプリント用硬化性組成物は、着色剤(I)を含んでいてもよく、この場合、たとえば、得られる硬化膜の状態を検査する際に基板との識別を容易にすることができる。
【0072】
着色剤(I)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0073】
着色剤(I)は、光ナノインプリント用硬化性組成物中に0.1〜10重量%程度、好ましくは0.2〜5重量%程度含まれてもよい。硬化性組成物原料の相溶性の観点から、着色剤は染料であることが好ましい。
【0074】
2 光ナノインプリント用硬化性組成物
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、硬化性組成物を構成する各成分を混合することによって製造される。具体的には、本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、所定の構造を有する化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)と、界面活性剤(F)を含む光ナノインプリント用硬化性組成物および、任意に含まれる成分(溶媒(G)、重合禁止剤(H)、着色剤(I)等)を混合して製造される。
【0075】
特に本発明の光ナノインプリント硬化性組成物組成においては、光ナノインプリント用硬化性組成物中に化合物(A)を0.1〜20重量%と、シランカップリング剤(B)を0.1〜20重量%、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が1〜60重量%、光重合開始剤(D)が0.2〜20重量%、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が5〜80重量%、界面活性剤(F)が0.01〜10重量%となるように構成することが好ましい。
【0076】
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物において、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)以外の重合性モノマー(E)として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能の化合物、および、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート等の3官能の化合物を混合して用いる場合、成分(A)として式(1−1)を主成分とする化合物を用い、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、および1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つを、光重合開始剤(D)として1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドから選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0077】
当該組成の光ナノインプリント用硬化性組成物では、硬化性組成物の粘度や硬化膜としたときの架橋密度の点から、各成分の含有量は、光ナノインプリント用硬化性組成物中に化合物(A)が0.5〜10重量%と、シランカップリング剤(B)を1〜10重量%、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が5〜50重量%、光重合開始剤(D)が0.5〜15重量%、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が10〜70重量%、界面活性剤(F)が0.1〜5重量%となるように構成することが好ましい。
【0078】
3 光ナノインプリント用硬化性組成物を用いたパターン(特に微細凹凸パターン)形成方法
本発明では、上記光ナノインプリント用硬化性組成物を塗布してパターンを形成する。具体的には、基板または、支持体上に少なくとも本発明の光硬化性組成物からなるパターン形成層を塗布し、必要に応じて乾燥させて光硬化性組成物からなる層(パターン形成層)を形成してパターン受容体を作製し、当該パターン受容体のパターン形成層表面にモールドを圧接し、モールドパターンを転写する加工を行い、微細凹凸パターン形成層を露光して硬化させる。本発明のパターン形成方法による光ナノインプリントリソグラフィは、積層化や多重パターニングもでき、通常の熱インプリントと組み合わせて用いることもできる。すなわち、露光して形成した微細凹凸パターンをさらに加熱することもできる。加熱工程はモールドを剥離した後でもよく、加熱後にモールドを剥離してもよい。
【0079】
前記モールドはポリジメチルシロキサン、ポリウレタンアクリレート、または石英を含む。
【0080】
本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、一般に良く知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットコート法などにより、塗布することにより形成することができる。本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物からなる層の膜厚は、使用する用途によって異なるが、0.05μm〜30μmである。また、本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物は、多重塗布してもよい。
【0081】
基板は、上記光ナノインプリント用硬化性組成物が塗布される対象となり得るものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0082】
また、基板の材質は特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスを挙げることができる。
【0083】
これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および/または電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。また、基板の表面の一部には、基板とは異なる材質が形成されていてもよい。
【0084】
基板の用途も特に限定されないが、本発明の光ナノインプリント用硬化性組成物から得られる硬化膜はガラス・金属との密着性が高いため、基板表面に金属製の回路やガラス有する半導体集積回路等に用いられることが好ましい。回路を形成する金属は、特に限定されるものではないが、金、銀、銅、アルミ、モリブデンまたはITOが好ましい。
【0085】
基板における硬化膜を形成する面には、必要により撥水処理、コロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、表面に易接着層やカラーフィルター用保護膜を設けてもよい。
【0086】
本発明を用いて光インプリントリソグラフィを行う場合、通常、モールドの圧力が10気圧以下で行うのが好ましい。モールドの圧力を10気圧以下とすることにより、モールドや基板が変形しにくくパターン精度が向上する傾向にあり、また、加圧が低いため装置を縮小できる傾向にあり好ましい。モールドの圧力は、モールド凸部の光硬化性組成物の残膜が少なくなる範囲で、モールド転写の均一性が確保できる領域を選択することが好ましい。
【0087】
本発明の光硬化性組成物を硬化させる光としては特に限定されないが、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。
また、本発明において、光インプリントリソグラフィにおける光照射は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、光硬化性組成物の結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて決定される。
【0088】
前記パターンの表面の膜強度を高めるために、必要に応じて、光の照射により硬化した上記硬化膜をさらに加熱・焼成してもよく、120〜250℃で10〜60分間全面加熱することが好ましい。
【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は重量部を意味するものとする。
【0090】
表1に記載された割合で配合し、混合溶解してフッ素樹脂製メンブレンフィルター(0.2μm)で濾過し、各光ナノインプリント用硬化性組成物を調製した。
【表1】

【0091】
表1における各成分は以下のとおりである。
化合物(A)
A1:PPME
A2:EBECRYL168
シランカップリング剤(B)
B1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)
C1:4−ヒドロキシブチルアクリレート
C2:ペンタエリスリトールトリアクリレート
光重合開始剤(D)
D1:Irgacure OXE01
D2:Darocur TPO
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)
E1:ブチルメタアクリレート
E2:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
E3:エチレングリコールジメタクリレート
E4:ネオペンチルグリコールジアクリレート
E5:トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート
E6:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
界面活性剤(F)
F1:TEGO Rad 2200N
F2:KP−341
【0092】
(1)試験基板の作製
ガラス基板、モリブデン基板、銅基板上に得られた各光ナノインプリント用硬化性組成物を400〜3,000rpmの任意の回転数で10秒間スピンコートした。スピンコートした塗布基板上にドットパターンを有するウレタンを材質とするモールド(質量:15.3g、接地部分の大きさ:100mm×100mm)を載せ、株式会社トプコン製のプロキシミティー露光機TME−150PRCを使用し、露光量1000mJ/cm2で全面露光した。露光量はウシオ電機株式会社製の積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定した。露光後、モールドを離し、オーブン中230℃で30分ポストベイクし、レジストパターンを形成した。
【0093】
(2)パターン形状の観察
上記(1)で得られたポストベイク後のレジストパターン基板を光学顕微鏡で1000倍にて観察し、パターン形状を観察した。レジストパターンが、モールドのパターン形状の元となる原版のパターンとほぼ同一である場合は良好(G:Good)、モールドのパターン形状の元となる原版のパターンとはっきり異なる場合は不良(NG:No Good)とした。
【0094】
(3)硬化膜のガラス・モリブデン・銅との密着性評価
このようにして作製された試験基板において、硬化膜とガラス・モリブデン・銅との密着性を調べた。
【0095】
密着性を評価するために、クロスカット法(JIS K 5600−5−6:1999)に準じて、剥離が生じたか否かを調べた。当該試験は、温度25℃、湿度65%の条件下で行った。剥離が生じなかった場合を「○」、剥離が生じた場合を「×」としたところ、結果は、表2のとおりであった。
【0096】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、たとえば、半導体集積回路に使用される保護膜あるいは絶縁膜に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物(A)と、シランカップリング剤(B)と、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)と界面活性剤(F)を含む光ナノインプリント用硬化性組成物



(式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキルまたは水素であり、Rはそれぞれ独立して環状構造を有してよい炭素数2〜12のアルキレンであり、mは0〜2の整数である。)
【請求項2】
はそれぞれ独立して水素またはメチルであり、Rはエチレンである、請求項1に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項3】
シランカップリング剤(B)がエポキシ基含有シランカップリング剤である、請求項1または請求項2に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項4】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が、炭素間二重結合または炭素間三重結合を一つ以上有する、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項5】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が、一般式(2)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。



(式(2)中、R11は水素または炭素数1〜3のアルキルであり、R12はそれぞれ独立して環状構造を有していてもよい炭素数2〜12のアルキレンであり、nは1〜30の整数である。)
【請求項6】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項7】
ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項8】
さらに、界面活性剤(F)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項9】
界面活性剤(F)が、光反応性基を有する界面活性剤である、請求項8に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項10】
化合物(A)が0.1〜20重量%、シランカップリング剤(B)が0.1〜20重量%、ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー(C)が1〜60重量%、光重合開始剤(D)が0.2〜20重量%、ラジカル重合性モノマー(C)以外のラジカル重合性モノマー(E)が5〜80重量%、界面活性剤(F)が0.01〜10重量%含まれる、請求項8または9に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項11】
基板上に、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ナノインプリント用硬化性組成物を塗布し、その塗膜上にモールドを載せ、そこに光を照射して硬化膜を形成し、モールドを剥離することにより、微細凹凸パターンを有する硬化膜を形成する方法。
【請求項12】
光ナノインプリント用硬化性組成物の塗膜に光を照射して得られた硬化膜を、さらに加熱する、請求項11に記載の微細凹凸パターンを有する硬化膜を形成する方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載された方法で得られた微細凹凸パターンを有する硬化膜。
【請求項14】
請求項13に記載された微細凹凸パターンを有する硬化膜を有する、表示素子。

【公開番号】特開2012−134446(P2012−134446A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155394(P2011−155394)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】