光パケット交換システム
【課題】受信する光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制する。
【解決手段】光パケット交換システムは、光パケット信号を送受信する複数のネットワークエレメント101を備える。各ネットワークエレメント101は、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部18と、所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元のネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部19と、算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を送信元のネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応するネットワークエレメントに送信する差分情報送信部20とを備える。差分情報を受信した送信元のネットワークエレメント101は、差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。
【解決手段】光パケット交換システムは、光パケット信号を送受信する複数のネットワークエレメント101を備える。各ネットワークエレメント101は、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部18と、所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元のネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部19と、算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を送信元のネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応するネットワークエレメントに送信する差分情報送信部20とを備える。差分情報を受信した送信元のネットワークエレメント101は、差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、光パケット交換方式においては、あるネットワークエレメントから送信された光パケット信号は、複数のネットワークエレメントによりスイッチングされた後、宛先のネットワークエレメントに到着する。あるネットワークエレメントに到着した光パケット信号は、様々なネットワークエレメントから送信されたものであり、また異なる経路を通ってきているので、それぞれ異なる光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)を有している。光パケット信号ごとに光信号対雑音比が大きく変動すると、ネットワークエレメントの光受信器は、光パケット信号を適切に受信することが難しくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、受信する光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制できる光パケット交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、光パケット信号を送信する複数の送信側ネットワークエレメントと、送信側ネットワークエレメントから送信された光パケット信号を受信する受信側ネットワークエレメントとを備える。受信側ネットワークエレメントは、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部と、所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元の送信側ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部と、算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を送信側ネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応する送信側ネットワークエレメントに送信する差分情報送信部とを備える。送信側ネットワークエレメントは、差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。
【0008】
送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整してもよい。
【0009】
差分情報送信部は、所定時間内に受信した全光パケット信号の平均値を目標値としてもよい。
【0010】
送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号を増幅するとともに、光パケット信号の光信号対雑音比を推定し、該光信号対雑音比情報を光パケット信号に付加する光増幅装置をさらに備えてもよい。
【0011】
光増幅装置は、入力された光パケット信号の光パワーと、当該光増幅装置の雑音指数とに基づいて、出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定してもよい。
【0012】
光増幅装置は、推定した光信号対雑音比情報を光信号に変換し、光パケット信号の前または後に挿入してもよい。
【0013】
送信側ネットワークエレメントは、監視制御信号を用いて、光信号対雑音比情報を受信側ネットワークエレメントに通知してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、受信する光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制できる光パケット交換システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを説明するための図である。
【図2】ネットワークエレメントの構成を説明するための図である。
【図3】ネットワークエレメントに到着した光パケット信号を示す図である。
【図4】各光パケット信号の経路を説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る光パケット交換装置における光信号対雑音比変動抑制制御を説明するための図である。
【図6】光増幅装置の構成を説明するための図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の一例を示す図である。
【図8】OSNR信号の構成を説明するための図である。
【図9】光増幅装置の変形例を示す図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の別の例を示す図である。
【図11】ネットワークエレメントの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを説明するための図である。図1に示すように、光パケット交換システム100は、第1〜第4ネットワークエレメント(NE)101A〜101D(以下、総称する場合は「ネットワークエレメント101」と呼ぶ)を備える。なお、本実施の形態では、光パケット交換システム100は4つのネットワークエレメントを有するが、光パケット交換システム100は任意の数のネットワークエレメントを有することができる。
【0019】
第1〜第4ネットワークエレメント101A〜101Dは、光ファイバにより接続され、光パケットネットワークを構成している。具体的には、第1ネットワークエレメント101Aと第2ネットワークエレメント101Bとが光ファイバ102Aにより接続され、第1ネットワークエレメント101Aと第3ネットワークエレメント101Cとが光ファイバ102Bにより接続され、第3ネットワークエレメント101Cと第4ネットワークエレメント101Dとが光ファイバ102Dにより接続されている。
【0020】
図1に示すように、第1〜第4ネットワークエレメント101A〜101Dは、光パケット交換装置10A〜10Dと、第1光増幅装置20A1〜20D1と、第2光増幅装置20A2〜20D2と、監視制御部30A〜30Dと、OSNR処理部31A〜31Dとを備える。
【0021】
図2は、ネットワークエレメントの構成を説明するための図である。図2に示すように、ネットワークエレメント101は、光パケット交換装置10と、第1光増幅装置21と、第2光増幅装置22と、監視制御部30と、OSNR処理部31とを備える。光パケット交換装置10は、光スイッチ部12と、光パケット送信部14と、光パケット受信部15と、光カプラ16とを備える。
【0022】
外部からネットワークエレメント101に入力された光パケット信号は、光カプラ16にて2つに分岐される。分岐した一方の光パケット信号は、光パケット交換装置10の光スイッチ部12に入力し、他方の光パケット信号は、OSNR処理部31に入力する。
【0023】
光パケット送信部14は、クライアント側からクライアント信号を受信する。そして、光パケット送信部14は、クライアント信号に宛先情報やパケット長情報などを付与することにより光パケット信号を生成する。光パケット送信部14から出力された光パケット信号は、光スイッチ部12に入力する。
【0024】
光スイッチ部12は、入力された光パケット信号の経路を切り替える2入力×3出力の光スイッチ装置である。光スイッチ部12の第1入力ポート11aには、光カプラ16から光パケット信号が入力される。また、光スイッチ部12の第2入力ポート11bには、光パケット送信部14から光パケット信号が入力される。
【0025】
光スイッチ部12は、入力された光パケット信号の経路を切り替え、第1〜第3出力ポート13a〜13cのいずれかから出力する。光スイッチ部12の第1出力ポート13aから出力された光パケット信号は、第1光増幅装置21で増幅された後、外部に出力される。また、光スイッチ部12の第2出力ポート13bから出力された光パケット信号は、第2光増幅装置22で増幅された後、外部に出力される。また、光スイッチ部12の第3出力ポート13cから出力された光パケット信号は、光パケット受信部15に入力される。
【0026】
光パケット受信部15は、受信した光パケット信号を元のクライアント信号に復元し、クライアント側に出力する。
【0027】
OSNR処理部31は、OSNR取得部18と、平均値算出部19と、差分送信部20とを備える。
【0028】
OSNR取得部18には、光カプラ16から光パケット信号が入力される。OSNR取得部18は、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を測定する。測定された光信号対雑音比情報は、平均値算出部19および差分送信部に送られる。
【0029】
平均値算出部19は、所定時間内に受信した光パケット信号について、光パケット信号の送信元のネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する。この送信元のネットワークエレメント別の光信号対雑音比の平均値を「送信元別平均光信号対雑音比」と呼ぶ。
【0030】
差分送信部20は、所定時間内に受信した全光パケット信号について、光信号対雑音比の平均値を算出する。この全光パケット信号の光信号対雑音比の平均値を「全平均光信号対雑音比」と呼ぶ。そして、差分送信部20は、送信元別平均光信号対雑音比と全平均光信号対雑音比との差分を送信元のネットワークエレメント別に算出し、該差分情報を対応するネットワークエレメントに通知する。この差分情報の通知は、監視制御部30により行う。
【0031】
監視制御部30は、ネットワークエレメント101内の構成要素、すなわち、光パケット交換装置10、第1光増幅装置21、第2光増幅装置22、OSNR処理部31を監視制御する。また、監視制御部30は、光パケット信号とは波長の異なる監視制御信号(OSC:Optical Supervisory Channel)を用いて、各ネットワークエレメント間で種々の情報(差分情報を含む)を通信する。
【0032】
監視制御部30は、他のネットワークエレメントから送信された差分情報を受信する。この差分情報は、光パケット送信部14に送られる。差分情報を受信した光パケット送信部14は、該差分が所定の閾値よりも小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。具体的には、光パケット送信部14は、該差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0033】
次に、本実施形態に係る光パケット交換システム100の動作について説明する。ここでは、図3に示すように、第1ネットワークエレメント101A、第3ネットワークエレメント101Cから出力された光パケット信号♯1〜♯9が、所定時間内に第4ネットワークエレメント101Dに到着した場合を例として説明する。
【0034】
図4は、各光パケット信号の経路を説明するための図である。図4は、例えば光パケット信号♯001が第3ネットワークエレメント101Cから送信された後、第4ネットワークエレメント101Dに到着したことを表し、また、例えば光パケット信号♯002が第1ネットワークエレメント101Aから送信された後、第3ネットワークエレメント101Cを経由して第4ネットワークエレメント101Dに到着したことを表す。
【0035】
例えば光パケット信号♯001と♯002は、異なる光パケット送信部から出力された光パケット信号であり、また通過した光増幅装置の数が異なる。すなわち、光パケット信号♯001は、第1ネットワークエレメント101Aの第2光増幅装置22Aおよび第3ネットワークエレメント101Cの第2光増幅装置22Cを通過しており、光パケット信号♯002は、第3ネットワークエレメント101Cの第2光増幅装置22Cを通過している。従って、光パケット信号♯001と♯002は、通常、異なる光信号対雑音比を有する。連続する光パケット信号♯001と♯002の間の光信号対雑音比の変動が大きい場合、第4ネットワークエレメント101Dの光パケット交換装置10Dの光パケット受信部は、適切に光パケット信号を受信することが難しくなる。そこで、本実施形態に係る光パケット交換システム100においては、光信号対雑音比の変動を抑制する制御を行う。
【0036】
図5は、本実施形態に係る光パケット交換装置における光信号対雑音比変動抑制制御を説明するための図である。図3および図4と同様に、第1ネットワークエレメント101A、第3ネットワークエレメント101Cから出力された光パケット信号♯1〜♯9が、所定時間内に第4ネットワークエレメント101Dに到着した場合を考える。
【0037】
第4ネットワークエレメント101DのOSNR処理部31DのOSNR取得部18は、到着した光パケット信号♯001〜♯009の光信号対雑音比を測定する。OSNR取得部18により測定された光パケット信号♯001〜♯009の光信号対雑音比E001〜E009は、平均値算出部19および差分送信部20に送られる。
【0038】
平均値算出部19は、光パケット信号♯001〜♯009の送信元の光ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の雑音比を算出する。本例では、光パケット信号♯002,♯005,♯006,♯008は第1ネットワークエレメント101Aを送信元とするので、これらの光パケット信号の光信号対雑音比E002,E005,E006,E008の平均値AVG−A(送信元別平均光信号対雑音比)を算出する。また、光パケット信号♯001,♯003,♯004,♯007,♯009は第3ネットワークエレメント101Cを送信元とするので、これらの光パケット信号の光信号対雑音比E001,E003,E004,E007,E009の平均値AVG−C(送信元別平均光信号対雑音比)を算出する。
【0039】
差分送信部20は、全光パケット信号♯001〜♯009について、光信号対雑音比の平均値AVG−ALL(全平均光信号対雑音比)を算出する。そして、差分送信部20は、第1ネットワークエレメント101Aに関してAVG−AとAVG−ALLとの差分ΔAを算出し、この差分ΔAを第1ネットワークエレメント101Aに通知する。また、差分送信部20は、第3ネットワークエレメント101Cに関してAVG−CとAVG−ALLとの差分ΔCを算出し、この差分ΔCを第3ネットワークエレメント101Cに通知する。上述したように、この差分ΔA,ΔCの通知は、監視制御信号を用いて行う。
【0040】
差分ΔAの通知を受けた第1ネットワークエレメント101Aの光パケット交換装置10Aの光パケット送信部14は、該差分ΔAが所定の閾値よりも小さくなるように、送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0041】
同じように、差分ΔCの通知を受けた第3ネットワークエレメント101Cの光パケット交換装置10Cの光パケット送信部14は、該差分ΔCが所定の閾値よりも小さくなるように、送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0042】
以上のような制御を行うことにより、第4ネットワークエレメント101Dに入力される光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制でき、適切に光パケット信号を受信することができる。
【0043】
上記の説明では、第1ネットワークエレメント101Aおよび第3ネットワークエレメント101Cを送信側のネットワークエレメントとし、第4ネットワークエレメント101Dを受信側のネットワークエレメントとしたが、どのネットワークエレメントが送信側または受信側のネットワークエレメントとなってもよい。
【0044】
本実施形態では、差分送信部20は、送信元別平均光信号対雑音比と全平均光信号対雑音比との差分を算出したが、送信元別平均光信号対雑音比と所定の目標値との差分を算出してもよい。この場合、受信側のネットワークエレメントに入力する光パケット信号の光信号対雑音比が所定の目標値に近づくので、光信号対雑音比の変動を抑制できる。
【0045】
各ネットワークエレメントが送信する光パケット信号は、波長多重光パケット信号であってもよい。この場合、各波長ごとに、上記の光信号対雑音比変動抑制制御を行ってもよい。
【0046】
図6は、光増幅装置の構成を説明するための図である。図6に示す光増幅装置70は、例えばネットワークエレメント内に配置することができる。この光増幅装置70によれば、光パケット信号に光信号対雑音比情報を付加することができる。この光増幅装置70を光パケット交換システムに用いれば、光信号対雑音比の取得が容易となる。
【0047】
図6に示すように、光増幅装置70は、第1光カプラ71と、モニタ部72と、OSNR処理部73と、第2光カプラ74と、EDF(Erbiumu Doped Fiber)75とを備える。
【0048】
光増幅装置70に入力された光パケット信号は、第1光カプラ71にて2つに分岐される。一方の光パケット信号は第2光カプラ74に送られ、他方の光パケット信号はモニタ部72に送られる。モニタ部72は、入力された他方の光パケット信号の光パワーを検出する。
【0049】
OSNR処理部73は、OSNR取得部76と、OSNR情報生成部77と、光信号生成部78とを備える。OSNR取得部76は、モニタ部72にてモニタされた光パケット信号の光パワーと、EDF75の雑音指数とに基づいて、EDF75から出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定する。入力光パワーと雑音指数に基づく光信号対雑音比の推定方法は、特開2000−232433号公報などに開示がある。
【0050】
OSNR情報生成部77は、OSNR取得部76にて推定された光信号対雑音比情報を光パケット信号に付与可能な形式に変換する。具体的には、光信号対雑音比情報に前にプリアンブルを付与する。光信号生成部78は、OSNR情報生成部77にて生成された信号を光信号に変換して出力する。この光信号を「OSNR信号」と呼ぶ。OSNR信号は、第2光カプラ74により、第1光カプラ71にて分岐された一方の光パケット信号の前に挿入される。このOSNR信号が付加された光パケット信号は、EDF75により増幅された後、出力ポートOUTから出力される。
【0051】
図7(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の一例を示す。図7(a)は、光スイッチ送信部から送信された光パケット信号を示す。光パケット信号は、データの前にヘッダが設けられ、ヘッダの前にプリアンブルが設けられている。そして、光パケット信号のプリアンブルの前に、送信時の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号0が付加されている。
【0052】
図7(b)は、1つ目の光増幅装置70を通過後の光パケット信号を示す。1つ目の光増幅装置70を通過することにより、OSNR信号0の前に、1つ目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号1が付加されている。
【0053】
図7(c)は、2つ目の光増幅装置70を通過後の光パケット信号を示す。2つ目の光増幅装置70を通過することにより、OSNR信号1の前に、2つ目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号2が付加されている。このように、光増幅装置70を通過する毎に、光パケット信号の前にOSNR信号が追加されていく。
【0054】
図8は、OSNR信号の構成を説明するための図である。図8に示すように、OSNR信号Nは、N番目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報であるデータNの前に、プリアンブルを備える。これは、受信側のネットワークエレメントにおいてデータNを確実に受信可能とするためである。
【0055】
図6に示す光増幅装置70を図1の光パケット交換システム100のネットワークエレメントに用いる場合、OSNR取得部は、受信した光パケット信号を解析し、先頭に付加されたOSNR信号を抽出する。そして、取得したOSNR信号から、光信号対雑音比を取得する。この光信号対雑音比は、最後に通過した光増幅装置により付加されたものであるので、受信した光パケット信号の実際の光信号対雑音比に近い値とみなすことができる。
【0056】
図9は、光増幅装置の変形例を示す。図9に示す光増幅装置70は、EDF75の後で光パケット信号にOSNR信号が付加される点が図6に示す光増幅装置と異なっている。
【0057】
上記の実施形態においては、光パケット信号のプリアンブルの前にOSNR信号を付加している。この場合、OSNR信号を挿入するタイミングが多少遅れてもプリアンブルに重畳されるだけであるので、光パケット信号のデータ本体には影響が生じない。しかしながら、OSNR信号を付加する位置は光パケット信号の前に限られず、光パケット信号の後であってもよい。この場合、OSNR信号が光パケット信号のデータ本体に重畳しないよう挿入タイミングを正確に調整すればよい。
【0058】
図10(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の別の例を示す。本例では、ネットワークエレメントを通過する毎にOSNR信号が書き換えられる。
【0059】
図10(a)は、光スイッチ送信部から送信された光パケット信号を示す。図10(a)に示すように、光パケット信号のプリアンブルの前に、送信時の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号0が付加されている。
【0060】
図10(b)は、1つ目のネットワークエレメントを通過後の光パケット信号を示す。1つ目のネットワークエレメントを通過することにより、OSNR信号0がOSNR信号1に書き換えられている。
【0061】
図10(c)は、2つ目のネットワークエレメントを通過後の光パケット信号を示す。2つ目のネットワークエレメントを通過することにより、OSNR信号1がOSNR信号2に書き換えられている。
【0062】
図11は、ネットワークエレメントの変形例を示す。図11に示すネットワークエレメント101は、図10(a)〜(c)に示すように、OSNR信号を書き換えることができる。このネットワークエレメント101は、OSNR処理部31がOSNR信号生成部79を備える点が、図2に示すネットワークエレメントと異なる。
【0063】
OSNR信号生成部79は、OSNR取得部18で取得された光パケット信号の光信号対雑音比情報を光のOSNR信号に変換し、光スイッチ部12の入力ポートに出力する。光スイッチ部12は、光パケット信号の前に対応するOSNR信号が出力されるよう、光パケット信号およびOSNR信号の出力タイミングを調整する。光スイッチ部12は、光パケット信号をスイッチングする際に、光パケット信号に当初付加されていたOSNR信号がカットされるよう、光スイッチを制御する。これにより、光パケット信号に付加される光信号対雑音比情報を最新の情報に書き換えることができる。
【0064】
上記においては、光パケット信号に光信号対雑音比情報を付加して下流のネットワークエレメントに光信号対雑音比を通知したが、監視制御信号を用いて光信号対雑音比を通知してもよい。
【0065】
図1に示すような光パケット交換システムにおいて、ネットワークエレメント間では、監視制御信号を用いた通信が常時行われている。光パケット信号の切替は、光パケット信号に付与された送信先情報に基づいて実施するため、各ネットワークエレメントの監視制御部は、あるパケット情報(送信元・送信先・パケットID)を持つ光パケット信号が、次にどのネットワークエレメントに送信されるかを知っている。このため、次のネットワークエレメントに、パケット情報および光信号対雑音比情報を送信することができる。
【0066】
例えば、第1ネットワークエレメント101Aの光パケット交換装置10Aにおいてある光パケット信号の切替を行う場合には、監視制御部30Aは、該光パケット信号が第2ネットワークエレメント101Bと第3ネットワークエレメント101Cのどちらに行くのか情報を持っている。従って、光パケット信号を第2ネットワークエレメント101Bに切り替えた場合、監視制御部30Aは、該光パケット信号のパケット情報および光信号対雑音比情報を第2ネットワークエレメント101Bの監視制御部30Bに送信できる。また、光パケット信号を第3ネットワークエレメント101Cに切り替えた場合、監視制御部30Aは、該光パケット信号のパケット情報および光信号対雑音比情報を第3ネットワークエレメント101Cの監視制御部30Cに送信できる。このようにして、順番に情報を伝達することにより、光パケット信号の光信号対雑音比情報を受信側のネットワークエレメントまで伝達できる。受信側のネットワークエレメントでは、この監視制御信号により伝達された光信号対雑音比情報を用いて、上記の光信号対雑音比変動抑制制御を行うことができる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
10 光パケット交換装置、 12 光スイッチ部、 14 光パケット送信部、 15 光パケット受信部、 18 OSNR取得部、 19 平均値算出部、 20 差分送信部、 21 第1光増幅装置、 22 第2光増幅装置、 30 監視制御部、 31 OSNR処理部、 70 光増幅装置、 79 OSNR信号生成部、 100 光パケット交換システム、 101 ネットワークエレメント。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パケット単位でのパケット交換を可能とする光パケット交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた光伝送システムにおいて、波長選択スイッチ(WSS:wavelength selective switch)等を用いることで、波長単位のパス切替を行う技術が実用化されている。その次の技術として、切替を行う単位を例えばIPパケット(10GEther(10 Gigabit Ethernet(登録商標))信号等)一つ一つという細かい単位とし、各々を光パケットという形式に変換して、超高速の光スイッチで方路切り替えを行う光パケット交換方式が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
IPパケットはデータが存在しない間は有意な情報が転送されておらず、その分だけ帯域が無駄になっているが、光パケット交換方式が実現すれば、データが存在しない時間帯を別のパケットが占有できることになる。従って、光パケット交換方式は、伝送路の帯域利用効率を飛躍的に高める可能性があり、将来の技術として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、光パケット交換方式においては、あるネットワークエレメントから送信された光パケット信号は、複数のネットワークエレメントによりスイッチングされた後、宛先のネットワークエレメントに到着する。あるネットワークエレメントに到着した光パケット信号は、様々なネットワークエレメントから送信されたものであり、また異なる経路を通ってきているので、それぞれ異なる光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)を有している。光パケット信号ごとに光信号対雑音比が大きく変動すると、ネットワークエレメントの光受信器は、光パケット信号を適切に受信することが難しくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、受信する光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制できる光パケット交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光パケット交換システムは、光パケット信号を送信する複数の送信側ネットワークエレメントと、送信側ネットワークエレメントから送信された光パケット信号を受信する受信側ネットワークエレメントとを備える。受信側ネットワークエレメントは、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部と、所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元の送信側ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部と、算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を送信側ネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応する送信側ネットワークエレメントに送信する差分情報送信部とを備える。送信側ネットワークエレメントは、差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。
【0008】
送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整してもよい。
【0009】
差分情報送信部は、所定時間内に受信した全光パケット信号の平均値を目標値としてもよい。
【0010】
送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号を増幅するとともに、光パケット信号の光信号対雑音比を推定し、該光信号対雑音比情報を光パケット信号に付加する光増幅装置をさらに備えてもよい。
【0011】
光増幅装置は、入力された光パケット信号の光パワーと、当該光増幅装置の雑音指数とに基づいて、出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定してもよい。
【0012】
光増幅装置は、推定した光信号対雑音比情報を光信号に変換し、光パケット信号の前または後に挿入してもよい。
【0013】
送信側ネットワークエレメントは、監視制御信号を用いて、光信号対雑音比情報を受信側ネットワークエレメントに通知してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、受信する光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制できる光パケット交換システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを説明するための図である。
【図2】ネットワークエレメントの構成を説明するための図である。
【図3】ネットワークエレメントに到着した光パケット信号を示す図である。
【図4】各光パケット信号の経路を説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る光パケット交換装置における光信号対雑音比変動抑制制御を説明するための図である。
【図6】光増幅装置の構成を説明するための図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の一例を示す図である。
【図8】OSNR信号の構成を説明するための図である。
【図9】光増幅装置の変形例を示す図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の別の例を示す図である。
【図11】ネットワークエレメントの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る光パケット交換システムを説明するための図である。図1に示すように、光パケット交換システム100は、第1〜第4ネットワークエレメント(NE)101A〜101D(以下、総称する場合は「ネットワークエレメント101」と呼ぶ)を備える。なお、本実施の形態では、光パケット交換システム100は4つのネットワークエレメントを有するが、光パケット交換システム100は任意の数のネットワークエレメントを有することができる。
【0019】
第1〜第4ネットワークエレメント101A〜101Dは、光ファイバにより接続され、光パケットネットワークを構成している。具体的には、第1ネットワークエレメント101Aと第2ネットワークエレメント101Bとが光ファイバ102Aにより接続され、第1ネットワークエレメント101Aと第3ネットワークエレメント101Cとが光ファイバ102Bにより接続され、第3ネットワークエレメント101Cと第4ネットワークエレメント101Dとが光ファイバ102Dにより接続されている。
【0020】
図1に示すように、第1〜第4ネットワークエレメント101A〜101Dは、光パケット交換装置10A〜10Dと、第1光増幅装置20A1〜20D1と、第2光増幅装置20A2〜20D2と、監視制御部30A〜30Dと、OSNR処理部31A〜31Dとを備える。
【0021】
図2は、ネットワークエレメントの構成を説明するための図である。図2に示すように、ネットワークエレメント101は、光パケット交換装置10と、第1光増幅装置21と、第2光増幅装置22と、監視制御部30と、OSNR処理部31とを備える。光パケット交換装置10は、光スイッチ部12と、光パケット送信部14と、光パケット受信部15と、光カプラ16とを備える。
【0022】
外部からネットワークエレメント101に入力された光パケット信号は、光カプラ16にて2つに分岐される。分岐した一方の光パケット信号は、光パケット交換装置10の光スイッチ部12に入力し、他方の光パケット信号は、OSNR処理部31に入力する。
【0023】
光パケット送信部14は、クライアント側からクライアント信号を受信する。そして、光パケット送信部14は、クライアント信号に宛先情報やパケット長情報などを付与することにより光パケット信号を生成する。光パケット送信部14から出力された光パケット信号は、光スイッチ部12に入力する。
【0024】
光スイッチ部12は、入力された光パケット信号の経路を切り替える2入力×3出力の光スイッチ装置である。光スイッチ部12の第1入力ポート11aには、光カプラ16から光パケット信号が入力される。また、光スイッチ部12の第2入力ポート11bには、光パケット送信部14から光パケット信号が入力される。
【0025】
光スイッチ部12は、入力された光パケット信号の経路を切り替え、第1〜第3出力ポート13a〜13cのいずれかから出力する。光スイッチ部12の第1出力ポート13aから出力された光パケット信号は、第1光増幅装置21で増幅された後、外部に出力される。また、光スイッチ部12の第2出力ポート13bから出力された光パケット信号は、第2光増幅装置22で増幅された後、外部に出力される。また、光スイッチ部12の第3出力ポート13cから出力された光パケット信号は、光パケット受信部15に入力される。
【0026】
光パケット受信部15は、受信した光パケット信号を元のクライアント信号に復元し、クライアント側に出力する。
【0027】
OSNR処理部31は、OSNR取得部18と、平均値算出部19と、差分送信部20とを備える。
【0028】
OSNR取得部18には、光カプラ16から光パケット信号が入力される。OSNR取得部18は、受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を測定する。測定された光信号対雑音比情報は、平均値算出部19および差分送信部に送られる。
【0029】
平均値算出部19は、所定時間内に受信した光パケット信号について、光パケット信号の送信元のネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する。この送信元のネットワークエレメント別の光信号対雑音比の平均値を「送信元別平均光信号対雑音比」と呼ぶ。
【0030】
差分送信部20は、所定時間内に受信した全光パケット信号について、光信号対雑音比の平均値を算出する。この全光パケット信号の光信号対雑音比の平均値を「全平均光信号対雑音比」と呼ぶ。そして、差分送信部20は、送信元別平均光信号対雑音比と全平均光信号対雑音比との差分を送信元のネットワークエレメント別に算出し、該差分情報を対応するネットワークエレメントに通知する。この差分情報の通知は、監視制御部30により行う。
【0031】
監視制御部30は、ネットワークエレメント101内の構成要素、すなわち、光パケット交換装置10、第1光増幅装置21、第2光増幅装置22、OSNR処理部31を監視制御する。また、監視制御部30は、光パケット信号とは波長の異なる監視制御信号(OSC:Optical Supervisory Channel)を用いて、各ネットワークエレメント間で種々の情報(差分情報を含む)を通信する。
【0032】
監視制御部30は、他のネットワークエレメントから送信された差分情報を受信する。この差分情報は、光パケット送信部14に送られる。差分情報を受信した光パケット送信部14は、該差分が所定の閾値よりも小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する。具体的には、光パケット送信部14は、該差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0033】
次に、本実施形態に係る光パケット交換システム100の動作について説明する。ここでは、図3に示すように、第1ネットワークエレメント101A、第3ネットワークエレメント101Cから出力された光パケット信号♯1〜♯9が、所定時間内に第4ネットワークエレメント101Dに到着した場合を例として説明する。
【0034】
図4は、各光パケット信号の経路を説明するための図である。図4は、例えば光パケット信号♯001が第3ネットワークエレメント101Cから送信された後、第4ネットワークエレメント101Dに到着したことを表し、また、例えば光パケット信号♯002が第1ネットワークエレメント101Aから送信された後、第3ネットワークエレメント101Cを経由して第4ネットワークエレメント101Dに到着したことを表す。
【0035】
例えば光パケット信号♯001と♯002は、異なる光パケット送信部から出力された光パケット信号であり、また通過した光増幅装置の数が異なる。すなわち、光パケット信号♯001は、第1ネットワークエレメント101Aの第2光増幅装置22Aおよび第3ネットワークエレメント101Cの第2光増幅装置22Cを通過しており、光パケット信号♯002は、第3ネットワークエレメント101Cの第2光増幅装置22Cを通過している。従って、光パケット信号♯001と♯002は、通常、異なる光信号対雑音比を有する。連続する光パケット信号♯001と♯002の間の光信号対雑音比の変動が大きい場合、第4ネットワークエレメント101Dの光パケット交換装置10Dの光パケット受信部は、適切に光パケット信号を受信することが難しくなる。そこで、本実施形態に係る光パケット交換システム100においては、光信号対雑音比の変動を抑制する制御を行う。
【0036】
図5は、本実施形態に係る光パケット交換装置における光信号対雑音比変動抑制制御を説明するための図である。図3および図4と同様に、第1ネットワークエレメント101A、第3ネットワークエレメント101Cから出力された光パケット信号♯1〜♯9が、所定時間内に第4ネットワークエレメント101Dに到着した場合を考える。
【0037】
第4ネットワークエレメント101DのOSNR処理部31DのOSNR取得部18は、到着した光パケット信号♯001〜♯009の光信号対雑音比を測定する。OSNR取得部18により測定された光パケット信号♯001〜♯009の光信号対雑音比E001〜E009は、平均値算出部19および差分送信部20に送られる。
【0038】
平均値算出部19は、光パケット信号♯001〜♯009の送信元の光ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の雑音比を算出する。本例では、光パケット信号♯002,♯005,♯006,♯008は第1ネットワークエレメント101Aを送信元とするので、これらの光パケット信号の光信号対雑音比E002,E005,E006,E008の平均値AVG−A(送信元別平均光信号対雑音比)を算出する。また、光パケット信号♯001,♯003,♯004,♯007,♯009は第3ネットワークエレメント101Cを送信元とするので、これらの光パケット信号の光信号対雑音比E001,E003,E004,E007,E009の平均値AVG−C(送信元別平均光信号対雑音比)を算出する。
【0039】
差分送信部20は、全光パケット信号♯001〜♯009について、光信号対雑音比の平均値AVG−ALL(全平均光信号対雑音比)を算出する。そして、差分送信部20は、第1ネットワークエレメント101Aに関してAVG−AとAVG−ALLとの差分ΔAを算出し、この差分ΔAを第1ネットワークエレメント101Aに通知する。また、差分送信部20は、第3ネットワークエレメント101Cに関してAVG−CとAVG−ALLとの差分ΔCを算出し、この差分ΔCを第3ネットワークエレメント101Cに通知する。上述したように、この差分ΔA,ΔCの通知は、監視制御信号を用いて行う。
【0040】
差分ΔAの通知を受けた第1ネットワークエレメント101Aの光パケット交換装置10Aの光パケット送信部14は、該差分ΔAが所定の閾値よりも小さくなるように、送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0041】
同じように、差分ΔCの通知を受けた第3ネットワークエレメント101Cの光パケット交換装置10Cの光パケット送信部14は、該差分ΔCが所定の閾値よりも小さくなるように、送信する光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整する。
【0042】
以上のような制御を行うことにより、第4ネットワークエレメント101Dに入力される光パケット信号の光信号対雑音比の変動を抑制でき、適切に光パケット信号を受信することができる。
【0043】
上記の説明では、第1ネットワークエレメント101Aおよび第3ネットワークエレメント101Cを送信側のネットワークエレメントとし、第4ネットワークエレメント101Dを受信側のネットワークエレメントとしたが、どのネットワークエレメントが送信側または受信側のネットワークエレメントとなってもよい。
【0044】
本実施形態では、差分送信部20は、送信元別平均光信号対雑音比と全平均光信号対雑音比との差分を算出したが、送信元別平均光信号対雑音比と所定の目標値との差分を算出してもよい。この場合、受信側のネットワークエレメントに入力する光パケット信号の光信号対雑音比が所定の目標値に近づくので、光信号対雑音比の変動を抑制できる。
【0045】
各ネットワークエレメントが送信する光パケット信号は、波長多重光パケット信号であってもよい。この場合、各波長ごとに、上記の光信号対雑音比変動抑制制御を行ってもよい。
【0046】
図6は、光増幅装置の構成を説明するための図である。図6に示す光増幅装置70は、例えばネットワークエレメント内に配置することができる。この光増幅装置70によれば、光パケット信号に光信号対雑音比情報を付加することができる。この光増幅装置70を光パケット交換システムに用いれば、光信号対雑音比の取得が容易となる。
【0047】
図6に示すように、光増幅装置70は、第1光カプラ71と、モニタ部72と、OSNR処理部73と、第2光カプラ74と、EDF(Erbiumu Doped Fiber)75とを備える。
【0048】
光増幅装置70に入力された光パケット信号は、第1光カプラ71にて2つに分岐される。一方の光パケット信号は第2光カプラ74に送られ、他方の光パケット信号はモニタ部72に送られる。モニタ部72は、入力された他方の光パケット信号の光パワーを検出する。
【0049】
OSNR処理部73は、OSNR取得部76と、OSNR情報生成部77と、光信号生成部78とを備える。OSNR取得部76は、モニタ部72にてモニタされた光パケット信号の光パワーと、EDF75の雑音指数とに基づいて、EDF75から出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定する。入力光パワーと雑音指数に基づく光信号対雑音比の推定方法は、特開2000−232433号公報などに開示がある。
【0050】
OSNR情報生成部77は、OSNR取得部76にて推定された光信号対雑音比情報を光パケット信号に付与可能な形式に変換する。具体的には、光信号対雑音比情報に前にプリアンブルを付与する。光信号生成部78は、OSNR情報生成部77にて生成された信号を光信号に変換して出力する。この光信号を「OSNR信号」と呼ぶ。OSNR信号は、第2光カプラ74により、第1光カプラ71にて分岐された一方の光パケット信号の前に挿入される。このOSNR信号が付加された光パケット信号は、EDF75により増幅された後、出力ポートOUTから出力される。
【0051】
図7(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の一例を示す。図7(a)は、光スイッチ送信部から送信された光パケット信号を示す。光パケット信号は、データの前にヘッダが設けられ、ヘッダの前にプリアンブルが設けられている。そして、光パケット信号のプリアンブルの前に、送信時の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号0が付加されている。
【0052】
図7(b)は、1つ目の光増幅装置70を通過後の光パケット信号を示す。1つ目の光増幅装置70を通過することにより、OSNR信号0の前に、1つ目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号1が付加されている。
【0053】
図7(c)は、2つ目の光増幅装置70を通過後の光パケット信号を示す。2つ目の光増幅装置70を通過することにより、OSNR信号1の前に、2つ目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号2が付加されている。このように、光増幅装置70を通過する毎に、光パケット信号の前にOSNR信号が追加されていく。
【0054】
図8は、OSNR信号の構成を説明するための図である。図8に示すように、OSNR信号Nは、N番目の光増幅装置70を通過後の光信号対雑音比情報であるデータNの前に、プリアンブルを備える。これは、受信側のネットワークエレメントにおいてデータNを確実に受信可能とするためである。
【0055】
図6に示す光増幅装置70を図1の光パケット交換システム100のネットワークエレメントに用いる場合、OSNR取得部は、受信した光パケット信号を解析し、先頭に付加されたOSNR信号を抽出する。そして、取得したOSNR信号から、光信号対雑音比を取得する。この光信号対雑音比は、最後に通過した光増幅装置により付加されたものであるので、受信した光パケット信号の実際の光信号対雑音比に近い値とみなすことができる。
【0056】
図9は、光増幅装置の変形例を示す。図9に示す光増幅装置70は、EDF75の後で光パケット信号にOSNR信号が付加される点が図6に示す光増幅装置と異なっている。
【0057】
上記の実施形態においては、光パケット信号のプリアンブルの前にOSNR信号を付加している。この場合、OSNR信号を挿入するタイミングが多少遅れてもプリアンブルに重畳されるだけであるので、光パケット信号のデータ本体には影響が生じない。しかしながら、OSNR信号を付加する位置は光パケット信号の前に限られず、光パケット信号の後であってもよい。この場合、OSNR信号が光パケット信号のデータ本体に重畳しないよう挿入タイミングを正確に調整すればよい。
【0058】
図10(a)〜(c)は、OSNR信号が付加された光パケット信号の別の例を示す。本例では、ネットワークエレメントを通過する毎にOSNR信号が書き換えられる。
【0059】
図10(a)は、光スイッチ送信部から送信された光パケット信号を示す。図10(a)に示すように、光パケット信号のプリアンブルの前に、送信時の光信号対雑音比情報を有するOSNR信号0が付加されている。
【0060】
図10(b)は、1つ目のネットワークエレメントを通過後の光パケット信号を示す。1つ目のネットワークエレメントを通過することにより、OSNR信号0がOSNR信号1に書き換えられている。
【0061】
図10(c)は、2つ目のネットワークエレメントを通過後の光パケット信号を示す。2つ目のネットワークエレメントを通過することにより、OSNR信号1がOSNR信号2に書き換えられている。
【0062】
図11は、ネットワークエレメントの変形例を示す。図11に示すネットワークエレメント101は、図10(a)〜(c)に示すように、OSNR信号を書き換えることができる。このネットワークエレメント101は、OSNR処理部31がOSNR信号生成部79を備える点が、図2に示すネットワークエレメントと異なる。
【0063】
OSNR信号生成部79は、OSNR取得部18で取得された光パケット信号の光信号対雑音比情報を光のOSNR信号に変換し、光スイッチ部12の入力ポートに出力する。光スイッチ部12は、光パケット信号の前に対応するOSNR信号が出力されるよう、光パケット信号およびOSNR信号の出力タイミングを調整する。光スイッチ部12は、光パケット信号をスイッチングする際に、光パケット信号に当初付加されていたOSNR信号がカットされるよう、光スイッチを制御する。これにより、光パケット信号に付加される光信号対雑音比情報を最新の情報に書き換えることができる。
【0064】
上記においては、光パケット信号に光信号対雑音比情報を付加して下流のネットワークエレメントに光信号対雑音比を通知したが、監視制御信号を用いて光信号対雑音比を通知してもよい。
【0065】
図1に示すような光パケット交換システムにおいて、ネットワークエレメント間では、監視制御信号を用いた通信が常時行われている。光パケット信号の切替は、光パケット信号に付与された送信先情報に基づいて実施するため、各ネットワークエレメントの監視制御部は、あるパケット情報(送信元・送信先・パケットID)を持つ光パケット信号が、次にどのネットワークエレメントに送信されるかを知っている。このため、次のネットワークエレメントに、パケット情報および光信号対雑音比情報を送信することができる。
【0066】
例えば、第1ネットワークエレメント101Aの光パケット交換装置10Aにおいてある光パケット信号の切替を行う場合には、監視制御部30Aは、該光パケット信号が第2ネットワークエレメント101Bと第3ネットワークエレメント101Cのどちらに行くのか情報を持っている。従って、光パケット信号を第2ネットワークエレメント101Bに切り替えた場合、監視制御部30Aは、該光パケット信号のパケット情報および光信号対雑音比情報を第2ネットワークエレメント101Bの監視制御部30Bに送信できる。また、光パケット信号を第3ネットワークエレメント101Cに切り替えた場合、監視制御部30Aは、該光パケット信号のパケット情報および光信号対雑音比情報を第3ネットワークエレメント101Cの監視制御部30Cに送信できる。このようにして、順番に情報を伝達することにより、光パケット信号の光信号対雑音比情報を受信側のネットワークエレメントまで伝達できる。受信側のネットワークエレメントでは、この監視制御信号により伝達された光信号対雑音比情報を用いて、上記の光信号対雑音比変動抑制制御を行うことができる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せによりいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
10 光パケット交換装置、 12 光スイッチ部、 14 光パケット送信部、 15 光パケット受信部、 18 OSNR取得部、 19 平均値算出部、 20 差分送信部、 21 第1光増幅装置、 22 第2光増幅装置、 30 監視制御部、 31 OSNR処理部、 70 光増幅装置、 79 OSNR信号生成部、 100 光パケット交換システム、 101 ネットワークエレメント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光パケット信号を送信する複数の送信側ネットワークエレメントと、前記送信側ネットワークエレメントから送信された光パケット信号を受信する受信側ネットワークエレメントとを備える光パケット交換システムであって、
前記受信側ネットワークエレメントは、
受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部と、
所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元の送信側ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部と、
算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を前記送信側ネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応する送信側ネットワークエレメントに送信する差分情報送信部と、を備え、
前記送信側ネットワークエレメントは、前記差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する、
ことを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整することを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記差分情報送信部は、所定時間内に受信した全光パケット信号の平均値を前記目標値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
前記送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号を増幅するとともに、光パケット信号の光信号対雑音比を推定し、該光信号対雑音比情報を光パケット信号に付加する光増幅装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
前記光増幅装置は、入力された光パケット信号の光パワーと、当該光増幅装置の雑音指数とに基づいて、出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定することを特徴とする請求項4に記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
前記光増幅装置は、推定した光信号対雑音比情報を光信号に変換し、前記光パケット信号の前または後に挿入することを特徴とする請求項4または5に記載の光パケット交換システム。
【請求項7】
前記送信側ネットワークエレメントは、監視制御信号を用いて、光信号対雑音比情報を前記受信側ネットワークエレメントに通知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項1】
光パケット信号を送信する複数の送信側ネットワークエレメントと、前記送信側ネットワークエレメントから送信された光パケット信号を受信する受信側ネットワークエレメントとを備える光パケット交換システムであって、
前記受信側ネットワークエレメントは、
受信した光パケット信号ごとに光信号対雑音比を取得するOSNR取得部と、
所定時間内に受信した光パケット信号について、送信元の送信側ネットワークエレメント別に、光信号対雑音比の平均値を算出する平均値算出部と、
算出した光信号対雑音比の平均値と光信号対雑音比の目標値との差分を前記送信側ネットワークエレメント別に算出し、該差分を対応する送信側ネットワークエレメントに送信する差分情報送信部と、を備え、
前記送信側ネットワークエレメントは、前記差分が小さくなるよう送信する光パケット信号の特性を調整する、
ことを特徴とする光パケット交換システム。
【請求項2】
前記送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号の光パワーおよび/または消光比を調整することを特徴とする請求項1に記載の光パケット交換システム。
【請求項3】
前記差分情報送信部は、所定時間内に受信した全光パケット信号の平均値を前記目標値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光パケット交換システム。
【請求項4】
前記送信側ネットワークエレメントは、光パケット信号を増幅するとともに、光パケット信号の光信号対雑音比を推定し、該光信号対雑音比情報を光パケット信号に付加する光増幅装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【請求項5】
前記光増幅装置は、入力された光パケット信号の光パワーと、当該光増幅装置の雑音指数とに基づいて、出力される光パケット信号の光信号対雑音比を推定することを特徴とする請求項4に記載の光パケット交換システム。
【請求項6】
前記光増幅装置は、推定した光信号対雑音比情報を光信号に変換し、前記光パケット信号の前または後に挿入することを特徴とする請求項4または5に記載の光パケット交換システム。
【請求項7】
前記送信側ネットワークエレメントは、監視制御信号を用いて、光信号対雑音比情報を前記受信側ネットワークエレメントに通知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パケット交換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−38641(P2013−38641A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173887(P2011−173887)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
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