説明

光パルス試験システム及び光パルス試験方法

【課題】本発明は、スプリッタ下部の光線路をOTDRによってセンタ側から測定可能にすることを目的とする。
【解決手段】本願発明の光パルス試験システムは、センタ側装置10と加入者側装置30とを備え、センタ側装置10は、第1の光源13と、第1の光パルスによって生じる後方散乱光、加入者側装置30からの第2の光パルス及び第2の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第1の受光器15と、信号波形を記録する波形記録部19と、を備え、加入者側装置30は、第1の光パルスを受光する第2の受光器34と、第2の受光器34が第1の光パルスを受光すると、第2の光パルスを出力する第2の光源33と、第2の光パルスによって生じる後方散乱光をセンタ側装置10に向けて反射するミラー35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス試験システム及び光パルス試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内での光アクセスネットワークは大部分がPON(Passive Optical Network)構成へと移行が進んでいる。PONではセンタ側のOLT(Optical Line Terminal)と加入者側のONU(Optical Nertwork Unit)との間にスプリッタが配置され、1対多の構成により効率の高い加入者収容を実現している。ところが光線路の保守を実施しようとすると、一般的に用いられているOTDR(Optical Time−Domain Reflectometer)ではOLT側からスプリッタの下部を個別に測定することは原理的に困難となっている。そのため、工夫を施してスプリッタ下部の光線路を把握するための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
スプリッタ下部の光線路をOTDRによって測定することが困難な理由としては、スプリッタにより分岐された光線路からの後方散乱光はそれぞれの分岐された光線路からも生じるものであり、それらは、時間的に分離ができないため、時間的な後方散乱光の変化を距離に換算する原理をもつOTDRでは、スプリッタにより分離された光線路からの後方散乱光が重なってしまうため、個別に測定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−63377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、スプリッタ下部の光線路をOTDRによってセンタ側から測定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の光パルス試験システムは、センタ側の光線路の端部に接続されるセンタ側装置(10)と加入者側の光線路の端部に接続される加入者側装置(30)とを備える光パルス試験システムであって、前記センタ側装置は、第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力する第1の光源(13)と、前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記加入者側装置からの第2の光パルス及び前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第1の受光器(15)と、前記第1の受光器からの信号波形を記録する波形記録部(19)と、を備え、前記加入者側装置は、前記センタ側装置からの前記第1の光パルスを受光する第2の受光器(34)と、前記第2の受光器が前記第1の光パルスを受光すると、前記第2の光パルスを出力する第2の光源(33)と、前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置に向けて反射するミラー(35)と、を備える。
【0007】
本願発明の光パルス試験システムは、第1の光源(13)と、第1の受光器(15)と、を備えるため、第1の光パルスによって生じる後方散乱光を観測することができる。本願発明の光パルス試験システムは、第1の光源(13)と、第2の受光器(34)と、第2の光源(33)と、ミラー(35)と、を備えるため、第1の受光器(15)は、第2の光パルスによって生じる後方散乱光を観測することができる。第2の光パルスは加入者側から出力した光パルスであるため、本願発明の光パルス試験システムは、スプリッタ下部の光線路をOTDRによってセンタ側から測定することができる。
【0008】
本願発明の光パルス試験システムでは、前記センタ側装置は、前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力と出力停止を制御し、前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力を停止させているときに前記第1の光源から前記第1の光パルスを出力して前記第1の受光器が前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第1の光パルス受光モードと、前記第2の光源からの前記第2の光パルスを出力させているときに前記第1の光源から前記第1の光パルスを出力して前記第1の受光器が前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記第2の光パルス及び前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第2の光パルス受光モードと、を切り替える制御部(22)をさらに備え、前記波形記録部は、前記第1の光パルス受光モードのときの前記第1の受光器からの信号波形(以降、第1の光パルス受光モードのときの信号波形を基準波形と称する。)を記録するとともに、前記第2の光パルス受光モードのときの前記第1の受光器からの信号波形(以降、第2の光パルス受光モードのときの信号波形を測定波形と称する。)を記録し、前記波形記録部の記録した前記基準波形と前記測定波形との各距離における信号強度の差分を算出する演算部をさらに備えてもよい。
【0009】
本願発明の光パルス試験システムでは、前記センタ側装置と複数の前記加入者側装置とが光スプリッタを介して接続され、前記制御部は、前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力と出力停止を、前記加入者側装置ごとに制御し、前記第2の光パルス受光モードのときに、前記複数の加入者側装置のうちの任意の1つの前記加入者側装置の前記第2の光源から前記第2の光パルスを出力させてもよい。
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明の光パルス試験方法は、センタ側の光線路(94)の端部に接続されるセンタ側装置(10)と加入者側の光線路の端部に接続される加入者側装置(30)とを用いる光パルス試験方法であって、前記センタ側装置から第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力する第1の光パルス出力手順と、前記センタ側装置からの前記第1の光パルスを前記加入者側装置が受光し、第2の光パルスを前記加入者側装置が前記センタ側装置に向けて出力し、前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記加入者側装置が前記センタ側装置に向けて反射する第2の光パルス出力手順と、前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記第2の光パルス及び反射された前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置が受光し、前記センタ側装置の受光した光の信号波形(以降、複合光パルス波形記録手順で得られる信号波形を測定波形と称する。)を記録する複合光パルス波形記録手順と、を順に有する。
【0011】
本願発明の光パルス試験方法は、第1の光パルス出力手順と、第2の光パルス出力手順と、複合光パルス波形記録手順と、を順に有するため、第1の光パルスによって生じる後方散乱光を観測するとともに、第2の光パルスによって生じる後方散乱光を観測することができる。第2の光パルスは加入者側から出力した光パルスであるため、本願発明の光パルス試験方法は、スプリッタ下部の光線路をOTDRによってセンタ側から測定することができる。
【0012】
本願発明の光パルス試験方法では、前記センタ側装置から第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力し、前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置が受光し、前記センタ側装置の受光した光の信号波形(以降、単一光パルス波形記録手順で得られる信号波形を基準波形と称する。)を記録する単一光パルス波形記録手順を、前記第1の光パルス出力手順の前又は前記複合光パルス波形記録手順の後にさらに有し、前記単一光パルス波形記録手順で記録した基準波形と前記複合光パルス波形記録手順で記録した測定波形との各距離における信号強度の差分を算出する演算手順を、前記単一光パルス波形記録手順及び前記複合光パルス波形記録手順の後にさらに有してもよい。
【0013】
本願発明の光パルス試験方法では、前記センタ側装置と複数の前記加入者側装置とが光スプリッタを介して接続され、前記第2の光パルス出力手順において、前記複数の加入者側装置のうちの任意の1つの前記加入者側装置から前記第2の光パルスを出力してもよい。
【0014】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリッタ下部の光線路をOTDRによってセンタ側から測定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る光パルス試験システムの一例を示す。
【図2】センタ側装置10及び加入者側装置30の具体例を示す。
【図3】第1の光パルス出力手順の後における光パルス試験システムの状態の一例を示す。
【図4】第2の光パルス出力手順における光パルス試験システムの状態の一例を示す。
【図5】実施形態1に係る測定波形の一例を示す。
【図6】実施形態2に係る光パルス試験システムの一例を示す。
【図7】センタ側装置及び加入者側装置の具体例を示す。
【図8】実施形態2に係る基準波形の一例を示す。
【図9】実施形態2に係る測定波形の一例を示す。
【図10】演算部の演算結果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0018】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る光パルス試験システムの一例を示す。本実施形態では、OLT91とONU92とが1対1で接続された光ネットワークの光パルス試験を行う。本実施形態に係る光パルス試験システムは、センタ側装置10及び加入者側装置30を備える。センタ側装置10はOLT91側の光線路94の端部に接続され、加入者側装置30はONU92側の光線路94の端部に接続される。
【0019】
図2に、センタ側装置10及び加入者側装置30の具体例を示す。センタ側装置10は、タイミング制御部11と、LD(Laser Diode)ドライバ12と、第1の光源としてのLD13と、光カプラ14と、第1の受光器としてのAPD(Avalanche Photo−Diodes)15と、増幅器16と、AD(Analog to Digital)コンバータ17と、加算部18と、波形記録部19と、表示部20と、を備える。加入者側装置30は、光カプラ31と、ミラー35と、光カプラ32と、第2の光源としてのLD33と、第2の受光器としてのPD(Photo−Diodes)34と、を備える。センタ側装置10と加入者側装置30との光線路94に、DUF(Device Under Fiber)40が挿入されていてもよい。
【0020】
本実施形態に係る光パルス試験方法は、センタ側装置10と加入者側装置30とを用いる光パルス試験方法であって、第1の光パルス出力手順と、第2の光パルス出力手順と、複合光パルス波形記録手順と、を順に有する。
【0021】
第1の光パルス出力手順では、センタ側装置10から第1の光パルスL1を加入者側装置30に向けて出力する。例えば、タイミング制御部11からのタイミング信号に従い、LDドライバ12はLD13を駆動する。LD13は、タイミング信号に従って第1の光パルスL1を光カプラ14に出力する。光カプラ14は第1の光パルスL1を光線路94に出力する。
【0022】
図3に、第1の光パルス出力手順の後における光パルス試験システムの状態の一例を示す。第1の光パルスL1は、光線路94を伝送され、加入者側装置30に到達する。一方で、光線路94において、第1の光パルスL1が光線路94で反射又は散乱された後方散乱光B1が発生する。
【0023】
第2の光パルス出力手順では、センタ側装置10からの第1の光パルスL1をPD34が受光する。受光した光に同期してLD33は、第2の光パルスL2をセンタ側装置10に向けて出力する。
【0024】
図4に、第2の光パルス出力手順における光パルス試験システムの状態の一例を示す。光線路94において、第2の光パルスL2が光線路94で反射又は散乱された後方散乱光B2が発生し、後方散乱光B2が加入者側装置30に到達する。ミラー35は、後方散乱光B2を、センタ側装置10に向けて反射する。ミラー35の反射した後方散乱光B3は、光線路94にて伝送され、センタ側装置10に到達する。
【0025】
複合光パルス波形記録手順では、後方散乱光B1、第2の光パルスL2及び後方散乱光B3をAPD15が受光する。増幅器16は、APD15の受光信号を増幅する。ADコンバータ17は、増幅器16からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。加算部18は、タイミング制御部11からのタイミング信号以降のADコンバータ17からのデジタルデータを時刻ごとに記憶する。波形記録部19は、加算部18の記憶したデジタルデータを用いて得られるOTDR波形を記録する。これにより、APD15の受光した光の信号波形(以降、複合光パルス波形記録手順で得られる信号波形を測定波形と称する。)を記録する。
【0026】
図5に、測定波形の一例を示す。スプリッタ93の位置にピークPB1が現れ、ONU92の位置にピークPONUが現れる。また、第2の光パルスL2がスプリッタ93で反射されたフレネル反射のピークPB3が現れる。
【0027】
本実施形態では、PONの両端測定を目的としている。ONU92側に光源と光検出器と全反射ミラーを搭載した加入者側装置30を設置し、OLT91側から第1の光パルスL1がONU92に届いた際に第2の光パルスL2を出力させる。ONU92側から出力した第2の光パルスL2による後方散乱光は加入者側装置30に戻り、その光は全反射ミラー35によりセンタ側装置10へ再度反射される。このため、OLT91側ではONU92側から光線路を測定したかのように波形を測定することができる。このように、本発明は、PONに限らず両端からの測定が必要なアプリケーションにおいて、あたかも両端測定を実施したかのような波形を取得することが可能となる。
【0028】
この光源と光検出器はONU92の構成部品であるため、第1の光パルスL1及び第2の光パルスL2の波長が信号波長と同じ波長であれば、ONU92に全反射ミラーを追加するだけで加入者側装置30を構成することが可能である。ミラーとしても機能する反射フィルタはONU92の構成部品であるため、第1の光パルスL1及び第2の光パルスL2の波長が信号波長と異なる波長であれば、ONU92のミラー35にONU92の反射フィルタを用いることが可能である。
【0029】
また、加入者側装置30を小型のOTDRとしてもよい。その場合、通常のスプリッタ93下部のOTDR測定は現場で実施し、現場で波形確認が可能であるが、センタ側でその波形を確認するためには何かしらの通信手段をもって波形データを送付する必要がある。ところが本願の構成を用いることにより、あたかも現場での波形をセンタ側のOTDRにより把握することが可能で効率的に現場へ指示が可能となる。
【0030】
(実施形態2)
図6に、実施形態2に係る光パルス試験システムの一例を示す。本実施形態では、OLT91とONU92とが1対複数で接続されたPONの光パルス試験を行う。各ONU92_1〜92_4には加入者側装置30_1〜30_4が配置されている。
【0031】
図7に、センタ側装置10及び加入者側装置30の具体例を示す。本実施形態に係るセンタ側装置10は、実施形態1のセンタ側装置10に、さらに、制御部22と、演算部21と、を備える。本実施形態に係る加入者側装置30は、実施形態1の加入者側装置30に、さらに、制御部36を備えている。
【0032】
本実施形態では、単一光パルス波形記録手順を第1の光パルス出力手順の前にさらに有するとともに、演算手順を複合光パルス波形記録手順の後に有する。単一光パルス波形記録手順では第1の光パルス受光モードで動作し、第1の光パルス出力手順、第2の光パルス出力手順及び複合光パルス波形記録手順では第2の光パルス受光モードで動作する。
【0033】
単一光パルス波形記録手順では、制御部22は、センタ側装置10及び加入者側装置30_1〜30_4を第1の光パルス受光モードに設定する。例えば、制御部22は、LDドライバ12を駆動して、LD13から制御信号を送信する。制御信号は各加入者側装置30_1〜30_4のPD34で受光される。制御部36は、PD34の受光した制御信号に従い、LD33の駆動を停止させる。各加入者側装置30のLD33からの第1の光パルスL1の出力を停止させる。
【0034】
この状態で、制御部22は、LD13から第1の光パルスを出力し、APD15が第1の光パルスによって生じる後方散乱光B1を受光する。増幅器16は、APD15の受光信号を増幅する。ADコンバータ17は、増幅器16からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。加算部18は、タイミング制御部11からのタイミング信号以降のADコンバータ17からのデジタルデータを時刻ごとに記憶する。波形記録部19は、加算部18の記憶したデジタルデータを用いて得られるOTDR波形を記録する。これにより、APD15の受光した光の信号波形(以降、単一光パルス波形記録手順で得られる信号波形を基準波形と称する。)を記録する。
【0035】
図8に、基準波形の一例を示す。スプリッタ93の位置にピークPB1が現れ、ONU92_1の位置にピークP1が現れ、ONU92_2の位置にピークP2が現れ、ONU92_3の位置にピークP3が現れ、ONU92_4の位置にピークP4が現れる。
【0036】
第1の光パルス出力手順では、制御部22は、センタ側装置10を第2の光パルス受光モードに設定するとともに、加入者側装置30_1〜30_4のうちの任意の1つである加入者側装置30_2を第2の光パルス受光モードに設定する。例えば、制御部22は、LDドライバ12を駆動して、LD13から制御信号を送信する。制御信号は各加入者側装置30_1〜30_4のうちの1つの加入者側装置30_2を第2の光パルス受光モードに設定する旨の信号である。制御信号は各加入者側装置30_1〜30_4のPD34で受光される。各加入者側装置30_1〜30_4の各制御部36は、PD34の受光した制御信号に従い、LD33の駆動を停止させるか駆動させる。これにより、加入者側装置30_2のみが第2の光パルス受光モードに設定される。
【0037】
この状態で、制御部22は、LD13から第1の光パルスL1を出力する。例えば、タイミング制御部11からのタイミング信号に従い、LDドライバ12はLD13を駆動する。LD13は、タイミング信号に従って第1の光パルスL1を光カプラ14に出力する。光カプラ14は第1の光パルスL1を光線路94_0に出力する。
【0038】
第2の光パルス出力手順では、センタ側装置10からの第1の光パルスL1をPD34が受光する。LD33は、第2の光パルスL2をセンタ側装置10に向けて出力する。
【0039】
複合光パルス波形記録手順では、後方散乱光B1、第2の光パルスL2及び後方散乱光B3をAPD15が受光する。増幅器16は、APD15の受光信号を増幅する。ADコンバータ17は、増幅器16からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。加算部18は、タイミング制御部11からのタイミング信号以降のADコンバータ17からのデジタルデータを時刻ごとに記憶する。波形記録部19は、加算部18の記憶したデジタルデータを用いて得られるOTDR波形を記録する。これにより、APD15の受光した光の信号波形(以降、複合光パルス波形記録手順で得られる信号波形を測定波形と称する。)を記録する。
【0040】
図9に、測定波形の一例を示す。基準波形と同様に、ピークPB1、ピークP1、ピークP2、ピークP3、ピークP4が現れる。測定波形では、第2の光パルスL2が含まれるため、ONU92_2でのフレネル反射のピークP2の強度が高くなっている。また、後方散乱光B3が含まれるため、ミラー35が位置するピークP2の位置からスプリッタ93が位置するピークPB1までの後方散乱光強度が増えている。
【0041】
演算手順では、演算部21が、波形記録部19の記録した基準波形と測定波形との各距離における信号強度の差分を算出する。例えば、図8に示す基準波形と図9に示す測定波形の差分を算出する。このときの波形は、図10のようになる。
【0042】
本実施形態では、OLT91側ではONU92_2側からスプリッタ93下部の光線路94_2を測定したかのように波形を測定することができる。ONU92_2側から第2の光パルスL2を出力した場合のOLT91側の波形と出力しない場合のOLT91側の波形の差分を計算することにより、図10のようなONU92_2側からスプリッタ93下部を測定した波形のみをOLT91側で取り出すことが可能となる。
【0043】
なお、単一光パルス波形記録手順は、複合光パルス波形記録手順の後であってもよい。また、ONUの数は4に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10:センタ側装置
11:タイミング制御部
12:LDドライバ
13:LD
14:光カプラ
15:APD
16:増幅器
17:ADコンバータ
18:加算部
19:波形記録部
20:表示部
21:演算部
22:制御部
30、30_1〜30_4:加入者側装置
31:光カプラ
32:光カプラ
33:LD
34:PD
35:ミラー
36:制御部
40:DUF
91:OLT
92、92_1〜92_4:ONU
93:スプリッタ
94、94_0〜94_4:光線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ側の光線路の端部に接続されるセンタ側装置(10)と加入者側の光線路の端部に接続される加入者側装置(30)とを備える光パルス試験システムであって、
前記センタ側装置は、
第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力する第1の光源(13)と、
前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記加入者側装置からの第2の光パルス及び前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第1の受光器(15)と、
前記第1の受光器からの信号波形を記録する波形記録部(19)と、
を備え、
前記加入者側装置は、
前記センタ側装置からの前記第1の光パルスを受光する第2の受光器(34)と、
前記第2の受光器が前記第1の光パルスを受光すると、前記第2の光パルスを出力する第2の光源(33)と、
前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置に向けて反射するミラー(35)と、
を備える、
光パルス試験システム。
【請求項2】
前記センタ側装置は、
前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力と出力停止を制御し、前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力を停止させているときに前記第1の光源から前記第1の光パルスを出力して前記第1の受光器が前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第1の光パルス受光モードと、前記第2の光源からの前記第2の光パルスを出力させているときに前記第1の光源から前記第1の光パルスを出力して前記第1の受光器が前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記第2の光パルス及び前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を受光する第2の光パルス受光モードと、を切り替える制御部(22)をさらに備え、
前記波形記録部は、前記第1の光パルス受光モードのときの前記第1の受光器からの信号波形(以降、第1の光パルス受光モードのときの信号波形を基準波形と称する。)を記録するとともに、前記第2の光パルス受光モードのときの前記第1の受光器からの信号波形(以降、第2の光パルス受光モードのときの信号波形を測定波形と称する。)を記録し、
前記波形記録部の記録した前記基準波形と前記測定波形との各距離における信号強度の差分を算出する演算部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験システム。
【請求項3】
前記センタ側装置と複数の前記加入者側装置とが光スプリッタを介して接続され、
前記制御部は、前記第2の光源からの前記第2の光パルスの出力と出力停止を、前記加入者側装置ごとに制御し、前記第2の光パルス受光モードのときに、前記複数の加入者側装置のうちの任意の1つの前記加入者側装置の前記第2の光源から前記第2の光パルスを出力させる
ことを特徴とする請求項2に記載の光パルス試験システム。
【請求項4】
センタ側の光線路(94)の端部に接続されるセンタ側装置(10)と加入者側の光線路の端部に接続される加入者側装置(30)とを用いる光パルス試験方法であって、
前記センタ側装置から第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力する第1の光パルス出力手順と、
前記センタ側装置からの前記第1の光パルスを前記加入者側装置が受光し、第2の光パルスを前記加入者側装置が前記センタ側装置に向けて出力し、前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記加入者側装置が前記センタ側装置に向けて反射する第2の光パルス出力手順と、
前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光、前記第2の光パルス及び反射された前記第2の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置が受光し、前記センタ側装置の受光した光の信号波形(以降、複合光パルス波形記録手順で得られる信号波形を測定波形と称する。)を記録する複合光パルス波形記録手順と、
を順に有する光パルス試験方法。
【請求項5】
前記センタ側装置から第1の光パルスを前記加入者側装置に向けて出力し、前記第1の光パルスによって生じる後方散乱光を前記センタ側装置が受光し、前記センタ側装置の受光した光の信号波形(以降、単一光パルス波形記録手順で得られる信号波形を基準波形と称する。)を記録する単一光パルス波形記録手順を、前記第1の光パルス出力手順の前又は前記複合光パルス波形記録手順の後にさらに有し、
前記単一光パルス波形記録手順で記録した基準波形と前記複合光パルス波形記録手順で記録した測定波形との各距離における信号強度の差分を算出する演算手順を、前記単一光パルス波形記録手順及び前記複合光パルス波形記録手順の後にさらに有する
ことを特徴とする請求項4に記載の光パルス試験方法。
【請求項6】
前記センタ側装置と複数の前記加入者側装置とが光スプリッタを介して接続され、
前記第2の光パルス出力手順において、前記複数の加入者側装置のうちの任意の1つの前記加入者側装置から前記第2の光パルスを出力する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光パルス試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85056(P2013−85056A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222521(P2011−222521)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】