説明

光ピックアップの光検出装置

【課題】複数の分割受光器の受光部間の接続を自由に切り換え、所望の組合せの受光信号を得ることが可能で、簡便で低消費電力の光検出装置(OEIC)を提供する。
【解決手段】主受光器20及び第1、第2の副受光器21,22の複数の受光部の出力信号線間の電気的接続状態を指定する接続指定信号を受信する受信部と、上記接続指定信号に基づいて、所定の加算信号を得るように出力信号線間の接続切替えをなすスイッチング回路25と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に用いられる光検出装置、特に受光器(光電素子)及び当該受光信号に関連する電子回路を有する光検出装置(OEIC)に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式記録媒体として、例えばDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが実用化されている。近年のデジタル映像技術や情報通信技術の進展に伴い、更なる高密度・大容量の情報記録媒体及びその記録再生装置の研究開発が精力的に進められている。このような大容量の次世代光ディスクとして、青紫色レーザを光源に用いたBlu−rayディスクやHD−DVDと称される光ディスクがある。
【0003】
かかる次世代光ディスクにおいては、従来の光ディスク(DVD等)に比べ、記録ピットが小さく、トラック幅やトラックピッチがより狭くなるため、高精度なビーム調整が要求される。
【0004】
従来、光ディスクへの照射ビームを制御するためのサーボ信号を検出する方式として、例えば、差動非点収差法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来の3ビーム方式を用いた従来の光検出装置においては、主ビーム及び2つの副ビームを用いてトラッキングエラー信号、及びフォーカスエラー信号等のサーボ信号が生成される。
【0005】
図1は、光ディスクに照射された主ビームMBのビームスポット及び2つの副ビームSB1,SB2のビームスポットを模式的に示している。ここで、記録/再生時に光ビームが光ディスクに対して相対的に移動する方向(トレース方向)に関して先行するビームをSB1とし、後行ビームをSB2として示している。なお、光ディスクの記録トラックT(トラック幅Tw、トラックピッチTp)についてはハッチングを施して模式的に示している。
【0006】
かかる光検出装置において、各ビームの光ディスクからの反射光を受光するため、ビームの各々に対し、複数の受光領域を有する光電素子である受光器(フォトディテクタ)が用いられる。例えば4つの受光領域を有する4分割受光器(4象限受光器)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。従来の光検出装置において、当該分割受光器の受光領域の各々からの光電変換(OE変換)信号は光検出装置(以下、OEICともいう。)内で電流加算されている。
【0007】
図2は、従来の光検出装置(OEIC)の回路構成の一例を示している。主ビーム受光用の分割受光器(主受光器:DM)110の受光領域(A,B,C,D)からの受光信号は電流/電圧変換回路120A〜120Dによって変換され、受光電圧信号A〜Dが外部回路に出力される。また、2つの副ビーム受光用の分割受光器(副受光器:DS1,DS2)111,112の受光領域は予め定められた回路を構成するように電気的に接続されている。例えば、受光器DS1の受光領域Ej(j=1〜4)には、当該受光領域の各々に位置的に対応する受光器DS2の受光領域Fjが接続され、所定の組合せの電流加算信号E1+F1,E2+F2,E3+F3,E4+F4が得られるように配線されている。また、これらの電流加算信号は電流/電圧変換回路121〜124によって電圧変換され、外部回路に出力される。なお、説明の簡便さ、及び理解の容易さのため、受光器の受光領域A〜D,Ej,Fj(j=1〜4)等の受光信号(電流信号、電圧信号)についても同一の符号A〜D,Ej、Fj等を用いて説明する。
【0008】
そして、かかる受光信号を用い、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は下記のように求められる。なお、K1,K2は所定の係数である。
【0009】
フォーカスエラー: FE=(A+C)-(B+D)+K1[(E1+F1+E3+F3)-(E2+F2+E4+F4)]
トラッキングエラー:TE=(A+D)-(B+C)-K2[(E1+F1+E4+F4)-(E2+F2+E3+F3)]
しかしながら、上記したように、受光器の各受光領域は予め定められた回路配線によって接続されているため、当該回路配線による所定の組合せの受光信号しか得られなかった。また、組合せ可能な配線も限られ、所望の組合せの受光信号を得ることはできなかった。例えば、図2に示す回路配線を用いた場合、ビーム位置調整のために、E1+E4,F1+F4,E2+E3,又はF2+F3などの受光信号を得ようとしても当該回路配線と矛盾するため不可能である。このような従来のOEICを用いた場合、主受光器(DM)及び副受光器(DS1,DS2)の各受光領域からの受光電圧信号を演算することによって所望の組合せの受光信号を得ることは可能であるが、OEICのサイズ、消費電力、及び製造コストの増大を招来することとなり、好ましくない。また、OEICからの信号に基づいて信号処理を行う外部回路の複雑化、部品点数の増大、をも招来する等のデメリットが生じる。
【特許文献1】特開2003−1784821号公報(第5頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の分割受光器の受光部間の接続を自由に切り換え、所望の組合せの受光信号を得ることが可能で、簡便で低消費電力の光検出装置(OEIC)を提供することにある。また、サーボ制御用誤差信号に加えてビーム調整用の誤差信号を得ることが可能な光検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光検出装置は、光源から射出され光記録媒体により反射された主ビーム及び第1、第2の副ビームをそれぞれ受光するとともに各々が複数の受光部に分割された主受光器及び第1、第2の副受光器を有する光検出装置であって、主受光器及び第1、第2の副受光器の複数の受光部の出力信号線間の電気的接続状態を指定する接続指定信号を受信する受信部と、上記接続指定信号に基づいて、所定の加算信号を得るように出力信号線間の接続切替えをなすスイッチング回路と、を有することを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する図において、実質的に同等な部分には同一の参照符を付している。
【実施例1】
【0013】
図3は本発明による光検出装置(以下、OEICともいう。)及び当該光検出装置が設けられた光ピックアップ装置を示している。光ピックアップ10には半導体レーザ11が設けられ、外部から光ディスク5に記録すべきデータ記録信号に対応した信号レベルを有するレーザ駆動信号が供給される。半導体レーザ11は、当該レーザ駆動信号に対応したレーザビームをビーム生成素子、例えば液晶などの回折素子からなる回折ユニット12に照射する。回折ユニット12は、外部から供給される駆動信号(回折素子駆動信号)によって駆動される。回折ユニット12は、半導体レーザ11からのレーザビームを主ビームと副ビームとに分割して、ハーフミラー14に供給する。すなわち、回折ユニット12はマルチビーム生成素子として機能する。
【0014】
ハーフミラー14は、回折ユニット12で生成された主ビームMB及び2つの副ビームSB1,SB2を対物レンズ15に導く。対物レンズ15は、これらのビームを集光して、光学式記録媒体であるBlu−rayディスクやHD−DVD等の光ディスク5の記録面に照射する。
【0015】
具体的には、上記主ビームMBのビームスポットが光ディスク5の記録トラック上に位置するように照射される。この際、光ディスク5により反射された3つの反射光ビームは、対物レンズ15、ハーフミラー14、集光レンズ16を介して光検出装置(OEIC)17に導かれる。OEIC17によって受光され、後述する加算処理等された受光信号は光ピックアップ10の外部の信号処理回路18に供給される。信号処理回路18は、OEIC17からの受光信号に基づいて、後述するフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、ビーム調整信号BA、読取信号RS等を生成する機能を有し、これらの信号を出力する。なお、信号処理回路18はOEIC17内に設けられていてもよい。あるいは、上記した信号処理回路18の機能の内、所定の機能、例えばフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE及びビーム調整信号BAを生成する機能を有するようにOEIC17が構成されていてもよい。
【0016】
図4は、光検出装置(OEIC)17の回路構成を模式的に示す図である。OEIC17は、主ビームMB、及び2つの副ビームSB1,SB2の反射光ビームをそれぞれ受光する光電素子である受光器(フォトディテクタ)DM,DS1,DS2を有している。ここで、記録/再生時に光ビームが光ディスク5に対して相対的に移動する方向であるトレース方向(+y方向)に関して先行するビームをSB1とし、後行ビームをSB2とする。
【0017】
主受光器(DM)20及び副受光器(DS1,DS2)21,22は、それぞれ複数の受光領域を有する。以下においては、主受光器(DM)20及び副受光器(DS1,DS2)21,22の各々が4つの受光領域を有する4分割受光器である場合を例に説明する。図4に示すように、主受光器(DM)20は、光ディスク5のトレース方向(タンジェンシャル方向)及びそれに垂直な方向(ラジアル方向)に沿ってそれぞれ2分割(計4分割)されている。受光領域Aは受光領域Cに対して、また、受光領域Bは受光領域Dに対して対角位置にある。
【0018】
図4に示すように、主受光器(DM)20及び副受光器(DS1,DS2)21,22の分割線が同一直線(CL-CL')上にあるように、かつ、副受光器(DS1,DS2)21,22は当該共通分割線(CL-CL')上で主受光器(DM)20の両サイドに配置されている。
【0019】
換言すれば、主受光器(DM)20は4象限受光器であって、原点を主受光器(DM)20の2つの分割線の交点とし、当該共通分割線の主受光器(DM)20から第1の副受光器(DS1)に向かう方向を+x方向、これに垂直な方向をy方向としたとき、主受光器(DM)20の第1象限((+x, +y)領域),第2象限((-x, +y)領域),第3象限((-x, -y)領域)及び第4象限((+x, -y)領域)の受光領域がそれぞれ受光部A,B,C及びDに対応する。
【0020】
副受光器(DS1,DS2)21,22についても同様である。すなわち、先行ビーム用の(第1の)副受光器(DS1)21についてはその受光領域が4分割され、原点を第1の副受光器(DS1)21の2つの分割線の交点とし、共通分割線の主受光器(DM)20から第1の副受光器(DS1)に向かう方向を+x方向、これに垂直な方向をy方向としたとき、第1の副受光器(DS1)の第1,第2,第3及び第4象限の受光領域がそれぞれ受光部E1〜E4に対応する。
【0021】
また後行ビーム用の(第2の)副受光器(DS2)22の受光領域F1〜F4についても同様である。また、副受光器(DS1)21の受光領域E1〜E4はそれぞれ副受光器(DS2)22の受光領域F1〜F4に対応する位置(第1〜第4象限)に配されている。
【0022】
主受光器(DM)20の受光部(A,B,C,D)からの受光電流信号はインターフェース回路23Mに供給される。インターフェース回路23Mは電流/電圧変換回路24A〜24Dを有し、受光電流信号A〜Dはそれぞれ電流/電圧変換回路24A〜24Dによって電流/電圧変換される。変換後の受光電圧信号は信号処理回路18に供給される。
【0023】
なお、説明の簡便さ、及び理解の容易さのため、主受光器の受光部A〜D、及び副受光器(DS1,DS2)21,22の受光部E1〜E4,F1〜F4等の受光信号についても同一の符号A〜D,Ej、Fj(j=1〜4)等を用いて説明する。また、変換後の受光電圧信号についても同一の符号を用いて説明する。
【0024】
第1及び第2の副受光器(DS1,DS2)21,22からの受光電流信号E1〜E4,F1〜F4はスイッチ回路25に供給される。また、スイッチ回路25は、受光電流の出力信号線間の電気的接続状態を指定する接続指定信号を受信する。当該接続指定信号は、例えば外部回路から供給される。本実施例において、スイッチ回路25は、入力された接続指定信号に基づいて出力信号線間の接続切替えをなし、サーボ制御用接続又はビーム調整用接続の間での接続モード変更を行う。
【0025】
スイッチ回路25は、入力された接続指定信号(以下、接続モード指定信号:MCという。)に応答して、受光電流信号E1〜E4,F1〜F4の信号線のスイッチングによって所定の電流加算信号S1〜S4を得る。当該電流加算信号S1〜S4はインターフェース回路23Sに供給される。インターフェース回路23Sは電流/電圧変換回路26,27,28,29を有し、電流加算信号S1〜S4はそれぞれ電流/電圧変換回路26,27,28,29によって電流/電圧変換される。変換後の受光電圧信号は信号処理回路18等の外部回路に出力される。 なお、必ずしもOEIC17にインターフェース回路23M、23Sを設ける必要はない。すなわち、OEIC17は単に電流加算信号S1〜S4を出力するように構成されていてもよい。この場合、外部回路、例えば信号処理回路18において電流加算信号S1〜S4の電流/電圧変換を行い、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、ビーム調整信号BA、読取信号RS等を生成するようにしてもよい。あるいは、外部回路において電流/電圧変換を行うことなく、当該信号FE、TE、BA、RS等を生成するように構成してもよい。
【0026】
あるいは、これとは逆に、OEIC17が、インターフェース回路23M、23Sのみならず、サーボ制御信号(フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE等)、ビーム調整信号BA、読取信号RS等を生成する信号処理回路をも含むように構成することもできる。
【0027】
図5は、OEIC17の回路構成の一例を示す図である。主受光器(DM)20の受光部A〜Dからはそれぞれ第1〜第4信号線(L1〜L4)を介して受光電流信号(A〜D)が出力される。同様に、第1の副受光器(DS1)21の受光部E1〜E4からはそれぞれ第5〜第8信号線(L5−L8)を介して受光電流信号(E1〜E4)が出力される。また、第2の副受光器(DS2)22の受光部F1〜F4からはそれぞれ第9〜第12信号線(L9−L12)を介して受光電流信号(F1〜F4)が出力される。なお、かかる定義に対応させて、以下においては、主受光器(DM)20の受光部A〜Dをそれぞれ第1〜第4受光部、第1の副受光器(DS1)21の受光部E1〜E4をそれぞれ第5〜第8受光部、第2の副受光器(DS2)22の受光部F1〜F4をそれぞれ第9〜第12受光部として説明する場合がある。
【0028】
OEIC17のスイッチ回路25は第1〜第4のスイッチSW1〜SW4を有している。また、スイッチ回路25は、接続モード指定信号MCを受信する受信部25A及び受信した接続モード指定信号MCに基づいてスイッチ回路25に設けられたスイッチ(第1〜第4のスイッチSW1〜SW4)を制御するスイッチ制御部25Bを有している。
【0029】
より詳細には、第1スイッチSW1は第8及び第9信号線の一方を選択的に第5信号線に接続する。図5には、第1スイッチSW1が一対のスイッチSW1A,SW1Bからなり、SW1A,SW1Bの一方が「閉(ON)」、他方が「開(OFF)」となって選択的切替えをなすことを模式的に示している。同様に、第2スイッチSW2(SW2A,SW2B)は第7及び第10信号線の一方を選択的に第6信号線に接続し、第3スイッチSW3(SW3A,SW3B)は第7及び第10信号線の一方を選択的に第11信号線に接続し、第4スイッチSW4(SW4A,SW4B)は第8及び第9信号線の一方を選択的に第12信号線に接続する。
【0030】
上記したように、スイッチSW1〜SW4は接続モード指定信号(MC)に基づいて開閉(ON/OFF)制御されるが、図5はスイッチSW1〜SW4の各々の開閉状態を示すように模式的に表しており、スイッチ回路25の当該開閉制御を行う構成については図示していない。しかしながら、半導体集積回路の周知の技術によって当該開閉制御回路及び当該スイッチ回路を構成することができる。
【0031】
接続モード指定信号(MC)は、第1のモードである通常動作モード(以下、モードIともいう。)、及び第2のモードであるビーム調整モード(以下、モードIIともいう。)の何れかを指定する制御信号である。通常動作モード(モードI)は、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE等のサーボ信号を得つつサーボ制御をなす動作モードである。他方、ビーム調整モード(モードII)は、光ビームの位置調整等の光ビーム調整のためのエラー信号を得るモードである。かかる光ビーム調整のためのエラー信号は種々考えられるが、以下においては、光ビームの位置調整の場合を例に説明する。
【0032】
図6は、動作モードI及びモードIIの場合における第1〜第4のスイッチSW1〜SW4のON/OFF状態、及びOEIC17の出力信号を表す表である。ここで、OEIC17の出力信号は、電流加算信号又は電圧変換後の加算信号S1〜S4である。
【0033】
通常動作モード(モードI)においては、図6に示すように、スイッチSW1A〜SW4Aは閉(ON)状態に、スイッチSW1B〜SW4Bは開(OFF)状態である接続状態に設定される。このとき、出力信号は、S1=E1+F1、S2=E2+F2、S3=E3+F3、S4=E4+F4である。なお、括弧内は、信号線の番号を用いて信号線の接続を示している。例えば、S1=E1+F1(5+9)は第5信号線に第9信号線が接続され、第5受光部からの信号(E1)及び第9受光部からの信号(F1)が加算されていることを示している。
【0034】
従って、信号処理回路18は、当該出力信号S1〜S4及び主受光器(DM)20からの受光電圧信号(又は受光電流信号)A〜Dを用い、例えば、差動非点収差法によりフォーカスエラー信号を、差動プッシュプル法によりトラッキングエラー信号を得ることができる。例えば、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEは下記の式に従って求めることができる。なお、ここでK1,K2は所定の係数である。
【0035】
FE=(A+C)-(B+D)+K1[(S1+S3)-(S2+S4)]
=(A+C)-(B+D)+K1[(E1+F1+E3+F3)-(E2+F2+E4+F4)]
TE=(A+D)-(B+C)-K2[(S1+S4)-(S2+S3)]
=(A+D)-(B+C)-K2[(E1+F1+E4+F4)-(E2+F2+E3+F3)]
一方、ビーム位置調整モード(モードII)においては、図6に示すように、スイッチSW1A〜SW4Aは開(OFF)状態に、スイッチSW1B〜SW4Bは閉(ON)状態にスイッチングされる。このとき、出力信号は、S1=E1+E4、S2=E2+E3、S3=F2+F3、S4=F1+F4である。
【0036】
信号処理回路18は、(S1+S2)及び(S3+S4)の位相を比較し、かかる位相差をビーム位置調整信号として出力する。ここで、
S1+S2=(E1+E4)+(E2+E3)=E1+E2+E3+E4
S3+S4=(F2+F3)+(F1+F4)=F1+F2+F3+F4
である。
【0037】
以上説明したように、光検出装置(OEIC)17はスイッチ回路25を有し、副受光器(DS1,DS2)21,22の受光電流信号E1〜E4,F1〜F4の電流加算の組合せを切替えることが可能である。尚、スイッチ回路25は、主受光器(DM)20の受光電流信号A〜Dの電流加算の組合せを切替えることも可能なように構成されていてもよい。
【0038】
かかる構成により、複数の分割受光器の受光部間の接続を自由に切り換え、所望の組合せの受光信号を得ることが可能であり、その組合せ方法によって所望の調整用信号を得ることができる。また、接続モード指定信号によって調整モードを容易に変更可能である。従って、簡便で低消費電力の光検出装置(OEIC)を提供することができる。また、当該光検出装置を搭載することにより、調整モードを容易に変更可能な高性能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【実施例2】
【0039】
図7は、本発明の実施例2である光検出装置(OEIC)17の回路構成の一例を示している。スイッチSW1〜SW12は接続モード指定信号(MC)に基づいて開閉(ON/OFF)制御される。図7は、図5と同様、スイッチSW1〜SW12の各々の開閉状態を模式的に表している。その他の構成は、上記した実施例1と同様である。
【0040】
OEIC17は、通常動作モード(モードI)、及びビーム位置調整モード(モードII)の何れかを指定する接続モード指定信号(MC)に基づいてスイッチSW1〜SW12を含むスイッチ回路25の動作を制御する。
【0041】
図8は、動作モードI及びモードIIの場合におけるスイッチSW1〜SW128のON/OFF状態、及びOEIC17の出力信号を表す表である。ここで、OEIC17の出力信号は、電圧変換後の加算信号(又は電流加算信号)S1〜S4である。
【0042】
通常動作モード(モードI)においては、スイッチSW1〜SW6は閉(ON)状態に、スイッチSW7〜SW12は開(OFF)状態である接続状態に設定される。このとき、出力信号は、S1=E1+F1、S2=E2+F2、S3=E3+F3、S4=E4+F4である。実施例1の場合と同様に、当該出力信号S1〜S4及び主受光器(DM)20からの受光電圧信号(又は電流信号)A〜Dに基づいてフォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEを求めることができる。
【0043】
一方、ビーム位置調整モード(モードII)においては、スイッチSW1〜SW6は開(OFF)状態に、スイッチSW7〜SW12は閉(ON)状態にスイッチングされる。このとき、出力信号は、S4=E1+E2+E3+F3、S2=F1+F2+F3+F4である。また、スイッチSW1〜SW6は開状態なのでS1、S3としての出力はゼロである。従って、実施例1の場合と同様に、S4=E1+E2+E3+E4及びS2=F1+F2+F3+F4の位相を比較し、かかる位相差をビーム位置調整信号として得ることができる。
【0044】
上記実施例において詳細に説明したように、OEIC17はスイッチ回路25を有し、副受光器(DS1,DS2)21,22の受光電流信号E1〜E4,F1〜F4の電流加算の組合せを切替えることが可能である。尚、スイッチ回路25は、主受光器(DM)20の受光電流信号A〜Dの電流加算の組合せを切替えることも可能なように構成されていてもよい。
【0045】
かかる構成により、複数の分割受光器の受光部間の接続を自由に切り換え、所望の組合せの受光信号を得ることが可能であり、その組合せ方法によって所望の調整用信号を得ることができる。また、接続モード指定信号によって調整モードを容易に変更可能である。すなわち、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE等のサーボ信号を得つつサーボ制御をなす通常の動作を行うと共に、必要に応じて適宜所望のビーム調整を行うために必要な信号を得るように受光信号の加算組合せを選択することが可能である。例えば、当該光ピックアップ装置を有する記録再生装置の出荷時において、接続モード指定信号を与え、ビーム調整を行うことができる。あるいは、記録再生装置のコントローラ(CPU)等に接続モード指定信号を生成し、供給する機能を加え、適宜ビーム調整を自動又は手動で行うよう構成することもできる。
【0046】
従って、高精度で高機能な光検出装置(OEIC)や光ピックアップ装置を提供することができる。かかる光検出装置は、当該光検出装置内でスイッチング及び信号加算を行うため、小型、簡便で低消費電力であるという特徴も併有する。また、当該光検出装置を搭載することにより、調整モードを容易に変更可能な高性能で高機能な光ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】光ディスクに照射された主ビームMBのビームスポット及び2つの副ビームSB1,SB2のビームスポットを模式的に示す図である。
【図2】従来の光検出装置(OEIC)の回路構成の一例を示す図である。
【図3】本発明による光検出装置(OEIC)及び当該光検出装置が設けられた光ピックアップ装置を示す図である。
【図4】本発明による光検出装置(OEIC)の回路構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明によるOEICの回路構成の一例を示す図である。
【図6】図5に示す回路構成において、動作モードI及びモードIIの場合におけるスイッチ回路の開閉状態、及びOEICの出力信号を表す図である。
【図7】本発明によるOEICの回路構成の一例を示す図である。
【図8】図7に示す回路構成において、動作モードI及びモードIIの場合におけるスイッチ回路の開閉状態、及びOEICの出力信号を表す図である。
【符号の説明】
【0048】
17 光検出装置
20 主受光器
21,22 副受光器
25 スイッチ回路
25B スイッチ制御部
MB 主ビーム
SB1 先行ビーム
SB2 後行ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出され光記録媒体により反射された主ビーム及び第1、第2の副ビームをそれぞれ受光するとともに各々が複数の受光部に分割された主受光器及び第1、第2の副受光器を有する光検出装置であって、
前記主受光器及び前記第1、第2の副受光器の前記複数の受光部の出力信号線間の電気的接続状態を指定する接続指定信号を受信する受信部と、
前記接続指定信号に基づいて、所定の加算信号を得るように前記出力信号線間の接続切替えをなすスイッチング回路と、を有することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記第1、第2の副受光器は、前記光記録媒体のトレース方向及び前記トレース方向に垂直な方向にそれぞれ2分割して得られた4領域に配された受光部を有する4象限受光器であることを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記接続指定信号は、前記主受光器及び前記第1、第2の副受光器の出力信号に基づいてサーボ制御をなすための第1の接続状態と、前記副ビームの位置調整を行うための第2の接続状態との間の接続切替えを指定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記スイッチング回路は、前記接続指定信号が前記第1の接続状態を指定する場合には、差動非点収差法によるフォーカスエラー信号及び差動プッシュプル法によるトラッキングエラー信号を得るように前記出力信号線間の接続切替えをなし、前記接続指定信号が前記第2の接続状態を指定する場合には、前記第1、第2の副ビームの位相比較信号を得るように前記出力信号線間の接続切替えをなすことを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記主受光器及び前記第1、第2の副受光器は同一直線を共通分割線として該同一直線上に配され、前記共通分割線をx軸、前記x軸に垂直な方向の分割線をy軸とし、前記主受光器の第1〜第4象限に配された受光部からの出力信号線をそれぞれ第1〜第4信号線、前記第1及び第2の副受光器の第1〜第4象限に配された受光部からの出力信号線をそれぞれ第5〜第8信号線及び第9〜第12信号線としたとき、
前記スイッチング回路は、
前記第8及び第9信号線の一方を選択的に前記第5信号線に接続する第1スイッチと、
前記第7及び第10信号線の一方を選択的に前記第6信号線に接続する第2スイッチと、
前記第7及び第10信号線の一方を選択的に前記第11信号線に接続する第3スイッチと、
前記第8及び第9信号線の一方を選択的に前記第12信号線に接続する第4スイッチと、を有し、
前記差動非点収差法によるフォーカスエラー信号及び差動プッシュプル法によるトラッキングエラー信号を得る場合には、前記第1スイッチにより前記第5信号線に前記第9信号線を、前記第2スイッチにより前記第6信号線に前記第10信号線を、前記第3スイッチにより前記第11信号線に前記第7信号線を、前記第4スイッチにより前記第12信号線に前記第8信号線を接続し、
前記副ビームの位置調整を行う場合には、前記第1スイッチにより前記第5信号線に前記第8信号線を、前記第2スイッチにより前記第6信号線に前記第7信号線を、前記第3スイッチにより前記第11信号線に前記第10信号線を、前記第4スイッチにより前記第12信号線に前記第9信号線を接続することを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−18594(P2007−18594A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198637(P2005−198637)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(503213291)パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】