光ピックアップ及びその組み込み方法
【課題】 コストの安い板金からなるキャリッジで精度良くミラーを固定した光ピックアップ及びその組立て方法を提供する。
【解決手段】 板金からなる箱状のキャリッジ12と、このキャリッジ12の底板の一部を切り起こし形成された一対の切り起こし片38と、この切り起こし片38の間に所定の隙間を設けてミラー40を配置し、このミラー40を接着剤13を介して該切り起こし片38に取り付け固定したことである。
【解決手段】 板金からなる箱状のキャリッジ12と、このキャリッジ12の底板の一部を切り起こし形成された一対の切り起こし片38と、この切り起こし片38の間に所定の隙間を設けてミラー40を配置し、このミラー40を接着剤13を介して該切り起こし片38に取り付け固定したことである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気ディスク等の光ディスクを用いた光ディスク装置に好適な光ピックアップ及びその組み込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ピックアップは、光ディスク装置に取り付けられて、レーザ光を光ディスクに入射させて、このディスク面に情報を記録したり、記録された情報を再生したりするものである。
【0003】図10において、従来の光ピックアップ50は、光ディスク装置に取り付けされて往復動するキャリッジ51と、このキャリッジ51に取り付く投受光部18と、この投受光部18に電気信号を供給するフレキシブル基板19及び回路基板21と、この回路基板21を被うカバー55とから構成されている。
【0004】投受光部18には、金属製の本体23と一体成形された鍔状のステム部23aが形成されて、この本体23内にレーザダイオードなどの発光素子及びフォトダイオードなどの受光素子、集積プリズムなどの光学部品が収納されている。さらに、ステム部23aの両側面には、湾曲した曲面部25が形成されていて、その底部18bには発光素子及び受光素子の端子100が外方に複数本突き出している。また、底部18bの反対側であるステム部23aの前面は、投受光部18をキャリッジ51へ取り付けるための取り付け基準面となっている。そして、本体の端子100と反対側には、レーザ光が出入射する窓部を形成した投受光面33が設けられている。
【0005】回路基板21面には電子部品(図示せず)が半田付けされ、その周縁部には一部を切り欠いた溝部60が形成されている。投受光部18の端子100を回路基板21の溝部60に挿通させて、半田付けさせることによって、端子100と回路基板21とが導通するようになっている。この回路基板21は、投受光部18の発光素子を安定して駆動させる回路を構成している。
【0006】カバー55は、1つの開口を備えるように金属板を折り曲げて形成された箱体であり、そのカバー55の両側壁には一部を切り欠いて折り曲げた爪部61が形成されている。そして、上述した投受光部18の底部18b側にフレキシブル基板19の一部及び回路基板21を取り付け、カバー55を投受光部18のステム部23aに当接するように被せるようになっている。
【0007】キャリッジ51は、アルミニウムなどの金属材料からなる比較的厚みのある箱状にダイキャスト成形されたものであり、本体62と、この本体62から同じ方向に、一定の間隔をもたせて延設された長さの異なる2つの腕部63a,63bとから構成されている。そして、両方の腕部63a,63bの内側には、段部65及びこの段部65に近接して凹部66がそれぞれ形成されている。さらに、段部65には湾曲した溝部67が形成され、この溝部67の一部が取り付け基準面となっている。そして、凹部66の内部には取付孔68が形成され、また、長い腕部63aの先端部分には切り欠き溝64が形成されている。
【0008】さらに、本体62の中央部には、腕部63a,63bの延設方向に沿って細長く溝状となった凹部70が形成されている。この凹部70の中央には、取り付け基準面となる傾斜面73aを備えた三角柱状の固定部73が本体62と一体に形成されている。そして、本体62に凹部70を形成することにより、腕部63a,63b間に、この腕部63a,63bを繋ぐ薄肉状の壁部71が本体62と一体に形成されている。そして、薄肉部71の中央には丸孔72が貫通して形成されている。キャリッジ51には、固定部73の真上に配された対物レンズ(図示せず)が取り付け固定されるようになっている。
【0009】このようなキャリッジ51に投受光部18を組み込む場合において、キャリッジ51の溝部67に投受光部18の曲面部25を嵌合させ、ステム部23aの前面を溝部67の取り付け基準面に押し当てた状態で、投受光部18の取付位置を微調整した後、接着剤等で固着してから、カバー55を後方から被せ、取付孔68にカバー55の爪部61がスナップ止めされるようになっている。
【0010】図11は、キャリッジ51の固定部73の拡大断面図である。固定部73の傾斜面73aには、その傾斜面73aから僅かに突き出ている平坦状の突起73bが2つ同じ高さに形成されていて、この突起73bは二次加工を施して精度良く形成されて取り付け基準面となっている。
【0011】そして、このキャリッジ51にミラー40を組み立てる場合において、固定部73の傾斜面73aに設けた突起73bに紫外線硬化性の接着剤を適量塗布して、その後に、治具にて、この突起73bにミラー40の裏面を当接して、保持させた状態で、紫外線を照射して、この接着剤を固着させて正確に取り付け固定する。
【0012】このように構成された光ピックアップ50において、投受光部18の投受光面33から出たレーザ光は、壁部71の丸孔72を通り、さらにミラー40を通って、図11の矢印のように、水平方向から鉛直方向に直角に折り曲げて、対物レンズ14に入射する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、前記従来例のキャリッジ51は、剛性が高く、精度良く加工できるアルミダイキャストが用いられ、そして、組み込み精度が要求されるミラー40を組み込む際に、このアルミダイキャストの加工面を基準に組み立てられている。しかし、アルミダイキャスト自体の値段が高く、また、キャリッジ51の固定部73の傾斜面73aに設けた突起73bを二次加工して仕上げているので、コストアップの原因となっていた。そこで、近年のコストダウンの要請から、キャリッジ51をアルミダイキャストからコストの安い板金に代えて、従来の光ピックアップ50と同じ構造にしてミラー40を組み込んだ場合には、固定部73の傾斜面73aを折り曲げなどにより形成しなければならず、位置決め精度を簡単に出すことができないという問題があった。
【0014】本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、コストの安い板金からなるキャリッジを用いて精度良くミラーを取り付け固定した光ピックアップ及びその組立て方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、該ミラーは折曲片との間に所定の隙間を設けて接着手段により固定されたものである。
【0016】さらに、第2の解決手段として、折曲片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなるものである。
【0017】さらに、第3の解決手段として、ミラーの表面部を折曲片の端部から突出してなるものである。
【0018】さらに、第4の解決手段として、折曲片とミラーとの隙間を0.1mm以下に形成してなるものである。
【0019】さらに、第5の解決手段として、板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、この治具にキャリッジを載置して、一対の折曲片の間に隙間を設けてミラーを配設し、この隙間に接着手段を充填してミラーを折曲片に固定するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の光ピックアップ10の斜視図である。図1に示すように、光ピックアップ10は、金属製の板金からなるキャリッジ12内に収納される、対物レンズ14を備えたレンズアクチュエータ110と、該対物レンズ14にミラー40を通じてレーザ光を出射し、また対物レンズ14からの戻り光を入射する投受光部18と、この投受光部18を組み込んだホルダー20と、このホルダー20を被うカバー22とから構成されている。
【0021】図4は、本発明の光ピックアップ10のキャリッジ12を示す斜視図である。図4に示すように、キャリッジ12は、長方形をした金属製からなる平板状の底板部24、この底板部24の長手方向の両縁に沿って直角に立設された第1の側壁部26と、第2の側壁部27とから構成されている。この第1及び第2の側壁部26,27の一端は、底板部24から突出している。そして、第1及び第2の側壁部26,27と同じように立設された第3の側壁部29,29は、この側壁部26,27の長手方向に、一定の空間をもたせて底板部24と一体にそれぞれ設けられている。第3の側壁部29,29には、貫通した丸孔30が図示しない1つのシャフト棒によって挿通される大きさにそれぞれ形成されている。第1の側壁部26の一端には、切り欠き溝28が形成されている。
【0022】次に、底板部24には、略方形状の開口部36が形成されていて、さらに底板部24の外方の縁部には、略矩形状の切り欠き部39が形成されている。開口部36に面する縁部の一部には、対向立設された一対の折曲片、即ち第1の切り起こし片38が形成され、その対向面は側壁面38bとなっている。第1の切り起こし片38は、折り曲げ治具(図示せず)によって、底板部24から互いに逆方向に起こし、ほぼ直角に折り曲げて形成されたものである。切り欠き部39の対向する縁部には、第1、第2の側壁部26,27に沿うように、対向立設された第2の切り起こし片31がそれぞれ形成されている。各第2の切り起こし片31には、この側壁面31bと直角に、平坦状の端面31aが形成されている。さらに、この切り欠き部39の残りの縁部には、第2の切り起こし片31の対向する側壁面31bと直交方向に、側壁面42aを備えた凸状をした受け部42が立設形成されている。この受け部42の中央には、丸孔72が貫通して形成されている。
【0023】次に、各第1の切り起こし片38の端部には、この側壁面38bの一方の角を斜めにカットしてなる傾斜部38aが設けられ、バリなどがないように精度良く加工形成されている。そして、第1の切り起こし片38の側壁面38b間に、傾斜部38aに沿って、後述するミラー40が組み込まれる。
【0024】図5は、本発明の光ピックアップ10のキャリッジ12にミラー40を取り付けた状態を示す斜視図である。図5に示すミラー40は、光学ガラスまたは光学樹脂部材に金属膜を蒸着した方形板をしている。このミラー40の側面部40a及び表面部(又は裏面部)40bは、精度良く加工されている。つまり、表面部40bは、入射したレーザ光を所定の角度であらかじめ決められた箇所に出射するように、このレーザ光を反射するものであり、側面部40aは、第1の切り起こし片38の側壁面38b間に取り付けられる。
【0025】図6は、本発明の光ピックアップ10のホルダー20に投受光部18等を組み込んで、カバー22をはずした状態を示す斜視図である。図6に示すように、投受光部18には、金属製の本体23とその後方に一体化された鍔状のステム部23aが形成されていて、ステム部23aの両側面には、湾曲した曲面部25が形成されている。また、ステム部23aの前面は、投受光部18をキャリッジ12に取り付けるための取り付け面となっていて、また、本体23の前面は、レーザ光が出入射する窓部33aを形成した投受光面33となっている。
【0026】ホルダー20は、対向配置された側壁部16と、この両側壁部16の一端に設けられた鍔部4aと、底壁部17とから構成されている。鍔部4aには、曲面状の開口14が形成されていて、この開口14に投受光部18のステム部23aの曲面部25が接着剤などの接着手段13を用いて嵌合配置されるようになっている。そして、ホルダー20の両側壁部16間に、従来の光ピックアップ50と同じ構成部品である回路基板21等が収納され、投受光部18の端子と回路基板21とを半田付け固定する。また、投受光部18のステム部23aの下面(裏面)に、フレキシブル基板19の一部を取り付け固定する。
【0027】図2は、本発明の光ピックアップ10の第2の側壁部27をはずした状態での一部拡大斜視図である。カバー22は、1つの開口を備えた金属製の箱体であり、開口からホルダー20全体に被せて、カバー22の開口側に突出させた取付爪22aをホルダー20の取付孔45に嵌入させて、その後取付爪22aの先端部を曲げることにより固定するようになっている。なお、図1R>1に示すように、カバー22の開口と対向する側壁には、位置決め調整用の2つの孔46が並んで形成されている。
【0028】次に、図1に示すように、レンズアクチュエータ110は、アクチュエータベース111と、このアクチュエータベース111に可撓性をもって保持され、対物レンズ14を有するレンズホルダー112と、このレンズホルダー112に一体化したヨーク113とから構成されている。そして、アクチュエータベース111は、キャリッジ12の開口部36上に取り付け固定されるようになっている。
【0029】次に、各構成部品の組み立てについて説明する。図8Aには、本発明の光ピックアップ10において、模式的に示したキャリッジ12の中央付近断面図が示されてあり、図8Bには、キャリッジ12にミラー40を組み込み固定するための治具を示した斜視図が示されている。
【0030】最初に、ミラー40をキャリッジ12に組み込むための治具について説明する。図8Bにおいて、治具の平坦な基台151の四隅には、略直方体をした突状部152a,152b,152c,152dが、この基台151と一体にそれぞれ設けられている。そして、突状部152a,152b、152c、152dには、一部に切り欠きされた段部153がその外側方向にそれぞれ設けられていて、そのうちの突状部152a、152bの段部153には、係止部154,154がそれぞれ取り付け固定されている。そして、突状部152a,152bの段部153、153間には、細長の円柱状をしたシャフト棒155が取り付けられて、係止部154,154で押え固定されている。このシャフト棒155は、光ピックアップ10をディスク装置に取り付けたときに用いるシャフト棒と同じ径となっている。
【0031】基台151の上面中央部分には、前述した突状部152a,152b,152c,152dよりも低い高さで、略V字状をした切り欠き部156aを備えた突起部156がこの基台151と一体に設けられている。そして、この突起部156の切り欠き部156aの幅寸法は、第1の切り起こし片38間の幅寸法より、狭くなっている。さらに、基台151上面の、突起部156の前後の位置に、ピン157が設けられている。
【0032】次に、図8に基づいて、本発明の光ピックアップ10のミラー40をキャリッジ12の第1の切り起こし片38に組み込む方法を説明する。先ず、治具の突起部156の切り欠き部156aにミラー40をその反射面を下に且つ傾斜させた状態に載置して、さらに、キャリッジ12を逆さまの状態で治具の上に配して、キャリッジ12の第1の側壁部26の切り欠き溝28を治具のシャフト棒155に嵌合させる。さらに、キャリッジ12の底板部24のピン受け孔(図示せず)にピン157を挿通させ、また、各第3の側壁部29が、突状部152c、152dの段部153,153にそれぞれ載置されて、キャリッジ12を動かないように治具の基台151上に保持する。そして、キャリッジ12の底板部24は水平面となり、キャリッジ12の第1の切り起こし片38とミラー40の取り付け位置基準が設定される。このとき、ミラー40は、第1の切り起こし片38の側壁面38b間の空間に、第1の切り起こし片38の傾斜部38aよりもミラー40の表面部40b(反射面側)が僅かに突き出した状態に位置する。
【0033】次に、キャリッジ12の裏側から、第1の切り起こし片38の側壁面38bと、ミラー40の側面部40aとの隙間(図3での隙間寸法幅H2は、0.1mm以下である。)に紫外線硬化性の接着剤13(図9参照)を注入充填させ、紫外線を照射することにより、図5及び図9に示すように、浮かせた状態で固着させる。ここで、治具にて、ミラー40は、取付基準面である突起部156の切り欠き部156aに載置されて、位置決め調整されて、切り起こし片38と固着されるので、精度良く且つ簡単に取り付け固定することができる。
【0034】また、図9に示すように、キャリッジ12の第1の切り起こし片38の側壁面38b間に所定の空間を設けてミラー40が配置される。治具によって、第1の切り起こし片38の傾斜部38aの上縁からミラー40の表面部40bが、この傾斜部38aに沿って僅かに突出されている。したがって、上述した接着剤13がミラー40の表面部40bにはみ出ることがない。
【0035】また、キャリッジ12には、第1の切り起こし片38を切り起こすことにより、空間ができ、この空間が接着剤13を充填塗布させるための注入口となるので、キャリッジ12の裏側から簡単に接着剤13を注入して接着固定でき、作業性を向上させることができる。特に、紫外線硬化性の接着剤においては、接着剤を充填した後に紫外線を当てるので、特に有効である。
【0036】次に、レンズアクチュエータ110は、対物レンズ14がミラー40からの出射光の中心に位置するように、キャリッジ12の底板部24にある開口部36の真上に跨って配される。
【0037】次に、図2に基づいて、本発明の光ピックアップ10の投受光部18をキャリッジ12の第2の切り起こし片31に組み込む方法を説明する。あらかじめホルダー20に投受光部18を一体に組み込んだ状態にしておく。そして、キャリッジ12の、第2の切り起こし片31,31と受け部42で囲まれた空間(切り欠き部39)に、投受光部18を組み込んだホルダー20を取り付け固定するには、先ず治具を用いて、上記空間内に一定の隙間をもたせて、投受光部18を浮かせた状態に配置する。このとき、上記治具を用いて、図3に示すように、投受光部18の窓部33aと、受け部42の丸孔72とを僅かな隙間をもたせて対向配置させている。また、第2の切り起こし片31の端面31aと、ホルダー20の鍔部4a及びこの鍔部4aに取り付け固定された投受光部18のステム部23aの前面とを僅かな隙間をもたせて対向配置させている。次に、投受光部18から出射されるレーザ光が、ミラー40を通じて、レンズホルダー112の対物レンズ14中央に入射するように、ホルダー20の孔46に別の治具を挿入して、投受光部18の取り付け位置を調整する。
【0038】その後、上述した第2の切り起こし片31の端面31aと、ホルダー20の鍔部4a及び投受光部18のステム部23aの前面との間に、その隙間寸法H1を200μm以下にして、紫外線硬化性の接着剤13を注入充填させて取り付け固定する(図7中、Sの箇所)。さらに、投受光部27の投受光面33と受け部42の側壁面との間にも、レーザ光を光路となる窓部33a及び丸孔72を塞がないように、紫外線硬化性の接着剤13を注入充填させて、取り付け固定する(図7中、Tの箇所)。このように、少なくとも4箇所を接着剤13にて取り付けるので、投受光部18をキャリッジ12に確実に固定することができる。
【0039】組み込みが完成した本発明の光ピックアップ10において、投受光部18の投受光面33から出たレーザ光は、受け部42の丸孔72を通り、さらにミラー40を通って、直角に折り曲がり、対物レンズ14に入射する。そして、この対物レンズ14から出射したレーザ光は、光ディスク面にて集光して、すなわち、光ディスクに記録された情報を読み込んで、さらに光ディスク面からこの情報に応じて反射した戻り光を、同じ光路を通って、投受光部18内の受光素子に入射させる。そして、この戻り光を必要な電気信号に変換して、光ディスクの情報を読み取ることができる。また、光ディスク面の情報に追従して、光ピックアップ10のキャリッジ12は、光ディスク装置のシャフト棒に沿って制御された動きをする。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、このミラーは、折曲片との間に所定の間隔を設けて接着手段により固定してなることにより、板金の曲げ精度であっても、単に支えるだけでミラーの位置決めを精度良く調整することができる。
【0041】また、折曲片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなることにより、折曲片が戻り方向に変形しやすくなるが、互いの切り起こし方向が反対となり、しかもその折曲片の間にミラーが配されているので、戻り方向への変形を抑制し、確実に且つ精度良く取り付け固定することができる。
【0042】また、ミラーの表面部を折曲片の端部から突出させたことにより、接着剤がこの表面部にはみ出ることがなく、この表面部をきれいな状態に保てるので、所定の位置に精度良く光を反射することができる。
【0043】折曲片とミラーの隙間を0.1mm以下に形成したことにより、取り付け接着面における線膨張係数の変化量を減らすことができ、安定した位置決め精度を保つことができる。
【0044】光ピックアップの組み込み方法にあっては、板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、この治具にキャリッジを載置して、一対の折曲片の間に隙間を設けてミラーを配設し、この隙間に接着手段を充填してミラーを折曲片に固定することにより、板金の曲げ精度であっても、治具にて単にミラーを支えるだけでミラーの位置決めが行われ、高い精度でミラーの位置決めができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップの斜視図である。
【図2】本発明の第2の側壁部をはずした状態での光ピックアップの一部拡大斜視図である。
【図3】本発明の光ピックアップの一部拡大平面図である。
【図4】本発明の光ピックアップのキャリッジの斜視図である。
【図5】本発明の光ピックアップのキャリッジにミラーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の光ピックアップの投受光部及びホルダーの組み込みを示す一部拡大斜視図である。
【図7】本発明の光ピックアップの平面図である。
【図8】図8Aは、本発明の光ピックアップにおける、模式的に示したキャリッジの中央付近断面図であり、図8R>8Bは、ミラーを組み込むための治具を示した斜視図である。
【図9】図9Aは、本発明の光ピックアップにおける、第1の切り起こし片及びミラーの一部拡大斜視図であり、図9Bは、その側面図である。
【図10】従来の光ピックアップの一部分解斜視図である。
【図11】従来の光ピックアップのミラー部分の断面図である。
【符号の説明】
10 光ピックアップ
12 キャリッジ
13 接着剤
18 投受光部
24 底板板
36 開口
38 折曲片(第1の切り起こし片)
38a 傾斜部
40 ミラー
40a 側面部
40b 表面部
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気ディスク等の光ディスクを用いた光ディスク装置に好適な光ピックアップ及びその組み込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ピックアップは、光ディスク装置に取り付けられて、レーザ光を光ディスクに入射させて、このディスク面に情報を記録したり、記録された情報を再生したりするものである。
【0003】図10において、従来の光ピックアップ50は、光ディスク装置に取り付けされて往復動するキャリッジ51と、このキャリッジ51に取り付く投受光部18と、この投受光部18に電気信号を供給するフレキシブル基板19及び回路基板21と、この回路基板21を被うカバー55とから構成されている。
【0004】投受光部18には、金属製の本体23と一体成形された鍔状のステム部23aが形成されて、この本体23内にレーザダイオードなどの発光素子及びフォトダイオードなどの受光素子、集積プリズムなどの光学部品が収納されている。さらに、ステム部23aの両側面には、湾曲した曲面部25が形成されていて、その底部18bには発光素子及び受光素子の端子100が外方に複数本突き出している。また、底部18bの反対側であるステム部23aの前面は、投受光部18をキャリッジ51へ取り付けるための取り付け基準面となっている。そして、本体の端子100と反対側には、レーザ光が出入射する窓部を形成した投受光面33が設けられている。
【0005】回路基板21面には電子部品(図示せず)が半田付けされ、その周縁部には一部を切り欠いた溝部60が形成されている。投受光部18の端子100を回路基板21の溝部60に挿通させて、半田付けさせることによって、端子100と回路基板21とが導通するようになっている。この回路基板21は、投受光部18の発光素子を安定して駆動させる回路を構成している。
【0006】カバー55は、1つの開口を備えるように金属板を折り曲げて形成された箱体であり、そのカバー55の両側壁には一部を切り欠いて折り曲げた爪部61が形成されている。そして、上述した投受光部18の底部18b側にフレキシブル基板19の一部及び回路基板21を取り付け、カバー55を投受光部18のステム部23aに当接するように被せるようになっている。
【0007】キャリッジ51は、アルミニウムなどの金属材料からなる比較的厚みのある箱状にダイキャスト成形されたものであり、本体62と、この本体62から同じ方向に、一定の間隔をもたせて延設された長さの異なる2つの腕部63a,63bとから構成されている。そして、両方の腕部63a,63bの内側には、段部65及びこの段部65に近接して凹部66がそれぞれ形成されている。さらに、段部65には湾曲した溝部67が形成され、この溝部67の一部が取り付け基準面となっている。そして、凹部66の内部には取付孔68が形成され、また、長い腕部63aの先端部分には切り欠き溝64が形成されている。
【0008】さらに、本体62の中央部には、腕部63a,63bの延設方向に沿って細長く溝状となった凹部70が形成されている。この凹部70の中央には、取り付け基準面となる傾斜面73aを備えた三角柱状の固定部73が本体62と一体に形成されている。そして、本体62に凹部70を形成することにより、腕部63a,63b間に、この腕部63a,63bを繋ぐ薄肉状の壁部71が本体62と一体に形成されている。そして、薄肉部71の中央には丸孔72が貫通して形成されている。キャリッジ51には、固定部73の真上に配された対物レンズ(図示せず)が取り付け固定されるようになっている。
【0009】このようなキャリッジ51に投受光部18を組み込む場合において、キャリッジ51の溝部67に投受光部18の曲面部25を嵌合させ、ステム部23aの前面を溝部67の取り付け基準面に押し当てた状態で、投受光部18の取付位置を微調整した後、接着剤等で固着してから、カバー55を後方から被せ、取付孔68にカバー55の爪部61がスナップ止めされるようになっている。
【0010】図11は、キャリッジ51の固定部73の拡大断面図である。固定部73の傾斜面73aには、その傾斜面73aから僅かに突き出ている平坦状の突起73bが2つ同じ高さに形成されていて、この突起73bは二次加工を施して精度良く形成されて取り付け基準面となっている。
【0011】そして、このキャリッジ51にミラー40を組み立てる場合において、固定部73の傾斜面73aに設けた突起73bに紫外線硬化性の接着剤を適量塗布して、その後に、治具にて、この突起73bにミラー40の裏面を当接して、保持させた状態で、紫外線を照射して、この接着剤を固着させて正確に取り付け固定する。
【0012】このように構成された光ピックアップ50において、投受光部18の投受光面33から出たレーザ光は、壁部71の丸孔72を通り、さらにミラー40を通って、図11の矢印のように、水平方向から鉛直方向に直角に折り曲げて、対物レンズ14に入射する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、前記従来例のキャリッジ51は、剛性が高く、精度良く加工できるアルミダイキャストが用いられ、そして、組み込み精度が要求されるミラー40を組み込む際に、このアルミダイキャストの加工面を基準に組み立てられている。しかし、アルミダイキャスト自体の値段が高く、また、キャリッジ51の固定部73の傾斜面73aに設けた突起73bを二次加工して仕上げているので、コストアップの原因となっていた。そこで、近年のコストダウンの要請から、キャリッジ51をアルミダイキャストからコストの安い板金に代えて、従来の光ピックアップ50と同じ構造にしてミラー40を組み込んだ場合には、固定部73の傾斜面73aを折り曲げなどにより形成しなければならず、位置決め精度を簡単に出すことができないという問題があった。
【0014】本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、コストの安い板金からなるキャリッジを用いて精度良くミラーを取り付け固定した光ピックアップ及びその組立て方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための第1の解決手段として、板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、該ミラーは折曲片との間に所定の隙間を設けて接着手段により固定されたものである。
【0016】さらに、第2の解決手段として、折曲片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなるものである。
【0017】さらに、第3の解決手段として、ミラーの表面部を折曲片の端部から突出してなるものである。
【0018】さらに、第4の解決手段として、折曲片とミラーとの隙間を0.1mm以下に形成してなるものである。
【0019】さらに、第5の解決手段として、板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、この治具にキャリッジを載置して、一対の折曲片の間に隙間を設けてミラーを配設し、この隙間に接着手段を充填してミラーを折曲片に固定するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の光ピックアップ10の斜視図である。図1に示すように、光ピックアップ10は、金属製の板金からなるキャリッジ12内に収納される、対物レンズ14を備えたレンズアクチュエータ110と、該対物レンズ14にミラー40を通じてレーザ光を出射し、また対物レンズ14からの戻り光を入射する投受光部18と、この投受光部18を組み込んだホルダー20と、このホルダー20を被うカバー22とから構成されている。
【0021】図4は、本発明の光ピックアップ10のキャリッジ12を示す斜視図である。図4に示すように、キャリッジ12は、長方形をした金属製からなる平板状の底板部24、この底板部24の長手方向の両縁に沿って直角に立設された第1の側壁部26と、第2の側壁部27とから構成されている。この第1及び第2の側壁部26,27の一端は、底板部24から突出している。そして、第1及び第2の側壁部26,27と同じように立設された第3の側壁部29,29は、この側壁部26,27の長手方向に、一定の空間をもたせて底板部24と一体にそれぞれ設けられている。第3の側壁部29,29には、貫通した丸孔30が図示しない1つのシャフト棒によって挿通される大きさにそれぞれ形成されている。第1の側壁部26の一端には、切り欠き溝28が形成されている。
【0022】次に、底板部24には、略方形状の開口部36が形成されていて、さらに底板部24の外方の縁部には、略矩形状の切り欠き部39が形成されている。開口部36に面する縁部の一部には、対向立設された一対の折曲片、即ち第1の切り起こし片38が形成され、その対向面は側壁面38bとなっている。第1の切り起こし片38は、折り曲げ治具(図示せず)によって、底板部24から互いに逆方向に起こし、ほぼ直角に折り曲げて形成されたものである。切り欠き部39の対向する縁部には、第1、第2の側壁部26,27に沿うように、対向立設された第2の切り起こし片31がそれぞれ形成されている。各第2の切り起こし片31には、この側壁面31bと直角に、平坦状の端面31aが形成されている。さらに、この切り欠き部39の残りの縁部には、第2の切り起こし片31の対向する側壁面31bと直交方向に、側壁面42aを備えた凸状をした受け部42が立設形成されている。この受け部42の中央には、丸孔72が貫通して形成されている。
【0023】次に、各第1の切り起こし片38の端部には、この側壁面38bの一方の角を斜めにカットしてなる傾斜部38aが設けられ、バリなどがないように精度良く加工形成されている。そして、第1の切り起こし片38の側壁面38b間に、傾斜部38aに沿って、後述するミラー40が組み込まれる。
【0024】図5は、本発明の光ピックアップ10のキャリッジ12にミラー40を取り付けた状態を示す斜視図である。図5に示すミラー40は、光学ガラスまたは光学樹脂部材に金属膜を蒸着した方形板をしている。このミラー40の側面部40a及び表面部(又は裏面部)40bは、精度良く加工されている。つまり、表面部40bは、入射したレーザ光を所定の角度であらかじめ決められた箇所に出射するように、このレーザ光を反射するものであり、側面部40aは、第1の切り起こし片38の側壁面38b間に取り付けられる。
【0025】図6は、本発明の光ピックアップ10のホルダー20に投受光部18等を組み込んで、カバー22をはずした状態を示す斜視図である。図6に示すように、投受光部18には、金属製の本体23とその後方に一体化された鍔状のステム部23aが形成されていて、ステム部23aの両側面には、湾曲した曲面部25が形成されている。また、ステム部23aの前面は、投受光部18をキャリッジ12に取り付けるための取り付け面となっていて、また、本体23の前面は、レーザ光が出入射する窓部33aを形成した投受光面33となっている。
【0026】ホルダー20は、対向配置された側壁部16と、この両側壁部16の一端に設けられた鍔部4aと、底壁部17とから構成されている。鍔部4aには、曲面状の開口14が形成されていて、この開口14に投受光部18のステム部23aの曲面部25が接着剤などの接着手段13を用いて嵌合配置されるようになっている。そして、ホルダー20の両側壁部16間に、従来の光ピックアップ50と同じ構成部品である回路基板21等が収納され、投受光部18の端子と回路基板21とを半田付け固定する。また、投受光部18のステム部23aの下面(裏面)に、フレキシブル基板19の一部を取り付け固定する。
【0027】図2は、本発明の光ピックアップ10の第2の側壁部27をはずした状態での一部拡大斜視図である。カバー22は、1つの開口を備えた金属製の箱体であり、開口からホルダー20全体に被せて、カバー22の開口側に突出させた取付爪22aをホルダー20の取付孔45に嵌入させて、その後取付爪22aの先端部を曲げることにより固定するようになっている。なお、図1R>1に示すように、カバー22の開口と対向する側壁には、位置決め調整用の2つの孔46が並んで形成されている。
【0028】次に、図1に示すように、レンズアクチュエータ110は、アクチュエータベース111と、このアクチュエータベース111に可撓性をもって保持され、対物レンズ14を有するレンズホルダー112と、このレンズホルダー112に一体化したヨーク113とから構成されている。そして、アクチュエータベース111は、キャリッジ12の開口部36上に取り付け固定されるようになっている。
【0029】次に、各構成部品の組み立てについて説明する。図8Aには、本発明の光ピックアップ10において、模式的に示したキャリッジ12の中央付近断面図が示されてあり、図8Bには、キャリッジ12にミラー40を組み込み固定するための治具を示した斜視図が示されている。
【0030】最初に、ミラー40をキャリッジ12に組み込むための治具について説明する。図8Bにおいて、治具の平坦な基台151の四隅には、略直方体をした突状部152a,152b,152c,152dが、この基台151と一体にそれぞれ設けられている。そして、突状部152a,152b、152c、152dには、一部に切り欠きされた段部153がその外側方向にそれぞれ設けられていて、そのうちの突状部152a、152bの段部153には、係止部154,154がそれぞれ取り付け固定されている。そして、突状部152a,152bの段部153、153間には、細長の円柱状をしたシャフト棒155が取り付けられて、係止部154,154で押え固定されている。このシャフト棒155は、光ピックアップ10をディスク装置に取り付けたときに用いるシャフト棒と同じ径となっている。
【0031】基台151の上面中央部分には、前述した突状部152a,152b,152c,152dよりも低い高さで、略V字状をした切り欠き部156aを備えた突起部156がこの基台151と一体に設けられている。そして、この突起部156の切り欠き部156aの幅寸法は、第1の切り起こし片38間の幅寸法より、狭くなっている。さらに、基台151上面の、突起部156の前後の位置に、ピン157が設けられている。
【0032】次に、図8に基づいて、本発明の光ピックアップ10のミラー40をキャリッジ12の第1の切り起こし片38に組み込む方法を説明する。先ず、治具の突起部156の切り欠き部156aにミラー40をその反射面を下に且つ傾斜させた状態に載置して、さらに、キャリッジ12を逆さまの状態で治具の上に配して、キャリッジ12の第1の側壁部26の切り欠き溝28を治具のシャフト棒155に嵌合させる。さらに、キャリッジ12の底板部24のピン受け孔(図示せず)にピン157を挿通させ、また、各第3の側壁部29が、突状部152c、152dの段部153,153にそれぞれ載置されて、キャリッジ12を動かないように治具の基台151上に保持する。そして、キャリッジ12の底板部24は水平面となり、キャリッジ12の第1の切り起こし片38とミラー40の取り付け位置基準が設定される。このとき、ミラー40は、第1の切り起こし片38の側壁面38b間の空間に、第1の切り起こし片38の傾斜部38aよりもミラー40の表面部40b(反射面側)が僅かに突き出した状態に位置する。
【0033】次に、キャリッジ12の裏側から、第1の切り起こし片38の側壁面38bと、ミラー40の側面部40aとの隙間(図3での隙間寸法幅H2は、0.1mm以下である。)に紫外線硬化性の接着剤13(図9参照)を注入充填させ、紫外線を照射することにより、図5及び図9に示すように、浮かせた状態で固着させる。ここで、治具にて、ミラー40は、取付基準面である突起部156の切り欠き部156aに載置されて、位置決め調整されて、切り起こし片38と固着されるので、精度良く且つ簡単に取り付け固定することができる。
【0034】また、図9に示すように、キャリッジ12の第1の切り起こし片38の側壁面38b間に所定の空間を設けてミラー40が配置される。治具によって、第1の切り起こし片38の傾斜部38aの上縁からミラー40の表面部40bが、この傾斜部38aに沿って僅かに突出されている。したがって、上述した接着剤13がミラー40の表面部40bにはみ出ることがない。
【0035】また、キャリッジ12には、第1の切り起こし片38を切り起こすことにより、空間ができ、この空間が接着剤13を充填塗布させるための注入口となるので、キャリッジ12の裏側から簡単に接着剤13を注入して接着固定でき、作業性を向上させることができる。特に、紫外線硬化性の接着剤においては、接着剤を充填した後に紫外線を当てるので、特に有効である。
【0036】次に、レンズアクチュエータ110は、対物レンズ14がミラー40からの出射光の中心に位置するように、キャリッジ12の底板部24にある開口部36の真上に跨って配される。
【0037】次に、図2に基づいて、本発明の光ピックアップ10の投受光部18をキャリッジ12の第2の切り起こし片31に組み込む方法を説明する。あらかじめホルダー20に投受光部18を一体に組み込んだ状態にしておく。そして、キャリッジ12の、第2の切り起こし片31,31と受け部42で囲まれた空間(切り欠き部39)に、投受光部18を組み込んだホルダー20を取り付け固定するには、先ず治具を用いて、上記空間内に一定の隙間をもたせて、投受光部18を浮かせた状態に配置する。このとき、上記治具を用いて、図3に示すように、投受光部18の窓部33aと、受け部42の丸孔72とを僅かな隙間をもたせて対向配置させている。また、第2の切り起こし片31の端面31aと、ホルダー20の鍔部4a及びこの鍔部4aに取り付け固定された投受光部18のステム部23aの前面とを僅かな隙間をもたせて対向配置させている。次に、投受光部18から出射されるレーザ光が、ミラー40を通じて、レンズホルダー112の対物レンズ14中央に入射するように、ホルダー20の孔46に別の治具を挿入して、投受光部18の取り付け位置を調整する。
【0038】その後、上述した第2の切り起こし片31の端面31aと、ホルダー20の鍔部4a及び投受光部18のステム部23aの前面との間に、その隙間寸法H1を200μm以下にして、紫外線硬化性の接着剤13を注入充填させて取り付け固定する(図7中、Sの箇所)。さらに、投受光部27の投受光面33と受け部42の側壁面との間にも、レーザ光を光路となる窓部33a及び丸孔72を塞がないように、紫外線硬化性の接着剤13を注入充填させて、取り付け固定する(図7中、Tの箇所)。このように、少なくとも4箇所を接着剤13にて取り付けるので、投受光部18をキャリッジ12に確実に固定することができる。
【0039】組み込みが完成した本発明の光ピックアップ10において、投受光部18の投受光面33から出たレーザ光は、受け部42の丸孔72を通り、さらにミラー40を通って、直角に折り曲がり、対物レンズ14に入射する。そして、この対物レンズ14から出射したレーザ光は、光ディスク面にて集光して、すなわち、光ディスクに記録された情報を読み込んで、さらに光ディスク面からこの情報に応じて反射した戻り光を、同じ光路を通って、投受光部18内の受光素子に入射させる。そして、この戻り光を必要な電気信号に変換して、光ディスクの情報を読み取ることができる。また、光ディスク面の情報に追従して、光ピックアップ10のキャリッジ12は、光ディスク装置のシャフト棒に沿って制御された動きをする。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、このミラーは、折曲片との間に所定の間隔を設けて接着手段により固定してなることにより、板金の曲げ精度であっても、単に支えるだけでミラーの位置決めを精度良く調整することができる。
【0041】また、折曲片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなることにより、折曲片が戻り方向に変形しやすくなるが、互いの切り起こし方向が反対となり、しかもその折曲片の間にミラーが配されているので、戻り方向への変形を抑制し、確実に且つ精度良く取り付け固定することができる。
【0042】また、ミラーの表面部を折曲片の端部から突出させたことにより、接着剤がこの表面部にはみ出ることがなく、この表面部をきれいな状態に保てるので、所定の位置に精度良く光を反射することができる。
【0043】折曲片とミラーの隙間を0.1mm以下に形成したことにより、取り付け接着面における線膨張係数の変化量を減らすことができ、安定した位置決め精度を保つことができる。
【0044】光ピックアップの組み込み方法にあっては、板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、この治具にキャリッジを載置して、一対の折曲片の間に隙間を設けてミラーを配設し、この隙間に接着手段を充填してミラーを折曲片に固定することにより、板金の曲げ精度であっても、治具にて単にミラーを支えるだけでミラーの位置決めが行われ、高い精度でミラーの位置決めができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップの斜視図である。
【図2】本発明の第2の側壁部をはずした状態での光ピックアップの一部拡大斜視図である。
【図3】本発明の光ピックアップの一部拡大平面図である。
【図4】本発明の光ピックアップのキャリッジの斜視図である。
【図5】本発明の光ピックアップのキャリッジにミラーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の光ピックアップの投受光部及びホルダーの組み込みを示す一部拡大斜視図である。
【図7】本発明の光ピックアップの平面図である。
【図8】図8Aは、本発明の光ピックアップにおける、模式的に示したキャリッジの中央付近断面図であり、図8R>8Bは、ミラーを組み込むための治具を示した斜視図である。
【図9】図9Aは、本発明の光ピックアップにおける、第1の切り起こし片及びミラーの一部拡大斜視図であり、図9Bは、その側面図である。
【図10】従来の光ピックアップの一部分解斜視図である。
【図11】従来の光ピックアップのミラー部分の断面図である。
【符号の説明】
10 光ピックアップ
12 キャリッジ
13 接着剤
18 投受光部
24 底板板
36 開口
38 折曲片(第1の切り起こし片)
38a 傾斜部
40 ミラー
40a 側面部
40b 表面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、該ミラーは前記折曲片との間に所定の隙間を設けて接着手段により固定されたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】 前記折曲片片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】 前記ミラーの表面部を前記折曲片の端部から突出してなることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ。
【請求項4】 前記折曲片と前記ミラーとの前記隙間を0.1mm以下に形成してなることを特徴とする請求項2又は3記載の光ピックアップ。
【請求項5】 板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、前記治具に前記キャリッジを載置して、一対の前記折曲片の間に隙間を設けて前記ミラーを配設し、前記隙間に接着手段を充填して前記ミラーを前記折曲片に固定することを特徴とする光ピックアップの組み込み方法。
【請求項1】 板金からなるキャリッジと、該キャリッジの底板から所定の間隔で対向立設された一対の折曲片と、該折曲片の間に配設されたミラーとからなり、該ミラーは前記折曲片との間に所定の隙間を設けて接着手段により固定されたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】 前記折曲片片は、キャリッジの底板を互いに反対方向に折り曲げ形成されてなることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】 前記ミラーの表面部を前記折曲片の端部から突出してなることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ。
【請求項4】 前記折曲片と前記ミラーとの前記隙間を0.1mm以下に形成してなることを特徴とする請求項2又は3記載の光ピックアップ。
【請求項5】 板金からなるキャリッジの底板の一部を切り起こして一対の折曲片を形成し、治具にミラーを載置し、前記治具に前記キャリッジを載置して、一対の前記折曲片の間に隙間を設けて前記ミラーを配設し、前記隙間に接着手段を充填して前記ミラーを前記折曲片に固定することを特徴とする光ピックアップの組み込み方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
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【図7】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開平11−339299
【公開日】平成11年(1999)12月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−140186
【出願日】平成10年(1998)5月21日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【公開日】平成11年(1999)12月10日
【国際特許分類】
【出願日】平成10年(1998)5月21日
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
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