光ピックアップ装置、光ディスク装置、および情報記録方法
【課題】低コストで作製可能な複数の情報記録面を有する情報記録媒体を記録/再生する場合に、安定したサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置およびこれを搭載した光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ビームを出射する半導体レーザと、光ビームを少なくともメインビームと第一のサブビーム、第二のサブビームとに分岐する回折格子と、光ビームを集光して光ディスク上に少なくとも3つのスポットを形成するための対物レンズとを備え、光ディスク上のメインビームのスポットに対し、第一のサブビームのスポットと第二のサブビームのスポットは両方とも光ディスクの内周側または外周側に位置し、第一のサブビームと第二のサブビームを検出した信号からトラッキング誤差信号を生成する。
【解決手段】光ビームを出射する半導体レーザと、光ビームを少なくともメインビームと第一のサブビーム、第二のサブビームとに分岐する回折格子と、光ビームを集光して光ディスク上に少なくとも3つのスポットを形成するための対物レンズとを備え、光ディスク上のメインビームのスポットに対し、第一のサブビームのスポットと第二のサブビームのスポットは両方とも光ディスクの内周側または外周側に位置し、第一のサブビームと第二のサブビームを検出した信号からトラッキング誤差信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置、光ディスク装置、および情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1には課題として「多層記録のトラッキングを形成するためにすべての層にトラッキング用のパターンを転写しようとすると媒体の製造コストが増大する。」と記載があり、解決手段として「媒体の一部にのみあらかじめサーバ用のパターンを形成しておき、2つの光スポットのうちひとつをサーボパターンに照射してトラッキングを行いもう一方の光スポットでサーボパターンを追記する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−302085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスクではBD(Blu-ray Disc)などに代表されるように記録層数を2層以上とすることで記録容量を増やしており、今後もディスク層数を多くすることで記録容量を増やすことが期待されている。ただし、現状の多層ディスクについては以下のような課題がある。
ここで、一例として2層のBDディスクの製造方法について説明する。まず、ポリカーボネート樹脂等の基板上に片面のピットや案内溝を成形する。その後、成形樹脂基板上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などを形成し、Layer0を形成する。次に紫外線硬化型樹脂をLayer0上に形成する。そして、紫外線硬化型樹脂にピットや案内溝を有する樹脂スタンパーを押圧することにより、紫外線硬化型樹脂にピットや案内溝を転写する。
【0005】
次に、樹脂スタンパー越しに紫外線硬化型樹脂に向け紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化型樹脂は硬化する。そして、樹脂スタンパーを取り外し、その上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などを形成し、Layer1を形成する。そしてLayer1上に紫外線硬化型樹脂を形成し、記録層を保護する保護層をLayer1の記録層上に形成する。このようにして2層ディスクを製造する。なお、多層ディスクの場合には、Layer0とLayer1の形成工程を繰り返し行うことで、作製可能となる。
【0006】
このように、多層ディスクは案内溝を形成するために、紫外線硬化型樹脂に樹脂スタンパーを押圧する複雑な作業が課題となっている。また、例えば、ディスクのピット形状や案内溝形状、ディスク偏芯など全ての記録層で規格を満足する必要があるため、ディスクは記録層数が多くなるほど製造ラインでの歩留まりが悪くなってしまう。このため、ディスク記録層は簡単な構成にしたい要求がある。
【0007】
以上のように、多層ディスクを製造する上で、複雑な作業や、歩留まりの悪さが課題となっている。このため、多層ディスクとすると製造コストが上がってしまう課題がある。
この課題に対し、特許文献1では、光ディスク上に第1の光スポットと第2の光スポットを照射し第1の光スポットを用いてトラッキング制御を行いながら第2のスポットを用いてトラッキング制御のためのマークを形成している。これにより、多層ディスクにおいて、すべての層に案内溝をあらかじめ形成しておく必要がなくなるため、媒体製造コストの低減が図れると記載している。
【0008】
ところが、特許文献1の構成では、記録中に安定したトラッキング誤差信号を生成できない課題がある。ここで、特許文献1のように1つのビームから生成する一般的なトラッキング誤差信号検出方式としてPP(Push Pull)方式やDPD(Differential Phase Detection)方式がある。PP方式は案内溝によって回折した回折光の干渉領域を2分割受光面で検出する方式である。しかし、特許文献1のディスクには案内溝は形成されていないためPP信号は発生しない。また、光ビームを照射することでピット列を形成してもPP信号振幅としては微小であり、安定したPP信号は得られない。
また、DPD信号についても課題がある。DPD信号は、ディスク上のマーク上を走査したときにマークのセンタ位置からずれると少なくとも2分割された受光部からの検出信号にマークの位相差が生じることを利用した検出方式である。このため、DPD信号は、記録マークの高周波の信号を比較することでトラッキング誤差信号を生成している。
【0009】
ここで、記録を行っている場合には、レーザが高周波で明滅し、記録のマーク/スペースを形成している。このため、もし第1の光スポットと第2の光スポットが同じレーザから出射している場合には、記録を行っているときにレーザが高周波で明滅しているため、DPD信号のような高周波の信号を同時に安定して検出することができない。例えば、第1の光スポットと第2の光スポットを別のレーザから出射する場合には、問題とはならないが、光ピックアップ装置の構成として複雑化・高コスト化は避けられない。
そこで本発明は、低コストで作製可能な複数の情報記録面を有する情報記録媒体を記録/再生する場合に、安定したサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置、これを搭載した光ディスク装置、および情報記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明によって達成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば低コストで作製可能な複数の情報記録面を有する情報記録媒体を記録/再生する場合に、安定したサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置、これを搭載した光ディスク装置、および情報記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における光学系を説明する図である。
【図2】実施例1における回折格子を示す図である。
【図3】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図4】実施例1における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図5】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図6】実施例1における光ディスクの記録方法を示す図である。
【図7】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図8】実施例1における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図9】実施例2における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図10】実施例2における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図11】実施例2における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図12】実施例2における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図13】実施例2における別の回折格子を示す図である。
【図14】実施例3における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図15】実施例3における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図16】実施例4における光学系を説明する図である。
【図17】実施例4における光ディスクと光ビームの関係を示す図である。
【図18】実施例4における情報記録方法の手順を示す図である。
【図19】実施例5における光学的再生装置を説明する図である。
【図20】実施例6における光学的記録再生装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示したものである。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した光ビームは回折格子11に入射する。
図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向(Tan方向)に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
【0015】
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。一般的に記録型の光ディスクに情報を記録する場合には、光ディスクの記録面に所定の光量を照射させるため、半導体レーザの光量を高精度に制御する必要がある。このため、フロントモニタ53は記録型の光ディスクに信号を記録する際に、半導体レーザ50の光量の変化を検出し、半導体レーザ50の駆動回路(図示せず)にフィードバックさせる。これにより光ディスク上の光量をモニタして所定の光量とするよう制御することが可能となる。
【0016】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に、1つのメインビームと2つのサブビームによる計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0017】
図3は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、ディスク半径方向(Rad方向)の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器10上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0018】
図4は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0019】
【数1】
ここで、トラッキング誤差信号生成方法について説明する。
図5は、記録マークとディスク上のスポット20d、20eの位置関係とそのときの信号について示した図である。(a)、(b)、(c)はそれぞれスポット位置が異なっており、(a)はスポット20eが記録マークに沿って走査している状態、(c)はスポット20dが記録マークに沿って走査している状態、(b)はスポット20dとスポット20eの中心が記録マークに沿って走査している状態を示している。ここで、記録マークは未記録部に対して反射率が小さくなるとする。
【0020】
まず、(a)の場合には、スポット20eが記録マークに沿って走査していることから、スポット20eよりもスポット20dの信号光量が大きいため、トラッキング誤差信号演算を行うとプラスの信号が得られる。それに対し、(c)の場合には、スポット20dが記録マークに沿って走査していることから、スポット20dよりもスポット20eの信号光量が大きいため、トラッキング誤差信号演算を行うとマイナスの信号が得られる。そして、(b)の場合には、スポット20dとスポット20eはどちらも同じようにマーク中心からオフセットしているため、信号光量は等しくなり、トラッキング誤差信号演算を行うとゼロとなる。
【0021】
これより、トラッキング誤差信号がゼロとなるようトラッキング制御を行えば、スポット20dとスポット20eの中心は記録マークに沿って走査することになる。それに伴ってスポット20aは記録し続けることが可能となるのである。なお、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0022】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心とメインビーム(スポット20a)のスポットの間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。
なお図6は、内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0023】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差分を求めることでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0024】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。また、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えば回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図7に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0025】
そして、図8に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、+1次回折光20b、20cは2分割受光面領域e、領域fに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0026】
【数2】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0027】
【数3】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
なお、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
【0028】
そして、本実施例では1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御を行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。この際、内周から外周に記録するときのトラッキング誤差信号と外周から内周に記録するときのトラッキング誤差信号で演算が異なる場合には、記録方向に応じて光ディスク装置から信号を受け取り、光ピックアップ装置で信号出力を変えても良い。また、信号出力数を少なくするために、図8のような受光領域に対し、例えば領域Gと領域E、領域Fと領域Hを結線して出力しても良い。なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例2】
【0029】
図9、図10は、本発明の第2の実施例に係る光ピックアップ装置の記録マークとディスク上のスポットの関係、光検出器上の光ビームと受光面の関係を示している。それ以外は実施例1と同様の構成である。
ここで、本実施例は、図1に示す実施例1と同様の光学系である。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射された光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。
【0030】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0031】
図9は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0032】
図10は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの−1次回折光20dは受光面ghに入射し、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面efに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域ef、領域ghから得られたA、B、C、D、EF、GHの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0033】
【数4】
ここで、実施例1との違いは、ディスク上のスポット20eのディスク接線方向の位置が異なるだけで、トラッキング誤差信号検出方法については、実施例1と同様の検出方法となっている。そして、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0034】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心とメインビーム(スポット20a)のスポットの間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。なお、図6は内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0035】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差動を演算することでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0036】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。また、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えば回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図11に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。
また、スポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0037】
そして、図12に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの+1次回折光20b、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面領域e、領域fに入射し、領域Iの−1次回折光20d、領域IIの+1次回折光20cは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0038】
【数5】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0039】
【数6】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
なお、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
【0040】
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。例えば、図13のように図2の溝構造(領域I、領域II)を複数領域に分け、回折効率を例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1として、図9と同じディスク上のスポット配置とし、図10と同じ光検出器で検出しても同様の効果が得られる。
【0041】
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御を行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。この際、内周から外周に記録するときのトラッキング誤差信号と外周から内周に記録するときのトラッキング誤差信号で演算が異なる場合には、記録方向に応じて光ディスク装置から信号を受け取り、光ピックアップ装置で信号出力を変えても良い。また、信号出力数を少なくするために、図12のような受光領域に対し、例えば領域Gと領域E、領域Fと領域Hを結線して出力しても良い。
なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例3】
【0042】
図14、図15は本発明の第3の実施例に係る光ピックアップ装置の記録マークとディスク上のスポットの関係、光検出器上の光ビームと受光面の関係を示している。それ以外は実施例1と同様の構成である。
ここで、本実施例は、図1に示す実施例1と同様の光学系である。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射された光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。ここで、本実施例は実施例2に対し、回折格子11の回折角が大きいことを特徴とする。
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。
【0043】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0044】
また、本実施例では、回折格子11は、回折角が大きいために回折格子11の分割線800を通過した光が対物レンズに入射しない構成となっている。このため、対物レンズに入射する光ビームのうちディスク接線方向のプラス側に回折された光ビームに関し、ディスク接線方向のプラス側の領域である領域Iで回折された光ビームは、回折によって対物レンズに入射しないため、対物レンズには領域IIで回折された光ビームのみが入射する。同様にディスク接線方向のマイナス方向に回折された光ビームに関し、ディスク接線方向のマイナス側の領域である領域IIで回折された光ビームは、回折によって対物レンズに入射しないため、対物レンズには領域Iで回折された光ビームのみが入射する。
【0045】
図14は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心とのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
【0046】
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
図15は光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。ここで、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
【0047】
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの−1次回折光20dは受光面ghに入射し、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面efに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域ef、領域ghから得られたA、B、C、D、EF、GHの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0048】
【数7】
ここで、実施例2との違いは、光検出器10上のスポット20d、スポット20eの光量が異なるだけで、トラッキング誤差信号検出方法については、実施例1と同様の検出方法となっている。そして、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0049】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、メインビーム(スポット20a)のスポットと2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心との間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。なお、図6は内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0050】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差分求めることでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0051】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。そして、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
【0052】
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御が行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。
本実施例のような構成とすることで、実施例1、実施例2に対し、回折格子11のディスク接線方向ずれの影響を受けない構成とすることができる。また、スポット20aの多層ディスクの迷光の外側となるように受光面ef、受光面ghを配置することで、多層ディスクの迷光の影響を低減することも可能となる。なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例4】
【0053】
図16は、本発明の第4の実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示している。本実施例の光ディスクは、サーボ信号検出用の層(ガイド層)と記録層に分かれた光ディスクであり、光ピックアップからはサーボ用の光ビームと記録/再生用の光ビームの2つのビームが出射される。
まず、記録層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ50からは、波長略405nmの第1の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した第1の光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
【0054】
回折格子11を回折した第1の光ビームは、コリメートレンズ51により略平行光に変換される。そして、コリメートレンズ51を透過した光ビームは、ビームスプリッタ52、レンズ53、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て立上げミラー55に入射する。なお、ビームスプリッタ52は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ50から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射された光ビームを効率良く反射する特性を有している。また、ダイクロイックプリズム74は、波長選択性があり、本実施例では、半導体レーザ50を出射した第1の光ビームを反射し、半導体レーザ60を出射した第2の光ビームを透過する特性を有するプリズムとなっている。
ここで、レンズ53は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正することが可能となる。
【0055】
そして、立上げミラー55で反射された光ビームは、1/4波長板56を透過し、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により、図17に示す記録層400A上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。ここで、図中の記録層400A、記録層400B、記録層400Cは、案内溝を有さない記録層を示しており、ガイド層500は案内溝を有するガイド層を示している。
【0056】
図3は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、記録層で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー10、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ53、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器10上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0057】
図4は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0058】
【数8】
次にガイド層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ60から出射された波長略650nmの第2の光ビームは、コリメートレンズ61により略平行光に変換される。そして、コリメートレンズ61を透過した光ビームは、ビームスプリッタ62、レンズ63、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て立上げミラー55に入射する。なお、ビームスプリッタ62は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ60から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射された光ビームを効率良く反射する特性を有している。
【0059】
ここで、レンズ63は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層とガイド層から発生する相対デフォーカスを補正することが可能となる。
そして、立上げミラー55で反射された光ビームは、1/4波長板56を透過し、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2を経て、図17に示す光ディスク上のガイド層500に集光する。ガイド層500で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ63、ビームスプリッタ62を経て、検出レンズ64に入射する。検出レンズ64では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器65で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号が検出される。
【0060】
ここで、本実施例の情報記録方法を説明する。
図18は、情報記録方法の手順を示したフロー図である。まず、ディスクを駆動し、半導体レーザ50(第1の光ビーム)、半導体レーザ60(第2の光ビーム)を点灯する(S1)。次に第1の光ビームを用いて対物レンズ2を光軸方向に駆動し、記録層にフォーカス制御する(S2)。そして、第2の光ビームを用いてレンズ63を光軸方向に駆動し、ガイド層にフォーカス制御し、対物レンズ2を半径方向に駆動し、ガイド層のガイドトラックにトラッキング制御する(S3)。次に、第1の光ビームを用いてディスクの記録層の所定領域を用いて記録パワーや、レンズ53による球面収差補正や、デフォーカス、対物レンズの傾き等の記録条件最適化を行う(S4)。そして、ディスクの記録層の所定領域に移動し、記録最適条件の下、数トラックの記録を行う(S5)。次に、半導体レーザ60(第2の光ビーム)を消灯し(S6)、対物レンズ2を光軸方向に駆動して第1の光ビームを記録層にフォーカス制御し、対物レンズ2を半径方向に駆動して第1の光ビームを記録層の記録マーク列にトラッキング制御する(S7)。この状態で、記録を行う(S8)。
【0061】
本実施例では、既に記録されたマーク列を使ってサーボ信号を生成することができるため、S5の動作で記録マーク列を形成すれば、それを用いて記録し続けることが可能となる。なお、基本的なトラッキング誤差信号検出方法は実施例1と同様である。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いた光ディスク装置で本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。本実施例は、ディスク上に予め記録マークを記録しておく必要がなく、案内溝を有するガイド層を少なくとも1層有していれば良い点が実施例1〜3とは異なる。
【0062】
ここで、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えばガイド層を2層構成とし、螺旋構造を2つの層で互いに反対にして、回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図7に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20aとスポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)のディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0063】
そして、図8に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、+1次回折光20b、20cは2分割受光面領域e、領域fに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0064】
【数9】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0065】
【数10】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
そして、本実施例の球面収差補正としてレンズ53を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
【0066】
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御が行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。さらに、本実施例は実施例1と同じディスク上のスポット配置であったが実施例2、実施例3のようなディスク上のスポット配置であっても良い。その場合には、ディスク上のスポット配置と同時に検出方法、信号演算方法を実施例2、実施例3と同様にすれば良い。
なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。また、記録時に第2の光ビームをガイド層に照射し、ガイドトラックを用いて回転の同期信号を検出しても良い。これによりディスク回転に同期した安定した記録が行える。また本実施例では、記録層は3層(400A、400B、400C)の例を示したがこれには限定されない。
【実施例5】
【0067】
実施例5では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的再生装置について説明する。
図19は、光学的再生装置の概略構成である。光ピックアップ装置170は、光ディスク100の半径方向に沿って駆動できる機構が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御される。
レーザ点灯回路177からは所定のレーザ駆動電流が光ピックアップ装置170内の半導体レーザに供給され、半導体レーザからは再生動作をする際に所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は光ピックアップ装置170内に組み込むこともできる。
【0068】
光ピックアップ装置170内の光検出器10から出力された信号は、サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では前記光検出器10からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置170内のアクチュエータを駆動して、対物レンズの位置制御がなされる。また、サーボ信号生成回路174では、内周から外周へ記録する場合と外周から内周へ記録する場合にトラッキング誤差信号の演算を変更する機能を有している。
前記情報信号再生回路175では、前記光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。
【0069】
前記サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175で得られた信号の一部はコントロール回路176に送られる。このコントロール回路176にはスピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179などが接続され、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向およびアクセス位置の制御、対物レンズのサーボ制御、光ピックアップ装置170内の半導体レーザ発光光量の制御、ディスク基板厚さの違いによる球面収差の補正などが行われる。
【実施例6】
【0070】
実施例6では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的記録再生装置について説明する。
図20は、光学的記録再生装置の概略構成である。この装置で前記図19で説明した光学的情報記録再生装置と相違する点は、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間に情報信号記録回路178を設け、情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいてレーザ点灯回路177の点灯制御を行って、光ディスク100へ所望の情報を書き込む機能が付加されている点である。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換えをすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
2:対物レンズ、5:アクチュエータ、10:光検出器、11:回折格子、12:検出レンズ、50:半導体レーザ、51:コリメートレンズ、52:ビームスプリッタ、53:レンズ、55:立上げミラー、56:1/4波長板、60:半導体レーザ、61:コリメートレンズ、62:ビームスプリッタ、63:レンズ、74:ダイクロイックプリズム、75:レンズ、170:光ピックアップ装置、171:スピンドルモータ駆動回路、172:アクセス制御回路、173:アクチュエータ駆動回路、174:サーボ信号生成回路、175:情報信号再生回路、176:コントロール回路、177:レーザ点灯回路、178:情報記録回路、179:球面収差補正素子駆動回路、180:スピンドルモータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置、光ディスク装置、および情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1には課題として「多層記録のトラッキングを形成するためにすべての層にトラッキング用のパターンを転写しようとすると媒体の製造コストが増大する。」と記載があり、解決手段として「媒体の一部にのみあらかじめサーバ用のパターンを形成しておき、2つの光スポットのうちひとつをサーボパターンに照射してトラッキングを行いもう一方の光スポットでサーボパターンを追記する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−302085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスクではBD(Blu-ray Disc)などに代表されるように記録層数を2層以上とすることで記録容量を増やしており、今後もディスク層数を多くすることで記録容量を増やすことが期待されている。ただし、現状の多層ディスクについては以下のような課題がある。
ここで、一例として2層のBDディスクの製造方法について説明する。まず、ポリカーボネート樹脂等の基板上に片面のピットや案内溝を成形する。その後、成形樹脂基板上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などを形成し、Layer0を形成する。次に紫外線硬化型樹脂をLayer0上に形成する。そして、紫外線硬化型樹脂にピットや案内溝を有する樹脂スタンパーを押圧することにより、紫外線硬化型樹脂にピットや案内溝を転写する。
【0005】
次に、樹脂スタンパー越しに紫外線硬化型樹脂に向け紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化型樹脂は硬化する。そして、樹脂スタンパーを取り外し、その上に金属薄膜や熱記録が可能な薄膜材料などを形成し、Layer1を形成する。そしてLayer1上に紫外線硬化型樹脂を形成し、記録層を保護する保護層をLayer1の記録層上に形成する。このようにして2層ディスクを製造する。なお、多層ディスクの場合には、Layer0とLayer1の形成工程を繰り返し行うことで、作製可能となる。
【0006】
このように、多層ディスクは案内溝を形成するために、紫外線硬化型樹脂に樹脂スタンパーを押圧する複雑な作業が課題となっている。また、例えば、ディスクのピット形状や案内溝形状、ディスク偏芯など全ての記録層で規格を満足する必要があるため、ディスクは記録層数が多くなるほど製造ラインでの歩留まりが悪くなってしまう。このため、ディスク記録層は簡単な構成にしたい要求がある。
【0007】
以上のように、多層ディスクを製造する上で、複雑な作業や、歩留まりの悪さが課題となっている。このため、多層ディスクとすると製造コストが上がってしまう課題がある。
この課題に対し、特許文献1では、光ディスク上に第1の光スポットと第2の光スポットを照射し第1の光スポットを用いてトラッキング制御を行いながら第2のスポットを用いてトラッキング制御のためのマークを形成している。これにより、多層ディスクにおいて、すべての層に案内溝をあらかじめ形成しておく必要がなくなるため、媒体製造コストの低減が図れると記載している。
【0008】
ところが、特許文献1の構成では、記録中に安定したトラッキング誤差信号を生成できない課題がある。ここで、特許文献1のように1つのビームから生成する一般的なトラッキング誤差信号検出方式としてPP(Push Pull)方式やDPD(Differential Phase Detection)方式がある。PP方式は案内溝によって回折した回折光の干渉領域を2分割受光面で検出する方式である。しかし、特許文献1のディスクには案内溝は形成されていないためPP信号は発生しない。また、光ビームを照射することでピット列を形成してもPP信号振幅としては微小であり、安定したPP信号は得られない。
また、DPD信号についても課題がある。DPD信号は、ディスク上のマーク上を走査したときにマークのセンタ位置からずれると少なくとも2分割された受光部からの検出信号にマークの位相差が生じることを利用した検出方式である。このため、DPD信号は、記録マークの高周波の信号を比較することでトラッキング誤差信号を生成している。
【0009】
ここで、記録を行っている場合には、レーザが高周波で明滅し、記録のマーク/スペースを形成している。このため、もし第1の光スポットと第2の光スポットが同じレーザから出射している場合には、記録を行っているときにレーザが高周波で明滅しているため、DPD信号のような高周波の信号を同時に安定して検出することができない。例えば、第1の光スポットと第2の光スポットを別のレーザから出射する場合には、問題とはならないが、光ピックアップ装置の構成として複雑化・高コスト化は避けられない。
そこで本発明は、低コストで作製可能な複数の情報記録面を有する情報記録媒体を記録/再生する場合に、安定したサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置、これを搭載した光ディスク装置、および情報記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明によって達成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば低コストで作製可能な複数の情報記録面を有する情報記録媒体を記録/再生する場合に、安定したサーボ信号を得ることが可能な光ピックアップ装置、これを搭載した光ディスク装置、および情報記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における光学系を説明する図である。
【図2】実施例1における回折格子を示す図である。
【図3】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図4】実施例1における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図5】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図6】実施例1における光ディスクの記録方法を示す図である。
【図7】実施例1における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図8】実施例1における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図9】実施例2における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図10】実施例2における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図11】実施例2における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図12】実施例2における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図13】実施例2における別の回折格子を示す図である。
【図14】実施例3における記録マークとディスク上のスポットの関係を示す図である。
【図15】実施例3における光検出器上の光ビームと受光面の関係を示す図である。
【図16】実施例4における光学系を説明する図である。
【図17】実施例4における光ディスクと光ビームの関係を示す図である。
【図18】実施例4における情報記録方法の手順を示す図である。
【図19】実施例5における光学的再生装置を説明する図である。
【図20】実施例6における光学的記録再生装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示したものである。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した光ビームは回折格子11に入射する。
図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向(Tan方向)に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
【0015】
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。一般的に記録型の光ディスクに情報を記録する場合には、光ディスクの記録面に所定の光量を照射させるため、半導体レーザの光量を高精度に制御する必要がある。このため、フロントモニタ53は記録型の光ディスクに信号を記録する際に、半導体レーザ50の光量の変化を検出し、半導体レーザ50の駆動回路(図示せず)にフィードバックさせる。これにより光ディスク上の光量をモニタして所定の光量とするよう制御することが可能となる。
【0016】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に、1つのメインビームと2つのサブビームによる計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0017】
図3は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、ディスク半径方向(Rad方向)の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器10上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0018】
図4は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0019】
【数1】
ここで、トラッキング誤差信号生成方法について説明する。
図5は、記録マークとディスク上のスポット20d、20eの位置関係とそのときの信号について示した図である。(a)、(b)、(c)はそれぞれスポット位置が異なっており、(a)はスポット20eが記録マークに沿って走査している状態、(c)はスポット20dが記録マークに沿って走査している状態、(b)はスポット20dとスポット20eの中心が記録マークに沿って走査している状態を示している。ここで、記録マークは未記録部に対して反射率が小さくなるとする。
【0020】
まず、(a)の場合には、スポット20eが記録マークに沿って走査していることから、スポット20eよりもスポット20dの信号光量が大きいため、トラッキング誤差信号演算を行うとプラスの信号が得られる。それに対し、(c)の場合には、スポット20dが記録マークに沿って走査していることから、スポット20dよりもスポット20eの信号光量が大きいため、トラッキング誤差信号演算を行うとマイナスの信号が得られる。そして、(b)の場合には、スポット20dとスポット20eはどちらも同じようにマーク中心からオフセットしているため、信号光量は等しくなり、トラッキング誤差信号演算を行うとゼロとなる。
【0021】
これより、トラッキング誤差信号がゼロとなるようトラッキング制御を行えば、スポット20dとスポット20eの中心は記録マークに沿って走査することになる。それに伴ってスポット20aは記録し続けることが可能となるのである。なお、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0022】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心とメインビーム(スポット20a)のスポットの間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。
なお図6は、内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0023】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差分を求めることでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0024】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。また、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えば回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図7に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0025】
そして、図8に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、+1次回折光20b、20cは2分割受光面領域e、領域fに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0026】
【数2】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0027】
【数3】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
なお、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
【0028】
そして、本実施例では1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御を行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。この際、内周から外周に記録するときのトラッキング誤差信号と外周から内周に記録するときのトラッキング誤差信号で演算が異なる場合には、記録方向に応じて光ディスク装置から信号を受け取り、光ピックアップ装置で信号出力を変えても良い。また、信号出力数を少なくするために、図8のような受光領域に対し、例えば領域Gと領域E、領域Fと領域Hを結線して出力しても良い。なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例2】
【0029】
図9、図10は、本発明の第2の実施例に係る光ピックアップ装置の記録マークとディスク上のスポットの関係、光検出器上の光ビームと受光面の関係を示している。それ以外は実施例1と同様の構成である。
ここで、本実施例は、図1に示す実施例1と同様の光学系である。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射された光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。
【0030】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0031】
図9は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0032】
図10は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの−1次回折光20dは受光面ghに入射し、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面efに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域ef、領域ghから得られたA、B、C、D、EF、GHの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0033】
【数4】
ここで、実施例1との違いは、ディスク上のスポット20eのディスク接線方向の位置が異なるだけで、トラッキング誤差信号検出方法については、実施例1と同様の検出方法となっている。そして、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0034】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心とメインビーム(スポット20a)のスポットの間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。なお、図6は内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0035】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差動を演算することでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0036】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。また、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えば回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図11に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。
また、スポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0037】
そして、図12に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの+1次回折光20b、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面領域e、領域fに入射し、領域Iの−1次回折光20d、領域IIの+1次回折光20cは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0038】
【数5】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0039】
【数6】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
なお、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
【0040】
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。例えば、図13のように図2の溝構造(領域I、領域II)を複数領域に分け、回折効率を例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1として、図9と同じディスク上のスポット配置とし、図10と同じ光検出器で検出しても同様の効果が得られる。
【0041】
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御を行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。この際、内周から外周に記録するときのトラッキング誤差信号と外周から内周に記録するときのトラッキング誤差信号で演算が異なる場合には、記録方向に応じて光ディスク装置から信号を受け取り、光ピックアップ装置で信号出力を変えても良い。また、信号出力数を少なくするために、図12のような受光領域に対し、例えば領域Gと領域E、領域Fと領域Hを結線して出力しても良い。
なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例3】
【0042】
図14、図15は本発明の第3の実施例に係る光ピックアップ装置の記録マークとディスク上のスポットの関係、光検出器上の光ビームと受光面の関係を示している。それ以外は実施例1と同様の構成である。
ここで、本実施例は、図1に示す実施例1と同様の光学系である。半導体レーザ50からは、波長略405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射された光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。ここで、本実施例は実施例2に対し、回折格子11の回折角が大きいことを特徴とする。
回折格子11で回折された光ビームはビームスプリッタ52で反射される。なお一部の光ビームはビームスプリッタ52を透過しフロントモニタ53に入射する。
【0043】
ビームスプリッタ52で反射された光ビームはコリメートレンズ51に入射する。コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動されることで、対物レンズに入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償するようにしている。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。なお、ここでの対物レンズ開口数はBDと同じ0.85であるとする。立上げミラー55、1/4波長板56、対物レンズ2は、図1では互いに重なって示されているが、前記の順序で図の奥側から手前側に向けて配列されている。
【0044】
また、本実施例では、回折格子11は、回折角が大きいために回折格子11の分割線800を通過した光が対物レンズに入射しない構成となっている。このため、対物レンズに入射する光ビームのうちディスク接線方向のプラス側に回折された光ビームに関し、ディスク接線方向のプラス側の領域である領域Iで回折された光ビームは、回折によって対物レンズに入射しないため、対物レンズには領域IIで回折された光ビームのみが入射する。同様にディスク接線方向のマイナス方向に回折された光ビームに関し、ディスク接線方向のマイナス側の領域である領域IIで回折された光ビームは、回折によって対物レンズに入射しないため、対物レンズには領域Iで回折された光ビームのみが入射する。
【0045】
図14は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心とのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
【0046】
そして、光ディスク100で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
図15は光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。ここで、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
【0047】
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、領域Iの−1次回折光20dは受光面ghに入射し、領域IIの−1次回折光20eは2分割受光面efに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域ef、領域ghから得られたA、B、C、D、EF、GHの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0048】
【数7】
ここで、実施例2との違いは、光検出器10上のスポット20d、スポット20eの光量が異なるだけで、トラッキング誤差信号検出方法については、実施例1と同様の検出方法となっている。そして、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)を満たしていればトラッキング誤差信号が生成できる。また、生成したトラッキング誤差信号がスポット20aの記録マークに同期するために、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)を満たせば良い。
このトラッキング誤差信号検出方式の場合、DPD信号検出のように高周波の信号比較をする必要がなく、サーボの周波数帯域で良いため、記録を行っているときのレーザの高周波の明滅は影響しない。
【0049】
以上のように、本実施例ではディスク上に3つのスポットを形成し、半径方向の記録マーク間距離をTとし、n、mを0以上の整数としたとき、2つのサブビームのスポット間隔を(n+1/2)Tとし、メインビーム(スポット20a)のスポットと2つのサブビームのスポット(スポット20d、スポット20e)の中心との間隔を(m+1)T/2で示されるようにディスク上にスポットを配置することで安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。これにより、ディスク内周または外周の一部の領域に予め記録マークが記録されていれば図6に示すように、それに沿って記録が可能となる。なお、図6は内周から外周に記録する記録方法を示しているが、例えばディスク螺旋構造とスポット20dとスポット20eに対するスポット20aの位置関係を変えることで外周から内周に記録することもできる。また、実線は既に記録されている記録マーク列を示しており、点線は本実施例の記録を行ったときの記録マーク列を示している。
【0050】
本実施例は、メインビームと少なくとも2つのサブビームがあり、ディスク上において2つのサブビームはメインビーム対し、ディスク内周側または外周側にあり、2つのサブビームの中心はメインビーム対し、少なくとも半径方向の記録マーク間距離の半分、内周側または外周側にあり、その2つのサブビームの差分求めることでトラッキング誤差信号が検出できる。このため、本ピックアップ装置は記録したマーク列にトラッキング制御して記録するため、一旦記録を始めるとディスクの未記録の半径位置が存在する限り絶えず記録することが可能となっている。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いて本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。
【0051】
なお、ディスク上に予め記録マークを記録しておく作業は例えばディスク出荷時に行えば良い。そして、本実施例の球面収差補正としてコリメートレンズ51を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
【0052】
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御が行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。
本実施例のような構成とすることで、実施例1、実施例2に対し、回折格子11のディスク接線方向ずれの影響を受けない構成とすることができる。また、スポット20aの多層ディスクの迷光の外側となるように受光面ef、受光面ghを配置することで、多層ディスクの迷光の影響を低減することも可能となる。なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。
【実施例4】
【0053】
図16は、本発明の第4の実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示している。本実施例の光ディスクは、サーボ信号検出用の層(ガイド層)と記録層に分かれた光ディスクであり、光ピックアップからはサーボ用の光ビームと記録/再生用の光ビームの2つのビームが出射される。
まず、記録層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ50からは、波長略405nmの第1の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した第1の光ビームは回折格子11に入射する。図2は、回折格子11のパターンを示している。回折格子11は、ディスク接線方向に対し、領域I、領域IIの上下2分割されており、入射した光ビームは、領域I、領域IIで異なる方向に回折される。なお、回折格子11の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:0:1であるとする。
【0054】
回折格子11を回折した第1の光ビームは、コリメートレンズ51により略平行光に変換される。そして、コリメートレンズ51を透過した光ビームは、ビームスプリッタ52、レンズ53、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て立上げミラー55に入射する。なお、ビームスプリッタ52は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ50から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射された光ビームを効率良く反射する特性を有している。また、ダイクロイックプリズム74は、波長選択性があり、本実施例では、半導体レーザ50を出射した第1の光ビームを反射し、半導体レーザ60を出射した第2の光ビームを透過する特性を有するプリズムとなっている。
ここで、レンズ53は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層のディスク表面から記録層(基板厚さ)の違いから発生する球面収差を補正することが可能となる。
【0055】
そして、立上げミラー55で反射された光ビームは、1/4波長板56を透過し、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により、図17に示す記録層400A上に1つのメインビームと2つのサブビームの計3つの光ビームが集光される。ここで、図中の記録層400A、記録層400B、記録層400Cは、案内溝を有さない記録層を示しており、ガイド層500は案内溝を有するガイド層を示している。
【0056】
図3は、記録マークとディスク上のスポットの関係を示したものである。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの−1次回折光はスポット20d(サブビーム)、領域IIの−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20dとスポット20eのディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20d、スポット20eの中心とスポット20aのディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。なお、本実施例ではn=0、m=1とした。
そして、記録層で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー10、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ53、ビームスプリッタ52、検出レンズ12を経て光検出器10上の受光面に入射する。検出レンズ12では非点収差が与えられるため、非点収差方式のフォーカス誤差信号が検出できる。
【0057】
図4は、光検出器10上の光ビームと受光面の関係を示したものである。なお、ディスク上と光検出器10上で同じ光ビームに関しては同じ記号で示した。ここで、図2に示す回折格子11に対して略90度回転しているのは非点収差方式を用いているためである。
ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0058】
【数8】
次にガイド層の信号を検出する光学系について説明する。半導体レーザ60から出射された波長略650nmの第2の光ビームは、コリメートレンズ61により略平行光に変換される。そして、コリメートレンズ61を透過した光ビームは、ビームスプリッタ62、レンズ63、ダイクロイックプリズム74、レンズ75を経て立上げミラー55に入射する。なお、ビームスプリッタ62は透過・反射率に偏光特性を有するプリズムであり、半導体レーザ60から出射した光ビームを効率良く透過し、ディスクから反射された光ビームを効率良く反射する特性を有している。
【0059】
ここで、レンズ63は光軸方向に駆動可能となっており、レンズ75と組み合わせることで、対物レンズに入射する発散/収束状態を変えることが可能となっている。これにより、複数の記録層とガイド層から発生する相対デフォーカスを補正することが可能となる。
そして、立上げミラー55で反射された光ビームは、1/4波長板56を透過し、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2を経て、図17に示す光ディスク上のガイド層500に集光する。ガイド層500で反射された光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立上げミラー55、レンズ75、ダイクロイックプリズム74、レンズ63、ビームスプリッタ62を経て、検出レンズ64に入射する。検出レンズ64では、光ビームに非点収差が与えられ、検出器65で検出することで非点収差方式によるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号が検出される。
【0060】
ここで、本実施例の情報記録方法を説明する。
図18は、情報記録方法の手順を示したフロー図である。まず、ディスクを駆動し、半導体レーザ50(第1の光ビーム)、半導体レーザ60(第2の光ビーム)を点灯する(S1)。次に第1の光ビームを用いて対物レンズ2を光軸方向に駆動し、記録層にフォーカス制御する(S2)。そして、第2の光ビームを用いてレンズ63を光軸方向に駆動し、ガイド層にフォーカス制御し、対物レンズ2を半径方向に駆動し、ガイド層のガイドトラックにトラッキング制御する(S3)。次に、第1の光ビームを用いてディスクの記録層の所定領域を用いて記録パワーや、レンズ53による球面収差補正や、デフォーカス、対物レンズの傾き等の記録条件最適化を行う(S4)。そして、ディスクの記録層の所定領域に移動し、記録最適条件の下、数トラックの記録を行う(S5)。次に、半導体レーザ60(第2の光ビーム)を消灯し(S6)、対物レンズ2を光軸方向に駆動して第1の光ビームを記録層にフォーカス制御し、対物レンズ2を半径方向に駆動して第1の光ビームを記録層の記録マーク列にトラッキング制御する(S7)。この状態で、記録を行う(S8)。
【0061】
本実施例では、既に記録されたマーク列を使ってサーボ信号を生成することができるため、S5の動作で記録マーク列を形成すれば、それを用いて記録し続けることが可能となる。なお、基本的なトラッキング誤差信号検出方法は実施例1と同様である。
このような本実施例の光ピックアップ装置を用いた光ディスク装置で本実施例の情報記録方法を実施することで、光ディスクの構造を単純化することが可能となるため、多層ディスクのコストが大幅に低減可能となる。本実施例は、ディスク上に予め記録マークを記録しておく必要がなく、案内溝を有するガイド層を少なくとも1層有していれば良い点が実施例1〜3とは異なる。
【0062】
ここで、本実施例では3つのスポットを用いていたため、内周から外周または外周から内周の一方向の記録しか対応できないが、例えばガイド層を2層構成とし、螺旋構造を2つの層で互いに反対にして、回折格子11の回折効率を0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=10:1:1として、図7に示すようにディスク上に5つのビームを配置すれば両方向の記録が可能となる。なお、回折格子11の0次回折光はスポット20a(メインビーム)、領域Iの+1次回折光はスポット20b(サブビーム)、−1次回折光がスポット20d(サブビーム)、領域IIの+1次回折光はスポット20c(サブビーム)、−1次回折光はスポット20e(サブビーム)を示している。ここで、半径方向の記録マーク間距離をTとするとスポット20bとスポット20c(スポット20dとスポット20e)のディスク半径方向の間隔D1は(n+1/2)T(nは0以上の整数)で示される。また、スポット20aとスポット20b、スポット20cの中心(スポット20aとスポット20d、スポット20eの中心)のディスク半径方向の間隔D2は(m+1)T/2(mは0以上の整数)で示される。
【0063】
そして、図8に示す受光部を用いて信号を検出すれば良い。ここで、回折格子11の0次回折光20aは4分割受光面領域a、領域b、領域c、領域dに入射し、+1次回折光20b、20cは2分割受光面領域e、領域fに入射し、−1次回折光20d、20eは2分割受光面領域g、領域hに入射する。そして、領域a、領域b、領域c、領域d、領域e、領域f、領域g、領域hから得られたA、B、C、D、E、F、G、Hの信号を以下の演算によりフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、RF信号を生成する。
【0064】
【数9】
なお、ここでは、内周から外周に記録する場合を示したものである。例えば外周から内周に記録する場合には、以下の演算をすれば良い。
【0065】
【数10】
以上のようにすると、内周から外周、外周から内周の記録に対応することが可能となる。
そして、本実施例の球面収差補正としてレンズ53を光軸方向に駆動したが球面収差補正方法については限定されなく、例えばビームエキスパンダを光学系に組み入れても良い。また、本実施例のフォーカス誤差信号検出方式としては非点収差方式で説明を行ったが、それには限定されず例えばナイフエッジ方式やスポットサイズ方式などのフォーカス誤差信号検出方式と組み合わせても良い。また、半導体レーザの波長や対物レンズの開口数は本実施例には限定されない。
【0066】
さらに、本発明では図2の回折格子で説明を行ったがこれには限定されず、ディスク上に3つまたは5つのビームを配置し、スポット間隔D1、D2を満たしていれば同様の効果が得られる。
そして、本実施例では、1つ内周側の記録マークに沿ってトラッキング制御が行うことを説明したがこれには限定されず、それ以上内周側であっても良く、それに対応した記録マークをディスク上に予め記録しておけば良い。その場合にはmを変えれば良い。
また、記録は、内周から外周方向に記録しても良いし、外周から内周に記録しても良い。さらに、本実施例は実施例1と同じディスク上のスポット配置であったが実施例2、実施例3のようなディスク上のスポット配置であっても良い。その場合には、ディスク上のスポット配置と同時に検出方法、信号演算方法を実施例2、実施例3と同様にすれば良い。
なお、本実施例は記録時のトラッキング誤差信号検出方法について説明したが、再生時の場合には、本実施例の検出方法を用いても良いし、メインビームを用いてDPD信号でトラッキング制御しても良い。また、記録時に第2の光ビームをガイド層に照射し、ガイドトラックを用いて回転の同期信号を検出しても良い。これによりディスク回転に同期した安定した記録が行える。また本実施例では、記録層は3層(400A、400B、400C)の例を示したがこれには限定されない。
【実施例5】
【0067】
実施例5では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的再生装置について説明する。
図19は、光学的再生装置の概略構成である。光ピックアップ装置170は、光ディスク100の半径方向に沿って駆動できる機構が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御される。
レーザ点灯回路177からは所定のレーザ駆動電流が光ピックアップ装置170内の半導体レーザに供給され、半導体レーザからは再生動作をする際に所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は光ピックアップ装置170内に組み込むこともできる。
【0068】
光ピックアップ装置170内の光検出器10から出力された信号は、サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では前記光検出器10からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置170内のアクチュエータを駆動して、対物レンズの位置制御がなされる。また、サーボ信号生成回路174では、内周から外周へ記録する場合と外周から内周へ記録する場合にトラッキング誤差信号の演算を変更する機能を有している。
前記情報信号再生回路175では、前記光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。
【0069】
前記サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175で得られた信号の一部はコントロール回路176に送られる。このコントロール回路176にはスピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179などが接続され、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向およびアクセス位置の制御、対物レンズのサーボ制御、光ピックアップ装置170内の半導体レーザ発光光量の制御、ディスク基板厚さの違いによる球面収差の補正などが行われる。
【実施例6】
【0070】
実施例6では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的記録再生装置について説明する。
図20は、光学的記録再生装置の概略構成である。この装置で前記図19で説明した光学的情報記録再生装置と相違する点は、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間に情報信号記録回路178を設け、情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいてレーザ点灯回路177の点灯制御を行って、光ディスク100へ所望の情報を書き込む機能が付加されている点である。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換えをすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
2:対物レンズ、5:アクチュエータ、10:光検出器、11:回折格子、12:検出レンズ、50:半導体レーザ、51:コリメートレンズ、52:ビームスプリッタ、53:レンズ、55:立上げミラー、56:1/4波長板、60:半導体レーザ、61:コリメートレンズ、62:ビームスプリッタ、63:レンズ、74:ダイクロイックプリズム、75:レンズ、170:光ピックアップ装置、171:スピンドルモータ駆動回路、172:アクセス制御回路、173:アクチュエータ駆動回路、174:サーボ信号生成回路、175:情報信号再生回路、176:コントロール回路、177:レーザ点灯回路、178:情報記録回路、179:球面収差補正素子駆動回路、180:スピンドルモータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム及び第二のサブビームである3つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも3つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも3つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記少なくも3つの光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側または外周側のいずれか一方に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号を用いて、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号は、前記第一のサブビームを検出した第一の検出信号と前記第二のサブビームを検出した第二の検出信号の差分を求めることにより生成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビーム、第三のサブビーム及び第四のサブビームである5つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも5つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも5つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第三のサブビームの光スポットと第四のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの外周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれか一方を用いて、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号は、前記第一のサブビームを検出した第一の検出信号と前記第二のサブビームを検出した第二の検出信号の差分、または、前記第三のサブビームを検出した第三の検出信号と前記第四のサブビームを検出した第四の検出信号の差分を求めて生成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔、および、前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔、および、
前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が
略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置が前記光ディスクの内周側から外周側に向かって走査する場合には、
前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号から前記トラッキング誤差信号を生成し、
前記光ピックアップ装置が前記光ディスクの外周側から内周側に向かって走査する場合には、
前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号から前記トラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項8】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置は、これを搭載する光ディスク装置から前記光ディスクの半径方向における走査方向を指示するための制御信号を供給され、
該制御信号に基づき、前記光ディスク装置に供給するトラッキング誤差信号に関し、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のうち、いずれを用いて生成するかを決定することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビーム、第三のサブビーム及び第四のサブビームである5つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも5つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも5つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第三のサブビームの光スポットと第四のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの外周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれかを、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成するための信号として出力することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔、および、前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔、および、
前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が
略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置が前記光ディスクの内周側から外周側に向かって走査する場合には、
前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号を、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として出力し、
前記光ピックアップ装置が前記光ディスクの外周側から内周側に向かって走査する場合には、
前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号を、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として出力することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置は、これを搭載する光ディスク装置から前記光ディスクの半径方向における走査方向を指示するための制御信号を供給され、
前記制御信号に基づき、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれを、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として前記光ディスク装置に出力するかを決定することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項13】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビームである3つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも3つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも3つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記メインビームの光スポットが前記光ディスクの未記録領域を走査して信号を記録する際は、前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットは、双方とも前記光ディスクの記録済領域を走査することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項14】
請求項1、請求項4、請求項9または請求項13のいずれか1項記載の光ピックアップ装置において、
前記分岐素子は少なくとも2つの領域に分割された回折格子であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項15】
請求項9または請求項13記載の光ピックアップ装置と、
該光ピックアップ装置が含む前記レーザ光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置が含む前記光検出器で検出された検出信号を用いてフォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
前記光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項16】
請求項9または請求項13記載の光ピックアップ装置と、
該光ピックアップ装置が含む前記レーザ光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置が含む前記光検出器で検出された検出信号を用いてフォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
前記光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路を有し、
前記光ピックアップ装置の前記光ディスクの半径方向における走査方向に応じてトラッキング誤差信号の演算方法を切り替えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項17】
記録媒体である光ディスクに対する情報記録方法であって、
前記光ディスクに少なくとも第一のスポット、第二のスポットおよび第三のスポットを含む複数の光スポットを照射し、
前記第二のスポットと第三のスポットを用いて前記光ディスク上をトラッキング制御し、前記第一のスポットを用いて情報を記録するための記録マークを形成することを特徴とする情報記録方法。
【請求項1】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム及び第二のサブビームである3つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも3つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも3つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記少なくも3つの光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側または外周側のいずれか一方に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号を用いて、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号は、前記第一のサブビームを検出した第一の検出信号と前記第二のサブビームを検出した第二の検出信号の差分を求めることにより生成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビーム、第三のサブビーム及び第四のサブビームである5つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも5つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも5つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第三のサブビームの光スポットと第四のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの外周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれか一方を用いて、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号は、前記第一のサブビームを検出した第一の検出信号と前記第二のサブビームを検出した第二の検出信号の差分、または、前記第三のサブビームを検出した第三の検出信号と前記第四のサブビームを検出した第四の検出信号の差分を求めて生成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔、および、前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔、および、
前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が
略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置が前記光ディスクの内周側から外周側に向かって走査する場合には、
前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号から前記トラッキング誤差信号を生成し、
前記光ピックアップ装置が前記光ディスクの外周側から内周側に向かって走査する場合には、
前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号から前記トラッキング誤差信号を生成することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項8】
請求項4記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置は、これを搭載する光ディスク装置から前記光ディスクの半径方向における走査方向を指示するための制御信号を供給され、
該制御信号に基づき、前記光ディスク装置に供給するトラッキング誤差信号に関し、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のうち、いずれを用いて生成するかを決定することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む記録マークに基づき信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビーム、第三のサブビーム及び第四のサブビームである5つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも5つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも5つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第一のサブビームの光スポットと第二のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの内周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光ディスク上のメインビームの光スポットに対して第三のサブビームの光スポットと第四のサブビームの光スポットを、双方とも光ディスクの外周側に位置するよう前記光ディスクに照射し、
前記光検出器において、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれかを、前記光スポットが前記光ディスクを走査するためのトラッキング誤差信号を生成するための信号として出力することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
前記記録マーク間の光ディスクの半径方向における距離をTとし、n、mを0以上の整数とした際に、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの間隔、および、前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの間隔が略(n+1/2)Tであり、
光ディスクの半径方向における前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔、および、
前記第三のサブビームの光スポットと前記第四のサブビームの光スポットの中心と、前記メインビームの光スポットとの間隔が
略(m+1)T/2であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置が前記光ディスクの内周側から外周側に向かって走査する場合には、
前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号を、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として出力し、
前記光ピックアップ装置が前記光ディスクの外周側から内周側に向かって走査する場合には、
前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号を、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として出力することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
請求項9記載の光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置は、これを搭載する光ディスク装置から前記光ディスクの半径方向における走査方向を指示するための制御信号を供給され、
前記制御信号に基づき、前記第一のサブビームと前記第二のサブビームを検出した検出信号、または、前記第三のサブビームと前記第四のサブビームを検出した検出信号のいずれを、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号として前記光ディスク装置に出力するかを決定することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項13】
記録媒体である光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクが含む信号を検出する光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射された前記光ビームを少なくともメインビーム、第一のサブビーム、第二のサブビームである3つの光ビームに分岐する分岐素子と、
該分岐素子で分岐された前記少なくも3つの光ビームを集光して前記光ディスク上に少なくとも3つの光スポットを形成するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射された前記光ビームを検出して検出信号を生成する光検出器
を備え、
前記メインビームの光スポットが前記光ディスクの未記録領域を走査して信号を記録する際は、前記第一のサブビームの光スポットと前記第二のサブビームの光スポットは、双方とも前記光ディスクの記録済領域を走査することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項14】
請求項1、請求項4、請求項9または請求項13のいずれか1項記載の光ピックアップ装置において、
前記分岐素子は少なくとも2つの領域に分割された回折格子であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項15】
請求項9または請求項13記載の光ピックアップ装置と、
該光ピックアップ装置が含む前記レーザ光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置が含む前記光検出器で検出された検出信号を用いてフォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
前記光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項16】
請求項9または請求項13記載の光ピックアップ装置と、
該光ピックアップ装置が含む前記レーザ光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置が含む前記光検出器で検出された検出信号を用いてフォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
前記光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路を有し、
前記光ピックアップ装置の前記光ディスクの半径方向における走査方向に応じてトラッキング誤差信号の演算方法を切り替えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項17】
記録媒体である光ディスクに対する情報記録方法であって、
前記光ディスクに少なくとも第一のスポット、第二のスポットおよび第三のスポットを含む複数の光スポットを照射し、
前記第二のスポットと第三のスポットを用いて前記光ディスク上をトラッキング制御し、前記第一のスポットを用いて情報を記録するための記録マークを形成することを特徴とする情報記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−12272(P2013−12272A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144327(P2011−144327)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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