光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置
【課題】複数の情報記録面を有する情報記録媒体に情報の記録/再生を行う際に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型化及び低コスト化を実現可能な光ピックアップ装置及びこれを搭載した光ディスク装置を提供する。
【解決手段】半導体レーザ50と、半導体レーザ50から出射された光ビームを集光して光ディスク100に照射する対物レンズ2と、光ディスク100で反射した光ビームを分割する複数の領域を有するホログラム素子11と、ホログラム素子11により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器10と、半導体レーザ50から対物レンズ2までの光路と対物レンズ2から光検出器10までの光路を分岐する分岐ミラー52と、を備え、ホログラム素子11は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加する。
【解決手段】半導体レーザ50と、半導体レーザ50から出射された光ビームを集光して光ディスク100に照射する対物レンズ2と、光ディスク100で反射した光ビームを分割する複数の領域を有するホログラム素子11と、ホログラム素子11により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器10と、半導体レーザ50から対物レンズ2までの光路と対物レンズ2から光検出器10までの光路を分岐する分岐ミラー52と、を備え、ホログラム素子11は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3層以上の多層光ディスクの記録再生において安定したトラッキング制御を実現する様々な光ピックアップ装置が紹介されている。例えば、情報記録媒体で反射回折された光ビームの一部を回折する回折光学系と、前記回折光学系で回折された光ビームと前記回折光学系で回折されずに透過した光ビームとを受光する光検出器と、を有し、前記回折光学系は、第1の方向に伸びる第1の分割線及び第2の分割線と、前記第1の方向に交わる第2の方向に伸びる第3の分割線及び第4の分割線とにより複数の領域に分割され、前記第1の分割線及び前記第2の分割線の外側の領域を第1のサブ領域及び第2のサブ領域とし、前記第3の分割線及び前記第4の分割線の外側の領域を第1のメイン領域及び第2のメイン領域とし、前記光検出器は、前記回折光学系で回折されずに透過した光ビームを受光する0次光受光部群と、前記第1のメイン領域及び前記第2のメイン領域によって回折された光ビームを受光するメイン領域受光部群と、前記第1のサブ領域及び前記第2のサブ領域によって回折された光ビームを受光するサブ領域受光部群とを有し、前記情報記録媒体は複数の情報層を有し、前記メイン領域受光部群の各受光部は、前記複数の情報層のうちの前記光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、前記第3の分割線及び前記第4の分割線が前記光検出器上に投影された各投影線の間に配置され、前記サブ領域受光部群の各受光部は、前記複数の情報層のうちの前記光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、前記第1の分割線及び前記第2の分割線が前記光検出器上に投影された各投影線の間に配置された光ヘッド装置(光ピックアップ装置)が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、多層光ディスクの記録再生においてフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号ともに他層からの迷光の影響を受けず、安定したサーボ信号を得ることができる光学ピックアップ装置として、例えば、多層光ディスクからの反射光を複数の領域に分割し、分割された光束が光検出器上の異なる位置に焦点を結ぶと共に、分割された光束を複数個用いてナイフエッジ法によりフォーカス誤差信号を検出し、分割された光束を複数個用いてトラッキング誤差信号を検出し、さらに目的の層に焦点が合っているときには他層からの迷光が光検出器のサーボ信号用の受光面に入らないように光束の分割領域と受光面を配置した光ピックアップ装置が紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135151号公報
【特許文献2】特開2009−170060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光ピックアップ装置は、一般に光ディスク内にある所定のトラック上に正しくスポットを照射するため、フォーカス誤差信号の検出により対物レンズをフォーカス方向に変位させてフォーカス制御が行われる他、トラッキング誤差信号を検出して対物レンズをディスク半径方向(Rad方向)へ変位させてトラッキング制御が行われる。即ち、これらの信号により対物レンズの位置制御が行われる。
【0006】
前記信号のうち、トラッキング誤差信号については、光ディスクが、2層以上の記録層から構成される多層ディスクとなることで大きな解決すべき課題がある。即ち、多層ディスクでは、目的の記録層を反射した信号光の他に目的でない複数の記録層を反射した迷光が同じ受光部上に入射するが、受光部上に信号光と迷光が入射すると、2つ以上の光ビームが干渉し、その変動成分がトラッキング誤差信号に検出されてしまうのである。
【0007】
この解決すべき課題に対し、特許文献1では、フォーカス誤差信号検出用光受光部の周囲に生じる多層からの迷光の外側にトラッキング誤差信号検出用受光部を配置している。そして、ホログラム素子に入射した光ビームのうち、ディスク半径方向(Rad方向)の領域は、ディスク接線方向(Tan方向)に回折し、Tan方向の領域は、Rad方向に回折している。これにより、特許文献1では、迷光を回避することができ、安定したトラッキング誤差信号を検出している。しかしながら、特許文献1のように多層からの迷光の外側でかつ、Tan方向とRad方向に受光部を配置すると、光検出器のサイズが大きくなってしまうため、光検出器のコストや光ピックアップ装置の小型化に対して未だ解決すべき課題が残る。
【0008】
また、特許文献2では特許文献1とは異なり、トラッキング誤差信号検出用受光部の外側に迷光を回避する構成としているため、特許文献1よりも大幅に検出器を小さくできる特徴がある。しかしながら、特許文献2においてもレーザを出射した光ビームが光ディスクまで到達する往路と光ディスクを反射して光検出器まで到達する復路を分岐する分岐素子について低コスト化が困難であるという課題がある。
【0009】
ここで、一般的な分岐素子としてプリズムやミラーが使用されているが、コストの観点からはミラーを使うことが望ましいが、傾いた平板(ミラー)を収束光が透過すると、非点収差及びコマ収差が発生してしまうという課題がある。
【0010】
特許文献1の場合には、0次回折光と+1次回折光(または−1次回折光)しか検出しないため、ホログラム素子により非点収差やコマ収差を補正することが可能となっている。しかしながら、特許文献2の場合には、±1次回折光の両方を検出しているため、特許文献1のような補正方法では+1次回折光もしくは−1次回折光のどちらかしか補正できず、少なくとも片方の回折光には、収差が増加してしまう。このため、安定した信号を検出する観点から特許文献2の場合の分岐素子はプリズムを使うことが望ましく、特許文献2においても低コスト化が困難であるという課題がある。
【0011】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に情報の記録/再生を行う際に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型化及び低コスト化を実現可能な光ピックアップ装置及びこれを搭載した光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明は、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する光源と、前記光源から出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクで反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器と、前記光源から対物レンズまでの光路と対物レンズから光検出器までの光路を分岐するミラーと、を備え、前記回折素子は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加することを特徴とする光ピックアップ装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に情報の記録/再生を行う際に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型化及び低コスト化を実現可能である光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置と光ディスクの配置を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系を説明する概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の信号光と迷光の関係を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的再生装置)を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的記録再生装置)を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。また、各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る光ピックアップ装置と光ディスクの配置を説明する図である。図1に示すように、光ピックアップ装置1は、駆動機構7によって光ディスク100の半径方向(以下、「Rad方向」という)に駆動することができるように構成されている。また、光ピックアップ装置1上に配設されたアクチュエータ5には対物レンズ2が搭載されており、この対物レンズ2から光ディスク100上に光が照射されるようになっている。対物レンズ2から出射した光は、光ディスク100上にスポットを形成し、光ディスク100によって反射される。そして、この反射光を検出することでフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が生成されるようになっている。
【0017】
なお、光ディスク100の層には、記録型光ディスクにおける記録層や、再生専用の光ディスクの再生層が含まれている。
【0018】
図2は、図1に示す光ピックアップ装置1の光学系を説明する概略図である。ここではBD(Blu−ray Disc)について説明するが、DVD(Digital Versatile Disc)や他の記録方式であってもなんら構わない。図2に示すように、光ピックアップ装置1の光学系は、半導体レーザ50と、半導体レーザ50から出射された光ビームが入射する位置に配置された分岐ミラー52と、分岐ミラー52で反射した光ビームが入射する位置に配置されたコリメートレンズ51と、コリメートレンズ51から出射した光ビームが入射する位置に配置された立ち上げミラー55と、立ち上げミラー55から出射した光ビームが入射する位置に配置された1/4波長板56と、1/4波長板56から出射した光ビームが入射する位置に配置された対物レンズ2と、対物レンズ2を搭載するアクチュエータ5と、分岐ミラー52を透過した光ビームが入射するフロントモニタ53と、分岐ミラー52を挟んでコリメートレンズ51と反対側に配置されたホログラム素子11と、ホログラム素子11から出射した光ビームが入射する位置に配置された光検出器10と、を備えて構成されている。
【0019】
半導体レーザ50からは、波長約405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した光ビームは分岐ミラー52で反射し、コリメートレンズ51に入射する。なお一部の光ビームは、分岐ミラー52を透過しフロントモニタ53に入射する。一般的にBD−RE、BD−R等の記録型の光ディスク100に情報を記録する場合には、光ディスク100の記録面に所定の光量を照射させるため、半導体レーザ50の光量を高精度に制御する必要がある。このため、フロントモニタ53は記録型の光ディスク100に信号を記録する際に、半導体レーザ50の光量の変化を検出し、半導体レーザ50の駆動回路(図示せず)にフィードバックされる。これにより光ディスク100上の光量をモニタすることが可能となる。
【0020】
コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動することで、対物レンズ2に入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立ち上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に集光される。
【0021】
光ディスク100を反射した光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立ち上げミラー55、コリメートレンズ51、分岐ミラー52を経て、ホログラム素子11に入射する。このとき、光ビームはホログラム素子11により複数の領域に分割されて、領域ごとにそれぞれ異なった方向に進行し、光検出器10に入射する。
【0022】
図3は、ホログラム素子11を示す概略図である。図3において、実線は領域の境界線を示し、2点鎖線はレーザ光の光ビームの外形を示し、斜線部は光ディスクのトラックによって回折された0次回折光と±1次回折光の干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。また、図4は、光検出器10の受光部配置を示す概略図であり、図4における黒点は、信号光を示している。
【0023】
図3に示すように、ホログラム素子11は、光ディスク100上のトラックを回折した0次回折光のみが入射する領域De、Df、Dg、Dhからなる領域Aと、0次回折光、±1次回折光が入射する領域Da、Db、Dc、Ddからなる領域Bと、ホログラム素子11の略中心を含む領域Diからなる領域Cで形成されている。ホログラム素子11の回折効率は、例えば、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)と、領域C(領域Di)では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:1:0
それ以外の領域では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:7:3
であるとする。また、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の+1次回折光の収差が小さくなるよう領域Bでは、少なくとも非点収差が与えられている。
【0024】
光検出器10は、複数の受光部が形成されており、それぞれの受光部にはホログラム素子11によって分割された光ビームが照射される。具体的には、光検出器10は、図4に示すように、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されている。そして、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0025】
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。なお、実施形態1では、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、以下の数1に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0026】
(数1)
FES=(RE+UG+UF+RH)−(SE+TG+TF+SH)
TES={(A1+B1)−(C1+D1)}−kt×{(E1+F1)−(G1+H1)}
RF=A1+B1+C1+D1+E1+F1+G1+H1+I1
【0027】
なお、ktは、対物レンズ2が変位した際にトラッキング誤差信号にDC成分を発生させないようにする係数である。
【0028】
実施形態1の検出方式は、前述した特許文献2と同様に、多層ディスクに対し情報を記録/再生したときの迷光を受光部に入射させない構成とすることで、多層ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0029】
また、実施形態1の迷光回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域が、ディスク接線方向(以下、「Tan方向」という)に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図4に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0030】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B:即ち、領域Da、Db、Dc、Dd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図4に示すように、領域Bを回折した光ビームを検出する受光部a1、b1、c1、d1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0031】
なお、実施形態1では、収束光が分岐ミラー52を透過するため、特許文献2に係る発明とは異なり、分岐ミラー52により迷光に非点収差及びコマ収差が発生するが、迷光はデフォーカス量及び球面収差量が大きいため、それらの収差は影響しない。
【0032】
ここで、従来技術では、実施形態1で用いた分岐ミラー52の代わりにプリズムを使用している。プリズムがミラーよりも高価であるにも関わらず、プリズムを使用している理由は、プリズムをミラーに置き換えると、デフォーカス特性劣化が生じるからである。なお、ここでは、デフォーカス特性劣化を生じさせる原因に対し影響が大きい非点収差について説明する。
【0033】
一般的に非点収差が与えられた光ビームには、所定の方向とそれに対して垂直方向の収束するデフォーカス量が異なる特徴がある。そして、無収差のときに比べ非点収差が与えられることで、スポット径が大きくなってしまう特徴がある。このため、非点収差が与えられると光ビームがデフォーカスに対して、受光部からはみだし易くなってしまい、デフォーカス特性が劣化する。
【0034】
これに対し、例えばデフォーカス特性を改善するために、特許文献1に係る発明のようにホログラム素子に非点収差を与えることで、受光部に入射する光ビームの非点収差を抑制することも可能である。ただし、実施形態1のように±1次回折光を用いるような検出方式の場合、原理的にホログラム素子の+1次回折光もしくは−1次回折光のどちらかしか補正できず、少なくとも片方の回折光には、収差が増加してしまう。
【0035】
また、デフォーカス特性を改善するために、受光部を大きくすることも考えられる。図5は、受光部と迷光の関係を示したものであり、(a)は領域Dhを回折した光ビームを検出する受光部h1と迷光の関係を示し、(b)は領域Ddを回折した光ビームを検出する受光部d1と迷光の関係を示している。なお、図5の実線は受光部h1及びd1を各々示しており、斜線部は迷光を示している。また、矢印は対物レンズ2がRad方向に変位したときの迷光の変位方向を示している。
【0036】
ここで、図5(a)の場合には、初期的に迷光を回避していれば対物レンズ2が変位しても迷光は受光部h1に入射しないため、図中点線で示すように、受光部h1をTan方向、Rad方向にある程度大きくすることができる。これに対し、図5(b)の場合には、初期的に迷光を回避していても対物レンズ2の変位によって迷光が受光部d1に入射してしまうため、図中点線で示すように、受光部d1をTan方向に大きくすることができるが、Rad方向に大きくすることができない。このため、受光部e1、f1、g1、h1を検出した信号に対し、受光部a1、b1、c1、d1を検出した信号は、デフォーカス特性を改善することができないのである。さらに、光ピックアップ装置の製造上の観点から、光検出器10の調整ずれが発生するとデフォーカス特性がさらに劣化してしまう課題がある。
【0037】
したがって、特許文献2に係る発明のような構成においてプリズムから分岐ミラー52に置き換えてしまうと、デフォーカス特性が劣化してしまう課題がある。さらに、実施形態1では非点収差について説明したが、実際にはコマ収差も発生することからデフォーカス特性はさらに劣化してしまう。
【0038】
そこで、実施形態1では、収差に伴うデフォーカス特性劣化を改善するためにホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の回折光からフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出し、領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の回折光には、少なくとも非点収差を与え、+1次回折光のみを検出することにした。
【0039】
この実施形態1に係る構成では、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11の領域Bに入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11の領域Bの−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11の領域Aの±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出するようにした。
【0040】
なお、ホログラム素子11領域Aの±1次回折光には、分岐ミラー52によって非点収差及びコマ収差が与えられるが、トラッキング誤差信号に関しては受光部を大きくすることでデフォーカス特性を改善することが可能であり、フォーカス誤差信号に関しては、非点収差に依ってフォーカス誤差信号の非対称性が発生するが、デフォーカスは発生しないため実用上問題とはならない。
【0041】
以上から、実施形態1に係る構成では、プリズムの代わりに安価な分岐ミラー52を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置1を提供することができる。
【0042】
なお、実施形態1では、ホログラム素子11として、図3に示す構成のものを使用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)に示すようなパターンであっても同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、実施形態1では、光ディスク100で反射して分岐ミラー52を透過した光ビームが入射する位置にホログラム素子11を配置した場合について説明したが、これに限らず、例えば、ホログラム素子11を偏光ホログラム素子とし、光ディスク100で反射した光ビームが分岐ミラー52を透過する前に入射する位置に配置しても同様の効果を得ることができる。なお、球面収差補正方法については、特に限定されるものではない。
【0044】
そしてまた、実施形態1では、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の+1次回折光を検出したが、実施形態1では、Tan方向に並ぶ受光部a1、b1、c1、d1に入射する回折光の収差を補正することで多層ディスク(光ディスク100)の迷光を回避すると共に、デフォーカスしても安定した信号を検出できる構成としているため、+1次回折光には限定されず、収差を補正可能であれば−1次回折光であってもよいし、他の次数の回折光であってもよい。また、実施形態1で説明した回折効率は一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
さらにまた、実施形態1では、BDのような単独の記録システムを例にとって説明を行ったが、これに限らず、例えば、DVDやCD等の他の記録システムと組み合わせても良いことは勿論である。
【0046】
また、ホログラム素子11の領域A、領域Bについてはこれに限定されず、領域Aはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であればよく、領域Bはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であればよい。そしてまた、ホログラム素子11の領域A、領域Bの分割方法についても、実施形態1に限定されるものではない。なお、領域Cについては収差を与えてもよい。
【0047】
また、実施形態1では、光源として半導体レーザ50を用いたが、これに限定されるものではなく、光ピックアップ装置の光源として使用可能であれば、他の構成の光源を用いてもよいことは勿論である。
【0048】
そしてまた、実施形態1では、回折素子としてホログラム素子11を用いたが、これに限らず、光ピックアップ装置において、光ディスク100で反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子であれば、ホログラム素子11に限定されるものではない。
【0049】
次に、実施形態1に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的再生装置)について図面を参照して説明する。
【0050】
図7は、実施形態1に係る光ディスク装置(光学的再生装置)を説明する図である。図7に示すように、光ディスク装置170Aは、実施形態1に係る光ピックアップ装置1と、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180と、スピンドルモータ180に接続されたスピンドルモータ駆動回路171と、光ピックアップ装置1に接続されたアクセス制御回路172、アクチュエータ駆動回路173、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179と、スピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179が接続されたコントロール回路176と、を備えて構成されている。
【0051】
光ピックアップ装置1には、光ディスク100のRad方向に沿って駆動できる駆動機構7が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御がなされるようになっている。光ピックアップ装置1内に配置されている半導体レーザ50には、レーザ点灯回路177から所定のレーザ駆動電流が供給され、この半導体レーザ50からは、情報の再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は、光ピックアップ装置1内に組み込むこともできる。
【0052】
光ピックアップ装置1内の光検出器10から出力された信号は、サーボ信号生成回路174及び情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では、光検出器10からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号等のサーボ信号が生成され、これらの信号を基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置1内のアクチュエータ5を駆動して、対物レンズ2の位置制御がなされる。また、情報信号再生回路175では、光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。そしてまた、サーボ信号生成回路174及び情報信号再生回路175で得られた信号の一部は、コントロール回路176に送られる。
【0053】
このコントロール回路176は、前述したように、スピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179が接続されており、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向及びアクセス位置の制御、対物レンズ2のサーボ制御、光ピックアップ装置1内の半導体レーザ50の発光光量の制御、光ディスク100の厚さの違いによる球面収差の補正等を行うようになっている。
【0054】
なお、実施形態1では、図7に示すように、光学的に情報の再生のみを行う光ディスク装置170Aについて説明したが、これに限らず、本発明に係る光ディスク装置は、図8に示すように、光学的に情報の記録及び再生を行う光ディスク装置170Bであってもよい。
【0055】
図8に示すように、光ディスク装置170Bは、実施形態1に係る光ディスク装置170Aに、情報信号記録回路178を付加した構成を備えている。具体的には、光ディスク装置170Bは、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間に情報信号記録回路178が配設されており、情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいて、レーザ点灯回路177の点灯制御を行い、光ディスク100へ所望の情報を書き込むことができるようになっている。
【0056】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る光ピックアップ装置について図面を参照して説明する。
【0057】
図9は、本発明の実施形態2に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図、図10は、図9に示す光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図であり、図10における黒点は、信号光を示している。なお、実施形態2では、実施形態1で説明した光ピックアップ装置と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
実施形態2に係る光ピックアップ装置の、実施形態1に係る光ピックアップ装置と異なる主な点は、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Daと領域Dbが、実施形態2では、図9及び図10に示すように、一つの領域である領域Dabとなり、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Dcと領域Ddが、実施形態2では、一つの領域である領域Dcdとなり、それに伴って実施形態1の受光部a1と受光部b1が、実施形態2では、受光部ab1となり、実施形態1に係る受光部c1と受光部d1が、実施形態2では、受光部cd1となっていることである。
【0059】
具体的には、図9において実線は領域の境界線を示し、2点鎖線はレーザ光の光ビームの外形を示し、斜線部は光ディスク100のトラックによって回折された0次回折光と±1次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。ホログラム素子11は、光ディスク100上のトラックを回折した回折光の0次回折光のみが入射する領域A(領域De、Df、Dg、Dh)と、回折光の0次回折光、±1次回折光が入射する領域B’(領域Dab、Dcd)と、ホログラム素子11の略中心を含む領域C(領域Di)とで形成されている。
【0060】
ホログラム素子11の回折効率は、例えばホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)と、領域C(領域Di)では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:1:0
それ以外の領域は、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:7:3
であるとする。また、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の+1次回折光の収差が小さくなるようホログラム素子11により少なくとも非点収差が与えられている。
【0061】
また、光検出器10上には、図10に示すように、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されている。そして、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0062】
受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。なお、実施形態2では、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号AB1、CD1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、以下の数2に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0063】
(数2)
FES=(RE+UG+UF+RH)−(SE+TG+TF+SH)
TES={(AB1)−(CD1)}−kt×{(E1+F1)−(G1+H1)}
RF=AB1+CD1+E1+F1+G1+H1+I1
【0064】
なお、ktは、対物レンズ2が変位した際にトラッキング誤差信号にDC成分を発生させないようにする係数である。
【0065】
また、実施形態2に係る光ピックアップ装置の光学系については、実施形態1と同様である。即ち、半導体レーザ50から出射した光ビームは、実施形態1と同様の光路を経てホログラム素子11に入射する。このとき光ビームは、ホログラム素子11により複数の領域に分割されて、領域ごとにそれぞれ異なった方向に進行し、光検出器10に入射する。
【0066】
実施形態2の検出方式は、前述した特許文献2と同様に、多層ディスクに対し情報を記録/再生したときの迷光を受光部に入射させない構成とすることで、多層ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0067】
また、実施形態2では、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Daと領域Dbが領域Dabとなり、実施形態1に係る領域Dcと領域Ddが領域Dcdとり、それに伴って、実施形態1に係る受光部a1と受光部b1が受光部ab1となり、実施形態1に係る受光部c1と受光部d1が受光部cd1となっているだけなので、迷光回避方法は実施形態1と同様となっている。
【0068】
具体的には、実施形態2における迷光回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図9参照)に対してホログラム素子11の領域が、Tan方向に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図10に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0069】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図9参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B’:即ち、領域Dab、Dcd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図10に示すように、領域B’を回折した光ビームを検出する受光部ab1、cd1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0070】
なお、実施形態2も実施形態1と同様に、収束光が分岐ミラー52を透過するため、特許文献2に係る発明とは異なり、分岐ミラー52により迷光に非点収差及びコマ収差が発生するが、迷光はデフォーカス量及び球面収差量が大きいため、それらの収差は影響しない。
【0071】
ここで、実施形態2では、分岐素子としてミラー(分岐ミラー52)を搭載したことによる収差の発生に伴うデフォーカス特性劣化を改善するためにホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の回折光からフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出し、領域B’(領域Dab、Dcd)の回折光には、少なくとも非点収差を与え、+1次回折光のみを検出している。
【0072】
実施形態2に係る構成では、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)に入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出するようにした。
【0073】
なお、ホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の±1次回折光には分岐ミラー52によって非点収差及びコマ収差が与えられるが、トラッキング誤差信号に関しては受光部を大きくすることでデフォーカス特性を改善することが可能であり、フォーカス誤差信号に関しては、非点収差に依ってフォーカス誤差信号の非対称性が発生するが、デフォーカスは発生しないため実用上問題とはならない。
【0074】
以上から、実施形態2に係る構成では、分岐素子としてミラー(分岐ミラー52)を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置を提供することができる。また、実施形態2に係る構成では、ホログラム素子11の領域Dabが、実施形態1のように領域Da及び領域Dbに分割されておらず、且つ領域Dcdが、実施形態1のように領域Dc及び領域Ddに分割されていないため、領域Daと領域Dbとの境界線、領域Dcと領域Ddとの境界線の形成を考慮する必要がなく、実施形態1に比べ構造が簡単であると共に、容易に製造することが可能となる。
【0075】
なお、実施形態2では、ホログラム素子11として、図9に示す構成のものを使用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)に示すようなパターンであっても同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、実施形態2では、実施形態1と同様の位置にホログラム素子11を配置したが、これに限らず、例えば、ホログラム素子11を偏光ホログラム素子とし、光ディスク100で反射した光ビームが分岐ミラー52を透過する前に入射する位置に配置しても同様の効果を得ることができる。なお、球面収差補正方法については、特に限定されるものではない。
【0077】
そしてまた、実施形態2では、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の+1次回折光を検出したが、実施形態2では、Tan方向に並ぶ受光部a1、b1、c1、d1に入射する回折光の収差を補正することで多層ディスク(光ディスク100)の迷光を回避すると共に、デフォーカスしても安定した信号を検出できる構成としているため、+1次回折光には限定されず、収差を補正可能であれば−1次回折光であってもよいし、他の次数の回折光であってもよい。また、実施形態2で説明した回折効率は一例であり、これに限定されるものではない。
【0078】
さらにまた、実施形態2は、実施形態1と同様に、BDのような単独の記録システムの他、DVDやCD等の他の記録システムと組み合わせても良いことは勿論である。
【0079】
また、ホログラム素子11の領域A、領域B’についてはこれに限定されず、領域Aはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であればよく、領域B’はホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であればよい。そしてまた、ホログラム素子11の領域A、領域B’の分割方法についても、実施形態2に限定されるものではない。なお、領域Cについては収差を与えてもよい。
【0080】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る光ピックアップ装置について図面を参照して説明する。
【0081】
図12は、本発明の実施形態3に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図であり、図12における黒点は、信号光を示している。なお、実施形態3では、実施形態1及び2で説明した光ピックアップ装置と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
実施形態3に係る光ピックアップ装置の、実施形態1に係る光ピックアップ装置と異なる主な点は、受光部とフォーカス誤差信号検出用受光部の配置である。具体的には、光検出器10上には、図12に示すような配置で、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されており、それぞれの受光部にはホログラム素子11によって分割された光ビームが照射される。そして、実施形態1と同様に、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0083】
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。
【0084】
なお、実施形態3も実施形態1と同様に、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、前述した数1に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0085】
また、実施形態3も実施形態1と同様に、迷光の回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域が、ディスク接線方向(以下、「Tan方向」という)に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図12に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0086】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B:即ち、領域Da、Db、Dc、Dd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図12に示すように、領域Bを回折した光ビームを検出する受光部a1、b1、c1、d1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0087】
なお、実施形態3に係る構成も実施形態1に係る構成と同様に、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11領域Da、Db、Dc、Ddに入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11領域Da、Db、Dc、Ddの−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11領域De、Df、Dg、Dhの±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出している。
【0088】
したがって、プリズムの代わりに安価な分岐ミラー52を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置1を提供することができる。
【0089】
なお、本発明は上記した実施形態1〜3に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態1〜3は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成を追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…光ピックアップ装置、2…対物レンズ、5…アクチュエータ、10…光検出器、11…ホログラム素子、50…半導体レーザ、51…コリメートレンズ、52…分岐ミラー、100…光ディスク、170A、170B…光ディスク装置、171…スピンドルモータ駆動回路、172…アクセス制御回路、173…アクチュエータ駆動回路、174…サーボ信号生成回路、175…情報信号再生回路、176…コントロール回路、177…レーザ点灯回路、178…情報信号記録回路、179…球面収差補正素子駆動回路、180…スピンドルモータ、Da〜Di、Dab、Dcd…ホログラム素子の領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3層以上の多層光ディスクの記録再生において安定したトラッキング制御を実現する様々な光ピックアップ装置が紹介されている。例えば、情報記録媒体で反射回折された光ビームの一部を回折する回折光学系と、前記回折光学系で回折された光ビームと前記回折光学系で回折されずに透過した光ビームとを受光する光検出器と、を有し、前記回折光学系は、第1の方向に伸びる第1の分割線及び第2の分割線と、前記第1の方向に交わる第2の方向に伸びる第3の分割線及び第4の分割線とにより複数の領域に分割され、前記第1の分割線及び前記第2の分割線の外側の領域を第1のサブ領域及び第2のサブ領域とし、前記第3の分割線及び前記第4の分割線の外側の領域を第1のメイン領域及び第2のメイン領域とし、前記光検出器は、前記回折光学系で回折されずに透過した光ビームを受光する0次光受光部群と、前記第1のメイン領域及び前記第2のメイン領域によって回折された光ビームを受光するメイン領域受光部群と、前記第1のサブ領域及び前記第2のサブ領域によって回折された光ビームを受光するサブ領域受光部群とを有し、前記情報記録媒体は複数の情報層を有し、前記メイン領域受光部群の各受光部は、前記複数の情報層のうちの前記光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、前記第3の分割線及び前記第4の分割線が前記光検出器上に投影された各投影線の間に配置され、前記サブ領域受光部群の各受光部は、前記複数の情報層のうちの前記光ビームが集光する情報層に隣接する情報層からの迷光によって、前記第1の分割線及び前記第2の分割線が前記光検出器上に投影された各投影線の間に配置された光ヘッド装置(光ピックアップ装置)が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、多層光ディスクの記録再生においてフォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号ともに他層からの迷光の影響を受けず、安定したサーボ信号を得ることができる光学ピックアップ装置として、例えば、多層光ディスクからの反射光を複数の領域に分割し、分割された光束が光検出器上の異なる位置に焦点を結ぶと共に、分割された光束を複数個用いてナイフエッジ法によりフォーカス誤差信号を検出し、分割された光束を複数個用いてトラッキング誤差信号を検出し、さらに目的の層に焦点が合っているときには他層からの迷光が光検出器のサーボ信号用の受光面に入らないように光束の分割領域と受光面を配置した光ピックアップ装置が紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135151号公報
【特許文献2】特開2009−170060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、光ピックアップ装置は、一般に光ディスク内にある所定のトラック上に正しくスポットを照射するため、フォーカス誤差信号の検出により対物レンズをフォーカス方向に変位させてフォーカス制御が行われる他、トラッキング誤差信号を検出して対物レンズをディスク半径方向(Rad方向)へ変位させてトラッキング制御が行われる。即ち、これらの信号により対物レンズの位置制御が行われる。
【0006】
前記信号のうち、トラッキング誤差信号については、光ディスクが、2層以上の記録層から構成される多層ディスクとなることで大きな解決すべき課題がある。即ち、多層ディスクでは、目的の記録層を反射した信号光の他に目的でない複数の記録層を反射した迷光が同じ受光部上に入射するが、受光部上に信号光と迷光が入射すると、2つ以上の光ビームが干渉し、その変動成分がトラッキング誤差信号に検出されてしまうのである。
【0007】
この解決すべき課題に対し、特許文献1では、フォーカス誤差信号検出用光受光部の周囲に生じる多層からの迷光の外側にトラッキング誤差信号検出用受光部を配置している。そして、ホログラム素子に入射した光ビームのうち、ディスク半径方向(Rad方向)の領域は、ディスク接線方向(Tan方向)に回折し、Tan方向の領域は、Rad方向に回折している。これにより、特許文献1では、迷光を回避することができ、安定したトラッキング誤差信号を検出している。しかしながら、特許文献1のように多層からの迷光の外側でかつ、Tan方向とRad方向に受光部を配置すると、光検出器のサイズが大きくなってしまうため、光検出器のコストや光ピックアップ装置の小型化に対して未だ解決すべき課題が残る。
【0008】
また、特許文献2では特許文献1とは異なり、トラッキング誤差信号検出用受光部の外側に迷光を回避する構成としているため、特許文献1よりも大幅に検出器を小さくできる特徴がある。しかしながら、特許文献2においてもレーザを出射した光ビームが光ディスクまで到達する往路と光ディスクを反射して光検出器まで到達する復路を分岐する分岐素子について低コスト化が困難であるという課題がある。
【0009】
ここで、一般的な分岐素子としてプリズムやミラーが使用されているが、コストの観点からはミラーを使うことが望ましいが、傾いた平板(ミラー)を収束光が透過すると、非点収差及びコマ収差が発生してしまうという課題がある。
【0010】
特許文献1の場合には、0次回折光と+1次回折光(または−1次回折光)しか検出しないため、ホログラム素子により非点収差やコマ収差を補正することが可能となっている。しかしながら、特許文献2の場合には、±1次回折光の両方を検出しているため、特許文献1のような補正方法では+1次回折光もしくは−1次回折光のどちらかしか補正できず、少なくとも片方の回折光には、収差が増加してしまう。このため、安定した信号を検出する観点から特許文献2の場合の分岐素子はプリズムを使うことが望ましく、特許文献2においても低コスト化が困難であるという課題がある。
【0011】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に情報の記録/再生を行う際に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型化及び低コスト化を実現可能な光ピックアップ装置及びこれを搭載した光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明は、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する光源と、前記光源から出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクで反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器と、前記光源から対物レンズまでの光路と対物レンズから光検出器までの光路を分岐するミラーと、を備え、前記回折素子は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加することを特徴とする光ピックアップ装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の情報記録面を有する情報記録媒体に情報の記録/再生を行う際に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型化及び低コスト化を実現可能である光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置と光ディスクの配置を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系を説明する概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置の信号光と迷光の関係を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的再生装置)を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的記録再生装置)を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置及びこれを備えた光ディスク装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。また、各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る光ピックアップ装置と光ディスクの配置を説明する図である。図1に示すように、光ピックアップ装置1は、駆動機構7によって光ディスク100の半径方向(以下、「Rad方向」という)に駆動することができるように構成されている。また、光ピックアップ装置1上に配設されたアクチュエータ5には対物レンズ2が搭載されており、この対物レンズ2から光ディスク100上に光が照射されるようになっている。対物レンズ2から出射した光は、光ディスク100上にスポットを形成し、光ディスク100によって反射される。そして、この反射光を検出することでフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が生成されるようになっている。
【0017】
なお、光ディスク100の層には、記録型光ディスクにおける記録層や、再生専用の光ディスクの再生層が含まれている。
【0018】
図2は、図1に示す光ピックアップ装置1の光学系を説明する概略図である。ここではBD(Blu−ray Disc)について説明するが、DVD(Digital Versatile Disc)や他の記録方式であってもなんら構わない。図2に示すように、光ピックアップ装置1の光学系は、半導体レーザ50と、半導体レーザ50から出射された光ビームが入射する位置に配置された分岐ミラー52と、分岐ミラー52で反射した光ビームが入射する位置に配置されたコリメートレンズ51と、コリメートレンズ51から出射した光ビームが入射する位置に配置された立ち上げミラー55と、立ち上げミラー55から出射した光ビームが入射する位置に配置された1/4波長板56と、1/4波長板56から出射した光ビームが入射する位置に配置された対物レンズ2と、対物レンズ2を搭載するアクチュエータ5と、分岐ミラー52を透過した光ビームが入射するフロントモニタ53と、分岐ミラー52を挟んでコリメートレンズ51と反対側に配置されたホログラム素子11と、ホログラム素子11から出射した光ビームが入射する位置に配置された光検出器10と、を備えて構成されている。
【0019】
半導体レーザ50からは、波長約405nmの光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射した光ビームは分岐ミラー52で反射し、コリメートレンズ51に入射する。なお一部の光ビームは、分岐ミラー52を透過しフロントモニタ53に入射する。一般的にBD−RE、BD−R等の記録型の光ディスク100に情報を記録する場合には、光ディスク100の記録面に所定の光量を照射させるため、半導体レーザ50の光量を高精度に制御する必要がある。このため、フロントモニタ53は記録型の光ディスク100に信号を記録する際に、半導体レーザ50の光量の変化を検出し、半導体レーザ50の駆動回路(図示せず)にフィードバックされる。これにより光ディスク100上の光量をモニタすることが可能となる。
【0020】
コリメートレンズ51は、光軸方向に駆動する機構を有しており、コリメートレンズ51が光軸方向に駆動することで、対物レンズ2に入射する光ビームの発散・収束状態を変え、光ディスク100のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。コリメートレンズ51を出射した光ビームは立ち上げミラー55、1/4波長板56を経て、アクチュエータ5に搭載された対物レンズ2により光ディスク100上に集光される。
【0021】
光ディスク100を反射した光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56、立ち上げミラー55、コリメートレンズ51、分岐ミラー52を経て、ホログラム素子11に入射する。このとき、光ビームはホログラム素子11により複数の領域に分割されて、領域ごとにそれぞれ異なった方向に進行し、光検出器10に入射する。
【0022】
図3は、ホログラム素子11を示す概略図である。図3において、実線は領域の境界線を示し、2点鎖線はレーザ光の光ビームの外形を示し、斜線部は光ディスクのトラックによって回折された0次回折光と±1次回折光の干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。また、図4は、光検出器10の受光部配置を示す概略図であり、図4における黒点は、信号光を示している。
【0023】
図3に示すように、ホログラム素子11は、光ディスク100上のトラックを回折した0次回折光のみが入射する領域De、Df、Dg、Dhからなる領域Aと、0次回折光、±1次回折光が入射する領域Da、Db、Dc、Ddからなる領域Bと、ホログラム素子11の略中心を含む領域Diからなる領域Cで形成されている。ホログラム素子11の回折効率は、例えば、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)と、領域C(領域Di)では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:1:0
それ以外の領域では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:7:3
であるとする。また、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の+1次回折光の収差が小さくなるよう領域Bでは、少なくとも非点収差が与えられている。
【0024】
光検出器10は、複数の受光部が形成されており、それぞれの受光部にはホログラム素子11によって分割された光ビームが照射される。具体的には、光検出器10は、図4に示すように、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されている。そして、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0025】
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。なお、実施形態1では、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、以下の数1に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0026】
(数1)
FES=(RE+UG+UF+RH)−(SE+TG+TF+SH)
TES={(A1+B1)−(C1+D1)}−kt×{(E1+F1)−(G1+H1)}
RF=A1+B1+C1+D1+E1+F1+G1+H1+I1
【0027】
なお、ktは、対物レンズ2が変位した際にトラッキング誤差信号にDC成分を発生させないようにする係数である。
【0028】
実施形態1の検出方式は、前述した特許文献2と同様に、多層ディスクに対し情報を記録/再生したときの迷光を受光部に入射させない構成とすることで、多層ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0029】
また、実施形態1の迷光回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域が、ディスク接線方向(以下、「Tan方向」という)に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図4に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0030】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B:即ち、領域Da、Db、Dc、Dd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図4に示すように、領域Bを回折した光ビームを検出する受光部a1、b1、c1、d1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0031】
なお、実施形態1では、収束光が分岐ミラー52を透過するため、特許文献2に係る発明とは異なり、分岐ミラー52により迷光に非点収差及びコマ収差が発生するが、迷光はデフォーカス量及び球面収差量が大きいため、それらの収差は影響しない。
【0032】
ここで、従来技術では、実施形態1で用いた分岐ミラー52の代わりにプリズムを使用している。プリズムがミラーよりも高価であるにも関わらず、プリズムを使用している理由は、プリズムをミラーに置き換えると、デフォーカス特性劣化が生じるからである。なお、ここでは、デフォーカス特性劣化を生じさせる原因に対し影響が大きい非点収差について説明する。
【0033】
一般的に非点収差が与えられた光ビームには、所定の方向とそれに対して垂直方向の収束するデフォーカス量が異なる特徴がある。そして、無収差のときに比べ非点収差が与えられることで、スポット径が大きくなってしまう特徴がある。このため、非点収差が与えられると光ビームがデフォーカスに対して、受光部からはみだし易くなってしまい、デフォーカス特性が劣化する。
【0034】
これに対し、例えばデフォーカス特性を改善するために、特許文献1に係る発明のようにホログラム素子に非点収差を与えることで、受光部に入射する光ビームの非点収差を抑制することも可能である。ただし、実施形態1のように±1次回折光を用いるような検出方式の場合、原理的にホログラム素子の+1次回折光もしくは−1次回折光のどちらかしか補正できず、少なくとも片方の回折光には、収差が増加してしまう。
【0035】
また、デフォーカス特性を改善するために、受光部を大きくすることも考えられる。図5は、受光部と迷光の関係を示したものであり、(a)は領域Dhを回折した光ビームを検出する受光部h1と迷光の関係を示し、(b)は領域Ddを回折した光ビームを検出する受光部d1と迷光の関係を示している。なお、図5の実線は受光部h1及びd1を各々示しており、斜線部は迷光を示している。また、矢印は対物レンズ2がRad方向に変位したときの迷光の変位方向を示している。
【0036】
ここで、図5(a)の場合には、初期的に迷光を回避していれば対物レンズ2が変位しても迷光は受光部h1に入射しないため、図中点線で示すように、受光部h1をTan方向、Rad方向にある程度大きくすることができる。これに対し、図5(b)の場合には、初期的に迷光を回避していても対物レンズ2の変位によって迷光が受光部d1に入射してしまうため、図中点線で示すように、受光部d1をTan方向に大きくすることができるが、Rad方向に大きくすることができない。このため、受光部e1、f1、g1、h1を検出した信号に対し、受光部a1、b1、c1、d1を検出した信号は、デフォーカス特性を改善することができないのである。さらに、光ピックアップ装置の製造上の観点から、光検出器10の調整ずれが発生するとデフォーカス特性がさらに劣化してしまう課題がある。
【0037】
したがって、特許文献2に係る発明のような構成においてプリズムから分岐ミラー52に置き換えてしまうと、デフォーカス特性が劣化してしまう課題がある。さらに、実施形態1では非点収差について説明したが、実際にはコマ収差も発生することからデフォーカス特性はさらに劣化してしまう。
【0038】
そこで、実施形態1では、収差に伴うデフォーカス特性劣化を改善するためにホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の回折光からフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出し、領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の回折光には、少なくとも非点収差を与え、+1次回折光のみを検出することにした。
【0039】
この実施形態1に係る構成では、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11の領域Bに入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11の領域Bの−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11の領域Aの±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出するようにした。
【0040】
なお、ホログラム素子11領域Aの±1次回折光には、分岐ミラー52によって非点収差及びコマ収差が与えられるが、トラッキング誤差信号に関しては受光部を大きくすることでデフォーカス特性を改善することが可能であり、フォーカス誤差信号に関しては、非点収差に依ってフォーカス誤差信号の非対称性が発生するが、デフォーカスは発生しないため実用上問題とはならない。
【0041】
以上から、実施形態1に係る構成では、プリズムの代わりに安価な分岐ミラー52を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置1を提供することができる。
【0042】
なお、実施形態1では、ホログラム素子11として、図3に示す構成のものを使用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)に示すようなパターンであっても同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、実施形態1では、光ディスク100で反射して分岐ミラー52を透過した光ビームが入射する位置にホログラム素子11を配置した場合について説明したが、これに限らず、例えば、ホログラム素子11を偏光ホログラム素子とし、光ディスク100で反射した光ビームが分岐ミラー52を透過する前に入射する位置に配置しても同様の効果を得ることができる。なお、球面収差補正方法については、特に限定されるものではない。
【0044】
そしてまた、実施形態1では、ホログラム素子11の領域B(領域Da、Db、Dc、Dd)の+1次回折光を検出したが、実施形態1では、Tan方向に並ぶ受光部a1、b1、c1、d1に入射する回折光の収差を補正することで多層ディスク(光ディスク100)の迷光を回避すると共に、デフォーカスしても安定した信号を検出できる構成としているため、+1次回折光には限定されず、収差を補正可能であれば−1次回折光であってもよいし、他の次数の回折光であってもよい。また、実施形態1で説明した回折効率は一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
さらにまた、実施形態1では、BDのような単独の記録システムを例にとって説明を行ったが、これに限らず、例えば、DVDやCD等の他の記録システムと組み合わせても良いことは勿論である。
【0046】
また、ホログラム素子11の領域A、領域Bについてはこれに限定されず、領域Aはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であればよく、領域Bはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であればよい。そしてまた、ホログラム素子11の領域A、領域Bの分割方法についても、実施形態1に限定されるものではない。なお、領域Cについては収差を与えてもよい。
【0047】
また、実施形態1では、光源として半導体レーザ50を用いたが、これに限定されるものではなく、光ピックアップ装置の光源として使用可能であれば、他の構成の光源を用いてもよいことは勿論である。
【0048】
そしてまた、実施形態1では、回折素子としてホログラム素子11を用いたが、これに限らず、光ピックアップ装置において、光ディスク100で反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子であれば、ホログラム素子11に限定されるものではない。
【0049】
次に、実施形態1に係る光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置(光学的再生装置)について図面を参照して説明する。
【0050】
図7は、実施形態1に係る光ディスク装置(光学的再生装置)を説明する図である。図7に示すように、光ディスク装置170Aは、実施形態1に係る光ピックアップ装置1と、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180と、スピンドルモータ180に接続されたスピンドルモータ駆動回路171と、光ピックアップ装置1に接続されたアクセス制御回路172、アクチュエータ駆動回路173、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179と、スピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179が接続されたコントロール回路176と、を備えて構成されている。
【0051】
光ピックアップ装置1には、光ディスク100のRad方向に沿って駆動できる駆動機構7が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御がなされるようになっている。光ピックアップ装置1内に配置されている半導体レーザ50には、レーザ点灯回路177から所定のレーザ駆動電流が供給され、この半導体レーザ50からは、情報の再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は、光ピックアップ装置1内に組み込むこともできる。
【0052】
光ピックアップ装置1内の光検出器10から出力された信号は、サーボ信号生成回路174及び情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では、光検出器10からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号等のサーボ信号が生成され、これらの信号を基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置1内のアクチュエータ5を駆動して、対物レンズ2の位置制御がなされる。また、情報信号再生回路175では、光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。そしてまた、サーボ信号生成回路174及び情報信号再生回路175で得られた信号の一部は、コントロール回路176に送られる。
【0053】
このコントロール回路176は、前述したように、スピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、情報信号再生回路175、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179が接続されており、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向及びアクセス位置の制御、対物レンズ2のサーボ制御、光ピックアップ装置1内の半導体レーザ50の発光光量の制御、光ディスク100の厚さの違いによる球面収差の補正等を行うようになっている。
【0054】
なお、実施形態1では、図7に示すように、光学的に情報の再生のみを行う光ディスク装置170Aについて説明したが、これに限らず、本発明に係る光ディスク装置は、図8に示すように、光学的に情報の記録及び再生を行う光ディスク装置170Bであってもよい。
【0055】
図8に示すように、光ディスク装置170Bは、実施形態1に係る光ディスク装置170Aに、情報信号記録回路178を付加した構成を備えている。具体的には、光ディスク装置170Bは、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間に情報信号記録回路178が配設されており、情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいて、レーザ点灯回路177の点灯制御を行い、光ディスク100へ所望の情報を書き込むことができるようになっている。
【0056】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る光ピックアップ装置について図面を参照して説明する。
【0057】
図9は、本発明の実施形態2に係る光ピックアップ装置のホログラム素子を示す概略図、図10は、図9に示す光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図であり、図10における黒点は、信号光を示している。なお、実施形態2では、実施形態1で説明した光ピックアップ装置と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
実施形態2に係る光ピックアップ装置の、実施形態1に係る光ピックアップ装置と異なる主な点は、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Daと領域Dbが、実施形態2では、図9及び図10に示すように、一つの領域である領域Dabとなり、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Dcと領域Ddが、実施形態2では、一つの領域である領域Dcdとなり、それに伴って実施形態1の受光部a1と受光部b1が、実施形態2では、受光部ab1となり、実施形態1に係る受光部c1と受光部d1が、実施形態2では、受光部cd1となっていることである。
【0059】
具体的には、図9において実線は領域の境界線を示し、2点鎖線はレーザ光の光ビームの外形を示し、斜線部は光ディスク100のトラックによって回折された0次回折光と±1次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。ホログラム素子11は、光ディスク100上のトラックを回折した回折光の0次回折光のみが入射する領域A(領域De、Df、Dg、Dh)と、回折光の0次回折光、±1次回折光が入射する領域B’(領域Dab、Dcd)と、ホログラム素子11の略中心を含む領域C(領域Di)とで形成されている。
【0060】
ホログラム素子11の回折効率は、例えばホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)と、領域C(領域Di)では、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:1:0
それ以外の領域は、
0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=0:7:3
であるとする。また、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の+1次回折光の収差が小さくなるようホログラム素子11により少なくとも非点収差が与えられている。
【0061】
また、光検出器10上には、図10に示すように、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されている。そして、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0062】
受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。なお、実施形態2では、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号AB1、CD1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、以下の数2に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0063】
(数2)
FES=(RE+UG+UF+RH)−(SE+TG+TF+SH)
TES={(AB1)−(CD1)}−kt×{(E1+F1)−(G1+H1)}
RF=AB1+CD1+E1+F1+G1+H1+I1
【0064】
なお、ktは、対物レンズ2が変位した際にトラッキング誤差信号にDC成分を発生させないようにする係数である。
【0065】
また、実施形態2に係る光ピックアップ装置の光学系については、実施形態1と同様である。即ち、半導体レーザ50から出射した光ビームは、実施形態1と同様の光路を経てホログラム素子11に入射する。このとき光ビームは、ホログラム素子11により複数の領域に分割されて、領域ごとにそれぞれ異なった方向に進行し、光検出器10に入射する。
【0066】
実施形態2の検出方式は、前述した特許文献2と同様に、多層ディスクに対し情報を記録/再生したときの迷光を受光部に入射させない構成とすることで、多層ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0067】
また、実施形態2では、実施形態1に係るホログラム素子11の領域Daと領域Dbが領域Dabとなり、実施形態1に係る領域Dcと領域Ddが領域Dcdとり、それに伴って、実施形態1に係る受光部a1と受光部b1が受光部ab1となり、実施形態1に係る受光部c1と受光部d1が受光部cd1となっているだけなので、迷光回避方法は実施形態1と同様となっている。
【0068】
具体的には、実施形態2における迷光回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図9参照)に対してホログラム素子11の領域が、Tan方向に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図10に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0069】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図9参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B’:即ち、領域Dab、Dcd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図10に示すように、領域B’を回折した光ビームを検出する受光部ab1、cd1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0070】
なお、実施形態2も実施形態1と同様に、収束光が分岐ミラー52を透過するため、特許文献2に係る発明とは異なり、分岐ミラー52により迷光に非点収差及びコマ収差が発生するが、迷光はデフォーカス量及び球面収差量が大きいため、それらの収差は影響しない。
【0071】
ここで、実施形態2では、分岐素子としてミラー(分岐ミラー52)を搭載したことによる収差の発生に伴うデフォーカス特性劣化を改善するためにホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の回折光からフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出し、領域B’(領域Dab、Dcd)の回折光には、少なくとも非点収差を与え、+1次回折光のみを検出している。
【0072】
実施形態2に係る構成では、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)に入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出するようにした。
【0073】
なお、ホログラム素子11の領域A(領域De、Df、Dg、Dh)の±1次回折光には分岐ミラー52によって非点収差及びコマ収差が与えられるが、トラッキング誤差信号に関しては受光部を大きくすることでデフォーカス特性を改善することが可能であり、フォーカス誤差信号に関しては、非点収差に依ってフォーカス誤差信号の非対称性が発生するが、デフォーカスは発生しないため実用上問題とはならない。
【0074】
以上から、実施形態2に係る構成では、分岐素子としてミラー(分岐ミラー52)を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置を提供することができる。また、実施形態2に係る構成では、ホログラム素子11の領域Dabが、実施形態1のように領域Da及び領域Dbに分割されておらず、且つ領域Dcdが、実施形態1のように領域Dc及び領域Ddに分割されていないため、領域Daと領域Dbとの境界線、領域Dcと領域Ddとの境界線の形成を考慮する必要がなく、実施形態1に比べ構造が簡単であると共に、容易に製造することが可能となる。
【0075】
なお、実施形態2では、ホログラム素子11として、図9に示す構成のものを使用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)に示すようなパターンであっても同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、実施形態2では、実施形態1と同様の位置にホログラム素子11を配置したが、これに限らず、例えば、ホログラム素子11を偏光ホログラム素子とし、光ディスク100で反射した光ビームが分岐ミラー52を透過する前に入射する位置に配置しても同様の効果を得ることができる。なお、球面収差補正方法については、特に限定されるものではない。
【0077】
そしてまた、実施形態2では、ホログラム素子11の領域B’(領域Dab、Dcd)の+1次回折光を検出したが、実施形態2では、Tan方向に並ぶ受光部a1、b1、c1、d1に入射する回折光の収差を補正することで多層ディスク(光ディスク100)の迷光を回避すると共に、デフォーカスしても安定した信号を検出できる構成としているため、+1次回折光には限定されず、収差を補正可能であれば−1次回折光であってもよいし、他の次数の回折光であってもよい。また、実施形態2で説明した回折効率は一例であり、これに限定されるものではない。
【0078】
さらにまた、実施形態2は、実施形態1と同様に、BDのような単独の記録システムの他、DVDやCD等の他の記録システムと組み合わせても良いことは勿論である。
【0079】
また、ホログラム素子11の領域A、領域B’についてはこれに限定されず、領域Aはホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であればよく、領域B’はホログラム素子11の略中心を通る光ディスク100のトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であればよい。そしてまた、ホログラム素子11の領域A、領域B’の分割方法についても、実施形態2に限定されるものではない。なお、領域Cについては収差を与えてもよい。
【0080】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る光ピックアップ装置について図面を参照して説明する。
【0081】
図12は、本発明の実施形態3に係る光ピックアップ装置の光検出器の受光部配置を示す概略図であり、図12における黒点は、信号光を示している。なお、実施形態3では、実施形態1及び2で説明した光ピックアップ装置と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
実施形態3に係る光ピックアップ装置の、実施形態1に係る光ピックアップ装置と異なる主な点は、受光部とフォーカス誤差信号検出用受光部の配置である。具体的には、光検出器10上には、図12に示すような配置で、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1と、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shが形成されており、それぞれの受光部にはホログラム素子11によって分割された光ビームが照射される。そして、実施形態1と同様に、これらの受光部及びフォーカス誤差信号検出用受光部に照射された光量に応じて光検出器10から電気信号が出力され、これらの出力を演算してフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、再生信号であるRF信号が生成される。
【0083】
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1の各々には、ホログラム素子11の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dh、Diの+1次回折光が各々入射され、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shの各々には、ホログラム素子11の領域De、Df、Dg、Dhの−1次回折光が各々入射される。
【0084】
なお、実施形態3も実施形態1と同様に、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、i1及び、フォーカス誤差信号検出用受光部re、se、tg、ug、tf、uf、rh、shから各々得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、I1、RE、SE、TG、UG、TF、UF、RH、SHから、前述した数1に示す演算によりフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
【0085】
また、実施形態3も実施形態1と同様に、迷光の回避方法は、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域が、ディスク接線方向(以下、「Tan方向」という)に離れている(領域A:即ち、領域De、Df、Dg、Dh)場合には、迷光をTan方向に回避している。そして、図12に示すように、領域A(領域De、Df、Dg、Dh)を回折した光ビームを検出する受光部e1、f1、g1、h1を略Rad方向に並べることで、対物レンズ2が光ディスク100上のトラックに追従するためにRad方向に変位しても、迷光が受光部に入射しないため、迷光の影響を受けない構成となっている。
【0086】
一方、ホログラム素子11上の光ビーム中心15(図3参照)に対してホログラム素子11の領域がRad方向に離れている(領域B:即ち、領域Da、Db、Dc、Dd)場合には、迷光をRad方向に回避している。そして、図12に示すように、領域Bを回折した光ビームを検出する受光部a1、b1、c1、d1を略Tan方向に並べることで対物レンズ2が変位しても迷光の影響を最小限に抑えることができる構成となっている。
【0087】
なお、実施形態3に係る構成も実施形態1に係る構成と同様に、分岐ミラー52によって与えられる収差に対し、ホログラム素子11領域Da、Db、Dc、Ddに入射した光ビームに収差を与えることで、+1次回折光の収差を抑制し、デフォーカス特性を改善している。また、ホログラム素子11領域Da、Db、Dc、Ddの−1次回折光には、同領域の+1次回折光で与えた収差分だけ収差が増加するが、−1次回折光を検出しないため、その影響は受けない。そして、ホログラム素子11領域De、Df、Dg、Dhの±1次回折光を用いてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号を検出している。
【0088】
したがって、プリズムの代わりに安価な分岐ミラー52を搭載しても、ホログラム素子11の+1次回折光を用いる領域のみに少なくとも非点収差を与え、±1次回折光を用いる領域には非点収差を与えないため、安定した信号検出ができる。これにより、複数の情報記録面を有する光ディスク100(情報記録媒体)に対し情報の記録/再生を行う場合に、安定したサーボ信号を得ることができると共に、小型の光検出器10を提供でき、且つ低コストの光ピックアップ装置1を提供することができる。
【0089】
なお、本発明は上記した実施形態1〜3に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態1〜3は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成を追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…光ピックアップ装置、2…対物レンズ、5…アクチュエータ、10…光検出器、11…ホログラム素子、50…半導体レーザ、51…コリメートレンズ、52…分岐ミラー、100…光ディスク、170A、170B…光ディスク装置、171…スピンドルモータ駆動回路、172…アクセス制御回路、173…アクチュエータ駆動回路、174…サーボ信号生成回路、175…情報信号再生回路、176…コントロール回路、177…レーザ点灯回路、178…情報信号記録回路、179…球面収差補正素子駆動回路、180…スピンドルモータ、Da〜Di、Dab、Dcd…ホログラム素子の領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクで反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器と、
前記光源から対物レンズまでの光路と対物レンズから光検出器までの光路を分岐するミラーと、
を備え、
前記回折素子は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、
前記第2の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記回折素子は、前記第2の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、
前記第2の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記回折素子は、前記第2の領域及び第3の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記光ディスク上のトラックにより回折された回折光のうち、前記第1の領域には0次回折光のみが入射し、前記第2の領域には0次、±1次回折光が入射し、
前記回折素子は、前記第2の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記光ディスク上のトラックにより回折された回折光のうち、前記第1の領域には0次回折光のみが入射し、前記第2の領域には0次、±1次回折光が入射し、
前記回折素子は、前記第2の領域及び第3の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記回折素子で付加される収差は少なくとも非点収差であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記回折素子で付加される収差は非点収差及びコマ収差であることを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記光検出器は、前記第2の領域の+1次回折光または−1次回折光のいずれか一方を検出することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域で回折された光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が、前記光ディスクのトラックと略垂直な方向の略直線上に並ぶことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第2の領域で回折された光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が、前記光ディスクのトラックと略平行な方向の略直線上に並ぶことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域で回折された光ビームを検出した信号からナイフエッジ方式のフォーカス誤差信号を検出することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第2の領域で回折された光ビームを検出する前記光検出器上の受光部の面積よりも、前記第1の領域で回折された光ビームを検出する前記光検出器上の受光部の面積が大きいことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と、
前記光ピックアップ装置内における前記光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路と、
を搭載したことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する光源と、
前記光源から出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクで反射した光ビームを分割する複数の領域を有する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器と、
前記光源から対物レンズまでの光路と対物レンズから光検出器までの光路を分岐するミラーと、
を備え、
前記回折素子は、所定の領域で回折された光ビームに収差を付加することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、
前記第2の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記回折素子は、前記第2の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、
前記第2の領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記回折素子は、前記第2の領域及び第3の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記光ディスク上のトラックにより回折された回折光のうち、前記第1の領域には0次回折光のみが入射し、前記第2の領域には0次、±1次回折光が入射し、
前記回折素子は、前記第2の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第3の領域は、前記回折素子の略中心を含む領域であり、
前記光ディスク上のトラックにより回折された回折光のうち、前記第1の領域には0次回折光のみが入射し、前記第2の領域には0次、±1次回折光が入射し、
前記回折素子は、前記第2の領域及び第3の領域で回折された光ビームのみに収差を付加することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記回折素子で付加される収差は少なくとも非点収差であることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記回折素子で付加される収差は非点収差及びコマ収差であることを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記光検出器は、前記第2の領域の+1次回折光または−1次回折光のいずれか一方を検出することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域で回折された光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が、前記光ディスクのトラックと略垂直な方向の略直線上に並ぶことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第2の領域で回折された光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が、前記光ディスクのトラックと略平行な方向の略直線上に並ぶことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第1の領域で回折された光ビームを検出した信号からナイフエッジ方式のフォーカス誤差信号を検出することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記回折素子は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、
前記第2の領域で回折された光ビームを検出する前記光検出器上の受光部の面積よりも、前記第1の領域で回折された光ビームを検出する前記光検出器上の受光部の面積が大きいことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と、
前記光ピックアップ装置内における前記光源を駆動するレーザ点灯回路と、
前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、
光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路と、
を搭載したことを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−12276(P2013−12276A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144831(P2011−144831)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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