説明

光ピックアップ装置及びその製造方法

【課題】アクチュエータ固定部が、接着剤により収容ケースに接着固定される光ピックアップ装置において、接着部の界面剥離を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】対物レンズを有するアクチュエータとアクチュエータを収容する収容ケースとを備える光ピックアップ装置において、アクチュエータが対物レンズの光軸方向である第1の方向と垂直な平面に交差する側面を有し、収容ケースがアクチュエータを収容した状態において前記側面に対向する接着面を有し、側面と接着面の少なくとも一方は他方に向かって突出する突起部を有し、突起部が第1の方向に貫通する貫通穴を有するとともに少なくとも第1の方向において周囲よりも突出する形状であり、収容ケースにアクチュエータを収容した状態において、突起部の周囲及び貫通穴に接着剤が充填されて、突起部を内包し側面と接着面とを接着する接着部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体の記録や再生を行う光ディスク装置に用いられる光ピックアップ装置などの接着構造及び光ピックアップ装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−ray Disc、登録商標)等の光記録媒体の記録、再生を行う光ディスク装置に用いられる光ピックアップ装置は、レーザダイオード等の発光素子からの出射光を各種レンズ、プリズムおよびミラー等の光学部品を介して対物レンズに導き、光記録媒体上で収束させると共に、光記録媒体からの戻り光を同様の光学部品を介して光電変換素子に受光させ、電気信号に変換するものである。このような光ピックアップ装置は、光ディスク回転時の面振れや偏芯に対して、対物レンズを高い位置精度で追従させ、光記録媒体からの情報を正確に再生するための駆動機構(アクチュエータ)を備えている。アクチュエータは、対物レンズを取り付けた可動部と、該可動部を支えるための固定部からなる。アクチュエータの固定部は、光ピックアップ装置を収容する収容ケース内に固定される。
【0003】
近年、光ピックアップ装置の薄型化に伴って、光ピックアップ装置の対物レンズ光軸方向の厚みを抑えるため、対物レンズ光軸方向と同じ方向を有するアクチュエータ固定部の2面を、該アクチュエータ固定部の2面と対向する収容ケース内側の2面にそれぞれ接着固定する方法が採用されている。しかしながら、このような構造では、外的負荷や環境変化によるストレスを受け易く、接着界面で剥離する場合がある。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特開2007−298700(特許文献1)では、接着固定部に溝や切欠を設けることで、接着剤に覆われている複数の面を有することにより、熱衝撃による接着剤の剥離を抑制できることが示されている。また、特開2010−277644(特許文献2)では、接着面に凹部または凸部からなる構造を設けることにより、接着部に外的負荷や環境変化によるストレスが生じた場合でも、接着強さの低下を抑制し、高い位置安定性を実現できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−298700号公報
【特許文献2】特開2010−277644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接着によるアクチュエータ固定は、コンパクトで製造が容易である反面、固定力や耐久力は他の固定方法に比べて強くはない。例えば、車載用光ディスク装置のように、厳しい振動、温度条件の下で用いられる場合、接着部の界面剥離を防止するために接着力を高める必要があり、現状ではネジ止めなど他の方法によりアクチュエータを固定している。本発明の目的は、接着構造の接着力を高め、光ピックアップ装置に加わる多方向からの衝撃に対して、接着部の界面剥離を抑制できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、本発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
対物レンズを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを収容する収容ケースとを備える光ピックアップ装置であって、
前記アクチュエータは、前記対物レンズの光軸方向である第1の方向と垂直な平面に交差する側面を有し、
前記収容ケースは、前記アクチュエータを収容した状態において前記側面に対向する接着面を有し、
前記側面と前記接着面の少なくとも一方は、他方に向かって突出する突起部を有し、
前記突起部は、該突起部を前記第1の方向に貫通する貫通穴を有するとともに、少なくとも前記第1の方向において該突起部の周囲よりも突出する形状であり、
前記収容ケースに前記アクチュエータを収容した状態において、前記突起部の周囲及び前記貫通穴に接着剤が充填されて、前記突起部を内包し前記側面と前記接着面とを接着する接着部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、光ピックアップ装置に加わる多方向からの衝撃に対して、アクチュエータ固定部と収容ケースとの接着固定部の界面剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップ装置100の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
【図3】本発明の第2実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
【図4】本発明の第3実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
【図5】本発明の第4実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
【図6】本発明の第5実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態における光ピックアップ装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る光ピックアップ装置100の分解斜視図である。図1において、後述する対物レンズ31の光軸方向をZ方向、シャフト111aおよび111bの延伸方向をX方向、該Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向と称す。
【0011】
図1に示すように、光ピックアップ装置100は、レーザダイオード等の発光素子2と、光学部品3と、受光器としての光電変換素子4と、対物レンズアクチュエータ5と、これらの光ピックアップ部品を収容する収容ケース600を備えている。
対物レンズアクチュエータ5は、光ディスク回転時の面振れや偏芯に対して、光ディスク上の記録面に光を集光する対物レンズを、フォーカシング方向(光ディスク面に接近/離遠する方向)、トラッキング方向(光ディスクの半径方向)およびラジアルチルト方向(光ディスク半径方向に傾く方向)に高い位置精度(サブミクロンオーダ)で追従させて、光ディスクからの情報を正確に再生する光学部品モジュールである。
【0012】
対物レンズアクチュエータ5は、対物レンズ31が取り付けられたホルダ51と、ホルダ51を支え収容ケース600に固定するための固定部材500と、適度な振動減衰(ダンピング)特性を有しホルダ51を支持するサスペンションワイヤ52から構成される。ホルダ51には、(1)ヨークプレートやマグネットからなる磁気回路と、(2)フォーカシングコイルやトラッキングコイルとが組み込まれており、ホルダ51は、対物レンズアクチュエータ5の可動部である。固定部材500は、対物レンズアクチュエータ5を収容ケース600に固定するためのアクチュエータ固定部である。
【0013】
固定部材500は、箱型の部材であり、固定部材500を構成する側面は、対物レンズ31の光軸に直交する直交面と交差するよう形成されている。図1の例では、固定部材500は直方体であり、その4つの側面は、対物レンズ31の光軸と同方向(図1のZ方向)に延びる面である。固定部材500の側面のうちの1つの側面は、ホルダ51と対向している。ホルダ51と対向している側面と反対側の側面には、プリント基板53が設けられている。ホルダ51と対向している側面と隣り合う2つの側面500a,500bは、固定部材500を収容ケース600に接着固定するための面である。
なお、固定部材500の各側面と対物レンズ31の光軸に直交する直交面が交差する角度については、垂直となることが望ましいが、これらの間が、例えば45度から90度までの間の任意の角度を取るようにしても良い。固定部材500の大きさは、光ピックアップ装置の種類により大きく異なるが、例えば薄型の光ピックアップでは、光軸方向(図1のZ方向)は約5mm、光軸と垂直な面は約15mm(図1のX方向)×約5mm(図1のY方向)となっている。
【0014】
サスペンションワイヤ52は、ホルダ51中のコイルから固定部材500を貫通し、プリント基板53に接続されている。サスペンションワイヤ52は、プリント基板53から電流の供給を受け、対物レンズ31が保持されるホルダ51を変位させる。
【0015】
発光素子2から出射される光は、レンズやプリズム等の各種の光学部品3および、反射ミラー32を経てホルダ51内の対物レンズ31へと入射し、光ディスク102の記録面上に収束する。そして、その反射光が再び反射ミラー32、および、光学部品3を経て、光電変換素子4へと到達する。このようにして光電変換素子4で得られる信号に基づき、サスペンションワイヤ52に供給する電流を制御して対物レンズアクチュエータ5を動作させることで、対物レンズ31を高い位置精度で光ディスク102に追従させることが可能となる。
【0016】
収容ケース600は、光学ディスクドライブ装置101の備えるシャフト111aおよび111bに、収容ケース600を摺動可能に固定する保持部61と、光学部品3を収容する収容部62aと、反射ミラー32および対物レンズアクチュエータ5を収容する収容部62bからなる。
【0017】
保持部61は、シャフト111aおよび111bに沿って、収容ケース600を光ディスク102の半径方向へ摺動可能に保持する。収容部62aには光学部品3が、収容部62bには反射ミラー32および対物レンズアクチュエータ5が、それぞれ光学特性の観点から最適な所定の位置に接着固定されて収容される。収容部62bは、固定部材500の2つの側面500a,500bと、それぞれ接着剤によって接着される2つの接着面600a,600bを備える。
【0018】
接着面600a,600bは、収容部62bの側壁面であり、対物レンズアクチュエータ5が収容ケース600内の所定の位置に収められた際に、固定部材500の2つの側面500a,500bに、それぞれ対向する位置となるように構成される。つまり、側面500a,500bは、それぞれ、接着面600a,600bと接着される接着面である。固定部材500の側面500a,500bは、収容ケース600が固定部材500を挟んで支持できるように、一方を正面とすると他方は背面の位置関係にある。
【0019】
なお、このような収容ケース600の接着面600a,600bの材料である被着体材料は、Zn、Mg、Alなどの金属を主成分としたダイカストやプレス成形品、またはPPS(ポリフェニレンサルファイド)を主成分としたインジェクション成形品である。また、固定部材500の接着面である側面500a,500bの材料である被着体材料は、PPSまたはLCP(液晶ポリマー)、またはFeの表面にめっきした部材などで構成される。固定部材500を収容ケース600と接着する際に使用される接着剤は、例えば、一般的なアクリル系やエポキシ系等の紫外線硬化型接着剤である。なお、これらの他にも、他の金属材料、ガラスなどの無機材料、樹脂等からなる接着剤を用いることができる。
【0020】
(第1実施例)
次に、本実施形態の第1実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部の構造について、図2を用いて説明する。図2は、第1実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。図2では、説明を簡明にするため、ホルダ51やプリント基板53等の図示は省略している。図2(a)は、固定部材510(アクチュエータ固定部)および収容ケース600の接着部を、図1に示す矢視方向Aから見た場合の斜視図である。図2(b)は、固定部材510の接着部を、図1に示す矢視方向Aから見た場合の斜視図である。図2(c)は、固定部材510および収容ケース600の接着部を上方から見た上面図である。図2(d)は、図2(c)のB−B’線における、固定部材510および収容ケース600の接着部の垂直断面図である。
なお、図2における固定部材510、固定部材510の側面510a,510bは、それぞれ、図1における固定部材500、固定部材500の側面500a,500bに相当する。
【0021】
前述したように、対物レンズアクチュエータ5が収容ケース600内の所定の位置に収められると、固定部材510の側面510a,510bは、それぞれ、収容部62bの接着面600a,600bと対向する。その状態で、側面510aと接着面600aとの間隙、および側面510bと接着面600bとの間隙に形成される接着部70により、固定部材510は、収容ケース600に接着固定される。接着部70は、側面510aと接着面600aとの間隙、および側面510bと接着面600bとの間隙に接着剤が充填された後、該充填された接着剤に例えば紫外線が照射されることにより、該充填された接着剤を硬化させることで形成される。図2の例では、接着部70は、側面510aと接着面600aとの間隙、および側面510bと接着面600bとの間隙に、それぞれ1箇所ずつ設けられている。
なお、固定部材510の底面(収容部62bの底面に接する面)等、他の4面は、収容ケース600と接着されない。
【0022】
固定部材510の側面510a,510bには、それぞれ突起部511が1つ設けられている。突起部511は、該突起部511の上下及び左右の周囲よりも突出する形状、つまり、突起部511の全周囲よりも突出する形状を有する突出部(凸部)である。各突起部511にはそれぞれ貫通穴512が1つ設けられている。貫通穴512は、突起部511を対物レンズ31の光軸方向(Z方向)に貫通している。貫通穴512は、前述した接着剤を硬化させるための紫外線照射方向に沿って一定の形状を有する、つまり、紫外線が照射されたときに、紫外線の陰になる部分が形成されないような形状を有する。
突起部511は、固定部材510の側面510a,510bの材料である被着体材料と同じ材料であるPPSまたはLCP(液晶ポリマー)、またはFeの表面にめっきした部材などで構成される。突起部511は、固定部材510と一体的に形成してもよいし、あるいは別に形成して固定部材510に接着してもよい。
【0023】
突起部511の周囲、つまり、突起部511の上下(Z方向)、左右(Y方向)、前方(X方向)は接着剤で覆われており、さらに貫通穴512内も接着剤が充填されている。このように、突起部511の周囲及び貫通穴512内に接着剤を充填した後、貫通穴512の貫通方向(Z方向)の一方、例えば上方から紫外線を照射して、突起部511の周囲及び貫通穴512内の接着剤を硬化させる。
このとき、貫通穴512は、紫外線照射方向に沿って一定の形状を有するので、例えば上方向から照射された紫外線が遮られることなく、貫通穴512内の接着剤の全部分に対し、紫外線照射することができる。また、突起部511の周囲の接着剤に対しても、上方向から照射された紫外線が遮られることなく、紫外線照射することができる。突起部511を構成する壁は、その厚さが接着剤の硬化深度より薄く、突起部511の下方の接着剤も硬化することができる。
なお、紫外線照射は、貫通穴512の貫通方向(Z方向)の一方から行うだけでなく、両方向から行うことも可能である。
こうして、固定部材510の側面510a,510bには、それぞれ、1つの突起部511を内包する1つの接着部70が形成される。
【0024】
本実施例では、突起部511と貫通穴512は箱型(直方体形状)であるが、突起部511の形状、貫通穴512の形状は紫外線照射が容易な一定の方向に揃えられていれば、他の形状(例えば、多角柱、円柱など)でも良い。突起部511の厚さ(Z方向の寸法)等は、接着剤の硬化深度を考慮して決定される。なお、貫通穴512の内径は、接着部70の接着層に含まれるフィラの最大フィラサイズで規定される40μmよりも大きい必要があり、突起部511のサイズもこれを考慮して決定される。
【0025】
ここで、接着部分に発生するストレス(応力)について説明する。図1に示すように、2つの側面500a,500bのみで収容ケース600に接着固定されている固定部材500に、衝撃等の外的負荷があった場合には、収容ケース600を支点とした曲げ変形が生じる。これにより、固定部材500の側面500a,500bと収容ケース600の接着面600a,600bとの間の接着部70に、接着面と垂直方向(X方向)の引張応力、あるいは、接着面と同方向(Y方向又はZ方向)のせん断応力が発生し、接着剥離の原因となる。
【0026】
また、温度上昇等の環境変化があった場合、固定部材500および収容ケース600の被着体材料と、接着部70の線膨張係数の差に起因して、固定部材500の側面500a,500bと収容ケース600の接着面600a,600bとの間の接着部70に、接着面と垂直方向の引張応力と接着面と同方向のせん断応力が発生し、接着剥離の原因となる。
【0027】
特に、被着体材料がPPS、LCPの場合は、Zn、Mg、Alなどの金属を主成分としたダイカストまたはプレス成形品、Feの表面にめっきした部材に比べて、接着部70に使用される接着剤との親和性が低い。このような接着剤および被着体材料を用いて2つの面を接着する場合、接着面積を増加させても界面剥離が発生し、接着強度は効果的に増加しないため、接着信頼性を確保することが難しかった。
【0028】
固定部材500の側面500aに突起部を設け、その突起部が接着部70に覆われている構造でせん断試験を行ったところ、突起部がない場合と比較して約20%の接着強度の向上が見られた。これは、突起部を形成することにより、接着面と同方向のせん断方向に対して引っ掛かりができ、界面剥離が抑制されたためである。しかし、突起部だけでは、接着面と垂直方向の引張応力に対する界面剥離防止には効果はなかった。
【0029】
第1実施例では、接着剤との親和性が低いPPSやLCPで構成される固定部材510の側面510a,510bに、貫通穴512を有する突起部511を設けることにより、接着面と垂直方向の引張方向(X方向)に対しても抵抗力を有する引っ掛かりを作った。すなわち、貫通穴512内に充填された接着剤が貫通穴512外の接着剤と結合して硬化され固定されることで、側面510aと平行な突起部511の面511a、つまり、突起部の突出方向に垂直な面511aが、引張方向(X方向)の界面剥離を抑止する剥離抑止面として機能する。また、突起部511の上下、左右を含む周囲が、硬化された接着剤で固定されているので、上下方向(Z方向)や左右方向(Y方向)に対しても抵抗力を有する引っ掛かりとなる。
このように、貫通穴512を有する突起部511を設けることにより、せん断応力、引張応力の両方に対して界面剥離を抑制することができ、多方向から、すなわち、X,Y,Z方向の全ての方向からの衝撃、また熱衝撃に対して界面剥離を防止することができる。
【0030】
次に、高温環境下における、対物レンズアクチュエータ5の傾きについて説明する。対物レンズアクチュエータ5は、固定部材500の側面510a,510bのみで、収容ケース600に支持固定されている。このため、サスペンションワイヤ52を介して接続されている対物レンズ31が収容されたホルダ51の重さにより、接着部70にはZ方向下方への曲げモーメントが加わっている。接着部70が高温化することにより低弾性率化すると、前記曲げモーメントにより、対物レンズアクチュエータ5はホルダ51がZ方向下方にずれる形で傾き、光学特性の低下につながる。本実施例の突起部511は、前記曲げモーメントに対しても抵抗力を有する引っ掛かりとなる構造であるため、高温環境下における傾きの抑制にも効果がある。
【0031】
また、突起部511を目印に接着剤の塗布位置を管理することができるため、接着部70の接着力の特性のばらつきが減少し、信頼性の高い光ピックアップ装置を提供することができる。
また、貫通穴512の貫通方向(Z方向)の一方から紫外線を照射することにより、突起部511の周囲及び貫通穴512内の接着剤を硬化させることができるので、接着を容易に行うことができる。
以上のような構成により、本実施例に係る光ピックアップ装置100は、衝撃的な外的負荷や環境変化がある環境においても、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落、位置ずれを防止できる。また、高温環境下での対物レンズアクチュエータ5の傾きを抑制することができ、高い位置安定性を実現することが可能である。
【0032】
次に、アクチュエータ固定部である固定部材510を収容ケース600へ接着固定する際の製造方法について説明する。まず、固定部材510と収容ケース600を、適切な位置関係にしたうえで、冶具に取り付け固定する。この状態で、固定部材510と収容ケース600の間隙に接着剤塗布用のノズルを挿入して、接着剤を射出し充填する。ノズルは、外径0.5mm程度のものを使用する。本実施例では、ノズルを突起部511に当てながら接着剤を塗布することによって、接着剤が充填される位置が一定になるため、接着特性のばらつきが減少し、信頼性の高い光ピックアップ装置を提供することができる。また、貫通穴512を伝わって、突起部511の周囲に接着剤が行きわたりやすい。
なお、第1実施例では、固定部材側に突起部を設けたが、収容ケース側に設ける構成も可能であり、固定部材側と収容ケース側の両方に突起部を設ける構成も可能である。
【0033】
(第2実施例)
次に、本実施形態の第2実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部の構造について、図3を用いて説明する。図3は、第2実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図である。
図3(a)は、固定部材520および収容ケース600の接着部を、図1に示す矢視方向Aから見た場合の斜視図である。図3(b)は、固定部材520の接着部を、図1に示す矢視方向Aから見た場合の斜視図である。図3(c)は、固定部材520および収容ケース600の接着部を上方から見た上面図である。図3(d)は、図3(c)のB−B’線における、固定部材520および収容ケース600の接着部の垂直断面図である。
なお、図3における固定部材520、固定部材520の側面520a,520bは、それぞれ、図1における固定部材500、固定部材500の側面500a,500bに相当する。
第2実施例が第1実施例と異なる点は、固定部材と収容ケースの接着構造である。それ以外の構成は、第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0034】
第1実施例では、固定部材510の側面510a,510bに、周囲から突出した突起部511を設けているのに対して、第2実施例では、固定部材520の側面520a,520bの上下部分にそれぞれ凹部523を設け、上側の凹部523と下側の凹部523の間に、凹部523から突出した突起部521を設け、突起部521にZ方向の貫通穴522を設けた構造である。つまり、突起部521は、突起部521の上方及び下方のみが突起部521よりも窪んでいる形状である。換言すると、突起部521は、対物レンズの光軸方向(Z方向、つまり上下方向)においてのみ、突起部521の周囲よりも突出する形状であり、対物レンズの光軸方向においてのみ該突起部の周囲が該突起部よりも窪む形状である。突起部521は、例えば、固定部材520を切削加工することにより形成できる。また、固定部材520の成型時、あらかじめ突起部521を設けた構造にすることも可能である。
凹部523は接着剤で埋められており、さらに貫通穴522内も接着剤が充填されている。このように、突起部521の上下の凹部523及び貫通穴522内に接着剤を充填した後、貫通穴522の貫通方向(Z方向)の一方、例えば上方から紫外線を照射して、突起部521の上下の凹部523及び貫通穴522内の接着剤を硬化させる。
なお、紫外線照射は、貫通穴522の貫通方向(Z方向)の一方から行うだけでなく、両方向から行うことも可能である。
【0035】
第2実施例では、凹部523と貫通穴522は箱型(直方体形状)であるが、凹部523と貫通穴522の形状は紫外線照射が容易な一定の方向に揃えられていれば、他の形状(例えば、多角柱、円柱など)でも良い。突起部521の厚さ等は、第1実施例と同様に、接着剤の硬化深度を考慮して決定される。なお、貫通穴522は、接着層70に含まれるフィラの最大フィラサイズで規定される40μmよりも大きい必要があり、凹部523や突起部521のサイズもこれを考慮して決定される。
【0036】
第2実施例では、接着剤との親和性が低いPPSやLCPで構成される固定部材520の側面520a,520bに、貫通穴522を有する突起部521を設けることにより、接着面と垂直方向の引張方向(X方向)に対しても抵抗力を有する引っ掛かりを作った。また、突起部521の上下の凹部523が、接着剤で埋められ硬化されているので、上下方向(Z方向)や左右方向(Y方向)に対しても抵抗力を有する引っ掛かりとなる。これにより、せん断応力、引張応力の両方に対して界面剥離を抑制することができ、多方向から、すなわち、X,Y,Z方向の全ての方向からの衝撃、また熱衝撃に対して界面剥離を防止することができる。
第2実施例でも、接着部70に加わる引張応力、せん断応力、曲げモーメントに対して抵抗力となる引っ掛かりが、突起部521により形成されるため、第1実施例と同様の効果があり、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落や位置ずれ、高温環境下における傾きを抑制できる。
【0037】
次に、第2実施例において、アクチュエータ固定部である固定部材520を収容ケース600へ接着固定する際の製造方法について説明する。まず、固定部材520と収容ケース600を、第1実施例で記述したとおり、冶具に取り付け固定する。この状態で、固定部材520と収容ケース600の間隙に接着剤塗布用のノズルを挿入して、接着剤を射出し充填する。
このため、固定部材とケースの間には、ノズルを挿入するための間隙が必要である。第1実施例では、接着面に対して突起になっている部分(凸部)511に貫通穴512を有するが、本実施例では、接着面の凹部523から突出した突起部521に貫通穴522を有している。よって凹部523にノズルを挿入することで、凹部523内と貫通穴522内に接着剤を充填することができ、固定部材520と収容ケース600との間隙を、ノズルのサイズを考慮せずに小さくし、接着厚を薄くすることができる。接着厚とは、接着部70のX方向の厚さである。接着厚を薄くすることにより、環境温度変化時の接着剤の熱膨張による位置ずれを小さくすることができる。
【0038】
また、接着部の端に行くほど、被着体と接着剤の熱膨張係数の差により生じる応力が大きくなり、界面剥離の起点となりやすいが、本実施例では接着部の端の接着厚が薄いため、応力を軽減し、剥離を抑制することができる。
凹部523は、収容ケース600の厚さ方向(図3のZ方向)に沿って形成されるので、接着剤を硬化させるための紫外線の照射に適している。また、貫通穴522及びそれを形成するための架橋部である突起部521は厚さ方向の中心に形成したが、ノズル先端を中心まで挿入させるために、厚さ方向で中心からずれた位置に形成してもよい。
【0039】
(第3実施例)
次に、本実施形態の第3実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部の構造について、図4を用いて説明する。図4は、第3実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図であり、固定部材530および収容ケース600の接着部を上方から見た上面図である。
なお、図4における固定部材530、固定部材530の側面530a,530bは、それぞれ、図1における固定部材500、固定部材500の側面500a,500bに相当する。
第3実施例が第1実施例と異なる点は、固定部材と収容ケースの接着構造である。それ以外の構成は、第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0040】
第1実施例では、固定部材510の側面510a,510bに、それぞれ1つの突起部511を設けているのに対して、第3実施例では、固定部材530の側面530a,530bのそれぞれに複数の突起部531を設け、各突起部531にそれぞれZ方向に貫通する貫通穴532を設けた構造である。図4の例では、固定部材530の側面530a,530bに、それぞれ3つの突起部531を設けている。
複数の突起部531はすべて接着剤で覆われており、さらに全ての貫通穴532に接着剤が充填されている。突起部531の周囲及び貫通穴532内に接着剤を充填した後、貫通穴532の貫通方向(Z方向)の一方、例えば上方から紫外線を照射して、突起部531の周囲及び貫通穴532内の接着剤を硬化させる。
このようにして、アクチュエータ固定部材530と収容ケース600とは、固定部材530の2つの側面530a,530bにおいて、それぞれ3つの突起部531を内包する1箇所の接着部70でそれぞれ接着固定されている。
【0041】
第3実施例では、突起部531と貫通穴532は箱型(直方体形状)であるが、突起部531と貫通穴532の形状は、紫外線照射が容易な一定の方向に揃えられていれば、他の形状(例えば、多角柱、円柱など)でも良い。アクチュエータ固定部材530と突起部531と貫通穴532の形状や大きさは、第1実施例におけるアクチュエータ固定部材510と突起部511と貫通穴512の形状や大きさと同様である。突起部531の材質は、第1実施例の突起部511の材質と同様である。突起部531の厚さ(Z方向の寸法)等は、第1実施例と同様に、接着剤の硬化深度を考慮して決定される。なお、貫通穴532の内径は、接着部70の接着層に含まれるフィラの最大フィラサイズで規定される40μmよりも大きい必要があり、突起部531のサイズもこれを考慮して決定される。
【0042】
第3実施例でも、接着部70に加わる引張応力、せん断応力、曲げモーメントに対して抵抗力となる引っ掛かりが、突起部531により形成されるため、第1実施例と同様の効果があり、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落や位置ずれ、高温環境下における傾きを抑制できる。また、第3実施例では、接着部70に内包される突起部531が複数なので、接着部70に内包される突起部511が1つである第1実施例よりも、アクチュエータ固定部材530と収容ケース600との接着力を強くすることができる。
【0043】
(第4実施例)
次に、本実施形態の第4実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部の構造について、図5を用いて説明する。図5は、第4実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図であり、固定部材540および収容ケース600の接着部を上方から見た上面図である。
なお、図5における固定部材540、固定部材540の側面540a,540bは、それぞれ、図1における固定部材500、固定部材500の側面500a,500bに相当する。
第4実施例が第3実施例と異なる点は、固定部材と収容ケースの接着構造である。それ以外の構成は、第3実施例と同様であるので説明を省略する。
【0044】
第3実施例では、アクチュエータ固定部と収容ケースとが、固定部材530の側面530a,530bにおいて、それぞれ1箇所の接着部70で接着固定され、各接着部70が複数の突起部531を内包しているのに対して、第4実施例では、アクチュエータ固定部と収容ケースとは、固定部材540の2つの側面540a,540bにおいて、それぞれ複数の接着部70で接着固定され、各接着部70がそれぞれ突起部531を内包している。図5の例では、固定部材540の2つの側面540a,540bにおいて、それぞれ2つの接着部70で接着固定され、各接着部70がそれぞれ1つの突起部531を内包しているが、固定部材540の2つの側面540a,540bにおいて、それぞれ3つ以上の接着部70で接着固定されるように構成することも可能であり、また、各接着部70がそれぞれ複数の突起部531を内包するように構成することも可能である。
【0045】
第4実施例においても、第3実施例と同様に、固定部材540の2つの側面540a,540bにそれぞれ複数の突起部541を設け、各突起部541にそれぞれZ方向の貫通穴542を設けた構造である。図5の例では、アクチュエータ固定部と収容ケースとは、固定部材540の2つの側面540a,540bにおいて、それぞれ2箇所の接着部70で接着固定され、各接着部70がそれぞれ1つの突起部531を内包している。固定部材540の同じ側面に設けられた2箇所の接着部70は、上面から見て、互いに離間するように、固定部材540の同じ側面の両端に位置している。該離間した2箇所の接着部70の間は、接着剤が充填されてない空間になっている。
複数の突起部541の全てがそれぞれ接着剤で覆われており、さらに全ての貫通穴542に接着剤が充填されている。突起部541の周囲及び貫通穴542内に接着剤を充填した後、貫通穴542の貫通方向(Z方向)の一方、例えば上方から紫外線を照射して、突起部541の周囲及び貫通穴542内の接着剤を硬化させる。
このようにして、アクチュエータ固定部材540と収容ケース600とは、固定部材540の2つの側面540a,540bにおいて、それぞれ1つの突起部531を内包する2箇所の接着部70で接着固定されている。
【0046】
また、第3実施例と同様に、突起部541と貫通穴542は箱型(直方体形状)であるが、突起部541と貫通穴542の形状は、紫外線照射が容易な一定の方向に揃えられていれば、他の形状(例えば、多角柱、円柱など)でも良い。アクチュエータ固定部材540と突起部541と貫通穴542の形状や大きさは、第1実施例におけるアクチュエータ固定部材510と突起部511と貫通穴512の形状や大きさと同様である。突起部541の材質は、第1実施例の突起部511の材質と同様である。突起部541の厚さ(Z方向の寸法)等は、第1実施例と同様に、接着剤の硬化深度を考慮して決定される。なお、貫通穴542の内径は、接着部70の接着層に含まれるフィラの最大フィラサイズで規定される40μmよりも大きい必要があり、突起部541のサイズもこれを考慮して決定される。
【0047】
第4実施例でも、接着部70に加わる引張応力、せん断応力、曲げモーメントに対して抵抗力となる引っ掛かりが、突起部541により形成されるため、第1実施例と同様の効果があり、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落や位置ずれ、高温環境下における傾きを抑制できる。
また、第4実施例では、固定部材540の1つの側面を、それぞれ突起部541を内包する2点の接着部70で接着固定するので、1点の接着部70で接着固定する第1実施例よりも、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落や位置ずれ、高温環境下における傾きを抑制できる。
また、第4実施例のように、固定部材540の1つの側面を、それぞれ突起部541を内包する2点の接着部70で接着固定する場合、第3実施例のように1点の接着部70で接着固定する場合よりも、曲げモーメントに対する支点を増やすことができるため、傾き抑制に対する効果がより高い。
【0048】
(第5実施例)
次に、本実施形態の第5実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部の構造について、図6を用いて説明する。図6は、第5実施例に係るアクチュエータ固定部と収容ケースとの接着部を説明する図であり、固定部材550および収容ケース650の接着部を上方から見た上面図である。
なお、図6における固定部材550、固定部材550の側面550a,550b、収容ケース650は、それぞれ、図1における固定部材500、固定部材500の側面500a,500b、収容ケース600に相当する。
第5実施例が第4実施例と異なる点は、固定部材と収容ケースの接着構造である。それ以外の構成は、第4実施例と同様であるので説明を省略する。
【0049】
第4実施例では、固定部材540の側面540a,540bにのみ突起部541を設けているのに対して、第5実施例では、固定部材550の側面550a,550bにそれぞれ突起部551を設けるとともに、それぞれの突起部551にZ方向の貫通穴552を設け、更に収容ケース650の接着面650a,650bにもそれぞれ突起部651を設け、それぞれの突起部651にZ方向の貫通穴652を設けた構造である。
図6の例では、固定部材550の側面550a,550bにそれぞれ2つの突起部551を設け、収容ケース650の接着面650a,650bにそれぞれ1つの突起部651を設けている。突起部651は、固定部材550の同じ側面に設けられた2つの突起部551の間になるよう配置されている。
なお、収容ケース650の同じ接着面に、複数の突起部651を設けるように構成することも可能である。また、固定部材550の同じ側面に、突起部551を1つだけ設けるように構成することも可能である。
【0050】
固定部材550の突起部551と収容ケース650の突起部651は接着剤で覆われており、突起部551の貫通穴552と突起部651の貫通穴652には接着剤が充填されている。突起部551と突起部651の周囲及び貫通穴552内と貫通穴652内に接着剤を充填した後、貫通穴552や貫通穴652の貫通方向(Z方向)の一方、例えば上方から紫外線を照射して、突起部551と突起部651の周囲及び貫通穴552内と貫通穴652内の接着剤を硬化させる。
このようにして、アクチュエータ固定部材550と収容ケース650とは、固定部材550の2つの側面550a,550bにおいて、それぞれ2つの突起部551と1つの突起部651を内包する1箇所の接着部70で接着固定されている。
【0051】
第5実施例では、固定部材550の突起部551と貫通穴552、収容ケース650の突起部651と貫通穴652は箱型(直方体形状)であるが、突起部551及び突起部651と貫通穴551及び貫通穴552の形状は、紫外線照射が容易な一定の方向に揃えられていれば、他の形状(例えば、多角柱、円柱など)でも良い。突起部551と貫通穴552の形状や大きさは、第1実施例における突起部511と貫通穴512の形状や大きさと同様である。また、突起部651と貫通穴652の形状や大きさも、第1実施例における突起部511と貫通穴512の形状や大きさと同様である。突起部551の材質は、第1実施例の突起部511の材質と同様である。突起部651の材質は、収容ケース650の接着面650a,650bの材料である被着体材料と同じ材料であるZn、Mg、Alなどの金属を主成分としたダイカストやプレス成形品、またはPPS(ポリフェニレンサルファイド)を主成分としたインジェクション成形品などで構成される。突起部651は、収容ケース650と一体的に形成してもよいし、あるいは別に形成して収容ケース650に接着してもよい。突起部551や突起部651の厚さ(Z方向の寸法)等は、第1実施例と同様に、接着剤の硬化深度を考慮して決定される。なお、貫通穴552と貫通穴652の内径は、接着部70の接着層に含まれるフィラの最大フィラサイズで規定される40μmよりも大きい必要があり、突起部551や突起部651のサイズもこれを考慮して決定される。
【0052】
第5実施例でも、接着部70に加わる引張応力、せん断応力、曲げモーメントに対して抵抗力となる引っ掛かりが、突起部551と突起部651により形成されるため、第1実施例と同様の効果があり、対物レンズアクチュエータ5の界面剥離による脱落や位置ずれ、高温環境下における傾きを抑制できる。また、第5実施例では、接着面650a,650bにも突起部651が設けられるので、第1実施例よりも、アクチュエータ固定部材550と収容ケース650との接着力を強くすることができる。特に、固定部材550の側面550a,550bと収容ケース650の接着面650a,650bの両方が接着部70に使用される接着剤との親和性が低い材料である場合には、第1実施例よりも効果がある。
【0053】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
上述の実施形態では、光ピックアップ装置を用いて本発明の実施例を説明したが、これに限らず、光ピックアップ装置以外において、本発明の接着構造を用いてもよい。特に、接着精度が要求される光学部品の接着に好適である。
また、上述の実施形態では、紫外線により硬化する接着剤を用いたが、紫外線によらないで硬化する接着剤を用いることも可能である。
また、上述の実施形態では、貫通穴の貫通方向(Z方向)の一方から紫外線を照射することにより、突起部の周囲及び貫通穴内の接着剤を硬化させたが、貫通穴の貫通方向(Z方向)の両方から紫外線を照射することにより、接着剤を硬化させることも可能である。
また、第1〜第4実施例では、固定部材側に突起部を設けたが、収容ケース側に設ける構成も可能であり、固定部材側と収容ケース側の両方に突起部を設ける構成も可能である。
【符号の説明】
【0054】
2:発光素子、3:光学部品、4:光電変換素子、5:対物レンズアクチュエータ、31:対物レンズ、32:反射ミラー、51:ホルダ、52:サスペンションワイヤ、53:プリント基板、61:保持部、62a:収容部、62b:収容部、70:接着部、100:光ピックアップ装置、102:光ディスク、111a,111b:シャフト、500:固定部材、500a,500b:固定部材の接着面、510:固定部材、510a,510b:固定部材の接着面、511:突起部、512:貫通穴、520:固定部材、520a,520b:固定部材の接着面、521:突起部、522:貫通穴、523:凹部、530:固定部材、530a,530b:固定部材の接着面、531:突起部、532:貫通穴、540:固定部材、540a,540b:固定部材の接着面、541:突起部、542:貫通穴、550:固定部材、550a,550b:固定部材の接着面、551:突起部、552:貫通穴、600:収容ケース、600a,600b:収容ケースの接着面、650:収容ケース、651:突起部、652:貫通穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを収容する収容ケースとを備える光ピックアップ装置であって、
前記アクチュエータは、前記対物レンズの光軸方向である第1の方向と垂直な平面に交差する側面を有し、
前記収容ケースは、前記アクチュエータを収容した状態において前記側面に対向する接着面を有し、
前記側面と前記接着面の少なくとも一方は、他方に向かって突出する突起部を有し、
前記突起部は、該突起部を前記第1の方向に貫通する貫通穴を有するとともに、少なくとも前記第1の方向において該突起部の周囲よりも突出する形状であり、
前記収容ケースに前記アクチュエータを収容した状態において、前記突起部の周囲及び前記貫通穴に接着剤が充填されて、前記突起部を内包し前記側面と前記接着面とを接着する接着部が形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップ装置であって、
前記接着剤が紫外線硬化型接着剤であり、
前記貫通穴が、前記紫外線硬化型接着剤を硬化させるための紫外線照射方向に沿って一定の形状を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光ピックアップ装置であって、
前記側面の1つと該1つの側面に対向する接着面の間隙に、前記突起部を内包する前記接着部が、複数形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光ピックアップ装置であって、
前記側面と前記接着面の両方が、それぞれ、他方に対して突出する突起部を有していることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光ピックアップ装置であって、
前記突起部は、該突起部の全周囲よりも突出する形状であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光ピックアップ装置であって、
前記突起部は、前記第1の方向においてのみ該突起部の周囲が該突起部よりも窪む形状であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
固定部と、前記固定部を収容する収容ケースとを備える固定部収容装置であって、
前記固定部は、第1の方向と垂直な平面に交差する側面を有し、
前記収容ケースは、前記固定部を収容した状態において前記側面に対向する接着面を有し、
前記側面と前記接着面の少なくとも一方は、他方に向かって突出する突起部を有し、
前記突起部は、該突起部を前記第1の方向に貫通する貫通穴を有するとともに、少なくとも前記第1の方向において該突起部の周囲よりも突出する形状であり、
前記収容ケースに前記固定部を収容した状態において、前記突起部の周囲及び前記貫通穴に接着剤が充填されて、前記突起部を内包し前記側面と前記接着面とを接着する接着部が形成されたことを特徴とする固定部収容装置。
【請求項8】
対物レンズと前記対物レンズの光軸方向である第1の方向と垂直な平面に交差する側面とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを収容し前記アクチュエータを収容した状態において前記側面に対向する接着面を有する収容ケースとを備え、前記側面と前記接着面の少なくとも一方は、他方に向かって突出する突起部を有し、前記突起部は、該突起部を前記第1の方向に貫通する貫通穴を有するとともに、少なくとも前記第1の方向において該突起部の周囲よりも突出する形状である光ピックアップ装置の製造方法であって、
前記アクチュエータの側面を、前記収容ケースの接着面と対向させる工程と、
前記対向させたアクチュエータの側面と収容ケースの接着面との間に、接着剤充填用ノズルを挿入する工程と、
前記接着剤充填用ノズルから接着剤を射出して、前記対向させたアクチュエータの側面と収容ケースの接着面との間に、前記射出した接着剤を充填する工程と、
前記対向させたアクチュエータの側面と収容ケースの接着面との間に充填された接着剤を硬化させる工程と、を含む光ピックアップ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114706(P2013−114706A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258598(P2011−258598)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】