光ピックアップ装置及び光ディスク装置
【課題】複数の情報記録層を有する光ディスクを記録及び再生する場合に、安定したサーボ信号を生成し、低コストで、小型化し得ることが可能な光ピックアップ装置及びこれらを搭載した光ディスク装置を提供する。
【解決手段】回折素子は、第1、第2、第3の分割領域を有し、第3の分割領域は、回折素子の中心を含み、第1の分割領域は、回折素子の略中心を通る光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、第2の分割領域は、回折素子の略中心を通る光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、少なくとも4分割されており、第1の分割領域、第2の分割領域、第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が光ディスクのトラックと略垂直な方向に並べるようにした。
【解決手段】回折素子は、第1、第2、第3の分割領域を有し、第3の分割領域は、回折素子の中心を含み、第1の分割領域は、回折素子の略中心を通る光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にあり、第2の分割領域は、回折素子の略中心を通る光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にあり、少なくとも4分割されており、第1の分割領域、第2の分割領域、第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が光ディスクのトラックと略垂直な方向に並べるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関し、例えば多層の光ディスクに対応した光ピックアップ装置及び光ディスク装置に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ディスクの情報の読み取り及び書き込みには、光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置が用いられている。この光ピックアップ装置は、光ディスク内にある所定のトラック上に正しくスポットを照射するために、光検出器の受光部より検出したフォーカス誤差信号に基づいて対物レンズをフォーカス方向に変位させてフォーカス調整を行う他、トラッキング誤差信号に基づいて対物レンズを光ディスク半径方向(以下、これをラジアル方向と呼ぶ)へ変位させてトラッキング調整を行う。従来の光ディスク装置は、これらフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号によるサーボ信号に基づいて、対物レンズの位置制御を行っている。
【0003】
ところで、近年では光ディスクの大容量化に伴い、複数の情報記録層を有する多層の光ディスクが知られている。このような3層以上の情報記録層から構成される多層の光ディスクの情報の読み取り及び書込みの際に従来の光ピックアップ装置では、情報記録層を反射した信号光と、他層の情報記録層を反射した迷光とが光検出器の同じ受光部上に入射するおそれがあり、このような場合には、かかる信号光とかかる迷光とが干渉して正確なトラッキング誤差信号が検出できず、安定したトラッキング制御ができなくなる問題があった。
【0004】
かかる課題を解決するための手段として、例えば特許文献1には、トラッキング誤差信号検出用の受光部を迷光から離れた位置に配置し、さらに、一部の受光部を光ディスクのトラックの接線の延長線方向(以下、これをタンジェンシャル方向と呼ぶ)に配置し、残りの受光部をトラックの接線方向に垂直な光ディスク半径方向(ラジアル方向)に配置することで、他の情報記録層を反射した迷光を避けながら、安定したトラッキング誤差信号を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2008-135151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された方法によると、トラッキング誤差信号検出用の受光部に要する光検出器の面積が大きくなってしまい、光検出器のサイズが大きくなるため、光検出器の製造コストが高くなる問題や、光ピックアップ全体としてサイズが大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、複数の情報記録層を有する光ディスクを記録及び再生する場合に、安定したサーボ信号を生成し、低コストで、小型化し得ることが可能な光ピックアップ装置及びこれらを搭載した光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0009】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0010】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0011】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0012】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0013】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0014】
また、本発明においては、光ディスク装置において、請求項1ないし13記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置内における前記半導体レーザを駆動するレーザ点灯回路と、前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路とを搭載するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の情報記録層を有する光ディスクを記録及び再生する場合に、安定したサーボ信号を生成し、低コストで、小型化し得ることが可能な光ピックアップ装置及びこれらを搭載した光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態による光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるホログラム素子の構成例を示す平面図である。
【図4】光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図5】(A)は、デフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(B)は、ジャストフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(C)は、デフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図6】(A)は、デフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(B)は、ジャストフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(C)は、デフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図7】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図8】受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図9】(A)は、第3の領域をタンジェンシャル方向に広くとった場合の変形例を示す図であり、(B)は、第3の領域のタンジェンシャル方向を第2の領域と同じだけ広くとった場合の変形例を示す図であり、(C)は、第3の領域を円弧形状にした場合の変形例を示す図であり、(D)は、第3の領域を谷形状にした場合の変形例を示す図である。
【図10】(A)は、第1の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第1の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図12】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図13】受光部e1,f1,g1及びh1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図14】第2の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図16】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図17】受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図18】(A)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(C)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図19】第4の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図20】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図21】受光部e1,f1,g1及びh1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図22】(A)は、第4の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第4の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図23】第5の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図24】第5の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図25】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図26】(A)は、第3の領域をタンジェンシャル方向に広くとった場合の変形例を示す図であり、(B)は、第3の領域のタンジェンシャル方向を第2の領域と同じだけ広くとった場合の変形例を示す図であり、(C)は、第3の領域を円弧形状にした場合の変形例を示す図であり、(D)は、第3の領域を谷形状にした場合の変形例を示す図である。
【図27】第5の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図28】第6の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図29】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図30】(A)は、第6の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第6の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図31】第7の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図32】第7の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図33】第8の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図34】第9の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図35】第10の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図36】第11の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図37】第12の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図38】第13の実施の形態における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)第1の実施の形態
(1−1)本実施の形態による光ディスク装置の構成
図1において、1は全体として本実施の形態による光ディスク装置を示す。この光ディスク装置1は、スピンドルモータ2、スピンドルモータ駆動回路4、光ピックアップ5、レーザ点灯回路6、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8、アクチュエータ駆動回路9、対物レンズ10、球面収差補正素子駆動回路11、アクセス制御回路12、コントロール回路13及び情報信号記録回路14を備えて構成される。
【0019】
光ディスク3は、円盤状の情報記録体であり、その中心がスピンドルモータ2の回転軸に固定されている。このスピンドルモータ2は、スピンドルモータ駆動回路4によって電力が供給されることにより、回転軸を回転駆動する。
【0020】
また光ピックアップ5は、光ディスク3に対して光学的に情報を記録及び再生する光学部品である。レーザ点灯回路6から光ピックアップ5内に組み込まれた後述する半導体レーザに所定のレーザ駆動電流が供給されることで、当該半導体レーザからは再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路6は光ピックアップ5内に組み込むこともできる。
【0021】
さらに光ピックアップ5からの出力信号は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信される。情報信号再生回路7は、光ピックアップ5からの出力信号に基づいて光ディスク3に記録された情報信号であるRF(Radio Frequency)信号を再生する。そして、サーボ信号再生回路8では、光ピックアップ5からの出力信号に基づいてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路9を経て光ピックアップに搭載された対物レンズ10の位置制御がなされる。また、球面収差補正素子駆動回路11は、この生成されたサーボ信号を基に光ピックアップ装置5に搭載された後述するコリメートレンズを光軸方向へ移動させることによって球面収差を補正する。
【0022】
さらに光ピックアップ装置5には、光ディスク3のラジアル方向に沿って光ピックアップ装置5を駆動するための機構が設けられており、アクセス制御回路12からのアクセス信号に応じて位置制御される。
【0023】
コントロール回路13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びメモリなどを備えるマイクロコンピュータである。コントロール回路13には、スピンドルモータ駆動回路4、レーザ点灯回路6、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8、球面収差補正素子駆動回路11、アクセス制御回路12及び情報信号記録回路14などが接続され、スピンドルモータ駆動回路4、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8及びアクセス制御回路12からの信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路4、レーザ点灯回路6、サーボ信号再生回路8、球面収差補正素子駆動回路11及びアクセス制御回路12それぞれに制御信号を送信し、光ディスク3を回転させるスピンドルモータ2の回転制御、光ピックアップ装置5の位置制御、対物レンズ10の位置制御、球面収差補正及び光ピックアップ装置5内の半導体レーザ発光光量の制御などが行われる。
【0024】
さらに、記録時はコントロール回路13及びレーザ点灯回路6の間に設けられている情報信号記録回路14は、コントロール回路13からの記録制御信号に基づいて、レーザ点灯回路6を駆動させて光ディスク3に情報を記録する。
【0025】
(1−2)本実施の形態による光ピックアップ装置の構成
次に、図1の光ディスク装置1に搭載された光ピックアップ装置5の光学系について説明する。図2に示すように、光ピックアップ装置5は、半導体レーザ20、ビームスプリッタ21、フロントモニタ22、コリメートレンズ23、立上げミラー24、1/4波長板25、アクチュエータ26、対物レンズ10、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器29を備えて構成される。
【0026】
なお、以下では、本実施の形態における光ピックアップ装置5では、BD(Blu-Ray Disc)を再生及び記録する場合について説明する。ただし、BDには限定されず、他の記録式であっても良い。
【0027】
半導体レーザ20は、BD規格に対応したほぼ405〔nm〕帯の発散光の光ビームL1を出射するレーザダイオードから構成され、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0028】
また、ビームスプリッタ21は、光ビームL1を透過させたり2つ以上に分割する光学部品である。半導体レーザ20の駆動時に当該半導体レーザ20から出射された光ビームL1は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ22に入射する光ビームL1と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL1とに分割される。
【0029】
フロントモニタ22は、光ビームL1の光量を検出するための光学部品で、光ディスク3の記録再生動作の精度を向上させるために光ビームL1の光量を所望の値に制御する際に使用される。具体的に、フロントモニタ22は、半導体レーザ20からの光ビームL1における光量の変化を検出し、検出結果をコントロール回路13(図1)にフィードバックする。これにより、コントロール回路13の制御のもとに、光ディスク3に照射される光ビームL1の光量を制御することが可能となる。
【0030】
コリメートレンズ23は、コリメートレンズ23を光軸方向に駆動する機構によって光軸方向に駆動することで、光ビームL1の発散及び収束状態を変える光学部品で、光ディスク3のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。そして、コリメートレンズ23を透過した光ビームL1は立上げミラー24、によって反射され、1/4波長板25に入射する。
【0031】
1/4波長板25は、直線偏光を円偏光にする光学部品である。具体的に、光ビームL1は、1/4波長板25によって円偏光に変換され、アクチュエータ26に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、光ディスク3上のトラックによって光ビームL1は、3本の光ビーム(ディスク0次回折光、ディスク+1次回折光及びディスク−1次回折光)に回折される。
【0032】
なお、対物レンズ10は、光ビームL1の光束を集光する光学部品で、対物レンズ10を駆動するアクチュエータによって光ディスク3に対して近接する方向又は離反する方向に変位させたり、光ディスク3のラジアル方向に傾かせることができる。
【0033】
一方光ディスク3を反射した光ビームL1は、対物レンズ10により平行光に変換された後に、1/4波長板25、立上げミラー24、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0034】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL1をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27上の分割領域によって回折された光ビームL1は、検出レンズ28に入射する。なお、ホログラム素子27は、入射する光ビームL1を所定の方向に回折すると共に、光ビームL1に対して非点収差を与える。具体的に、ホログラム素子27に入射したディスク−1次回折光には、ホログラム素子27によって所定の方向に回折されると共に所定の非点収差が与えられる。また、ホログラム素子27に入射したディスク+1次回折光には、ホログラム素子27よって所定の方向に回折されると共にディスク−1次回折光に与えられる非点収差と反対の収差が与えられる。また、ホログラム素子27を透過したディスク0次回折光には、ホログラム素子27によって非点収差が与えられない。
【0035】
検出レンズ28は、ホログラム素子27によって回折された光ビームL1に対して非点収差を与える光学部品である。具体的に、ホログラム素子27を透過した0次回折光及び−1次回折光は、検出レンズ28によって所定の非点収差が与えられデフォーカス状態で光検出器29に入射する。また、ホログラム素子27の+1次回折光には、検出レンズ28によって0次回折光に与えられる非点収差と反対の収差を与えられているため、ホログラム素子27によって与えられた非点収差は抑制され、光検出器29上で集光する。
【0036】
また、光検出器29は、光ビームL1が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器29によって、受光部に入射した光ビームL1を光電変換する。得られた信号を光検出器29は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0037】
図3は、図2におけるホログラム素子27を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図の一例である。図3における二点鎖線は、光ディスク3の所望の情報記録層に対物レンズ10の焦点を結んでいるときのホログラム素子27上の光ビームL1の光スポットの外形を表す。また、斜線部は、光ディスク3上のトラックによって回折されたディスク±1次回折光とディスク0次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。
【0038】
さらに、実線は領域の境界線を表し、ホログラム素子27は、光ディスク3上のトラックを反射した0次回折光が入射する領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)と、0次回折光、±1次回折光が入射する領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)及び領域Di(第3の分割領域)とで形成され、入射した光ビームL1は、それぞれの領域ごとにそれぞれ異なった方向へ回折される。なお、図3に示すホログラム素子27上の領域Diは、タンジェンシャル方向に延びる第1の分割線30及びラジアル方向に延びる第2の分割線31の交わるホログラム素子27の中心部32を含んだ所定の領域に位置し、領域De,Df,Dg及びDhは、ホログラム素子27の四隅を含んだ所定の領域で、第1の分割線30の直線上で、当該第1の分割線30に対して略対称になるように位置し、領域Da,Db,Dc及びDdは、第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して略対称になるように位置している。また言い換えると、ホログラム素子27は、第1、第2、第3の分割領域を有し、第3の分割領域は、ホログラム素子27の中心を含む領域であり、第1の分割領域は、ホログラム素子27の略中心を通る光ディスク3のトラックと略平行な方向に延びる第1の分割線30上にある領域であり、第2の分割領域は、ホログラム素子の略中心を通る光ディスク3のトラックと略垂直な方向に延びる第2の分割線31上にある領域であり、かつ第3の分割領域は、前記光ディスク3のトラックの0次回折光と±1次回折光が交わるプッシュプル領域を含んでおり、第1の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略垂直な方向に並び、第2の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略平行な方向に並ぶことを特徴としている。また、本実施の形態は第1の分割領域または第2の分割領域を少なくとも4分割し、受光部の配置を組み合わせることで光検出器29のサイズを小さくしていることを特徴としている。
【0039】
なお、ホログラム素子27の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=7:3:0であるとする。したがって本実施の形態における光ピックアップ装置5の光検出器29は、ホログラム素子27を透過した0次回折光及びホログラム素子27を回折した+1次回折光を受光することとなる。
【0040】
図4は、光検出器29における受光部の配置パターンの一例を示す。図中の斜線部及び黒点は、信号光を示している。ここで、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光は、それぞれ受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器29上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0041】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号の検出には、例えば非点収差方式を使用する。非点収差方式とは、光検出器29上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する光ビームL1の光スポットの形状が焦点の位置によって変わることを利用した方式である。対物レンズ10の焦点距離に対して光ディスク3の情報記録層の位置が近づく又は遠ざかる状態であるデフォーカスの状態の場合に、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)のうち、受光部a,c又は受光部b,dに入射する光量が大きくなる。そして、受光部a,cと受光部b,dとで検出された信号の差分をとり、差分が0になるときが対物レンズ10の焦点が光ディスク3の情報記録層上にあるジャストフォーカスの状態を示す。従って、上述したアクチュエータ駆動回路9は、当該差分が0になるように、対物レンズ10を制御する。なお、非点収差方式は公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
上述の非点収差方式を用いて、フォーカス誤差信号FESを、信号A,B,C及びDより次式
【数1】
・・・・・(1)
により生成する。
【0043】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数2】
・・・・・(2)
により生成する。
【0044】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図4に示す光検出器29の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1にそれぞれ入射する。そして、この光検出器29上の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1から光量に応じて出力される信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器29の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0045】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号の検出には、例えば1ビームディファレンシャルプッシュプル方式(以下、これを1ビームDPP(Differential Push Pull)方式と呼ぶ)を使用する。
【0046】
1ビームDPP方式とは、レンズシフトをしたときにオフセットが発生することなく、プッシュプル信号によりトラッキング誤差信号を生成する方法である。プッシュプル信号は、光ディスク3の情報記録層によって反射した光束を、例えばホログラム素子27上のタンジェンシャル方向にほぼ平行で光束中心を通る分割線によって2分割にし、左右の光束の差分をとることで生成することができる。しかし、プッシュプル成分を含んだ信号のみでは、対物レンズがRad方向に対物レンズ変位、すなわちレンズシフトしたときに、光量アンバランスが生じて直流成分のオフセットが発生し、不安定なトラッキング誤差信号となる。そこで、オフセット成分含んだ信号を用いて、オフセットをキャンセルする演算を行うことにより、安定なトラッキング誤差信号を得ることができる。DPP法を1ビームで行うことを1ビームDPP方式と呼ぶ。なお、1ビームDPP方式は公知の技術であるため、これ以上の説明は省略する。
【0047】
上述の1ビームDPP方式を用いて、トラッキング誤差信号TESを、信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1より次式
【数3】
・・・・・(3)
により生成する。
【0048】
(3)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(3)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(3)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0049】
なお、以下では、図5〜8を用いて、多層の光ディスク3を記録及び再生する場合に所望の情報記録層以外の情報記録層(以下、これを他の情報記録層と呼ぶ)で発生する迷光について説明する。多層の光ディスク3を記録及び再生する場合、少なくとも2種類の迷光を考える必要がある。光検出器29の受光部は、光ディスク3の隣接する情報記録層との層間隔が小さいときの迷光(最小層間迷光)を回避して配置する必要がある。また、光検出器29の受光部は、多層の光ディスク3における光ビームの入射面に最も近い情報記録層(以下、これを最も手前の情報記録層と呼ぶ)を記録及び再生しているときの多層の光ディスク3における光ビームの入射面から最も遠い情報記録層(以下、これを最も奥の情報記録層と呼ぶ)からの迷光(最大層間迷光)と、最も奥の情報記録層を記録及び再生しているときの最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とを回避して配置する必要がある。
【0050】
具体的に、多層の光ディスク3の場合、2層の光ディスク3と比べて隣接する情報記録層の間隔が狭くなるため光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなり、光検出器29の面積を小さくするためホログラム素子27上の領域にそれぞれ対応する光検出器29の受光部同士の間隔を狭くすると他の領域を回折した迷光が入り込んでしまうといった問題がある。また、3層以上の多層の光ディスク3の場合、2層の光ディスク3と比べて多層になる分、最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との間隔が広くなるため、これら情報記録層間の間隔の距離に比例して光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1と迷光との間隔が広くなり、また迷光の大きさも大きくなるためホログラム素子27上の領域にそれぞれ対応する光検出器29の受光部同士の間隔を広くしなければならず、これによって光検出器29の面積が大きくなるといった問題がある。
【0051】
以下では、多層の光ディスク3を記録及び再生する上で、隣接する情報記録層との層間隔が小さい場合に発生する迷光(最小層間迷光)について説明する。図5は、ホログラム素子27の領域Dhを回折し、受光部h1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図5(B)に示す黒点は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のジャストフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。図5(A)に示す斜線部は、情報記録層よりも手前で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。図5(C)に示す斜線部は、情報記録層よりも奥で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。
【0052】
なお、図5(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より奥に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部h1上の光スポットは、ホログラム素子28をそのまま写像した方向に領域Dhを通る光ビームL1の光スポットの外形と相似形の光スポットとなる。また、図5(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より手前に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部h1上の光スポットは、ホログラム素子27を点対称で反転して写像した方向に表われる。従って、光検出器29上で光ビームが図5(B)に示す収束位置に対して点対称にぼけるため、図5(A)〜(C)及び矢印40に示すように領域Dhを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってタンジェンシャル方向に移動する。
【0053】
ここで、デフォーカスについて説明するのは、多層の光ディスクにおける他層からの迷光は焦点位置ではない場所で反射したデフォーカス状態の光ビームL1と解釈できるからである。具体的に、図5(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、2つの記録層のうち奥側の記録層に焦点を合わせた場合の手前側の記録層からの迷光と解釈することができる。また、図5(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、2つの記録層のうち手前側の記録層に焦点を合わせた場合の奥側の記録層からの迷光と解釈することができる。
【0054】
図6は、ホログラム素子27の領域Ddを回折し、受光部d1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図6(B)に示す黒点は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のジャストフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。図6(A)に示す斜線部は、情報記録層よりも奥で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。また、図6(C)に示す斜線部は、情報記録層よりも手前で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。
【0055】
なお、図6(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より手前に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部d1上の光スポットは、ホログラム素子28を点対称で反転して写像した方向に表われる。また、図6(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より奥に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部d1上の光スポットは、ホログラム素子27をそのまま写像した方向に領域Dhを通る光ビームL1の光スポットの外形と相似形の光スポットとなる。従って、光ビームが図6(B)に示す収束位置に対して点対称にぼけるため、図6(A)〜(C)及び矢印41に示すように領域Ddを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってラジアル方向に移動する。
【0056】
ここで、図5と図6を比較するとデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1の移動する方向が異なることがわかる。例えば、領域Dhを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってタンジェンシャル方向に移動し、領域Ddを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってラジアル方向に移動する。従って、迷光の避け方も領域により分けることが重要となる。例えば、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg,Dh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避けることが望ましい。このように迷光を避けることで対物レンズ10が光ディスク3上のトラックに追従するためにラジアル方向に変位しても光検出器29の受光部には、入射しない構成をとることができる。一方、領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べてしまうと、層間隔の小さい光ディスク3による最小層間迷光は光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなるため、他の領域を回折した光ビームL1による迷光が受光部に入射してしまう問題が発生する。このため、光検出器27上の受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をラジアル方向に並べることで、最小層間隔の関係にある情報記録層間で発生した迷光の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0057】
また、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けることが望ましい。このように迷光を避けることで対物レンズ10が光ディスク3上のトラックに追従するためにラジアル方向に変位しても光検出器29の受光部には、入射しない構成をとることができる。一方、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をラジアル方向に並べてしまうと、層間隔の小さい光ディスク3による最小層間迷光は光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなるため、他の領域を回折した光ビームL1による迷光が受光部に入射してしまう問題が発生する。このため、光検出器27上の受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで、最小層間隔の関係にある情報記録層間で発生した迷光の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0058】
次に多層の光ディスク3を記録及び再生する上で、情報記録層の層間隔が大きい場合に発生する迷光(最大層間迷光)について説明する。図7は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器29の受光部a1〜h1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図7に示す黒点及び斜線部は、それぞれ光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図7に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0059】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図7に最も手前側の記録層に焦点を合わせたときの最も奥側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0060】
デフォーカス状態の光ビームL1による迷光の光スポットは、層間隔の最も離れた最大層間隔の関係にある最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との距離に応じてラジアル方向及びタンジェンシャル方向に広がり、また光スポットの大きさも大きくなる。
【0061】
具体的に、例えば2層の光ディスク3の場合、最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との層間隔は通常25±5マイクロメートルと定義されており、最小でも20マイクロメートルまた、最大でも30マイクロメートルであるため、他層の情報記録層で発生した迷光による光検出器29上での光スポットの大きさはある程度制限される。しかしながら、3層以上の光ディスク3の場合、例えば、最も層間隔の離れた最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との層間隔は2層の場合の層間隔に比べて長くなる可能性がある。層間隔が長くなると最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合には、最も奥の情報記録層からの迷光の焦点と光検出器29との距離が長くなり、それによって光検出器29上では、ジャストフォーカスで入射した光ビームL1に対して、迷光はラジアル方向及びタンジェンシャル方向に広がり、さらに光スポットも大きくなる。
【0062】
したがって、光検出器29の受光部は、安定したトラッキング誤差信号を得るため、上述の最大層間迷光を回避するためには、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及び受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をそれぞれの迷光が入りこまない十分に離れた位置に配置する必要がある。
【0063】
以上のような多層の光ディスク3を記録及び再生する場合に他の情報記録層で発生する最小層間迷光及び最大層間迷光を光検出器29の受光部に入射させない構成をとるため、特許文献1に示す従来の光ピックアップ装置における光検出器は、受光部を迷光から離れた位置に配置することで、多層の光ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0064】
特許文献1に示す従来の光ピックアップ装置の場合、実際上、光検出器のトラッキング誤差信号を検出するための第2及び第3受光部群は、0次回折光が第1の受光部群に入射することによって発生した最大層間迷光50(図7)を回避するために0次回折光の光軸から十分離れた位置に配置される。そして、複数の受光部から構成される第2の受光部群は、光軸に対してラジアル方向に並べて配置する。また、第3の受光部群は、タンジェンシャル方向に並べて配置しており、第2の受光部群と第3の受光部群とは、光軸に対して、およそ90度をなす方向に配置することで、第2及び第3の受光部群は、0次回折光による最大層間迷光40を回避すると共に、第1の受光部群及び第2の受光部群のそれぞれラジアル方向及びタンジェンシャル方向に発生する最小層間迷光及び最大層間迷光を回避することができる。
【0065】
しかしながら、かかる従来の光検出器においては、第2及び第3の受光部群は、ディスクの記録層の最大層間隔に比例して広がってしまい、その分受光部に要する光検出器29の面積が大きくなってしまい、光検出器29の大きさが大きくなるといった問題がある。
【0066】
そこで、本実施の形態による光ディスク装置1においては、このような問題を防ぐため、図8に示すように、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)を0次回折光が第1の受光部群に入射することによって発生した0次回折光による最大層間迷光50(図7)を受光しない位置に配置する。また、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)を第1の受光部群に対して同一方向であるタンジェンシャル方向に集めて配置する。さらに受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をラジアル方向に並べて配置し、a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をタンジェンシャル方向に配置する。これにより、最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器29上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0067】
図8は、ホログラム素子27を回折し、受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図8にホログラム素子領域Da,Db,Dc及びDdを回折した迷光のみを示して説明する。
【0068】
図8中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0069】
また矢印60は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印60の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印60の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0070】
ここで、例えばホログラム素子領域Daを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動すると同時に、タンジェンシャル方向に広がっていく。このとき、タンジェンシャル方向に広がる迷光は、図6で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Daを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がラジアル方向に並んでいる受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射しないよう受光部a1を配置している。そして、ホログラム素子領域Db,Dc及びDdを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射しないよう受光部b1,c1及びd1を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射することがない。
【0071】
また、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動するため、受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でラジアル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)とタンジェンシャル方向に並べた受光部a1及びb1及び受光部c1及びd1とをラジアル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器29の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0072】
(1−3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態によれば、複数の情報記録層を有する光ディスク3を記録及び再生する場合おいて、迷光を考慮して光検出器29の受光部を組み合わせて配置することで、小さい領域に受光部を配置しても最小層間迷光及び最大層間迷光を回避することができ、従来のようにディスクの最大層間隔に比例して大きくなる最大層間迷光に応じて光検出器29の受光部の大きさを大きくする場合に比べて、低コストで、小型化し得る光ピックアップ装置5を実現できる。
【0073】
(1−4)第1の実施の形態の変形例
なお、上述の第1の実施の形態においては、ホログラム素子27の構成を図3に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図9(A),図9(B),図9(C)及び図9(D)に示すように領域De,Df,Dg及びDhの各領域がそれぞれ第1の分割線30に対して対称になり、領域Da,Db,Dc及びDdの各領域がそれぞれ第2の分割線31に対して対称になるようにホログラム素子27を構成すれば良く、この場合、Di(第3の分割領域)は、どのような構成であっても構わない。
【0074】
また、上述の第1の実施の形態においては、光検出器29の受光部の配置パターンを図4に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10(A)及び図10(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0075】
(2)第2の実施の形態
(2−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2においては、130は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置130は、光検出器131の受光部構成が異なる点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0076】
実際上、第1の実施の形態において、光検出器29の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器131では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置130においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器131上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0077】
図11は、第2の実施の形態に係る光ピックアップ装置130で用いる光検出器131の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器131において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図3)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器131上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0078】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを、非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数4】
・・・・・(4)
により生成する。
【0079】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数5】
・・・・・(5)
により生成する。
【0080】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図11に示す光検出器131の受光部a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2及びh2にそれぞれ入射する。そして、この光検出器131上の受光部a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2及びh2から光量に応じて出力される信号A2,B2,C2,D2,E2,F2,G2及びH2によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器131の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0081】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A2,B2,C2,D2,E2,F2,G2及びH2より次式
【数6】
・・・・・(6)
により生成する。
【0082】
(6)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(6)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(6)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0083】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図12〜13を用いて説明する。
【0084】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0085】
なお、本実施の形態における光検出器131の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器131は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e2及びh2と受光部f2及びg2をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えている。
【0086】
このように光検出器131は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器131は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0087】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図12は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器131の受光部a〜h2に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図12に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図12に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0088】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図12に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0089】
本実施の形態における光検出器131では、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光140を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器131は、0次回折光により発生した最大層間迷光140を回避することが可能となる。
【0090】
また、光検出器131は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部f2及びg2と受光部e2及びh2をラジアル方向に並べ、受光部e2及びh2と受光部f2及びg2とで領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するタンジェンシャル方向に並べた受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)を挟み込むようにして配置する。これにより、光検出器131は、最大層間迷光を回避することが可能となる。
【0091】
図13は、ホログラム素子27を回折し、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図13にホログラム素子領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0092】
図13中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0093】
また矢印150は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印150の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印150の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0094】
ここで、例えばホログラム素子27の領域Deを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動すると同時に、ラジアル方向に広がっていく。このとき、ラジアル方向に広がる方向は、図5で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Deを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がタンジェンシャル方向に並んでいる受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射しないよう受光部e2を配置している。そして、ホログラム素子27の領域Df,Dg及びDhを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射しないよう受光部f2,g2及びh2を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射することがない。
【0095】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f2及びg2と受光部e2及びh2とタンジェンシャル方向に並べた受光部a2,b2,c2及びd2とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器131の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0096】
(2−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置130によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0097】
(2−3)第2の実施の形態の変形例
【0098】
なお、上述の第2の実施の形態においては、光検出器131の受光部の配置パターンを図4に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0099】
(3)第3の実施の形態
(3−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、170は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置170は、光検出器171の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0100】
実際上、第1の実施の形態において、ホログラム素子27上の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する光検出器29の受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するラジアル方向に並べた受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器171では、ホログラム素子27上の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する光検出器171の受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置170においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器171上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0101】
図15は、第3の実施の形態に係る光ピックアップ装置170で用いる光検出器171の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器171において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図2)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器171上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0102】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数7】
・・・・・(7)
により生成する。
【0103】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数8】
・・・・・(8)
により生成する。
【0104】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図15に示す光検出器171の受光部a3,b3,c3,d3,e3,f3,g3及びh3にそれぞれ入射する。そして、この光検出器171上の受光部a3,b3,c3,d3,e3,f3,g3及びh3から光量に応じて出力される信号A3,B3,C3,D3,E3,F3,G3及びH3によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器171の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0105】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A3,B3,C3,D3,E3,F3,G3及びH3より次式
【数9】
・・・・・(9)
により生成する。
【0106】
(9)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(9)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(9)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0107】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図16〜17を用いて説明する。
【0108】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0109】
なお、本実施の形態における光検出器171の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器171は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e3,h3,f3及びg3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えている。
【0110】
このように光検出器171は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器171は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0111】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図16は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器171の受光部a〜h3に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図16に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図16に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0112】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図16に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0113】
本実施の形態における光検出器171では、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光180を回避し、第1の受光部群に対してタンジェンシャル方向の位置に配置する。これにより、光検出器171は、0次回折光により発生した最大層間迷光180を回避することが可能となる。
【0114】
また、光検出器171は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べて配置する。なお、図17に示すように各受光部は、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)のラジアル方向の延長線と受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)のラジアル方向の延長線とがおよそ90度をなすようにして配置する。これにより、光検出器171は、最大層間迷光を回避することが可能となる。
【0115】
図17は、ホログラム素子27を回折し、a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図17にホログラム素子領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0116】
図17中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0117】
また矢印190は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印190の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印190の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0118】
ここで、例えばホログラム素子領域Daを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動すると同時に、タンジェンシャル方向に広がっていく。このとき、タンジェンシャル方向に広がる迷光は、図6で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Daを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がラジアル方向に並んでいる受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射しないよう受光部a3を配置している。そして、ホログラム素子領域Db,Dc及びDdを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射しないよう受光部b3,c3及びd3を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射することがない。なお、本実施の形態による光検出器171において、領域Daを回折した迷光による受光部a3への入射方向と領域Daに対し中心部32の略点対称となっている領域Dcを回折した迷光による受光部c3への入射方向とが一致するように受光部a3及び受光部c3を配置する。ホログラム素子27の中心部32に対して略点対称の関係にある領域Db及び領域Dcに対応する受光部b3及びd3も同様に迷光の入射方向が一致するように配置する。
【0119】
また、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動するため、受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器171上でラジアル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)とタンジェンシャル方向に並べた受光部a3及びc3及び受光部b3及びd3とをラジアル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器171の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0120】
(3−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置170によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0121】
(3−3)第3の実施の形態の変形例
なお、上述の第3の実施の形態においては、光検出器29の受光部の配置パターンを図15に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図18に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0122】
(4)第4の実施の形態
(4−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2は、230は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置230は、光検出器231の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0123】
実際上、第1の実施の形態において、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置し、さらに受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器231では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置し、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置230においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器231上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0124】
図19は、第4の実施の形態に係る光ピックアップ装置230で用いる光検出器231の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器231において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図2)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器231上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0125】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数10】
・・・・・(10)
により生成する。
【0126】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数11】
・・・・・(11)
により生成する。
【0127】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図19に示す光検出器231の受光部a4,b4,c4,d4,e4,f4,g4及びh4にそれぞれ入射する。そして、この光検出器231上の受光部a4,b4,c4,d4,e4,f4,g4及びh4から光量に応じて出力される信号A4,B4,C4,D4,E4,F4,G4及びH4によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器171の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0128】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A4,B4,C4,D4,E4,F4,G4及びH4より次式
【数12】
・・・・・(12)
により生成する。
【0129】
(12)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(12)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(12)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0130】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図20〜21を用いて説明する。
【0131】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0132】
なお、本実施の形態における光検出器231の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器231は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e4,h4,f4及びg4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0133】
それゆえ、光検出器231は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べて配置する。なお、図20に示すように各受光部は、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)のラジアル方向の延長線と受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)のラジアル方向の延長線とがおよそ90度をなすようにして配置する。
【0134】
そして、光検出器231は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器171は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0135】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図20は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器171の受光部a〜h4に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図21に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図21に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0136】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図20に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0137】
本実施の形態における光検出器231では、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光240を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器231は、0次回折光により発生した最大層間迷光240を回避することが可能となる。
【0138】
図21は、ホログラム素子27を回折し、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図21にホログラム素子領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0139】
図21中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0140】
また矢印250は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印250の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印250の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0141】
ここで、例えばホログラム素子27の領域Deを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動すると同時に、ラジアル方向に広がっていく。このとき、ラジアル方向に広がる方向は、図5で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Deを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がタンジェンシャル方向に並んでいる受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射しないよう受光部e4を配置している。そして、ホログラム素子27の領域Df,Dg及びDhを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射しないよう受光部f4,g4及びh4を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射することがない。なお、本実施の形態による光検出器231において、領域Deを回折した迷光による受光部e4への入射方向と領域Deに対し中心部32の略点対称となっている領域Dgを回折した迷光による受光部g4への入射方向とが一致するように受光部e4及び受光部g4を配置する。ホログラム素子27の中心部32に対して略点対称の関係にある領域Df及び領域Dhに対応する受光部h4及びf4も同様に迷光の入射方向が一致するように配置する。
【0142】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f4及びg4と受光部e4及びh4とタンジェンシャル方向に並べた受光部a4,b4,c4及びd4とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器231の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0143】
(4−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置230によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0144】
(4−3)第4の実施の形態の変形例
なお、上述の第4の実施の形態においては、光検出器231の受光部の配置パターンを図19に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図22(A)及び図22(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0145】
(5)第5の実施の形態
(5−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、280は、本実施形態による光ピックアップ装置280を示す。この光ピックアップ装置280は、ホログラム素子281及び光検出器282の受光部構成が異なる点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0146】
実際上、第1の実施の形態において、ホログラム素子27上の領域Da,Db,Dc及びDdは、ラジアル方向に延びる第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して対称になるように位置する場合について説明したが、本実施の形態に係るホログラム素子281では、領域DaとDbとを統合して一つの領域Dabとし、また、領域DcとDdとを統合して一つの領域Dcdとして領域Dabと領域Dcdとがラジアル方向に延びる第2の分割線31に対して対称になるように位置する場合について説明する。
【0147】
また、第1の実施の形態において、光検出器29では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器282では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部ab5,及びcd5(第11の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置280においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器282上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0148】
図23は、第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置280で用いるホログラム素子281を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図の一例である。図23における二点鎖線は、光ディスク3の所望の情報記録層に対物レンズ10の焦点を結んでいるときのホログラム素子281上の光ビームL1の光スポットの外形を表す。また、斜線部は、光ディスク3上のトラックによって回折されたディスク±1次回折光とディスク0次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。
【0149】
さらに、実線は領域の境界線を表し、ホログラム素子281は、光ディスク3上のトラックを反射したディスク0次回折光が入射する領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)と、ディスク0次回折光、ディスク±1次回折光が入射する領域Dab及びDcd(第4の分割領域)及び領域Di(第3の分割領域)とで形成され、入射した光ビームL1は、それぞれの領域ごとにそれぞれ異なった方向へ回折される。なお、図23に示すホログラム素子281上の領域Diは、タンジェンシャル方向に延びる第1の分割線30及びラジアル方向に延びる第2の分割線31の交わるホログラム素子281の中心部32を含んだ所定の領域に位置し、領域De、Df、Dg及びDhは、ホログラム素子281の四隅を含んだ所定の領域で、第1の分割線30の直線上で、当該第1の分割線30に対して対称になるように位置し、領域Dab及びDcdは、第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して対称になるように位置している。また言い換えると、ホログラム素子281は、第1、第3及び第4の分割領域を有し、第3の分割領域は、ホログラム素子281の中心を含む領域であり、第1の分割領域は、ホログラム素子281の略中心を通る光ディスク3のトラックと略平行な方向に延びる第1の分割線30上にある領域であり、第4の分割領域は、ホログラム素子281の略中心を通る光ディスク3のトラックと略垂直な方向に延びる第2の分割線31上にある領域であり、かつ第3の分割領域は、前記光ディスク3のトラックの0次回折光と±1次回折光が交わるプッシュプル領域を含んでおり、第1の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略垂直な方向に並び、第2の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略平行な方向に並ぶことを特徴としている。
【0150】
なお、ホログラム素子281の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=7:3:0であるとする。したがって本実施の形態における光ピックアップ装置280の光検出器29は、ホログラム素子281を透過した0次回折光及びホログラム素子281を回折した+1次回折光を受光することとなる。
【0151】
図24は、第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置280で用いる光検出器282の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器282において、ホログラム素子281(図23)の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器282上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0152】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数13】
・・・・・(13)
により生成する。
【0153】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数14】
・・・・・(14)
により生成する。
【0154】
また、ホログラム素子281の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図24に示す光検出器282の受光部ab5,cd5,e5,f5,g5及びh5にそれぞれ入射する。そして、この光検出器282上の受光部ab5,cd5,e5,f5,g5及びh5から光量に応じて出力される信号AB5,CD5,E5,F5,G5及びH5によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器282の受光部に対してタンジェンシャル方向に回避して入射する。
【0155】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号AB5,CD5,E5,F5,G5及びH5より次式
【数15】
・・・・・(15)
により生成する。
【0156】
(15)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(15)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(15)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0157】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について説明する。
【0158】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0159】
なお、本実施の形態における光検出器282の受光部の場合、ホログラム素子281の領域DaとDbを一つの領域Dabとし、領域DcとDdを一つの領域Dcdとしているだけなので、第1の実施の形態による光検出器29上においてデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により発生する図5及び図6に示す迷光と光検出器282上の迷光とは、同様の方向に迷光が発生する。従って、光検出器282は、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e5,h5,f5及びg5(第10の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0160】
それゆえ、本実施の形態による光検出器282は、図24に示すように、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するタンジェンシャル方向に並べた受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)を挟み込むようにして配置する。
【0161】
そして、光検出器282は、ホログラム素子281の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Dab及びDcd(第4の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器282は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0162】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図25は、ホログラム素子281の各領域Dab〜Dhを回折し、光検出器282の受光部ab〜h5に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図25に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図25に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0163】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図25に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0164】
本実施の形態における光検出器282では、受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光290を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器282は、0次回折光により発生した最大層間迷光290を回避することが可能となる。
【0165】
また、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部ab5及びcd5に対して略タンジェンシャル方向に配置している受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器282上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f5及びg5と受光部e5及びh5とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab5及びcd5をタンジェンシャル方向に所定量離した位置に配置する。これにより光検出器282の各受光部は、最大層間迷光を完全に回避することができる。
【0166】
(5−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置280によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0167】
(5−3)第5の実施の形態の変形例
なお、上述の第5の実施の形態においては、ホログラム素子281の構成を図23に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図26(A),図26(B),図26(C)及び図26(D)に示すように領域De,Df,Dg及びDhの各領域がそれぞれ第1の分割線30に対して対称になり、領域Dab及びDcDdの各領域がそれぞれ第2の分割線31に対して対称になれば、Di(第3の分割領域)は、どのような構成であっても構わない。
【0168】
また、上述の第5の実施の形態においては、光検出器281の受光部の配置パターンを図24に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図27に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0169】
(6)第6の実施の形態
(6−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、350は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置350は、光検出器351の受光部構成が相異する点を除いて第5の実施の形態による光ピックアップ装置280と同様に構成されている。
【0170】
実際上、第5の実施の形態において、トラッキング誤差信号を検出する受光部群である受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器351では、トラッキング誤差信号を検出する受光部群である受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第5の実施の形態による光ピックアップ装置280と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置350においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器351上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0171】
図28は、第6の実施の形態に係る光ピックアップ装置350で用いる光検出器351の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器351において、第5の実施の形態のホログラム素子281(図23)の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器351上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0172】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数16】
・・・・・(16)
により生成する。
【0173】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数17】
・・・・・(17)
により生成する。
【0174】
また、ホログラム素子281の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図28に示す光検出器351の受光部ab6,cd6,e6,f6,g6及びh6にそれぞれ入射する。そして、この光検出器351上の受光部ab6,cd6,e6,f6,g6及びh6から光量に応じて出力される信号AB6,CD6,E6,F6,G6及びH6によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器351の受光部に対してタンジェンシャル方向に回避して入射する。
【0175】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号AB6,CD6,E6,F6,G6及びH6より次式
【数18】
・・・・・(18)
により生成する。
【0176】
(18)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(18)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(18)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0177】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について説明する。
【0178】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0179】
なお、本実施の形態における光検出器351の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器351は、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e6,h6,f6及びg6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0180】
それゆえ、本実施の形態による光検出器351は、図28に示すように、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、
ラジアル方向に並べた受光部f6及びg6と受光部e6及びh6とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab6及びcd6とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。
【0181】
そして、光検出器282は、ホログラム素子281の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Dab及びDcd(第4の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器282は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0182】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図29は、ホログラム素子281の各領域Dab〜Dhを回折し、光検出器351の受光部ab〜h6に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図29に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図29に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0183】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図29に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0184】
本実施の形態における光検出器351では、受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光370を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器351は、0次回折光により発生した最大層間迷光370を回避することが可能となる。
【0185】
また、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部ab6及びcd6に対して略タンジェンシャル方向に配置している受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器282上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f6及びg6と受光部e6及びh6とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab6及びcd6をタンジェンシャル方向に所定量離した位置に配置する。これにより光検出器282の各受光部は、最大層間迷光を完全に回避することができる。
【0186】
(6−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置230によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0187】
(6−3)第6の実施の形態の変形例
なお、上述の第6の実施の形態においては、光検出器351の受光部の配置パターンを図28に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図30(A)及び図30(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0188】
(7)第7の実施の形態
(7−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2との対応部分に同一符号を付して示す図31は、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400を示す。この光ピックアップ装置400は、BD(Blu-Ray Disc)だけでなく、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)にも対応するようにしたため、光ピックアップ装置400における光学系の構成及び光検出器414の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0189】
実際上、第1の実施の形態において、光ピックアップ装置5は、BDを再生及び記録する場合について説明したが、本実施の形態に係る光ピックアップ装置400では、BDに加えてDVDやCDを再生及び記録するために、第1の実施の形態における光ピックアップ装置5の光学系の構成にDVDやCDに対してデータを光学的に再生及び記録するため構成を加えたことにより光検出器414の構成も第1の実施の形態における光検出器29の構成にDVD及びCDを反射した光ビームL1を受光するための構成が加わっている。
【0190】
図31は、図1の光ディスク装置1に搭載された光ピックアップ装置400の光学系を示す。光ピックアップ装置400は、図31に示すように、第1の実施の形態におけるBDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系に加えてCD又はDVDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系20を備える。
【0191】
このうちBDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系は、半導体レーザ20、ビームスプリッタ410、ビームスプリッタ21、フロントモニタ411、コリメートレンズ23、立上げミラー24、1/4波長板25、アクチュエータ412、対物レンズ10、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器413を備えて構成される。
【0192】
半導体レーザ20は、BD規格に対応したほぼ405〔nm〕帯の発散光の光ビームL1を出射するレーザダイオードから構成され、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0193】
また、ビームスプリッタ410及びビームスプリッタ21は、光ビームL1を透過させたり2つ以上に分割する光学部品である。半導体レーザ20の駆動時に当該レーザ20から出射された光ビームL1は、ビームスプリッタ410を透過してビームスプリッタ21に入射する。そして、光ビームL1は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ411に入射する光ビームL1と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL1とに分割される。
【0194】
フロントモニタ411は、光ビームL1の光量を検出するための光学部品で、光ディスク3の記録再生動作の精度を向上させるために光ビームL1の光量を所望の値に制御する際に使用される。具体的に、フロントモニタ411は、半導体レーザ20からの光ビームL1における光量の変化を検出し、検出結果をコントロール回路13(図1)にフィードバックする。これにより、コントロール回路13の制御のもとに、光ディスク3に照射される光ビームL1の光量を制御することが可能となる。
【0195】
コリメートレンズ23は、コリメートレンズ23を光軸方向に駆動する機構によって光軸方向に駆動することで、光ビームL1の発散及び収束状態を変える光学部品で、光ディスク3のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。そして、コリメートレンズ23を透過した光ビームL1は立上げミラー24、によって反射され、1/4波長板25に入射する。
【0196】
1/4波長板25は、直線偏光を円偏光にする光学部品である。具体的に、光ビームL1は、1/4波長板25によって円偏光に変換され、アクチュエータ412に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、光ディスク3上のトラックによって光ビームL1は、3本の光ビーム(ディスク0次回折光、ディスク+1次回折光及びディスク−1次回折光)に回折される。
【0197】
なお、対物レンズ10は、光ビームL1の光束を集光する光学部品で、対物レンズ10を駆動するアクチュエータによって光ディスク3に対して近接する方向又は離反する方向に変位させたり、光ディスク2のラジアル方向に傾かせることができる。
【0198】
一方光ディスク3を反射した光ビームL1は、対物レンズ10により平行光に変換された後に、1/4波長板25、立上げミラー24、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0199】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL1をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27によって回折された光ビームL1は、検出レンズ28によって非点収差が与えられ光検出器413に入射する。
【0200】
また、光検出器413は、光ビームL1が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器413によって、受光部に入射した光ビームL1を光電変換する。得られた信号を光検出器413は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0201】
また、CD及びDVDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系は、半導体レーザ414、回折格子415、ビームスプリッタ410、ビームスプリッタ21、フロントモニタ411、コリメートレンズ23、立上げミラー416、1/4波長板417、アクチュエータ412、対物レンズ418、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器413を備えて構成される。
【0202】
半導体レーザ414は、CD規格に対応したほぼ785〔nm〕帯の発散光の光ビームL2とDVD規格に対応したほぼ660〔nm〕帯の発散光の光ビームL3を出射するレーザダイオードから構成される。半導体レーザ414から出射されたレーザ光L2及びL3は、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0203】
また、回折格子415は、光ビームL2及びL3を3本の光ビームL2及びL3(0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光)に回折するCDとDVDを互換するための光学部品である。例えば従来のDPP方式は、光ディスク3上において0次回折光に対し、+1次回折光及び−1次回折光を半径方向に1/2トラックピッチずらす必要があった。しかしながら、例えばDVDの場合、トラックピッチの異なるDVD±R/RW(トラックピッ0.74[μm])、DVD−RAM1(トラックピッチ1.48[μm])及びDVD−RAM2(トラックピ1.23[μm])があり、それぞれに対応した光スポットの配置をするための制御が難しいといった問題があった。しかしながら、回折格子415を用いることにより、3本光ビームL2及びL3のうち+1次回折光及び−1次回折光に回折格子の半径方向に位相差を持たせることで、トラックピッチの異なる光ディスク3の同一トラック上においてもDPP方式が成り立つようにしている。例えば、特開2007−317331の回折格子であるとする。ただし、この回折格子には限定されない。
【0204】
半導体レーザ414から出射したレーザ光L2及びL3は、回折格子415によって少なくとも少なくとも0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光の3本の光ビームにされた後、ビームスプリッタ410によって反射されビームスプリッタ21に入射する。そして、光ビームL2及びL3は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ411に入射する光ビームL2及びL3と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL2及びL3とに分割される。
【0205】
そして、コリメートレンズ23に入射した光ビームL2は、コリメートレンズ23によって平行光に変換され、立上げミラー416、によって反射され、1/4波長板417を通ってアクチュエータ412に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、回折格子415によって分割された0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光は、対物レンズ418によって各々独立に光ディスク3の情報記録面上に集光されて3個の集光スポットを形成する。
【0206】
なお、立上げミラー416及び1/4波長板417は、BDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系における立上げミラー24及び1/4波長板25と同様の構成となるため、詳細な説明は省略した。
【0207】
一方光ディスク3を反射した光ビームL2は、対物レンズ418により平行光に変換された後に、1/4波長板417、立上げミラー416、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0208】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL2をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27によって回折された光ビームL2及びL3は、検出レンズ28によって非点収差が与えられ光検出器413に入射する。
【0209】
また、光検出器413は、光ビームL2が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器413によって、受光部に入射した光ビームL2及びL3を光電変換する。得られた信号を光検出器413は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0210】
図32は、図30における光検出器413における受光部の配置パターンの一例を示す。図中の斜線部及び黒点は、信号光を示している。本実施の形態による光検出器413は、図32に示すように、図4に示す第1の実施の形態の光検出器29におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0211】
従って、本実施の形態による光検出器413における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第1の実施の形態による光検出器29におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第1の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0212】
以下では、まずBDの信号検出方法について説明する。
【0213】
ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL1による0次回折光は、受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群)に入射する。そして、この光検出器29上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C及び10Dによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0214】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数19】
・・・・・(19)
により生成する。
【0215】
また、RF信号RFを、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数20】
・・・・・(20)
によりを生成する。
【0216】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図32に示す光検出器413の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1にそれぞれ入射する。そして、この光検出器29上の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1から光量に応じて出力される信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器413の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0217】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1より次式
【数21】
・・・・・(21)
により生成する。
【0218】
(21)式のktbは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(21)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(21)式中第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0219】
続いて、DVDの信号検出方法について説明する。
【0220】
ホログラム素子413の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL2は、受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)に入射する。そして、この光検出器413上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0221】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lより次式
【数22】
・・・・・(22)
により生成する。
【0222】
数22のkfdは、フォーカス誤差信号に溝横断信号を発生させないようにする係数である。
【0223】
また、RF信号RFを、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数23】
・・・・・(23)
により生成する。
【0224】
また、そして、この光検出器413上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lによりトラッキング誤差信号を得ることができる。
【0225】
本実施の形態では、CD及びDVDのトラッキング誤差信号の検出には、例えば3ビームディファレンシャルプッシュプル方式(以下、これを3ビームDPP(Differential Push Pull)方式と呼ぶ)を使用する。
【0226】
3ビームDPP方式とは、DPP法を3ビームで行う方法で、3ビームDPP方式は公知の技術であるため、これ以上の説明は省略する。
【0227】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、3ビームDPP方式を用いて、信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lより次式
【数24】
・・・・・(24)
により生成する。
【0228】
(24)式のktdは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(24)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(24)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。
【0229】
続いて、CDの信号検出方法について説明する。
【0230】
ホログラム素子413の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL3は、受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)に入射する。そして、この光検出器413上の受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)から光量に応じて出力される信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0231】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを、非点収差方式を用いて、信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lより次式
【数25】
・・・・・(25)
により生成する。
【0232】
また、RF信号RFを信号20A,20B,20C及び20Dより次式
【数26】
・・・・・(26)
により生成する。
【0233】
また、そして、この光検出器413上の受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)から光量に応じて出力される信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lによりトラッキング誤差信号を得ることができる。
【0234】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、3ビームDPP方式を用いて、信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lより次式
【数27】
・・・・・(27)
により生成する。
【0235】
(27)式のktdは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(27)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(27)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。
【0236】
(7−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置400によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0237】
(8)第8の実施の形態
(8−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図33において、430は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置430は、光検出器431の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0238】
実際上、本実施の形態に係る光検出器431の受光部の配置パターンは、図33に示すように、図11に示す第2の実施の形態の光検出器131におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0239】
なお、本実施の形態における光検出器431の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)が、第2の実施の形態の光検出器131の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に対応している。
【0240】
従って、本実施の形態による光検出器431における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第2の実施の形態による光検出器131におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第2の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0241】
(8−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置430によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0242】
(9)第9の実施の形態
(9−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図34において、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と対応部分に同一符号を付して示す本実施形態による光ピックアップ装置440を示す。この光ピックアップ装置440は、光検出器441の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0243】
実際上、本実施の形態に係る光検出器441の受光部の配置パターンは、図34に示すように、図15に示す第3の実施の形態の光検出器171におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0244】
なお、本実施の形態における光検出器441の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)が、第3の実施の形態の光検出器171の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)に対応している。
【0245】
従って、本実施の形態による光検出器441における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第3の実施の形態による光検出器171におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第3の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0246】
(9−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置440によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0247】
(10)第10の実施の形態
(10−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31は、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と対応部分に同一符号を付して示す本実施形態による光ピックアップ装置450を示す。この光ピックアップ装置450は、光検出器451の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0248】
実際上、本実施の形態に係る光検出器451の受光部の配置パターンは、図35に示すように、図19に示す第4の実施の形態の光検出器231におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0249】
なお、本実施の形態における光検出器451の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)が、第4の実施の形態の光検出器231の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に対応している。
【0250】
従って、本実施の形態による光検出器451における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第4の実施の形態による光検出器231におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第4の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0251】
(10−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置450によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0252】
(11)第11の実施の形態
(11−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31において、460は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置460は、光検出器461の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0253】
実際上、本実施の形態に係る光検出器461の受光部の配置パターンは、図36に示すように、図24に示す第5の実施の形態の光検出器282におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0254】
なお、本実施の形態における光検出器461の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部a5,b5,c5及びd5(第11の受光部群)が、第5の実施の形態の光検出器282の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部a5,b5,c5及びd5(第11の受光部群)に対応している。
【0255】
従って、本実施の形態による光検出器461における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第5の実施の形態による光検出器282におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第5の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0256】
(11−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置460によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0257】
(12)第12の実施の形態
(12−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31において、470は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置470は、光検出器471の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0258】
実際上、本実施の形態に係る光検出器471の受光部の配置パターンは、図37に示すように、図28に示す第6の実施の形態の光検出器351におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0259】
なお、本実施の形態における光検出器471の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部a6,b6,c6及びd6(第13の受光部群)が、第6の実施の形態の光検出器351の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部a6,b6,c6及びd6(第13の受光部群)に対応している。
【0260】
従って、本実施の形態による光検出器471における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第6の実施の形態による光検出器351におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第6の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0261】
(12−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置470によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0262】
(13)第13の実施の形態
(13−1)本実施形態による光ディスク装置の構成
図1との対応部分に同一符号を付して示す図38は、第13の実施の形態による光ディスク装置480を示す。この光ディスク装置480は、第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1は、光ディスク3に情報を記録及び再生を行う機能を有する光ディスク装置1と異なり光ディスク3を光学的に再生のみを行うが相異する点を除いて第1〜第12の実施の形態による光ディスク装置1と同様に構成されている。
【0263】
実際上、第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1は、光ディスク3に情報を記録及び再生を行うため情報信号記録回路14を有する場合について説明したが、本実施の形態に係る光ディスク装置480では、光ディスク3を光学的に再生のみ行う構成となるため情報記録回路14を有さない。
【0264】
従って、本実施の形態における光ディスク装置480は、情報記録回路14を有さない点を除いて第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1と同様の構成となるためその詳細は、省略する。
【0265】
(13−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ディスク装置480によれば、第1〜第12の実施の形態による光ディスク装置1と同様の効果が得られる。
【0266】
(14)他の実施の形態
なお、上述の第1〜第13の実施の形態においては、光ディスク3の情報記録層を反射した光ビームL1がビームスプリッタ21透過後にホログラム素子27,281を通過するように、ホログラム素子27,281を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ホログラム素子27,281を偏光ホログラム素子等の回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置するようにしても良い。
【0267】
また、上述の第1〜第13の実施の形態においては、ホログラム素子27,281によって回折された+1次回折光を光検出器29,131,171,231,282,351,413,441,451,461,471で検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、−1次回折光であっても良いし、他の次数の例えば±2次回折光や±3次回折光等であっても良い。
【0268】
さらに、上述の第1〜第13の実施の形態においては、ホログラム素子27,281を透過した0次回折光による最大層間迷光の外にトラッキング誤差信号の受光部を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、迷光の影響が小さい場合には、必ずしも最大層間迷光は回避しなくとも良い。さらに、ビームスプリッタ21に代えてミラーを適用するようにしても良い。この場合、ミラーによって発生するコマ収差及び非点収差をホログラム素子によって補正しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明は、複数の情報記録層を有する光ディスクに対応した光ピックアップ装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0270】
1,480……光ディスク装置、対物レンズ……10、半導体レーザ……20,414、5,130,170,230,280,350,400,430,440,450,460,470……光ピックアップ装置、27,281……ホログラム素子、28……検出レンズ、29,131,171,231,282,351,413,441,451,461,471……光検出器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関し、例えば多層の光ディスクに対応した光ピックアップ装置及び光ディスク装置に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光ディスクの情報の読み取り及び書き込みには、光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置が用いられている。この光ピックアップ装置は、光ディスク内にある所定のトラック上に正しくスポットを照射するために、光検出器の受光部より検出したフォーカス誤差信号に基づいて対物レンズをフォーカス方向に変位させてフォーカス調整を行う他、トラッキング誤差信号に基づいて対物レンズを光ディスク半径方向(以下、これをラジアル方向と呼ぶ)へ変位させてトラッキング調整を行う。従来の光ディスク装置は、これらフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号によるサーボ信号に基づいて、対物レンズの位置制御を行っている。
【0003】
ところで、近年では光ディスクの大容量化に伴い、複数の情報記録層を有する多層の光ディスクが知られている。このような3層以上の情報記録層から構成される多層の光ディスクの情報の読み取り及び書込みの際に従来の光ピックアップ装置では、情報記録層を反射した信号光と、他層の情報記録層を反射した迷光とが光検出器の同じ受光部上に入射するおそれがあり、このような場合には、かかる信号光とかかる迷光とが干渉して正確なトラッキング誤差信号が検出できず、安定したトラッキング制御ができなくなる問題があった。
【0004】
かかる課題を解決するための手段として、例えば特許文献1には、トラッキング誤差信号検出用の受光部を迷光から離れた位置に配置し、さらに、一部の受光部を光ディスクのトラックの接線の延長線方向(以下、これをタンジェンシャル方向と呼ぶ)に配置し、残りの受光部をトラックの接線方向に垂直な光ディスク半径方向(ラジアル方向)に配置することで、他の情報記録層を反射した迷光を避けながら、安定したトラッキング誤差信号を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2008-135151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された方法によると、トラッキング誤差信号検出用の受光部に要する光検出器の面積が大きくなってしまい、光検出器のサイズが大きくなるため、光検出器の製造コストが高くなる問題や、光ピックアップ全体としてサイズが大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、複数の情報記録層を有する光ディスクを記録及び再生する場合に、安定したサーボ信号を生成し、低コストで、小型化し得ることが可能な光ピックアップ装置及びこれらを搭載した光ディスク装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0009】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0010】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0011】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0012】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶようにした。
【0013】
また、本発明においては、光ピックアップ装置であって、レーザ光を出射する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶようにした。
【0014】
また、本発明においては、光ディスク装置において、請求項1ないし13記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置内における前記半導体レーザを駆動するレーザ点灯回路と、前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路とを搭載するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の情報記録層を有する光ディスクを記録及び再生する場合に、安定したサーボ信号を生成し、低コストで、小型化し得ることが可能な光ピックアップ装置及びこれらを搭載した光ディスク装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態による光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるホログラム素子の構成例を示す平面図である。
【図4】光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図5】(A)は、デフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(B)は、ジャストフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(C)は、デフォーカス状態で受光部h1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図6】(A)は、デフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(B)は、ジャストフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図であり、(C)は、デフォーカス状態で受光部d1に入射した光ビームを光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図7】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図8】受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図9】(A)は、第3の領域をタンジェンシャル方向に広くとった場合の変形例を示す図であり、(B)は、第3の領域のタンジェンシャル方向を第2の領域と同じだけ広くとった場合の変形例を示す図であり、(C)は、第3の領域を円弧形状にした場合の変形例を示す図であり、(D)は、第3の領域を谷形状にした場合の変形例を示す図である。
【図10】(A)は、第1の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第1の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図12】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図13】受光部e1,f1,g1及びh1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図14】第2の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図16】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図17】受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図18】(A)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(C)は、第3の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図19】第4の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図20】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図21】受光部e1,f1,g1及びh1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。
【図22】(A)は、第4の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第4の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図23】第5の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図24】第5の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図25】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図26】(A)は、第3の領域をタンジェンシャル方向に広くとった場合の変形例を示す図であり、(B)は、第3の領域のタンジェンシャル方向を第2の領域と同じだけ広くとった場合の変形例を示す図であり、(C)は、第3の領域を円弧形状にした場合の変形例を示す図であり、(D)は、第3の領域を谷形状にした場合の変形例を示す図である。
【図27】第5の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図28】第6の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図29】光検出器に入射した光ビームによる最大層間迷光の様子を示す概略平面図である。
【図30】(A)は、第6の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図であり、(B)は、第6の実施の形態による光検出器の受光部配置パターンの変形例を示す図である。
【図31】第7の実施の形態による光ピックアップ装置の構成例を示す平面図である。
【図32】第7の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図33】第8の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図34】第9の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図35】第10の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図36】第11の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図37】第12の実施の形態による光検出器の受光部の配置パターンの一例を示す平面図である。
【図38】第13の実施の形態における光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)第1の実施の形態
(1−1)本実施の形態による光ディスク装置の構成
図1において、1は全体として本実施の形態による光ディスク装置を示す。この光ディスク装置1は、スピンドルモータ2、スピンドルモータ駆動回路4、光ピックアップ5、レーザ点灯回路6、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8、アクチュエータ駆動回路9、対物レンズ10、球面収差補正素子駆動回路11、アクセス制御回路12、コントロール回路13及び情報信号記録回路14を備えて構成される。
【0019】
光ディスク3は、円盤状の情報記録体であり、その中心がスピンドルモータ2の回転軸に固定されている。このスピンドルモータ2は、スピンドルモータ駆動回路4によって電力が供給されることにより、回転軸を回転駆動する。
【0020】
また光ピックアップ5は、光ディスク3に対して光学的に情報を記録及び再生する光学部品である。レーザ点灯回路6から光ピックアップ5内に組み込まれた後述する半導体レーザに所定のレーザ駆動電流が供給されることで、当該半導体レーザからは再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路6は光ピックアップ5内に組み込むこともできる。
【0021】
さらに光ピックアップ5からの出力信号は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信される。情報信号再生回路7は、光ピックアップ5からの出力信号に基づいて光ディスク3に記録された情報信号であるRF(Radio Frequency)信号を再生する。そして、サーボ信号再生回路8では、光ピックアップ5からの出力信号に基づいてフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路9を経て光ピックアップに搭載された対物レンズ10の位置制御がなされる。また、球面収差補正素子駆動回路11は、この生成されたサーボ信号を基に光ピックアップ装置5に搭載された後述するコリメートレンズを光軸方向へ移動させることによって球面収差を補正する。
【0022】
さらに光ピックアップ装置5には、光ディスク3のラジアル方向に沿って光ピックアップ装置5を駆動するための機構が設けられており、アクセス制御回路12からのアクセス信号に応じて位置制御される。
【0023】
コントロール回路13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びメモリなどを備えるマイクロコンピュータである。コントロール回路13には、スピンドルモータ駆動回路4、レーザ点灯回路6、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8、球面収差補正素子駆動回路11、アクセス制御回路12及び情報信号記録回路14などが接続され、スピンドルモータ駆動回路4、情報信号再生回路7、サーボ信号再生回路8及びアクセス制御回路12からの信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路4、レーザ点灯回路6、サーボ信号再生回路8、球面収差補正素子駆動回路11及びアクセス制御回路12それぞれに制御信号を送信し、光ディスク3を回転させるスピンドルモータ2の回転制御、光ピックアップ装置5の位置制御、対物レンズ10の位置制御、球面収差補正及び光ピックアップ装置5内の半導体レーザ発光光量の制御などが行われる。
【0024】
さらに、記録時はコントロール回路13及びレーザ点灯回路6の間に設けられている情報信号記録回路14は、コントロール回路13からの記録制御信号に基づいて、レーザ点灯回路6を駆動させて光ディスク3に情報を記録する。
【0025】
(1−2)本実施の形態による光ピックアップ装置の構成
次に、図1の光ディスク装置1に搭載された光ピックアップ装置5の光学系について説明する。図2に示すように、光ピックアップ装置5は、半導体レーザ20、ビームスプリッタ21、フロントモニタ22、コリメートレンズ23、立上げミラー24、1/4波長板25、アクチュエータ26、対物レンズ10、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器29を備えて構成される。
【0026】
なお、以下では、本実施の形態における光ピックアップ装置5では、BD(Blu-Ray Disc)を再生及び記録する場合について説明する。ただし、BDには限定されず、他の記録式であっても良い。
【0027】
半導体レーザ20は、BD規格に対応したほぼ405〔nm〕帯の発散光の光ビームL1を出射するレーザダイオードから構成され、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0028】
また、ビームスプリッタ21は、光ビームL1を透過させたり2つ以上に分割する光学部品である。半導体レーザ20の駆動時に当該半導体レーザ20から出射された光ビームL1は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ22に入射する光ビームL1と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL1とに分割される。
【0029】
フロントモニタ22は、光ビームL1の光量を検出するための光学部品で、光ディスク3の記録再生動作の精度を向上させるために光ビームL1の光量を所望の値に制御する際に使用される。具体的に、フロントモニタ22は、半導体レーザ20からの光ビームL1における光量の変化を検出し、検出結果をコントロール回路13(図1)にフィードバックする。これにより、コントロール回路13の制御のもとに、光ディスク3に照射される光ビームL1の光量を制御することが可能となる。
【0030】
コリメートレンズ23は、コリメートレンズ23を光軸方向に駆動する機構によって光軸方向に駆動することで、光ビームL1の発散及び収束状態を変える光学部品で、光ディスク3のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。そして、コリメートレンズ23を透過した光ビームL1は立上げミラー24、によって反射され、1/4波長板25に入射する。
【0031】
1/4波長板25は、直線偏光を円偏光にする光学部品である。具体的に、光ビームL1は、1/4波長板25によって円偏光に変換され、アクチュエータ26に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、光ディスク3上のトラックによって光ビームL1は、3本の光ビーム(ディスク0次回折光、ディスク+1次回折光及びディスク−1次回折光)に回折される。
【0032】
なお、対物レンズ10は、光ビームL1の光束を集光する光学部品で、対物レンズ10を駆動するアクチュエータによって光ディスク3に対して近接する方向又は離反する方向に変位させたり、光ディスク3のラジアル方向に傾かせることができる。
【0033】
一方光ディスク3を反射した光ビームL1は、対物レンズ10により平行光に変換された後に、1/4波長板25、立上げミラー24、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0034】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL1をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27上の分割領域によって回折された光ビームL1は、検出レンズ28に入射する。なお、ホログラム素子27は、入射する光ビームL1を所定の方向に回折すると共に、光ビームL1に対して非点収差を与える。具体的に、ホログラム素子27に入射したディスク−1次回折光には、ホログラム素子27によって所定の方向に回折されると共に所定の非点収差が与えられる。また、ホログラム素子27に入射したディスク+1次回折光には、ホログラム素子27よって所定の方向に回折されると共にディスク−1次回折光に与えられる非点収差と反対の収差が与えられる。また、ホログラム素子27を透過したディスク0次回折光には、ホログラム素子27によって非点収差が与えられない。
【0035】
検出レンズ28は、ホログラム素子27によって回折された光ビームL1に対して非点収差を与える光学部品である。具体的に、ホログラム素子27を透過した0次回折光及び−1次回折光は、検出レンズ28によって所定の非点収差が与えられデフォーカス状態で光検出器29に入射する。また、ホログラム素子27の+1次回折光には、検出レンズ28によって0次回折光に与えられる非点収差と反対の収差を与えられているため、ホログラム素子27によって与えられた非点収差は抑制され、光検出器29上で集光する。
【0036】
また、光検出器29は、光ビームL1が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器29によって、受光部に入射した光ビームL1を光電変換する。得られた信号を光検出器29は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0037】
図3は、図2におけるホログラム素子27を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図の一例である。図3における二点鎖線は、光ディスク3の所望の情報記録層に対物レンズ10の焦点を結んでいるときのホログラム素子27上の光ビームL1の光スポットの外形を表す。また、斜線部は、光ディスク3上のトラックによって回折されたディスク±1次回折光とディスク0次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。
【0038】
さらに、実線は領域の境界線を表し、ホログラム素子27は、光ディスク3上のトラックを反射した0次回折光が入射する領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)と、0次回折光、±1次回折光が入射する領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)及び領域Di(第3の分割領域)とで形成され、入射した光ビームL1は、それぞれの領域ごとにそれぞれ異なった方向へ回折される。なお、図3に示すホログラム素子27上の領域Diは、タンジェンシャル方向に延びる第1の分割線30及びラジアル方向に延びる第2の分割線31の交わるホログラム素子27の中心部32を含んだ所定の領域に位置し、領域De,Df,Dg及びDhは、ホログラム素子27の四隅を含んだ所定の領域で、第1の分割線30の直線上で、当該第1の分割線30に対して略対称になるように位置し、領域Da,Db,Dc及びDdは、第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して略対称になるように位置している。また言い換えると、ホログラム素子27は、第1、第2、第3の分割領域を有し、第3の分割領域は、ホログラム素子27の中心を含む領域であり、第1の分割領域は、ホログラム素子27の略中心を通る光ディスク3のトラックと略平行な方向に延びる第1の分割線30上にある領域であり、第2の分割領域は、ホログラム素子の略中心を通る光ディスク3のトラックと略垂直な方向に延びる第2の分割線31上にある領域であり、かつ第3の分割領域は、前記光ディスク3のトラックの0次回折光と±1次回折光が交わるプッシュプル領域を含んでおり、第1の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略垂直な方向に並び、第2の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略平行な方向に並ぶことを特徴としている。また、本実施の形態は第1の分割領域または第2の分割領域を少なくとも4分割し、受光部の配置を組み合わせることで光検出器29のサイズを小さくしていることを特徴としている。
【0039】
なお、ホログラム素子27の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=7:3:0であるとする。したがって本実施の形態における光ピックアップ装置5の光検出器29は、ホログラム素子27を透過した0次回折光及びホログラム素子27を回折した+1次回折光を受光することとなる。
【0040】
図4は、光検出器29における受光部の配置パターンの一例を示す。図中の斜線部及び黒点は、信号光を示している。ここで、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光は、それぞれ受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器29上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0041】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号の検出には、例えば非点収差方式を使用する。非点収差方式とは、光検出器29上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する光ビームL1の光スポットの形状が焦点の位置によって変わることを利用した方式である。対物レンズ10の焦点距離に対して光ディスク3の情報記録層の位置が近づく又は遠ざかる状態であるデフォーカスの状態の場合に、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)のうち、受光部a,c又は受光部b,dに入射する光量が大きくなる。そして、受光部a,cと受光部b,dとで検出された信号の差分をとり、差分が0になるときが対物レンズ10の焦点が光ディスク3の情報記録層上にあるジャストフォーカスの状態を示す。従って、上述したアクチュエータ駆動回路9は、当該差分が0になるように、対物レンズ10を制御する。なお、非点収差方式は公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
上述の非点収差方式を用いて、フォーカス誤差信号FESを、信号A,B,C及びDより次式
【数1】
・・・・・(1)
により生成する。
【0043】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数2】
・・・・・(2)
により生成する。
【0044】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図4に示す光検出器29の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1にそれぞれ入射する。そして、この光検出器29上の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1から光量に応じて出力される信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器29の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0045】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号の検出には、例えば1ビームディファレンシャルプッシュプル方式(以下、これを1ビームDPP(Differential Push Pull)方式と呼ぶ)を使用する。
【0046】
1ビームDPP方式とは、レンズシフトをしたときにオフセットが発生することなく、プッシュプル信号によりトラッキング誤差信号を生成する方法である。プッシュプル信号は、光ディスク3の情報記録層によって反射した光束を、例えばホログラム素子27上のタンジェンシャル方向にほぼ平行で光束中心を通る分割線によって2分割にし、左右の光束の差分をとることで生成することができる。しかし、プッシュプル成分を含んだ信号のみでは、対物レンズがRad方向に対物レンズ変位、すなわちレンズシフトしたときに、光量アンバランスが生じて直流成分のオフセットが発生し、不安定なトラッキング誤差信号となる。そこで、オフセット成分含んだ信号を用いて、オフセットをキャンセルする演算を行うことにより、安定なトラッキング誤差信号を得ることができる。DPP法を1ビームで行うことを1ビームDPP方式と呼ぶ。なお、1ビームDPP方式は公知の技術であるため、これ以上の説明は省略する。
【0047】
上述の1ビームDPP方式を用いて、トラッキング誤差信号TESを、信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1より次式
【数3】
・・・・・(3)
により生成する。
【0048】
(3)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(3)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(3)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0049】
なお、以下では、図5〜8を用いて、多層の光ディスク3を記録及び再生する場合に所望の情報記録層以外の情報記録層(以下、これを他の情報記録層と呼ぶ)で発生する迷光について説明する。多層の光ディスク3を記録及び再生する場合、少なくとも2種類の迷光を考える必要がある。光検出器29の受光部は、光ディスク3の隣接する情報記録層との層間隔が小さいときの迷光(最小層間迷光)を回避して配置する必要がある。また、光検出器29の受光部は、多層の光ディスク3における光ビームの入射面に最も近い情報記録層(以下、これを最も手前の情報記録層と呼ぶ)を記録及び再生しているときの多層の光ディスク3における光ビームの入射面から最も遠い情報記録層(以下、これを最も奥の情報記録層と呼ぶ)からの迷光(最大層間迷光)と、最も奥の情報記録層を記録及び再生しているときの最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とを回避して配置する必要がある。
【0050】
具体的に、多層の光ディスク3の場合、2層の光ディスク3と比べて隣接する情報記録層の間隔が狭くなるため光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなり、光検出器29の面積を小さくするためホログラム素子27上の領域にそれぞれ対応する光検出器29の受光部同士の間隔を狭くすると他の領域を回折した迷光が入り込んでしまうといった問題がある。また、3層以上の多層の光ディスク3の場合、2層の光ディスク3と比べて多層になる分、最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との間隔が広くなるため、これら情報記録層間の間隔の距離に比例して光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1と迷光との間隔が広くなり、また迷光の大きさも大きくなるためホログラム素子27上の領域にそれぞれ対応する光検出器29の受光部同士の間隔を広くしなければならず、これによって光検出器29の面積が大きくなるといった問題がある。
【0051】
以下では、多層の光ディスク3を記録及び再生する上で、隣接する情報記録層との層間隔が小さい場合に発生する迷光(最小層間迷光)について説明する。図5は、ホログラム素子27の領域Dhを回折し、受光部h1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図5(B)に示す黒点は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のジャストフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。図5(A)に示す斜線部は、情報記録層よりも手前で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。図5(C)に示す斜線部は、情報記録層よりも奥で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部h1上の光スポットを表す。
【0052】
なお、図5(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より奥に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部h1上の光スポットは、ホログラム素子28をそのまま写像した方向に領域Dhを通る光ビームL1の光スポットの外形と相似形の光スポットとなる。また、図5(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より手前に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部h1上の光スポットは、ホログラム素子27を点対称で反転して写像した方向に表われる。従って、光検出器29上で光ビームが図5(B)に示す収束位置に対して点対称にぼけるため、図5(A)〜(C)及び矢印40に示すように領域Dhを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってタンジェンシャル方向に移動する。
【0053】
ここで、デフォーカスについて説明するのは、多層の光ディスクにおける他層からの迷光は焦点位置ではない場所で反射したデフォーカス状態の光ビームL1と解釈できるからである。具体的に、図5(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、2つの記録層のうち奥側の記録層に焦点を合わせた場合の手前側の記録層からの迷光と解釈することができる。また、図5(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、2つの記録層のうち手前側の記録層に焦点を合わせた場合の奥側の記録層からの迷光と解釈することができる。
【0054】
図6は、ホログラム素子27の領域Ddを回折し、受光部d1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図6(B)に示す黒点は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のジャストフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。図6(A)に示す斜線部は、情報記録層よりも奥で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。また、図6(C)に示す斜線部は、情報記録層よりも手前で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合のデフォーカス状態の光ビームL1を受光した受光部d1上の光スポットを表す。
【0055】
なお、図6(A)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より手前に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部d1上の光スポットは、ホログラム素子28を点対称で反転して写像した方向に表われる。また、図6(C)に示すデフォーカス状態の光ビームL1は、光検出器29より奥に焦点を結ぶような光ビームL1となるため、受光部d1上の光スポットは、ホログラム素子27をそのまま写像した方向に領域Dhを通る光ビームL1の光スポットの外形と相似形の光スポットとなる。従って、光ビームが図6(B)に示す収束位置に対して点対称にぼけるため、図6(A)〜(C)及び矢印41に示すように領域Ddを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってラジアル方向に移動する。
【0056】
ここで、図5と図6を比較するとデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1の移動する方向が異なることがわかる。例えば、領域Dhを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってタンジェンシャル方向に移動し、領域Ddを回折した光ビームL1は、デフォーカスによってラジアル方向に移動する。従って、迷光の避け方も領域により分けることが重要となる。例えば、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg,Dh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避けることが望ましい。このように迷光を避けることで対物レンズ10が光ディスク3上のトラックに追従するためにラジアル方向に変位しても光検出器29の受光部には、入射しない構成をとることができる。一方、領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べてしまうと、層間隔の小さい光ディスク3による最小層間迷光は光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなるため、他の領域を回折した光ビームL1による迷光が受光部に入射してしまう問題が発生する。このため、光検出器27上の受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をラジアル方向に並べることで、最小層間隔の関係にある情報記録層間で発生した迷光の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0057】
また、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けることが望ましい。このように迷光を避けることで対物レンズ10が光ディスク3上のトラックに追従するためにラジアル方向に変位しても光検出器29の受光部には、入射しない構成をとることができる。一方、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をラジアル方向に並べてしまうと、層間隔の小さい光ディスク3による最小層間迷光は光検出器29上にジャストフォーカスで入射する光ビームL1とデフォーカスで入射する迷光との間隔が狭くなるため、他の領域を回折した光ビームL1による迷光が受光部に入射してしまう問題が発生する。このため、光検出器27上の受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで、最小層間隔の関係にある情報記録層間で発生した迷光の影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0058】
次に多層の光ディスク3を記録及び再生する上で、情報記録層の層間隔が大きい場合に発生する迷光(最大層間迷光)について説明する。図7は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器29の受光部a1〜h1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図7に示す黒点及び斜線部は、それぞれ光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図7に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0059】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図7に最も手前側の記録層に焦点を合わせたときの最も奥側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0060】
デフォーカス状態の光ビームL1による迷光の光スポットは、層間隔の最も離れた最大層間隔の関係にある最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との距離に応じてラジアル方向及びタンジェンシャル方向に広がり、また光スポットの大きさも大きくなる。
【0061】
具体的に、例えば2層の光ディスク3の場合、最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との層間隔は通常25±5マイクロメートルと定義されており、最小でも20マイクロメートルまた、最大でも30マイクロメートルであるため、他層の情報記録層で発生した迷光による光検出器29上での光スポットの大きさはある程度制限される。しかしながら、3層以上の光ディスク3の場合、例えば、最も層間隔の離れた最も手前の情報記録層と最も奥の情報記録層との層間隔は2層の場合の層間隔に比べて長くなる可能性がある。層間隔が長くなると最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合には、最も奥の情報記録層からの迷光の焦点と光検出器29との距離が長くなり、それによって光検出器29上では、ジャストフォーカスで入射した光ビームL1に対して、迷光はラジアル方向及びタンジェンシャル方向に広がり、さらに光スポットも大きくなる。
【0062】
したがって、光検出器29の受光部は、安定したトラッキング誤差信号を得るため、上述の最大層間迷光を回避するためには、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及び受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をそれぞれの迷光が入りこまない十分に離れた位置に配置する必要がある。
【0063】
以上のような多層の光ディスク3を記録及び再生する場合に他の情報記録層で発生する最小層間迷光及び最大層間迷光を光検出器29の受光部に入射させない構成をとるため、特許文献1に示す従来の光ピックアップ装置における光検出器は、受光部を迷光から離れた位置に配置することで、多層の光ディスクにおいても安定したトラッキング誤差信号を検出している。
【0064】
特許文献1に示す従来の光ピックアップ装置の場合、実際上、光検出器のトラッキング誤差信号を検出するための第2及び第3受光部群は、0次回折光が第1の受光部群に入射することによって発生した最大層間迷光50(図7)を回避するために0次回折光の光軸から十分離れた位置に配置される。そして、複数の受光部から構成される第2の受光部群は、光軸に対してラジアル方向に並べて配置する。また、第3の受光部群は、タンジェンシャル方向に並べて配置しており、第2の受光部群と第3の受光部群とは、光軸に対して、およそ90度をなす方向に配置することで、第2及び第3の受光部群は、0次回折光による最大層間迷光40を回避すると共に、第1の受光部群及び第2の受光部群のそれぞれラジアル方向及びタンジェンシャル方向に発生する最小層間迷光及び最大層間迷光を回避することができる。
【0065】
しかしながら、かかる従来の光検出器においては、第2及び第3の受光部群は、ディスクの記録層の最大層間隔に比例して広がってしまい、その分受光部に要する光検出器29の面積が大きくなってしまい、光検出器29の大きさが大きくなるといった問題がある。
【0066】
そこで、本実施の形態による光ディスク装置1においては、このような問題を防ぐため、図8に示すように、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)を0次回折光が第1の受光部群に入射することによって発生した0次回折光による最大層間迷光50(図7)を受光しない位置に配置する。また、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)を第1の受光部群に対して同一方向であるタンジェンシャル方向に集めて配置する。さらに受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)をラジアル方向に並べて配置し、a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)をタンジェンシャル方向に配置する。これにより、最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器29上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0067】
図8は、ホログラム素子27を回折し、受光部a1,b1,c1及びd1に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図8にホログラム素子領域Da,Db,Dc及びDdを回折した迷光のみを示して説明する。
【0068】
図8中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0069】
また矢印60は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印60の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印60の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0070】
ここで、例えばホログラム素子領域Daを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動すると同時に、タンジェンシャル方向に広がっていく。このとき、タンジェンシャル方向に広がる迷光は、図6で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Daを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がラジアル方向に並んでいる受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射しないよう受光部a1を配置している。そして、ホログラム素子領域Db,Dc及びDdを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射しないよう受光部b1,c1及びd1を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)に入射することがない。
【0071】
また、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動するため、受光部a1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でラジアル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)とタンジェンシャル方向に並べた受光部a1及びb1及び受光部c1及びd1とをラジアル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器29の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0072】
(1−3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態によれば、複数の情報記録層を有する光ディスク3を記録及び再生する場合おいて、迷光を考慮して光検出器29の受光部を組み合わせて配置することで、小さい領域に受光部を配置しても最小層間迷光及び最大層間迷光を回避することができ、従来のようにディスクの最大層間隔に比例して大きくなる最大層間迷光に応じて光検出器29の受光部の大きさを大きくする場合に比べて、低コストで、小型化し得る光ピックアップ装置5を実現できる。
【0073】
(1−4)第1の実施の形態の変形例
なお、上述の第1の実施の形態においては、ホログラム素子27の構成を図3に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図9(A),図9(B),図9(C)及び図9(D)に示すように領域De,Df,Dg及びDhの各領域がそれぞれ第1の分割線30に対して対称になり、領域Da,Db,Dc及びDdの各領域がそれぞれ第2の分割線31に対して対称になるようにホログラム素子27を構成すれば良く、この場合、Di(第3の分割領域)は、どのような構成であっても構わない。
【0074】
また、上述の第1の実施の形態においては、光検出器29の受光部の配置パターンを図4に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10(A)及び図10(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0075】
(2)第2の実施の形態
(2−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2においては、130は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置130は、光検出器131の受光部構成が異なる点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0076】
実際上、第1の実施の形態において、光検出器29の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器131では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置130においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器131上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0077】
図11は、第2の実施の形態に係る光ピックアップ装置130で用いる光検出器131の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器131において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図3)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器131上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0078】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを、非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数4】
・・・・・(4)
により生成する。
【0079】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数5】
・・・・・(5)
により生成する。
【0080】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図11に示す光検出器131の受光部a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2及びh2にそれぞれ入射する。そして、この光検出器131上の受光部a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2及びh2から光量に応じて出力される信号A2,B2,C2,D2,E2,F2,G2及びH2によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器131の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0081】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A2,B2,C2,D2,E2,F2,G2及びH2より次式
【数6】
・・・・・(6)
により生成する。
【0082】
(6)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(6)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(6)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0083】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図12〜13を用いて説明する。
【0084】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0085】
なお、本実施の形態における光検出器131の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器131は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e2及びh2と受光部f2及びg2をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えている。
【0086】
このように光検出器131は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器131は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0087】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図12は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器131の受光部a〜h2に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図12に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図12に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0088】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図12に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0089】
本実施の形態における光検出器131では、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光140を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器131は、0次回折光により発生した最大層間迷光140を回避することが可能となる。
【0090】
また、光検出器131は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部f2及びg2と受光部e2及びh2をラジアル方向に並べ、受光部e2及びh2と受光部f2及びg2とで領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するタンジェンシャル方向に並べた受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)を挟み込むようにして配置する。これにより、光検出器131は、最大層間迷光を回避することが可能となる。
【0091】
図13は、ホログラム素子27を回折し、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図13にホログラム素子領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0092】
図13中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0093】
また矢印150は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印150の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印150の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0094】
ここで、例えばホログラム素子27の領域Deを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動すると同時に、ラジアル方向に広がっていく。このとき、ラジアル方向に広がる方向は、図5で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Deを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がタンジェンシャル方向に並んでいる受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射しないよう受光部e2を配置している。そして、ホログラム素子27の領域Df,Dg及びDhを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射しないよう受光部f2,g2及びh2を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に入射することがない。
【0095】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f2及びg2と受光部e2及びh2とタンジェンシャル方向に並べた受光部a2,b2,c2及びd2とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器131の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0096】
(2−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置130によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0097】
(2−3)第2の実施の形態の変形例
【0098】
なお、上述の第2の実施の形態においては、光検出器131の受光部の配置パターンを図4に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0099】
(3)第3の実施の形態
(3−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、170は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置170は、光検出器171の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0100】
実際上、第1の実施の形態において、ホログラム素子27上の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する光検出器29の受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するラジアル方向に並べた受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器171では、ホログラム素子27上の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する光検出器171の受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置170においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器171上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0101】
図15は、第3の実施の形態に係る光ピックアップ装置170で用いる光検出器171の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器171において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図2)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器171上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0102】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数7】
・・・・・(7)
により生成する。
【0103】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数8】
・・・・・(8)
により生成する。
【0104】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図15に示す光検出器171の受光部a3,b3,c3,d3,e3,f3,g3及びh3にそれぞれ入射する。そして、この光検出器171上の受光部a3,b3,c3,d3,e3,f3,g3及びh3から光量に応じて出力される信号A3,B3,C3,D3,E3,F3,G3及びH3によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器171の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0105】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A3,B3,C3,D3,E3,F3,G3及びH3より次式
【数9】
・・・・・(9)
により生成する。
【0106】
(9)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(9)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(9)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0107】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図16〜17を用いて説明する。
【0108】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0109】
なお、本実施の形態における光検出器171の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器171は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e3,h3,f3及びg3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えている。
【0110】
このように光検出器171は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器171は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0111】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図16は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器171の受光部a〜h3に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図16に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図16に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0112】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図16に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0113】
本実施の形態における光検出器171では、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光180を回避し、第1の受光部群に対してタンジェンシャル方向の位置に配置する。これにより、光検出器171は、0次回折光により発生した最大層間迷光180を回避することが可能となる。
【0114】
また、光検出器171は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べて配置する。なお、図17に示すように各受光部は、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)のラジアル方向の延長線と受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)のラジアル方向の延長線とがおよそ90度をなすようにして配置する。これにより、光検出器171は、最大層間迷光を回避することが可能となる。
【0115】
図17は、ホログラム素子27を回折し、a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図17にホログラム素子領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0116】
図17中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0117】
また矢印190は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印190の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印190の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0118】
ここで、例えばホログラム素子領域Daを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動すると同時に、タンジェンシャル方向に広がっていく。このとき、タンジェンシャル方向に広がる迷光は、図6で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Daを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がラジアル方向に並んでいる受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射しないよう受光部a3を配置している。そして、ホログラム素子領域Db,Dc及びDdを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射しないよう受光部b3,c3及びd3を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)に入射することがない。なお、本実施の形態による光検出器171において、領域Daを回折した迷光による受光部a3への入射方向と領域Daに対し中心部32の略点対称となっている領域Dcを回折した迷光による受光部c3への入射方向とが一致するように受光部a3及び受光部c3を配置する。ホログラム素子27の中心部32に対して略点対称の関係にある領域Db及び領域Dcに対応する受光部b3及びd3も同様に迷光の入射方向が一致するように配置する。
【0119】
また、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動するため、受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器171上でラジアル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)とタンジェンシャル方向に並べた受光部a3及びc3及び受光部b3及びd3とをラジアル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器171の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0120】
(3−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置170によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0121】
(3−3)第3の実施の形態の変形例
なお、上述の第3の実施の形態においては、光検出器29の受光部の配置パターンを図15に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図18に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0122】
(4)第4の実施の形態
(4−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2は、230は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置230は、光検出器231の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0123】
実際上、第1の実施の形態において、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置し、さらに受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器231では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置し、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置230においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器231上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0124】
図19は、第4の実施の形態に係る光ピックアップ装置230で用いる光検出器231の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器231において、第1の実施の形態のホログラム素子27(図2)の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器231上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0125】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数10】
・・・・・(10)
により生成する。
【0126】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数11】
・・・・・(11)
により生成する。
【0127】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図19に示す光検出器231の受光部a4,b4,c4,d4,e4,f4,g4及びh4にそれぞれ入射する。そして、この光検出器231上の受光部a4,b4,c4,d4,e4,f4,g4及びh4から光量に応じて出力される信号A4,B4,C4,D4,E4,F4,G4及びH4によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器171の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0128】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A4,B4,C4,D4,E4,F4,G4及びH4より次式
【数12】
・・・・・(12)
により生成する。
【0129】
(12)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(12)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(12)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0130】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について図20〜21を用いて説明する。
【0131】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0132】
なお、本実施の形態における光検出器231の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器231は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e4,h4,f4及びg4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0133】
それゆえ、光検出器231は、ホログラム素子27の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べて配置する。なお、図20に示すように各受光部は、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)のラジアル方向の延長線と受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)のラジアル方向の延長線とがおよそ90度をなすようにして配置する。
【0134】
そして、光検出器231は、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器171は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0135】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図20は、ホログラム素子29の各領域Da〜Dhを回折し、光検出器171の受光部a〜h4に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図21に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図21に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0136】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図20に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0137】
本実施の形態における光検出器231では、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光240を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器231は、0次回折光により発生した最大層間迷光240を回避することが可能となる。
【0138】
図21は、ホログラム素子27を回折し、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。なお、以下では、説明を簡単にするため、図21にホログラム素子領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した迷光のみを示して説明する。
【0139】
図21中の黒点は、信号光を示し、点線は、最も奥の層を記録及び再生しているときの最も手前の層からの迷光を示し、一点鎖線は最も手前の層を記録及び再生しているときの奥の層からの迷光を示している。なお、点線と一点鎖線は同時に発生しないが説明のために同じ図に示している。
【0140】
また矢印250は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じて変化する迷光の移動方向を示している。所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔が小さい場合には、矢印250の長さが小さい位置に最小層間迷光が配置し、間隔が大きい場合には、矢印250の長さが大きい位置に最大層間迷光が配置する。
【0141】
ここで、例えばホログラム素子27の領域Deを回折した迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてタンジェンシャル方向に移動すると同時に、ラジアル方向に広がっていく。このとき、ラジアル方向に広がる方向は、図5で示したように、ホログラム素子27の領域に依存している。このため、本実施の形態ではホログラム素子27の領域Deを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光がタンジェンシャル方向に並んでいる受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射しないよう受光部e4を配置している。そして、ホログラム素子27の領域Df,Dg及びDhを回折した最大層間迷光及び最小層間迷光も同様に受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射しないよう受光部f4,g4及びh4を配置している。これにより、ホログラム素子27の領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)を回折した最大層間迷光及び最小層間迷光は、受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に入射することがない。なお、本実施の形態による光検出器231において、領域Deを回折した迷光による受光部e4への入射方向と領域Deに対し中心部32の略点対称となっている領域Dgを回折した迷光による受光部g4への入射方向とが一致するように受光部e4及び受光部g4を配置する。ホログラム素子27の中心部32に対して略点対称の関係にある領域Df及び領域Dhに対応する受光部h4及びf4も同様に迷光の入射方向が一致するように配置する。
【0142】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した最大層間迷光は、所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc及びDd(第2の分割領域)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器29上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f4及びg4と受光部e4及びh4とタンジェンシャル方向に並べた受光部a4,b4,c4及びd4とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。これにより光検出器231の各受光部は、最大層間迷光及び最小層間迷光を完全に回避することができる。
【0143】
(4−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置230によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0144】
(4−3)第4の実施の形態の変形例
なお、上述の第4の実施の形態においては、光検出器231の受光部の配置パターンを図19に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図22(A)及び図22(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0145】
(5)第5の実施の形態
(5−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、280は、本実施形態による光ピックアップ装置280を示す。この光ピックアップ装置280は、ホログラム素子281及び光検出器282の受光部構成が異なる点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0146】
実際上、第1の実施の形態において、ホログラム素子27上の領域Da,Db,Dc及びDdは、ラジアル方向に延びる第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して対称になるように位置する場合について説明したが、本実施の形態に係るホログラム素子281では、領域DaとDbとを統合して一つの領域Dabとし、また、領域DcとDdとを統合して一つの領域Dcdとして領域Dabと領域Dcdとがラジアル方向に延びる第2の分割線31に対して対称になるように位置する場合について説明する。
【0147】
また、第1の実施の形態において、光検出器29では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)及びa1,b1,c1及びd1(第3の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をタンジェンシャル方向に配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器282では、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に対して受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部ab5,及びcd5(第11の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群をラジアル方向に配置する場合について説明する。これによって第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置280においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器282上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0148】
図23は、第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置280で用いるホログラム素子281を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図の一例である。図23における二点鎖線は、光ディスク3の所望の情報記録層に対物レンズ10の焦点を結んでいるときのホログラム素子281上の光ビームL1の光スポットの外形を表す。また、斜線部は、光ディスク3上のトラックによって回折されたディスク±1次回折光とディスク0次回折光との干渉領域(プッシュプルパターン)を示している。
【0149】
さらに、実線は領域の境界線を表し、ホログラム素子281は、光ディスク3上のトラックを反射したディスク0次回折光が入射する領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)と、ディスク0次回折光、ディスク±1次回折光が入射する領域Dab及びDcd(第4の分割領域)及び領域Di(第3の分割領域)とで形成され、入射した光ビームL1は、それぞれの領域ごとにそれぞれ異なった方向へ回折される。なお、図23に示すホログラム素子281上の領域Diは、タンジェンシャル方向に延びる第1の分割線30及びラジアル方向に延びる第2の分割線31の交わるホログラム素子281の中心部32を含んだ所定の領域に位置し、領域De、Df、Dg及びDhは、ホログラム素子281の四隅を含んだ所定の領域で、第1の分割線30の直線上で、当該第1の分割線30に対して対称になるように位置し、領域Dab及びDcdは、第2の分割線31の直線上で、当該第2の分割線31に対して対称になるように位置している。また言い換えると、ホログラム素子281は、第1、第3及び第4の分割領域を有し、第3の分割領域は、ホログラム素子281の中心を含む領域であり、第1の分割領域は、ホログラム素子281の略中心を通る光ディスク3のトラックと略平行な方向に延びる第1の分割線30上にある領域であり、第4の分割領域は、ホログラム素子281の略中心を通る光ディスク3のトラックと略垂直な方向に延びる第2の分割線31上にある領域であり、かつ第3の分割領域は、前記光ディスク3のトラックの0次回折光と±1次回折光が交わるプッシュプル領域を含んでおり、第1の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略垂直な方向に並び、第2の分割領域を回折した光ビームL1を検出する少なくとも2つの受光部が光ディスク3のトラックと略平行な方向に並ぶことを特徴としている。
【0150】
なお、ホログラム素子281の回折効率は例えば0次回折光:+1次回折光:−1次回折光=7:3:0であるとする。したがって本実施の形態における光ピックアップ装置280の光検出器29は、ホログラム素子281を透過した0次回折光及びホログラム素子281を回折した+1次回折光を受光することとなる。
【0151】
図24は、第5の実施の形態に係る光ピックアップ装置280で用いる光検出器282の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器282において、ホログラム素子281(図23)の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器282上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0152】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数13】
・・・・・(13)
により生成する。
【0153】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数14】
・・・・・(14)
により生成する。
【0154】
また、ホログラム素子281の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図24に示す光検出器282の受光部ab5,cd5,e5,f5,g5及びh5にそれぞれ入射する。そして、この光検出器282上の受光部ab5,cd5,e5,f5,g5及びh5から光量に応じて出力される信号AB5,CD5,E5,F5,G5及びH5によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器282の受光部に対してタンジェンシャル方向に回避して入射する。
【0155】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号AB5,CD5,E5,F5,G5及びH5より次式
【数15】
・・・・・(15)
により生成する。
【0156】
(15)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(15)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(15)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0157】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について説明する。
【0158】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0159】
なお、本実施の形態における光検出器282の受光部の場合、ホログラム素子281の領域DaとDbを一つの領域Dabとし、領域DcとDdを一つの領域Dcdとしているだけなので、第1の実施の形態による光検出器29上においてデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により発生する図5及び図6に示す迷光と光検出器282上の迷光とは、同様の方向に迷光が発生する。従って、光検出器282は、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e5,h5,f5及びg5(第10の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0160】
それゆえ、本実施の形態による光検出器282は、図24に示すように、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームL1を検出するタンジェンシャル方向に並べた受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)を挟み込むようにして配置する。
【0161】
そして、光検出器282は、ホログラム素子281の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Dab及びDcd(第4の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器282は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0162】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図25は、ホログラム素子281の各領域Dab〜Dhを回折し、光検出器282の受光部ab〜h5に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図25に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図25に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0163】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図25に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0164】
本実施の形態における光検出器282では、受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部ab5及びcd5(第11の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光290を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器282は、0次回折光により発生した最大層間迷光290を回避することが可能となる。
【0165】
また、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部ab5及びcd5に対して略タンジェンシャル方向に配置している受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器282上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f5及びg5と受光部e5及びh5とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab5及びcd5をタンジェンシャル方向に所定量離した位置に配置する。これにより光検出器282の各受光部は、最大層間迷光を完全に回避することができる。
【0166】
(5−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置280によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0167】
(5−3)第5の実施の形態の変形例
なお、上述の第5の実施の形態においては、ホログラム素子281の構成を図23に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図26(A),図26(B),図26(C)及び図26(D)に示すように領域De,Df,Dg及びDhの各領域がそれぞれ第1の分割線30に対して対称になり、領域Dab及びDcDdの各領域がそれぞれ第2の分割線31に対して対称になれば、Di(第3の分割領域)は、どのような構成であっても構わない。
【0168】
また、上述の第5の実施の形態においては、光検出器281の受光部の配置パターンを図24に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図27に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0169】
(6)第6の実施の形態
(6−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2において、350は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置350は、光検出器351の受光部構成が相異する点を除いて第5の実施の形態による光ピックアップ装置280と同様に構成されている。
【0170】
実際上、第5の実施の形態において、トラッキング誤差信号を検出する受光部群である受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とをそれぞれタンジェンシャル方向に並べ、受光部a1及びb1と受光部c1及びd1とで受光部e1,f1,g1及びh1(第2の受光部群)を挟み込むようにして配置する場合について説明したが、本実施の形態に係る光検出器351では、トラッキング誤差信号を検出する受光部群である受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、さらに受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)をタンジェンシャル方向で同一延長線上に並べて配置する場合について説明する。これによって第5の実施の形態による光ピックアップ装置280と同様に本実施の形態による光ピックアップ装置350においても最小層間迷光及び最大層間迷光を効率的に回避し、光検出器351上の受光部の面積を小さくすることができる。
【0171】
図28は、第6の実施の形態に係る光ピックアップ装置350で用いる光検出器351の受光部構成の一例を示す。本実施の形態による光検出器351において、第5の実施の形態のホログラム素子281(図23)の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した0次回折光が、受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射する。そして、この光検出器351上の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)から光量に応じて出力される信号A,B,C及びDによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0172】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号A,B,C及びDより次式
【数16】
・・・・・(16)
により生成する。
【0173】
また、RF信号RFを、信号A,B,C及びDより次式
【数17】
・・・・・(17)
により生成する。
【0174】
また、ホログラム素子281の領域Dab,Dcd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図28に示す光検出器351の受光部ab6,cd6,e6,f6,g6及びh6にそれぞれ入射する。そして、この光検出器351上の受光部ab6,cd6,e6,f6,g6及びh6から光量に応じて出力される信号AB6,CD6,E6,F6,G6及びH6によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器351の受光部に対してタンジェンシャル方向に回避して入射する。
【0175】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号AB6,CD6,E6,F6,G6及びH6より次式
【数18】
・・・・・(18)
により生成する。
【0176】
(18)式のktは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(18)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(18)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0177】
以下では、本実施の形態における多層の光ディスク3の迷光回避方法について説明する。
【0178】
まず本実施の形態の最小層間迷光回避方法について説明する。
【0179】
なお、本実施の形態における光検出器351の受光部においてもデフォーカスによって受光部に入射する光ビームL1により図5及び図6に示す受光部上に発生する迷光と同様の迷光が発生する。従って、光検出器351は、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部e6,h6,f6及びg6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、領域Dab及びDcd(第4の分割領域)を回折した光ビームを検出する受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)をタンジェンシャル方向に並べることで最小層間迷光の影響を最小限に抑えることができる。
【0180】
それゆえ、本実施の形態による光検出器351は、図28に示すように、ホログラム素子281の領域De,Dh,Dg及びDf(第1の分割領域)を回折した光ビームL1を検出する受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)をラジアル方向に並べ、
ラジアル方向に並べた受光部f6及びg6と受光部e6及びh6とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab6及びcd6とをタンジェンシャル方向に所定量離し迷光を回避した位置に配置する。
【0181】
そして、光検出器282は、ホログラム素子281の領域が中心部32に対してタンジェンシャル方向に離れている領域De,Df,Dg及びDh(第1の分割領域)では、迷光はタンジェンシャル方向に避け、ホログラム素子27の領域が中心部32に対してラジアル方向に離れている領域Dab及びDcd(第4の分割領域)では、迷光はラジアル方向に避けている。これにより、光検出器282は、最小層間迷光を効率的に回避することが可能となる。
【0182】
次に本実施の形態の最大層間迷光回避方法について説明する。図29は、ホログラム素子281の各領域Dab〜Dhを回折し、光検出器351の受光部ab〜h6に入射した光ビームL1を光軸方向に沿った方向から見た概略平面図である。図29に示す黒点及び斜線部は、光ディスク3上の所望の情報記録層で対物レンズ10が焦点を結んでいる場合の光ビームL1を受光した受光部上の光スポットを表す。図29に示す点線部は、最大層間迷光を表す。
【0183】
最大層間迷光を説明する上で、多層の光ディスク3の最も手前の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も奥の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)と最も奥の情報記録層に対物レンズ10の焦点を合わせた場合に発生する最も手前の情報記録層からの迷光(最大層間迷光)とで説明しなければならない。しかしながら説明を簡単にするため、以下では、図29に最も奥側の記録層に焦点を合わせた場合の最も手前側の記録層からの迷光における場合を示して説明する。
【0184】
本実施の形態における光検出器351では、受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部ab6及びcd6(第13の受光部群)から構成されるトラッキング誤差信号を検出する受光部群を受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に0次回折光が入射することにより発生する最大層間迷光370を回避し、第1の受光部群に対してラジアル方向の位置に配置する。これにより、光検出器351は、0次回折光により発生した最大層間迷光370を回避することが可能となる。
【0185】
また、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔に応じてラジアル方向に移動するため、受光部ab6及びcd6に対して略タンジェンシャル方向に配置している受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)には入射しない。ただし、ホログラム素子281の領域Dab及びDcd(第4の受光部群)を回折した迷光は、層間隔に応じて光検出器282上でタンジェンシャル方向に広がるため、ラジアル方向に並べた受光部f6及びg6と受光部e6及びh6とタンジェンシャル方向に並べた受光部ab6及びcd6をタンジェンシャル方向に所定量離した位置に配置する。これにより光検出器282の各受光部は、最大層間迷光を完全に回避することができる。
【0186】
(6−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置230によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0187】
(6−3)第6の実施の形態の変形例
なお、上述の第6の実施の形態においては、光検出器351の受光部の配置パターンを図28に示すような構成とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図30(A)及び図30(B)に示すように受光部a,b,c及びd(第1の受光部群)に入射した0次回折光による最大層間迷光を回避できる位置であればトラッキング誤差信号を検出するための受光部は、どのような配置バターンでもよい。
【0188】
(7)第7の実施の形態
(7−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図2との対応部分に同一符号を付して示す図31は、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400を示す。この光ピックアップ装置400は、BD(Blu-Ray Disc)だけでなく、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)にも対応するようにしたため、光ピックアップ装置400における光学系の構成及び光検出器414の受光部構成が相異する点を除いて第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様に構成されている。
【0189】
実際上、第1の実施の形態において、光ピックアップ装置5は、BDを再生及び記録する場合について説明したが、本実施の形態に係る光ピックアップ装置400では、BDに加えてDVDやCDを再生及び記録するために、第1の実施の形態における光ピックアップ装置5の光学系の構成にDVDやCDに対してデータを光学的に再生及び記録するため構成を加えたことにより光検出器414の構成も第1の実施の形態における光検出器29の構成にDVD及びCDを反射した光ビームL1を受光するための構成が加わっている。
【0190】
図31は、図1の光ディスク装置1に搭載された光ピックアップ装置400の光学系を示す。光ピックアップ装置400は、図31に示すように、第1の実施の形態におけるBDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系に加えてCD又はDVDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系20を備える。
【0191】
このうちBDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系は、半導体レーザ20、ビームスプリッタ410、ビームスプリッタ21、フロントモニタ411、コリメートレンズ23、立上げミラー24、1/4波長板25、アクチュエータ412、対物レンズ10、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器413を備えて構成される。
【0192】
半導体レーザ20は、BD規格に対応したほぼ405〔nm〕帯の発散光の光ビームL1を出射するレーザダイオードから構成され、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0193】
また、ビームスプリッタ410及びビームスプリッタ21は、光ビームL1を透過させたり2つ以上に分割する光学部品である。半導体レーザ20の駆動時に当該レーザ20から出射された光ビームL1は、ビームスプリッタ410を透過してビームスプリッタ21に入射する。そして、光ビームL1は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ411に入射する光ビームL1と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL1とに分割される。
【0194】
フロントモニタ411は、光ビームL1の光量を検出するための光学部品で、光ディスク3の記録再生動作の精度を向上させるために光ビームL1の光量を所望の値に制御する際に使用される。具体的に、フロントモニタ411は、半導体レーザ20からの光ビームL1における光量の変化を検出し、検出結果をコントロール回路13(図1)にフィードバックする。これにより、コントロール回路13の制御のもとに、光ディスク3に照射される光ビームL1の光量を制御することが可能となる。
【0195】
コリメートレンズ23は、コリメートレンズ23を光軸方向に駆動する機構によって光軸方向に駆動することで、光ビームL1の発散及び収束状態を変える光学部品で、光ディスク3のカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。そして、コリメートレンズ23を透過した光ビームL1は立上げミラー24、によって反射され、1/4波長板25に入射する。
【0196】
1/4波長板25は、直線偏光を円偏光にする光学部品である。具体的に、光ビームL1は、1/4波長板25によって円偏光に変換され、アクチュエータ412に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、光ディスク3上のトラックによって光ビームL1は、3本の光ビーム(ディスク0次回折光、ディスク+1次回折光及びディスク−1次回折光)に回折される。
【0197】
なお、対物レンズ10は、光ビームL1の光束を集光する光学部品で、対物レンズ10を駆動するアクチュエータによって光ディスク3に対して近接する方向又は離反する方向に変位させたり、光ディスク2のラジアル方向に傾かせることができる。
【0198】
一方光ディスク3を反射した光ビームL1は、対物レンズ10により平行光に変換された後に、1/4波長板25、立上げミラー24、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0199】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL1をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27によって回折された光ビームL1は、検出レンズ28によって非点収差が与えられ光検出器413に入射する。
【0200】
また、光検出器413は、光ビームL1が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器413によって、受光部に入射した光ビームL1を光電変換する。得られた信号を光検出器413は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0201】
また、CD及びDVDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系は、半導体レーザ414、回折格子415、ビームスプリッタ410、ビームスプリッタ21、フロントモニタ411、コリメートレンズ23、立上げミラー416、1/4波長板417、アクチュエータ412、対物レンズ418、ホログラム素子27、検出レンズ28及び光検出器413を備えて構成される。
【0202】
半導体レーザ414は、CD規格に対応したほぼ785〔nm〕帯の発散光の光ビームL2とDVD規格に対応したほぼ660〔nm〕帯の発散光の光ビームL3を出射するレーザダイオードから構成される。半導体レーザ414から出射されたレーザ光L2及びL3は、上述のレーザ点灯回路6(図1)により、例えば記録再生時には記録対象のデータに応じて点滅駆動され、再生動作時には一定パワーで点灯駆動される。
【0203】
また、回折格子415は、光ビームL2及びL3を3本の光ビームL2及びL3(0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光)に回折するCDとDVDを互換するための光学部品である。例えば従来のDPP方式は、光ディスク3上において0次回折光に対し、+1次回折光及び−1次回折光を半径方向に1/2トラックピッチずらす必要があった。しかしながら、例えばDVDの場合、トラックピッチの異なるDVD±R/RW(トラックピッ0.74[μm])、DVD−RAM1(トラックピッチ1.48[μm])及びDVD−RAM2(トラックピ1.23[μm])があり、それぞれに対応した光スポットの配置をするための制御が難しいといった問題があった。しかしながら、回折格子415を用いることにより、3本光ビームL2及びL3のうち+1次回折光及び−1次回折光に回折格子の半径方向に位相差を持たせることで、トラックピッチの異なる光ディスク3の同一トラック上においてもDPP方式が成り立つようにしている。例えば、特開2007−317331の回折格子であるとする。ただし、この回折格子には限定されない。
【0204】
半導体レーザ414から出射したレーザ光L2及びL3は、回折格子415によって少なくとも少なくとも0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光の3本の光ビームにされた後、ビームスプリッタ410によって反射されビームスプリッタ21に入射する。そして、光ビームL2及びL3は、ビームスプリッタ21を透過してフロントモニタ411に入射する光ビームL2及びL3と、ビームスプリッタ21を反射してコリメートレンズ23に入射する光ビームL2及びL3とに分割される。
【0205】
そして、コリメートレンズ23に入射した光ビームL2は、コリメートレンズ23によって平行光に変換され、立上げミラー416、によって反射され、1/4波長板417を通ってアクチュエータ412に搭載された対物レンズ10により光ディスク3上に集光される。そして、回折格子415によって分割された0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光は、対物レンズ418によって各々独立に光ディスク3の情報記録面上に集光されて3個の集光スポットを形成する。
【0206】
なお、立上げミラー416及び1/4波長板417は、BDに対してデータを光学的に読み書きするための光学系における立上げミラー24及び1/4波長板25と同様の構成となるため、詳細な説明は省略した。
【0207】
一方光ディスク3を反射した光ビームL2は、対物レンズ418により平行光に変換された後に、1/4波長板417、立上げミラー416、コリメートレンズ23及びビームスプリッタ21と、順次介してホログラム素子27に入射する。
【0208】
ホログラム素子27上には、入射した光ビームL2をそれぞれ異なる方向に回折するための分割領域がある。このホログラム素子27によって回折された光ビームL2及びL3は、検出レンズ28によって非点収差が与えられ光検出器413に入射する。
【0209】
また、光検出器413は、光ビームL2が集光できるような受光部構成となっており、当該光検出器413によって、受光部に入射した光ビームL2及びL3を光電変換する。得られた信号を光検出器413は、情報信号再生回路7及びサーボ信号再生回路8に送信し、情報信号再生回路7では再生信号であるRF信号が生成され、サーボ信号再生回路8では、サーボ信号であるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号などが生成される。
【0210】
図32は、図30における光検出器413における受光部の配置パターンの一例を示す。図中の斜線部及び黒点は、信号光を示している。本実施の形態による光検出器413は、図32に示すように、図4に示す第1の実施の形態の光検出器29におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0211】
従って、本実施の形態による光検出器413における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第1の実施の形態による光検出器29におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第1の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0212】
以下では、まずBDの信号検出方法について説明する。
【0213】
ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL1による0次回折光は、受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群)に入射する。そして、この光検出器29上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C及び10Dによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0214】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数19】
・・・・・(19)
により生成する。
【0215】
また、RF信号RFを、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数20】
・・・・・(20)
によりを生成する。
【0216】
また、ホログラム素子27の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg及びDhを回折した+1次回折光は、図32に示す光検出器413の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1にそれぞれ入射する。そして、この光検出器29上の受光部a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1及びh1から光量に応じて出力される信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1によりトラッキング誤差信号が得ることができる。なお、領域Diを回折した+1次回折光(図示せず)は、不要光として扱い、光検出器413の受光部に対してラジアル方向に回避して入射する。
【0217】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、1ビームDPP方式を用いて、信号A1,B1,C1,D1,E1,F1,G1及びH1より次式
【数21】
・・・・・(21)
により生成する。
【0218】
(21)式のktbは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(21)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(21)式中第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。このような演算を行うことによって、対物レンズ10がレンズシフトしたときにもオフセットのない安定したトラッキング誤差信号を生成することが可能となる。
【0219】
続いて、DVDの信号検出方法について説明する。
【0220】
ホログラム素子413の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL2は、受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)に入射する。そして、この光検出器413上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0221】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを非点収差方式を用いて、信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lより次式
【数22】
・・・・・(22)
により生成する。
【0222】
数22のkfdは、フォーカス誤差信号に溝横断信号を発生させないようにする係数である。
【0223】
また、RF信号RFを、信号10A,10B,10C及び10Dより次式
【数23】
・・・・・(23)
により生成する。
【0224】
また、そして、この光検出器413上の受光部10a,10b,10c及び10d(第14の受光部群),受光部10e,10f,10g及び10h(第15の受光部群)及び受光部10i,10j,10k及び10l(第16の受光部群)から光量に応じて出力される信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lによりトラッキング誤差信号を得ることができる。
【0225】
本実施の形態では、CD及びDVDのトラッキング誤差信号の検出には、例えば3ビームディファレンシャルプッシュプル方式(以下、これを3ビームDPP(Differential Push Pull)方式と呼ぶ)を使用する。
【0226】
3ビームDPP方式とは、DPP法を3ビームで行う方法で、3ビームDPP方式は公知の技術であるため、これ以上の説明は省略する。
【0227】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、3ビームDPP方式を用いて、信号10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K及び10Lより次式
【数24】
・・・・・(24)
により生成する。
【0228】
(24)式のktdは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(24)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(24)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。
【0229】
続いて、CDの信号検出方法について説明する。
【0230】
ホログラム素子413の領域Da,Db,Dc,Dd,De,Df,Dg,Dh及びDiを透過した光ビームL3は、受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)に入射する。そして、この光検出器413上の受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)から光量に応じて出力される信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lによりフォーカス誤差信号及びRF信号を得ることができる。
【0231】
本実施の形態では、フォーカス誤差信号FESを、非点収差方式を用いて、信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lより次式
【数25】
・・・・・(25)
により生成する。
【0232】
また、RF信号RFを信号20A,20B,20C及び20Dより次式
【数26】
・・・・・(26)
により生成する。
【0233】
また、そして、この光検出器413上の受光部20a,20b,20c及び20d(第14の受光部群),受光部20e,20f,20g及び20h(第17の受光部群)及び受光部20i,20j,20k及び20l(第18の受光部群)から光量に応じて出力される信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lによりトラッキング誤差信号を得ることができる。
【0234】
本実施の形態では、トラッキング誤差信号TESを、3ビームDPP方式を用いて、信号20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J,20K及び20Lより次式
【数27】
・・・・・(27)
により生成する。
【0235】
(27)式のktdは、対物レンズ10がレンズシフトした際に、(27)式中の第1項の信号に含まれるオフセット成分と、(27)式中の第2項の信号に含まれるオフセット成分とを補正するための係数である。
【0236】
(7−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置400によれば、第1の実施の形態による光ピックアップ装置5と同様の効果が得られる。
【0237】
(8)第8の実施の形態
(8−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図33において、430は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置430は、光検出器431の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0238】
実際上、本実施の形態に係る光検出器431の受光部の配置パターンは、図33に示すように、図11に示す第2の実施の形態の光検出器131におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0239】
なお、本実施の形態における光検出器431の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)が、第2の実施の形態の光検出器131の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e2,f2,g2及びh2(第4の受光部群)及び受光部a2,b2,c2及びd2(第5の受光部群)に対応している。
【0240】
従って、本実施の形態による光検出器431における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第2の実施の形態による光検出器131におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第2の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0241】
(8−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置430によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0242】
(9)第9の実施の形態
(9−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図34において、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と対応部分に同一符号を付して示す本実施形態による光ピックアップ装置440を示す。この光ピックアップ装置440は、光検出器441の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0243】
実際上、本実施の形態に係る光検出器441の受光部の配置パターンは、図34に示すように、図15に示す第3の実施の形態の光検出器171におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0244】
なお、本実施の形態における光検出器441の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)が、第3の実施の形態の光検出器171の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e3,f3,g3及びh3(第6の受光部群)及び受光部a3,b3,c3及びd3(第7の受光部群)に対応している。
【0245】
従って、本実施の形態による光検出器441における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第3の実施の形態による光検出器171におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第3の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0246】
(9−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置440によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0247】
(10)第10の実施の形態
(10−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31は、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と対応部分に同一符号を付して示す本実施形態による光ピックアップ装置450を示す。この光ピックアップ装置450は、光検出器451の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0248】
実際上、本実施の形態に係る光検出器451の受光部の配置パターンは、図35に示すように、図19に示す第4の実施の形態の光検出器231におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0249】
なお、本実施の形態における光検出器451の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)が、第4の実施の形態の光検出器231の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e4,f4,g4及びh4(第8の受光部群)及び受光部a4,b4,c4及びd4(第9の受光部群)に対応している。
【0250】
従って、本実施の形態による光検出器451における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第4の実施の形態による光検出器231におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第4の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0251】
(10−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置450によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0252】
(11)第11の実施の形態
(11−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31において、460は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置460は、光検出器461の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0253】
実際上、本実施の形態に係る光検出器461の受光部の配置パターンは、図36に示すように、図24に示す第5の実施の形態の光検出器282におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0254】
なお、本実施の形態における光検出器461の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部a5,b5,c5及びd5(第11の受光部群)が、第5の実施の形態の光検出器282の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e5,f5,g5及びh5(第10の受光部群)及び受光部a5,b5,c5及びd5(第11の受光部群)に対応している。
【0255】
従って、本実施の形態による光検出器461における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第5の実施の形態による光検出器282におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第5の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0256】
(11−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置460によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0257】
(12)第12の実施の形態
(12−1)本実施形態による光ピックアップ装置の構成
図31において、470は、本実施形態による光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置470は、光検出器471の受光部構成が異なる点を除いて第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様に構成されている。
【0258】
実際上、本実施の形態に係る光検出器471の受光部の配置パターンは、図37に示すように、図28に示す第6の実施の形態の光検出器351におけるBDの情報記録面からの光ビームL1を入射し信号を検出するための受光部の配置パターンの構成に加えてCD又はDVDの情報記録面からの光ビームL2及びL3を入射し信号を検出するための受光部を備えている。
【0259】
なお、本実施の形態における光検出器471の受光部10a,10b,10c及び10d受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部a6,b6,c6及びd6(第13の受光部群)が、第6の実施の形態の光検出器351の受光部a,b,c及びd(第1の受光部群),受光部e6,f6,g6及びh6(第12の受光部群)及び受光部a6,b6,c6及びd6(第13の受光部群)に対応している。
【0260】
従って、本実施の形態による光検出器471における迷光を回避し、安定したトラッキング誤差信号を検出するための受光部と第6の実施の形態による光検出器351におけるトラッキング誤差信号を検出するための受光部とで配置パターンが同様のため、本実施の形態による最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法は、第6の実施の形態と同様の方法となる。従って、本実施の形態における最大層間迷光及び最小層間迷光における迷光の回避方法の詳細を省略する。
【0261】
(12−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ピックアップ装置470によれば、第7の実施の形態による光ピックアップ装置400と同様の効果が得られる。
【0262】
(13)第13の実施の形態
(13−1)本実施形態による光ディスク装置の構成
図1との対応部分に同一符号を付して示す図38は、第13の実施の形態による光ディスク装置480を示す。この光ディスク装置480は、第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1は、光ディスク3に情報を記録及び再生を行う機能を有する光ディスク装置1と異なり光ディスク3を光学的に再生のみを行うが相異する点を除いて第1〜第12の実施の形態による光ディスク装置1と同様に構成されている。
【0263】
実際上、第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1は、光ディスク3に情報を記録及び再生を行うため情報信号記録回路14を有する場合について説明したが、本実施の形態に係る光ディスク装置480では、光ディスク3を光学的に再生のみ行う構成となるため情報記録回路14を有さない。
【0264】
従って、本実施の形態における光ディスク装置480は、情報記録回路14を有さない点を除いて第1〜第12の実施の形態おける光ディスク装置1と同様の構成となるためその詳細は、省略する。
【0265】
(13−2)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態による光ディスク装置480によれば、第1〜第12の実施の形態による光ディスク装置1と同様の効果が得られる。
【0266】
(14)他の実施の形態
なお、上述の第1〜第13の実施の形態においては、光ディスク3の情報記録層を反射した光ビームL1がビームスプリッタ21透過後にホログラム素子27,281を通過するように、ホログラム素子27,281を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ホログラム素子27,281を偏光ホログラム素子等の回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置するようにしても良い。
【0267】
また、上述の第1〜第13の実施の形態においては、ホログラム素子27,281によって回折された+1次回折光を光検出器29,131,171,231,282,351,413,441,451,461,471で検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、−1次回折光であっても良いし、他の次数の例えば±2次回折光や±3次回折光等であっても良い。
【0268】
さらに、上述の第1〜第13の実施の形態においては、ホログラム素子27,281を透過した0次回折光による最大層間迷光の外にトラッキング誤差信号の受光部を配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、迷光の影響が小さい場合には、必ずしも最大層間迷光は回避しなくとも良い。さらに、ビームスプリッタ21に代えてミラーを適用するようにしても良い。この場合、ミラーによって発生するコマ収差及び非点収差をホログラム素子によって補正しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明は、複数の情報記録層を有する光ディスクに対応した光ピックアップ装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0270】
1,480……光ディスク装置、対物レンズ……10、半導体レーザ……20,414、5,130,170,230,280,350,400,430,440,450,460,470……光ピックアップ装置、27,281……ホログラム素子、28……検出レンズ、29,131,171,231,282,351,413,441,451,461,471……光検出器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、
前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、
前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、
前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、
前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、
前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、
前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を受光する第1の受光部郡と、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する第2の受光部郡と、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する第3の受光部郡とを有し
前記第2の受光部郡および前記第3の受光部郡は、
前記第1の受光部郡に対し、略同一の方向に配置されている
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線と前記第2の分割領域、前記第3の分割領域により4分割される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8記載の光ピックアップ装置において、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線と前記第1の分割領域、前記第3の分割領域により4分割される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号を検出する受光部は、多層ディスクを記録/再生した場合に前記回折素子の0次回折光の迷光の外側に配置されている
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を検出した信号から、非点収差方式のフォーカス誤差信号を生成する
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を検出した信号から、再生信号を生成する
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12記載の光ピックアップ装置において、
前記回折素子は、回折光に少なくとも非点収差を付加する機能を有するホログラム素子である
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項14】
請求項1ないし13記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置内における前記半導体レーザを駆動するレーザ点灯回路と、前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路とを搭載した光ディスク装置。
【請求項1】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の中心を含む領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線上にある領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、
前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、
前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記光ディスク上のトラックにより回折されたディスク回折光のうち、
前記第1の分割領域には、ディスク0次回折光が入射し、
前記第2の分割領域には、ディスク0次、ディスク±1次回折光が入射し、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、
前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
光ピックアップ装置であって、
レーザ光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射された光ビームを集光して光ディスクに照射するための対物レンズと、
前記光ディスクから反射した光ビームを分岐する回折素子と、
前記回折素子により分岐された光ビームを受光する複数の受光部を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は第1、第2、第3の分割領域を有し、
前記第3の分割領域は、前記回折素子の略中心を含む所定の領域であり、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の四隅を含んだ所定の領域であり、
前記第2の分割領域は、前記第1の分割領域と前記第2の分割領域以外の領域であり、
前記第1の分割領域または前記第2の分割領域の回折光が少なくとも4つの受光部に入射するよう少なくとも4分割されており、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を少なくとも4分割の受光部で検出し、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する少なくとも2つの受光部が前記光ディスクのトラックと略平行な方向に並ぶ
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を受光する第1の受光部郡と、
前記第1の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する第2の受光部郡と、
前記第2の分割領域を1次以上の回折次数で回折した光ビームを検出する第3の受光部郡とを有し
前記第2の受光部郡および前記第3の受光部郡は、
前記第1の受光部郡に対し、略同一の方向に配置されている
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略平行な方向に延びる直線と前記第2の分割領域、前記第3の分割領域により4分割される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8記載の光ピックアップ装置において、
前記第2の分割領域は、前記回折素子の略中心を通る前記光ディスクのトラックと略垂直な方向に延びる直線と前記第1の分割領域、前記第3の分割領域により4分割される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9記載の光ピックアップ装置において、
前記トラッキング誤差信号を検出する受光部は、多層ディスクを記録/再生した場合に前記回折素子の0次回折光の迷光の外側に配置されている
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を検出した信号から、非点収差方式のフォーカス誤差信号を生成する
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11記載の光ピックアップ装置において、
前記第1の分割領域、前記第2の分割領域、前記第3の分割領域の0次回折光を検出した信号から、再生信号を生成する
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12記載の光ピックアップ装置において、
前記回折素子は、回折光に少なくとも非点収差を付加する機能を有するホログラム素子である
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項14】
請求項1ないし13記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置内における前記半導体レーザを駆動するレーザ点灯回路と、前記光ピックアップ装置内の前記光検出器から検出された信号を用いてフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号を生成するサーボ信号生成回路と、光ディスクに記録された情報信号を再生する情報信号再生回路とを搭載した光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2012−256394(P2012−256394A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129639(P2011−129639)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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