説明

光ピックアップ装置

【課題】 パドル部がGNDピンであるQFNタイプのICを片面FPCに実装することができる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 ドライバIC20を実装した片面FPCは、実装面をハウジング40aと反対側にして、ハウジング40aに収容される。ドライバIC20のパドル22は、片面FPCのくり抜き孔の位置に合わせて実装され、ハウジング40aに対して露出された状態になる。ハウジング40aは、パドル22周辺の片面FPCの厚みを考慮した凸形状の突起部41を有する。押さえバネ42は、ドライバIC20をハウジング40aに対して押圧し、片面FPCのくり抜き孔を介して、パドル22を突起部41に接触させて、パドル22と突起部41とを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の記録媒体に情報を記録、再生、および消去する機能のうち、少なくとも1つの機能を有する光ピックアップ装置に関し、より詳細には、集積回路が実装されたフレキシブルプリント配線基板を用いる光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置は、光ディスク等の記録媒体に、たとえばレーザ光を用いて情報を記録、再生、および消去する機能のうち、少なくとも1つの機能を有する装置である。したがって、光ピックアップ装置には、レーザ光を出射するためのドライバIC(
Integrated Circuit:集積回路)が必須の部品であり、このドライバICは、FPC(
Flexible Printed Circuit:フレキシブルプリント配線基板)に実装されて用いられる。
【0003】
従来の技術は、たとえば特許文献1に記載されている。この特許文献1には、半導体レーザを含むレーザユニットを装着したフレキシブル基板を用い、そのフレキシブル基板を制御用信号のプリント配線とGND強化用のプリント配線とを重ね合わせた構造にして、不要輻射ノイズを防御することによって、軽量化を可能にする光ピックアップ装置が開示されている。
【0004】
図12は、ICのパッケージ形状の例を示す図である。図12(a)は、SOP(
Small Outline Package)タイプのパッケージ形状のトップビューを示す図である。このSOPタイプのIC50は、片側に各7本、1番ピン1p〜14番ピン14pの合計14本の接続ピンを有し、部品の実装面にのみプリント配線を有する片面FPCに実装される。
【0005】
図12(b)は、QFN(Quad Flat Non-leaded package)タイプのパッケージ形状のボトムビューを示す図である。このQFNタイプのIC51は、各辺に5つの接続ピンが配置され、IC51の周辺に1番ピン1p〜20番ピン20pの合計20本の接続ピンを有する。IC51は、ICチップが載置される導電性を有するパドル52を中央部に有し、部品の実装面およびその裏側の非実装面にもプリント配線を有する両面FPCに実装される。図12(c)は、QFNタイプのパッケージ形状のトップビューを示す図である。IC51には、1番ピンの位置を識別可能にする1番ピンマーク1mが示されている。
【0006】
いずれのタイプのICであっても、接地するための、つまり電位をグラウンドレベルとするためのGND(ground)ピンは、FPCのプリント配線のうちのGNDパターンと接続されて、接地される。
【0007】
図13は、SOPタイプのIC50のGNDピンとFPCのGNDパターンとの接続を示す図である。SOPタイプのIC50のGNDピンが、FPCのGNDパターン53と接続されており、GNDパターン53は、GNDピンから任意の方向に引き出すことができる。GNDパターン53の一部は、IC50の下に配線されている。
【0008】
図14は、QFNタイプのIC51のGNDピンと両面FPCのGNDパターンとの接続を示す図である。QFNタイプのIC51は、接地するためのGNDピンとして、パドル52を用いる。図14(a)は、実装面および非実装面にプリント配線を有する両面FPC59のGNDパターン55、IC51、およびスルーホール54のみを取り出して、それらの位置関係を示すために、GNDパターン55側から見た図である。
【0009】
スルーホール54は、両面FPC59の実装面から非実装面に貫通する貫通孔であり、実装面および非実装面に設けられたプリント配線を接続するための銅箔パターンを形成するためのものである。IC51のパドル52は、両面FPC59のGNDパターン55が配線されている位置に設けられたスルーホール54を介して、GNDパターン55に接続される。
【0010】
図14(b)は、IC51を実装した両面FPC59の断面図である。IC51は、接続ピン57がFPC基材56に配線された銅箔パターン58に半田付けされることによって、両面FPC59の実装面に実装される。両面FPC59の非実装面のGNDパターン55の銅箔パターンは、スルーホール54を介して、パドル52側に引き出される。パドル52は、この引き出された銅箔パターンと電気的に接続され、接地される。
【0011】
このように、GNDピンを兼ねるパドル52が、IC51の各辺に配置された接続ピンによって囲まれていても、スルーホール54を用いて、両面FPC59の実装面から非実装面へと銅箔パターンを引き出すことで、GNDパターン55と接続することが可能となる。
【0012】
【特許文献1】特開2001−23216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、電子機器の小型化および薄型化による高付加価値化に伴い、光ピックアップ装置においても、小型化および薄型化が要求されている。したがって、レーザ光を出射するためのドライバICのパッケージサイズの小型化が必須となっている。従来使用していたSOPタイプのICは、そのパッケージ形状から小型化に限度があり、使用が困難になってきている。さらに工程短縮、および材料削減による省資源化を目的として、両面FPCを片面FPCに置き換える事も必須の課題となっている。すなわち、SOPタイプのICよりもパッケージサイズが小さいQFNタイプのICを片面FPCに実装することが必要である。
【0014】
QFNタイプの一部のICは、信号ピン数を最小限にすることによって、パッケージサイズの小型化を図っている。具体的には、GNDピンをICの腹面にあるパドル部分にのみ設定することによって、接続ピン数を減らしている。ところが、このQFNタイプのICの4辺は信号用および電源供給用の接続ピンによって囲まれているので、このICを片面FPCに実装する場合、パドルからICの外部にGNDパターンを引き出すことができないという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、パドルがGNDピンであるQFNタイプのICを片面FPCに実装することができる光ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線が設けられ、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔が設けられたフレキシブルプリント配線基板に、ICチップを載置するパドル部が設けられた集積回路を、そのパドル部を前記フレキシブルプリント配線基板の実装面に対向させて、かつ前記パドル部を前記貫通孔の位置に配置して実装し、さらに前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とを接続することを特徴とする接続方法である。
【0017】
本発明に従えば、フレキシブルプリント配線基板に、部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線を設け、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔を設け、集積回路に、ICチップを載置するパドル部を設け、そのパドル部を前記フレキシブルプリント配線基板の実装面に対向させて、かつ前記パドル部を前記貫通孔の位置に配置して、前記集積回路を前記フレキシブルプリント配線基板に実装し、さらに前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とを接続させる。
【0018】
このように、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板に、貫通孔を設けることによって、その貫通孔を介してパドル部を導体と接続することができる。
【0019】
また本発明は、ICチップを載置するパドル部が設けられ、かつレーザ光を出射するレーザ素子を駆動する集積回路と、
部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線が設けられ、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔が設けられたフレキシブルプリント配線基板であって、前記パドル部を実装面に対向させて、かつそのパドル部を前記貫通孔の位置に配置して、前記集積回路を実装するフレキシブルプリント配線基板と、
前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とを接続する接続手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0020】
本発明に従えば、集積回路によって、ICチップを載置するパドル部が設けられ、かつレーザ光を出射するレーザ素子が駆動され、フレキシブルプリント配線基板によって、部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線が設けられ、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔が設けられ、前記パドル部を実装面に対向させて、かつそのパドル部を前記貫通孔の位置に配置して、前記集積回路が実装され、接続手段によって、前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とが接続される。
【0021】
このように、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板に、貫通孔を設けることによって、その貫通孔を介してパドル部を導体と接続することができる。
【0022】
また本発明は、前記導体は、前記フレキシブルプリント配線基板を保持する導電性を有する保持部材であり、その保持部材は、前記フレキシブルプリント配線基板の非実装面をその保持部材に対向させて保持し、
前記接続手段は、前記パドル部と前記保持部材とを接続することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、導体が導電性を有する保持部材であるので、パドル部をその保持部材に接続することができる。
【0024】
また本発明は、前記保持部材は、突起部を含み、その突起部が前記貫通孔の位置に配置するように前記フレキシブルプリント配線基板を保持し、
前記接続手段は、前記貫通孔を介して、前記パドル部と接触する前記突起部であることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、保持部材は突起部を有するので、その突起部に接続することができる。
【0026】
また本発明は、前記保持部材は、その保持部材に固定された導電部材を含み、
前記接続手段は、前記パドル部に半田付けされた前記導電部材であることを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、保持部材はその保持部材に固定された導電部材を有するので、パドル部を導電部材に半田付けすることができる。
【0028】
また本発明は、前記導体は、前記フレキシブルプリント配線基板を保持する導電性を有する保持部材であり、その保持部材は、その保持部材と前記フレキシブルプリント配線基板の実装面とを対向させて、そのフレキシブルプリント配線基板をその保持部材に固定する導電性を有する固定部材を含み、
前記接続手段は、前記パドル部と前記固定部材とを接続することを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、導体が導電性を有する固定部材であるので、パドル部をその固定部材に接続することができる。
【0030】
また本発明は、前記固定部材は、前記パドル部と接触する接触部を含み、
前記接続手段は、前記パドル部に半田付けされた前記接触部であることを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、固定部材はパドル部と接触する接触部を有するので、パドル部を接触部に半田付けして接続することができる。
【0032】
また本発明は、前記接続手段は、前記固定部材の一部であって、その一部を前記パドル部に押圧する弾性形状を有する接触部であることを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、接触部がその接触部をパドルに押圧する弾性形状を有するので、接触部を押圧してパドル部に接続することができる。
【0034】
また本発明は、前記接続手段は、前記パドル部に押圧状態で樹脂封止された前記接触部であることを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、接触部をパドル部に押圧した状態で樹脂封止するので、接触部をパドルに固定することができる。
【0036】
また本発明は、前記フレキシブルプリント配線基板は、実装面から非実装面に貫通する第2の貫通孔をさらに含み、その第2の貫通孔を前記貫通孔の位置に一致するように、非実装面を対向させて折り返して構成され、
前記接続手段は、前記貫通孔および前記第2の貫通孔を介して、前記パドル部と前記プリント配線とを接続することを特徴とする。
【0037】
本発明に従えば、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板に、2つの貫通孔を設け、2つの貫通孔の位置を合わせて、そのフレキシブルプリント配線基板を折り返して構成することによって、その2つの貫通孔を介してパドル部をプリント配線に接続することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板である片面FPCに、貫通孔を設けることによって、その貫通孔を介してパドル部を導体と接続することができるので、周囲を他の接続ピンで囲まれているパドル部を有する集積回路を片面FPCに実装することができる。したがって、より小型の集積回路を用いることができ、装置を小型化および薄型化することができる。さらに片面FPCを利用することができ、材料削減による省資源化を図ることができる。
【0039】
また本発明によれば、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板である片面FPCに、貫通孔を設けることによって、その貫通孔を介してパドル部を導体と接続することができるので、周囲を他の接続ピンで囲まれているパドル部を有する集積回路を片面FPCに実装することができる。したがって、より小型の集積回路を用いることができ、光ピックアップ装置を小型化および薄型化することができる。さらに片面FPCを利用することができ、材料削減による省資源化を図ることができる。
【0040】
また本発明によれば、パドル部を保持部材に接続することができるので、片面FPCのGNDパターンに直接接地することができない場合でも、シャーシなどの保持部材に接地することができる。
【0041】
また本発明によれば、突起部に接続するので、押さえバネで簡単に接続することができる。
【0042】
また本発明によれば、パドル部を金属部材に半田付けすることができるので、保持部材の材質に関係なく半田付けすることができる。さらに耐衝撃性を向上し、電気的な接続の信頼性を高くすることができる。
【0043】
また本発明によれば、固定部材に接続することができるので、片面FPCのGNDパターンに直接接地することができない場合でも、天板などの固定部材に接地することができる。
【0044】
また本発明によれば、パドル部を接触部に半田付けして接続するので、耐衝撃性を向上し、さらに電気的な接続の信頼性を高くすることができる。
【0045】
また本発明によれば、接触部によって押圧してパドル部を接続することができるので、押さえバネで簡単に接続することができる。
【0046】
また本発明によれば、接触部をパドルに固定するので、耐衝撃性を向上することができる。
【0047】
また本発明によれば、部品を実装する実装面にのみプリント配線を有するフレキシブルプリント配線基板に、2つの貫通孔を設け、その2つの貫通孔の位置を合わせて、フレキシブルプリント配線基板を折り返して構成することによって、その2つの貫通孔を介してパドル部をプリント配線に接続することができる。したがって、ハウジングおよび天板に対して、接続するための加工作業および組立作業を実施する必要がなく、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1は、本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置1の概略の構成を示す図である。光ピックアップ装置1は、FPC(Flexible Printed Circuit)10、ドライバIC(Integrated Circuit)20、コリメートレンズ31、立ち上げミラー32、対物レンズ33、およびレーザ素子35を含んで構成される。
【0049】
フレキシブルプリント配線基板である片面FPC10は、FPC基材11の表面に銅箔パターン12で形成されたプリント配線を有する。このプリント配線は、部品を実装する実装面にのみ形成される。
【0050】
ドライバIC20は、発光素子、たとえばレーザ光を出射するレーザ素子35を駆動する集積回路であり、パッケージ形状がQFN(Quad Flat Non-leaded package)タイプのICである。ドライバIC20は、接続ピン20、および図示しないICチップを載置するパドル22を有する。ドライバIC20は、接続ピン21が銅箔パターン12と直接半田付けされることによって、片面FPC10に実装される。ドライバIC20とレーザ素子35とは、FPC10によって接続されている。
【0051】
コリメートレンズ31は、発光素子35によって出射されたレーザ光を、平行光にする。立ち上げミラー32は、コリメートレンズ31を通過したレーザ光の光経路を90度屈曲させ、そのレーザ光を対物レンズ33へと導く。対物レンズ33は、立上げミラー32によって屈曲されたレーザ光を光ディスクなどの光記録媒体34に集光させる。
【0052】
図2は、図1に示した片面FPC10を説明するための図である。片面FPC10には、実装面にのみ銅箔パターン12が配線され、実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔、つまりくり抜き孔14がある。ドライバIC20は、くり抜き孔14に対応する実装位置20aに実装される。
【0053】
片面FPC10の非実装面側からドライバIC20を見ると、パドル22は、くり抜き孔14を介して露出される。パドル22は、片面FPC10を保持する導電性を有する保持部材、たとえば電流を導通する導体であるシャーシ部分(以下、ハウジングという)、あるいは片面FPC10をハウジングに固定する導電性を有する固定部材、たとえば天板に、電気的に接続される。
【0054】
パドル22は、ドライバIC20を接地するためのGNDピンとして用いられ、パドル22をハウジングあるいは天板と接触させることによって、電気的に接続し、接地することができる。
【0055】
このように、片面FPC10にくり抜き孔14を設けることによって、そのくり抜き孔14を介して、パドル部であるパドル22を、電流を導通する導体、たとえばハウジングと接続することができるので、周囲を他の接続ピンで囲まれているパドル部を有するIC、たとえばドライバIC20を片面FPC10に実装することができる。したがって、より小型のICを用いることができ、装置、たとえば光ピックアップ装置を小型化および薄型化することができる。さらに片面FPCを利用することができ、材料削減による省資源化を図ることができる。
【0056】
図3は、図1に示したドライバIC20のピン配置を示す図である。この図は、ドライバIC20のボトムビューである。1番ピン1p〜20番ピン20pは、ドライバIC20の周辺部に、右上の1番ピン1pから時計回りに、20番ピン20pまで配置される。パドル22は、ドライバIC20の中央部に配置される。
【0057】
たとえば、1番ピン1p〜8番ピン8pはデジタル入力信号用の接続ピン、9番ピン9p、10番ピン10p、16番ピン16p、および17番ピン17pは電位VCCを供給する接続ピン、11番ピン11p〜15番ピン15pはアナログ出力信号用の接続ピン、ならびに18番ピン18p〜20番ピン20pはアナログ入力信号用の接続ピンである。
【0058】
1番ピン1p〜20番ピン20pは、信号用の接続ピンまたは電位VCCを供給する接続ピンであり、接地するためのGNDピンであるパドル22を、囲むように配置されている。
【0059】
図4は、図1に示した片面FPC10をハウジング40に収容した状態を示す図である。ドライバIC20を実装した片面FPC10は、実装面をハウジング40と反対側にして、ハウジング40に収容される。押さえバネ42は、ドライバIC20を押圧して、ドライバIC20および片面FPC10をハウジング40に固定し、さらに発熱が大きいドライバIC20が発生した熱を放熱するために用いられる。ドライバIC20の接続ピン21は、片面FPC10の銅箔パターン12に半田付けされる。
【0060】
ドライバIC20のパドル22は、片面FPC10のくり抜き孔14の位置に合わせて実装され、ハウジング40に対して露出された状態になっている。片面FPC10のGNDパターンを、ビス留めあるいは半田付けなどで導電性を有するハウジング40と接続させておけば、パドル22をハウジング40と接触させることによって、パドル22を接地することができる。
【0061】
後述する接続手段を用いて、パドル22を保持部材であるハウジング40に接続することによって、片面FPC10のGNDパターンに直接接地することができない場合でも、シャーシなどの保持部材に接地することができる。
【0062】
図5は、図1に示したパドル22を接地する第1の接続手段を示す図である。図5は、図4に示したハウジング40に代えて、ハウジング40に突起部41を設けたハウジング40aを用いるものである。突起部41は、突起部41がパドル22と接触するように、パドル22周辺の片面FPC10の厚みを考慮した凸形状の突起である。押さえバネ42は、ドライバIC20をハウジング40aに対して押圧しているので、パドル22と突起部41とを接触させて、パドル22をハウジング40aに接続することができる。
【0063】
このように、保持部材であるハウジング40aの突起部41に接続するので、押さえバネ42で簡単に接続することができる。
【0064】
図6は、図1に示したパドル22を接地する第2の接続手段を示す図である。図6は、図5に示したハウジング40aに代えて、ハウジング40aの突起部41の中心付近の位置に、突起部41のある面から、突起部41の裏側の面に貫通する貫通孔を設けたハウジング40bを用いるものである。
【0065】
半田付け部43は、この貫通孔を形成するハウジング40bとパドル22とを、電気的に接続するために直接半田付けしたものであり、パドル22をハウジング40bに接続する。このように、パドル22を保持部材であるハウジング40bに半田付けするので、耐衝撃性を向上し、さらに電気的な接続の信頼性を高くすることができる。
【0066】
図7は、図1に示したパドル22を接地する第3の接続手段を示す図である。図7は、図6に示したハウジング40bに代えて、半田付けのための金属部材44を取り付けたハウジング40cを用いるものである。ハウジング40cは、片面FPC10を収納する側の面から、反対側の面に貫通する貫通孔を有し、その貫通孔を形成する部分に、金属部材44を取り付ける取付け部を有する。
【0067】
金属部材44は、たとえば銅などの金属材料で形成された金属片であり、たとえば金属片を2箇所で90度それぞれ反対方向に屈曲させた形状である。金属部材44は、取り付けネジ45によって、ハウジング40cの取付け部に固定される。この金属部材44の形状は、上述した形状に限定されるものではなく、より半田付けしやすい形状にすることが可能である。
【0068】
半田付け部43aは、パドル22と、金属部材44の一部、たとえば取り付けネジによってハウジング40cに固定された側と反対側の部分とを、電気的に接続するために半田付けしたものであり、パドル22をハウジング40cに接続する。
【0069】
このように、パドル22を導電部材である金属部材44に半田付けするので、保持部材であるハウジング40cの材質に関係なく、たとえばハウジング40cの材質が半田付けしにくい材質であっても、パドル22を半田付けすることが可能になる。さらに耐衝撃性を向上し、電気的な接続の信頼性を高くすることができる。
【0070】
図8は、図1に示したパドル22を接地する第4の接続手段を示す図である。図8は、図4とは実装形態が異なるドライバIC20のパドル22を接地する接続手段を示す図である。ドライバIC20を実装した片面FPC10は、実装面をハウジング40に対向させて、片面FPC10を押さえる天板46によって押さえられて、ハウジング40に収容される。
【0071】
天板46は、導電性を有する材料で形成され、たとえば図示しないビス留めなどによって、ハウジング40に固定される。片面FPC10のGNDパターンの皮膜をはがして、銅箔パターンを露出させておき、その部分を、天板46とハウジング40との間にはさみ込んで、ビス留めすることによって、天板46を接地することができる。
【0072】
パドル22は、片面FPC10のくり抜き孔14を介して、天板46側に露出している。天板46は、ドライバIC20が発生した熱を放熱するため、およびドライバIC20をハウジング40側に押さえて固定するために、バネ状に形成された押さえバネ42を有する。
【0073】
押さえバネ42は、ドライバIC20を押さえるために、パドル22と接触するので、パドル22は、押さえバネ42および天板46を介して、ハウジング40に接地され、片面FPC10のGNDパターンに接地されたことになる。
【0074】
このように、天板46などの固定部材に接続することができるので、片面FPC10のGNDパターンに直接接地することができない場合でも、天板46などの固定部材に接地することができる。さらに、接触部である押さえバネ42によって押圧してパドル22を接続することができるので、押さえバネ42で簡単に接続することができる。
【0075】
また、FPCを間に挟む事無く、直接パドル22が天板46などの固定部材と接続されているので、FPC越しにパドル22を押さえるよりも放熱をよくしている。
【0076】
図9は、図1に示したパドル22を接地する第5の接続手段を示す図である。半田付け部43bは、図8に示した押さえバネ42とパドル22とを、電気的に接続するために半田付けしたものである。このように、パドル22を接触部である押さえバネ42に半田付けして接続することによって、耐衝撃性を向上し、さらに電気的な接続の信頼性を高くすることができる。
【0077】
半田付けの代わりに、押さえバネ42をパドル22に接触させた状態で、接着剤で接着、あるいは樹脂で封止してもよい。このように、接触部である押さえバネ42とパドル22とを固定することによって、耐衝撃性を向上することができる。
【0078】
図10は、図8に示した押さえバネ42の形状の例を示す図である。図10(a)および 図10(b)は、いずれも、パドル22を天板46側から見た図であり、天板46の下に片面FPC10があり、片面FPC10のくり抜き境界15で囲まれたくり抜き孔のところに、ドライバIC20のパドル22が示されている。
【0079】
図10(a)は、パドル22を天板46側から見た斜視図である。天板46は、4つの押さえバネ42a〜押さえバネ42dを有する。4つの押さえバネ42a〜押さえバネ42dは、点線部分で屈曲して、先端付近がパドル22に接触している。4つの押さえバネ42a〜押さえバネ42dで押圧しているので、より確実にドライバIC20を固定し、かつ接地面積を大きくすることによって、電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0080】
図10(b)は、パドル22を天板46側上方から見た図である。押さえバネ42eは、図10(a)に示した4つの押さえバネ42a〜押さえバネ42dの先端を接続した形態を有する押さえバネである。この押さえバネ42eは、たとえば天板46をリング状に打ち抜いた後、プレス加工にてバネ形状を形成したものである。
【0081】
図11は、図1に示したパドル22を接地する第6の接続手段を示す図である。上述した実施の形態は、パドル22を直接ハウジング、つまり電流を導通する導体であるシャーシに接続して、あるいは、天板に接続して、接地した例であるが、片面FPC10を折り返して、パドル22を、片面FPC10のGNDパターン13に直接接続してもよい。
【0082】
片面FPC10は、実装面から非実装面に貫通する2つの貫通孔を有し、その2つの貫通孔の位置を一致するように、非実装面を対向させて折り返して構成される。
【0083】
ドライバIC20は、2つの貫通孔のうち、第1の貫通孔の側に実装される。他の貫通孔である第2の貫通孔は、GNDパターンを貫通する位置に設けられる。パドル22は、第1の貫通孔および第2の貫通孔を介して、GNDパターン13に接地される。たとえば半田付け部43cは、GNDパターン13とパドル22とを半田付けしたものであり、電気的に高い信頼性で、パドル22をGNDパターン13に接続することができる。
【0084】
このように、片面FPC10に2つの貫通孔を設け、その2つの貫通孔の位置を合わせて、そのフレキシブルプリント配線基板を折り返して構成することによって、その2つの貫通孔を介してパドル22をプリント配線の一部であるGNDパターン13に接続することができる。したがって、ハウジングおよび天板に対して、接続するための加工作業および組立作業を実施する必要がなく、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の一形態である光ピックアップ装置1の概略の構成を示す図である。
【図2】図1に示した片面FPC10を説明するための図である。
【図3】図1に示したドライバIC20のピン配置を示す図である。
【図4】図1に示した片面FPC10をハウジング40に収容した状態を示す図である
【図5】図1に示したパドル22を接地する第1の接続手段を示す図である。
【図6】図1に示したパドル22を接地する第2の接続手段を示す図である。
【図7】図1に示したパドル22を接地する第3の接続手段を示す図である。
【図8】図1に示したパドル22を接地する第4の接続手段を示す図である。
【図9】図1に示したパドル22を接地する第5の接続手段を示す図である
【図10】図8に示した押さえバネ42の形状の例を示す図である。
【図11】図1に示したパドル22を接地する第6の接続手段を示す図である。
【図12】ICのパッケージ形状の例を示す図である。
【図13】SOPタイプのIC50のGNDピンとFPCのGNDパターンとの接続を示す図である。
【図14】QFNタイプのIC51のGNDピンと両面FPCのGNDパターンとの接続を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 光ピックアップ装置
10 片面FPC
11,56 FPC基材
12,58 銅箔パターン
13,53,55 GNDパターン
14 くり抜き孔
15 くり抜き境界部
20 ドライバIC
21,57 接続ピン
22,52 パドル
31 コリメートレンズ
32 立ち上げミラー
33 対物レンズ
34 光記録媒体
35 発光素子
40 ハウジング
41 突起部
42 押さえバネ
43 半田付け部
44 金属部材
45 取り付けネジ
46 天板
50,51 IC
54 スルーホール
59 両面FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線が設けられ、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔が設けられたフレキシブルプリント配線基板に、ICチップを載置するパドル部が設けられた集積回路を、そのパドル部を前記フレキシブルプリント配線基板の実装面に対向させて、かつ前記パドル部を前記貫通孔の位置に配置して実装し、さらに前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とを接続することを特徴とする接続方法。
【請求項2】
ICチップを載置するパドル部が設けられ、かつレーザ光を出射するレーザ素子を駆動する集積回路と、
部品を実装する実装面にのみ、部品を電気的に接続するプリント配線が設けられ、かつその実装面からその実装面の裏側の非実装面に貫通する貫通孔が設けられたフレキシブルプリント配線基板であって、前記パドル部を実装面に対向させて、かつそのパドル部を前記貫通孔の位置に配置して、前記集積回路を実装するフレキシブルプリント配線基板と、
前記貫通孔を介して、電流を導通する導体と前記パドル部とを接続する接続手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記導体は、前記フレキシブルプリント配線基板を保持する導電性を有する保持部材であり、その保持部材は、前記フレキシブルプリント配線基板の非実装面をその保持部材に対向させて保持し、
前記接続手段は、前記パドル部と前記保持部材とを接続することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記保持部材は、突起部を含み、その突起部が前記貫通孔の位置に配置するように前記フレキシブルプリント配線基板を保持し、
前記接続手段は、前記貫通孔を介して、前記パドル部と接触する前記突起部であることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記保持部材は、その保持部材に固定された導電部材を含み、
前記接続手段は、前記パドル部に半田付けされた前記導電部材であることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記導体は、前記フレキシブルプリント配線基板を保持する導電性を有する保持部材であり、その保持部材は、その保持部材と前記フレキシブルプリント配線基板の実装面とを対向させて、そのフレキシブルプリント配線基板をその保持部材に固定する導電性を有する固定部材を含み、
前記接続手段は、前記パドル部と前記固定部材とを接続することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記パドル部と接触する接触部を含み、
前記接続手段は、前記パドル部に半田付けされた前記接触部であることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記接続手段は、前記固定部材の一部であって、その一部を前記パドル部に押圧する弾性形状を有する接触部であることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記接続手段は、前記パドル部に押圧状態で樹脂封止された前記接触部であることを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記フレキシブルプリント配線基板は、実装面から非実装面に貫通する第2の貫通孔をさらに含み、その第2の貫通孔を前記貫通孔の位置に一致するように、非実装面を対向させて折り返して構成され、
前記接続手段は、前記貫通孔および前記第2の貫通孔を介して、前記パドル部と前記プリント配線とを接続することを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−196780(P2006−196780A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8246(P2005−8246)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】