説明

光ファイバカプラ

【課題】容易に作製できるとともに特性が十分であり、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラを提供する。
【解決手段】基板1と、保護材3、10がそれぞれ被覆されたEDF2、9と、保護材5、12がそれぞれ被覆された分散シフトファイバ4、11と、シングルモードファイバ6と、EDF2、9、分散シフトファイバ4、11及びシングルモードファイバ6を基板1に固定する接着剤7、8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ファイバカプラは公知となっている。例えば、下記特許文献1、2に開示されるものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−309082号公報
【特許文献2】特許第2524400号公報
【0004】
特許文献1のものは、単一モード光ファイバの両端にコアおよび偏波主軸が互いに合致するように一対の偏波保持光ファイバを融着接続して形成した光ファイバを、2本撚り合わせ、単一モード光ファイバ同士を加熱しながら融着、延伸して形成された光ファイバカプラであって、単一モード光ファイバ同士の融着部分における融着方向Zと偏波保持光ファイバの偏波主軸とを略平行または略直交して設けたものである。これにより、一方側の偏波保持光ファイバにおける入射光の偏光モードが、単一モード光ファイバを通過する際に変化することなく、他方側の偏波保持光ファイバに出射され、クロストークの発生を抑えて過剰損失を小さくすることができる。
【0005】
特許文献2のものは、主軸が合致する前後の偏波保持光ファイバの間に短尺の単一モード光ファイバを融着接続した2本の偏波保持光ファイバからなり、前記2本の偏波保持光ファイバの主軸を平行とし、かつそれらの単一モード光ファイバの部分が融着・延伸により偏波が保持された光結合器となっていることを特徴とする偏波保持光ファイバカップラである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、光ファイバカプラに入射する側のファイバと、該光ファイバカプラから出射される側のファイバとが同種のものでない場合があり、異なる種類のファイバ間で、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラが望まれている。しかし、特許文献1、2のものは、同じ仕様の2本ずつの入射ファイバと出射ファイバとからなる偏波保持光ファイバが、シングルモード光ファイバの各端部に融着接続された後に延伸されているものであるので、偏光を伝送したり、種々の異なる波長の光同士を分波又は合波したりすることはできるが、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラとして使用することはできない。
【0007】
そのため、本発明者らは、分岐・合流用の光ファイバカプラとして、片方向のみに光が結合する光ファイバカプラを作製したり、モードフィールド直径の違いを是正するために片側の光ファイバを延伸又はエッチングしたものを用いて光ファイバカプラを作製したりして、分岐・合流用の光ファイバカプラの試作を作製してみた。例えば、エルビウムドープトファイバEDF及び分散シフトファイバなどを用いて作製してみたが、これらのファイバそれぞれの成分やコア径の違いから、溶融延伸が容易でなく、分岐・合流用の光ファイバカプラの作製が困難であった。また、作製できても、分岐・合流用の光ファイバカプラの特性としては不十分なものしか作製できなかった。
【0008】
そこで、本発明は、容易に作製できるとともに特性が十分であり、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光ファイバカプラは、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用のものであり、種類の異なる入射ファイバと出射ファイバとを、シングルモードファイバの各端部にそれぞれ融着接続し、前記シングルモードファイバを溶融延伸して形成したものである。前記入射ファイバと前記出射ファイバとは、分散特性、モード数、偏波特性、添加元素について異なるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容易に作製できるとともに特性が十分であり、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る光ファイバカプラを示す図である。図2(a)は、図1における光ファイバカプラに用いたエルビウムドープトファイバ(EDF)2のコアとクラッドとを示す断面図、及び、屈折率とEDF2の径との関係を示すグラフ、図2(b)は、図1における光ファイバカプラに用いた分散シフトファイバ4のコアとクラッドとを示す断面図、及び、屈折率と光ファイバ4の径との関係を示すグラフ、図2(c)は、図1における光ファイバカプラのシングルモードファイバ6の溶融延伸する前における単一のシングルモードファイバの断面図、及び、屈折率と溶融延伸する前における単一のシングルモードファイバの径との関係を示すグラフ、である。図3は、図1における光ファイバカプラのシングルモードファイバの断面図である。
【0012】
本実施形態に係る光ファイバカプラ100は、図1に示すように、基板1と、保護材3、10がそれぞれ被覆されたEDF2、9と、保護材5、12がそれぞれ被覆された分散シフトファイバ4、11と、シングルモードファイバ6と、EDF2、9、分散シフトファイバ4、11及びシングルモードファイバ6を基板1に固定する接着剤7、8とを備えている。
【0013】
EDF2は、図2(a)に示すように、コア2aと、コア2aの周囲に形成されているクラッド2bとからなり、コア2a及びクラッド2bにおけるコア2a周囲の一部分(図2(a)における斜線部分)においては、エルビウムが添加されている。EDF9も同構成であるので、その説明を省略する。
【0014】
分散シフトファイバ4は、図2(b)に示すように、第1のコア4aと、コア4a周囲に形成されている第2のコア4bと、コア4bの周囲に形成されているクラッド4cとからなるものである。分散シフトファイバ11も同構成であるので、その説明を省略する。
【0015】
シングルモードファイバ6は、図2(c)に示すようなコア6aとクラッド6dからなる光ファイバを2本用いて形成されたものである。具体的には、光結合部を有するものであり、コア6a、6bと、2つのクラッド同士が融着して形成されたクラッド6cとからなる(図3参照)。このシングルモードファイバ6は、2本の光ファイバが一般的な溶融・延伸方法を用いて融着されたものである。また、シングルモードファイバ6の各端部と、EDF2、9や分散シフトファイバ4、11の保護材3、5、10、12が剥ぎ取られた部分の端部とは、シングルモードファイバ6の各端部におけるコアと、EDF2、9や分散シフトファイバ4、11のコア2a、9a、4a、11aとが、合致するように放電などの方法を用いて融着されている。
【0016】
保護材3、5、10、12は、例えば、ポリアミド、ポリエステルエラストマー、エチレン−テトラフルオロエチレン/4フッ化エチレン−エチレン供重合等からなる。
【0017】
接着剤7、8には、例えば、透湿性の少ないエポキシ系接着剤やアクリレート系接着剤等が用いられる。
【0018】
次に、光ファイバカプラ100を合流器とした場合について説明する。例えば、EDF2、9にそれぞれ入射された光のパワーをシングルモードファイバ6において指定比率で合流し、EDF9に出射する。このように光ファイバカプラ100を合流器とした場合、光のパワーを合流させることができる。
【0019】
次に、光ファイバカプラ100を分岐器とした場合について説明する。例えば、EDF2に入射された光のパワーをシングルモードファイバ6において指定比率で分岐し、EDF9及び分散シフトファイバ11に出射する。このように光ファイバカプラ100を分岐器とした場合、光のパワーを分岐することができる。
【0020】
上述のように本実施形態によれば、1つの光のパワーを分けたり、2つの光のパワーをまとめたりできる分岐・合流用の光ファイバカプラ100を提供できる。したがって、光ファイバカプラ100を用いることによって、光伝送システムなどにおいて、EDF及び分散シフトファイバを用途に応じた入出力ファイバに変換できる。
【0021】
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の他に、種類の異なる入射ファイバと出射ファイバとして、分散特性が異なるファイバ(零分散波長が980nm、1300nm、1550nm近傍のファイバとノン零分散ファイバ)、モード数が異なるファイバ(シングルモードとマルチモード)、偏波特性が異なるファイバ(パンダ型偏波保持光ファイバ、棒帯ファイバ、楕円クラッドファイバ、楕円コアファイバ等)、添加元素の異なるファイバ(EDF、プラセオジムドープトファイバ、コバルトドープトファイバ)などを適宜組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、光ファイバアンプとして適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバカプラを示す図である。
【図2】(a)が、図1における光ファイバカプラに用いたEDF2のコアとクラッドとを示す断面図、及び、屈折率とEDF2の径との関係を示すグラフ、(b)が、図1における光ファイバカプラに用いた光ファイバのコアとクラッドとを示す断面図、及び、屈折率と分散シフトファイバ4の径との関係を示すグラフ、(c)が、図1における光ファイバカプラのシングルモードファイバ6の溶融延伸する前における単一のシングルモードファイバの断面図、及び、屈折率と溶融延伸する前における単一のシングルモードファイバの径との関係を示すグラフ、である。
【図3】図1における光ファイバカプラのシングルモードファイバの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 基板
2、9 EDF
2a、4a、6a、6b、9a、11a コア
2b、4c、6c、9b、11c クラッド
3、5、10、12 保護材
4、11 分散シフトファイバ
6 シングルモードファイバ
7、8 接着剤
100 光ファイバカプラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類の異なる入射ファイバと出射ファイバとを、シングルモードファイバの各端部にそれぞれ融着接続し、前記シングルモードファイバを溶融延伸して形成したものであることを特徴とする分岐・合流用の光ファイバカプラ。
【請求項2】
前記入射ファイバと前記出射ファイバとが、分散特性、モード数、偏波特性、添加元素について異なるものであることを特徴とする請求項1記載の光ファイバカプラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−322582(P2007−322582A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151004(P2006−151004)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)