説明

光ファイバケーブル

【課題】光ファイバケーブルにおいて、配線工数及び製造工数の増大を招くことなく、配線の自由度を確保しつつ、ケーブルの曲げ規制を可能とすること。
【解決手段】光ファイバケーブル1は、コア11、クラッド12及び被覆13を備える。光ファイバケーブル1において、被覆13の外周面における少なくとも一の方向の面及びこれに対し反対側の面に、長手方向において交互に並ぶ凹部131及び凸部132からなる凹凸面130が形成されている。例えば、凹凸面130は、被覆13の外周面における全周方向に亘って螺旋状に形成された一連の凹部131及び一連の凹部131に並列する螺旋状の一連の凸部132からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア、クラッド及び被覆を備えた光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車などの車両における通信システムにおいて、音楽及び映像などに関するデータサイズの大きなデジタルデータの伝送に適した光ファイバケーブルが採用されつつある。しかしながら、光ファイバケーブルは、電線に比べ、性能を維持するために許容される曲率が小さい。そのため、光ファイバケーブルにおいては、ケーブルの曲げ規制、即ち、ケーブルが許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことを防ぐこと、が重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、湾曲した経路に沿う溝を形成するガイド部材が、光ファイバケーブルの端部のコネクタに接続され、光ファイバケーブルが、そのガイド部材の溝内に配置されることについて示されている。これにより、光ファイバにおける末端のコネクタに近い部分が、許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことが防止される。
【0004】
また、複数の光ファイバケーブルを含む光ケーブルにおいては、複数の光ファイバケーブルとともに束ねられた可撓性を有する補強部材が、光ファイバケーブルの曲げ規制を実現している。光ケーブルにおける補強部材は、一般にテンションメンバと称される。光ケーブルは、光ファイバケーブルと補強部材(テンションメンバ)とが外皮により束ねられた構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−338339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるように、光ファイバケーブルが硬いガイド部材に沿って配線される場合、ガイド部材を固定するための追加の作業が必要である上、光ファイバケーブルの配線の自由度が著しく制限される。
【0007】
即ち、ガイド部材により光ファイバケーブルの曲げ規制を行う従来の技術は、光ファイバケーブルの配線における工数の増大と配線経路の自由度の制限とを招くという問題点を有している。
【0008】
また、光ケーブルのように、光ファイバケーブルと補強部材とが外皮により束ねられたケーブルは、製造工数の増大を招くという問題点を有している。
【0009】
本発明は、光ファイバケーブルにおいて、配線工数及び製造工数の増大を招くことなく、配線の自由度を確保しつつ、ケーブルの曲げ規制を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光ファイバケーブルは、コア、クラッド及び被覆を備え、さらに、以下に示す構成を備える。即ち、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、前記被覆の外周面における少なくとも一の方向の面及びこれに対し反対側の面に、長手方向において交互に並ぶ凹部及び凸部からなる凹凸面が形成されている。
【0011】
また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、前記凹凸面が、前記被覆の外周面における全周方向に亘って螺旋状に形成された一連の凹部及び該一連の凹部に並列する螺旋状の一連の凸部からなることが考えられる。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、前記被覆の外周面における一部の方向の面及びこれに対し反対側の面にのみ前記凹凸面が形成され、その他の方向における前記被覆の厚みは前記凹凸面における前記凹部よりも大きな厚みで形成されていることも考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光ファイバケーブルの被覆において、比較的厚みの小さい凹部は柔軟性が高い。そのため、本発明に係る光ファイバケーブルは、被覆における凹部の柔軟性によって曲がりやすい。従って、光ファイバケーブルの配線の自由度は確保される。
【0014】
しかしながら、本発明に係る光ファイバケーブルは、所定の曲率で曲げられると、被覆の凸部における凹部の両側で対向する部分どうしが接触するため、それ以上の曲率では曲がらない。本発明に係る光ファイバケーブルの被覆において、凸部の寸法及び光ファイバケーブルの長手方向における凸部のピッチは、凸部の一部どうしが接触するときの光ファイバケーブルの曲率が、当該光ファイバケーブルにおいて許容される曲率以下となるように設定される。
【0015】
従って、本発明によれば、光ファイバケーブルの配線の自由度を確保しつつ、光ファイバケーブルが許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことを防止することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る光ファイバケーブルが採用された場合、当該光ファイバケーブルの曲げ規制のための追加の部材を必要としない。また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、被覆の凹凸面は、光ファイバケーブルの製造工程の一部において形成される。従って、本発明によれば、光ファイバケーブルの配線工数及び製造工数の増大を招くこともない。
【0017】
また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、被覆の凹凸面が、螺旋状に形成された一連の凹部及一連の凸部により構成されている場合、以下に示される効果が得られる。即ち、螺旋状の一連の凸部における凹部の両側に位置する部分どうしは、光ファイバケーブルが所定の曲率で曲げられた場合に加え、所定の角度でねじられた場合にも接触する。そのため、光ファイバケーブルが許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことに加え、光ファイバケーブルが許容値を超える大きな角度でねじれてしまうことも防止される。
【0018】
また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、被覆の外周面における一部の方向の面及びこれに対し反対側の面にのみ凹凸面が形成されている場合、以下に示される効果が得られる。即ち、当該光ファイバケーブルは、被覆の凹凸面が存在する方向において曲がりやすいが、凸部における凹部の両側に位置する部分どうしが接触することにより、過度な曲率での曲げは制限される。さらに、当該光ファイバケーブルは、被覆における凹凸面が存在しない部分の厚みが大きいためねじれにくい。そのため、光ファイバケーブルが許容値を超える大きな角度でねじれてしまうことが防止される。
【0019】
ところで、光ファイバケーブルにおいて、被覆全体の厚みが大きく形成された場合、ケーブルの過度な曲げは制限されるものの、ケーブルを許容範囲内で曲げることまでも難しくなるとともに、ケーブルの重量が著しく増大する。そのため、光ファイバケーブルの配線の作業性が著しく損なわれる。
【0020】
一方、本発明に係る光ファイバケーブルは、前述したように、被覆における凹部の柔軟性によって曲がりやすい。また、本発明に係る光ファイバケーブルの被覆において、比較的厚みの大きな凸部は被覆全体のうちの一部である。そのため、本発明に係る光ファイバケーブルの重量は、比較的小さく抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバケーブル1の側面図である。
【図2】光ファイバケーブル1の縦断面図である。
【図3】曲げられた光ファイバケーブル1における被覆の一部の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光ファイバケーブル1Aの側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光ファイバケーブル1Bの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0023】
<第1実施形態>
まず、図1から図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る光ファイバケーブル1の構成について説明する。なお、図2は、図1に示されるA−A平面における光ファイバケーブル1の断面図である。また、図1の一部には、光ファイバケーブル1の内部構造を示す図が含まれている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、光ファイバケーブル1は、コア11、クラッド12及び被覆13を備えている。
【0025】
コア11は、石英ガラス又はプラスチックなどからなる透明な円筒状の部材であり、信号光が伝播する部分である。クラッド12は、コア11の周囲を覆う筒状の部材である。クラッド12の屈折率は、コア11の屈折率よりもわずかに小さい。これにより、信号光は、コア11とクラッド12との境界面において全反射しつつコア11内をその長手方向において伝播する。
【0026】
被覆13は、クラッド12の周囲を覆う樹脂部材である。被覆13は、コア11及びクラッド12を保護して光ファイバケーブル1の機械的強度を確保するとともに、外光を遮蔽して外光がコア11内へ進入することを防ぐ。被覆13は、例えば、ポリアミド、シリコン、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの樹脂材料からなる。
【0027】
また、光ファイバケーブル1において、被覆13には、その外周面における全周方向に亘って螺旋状に形成された一連の凹部131と、その一連の凹部131に並列する螺旋状の一連の凸部132と、からなる凹凸面130が形成されている。
【0028】
凹凸面130を構成する凹部131及び凸部132は、それぞれ並列して螺旋状に形成されているため、被覆13の外周面における全ての方向の面において、凹部131と凸部132とが光ファイバケーブル1の長手方向において交互に並んでいる。なお、被覆13の外周面における全ての方向の面とは、被覆13におけるその長手方向に直交する全ての方向における面を意味する。
【0029】
光ファイバケーブル1の被覆13において、比較的厚みの小さい凹部131は柔軟性が高い。そのため、光ファイバケーブル1は、図3に示されるように、被覆13における凹部131の柔軟性によって曲がりやすい。なお、図3は、曲げられた光ファイバケーブル1における被覆13の一部の断面図であり、図3において、被覆13の一部(曲げ部において外側に位置する部分)の記載は省略されている。
【0030】
しかしながら、図3に示されるように、光ファイバケーブル1は、所定の曲率で曲げられると、被覆13の凸部132における凹部131の両側で対向する部分どうしが接触するため、それ以上の曲率では曲がらない。
【0031】
光ファイバケーブル1の被覆13において、凸部132の寸法及び光ファイバケーブル1の長手方向における凸部132のピッチは、凸部132の一部どうしが接触するときの光ファイバケーブル1の曲率が、当該光ファイバケーブル1において許容される最大曲率以下となるように設定されている。
【0032】
より具体的には、光ファイバケーブル1における被覆13の凹部131の部分の外径がD0、凸部132の高さがD1、光ファイバケーブル1の長手方向における凸部132の幅がD2、光ファイバケーブル1の長手方向における凸部132のピッチがD3、光ファイバケーブル1のコア11において許容される最小曲率半径がr0である場合、D1、D2及びD3は、次の(1)式を満たすように設定されている。なお、光ファイバケーブル1において許容される最大曲率は1/r0である。
【0033】
【数1】

【0034】
なお、一般的な光ファイバケーブルの最小曲率半径r0は9(mm)である。そのため、D1、D2及びD3は、次の(2)式を満たすように設定されていればよい。
【0035】
【数2】

【0036】
<効果>
光ファイバケーブル1の被覆13において、比較的厚みの小さい凹部131は柔軟性が高い。そのため、光ファイバケーブル1は、被覆13における凹部131の柔軟性によって曲がりやすい。従って、光ファイバケーブル1の配線の自由度は確保される。
【0037】
また、光ファイバケーブル1は、許容される最大曲率(1/r0)以下の所定の曲率で曲げられると、図3に示されるように、被覆13の凸部132における凹部131の両側で対向する部分どうしが接触する。そのため、光ファイバケーブル1は、それ以上の曲率では曲がらない。
【0038】
従って、光ファイバケーブル1が採用されることにより、ケーブルの配線の自由度を確保しつつ、光ファイバケーブル1が許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことを防止することが可能となる。
【0039】
また、光ファイバケーブル1が採用された場合、当該光ファイバケーブル1の曲げ規制のための追加の部材を必要としない。また、光ファイバケーブル1において、被覆13の凹凸面130は、光ファイバケーブル1の製造工程の一部において形成される。従って、光ファイバケーブル1が採用されることにより、ケーブルの配線工数及び製造工数の増大を招くこともない。
【0040】
また、光ファイバケーブル1において、被覆13の凹凸面130は、螺旋状に形成された一連の凹部131及一連の凸部132により構成されている。そのため、螺旋状の一連の凸部132における凹部131の両側に位置する部分どうしは、光ファイバケーブル1が所定の曲率で曲げられた場合に加え、所定の角度でねじられた場合にも接触する。そのため、光ファイバケーブル1が許容値を超える大きな曲率で曲がってしまうことに加え、光ファイバケーブル1が許容値を超える大きな角度でねじれてしまうことも防止される。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図4を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る光ファイバケーブル1Aについて説明する。この光ファイバケーブル1Aは、図1及び図2に示された光ファイバケーブル1と比較して、絶縁被覆における凹凸面の形状のみが異なる構成を有している。図4において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、光ファイバケーブル1Aにおける光ファイバケーブル1と異なる点についてのみ説明する。
【0042】
図4は、光ファイバケーブル1Aの側面図である。但し、図4の一部には、光ファイバケーブル1Aの内部構造を示す図が含まれている。
【0043】
光ファイバケーブル1Aは、コア11、クラッド12及び被覆13Aを備えている。被覆13Aは、光ファイバ1における被覆13と同様の材料で構成されている。
【0044】
光ファイバケーブル1Aにおいて、被覆13Aには、その外周面における全周方向に亘る複数の環状の凹部131A及び複数の環状の凸部132Aが、光ファイバケーブル1Aの長手方向において交互に形成されている。複数の凹部131A及び複数の凸部132Aは、被覆13の凹凸面130Aを構成する。
【0045】
凹凸面130Aを構成する環状の凹部131A及び環状の凸部132Bは、光ファイバケーブル1Aの長手方向において交互に形成されているため、被覆13Aの外周面における全ての方向の面において、凹部131Aと凸部132Aとが光ファイバケーブル1の長手方向において交互に並んでいる。
【0046】
光ファイバケーブル1Aの被覆13Aにおいて、比較的厚みの小さい凹部131Aは柔軟性が高い。そのため、光ファイバケーブル1Aは、光ファイバケーブル1と同様に、被覆13Aにおける凹部131Aの柔軟性によって曲がりやすい。
【0047】
また、光ファイバケーブル1Aは、光ファイバケーブル1と同様に、所定の曲率で曲げられると、被覆13Aの凸部132Aにおける凹部131Aの両側で対向する部分どうしが接触するため、それ以上の曲率では曲がらない。
【0048】
光ファイバケーブル1Aの被覆13Aにおいて、凸部132Aの寸法及び光ファイバケーブル1Aの長手方向における凸部132Aのピッチは、凸部132Aの一部どうしが接触するときの光ファイバケーブル1Aの曲率が、当該光ファイバケーブル1Aにおいて許容される最大曲率以下となるように設定されている。即ち、光ファイバケーブル1Aの凹凸面130Aは、前述した(1)式又は(2)式を満たす寸法で形成されている。
【0049】
光ファイバケーブル1Aも、光ファイバケーブル1と同様の作用及び効果を奏する。但し、光ファイバケーブル1Aは、光ファイバケーブル1に比べ、ねじれを制限する効果は小さい。
【0050】
<第3実施形態>
次に、図5を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る光ファイバケーブル1Bについて説明する。この光ファイバケーブル1Bは、図1及び図2に示された光ファイバケーブル1と比較して、絶縁被覆における凹凸面の形状のみが異なる構成を有している。図5において、図1から図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、光ファイバケーブル1Bにおける光ファイバケーブル1と異なる点についてのみ説明する。
【0051】
図5は、光ファイバケーブル1Bの側面図である。但し、図5の一部には、光ファイバケーブル1Bの内部構造を示す図が含まれている。
【0052】
光ファイバケーブル1Bは、コア11、クラッド12及び被覆13Bを備えている。被覆13Bは、光ファイバ1における被覆13と同様の材料で構成されている。
【0053】
光ファイバケーブル1Bにおいて、被覆13Bには、その外周面における一部の方向及びその反対方向にのみ、複数の凹部131B及び複数の凸部132Bが、光ファイバケーブル1Bの長手方向において交互に形成されている。複数の凹部131B及び複数の凸部132Bは、被覆13の凹凸面130Bを構成する。
【0054】
即ち、光ファイバケーブル1Bにおいては、被覆13Bの外周面における一部の方向の面及びこれに対し反対側の面にのみ凹凸面130Bが形成され、その他の方向における被覆13Bの厚みは、凹凸面130Bにおける凹部131Bよりも大きな厚みで形成されている。
【0055】
図5に示される例では、相互に直交する第1方向及びこれに対し反対側の第2方向と、第1方向に直交する第3方向及びこれに対し反対側の第4方向とに凹凸面130Bが形成されている。また、図5に示される例では、被覆13Bにおける凹凸面130Bが形成されていない部分の厚みは、凹凸面130Bにおける凸部132Bと同じ厚みで形成されている。
【0056】
なお、光ファイバケーブル1Bの被覆13Bにおいて、凹凸面130Bが、第1方向の面と第2方向の面とにのみ形成されること、或いは、凹凸面130Bが、6方向以上の各面に形成されることも考えられる。
【0057】
光ファイバケーブル1Bの被覆13Bにおいて、比較的厚みの小さい凹部131Bは柔軟性が高い。そのため、光ファイバケーブル1Bは、光ファイバケーブル1と同様に、被覆13Bにおける凹部131Bの柔軟性により、凹凸面130Bが形成された方向において曲がりやすい。
【0058】
また、光ファイバケーブル1Bは、光ファイバケーブル1と同様に、所定の曲率で曲げられると、被覆13Bの凸部132Bにおける凹部131Bの両側で対向する部分どうしが接触するため、それ以上の曲率では曲がらない。
【0059】
光ファイバケーブル1Bの被覆13Bにおいて、凸部132Bの寸法及び光ファイバケーブル1Bの長手方向における凸部132Bのピッチは、凸部132Bの一部どうしが接触するときの光ファイバケーブル1Bの曲率が、当該光ファイバケーブル1Bにおいて許容される最大曲率以下となるように設定されている。即ち、光ファイバケーブル1Bの凹凸面130Bは、前述した(1)式又は(2)式を満たす寸法で形成されている。
【0060】
光ファイバケーブル1Bは、被覆13の凹凸面130Bが存在する方向において曲がりやすいが、凸部132Bにおける凹部131Bの両側に位置する部分どうしが接触することにより、過度な曲率での曲げは制限される。
【0061】
さらに、光ファイバケーブル1Bは、被覆13Bにおける凹凸面が存在しない部分の厚みが大きいためねじれにくい。そのため、光ファイバケーブル1Bが許容値を超える大きな角度でねじれてしまうことが防止される。
【0062】
ところで、光ファイバケーブルにおいて、被覆全体の厚みが大きく形成された場合、ケーブルの過度な曲げは制限されるものの、ケーブルを許容範囲内で曲げることまでも難しくなるとともに、ケーブルの重量が著しく増大する。そのため、光ファイバケーブルの配線の作業性が著しく損なわれる。
【0063】
一方、光ファイバケーブル1,1A,1Bは、前述したように、被覆13,13A,13Bにおける凹部131,131A,131Bの柔軟性によって曲がりやすい。また、光ファイバケーブル1,1A,1Bの被覆13,13A,13Bにおいて、比較的厚みの大きな凸部132,132A,132Bは、被覆13,13A,13B全体のうちの一部である。そのため、光ファイバケーブル1,1A,1Bの重量は、比較的小さく抑えられる。
【0064】
<その他>
光ファイバケーブル1,1A,1Bにおいて、被覆13,13A,13Bが複数の層で構成されることも考えられる。この場合、最も外側の層をなす被覆に凹凸面130,130A,130Bが形成される。
【符号の説明】
【0065】
1,1A,1B 光ファイバケーブル
11 コア
12 クラッド
13,13A,13B 被覆
130,130A,130B 凹凸面
131,131A,131B 凹部
132,132A,132B 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、クラッド及び被覆を備えた光ファイバケーブルであって、
前記被覆の外周面における少なくとも一の方向の面及びこれに対し反対側の面に、長手方向において交互に並ぶ凹部及び凸部からなる凹凸面が形成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記凹凸面は、前記被覆の外周面における全周方向に亘って螺旋状に形成された一連の凹部及び該一連の凹部に並列する螺旋状の一連の凸部からなる、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記被覆の外周面における一部の方向の面及びこれに対し反対側の面にのみ前記凹凸面が形成され、その他の方向における前記被覆の厚みは前記凹凸面における前記凹部よりも大きな厚みで形成されている、請求項1に記載の光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83757(P2013−83757A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222843(P2011−222843)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】