説明

光ファイバジャイロスコープのための2本巻き光ファイバ収容

【課題】ローレンツの相反性及びジャイロスコープの性能の低下を防ぐ光ファイバジャイロスコープを提供する。
【解決手段】光ファイバジャイロスコープを構成する方法は、第1の光ファイバ210及び第2の光ファイバ220を外面を有する干渉計200の光路に光学的に結合すること、第1の光ファイバ210及び第2の光ファイバ220の少なくとも一部を外面に結合すること、並びに第1の光ファイバ210及び第2の光ファイバ220を集積光学チップ(IOC)の光路に光学的に結合することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバジャイロスコープのための2本巻き光ファイバ収容に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバジャイロスコープ(FOG)は、航空宇宙機等の様々な物体の回転及び角度方向を感知するために多くのシステムで広く用いられる技術となった。FOGは、回転軸に沿った法線を有する領域を囲む閉光路を周回する互いに逆方向の光を送ることによって動作する。この装置を回転軸の周りで回転させる場合、一つの方向に進む光の光路長が短くなる一方で、逆方向に進む光の光路長が長くなる。この光路長の変化が、回転速度に比例する2つの光波間の位相ずれを引き起こす。
【0003】
図1を参照すると、通常のFOG10は、光源15、速度(rate)検出器20、カプラ25、集積光学チップ(IOC)30、及びセンシングコイル35等の干渉計を含む。図1に示すように、IOC30の赤色ファイバ引き込みリード(service lead)40及び青色ファイバ引き込みリード45が、ファイバコイル干渉計35の赤色ファイバ引き込みリード60及び青色ファイバ引き込みリード65にスプライスされる(50、55)。これらの引き込みリードのそれぞれは、多くの場合、構成プロセス中に必要な光スプライスを可能にするために約2メートルの長さである。これらのスプライス用のファイバ引き込みリードは機能的に干渉計35の一部であるため、引き込みリードを収容する方法は、重要なジャイロスコープ性能パラメータである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のFOG構造では、これらのリードファイバは、干渉計35とは無関係の熱的特性を有する保持区画内に糸状の巻線パターン(winding pattern)で収容される。具体的には、そのような手法では、コイル35を通じて対向伝搬する波が異なる時点で異なる環境作用を「受け」得る。高性能偏波保持ジャイロスコープは、対向伝搬波間でローレンツの相反性が成立しなければならない。ローレンツの相反性は、媒体中を伝搬する光が光伝搬方向とは無関係に同一の作用をもたらすことを必要とする。環境作用は、ローレンツの相反性及びジャイロスコープの性能を低下させやすい。したがって、これらの従来の手法は通常、環境作用によってローレンツの相反性の低下を引き起こしてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施例では、光ファイバジャイロスコープを構成する方法は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバを外面を有する干渉計の光路に光学的に結合すること、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバの少なくとも一部を外面に結合すること、並びに第1の光ファイバ及び第2の光ファイバを集積光学チップ(IOC)の光路に光学的に結合することを含む。
【0006】
本発明の好適な代替的な実施例を、添付図面を参照して詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例が実施され得る従来のFOGの概略図である。
【図2】本発明の一実施例による引き込みリードルーティングの正面図である。
【図3】本発明の一実施例による引き込みリードルーティングの後面図である。
【図4】本発明の一実施例による引き込みリードルーティングを用いる干渉計の上面斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施例は、干渉ファイバコイルの外層上に引き込みリード収容場所を提供し、それにより、別個の区画収容と比較して性能を向上させる。
2本巻き(bifilar、バイファイラ)引き込みリードルーティング方法の一実施例は、時間と共に変化する温度勾配下での性能を向上させ、これらの引き込みリードのシュッペ効果を低減する。
【0009】
一実施例は、引き込みリードがコイルの単一の外層のみに制限され、温度変化と共に応力を受けやすくなるようなさらなる層には制限されないことを確実にする、2本巻きファイバルーティング方法を提供する。
【0010】
一実施例は、光ファイバが自身に交差する点の数及びファイバの捩れの数を減らすことにより、ジャイロスコープのバイアス安定性を向上させる。
ファイバをそのような2本巻き対の方法でルーティングすることにより、センシングループにおいて等距離にあり逆向きの点が、互いに物理的に隣接し、環境の変化に対して同じ作用を受ける。
【0011】
ここで図2を参照すると、干渉計200の外面の正面図が示されており、実施例によれば、干渉計200に沿って、干渉計200の光路をIOC(図示せず)の光路に接続する赤色引き込みリードファイバ210(図2では実線のファイバ素子として示されている)及び青色引き込みリードファイバ220(図2では破線のファイバ素子として示されている)が通される。
【0012】
本発明の一実施例では、干渉計200の光路に直接結合されている赤色ファイバ210の第1の部分が、干渉計の中心から出て見え、外面に沿って左から右への経路に沿って配向される。同様に、干渉計200の光路に直接結合されている青色ファイバ220の第1の部分が、干渉計の中心から出て見え、外面に沿って右から左への経路に沿って配向される。したがって、赤色ファイバ210の第2の部分及び青色ファイバ220の第2の部分は、「Y」接合部230を形成するように互いに向かって集束する。
【0013】
続いて、外面の領域240から始まって、それぞれ複数回巻かれた赤色ファイバ210の第3の部分及び青色ファイバ220の第3の部分が、外面に所定の整数回巻き付けられて巻線250を形成する。図4で最もよく分かるように、巻線は、干渉計200の中心軸400に対して垂直な方向で干渉計の外面に沿って単一の層しか形成しないように形成される。さらに、巻線250を形成するときに、赤色ファイバ210と青色ファイバ220とは、互いに交差することも他の形で重なることもないことに留意すべきである。
【0014】
巻線250の形成後、赤色ファイバ210の第4の部分及び青色ファイバ220の第4の部分が、「Uターン」構成260又は場合によってはさらにより丸みのある「投げ縄(lasso)」タイプの構成(図示せず)を形成するように、巻線から離れて逆方向に引き上げられる。一実施例では、赤色ファイバ210と青色ファイバ220との間に長さの差がある場合、長い方のファイバを調整するように、赤色ファイバと青色ファイバとの間の距離を構成260の「U」部分において増大させることができる。
【0015】
Uターン構成260の形成後、図3に最もよく示されているように、赤色ファイバ210及び青色ファイバ220は、外面に沿って実質的に正弦波状又は蛇行状の構成300で、また、巻線250が形成された方向とは逆の方向に配向される。それから、赤色ファイバ210及び青色ファイバ220は、続いてIOCの光路に結合され得る。
【0016】
一実施例では、赤色ファイバ210及び青色ファイバ220は、光クロスカップリングを減らすか又はなくすように干渉計200の外面に結合される。
赤色ファイバ210と青色ファイバ220とが互いに交差するか又は他の形で重なるのは、図2の例に示すような巻線250から「Uターン」構成260への移行点のみであることに、さらに留意すべきである。
【0017】
本発明の好適な実施例を図示及び説明してきたが、上述のように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに多くの変更を行うことができる。したがって、本発明の範囲は、好適な実施例の開示によって限定されない。そうではなく、本発明は、専ら添付の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ファイバ(210)及び第2の光ファイバ(220)を外面を有する干渉計(200)の光路に光学的に結合するステップと、
前記第1の光ファイバ(210)及び前記第2の光ファイバ(220)の少なくとも一部を前記外面に結合するステップと、
前記第1の光ファイバ(210)及び前記第2の光ファイバ(220)を集積光学チップ(IOC)の光路に光学的に結合するステップと
を含む、光ファイバジャイロスコープを構成する方法。
【請求項2】
前記第1の光ファイバ(210)及び前記第2の光ファイバ(220)の少なくとも一部を前記外面に結合する前記ステップは、
前記第1の光ファイバ(210)の第1の部分を前記外面に対して第1の方向に配向するステップと、
前記第2の光ファイバ(220)の第1の部分を前記外面に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向に配向するステップと、
前記第1の光ファイバ(210)の第2の部分及び前記第2の光ファイバ(220)の第2の部分を、該第1の光ファイバ(210)の第2の部分及び該第2の光ファイバ(220)の第2の部分が互いに向かって集束するように配向するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光ファイバジャイロスコープであって、
光路及び外面を有する干渉計(200)と、
光路を有する集積光学チップ(IOC)と、
第1の光ファイバ(210)及び第2の光ファイバ(220)であって、該第1の光ファイバ(210)及び該第2の光ファイバ(220)の少なくとも一部が前記外面に結合され、該第1の光ファイバ(210)及び該第2の光ファイバ(220)は、前記干渉計(200)の前記光路及び前記IOCの前記光路に光学的に結合される、第1の光ファイバ(210)及び第2の光ファイバ(220)と、
を備える、光ファイバジャイロスコープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−96761(P2010−96761A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−236312(P2009−236312)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】