説明

光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法

【課題】光ファイバテープ心線を長手方向に沿って簡単に分離することができる光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法を提供する。
【解決手段】光ファイバテープ心線分離工具は、光ファイバテープ心線1の上面に長手方向に沿って切込みを入れるための分離具10と、光ファイバテープ心線1の捩れを防止するための捩れ防止具20とを具備する。分離具10は、本体下部11の上面の先端部にロック板回転軸19aを中心軸として回転可能なように取り付けられたロック板19を備える。捩れ防止具20は、光ファイバテープ心線1の分離部分の両端近傍を把持するための2個の把持部21と、長手方向に沿って把持部21がスライドするように把持部21が取り付けられた連結棒22と、両端が2個の把持部21にそれぞれ取り付けられたかつ複数個の玉を紐状部材で連結して数珠状にされた固定部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線を長手方向に沿って分離するのに好適な光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルの後分岐接続作業などを行うために光ファイバケーブルから光ファイバテープ心線を取り出して個々の光ファイバ心線を接続する場合に、光ファイバテープ心線分離工具を使用して光ファイバテープ心線を長手方向に沿って分離している(たとえば下記の特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−237510号公報
【特許文献2】特開2003−307629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバテープ心線分離工具を使用した光ファイバテープ心線分離作業を電柱上のクロージャ内などで行う場合には、足場が悪いため、作業員は崩れた体勢で作業を行っている。そのため、経験の少ない作業員が光ファイバテープ心線分離工具を使って安易に作業を行うと、使用中の光ファイバ心線を傷つけたり切断したりしてしまうという問題があった。
【0005】
また、上記の特許文献1に開示された無切断ケーブル用光ファイバテープ心線分割工具のように、本体下部に形成された溝に光ファイバテープ心線を嵌め込んで保持する場合には、長尺の光ファイバケーブルが捩れると、溝に嵌め込んだ光ファイバテープ心線も捩れてしまったり光ファイバテープ心線の一部が溝から飛び出してしまったりして、光ファイバテープ心線をうまく分離することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、光ファイバテープ心線を長手方向に沿って簡単に分離することができる光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の光ファイバテープ心線分離工具は、光ファイバテープ心線(1)を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離工具であって、前記光ファイバテープ心線の上面に前記長手方向に沿って切込みを入れるためのステープラー・タイプの分離具(10)を具備し、前記分離具が、前記光ファイバテープ心線を嵌め込むための溝(11a)が上面の先端部側に形成された本体下部(11)と、該本体下部に対して先端部が開閉自在になるように末端部が該本体下部の末端部に取り付けられた本体上部(12)と、前記本体上部の下面に尖端が前記本体下部側に向けて取り付けられた上刃(17)と、前記本体下部の上面の先端部にロック板回転軸(19a)を中心軸として回転可能なように取り付けられたロック板(19)とを備え、前記ロック板の前記ロック板回転軸と反対側の端面が、該ロック板を倒したときの該ロック板の上面とのなす角が鋭角となるような傾斜面とされており、前記本体上部の先端部側の端面の下面側が、前記光ファイバテープ心線を前記本体下部の前記溝に嵌め込んでいない状態で前記本体上部の先端部を該本体下部に対して閉じたのちに前記ロック板を倒すと該ロック板の傾斜面と密着する傾斜面とされていることを特徴とする。
ここで、前記分離具が、前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して開いた状態では前記上刃の尖端が埋もれるとともに、前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じた状態では前記本体下部の前記溝に挟まって該溝に嵌め込まれた前記光ファイバテープ心線の上面を押えて前記上刃の尖端が下面から突出するようにされた、弾性部材からなる押え部材(18)をさらに備えてもよい。
本発明の第2の光ファイバテープ心線分離工具は、光ファイバテープ心線(1)を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離工具であって、前記光ファイバテープ心線の捩れを防止するための捩れ防止具(20)を具備し、該捩れ防止具が、前記光ファイバテープ心線の分離部分の両端近傍をそれぞれ把持するための2個の把持部(21)と、長手方向に沿って前記2個の把持部がスライドするように該2個の把持部が取り付けられた連結棒(22)と、両端が前記2個の把持部にそれぞれ取り付けられた、かつ、複数個の玉を紐状部材で連結して数珠状にされた固定部(23)とを備えることを特徴とする。
ここで、前記2個の把持部が、先端部で前記光ファイバテープ心線の上面側および下面側から該光ファイバテープ心線を挟んで把持するクリップ状のものであり、前記固定部の両端が、前記2個の把持部の末端部にそれぞれ取り付けられていてもよい。
本発明の第3の光ファイバテープ心線分離工具は、本発明の第1の光ファイバテープ心線分離工具の分離具と、本発明の第2の光ファイバテープ心線分離工具の捩れ防止具とを具備することを特徴とする。
ここで、前記捩れ防止具の前記連結棒が円柱状の形状を有し、下部半円状溝(11b)が、前記分離具の前記本体下部の上面の先端部に形成されており、上部半円状溝(12a)が、前記分離具の前記本体上部の下面の先端部に、該本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じたときに前記下部半円状溝と互いに対向して円管となるように形成されており、前記光ファイバテープ心線を前記分離具の前記本体下部の前記溝に嵌め込んだのちに前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じると、前記捩れ防止具の前記連結棒が前記下部半円状溝および前記上部半円状溝によって挟まれるようにされていることを特徴とする。
本発明の光ファイバテープ心線分離方法は、本発明の第3の光ファイバテープ心線分離工具を使用して前記光ファイバテープ心線を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離方法であって、前記捩れ防止具の前記2個の把持部で前記光ファイバテープ心線の分離部分の両端近傍をそれぞれ把持し、前記光ファイバテープ心線を前記分離具の前記本体下部の前記溝に嵌め込み、前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じて、前記捩れ防止具の前記連結棒を前記下部半円状溝および前記上部半円状溝によって挟み、前記分離具の前記ロック板を倒し、前記分離具を前記捩れ防止具の前記連結棒の長手方向に沿ってスライドさせて、該分離具の前記上刃によって前記光ファイバテープ心線の上面に切込みを入れることを特徴とする。
ここで、前記分離具の前記ロック板の傾斜面が前記分離具の前記本体上部の傾斜面と密着するまで該ロック板を倒すことができたときにのみ、前記分離具を前記捩れ防止具の前記連結棒の長手方向に沿ってスライドさせて、該分離具の前記上刃によって前記光ファイバテープ心線の上面に切込みを入れてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法は、以下の効果を奏する。
(1)本発明の第1の光ファイバテープ心線分離工具では、分離具がロック板を備えることにより、ロック板を倒したときにロック板の傾斜面が本体上部の傾斜面と密着しているか否かを確認することによって、本体下部と本体上部との間に光ファイバテープ心線が挟み込まれているか否かを容易に判定することができるため、作業員は光ファイバテープ心線を傷付けることなく光ファイバテープ心線分離作業を行うことができる。
(2)本発明の第2の光ファイバテープ心線分離工具では、捩れ防止具を具備することにより、長尺の光ファイバケーブルが捩れても、光ファイバテープ心線の分離作業を行う部分が捩れたり溝から飛び出したりすることを防止することができる。
(3)本発明の第3の光ファイバテープ心線分離工具では、分離具および捩れ防止具を具備することにより、上記(1)および(2)の効果を得ることができる。
(4)本発明の光ファイバテープ心線分離方法では、本発明の第3の光ファイバテープ心線分離工具を使用して光ファイバテープ心線分離作業を行うことにより、上記(1)および(2)の効果を得ることができる。
(5)使用中の光ファイバ心線を誤って切断する事故を防止できるため、通信回線の品質向上などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例による光ファイバテープ心線分離工具の構成を示す図であり、(a)は分離具10の構成を説明するための図であり、(b)は捩れ防止具20の構成を説明するための図である。
【図2】図1(a)に示した分離具10の使用方法について説明するための図である。
【図3】図1(a)に示した分離具10および図1(b)に示した捩れ防止具20を使用して光ファイバテープ心線1の分離作業を行う手順について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の目的を、本体下部と本体上部との間に光ファイバテープ心線が挟み込まれているか否かを判定するためのロック板を備えた分離具と光ファイバテープ心線の捩れを防止するための捩れ防止具とを使用して光ファイバテープ心線を長手方向に分離することにより実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の光ファイバテープ心線分離工具および光ファイバテープ心線分離方法の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による光ファイバテープ心線分離工具は、図1(a)に示す分離具10と、同図(b)に示す捩れ防止具20とを具備する。
【0012】
分離具10は、ステープラー・タイプのものであり、直方体状の本体下部11と、直方体状の本体上部12と、本体下部11と本体上部12とを連結するための2枚の連結板13と、両端が本体下部11の末端部の両側面に連結板13を間に入れてそれぞれ取り付けられた固定軸14と、両端が本体上部12の末端部の両側面に連結板13を間に入れてそれぞれ取り付けられた回転軸15とを備える。
これにより、本体上部12は本体下部11に対して回転軸15を中心軸として回動可能とされている。すなわち、本体上部12の先端部は本体下部11に対して開閉可能にされている。
【0013】
なお、以下の説明では、図1(a)図示左右方向(本体下部11および本体上部12の長手方向)を「横方向」とし、図1(a)図示上下方向(本体下部11および本体上部12の長手方向に対して垂直な方向)を「縦方向」とする。
また、光ファイバテープ心線1の分離作業を行うに際して分離具10の上刃17によって切込みを与える光ファイバテープ心線1の面を「光ファイバテープ心線1の上面」とする。
さらに、図1(a)に示した光ファイバテープ心線1の光ファイバ心線が並べられた方向(図示左右方向)に沿った長さを「光ファイバテープ心線1の幅」とする。
【0014】
本体下部11の横方向に沿って中心よりも先端部側の上面には、光ファイバテープ心線1の下面が底面に密着するように光ファイバテープ心線1を嵌め込むための溝11aが形成されている。
溝11aの幅(本体下部11の横方向に沿った長さ)は、嵌め込んだ光ファイバテープ心線1が溝11aの幅方向に沿って自由に動かないように、光ファイバテープ心線1の幅よりも若干大きくされている。
【0015】
本体下部11の上面の先端部には、ロック板19がロック板回転軸19aを中心軸として回動可能なように取り付けられている。
ロック板19のロック板回転軸19a側の端面は垂直面とされているが、ロック板19のロック板回転軸19aと反対側の端面は、図1(a)に示すようにロック板19を倒したときのロック板19の上面とのなす角が鋭角となるような傾斜面とされている。
【0016】
本体下部11の溝11aよりも先端側には、半円状の下部半円溝11bが形成されている。
【0017】
本体上部12は、一端が本体下部11の底面に固定された板バネ(不図示)のバネ力によって本体上部12の先端部が本体下部11に対して開くように(すなわち、本体上部12の先端部が本体下部11の先端部から離れるように)されている。
また、本体上部12の縦方向に沿って中心よりも先端部側の下面には、円錐状の上刃17が尖端を本体下部11側に向けて取り付けられている。
なお、上刃17は、尖端部が光ファイバテープ心線1の上面(2次被覆の上面)にのみ切込みを与えるように取り付けられている。
【0018】
上刃17は、本体上部12の先端部を本体下部11に対して開いた状態では、図2(a)に示すように、本体上部12の下面に取り付けられた押え部材18(スポンジやゴムなどの弾性部材からなる。)に尖端が埋もれるが、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じた状態では、図2(b)に示すように、押え部材18によって溝11aに嵌め込まれた光ファイバテープ心線1の上面を押えることにより尖端が押え部材18の下面から突出するようにされている。
そのため、押え部材18は、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたときに溝11aに挟まる位置に取り付けられており、また、押え部材18の幅は溝11aの幅よりも若干小さくされている。
【0019】
本体上部12の先端部側の端面の上面側は垂直面とされているが、本体上部12の先端部側の端面の下面側は、光ファイバテープ心線1を溝11aに嵌め込んでいない状態で本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたのちにロック板19を倒すとロック板19の傾斜面と密着する傾斜面とされている。
これにより、図2(c)に示すように光ファイバテープ心線1が溝11aに完全に嵌め込まれている場合には、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたときに本体下部11の上面と本体上部12の下面とが密着するため、ロック板19の傾斜面が本体上部12の傾斜面と密着するまで(すなわち、本体上部12の下面が本体下部11の上面と密着するまで)ロック板19を倒すことができる。しかし、たとえば光ファイバテープ心線1の一部が溝11aからはみ出て本体下部11の上面と本体上部12の下面との間に挟まれているような光ファイバテープ心線1が溝11aに完全に嵌め込まれていない場合には、ロック板19の傾斜面が本体上部12の傾斜面と密着するまでロック板19を倒すことができない。その結果、作業員は、光ファイバテープ心線1を溝11aに嵌め込んで本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたのちにロック板19を倒すことにより、光ファイバテープ心線1が溝11aに完全に嵌め込まれているか否かを容易に判定することができる。
【0020】
本体上部12の先端側には、半円状の上部半円溝12aが、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたときに下部半円溝11bと互いに対向して円管となるように形成されている。
これにより、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じたときに図2(c)に示すように下部半円溝11bおよび上部半円溝12aによって捩れ防止具20の円柱状の連結棒22を上下から挟んで、図3(b)に示すように分離具10を連結棒22の長手方向に沿ってスライドさせることができる。
そのため、下部半円溝11bおよび上部半円溝12aによって形成される円管の径は、連結棒22の径よりも若干大きくされている。
【0021】
捩れ防止具20は、図1(b)に示すように、光ファイバテープ心線1の分離部分の両端近傍をそれぞれ把持するための2個のクリップ状の把持部21と、長手方向に沿ってスライドできるように2個の把持部21が取り付けられた円柱状の連結棒22とを備える。
これにより、2個の把持部21を連結棒22の長手方向に沿ってそれぞれスライドさせれば、光ファイバテープ心線1の分離作業に必要な間隔を自在に確保しながら光ファイバテープ心線1をピンと伸ばして2個の把持部21で把持することができるため、光ファイバケーブルが捩れても光ファイバテープ心線1の分離部分が捩れることを防止することができる。
なお、2個の把持部21は、先端部で光ファイバテープ心線1の上面側および下面側から光ファイバテープ心線1を挟んで把持するものであり、図1(b)および図3(a),(b)では、光ファイバテープ心線1の上面が図示紙面上側となるようにして光ファイバテープ心線1を把持している。
【0022】
捩れ防止具20は、両端が2個の把持部21の末端部にそれぞれ取り付けられた、かつ、複数個の玉(ボール)を紐状部材(紐や細い針金など)で連結して数珠状にされた固定部23を備える。
これにより、固定部23は自由自在に任意の角度に曲げることができるとともに強度を確保することができるため、固定部23を捻って作業員の首や胴回りまたは近辺の金具などに簡単に固定することができるので、作業員は無理のない作業姿勢で光ファイバテープ心線1の分離作業を行うことができるとともに、2個の把持部21で光ファイバテープ心線1を把持する位置を柔軟に移動することができる。
【0023】
次に、分離具10および捩れ防止具20を用いて光ファイバテープ心線1の分離作業を行う際の手順について、図2および図3を参照して説明する。
作業員は、捩れ防止具20の2個の把持部21を連結棒22の長手方向に沿ってスライドさせて、光ファイバテープ心線1の分離作業に必要な間隔(たとえば、20〜40cm)を確保したのち、図3(a)に示すように光ファイバテープ心線1の分離部分をピンと伸ばしてその両端近傍を2個の把持部21でそれぞれ把持する。
【0024】
続いて、作業員は、分離具10の本体上部12の先端部を本体下部11に対して開いた状態で、光ファイバテープ心線1が本体下部11と本体上部12との間に入るとともに、捩れ防止具20の連結棒22が本体下部11の下部半円溝11bの位置に来るまで分離具10を図3(b)図示左側の把持部21の図示右側に分離具10の先端部から挿入する。
【0025】
続いて、作業員は、光ファイバテープ心線1を本体下部11の溝11aに嵌め込み、捩れ防止具20の連結棒22を本体下部11の下部半円溝11bに挿入したのち、分離具10の本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じる(図2(a)参照)。
このとき、本体下部11の溝11aに嵌め込んだ光ファイバテープ心線1が図2(a)に示すように傾いていても、本体上部12の先端部を本体下部11に対して閉じることにより、光ファイバテープ心線1の上面が押え部材18によって押えられて、同図(b)に示すように光ファイバテープ心線1の傾きをなくすことができる。また、捩れ防止具20の連結棒22は、図2(b)に示すように、下部半円溝11bおよび上部半円溝12aによって上下から挟まれる。
なお、本体上部12の先端部が本体下部11に対して開いている状態では上刃17の尖端は押え部材18に埋もれているので、本体下部11の溝11aに嵌め込んだ光ファイバテープ心線1が図2(a)に示すように傾いていても光ファイバテープ心線1の上面に上刃17の尖端が当たって光ファイバテープ心線1が傷付けられることを防止することができる。
【0026】
続いて、作業員は、図2(b)に示すように分離具10のロック板19を倒したのち、ロック板19の傾斜面が本体上部12の傾斜面と密着するまでロック板19を倒すことができたか否かを確認する。
【0027】
ロック板19の傾斜面が本体上部12の傾斜面と密着するまでロック板19を倒すことができたことを確認すると、作業員は、図3(b)に示すように分離具10を図示右方向に向かって連結棒22の長手方向に沿ってスライドさせて、分離具10の上刃17によって光ファイバテープ心線1の2次被覆の上面に切込みを入れる。
【0028】
続いて、作業員は、分離具10のロック板19を起こし、分離具10の本体上部12の先端部を本体下部11に対して開いたのち、分離具10を引き出す。その後、作業員は、捩れ防止具20の2個の把持部21から光ファイバテープ心線1を取り外す。
【0029】
以上の説明では、分離具10および捩れ防止具20を使用して光ファイバテープ心線1の分離作業を行ったが、分離具10のみを使用して光ファイバテープ心線1の分離作業を行っても、ロック板19を備えていない従来のものに比べて光ファイバテープ心線分離作業を簡単に行うことができる。
また、分離具10に代えて従来のものを使用しても、捩れ防止具20を併用することにより、光ファイバテープ心線1の捩れを防止することができるため、光ファイバテープ心線分離作業を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 光ファイバテープ心線
10 分離具
11 本体下部
11a 溝
11b 下部半円溝
12 本体上部
12a 上部半円溝
13 連結板
14 固定軸
15 回転軸
17 上刃
18 押え部材
19 ロック板
19a ロック板回転軸
20 捩れ防止具
21 把持部
22 連結棒
23 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバテープ心線(1)を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離工具であって、
前記光ファイバテープ心線の上面に前記長手方向に沿って切込みを入れるためのステープラー・タイプの分離具(10)を具備し、
前記分離具が、
前記光ファイバテープ心線を嵌め込むための溝(11a)が上面の先端部側に形成された本体下部(11)と、
該本体下部に対して先端部が開閉自在になるように末端部が該本体下部の末端部に取り付けられた本体上部(12)と、
前記本体上部の下面に尖端が前記本体下部側に向けて取り付けられた上刃(17)と、
前記本体下部の上面の先端部にロック板回転軸(19a)を中心軸として回転可能なように取り付けられたロック板(19)とを備え、
前記ロック板の該ロック板回転軸と反対側の端面が、該ロック板を倒したときの該ロック板の上面とのなす角が鋭角となるような傾斜面とされており、
前記本体上部の先端部側の端面の下面側が、前記光ファイバテープ心線を前記本体下部の前記溝に嵌め込んでいない状態で前記本体上部の先端部を該本体下部に対して閉じたのちに前記ロック板を倒すと該ロック板の傾斜面と密着する傾斜面とされている、
ことを特徴とする、光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項2】
前記分離具が、前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して開いた状態では前記上刃の尖端が埋もれるとともに、前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じた状態では前記本体下部の前記溝に挟まって該溝に嵌め込まれた前記光ファイバテープ心線の上面を押えて前記上刃の尖端が下面から突出するようにされた、弾性部材からなる押え部材(18)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項3】
光ファイバテープ心線(1)を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離工具であって、
前記光ファイバテープ心線の捩れを防止するための捩れ防止具(20)を具備し、
該捩れ防止具が、
前記光ファイバテープ心線の分離部分の両端近傍をそれぞれ把持するための2個の把持部(21)と、
長手方向に沿って前記2個の把持部がスライドするように該2個の把持部が取り付けられた連結棒(22)と、
両端が前記2個の把持部にそれぞれ取り付けられた、かつ、複数個の玉を紐状部材で連結して数珠状にされた固定部(23)と、
を備えることを特徴とする、光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項4】
前記2個の把持部が、先端部で前記光ファイバテープ心線の上面側および下面側から該光ファイバテープ心線を挟んで把持するクリップ状のものであり、
前記固定部の両端が、前記2個の把持部の末端部にそれぞれ取り付けられている、
ことを特徴とする、請求項3記載の光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項5】
請求項1または2記載の分離具と、
請求項3または4記載の捩れ防止具と、
を具備することを特徴とする、光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項6】
前記捩れ防止具の前記連結棒が円柱状の形状を有し、
下部半円状溝(11b)が、前記分離具の前記本体下部の上面の先端部に形成されており、
上部半円状溝(12a)が、前記分離具の前記本体上部の下面の先端部に、該本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じたときに前記下部半円状溝と互いに対向して円管となるように形成されており、
前記光ファイバテープ心線を前記分離具の前記本体下部の前記溝に嵌め込んだのちに前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じると、前記捩れ防止具の前記連結棒が前記下部半円状溝および前記上部半円状溝によって挟まれるようにされている、
ことを特徴とする、請求項5記載の光ファイバテープ心線分離工具。
【請求項7】
請求項6記載の光ファイバテープ心線分離工具を使用して前記光ファイバテープ心線を長手方向に沿って分離するための光ファイバテープ心線分離方法であって、
前記捩れ防止具の前記2個の把持部で前記光ファイバテープ心線の分離部分の両端近傍をそれぞれ把持し、
前記光ファイバテープ心線を前記分離具の前記本体下部の前記溝に嵌め込み、
前記本体上部の先端部を前記本体下部に対して閉じて、前記捩れ防止具の前記連結棒を前記下部半円状溝および前記上部半円状溝によって挟み、
前記分離具の前記ロック板を倒し、
前記分離具を前記捩れ防止具の前記連結棒の長手方向に沿ってスライドさせて、該分離具の前記上刃によって前記光ファイバテープ心線の上面に切込みを入れる、
ことを特徴とする、光ファイバテープ心線分離方法。
【請求項8】
前記分離具の前記ロック板の傾斜面が前記分離具の前記本体上部の傾斜面と密着するまで該ロック板を倒すことができたときにのみ、前記分離具を前記捩れ防止具の前記連結棒の長手方向に沿ってスライドさせて、該分離具の前記上刃によって前記光ファイバテープ心線の上面に切込みを入れることを特徴とする、請求項7記載の光ファイバテープ心線分離方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−155275(P2012−155275A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16603(P2011−16603)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】