説明

光ファイバ・ジャイロスコープ用のセンシング・コイルの巻き付け方法およびセンシング・コイル

光ファイバ・ジャイロスコープにおいて、互いに反対の方向に伝搬する光線を光学的に案内するためのセンシング・コイル(10)が提供される。センシング・コイルは、或る巻方向を有する光ファイバの複数の層(12)を備える。複数の層は、内側層(14)と、中間層(16)と、外側層(18)とを備える。中間層は、互いに反対の方向に伝搬する光線を受けるように構成された第1および第2の入力端(32、34、52、54)を備える。内側層、中間層、および外側層のうちの少なくとも1つが、巻方向を保ちつつ、内側層、中間層、および外側層のうちの異なる1つと結合される。或る巻方向を有する光ファイバ・ジャイロスコープ用センシング・コイルを形成するように、第1および第2の接続端を有する光ファイバを巻き付ける方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記載
米国政府は、本発明におけるライセンスの支払いを済ませており、かつ、制限された環境において、米海軍から授与された契約第AHW−56175号の約定で規定されている道理にかなった条件で他者にライセンス付与することを特許所有者に対して要求する権利を有する。
【0002】
本発明は一般に光ファイバ・ジャイロスコープ・システムに関し、特に、光ファイバ・ジャイロスコープ・システムのセンシング・コイルの光ファイバ巻線および光ファイバの巻き付け方法に関する。
【背景技術】
【0003】
回転速度や軸を中心とする角速度の変化を測定するためにジャイロスコープが用いられてきた。基本的な従来の光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)は光源と、光線発生装置(例えばビーム・スプリッタ)と、光線発生装置に結合され、ある領域を取り囲む光ファイバのコイルと、光検出器とを含む。光線発生装置は、光源から生じる光線を光ファイバのコイルへ伝え、これらの光線は、光ファイバのコアに沿って内部を時計回り(CW)方向および反時計回り(CCW)方向に伝搬する。コイル内を伝搬した後、2つの互いに反対の方向に伝搬する(例えばCWおよびCCW)光線は合成され、光線発生装置により光検出器へ送られる。FOGが軸を中心に回転させられると、CW光線およびCCW光線はコイル内を伝搬しているときに異なる経路長を経ることになり、この2つの経路長間の差により、2つの互いに反対の方向に伝搬する光線間に、回転速度に比例する位相差を生じる。
【0004】
多くのFOGはガラス系の光ファイバを利用して、低損失および低歪で長距離にわたりファイバの中実コアに沿って光を伝導する。この光ファイバは、プラスチック・ジャケットまたはバッファにより囲まれたガラス/シリカ・コアを有し、コイルなどのような円筒状構造に巻かれ、円筒状ハブなどのようなコイル支持構造に貼着されて、センシング・コイルを形成し得る。ハブおよび光ファイバコイルは両方とも中心軸に対して配向された実質的に円筒状構造であり、ハブは光ファイバ・コイルの半径より比較的小さい半径を有する。ハブの外面と光ファイバ・コイルの内面との間の接着コーティングを用いて、光ファイバ・コイルをハブに貼着することができる。
【0005】
光ファイバのガラス/シリカコアおよびプラスチック・バッファは、各々、様々な環境要因に対してそれぞれに反応し、それにより2つの互いに反対の方向に伝搬する波の間の経路長差に悪影響を及ぼし得る。光線発生装置に最も近いコイル内のファイバの部分は、通常、環境要因に最も敏感である。これらの環境要因には温度や機械的歪がある。このとき、センシング・コイルの出力は2つの互いに反対の方向に伝搬する波の間に、回転により誘起された位相差(すなわちバイアス誤差)と区別不能な位相差を生じる。
【0006】
このバイアス誤差を最小限に抑える1つの提案される技術は、センシング・コイル・ファイバを、光ファイバの長さの中間点に対して対称的なパターンで巻き付けることである。光ファイバの長さの中間点に対して対称性を有する多様な巻線パターンが開発されている。一般に、これらの巻線パターンは、光ファイバの長さの中間点を、円筒状センシング・コイルの内径に位置させ、光ファイバの第1の端部および第2の端部を円筒状センシング・コイルの外径に配置させる。ボビンおよび/または接着剤は、このパターンで巻き付けられたファイバを付着させ、光回路内の他の構成要素(例えばビームスプリッタ)へのルーティングのために自由ピグテール(例えば、比較的短い長さの、ファイバの第1の端部および第2の端部)を残す。これらの巻線パターンをセンシング・コイルへ適用しても、ある環境ではこれらのセンシング・コイルに、熱によりもたらされる歪を生じさせ続け、それが温度感度に関する原因となる。
【0007】
動作中、FOGが、周囲温度が変動する環境に置かれる場合もある。温度の変動はセンシング・コイルに影響を及ぼすが、それは、センシング・コイルが熱膨張差の結果として機械的に歪むからである。ガラス/シリカ・コアとプラスチック・バッファとの間の熱膨張係数(CTE)の不整合が、光ファイバ・コイルの周方向の膨張よりかなり大きい、光ファイバコイルの軸方向の膨張を生じる場合がある。光ファイバ・コイルは非等方性構造であるため、光ファイバのガラス/シリカ・コアにより制限される光ファイバ・コイルの周方向膨張は、プラスチック・バッファの大きなCTEにより支配される光ファイバ・コイルの軸方向膨張よりかなり小さい。加えてガラス・コアは、概して、プラスチック・バッファの周方向膨張を制限し、プラスチック・バッファを半径方向に膨張するようにさせ、また、プラスチック・バッファの半径方向の膨張は、隣接するコイル層の膨張または収縮に影響を及ぼし得る。更に、光ファイバコイルの外径は、概して、光ファイバ・コイルの中心軸から離れるように半径方向に膨張するが、光ファイバ・コイルの内径は、概して、光ファイバ・コイルの中心軸に向かって半径方向に膨張する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって熱により誘起される歪によるセンシング・コイルの温度感度を最小限に抑える、光ファイバ・ジャイロスコープ内のセンシング・コイル用の巻線パターンを提供することが望ましい。加えて熱により誘起される歪によるセンシング・コイルの温度感度を最小限に抑える、光ファイバ・ジャイロスコープ用のセンシング・コイルの巻き付け方法を提供することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本発明のこの背景技術と合わせて、以下の本発明の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)システムのためのセンシング・コイルおよびセンシング・コイルの巻き付け方法が提供される。例示的な実施形態において、或る巻方向を有する光ファイバの複数の層を備える、互いに反対の方向に伝搬する光線を案内するFOGセンシング・コイルが提供される。複数の層は内側層と、中間層と、外側層とを備える。中間層は、互いに反対の方向に伝搬する光線を受光するように構成された光ファイバの第1の端部および第2の端部を備える。内側層、中間層、および外側層のうちの少なくとも1つが、巻方向を保ちつつ、内側層、中間層、および外側層のうちの異なる1つと結合される。
【0010】
他の例示的な実施形態において、或る巻方向を有するFOGセンシング・コイルを形成するように、第1および第2の接続端を有する光ファイバを巻き付ける方法が提供される。本方法は、センシング・コイルの中間層から光ファイバの第1および第2のセグメントを外して、第1および第2の入力ならびに第1および第2の入力にそれぞれに隣接する第3および第4の接続端を作製するステップと、巻方向を保ちつつ、接続端の各々を接続端のうちの異なる1つと結合するステップとを含む。
【0011】
さらに他の例示的実施形態において、或る巻方向を有する光ファイバの複数の実質的に同心の巻線を備える、互いに反対の方向に伝搬する光線を案内するFOGセンシング・コイルが提供される。複数の同心の巻線は、内側巻線と、中間巻線と、外側巻線とを備える。中間巻線は、互いに反対の方向に伝搬する光線を受光するように構成された第1および第2の入力端を備える。内側巻線、中間巻線、および外側巻線のうちの少なくとも1つが、巻方向を保ちつつ、内側巻線、中間巻線、および外側巻線のうちの異なる1つと結合されている。
【0012】
以下の図面と関連して本発明を以下に説明するが、同様の番号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の以下の詳細な説明は事実上あくまでも例示であり、本発明または本発明の適用および用途を限定しようとするものではない。さらに、本発明の前述の背景技術または本発明の以下の詳細な説明に示されるいかなる理論によっても制約されるものではない。
【0014】
光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)のためのセンシング・コイルおよびセンシング・コイルの巻き付け方法が提供される。一般に、センシング・コイルは、単一の巻方向を有し、互いに反対の方向に伝搬する光線を受光するように構成された第1および第2の入力端を有する光ファイバの複数の層を備える。複数の層は、内側層と、中間層と、外側層とを備える。第1および第2の入力端は中間層に配置される。内側層、中間層、および外側層のうちの少なくとも1つが、巻方向を保ちつつ、内側層、中間層、および外側層のうちの異なる1つと結合される。
【0015】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の例示的実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)用のセンシング・コイル10の斜視図である。センシング・コイル10は、以下により詳細に説明する第1および第2の入力端と、これらの入力端間に一つの光路を形成する光ファイバ巻線の複数の層12とを備える。入力端はFOGの光回路(例えば、光ビーム・スプリッタ/コンバイナ)に結合し、それにより、互いに反対の方向に伝搬する光線を受光するように構成されている。例示的実施形態において、センシング・コイル10は実質的に円筒状であり、光ファイバ巻線の層12は、一つの巻方向(例えば時計回りまたは反時計回り)のセンシング・コイル10の長軸28に対して実質的に同心となるように編成される。
【0016】
センシング・コイル10は、通常、光ファイバで構成されている。光ファイバは、光導波路を形成する異なる光学屈折率を有する内側コア領域と外側クラッドとを有するガラスのストランドである。プラスチック・コーティングまたはジャケットは、外側ガラスを被覆して光ファイバを環境要因から保護する。一般に、光ファイバは、具体的にはボビン上に巻き付けられ、接着され、硬化されてセンシング・コイル10を形成するが、他の方法を用いて光ファイバからセンシング・コイル10を作製することもできる。
【0017】
一般に、光ファイバ巻線の層12は、センシング・コイル10の長軸28に対する層の場所に基づいて、内側層14と、中間層16と、外側層18とを含むが、必ずしもこれに限定されない。例えば、内側層14は長軸28の近くに配置され、中間層16は長軸28から中程度に離れて配置され、外側層18は長軸28から遠くに配置される。FOGにおいて、層12は、センシング・コイル10を支持するハブの周囲に位置し、接着剤でハブに貼着され得る。
【0018】
図2はセンシング・コイルの層上の周方向の歪を図示するグラフである。センシング・コイルの様々な層上の周方向の歪が、4つの異なる温度、すなわち、23℃、30℃、40℃および50℃に対して示されている。歪は、センシング・コイルの内側層の負の値(例えば、光ファイバの圧縮に関連する)から、センシング・コイルの中径あたりの歪のないコイル層領域に対するゼロ歪を経て、外側コイル層の正の値(例えば、コイル・ファイバの膨張に関連する)へと変化する。一般に、無抑制のコイル層の数は、温度が上昇するにつれて減少する。本発明およびセンシング・コイル巻線パターンの以下の例示的実施形態によれば、従来の巻線パターンを変更して、センシング・コイルの入力端を、応力がかなり低い中間層へ移し、内側層および外側層からの端部を、一つの巻方向を有する一つの光路を保つように、多様な構成で結合することにより、バイアス誤差を低減することができる。
【0019】
図1に示されたセンシング・コイル10は、光ファイバ・ピグテール20、22、24および26を備える非接続構成を有する。内側層14からの巻線が分割されて第1の対の端部20が作られ、中間層16からの巻線が分割されて第2および第3の対の端部22、24が作られ、外側層18からの巻線が分割されて第4の対の端部26が作られる。例示的実施形態において、内側層14巻線はセンシング・コイル10の最も内側の巻線であり、中間層16はセンシング・コイル10の中間径の巻線であり、外側層18はセンシング・コイル10の最も外側の巻線である。それぞれの層14、16、18からの他の巻線を用いてもよい。センシング・コイル10のいくつかの構成において、層14、16、18のうちの1つからの1対の端部は非分割状態で残し、かかる対の端部が互いに接続された状態で残るようにしてもよい。センシング・コイル10の構成のすべてについて、端部20、22、24、26のうちの様々な接続部を互いに結合し、1対の端部22、24をセンシング・コイル10の入力として残し、センシング・コイル10の一つの巻方向を保つ。
【0020】
図3は、本発明の第1の例示的実施形態によるセンシング・コイル30の巻線パターンの概略図である。センシング・コイル30は、センシング・コイル30の中間層(M)の第1および第2の入力端32、34と、第1および第2の入力端32、34にそれぞれ実質的に隣接する、中間層(M)の第1および第2の接続端36、38と、センシング・コイル30の内側層(I)の第3および第4の接続端40、42と、外側層(O)の第5および第6の接続端44、46とを備える。入力端32、34は、FOGの光回路と結合するように構成され、接続端36および42と、38および40と、44および46とは、互いに結合するように構成される。この第1の例示的実施形態では、中間層(M)の入力端32、34においてセンシング・コイル30へ入る光線は、内側層(I)の接続端40、42に、その後中間層(M)の接続端38、36に、その後外側層(O)の接続端44、46に、その後中間層(M)の接続端36、38に、その後内側層(I)の接続端42、40に、その後入力端34、32にそれぞれに伝搬し、かかる光線の各々は一つの巻方向を保つ。
【0021】
図4は、本発明の第2の例示的実施形態によるセンシング・コイル50巻線パターンの概略図である。センシング・コイル50は、センシング・コイル50の中間層(M)の第1および第2の入力端32、34と、第1および第2の入力端32、34に実質的に隣接する、中間層(M)の第1および第2の接続端36、38と、内側層(I)の第3および第4の接続端40、42と、外側層(O)の第5および第6の接続端44、46とを備える。入力端32、34は、FOGの光回路と結合するように構成され、接続端40および46と、42および44と、36および38とは、互いに結合するように構成されている。この第2の例示的実施形態では、中間層(M)の入力端32、34においてセンシング・コイル50に入る光線は、内側層(I)の接続端40、42に、その後外側層(O)の接続端46、44に、その後中間層(M)の接続端36、38に、その後外側層(O)の接続端44、46に、その後内側層(I)の接続端42、40に、その後入力端34、32にそれぞれに伝搬し、かかる光線の各々は一つの巻方向を保つ。
【0022】
図5は、本発明の第3の例示的実施形態によるセンシング・コイル60巻線パターンの概略図である。センシング・コイル60は、中間層(M)の第1および第2の入力端52、54と、第1および第2の入力端52、54にそれぞれ実質的に隣接する中間層(M)の第1および第2の接続端56、58と、外側層(O)の第3および第4の接続端44、46とを備える。第1および第2の入力端52、54は、FOGの光回路と結合するように構成され、第1の接続端56は第3の接続端44に結合され、第2の接続端58は第4の接続端46に結合される。この第3の例示的実施形態では、中間層(M)の入力端54、52においてセンシング・コイル60へ入る光線は、外側層(O)の接続端44、46に、その後中間層(M)の接続端56、58に、その後外側層(O)の接続端46、44に、その後入力端52、54にそれぞれに伝搬し、かかる光線の各々は一つの巻方向を保つ。
【0023】
図6は、本発明の第4の例示的実施形態によるセンシング・コイル70巻線パターンの概略図である。センシング・コイル70は、中間層(M)の第1および第2の入力端52、54と、第1および第2の入力端52、54にそれぞれ実質的に隣接する中間層(M)の第1および第2の接続端56、58と、内側層(I)の第3および第4の接続端40、42と、外側層(O)の第5および第6の接続端44、46とを備える。第1の接続端56は第2の接続端58に結合され、第3の接続端40は第6の接続端46に結合され、第4の接続端42は第5の接続端44に結合される。この第4の例示的実施形態では、中間層(M)の入力端54、52においてセンシング・コイル70に入る光線は、外側層(O)の接続端44、46に、その後内側層(I)の接続端42、40に、その後中間層(M)の接続端58、56に、その後内側層(I)の接続端40、42に、その後外側層(O)の接続端46、44に、その後入力端52、54にそれぞれに伝搬し、かかる光線の各々は一つの巻方向を保つ。
【0024】
図7は、本発明の例示的実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ用のセンシング・コイルの巻き付け方法のフロー図である。この方法は100から開始する。ステップ105で、光ファイバの第1のセグメントがセンシング・コイル10(図1)から外され、好ましくは、第1のセグメントはファイバの中間点を中心に対称である。ステップ110で、内側層14(図1)が、外された第1のセグメントに隣接するファイバ上の点を起点として巻き付けられる。ステップ115で、光ファイバの第2のセグメントが、中間層16(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から(例えば、ファイバの第1半部から)外される。ステップ120で、光ファイバの第3のセグメントが、中間層16(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から(例えば、ファイバの第2半部から)外される。ステップ125で、センシング・コイル10(図1)の外側層18(図1)が、一つの巻方向を保ちつつ、外された第2および第3のセグメントの端部に隣接するファイバ上の点を起点として巻き付けられる。ステップ130で、光ファイバの第4のセグメントが外側層18(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から(例えば、ファイバの第1半部から)外されて、第1の外側接続端が作られる。ステップ135で、光ファイバの第5のセグメントが外側層18(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から(例えば、ファイバの第2半部から)外されて、第2の外側接続端が作られる。
【0025】
ステップ140で、内側層14(図1)におけるファイバの第1のセグメントが分割されて、第1および第2の内側接続端が作られる。ステップ145で、外されたファイバの第2のセグメントが分割されて、第1の中間入力端および第1の中間接続端が作られる。ステップ150で、外されたファイバの第3のセグメントが分割されて、第2の中間入力端および第2の中間接続端が作られる。
【0026】
ステップ155で、第1の内側接続端と第2の中間接続端とが、一つの巻方向を保ちつつ、結合される。ステップ160で、第2の内側接続端と第1の中間接続端とが、一つの巻方向を保ちつつ、結合される。ステップ165で、第1および第2の外側接続端が結合される。
【0027】
図8は、本発明の他の例示的実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ用センシング・コイルの巻き付け方法のフロー図である。この方法は200から開始する。ステップ205で、センシング・コイル10(図1)の内側層14(図1)が、ファイバの中間点を起点として巻き付けられる。ステップ210で、ファイバの第1半部からの光ファイバの第1のセグメントが、中間層16(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から外される。ステップ215で、ファイバの第2半部からの光ファイバの第2のセグメントが、中間層16(図1)においてセンシング・コイル10(図1)から外される。ステップ220で、センシング・コイル10(図1)の外側層18(図1)が、一つの巻方向を保ちつつ、外された第1および第2のセグメントに隣接するファイバ上の点を起点として巻き付けられる。ステップ225で、光ファイバの第3のセグメントが、外側層18(図1)においてセンシング・コイル10(図1)のファイバの第1半部から外されて、第1の外側接続端が作られる。ステップ230で、光ファイバの第4のセグメントが、外側層18(図1)においてセンシング・コイル10(図1)のファイバの第2半部から外されて、第2の外側接続端が作られる。
【0028】
ステップ235で、外されたファイバの第1のセグメントが分割されて、第1の中間入力端および第1の接続端が作られる。ステップ240で、外されたファイバの第2のセグメントが分割されて、第2の中間入力端および第2の接続端が作られる。
【0029】
ステップ245で、第1の中間入力端および第2の外側接続端が、一つの巻方向を保ちつつ、結合される。ステップ250で、第2の中間入力端および第1の外側接続端が、一つの巻方向を保ちつつ、結合される。
【0030】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的実施形態を提示したが、多数の変形例が存在することは理解されよう。また、例示的実施形態はあくまでも一例であって、本発明の範囲、適用または構成をいかようにも限定しようとするものではないことも理解されよう。むしろ、上記の詳細な説明は、当業者に本発明の例示的実施形態を実施するための有用な指針を提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に記載された要素の機能および構成に様々な変更を加え得ることは理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ用のセンシング・コイルの斜視図である。
【図2】図2は、センシング・コイルの層上の周方向歪を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の第1の例示的な実施形態によるセンシング・コイル巻線パターンの概略図である。
【図4】図4は、本発明の第2の例示的な実施形態によるセンシング・コイル巻線パターンの概略図である。
【図5】図5は、本発明の第3の例示的な実施形態によるセンシング・コイル巻線パターンの概略図である。
【図6】図6は、本発明の第4の例示的な実施形態によるセンシング・コイル巻線パターンの概略図である。
【図7】図7は、本発明の例示的な実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ用センシング・コイルの巻き付け方法のフロー図である。
【図8】図8は、本発明の他の例示的な実施形態による光ファイバ・ジャイロスコープ用センシング・コイルの巻き付け方法のフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対の方向に伝搬する光線を案内する光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)・センシング・コイル(10)であって、
或る巻方向を有する光ファイバの複数の層(12)を備え、前記複数の層が、内側層(14)と、中間層(16)と、外側層(18)とを備え、前記中間層が、前記互いに反対の方向に伝搬する光線を受けるように構成された第1の入力端および第2の入力端(32、34、52、54)を備え、
前記内側層、前記中間層、および前記外側層のうちの少なくとも1つが、前記巻方向を保ちつつ、前記内側層、前記中間層、および前記外側層のうちの異なる1つと結合される、
光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)・センシング・コイル。
【請求項2】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(32)に隣接する第1の接続端(36)と、
前記第2の入力端(34)に隣接する第2の接続端(38)と
をさらに備え、
前記内側層が、
前記第1の接続端に結合される第3の接続端(42)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記第2の接続端に結合される第4の接続端(40)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項3】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(32)に隣接する第1の接続端(36)と、
前記第2の入力端(34)に隣接し、前記第1の接続端に結合される第2の接続端(38)と
をさらに備え、
前記内側層が、
第3の接続端(40)と、
前記第3の接続端に隣接する第4の接続端(42)と
を備え、さらに
前記外側層が、
前記第4の接続端に結合される第5の接続端(44)と、
前記第3の接続端に結合される第6の接続端(46)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項4】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(52)に隣接する第1の接続端(56)と、
前記第2の入力端(54)に隣接する第2の接続端(58)と
をさらに備え、
前記外側層が、
前記第1の接続端に結合される第3の接続端(44)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記第2の接続端に結合される第4の接続端(46)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項5】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(32)に隣接し、前記巻方向において前記第1の入力端(32)の前にある第1の接続端(36)と、
前記第2の入力端(34)に隣接し、前記巻方向において前記第2の入力端(34)の後にある第2の接続端(38)と
をさらに備え、
前記内側層が、
前記第1の接続端に結合される第3の接続端(42)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第3の接続端の前にあり、前記第2の接続端に結合される第4の接続端(40)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項6】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(32)に隣接し、前記巻方向において前記第1の入力端(32)の前にある第1の接続端(36)と、
前記第2の入力端(34)に隣接し、前記巻方向において前記第2の入力端(34)の後にあり、前記第1の接続端と結合される第2の接続端(38)と
をさらに備え、
前記内側層が、
第3の接続端(40)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第3の接続端の後にある第4の接続端(42)と
を備え、さらに
前記外側層が、
前記第4の接続端に結合される第5の接続端(44)と、
前記第5の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第5の接続端の後にあり、前記第3の接続端に結合される第6の接続端(46)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項7】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(52)に隣接し、前記巻方向において前記第1の入力端(52)の後にある第1の接続端(56)と、
前記第2の入力端(54)に隣接し、前記巻方向において前記第2の入力端(54)の前にある第2の接続端(58)と
をさらに備え、
前記外側層が、
前記第1の接続端に結合される第3の接続端(44)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第3の接続端の後にあり、前記第2の接続端に結合される第4の接続端(46)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項8】
請求項1に記載のFOGセンシング・コイルであって、
前記中間層が、
前記第1の入力端(52)に隣接し、前記巻方向において前記第1の入力端(52)の後にある第1の接続端(56)と、
前記第2の入力端(54)に隣接し、前記巻方向において前記第2の入力端(54)の前にあり、前記第1の接続端に結合される第2の接続端(58)と
をさらに備え、
前記内側層が、
第3の接続端(40)と、
前記第3の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第3の接続端の後にある第4の接続端(42)と
を備え、さらに
前記外側層が、
前記第4の接続端に結合される第5の接続端(44)と、
前記第5の接続端に隣接し、前記巻方向において前記第5の接続端の後にあり、前記第3の接続端に結合される第6の接続端(46)と
を備える、
FOGセンシング・コイル。
【請求項9】
或る巻方向を有する光ファイバ・ジャイロスコープ(FOG)・センシング・コイルを形成するように、第1および第2の接続端を有する光ファイバを巻き付ける方法であって、
センシング・コイルの中間層から第1および第2のセグメントを外して(115、120)、第1および第2の入力と、前記第1および第2の入力にそれぞれ隣接する第3および第4の接続端を作製するステップと、
巻方向を保ちつつ、前記接続端の各々を、前記接続端のうちの異なる1つと結合するステップと
を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記センシング・コイルの内側層から第3のセグメントを外して(105)、第5および第6の接続端を作製するステップをさらに備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−542719(P2008−542719A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513639(P2008−513639)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019994
【国際公開番号】WO2006/130397
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】