説明

光ファイバーケーブル固定具

【課題】 本発明は光ファイバーケーブル固定具に係り、通信装置内の限られたスペースでの光ファイバーケーブルの固定や、装置外に於ける光ファイバーケーブル整線のための固定に於て、光ファイバーケーブルの光特性に悪影響を与えることなく、ネジ等の道具を使わずに容易,確実に光ファイバーケーブルを固定することのできる光ファイバーケーブル固定具を提供することを目的とする。
【解決手段】 ブロック状に形成された固定台の上部に、上方から光ファイバーケーブルが挿入可能な溝が形成された光ファイバーケーブル固定具であって、溝内部の対向する両側面に、光ファイバーケーブルの外皮に接触する先端が鋭角に形成され、光ファイバーケーブルの引っ張り方向及び押し込み方向に角度のついたバネ性を有するスパイク羽根が複数設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバーケーブル固定具に係り、詳しくは通信装置内の限られたスペースで光ファイバーケーブルを固定するために好適な、また、装置外に於ける光ファイバーケーブル整線のための固定に好適な光ファイバーケーブル固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
高速,大容量化を続ける現代の通信ネットワークでは、従来の電気ケーブルに代え、光ファイバーケーブルを使用して信号の送受信を行っている。そして、大容量のデータ通信サービスとして、昨今、一例として光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービスが普及し、このデータ通信サービスでは、パソコン等の端末機器をネットワークに接続するための宅内設置型装置が加入者宅に設置されている。
【0003】
そして、この宅内設置型装置にケーブル固定具を介して光ファイバーケーブルが接続されており、光ファイバーケーブルは、主にドロップケーブル等の細線ファイバーケーブルが使用されている。
【0004】
図14乃至図16は特許文献1に開示されたケーブル固定具を示し、このケーブル固定具1は、光ファイバーケーブル3を挟持するくさび型クランプ5と、宅内設置型装置の所定位置に取り付く固定ブロック7と、この固定ブロック7に被せるカバー9とで構成されており、固定ブロック7は断面凹型で、内側の両側面がテーパ面とされたクランプ取付部11が設けられている。そして、図15に示すようにクランプ取付部11にくさび型クランプ5が取り付くようになっており、クランプ取付部11の両側面には、くさび型クランプ5に設けた爪部13が係止する鋸歯状凹凸部15が設けられている。
【0005】
而して、前記ケーブル固定具1による光ファイバーケーブル3の取付けは、図14に示すようにくさび型クランプ5で光ファイバーケーブル3の外皮を挟み込み、これを図15の如くクランプ取付部11内に挿入,スライドさせて爪部13を鋸歯状凹凸部15を係止させることで、光ファイバーケーブル3が宅内設置型装置に接続,固定され、最後に図16の如く上方より固定ブロック7にカバー9を被せて、光ファイバーケーブル3の接続部が保護されている。
【0006】
また、特許文献2には、光ファイバーケーブルと光ファイバーケーブルのテンションメンバを、夫々、クランプでネジ止めする光ファイバーケーブルのクランプ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−332953号公報
【特許文献2】特開2001−228381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし乍ら、前記ケーブル固定具1は、くさび型クランプ5に挟み込む光ファイバーケーブル3の線径が限定されてしまうことから、近年使用され始めた様々な線径の光ファイバーケーブルを把持固定するのが困難となっている。
【0009】
また、前記ケーブル固定具1は、くさび型クランプ5をクランプ取付部11内に挿入,スライドさせて光ファイバーケーブル3を装置に接続,固定するスライド構造を用いているため、光ファイバーケーブル3の余長処理後にくさび型クランプ5をスライドさせて光ファイバーケーブル3を引っ張ってしまうと、ファイバ心線が断線してしまう虞があった。
【0010】
更に、(1)くさび型クランプ5で光ファイバーケーブル3の外皮を挟み込み、(2)これをクランプ取付部11内に挿入し、(3)くさび型クランプ5をスライドさせて爪部13を鋸歯状凹凸部15を係止させるという多くの手順を必要とし、また、くさび型クランプ5のスライド長を確保するためクランプ取付部11が大きくなってしまうと共に、部品点数が多くなってしまう欠点があった。
【0011】
一方、特許文献2の如く光ファイバーケーブルを締め付け固定する従来構造では、光ファイバーケーブル内部のファイバ心線も同時に締め付けるため、ファイバ心線に歪みを与えて光特性に支障を来す虞がある。
【0012】
また、光特性に影響を与えないようにするために締め付けを軽減させると、光ファイバーケーブルを確実に固定することが困難になり、光ファイバーケーブルの固定が外れてしまう現象が生じる。而も、ネジ止めするための工具が必要となり、時間と工数がかかってしまう不具合も指摘されている。
【0013】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、通信装置内の限られたスペースでの光ファイバーケーブルの固定や、装置外に於ける光ファイバーケーブル整線のための固定に於て、光ファイバーケーブルの光特性に悪影響を与えることなく、ネジ等の道具を使わずに容易,確実に光ファイバーケーブルを固定することのできる光ファイバーケーブル固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ブロック状に形成された固定台の上部に、上方から光ファイバーケーブルが挿入可能な溝が形成された光ファイバーケーブル固定具であって、溝内部の対向する両側面に、光ファイバーケーブルの外皮に接触する先端が鋭角に形成され、光ファイバーケーブルの引っ張り方向及び押し込み方向に角度のついたバネ性を有するスパイク羽根が複数設けられていることを特徴とする。
【0015】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面に対向して設けられ、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面に対向して設けられていることを特徴とする。
【0016】
更に、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根と、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の前後に離間して設けられていることを特徴とし、請求項4に係る発明は、請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根と、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面の上下に設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記溝の一方の側面に、引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根が複数設けられると共に、これらに対向して他方の側面に、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が複数設けられていることを特徴とする。
【0018】
一方、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記スパイク羽根の先端側上部に、R付けまたはC面付けがなされていることを特徴とし、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記溝の前後の出入口の両側面に、R付けがなされていることを特徴とする。
【0019】
そして、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記固定台が、光ファイバーケーブルの固定部位に回転可能に取り付いていることを特徴とし、請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具に於て、前記固定台が、光ファイバーケーブルの固定部位に一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1乃至請求項5に係る発明によれば、
(a)光ファイバーケーブルの固定に当たり、固定台の溝に光ファイバーケーブルを挿入する(嵌め込む)だけでよく、特殊な工具や技能を必要としないため、簡単に作業ができる。
【0021】
(b)スパイク羽根が、光ファイバーケーブルを溝内に嵌め込む力で先端側が外側へ広がるバネ性を有しているため、光ファイバーケーブルを溝に容易に嵌め込むことができる、
(c)溝内に嵌め込まれた光ファイバーケーブルが、スパイク羽根の先端で押さえ込まれて保持されると共に、光ファイバーケーブルの引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根の先端が光ファイバーケーブルの外皮に食い込んで、溝からの引っ張り方向及び押し込み方向への光ファイバーケーブルの抜けを防止するため、光ファイバーケーブルを確実に固定することができる。
【0022】
(d)スパイク羽根は、光ファイバーケーブルの外皮に食い込むだけでファイバ心線に応力が加わらないため、光ファイバーケーブルの光特性に悪影響を与えることがない。
【0023】
(e)光ファイバーケーブルの外皮をバネ性を有するスパイク羽根で押さえ込むため、光ファイバーケーブル外皮径の公差が生じた場合でも、スパイク羽根のバネ性の反発によって公差を吸収し、十分な固定力を確保することができる。
【0024】
(f)構造の単純化,部品点数の削減によって低コスト化が図れると共に、光ファイバーケーブルに対する把持構造を小スペースにしたことで、通信機器(筐体)の小型化を図ることが可能となる。
【0025】
そして、請求項6に係る発明によれば、スパイク羽根の先端側上部に、R付けまたはC面付けがなされているため、光ファイバーケーブルを溝にスムーズに嵌め込むことができ、請求項7に係る発明によれば、溝の前後の出入口の両側面にR付けがなされているため、固定台の溝に光ファイバーケーブルを挿入した後、光ファイバーケーブルが左右に曲げられても、ファイバ心線に余分な負荷がかかることがない。
【0026】
更に、請求項8に係る発明によれば、固定台が光ファイバーケーブルの固定部位に回転可能に取り付くことで、溝への光ファイバーケーブルの挿入に当たり、光ファイバーケーブルのルートに沿って固定台を回転させることができるため、ファイバ心線に余分な負荷がかかることがない。
【0027】
そして、請求項9に係る発明によれば、固定台を光ファイバーケーブルの固定部位に一体形成することで、固定台の部品管理が不要となる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】請求項1乃至請求項3及び請求項6乃至請求項8の第一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具の全体斜視図である。
【図2】光ファイバーケーブル固定具の平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のC部拡大平面図である。
【図5】光ファイバーケーブル固定具の取付方法の説明図である。
【図6】光ファイバーケーブル固定具の底部側全体斜視図である。
【図7】請求項1乃至請求項3及び請求項6乃至請求項8の第二実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具の全体斜視図である。
【図8】光ファイバーケーブル固定具の平面図である。
【図9】請求項1乃至請求項3及び請求項6,請求項7の一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具の全体斜視図である。
【図10】請求項1,請求項2,請求項4及び請求項6乃至請求項8の一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具の平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】請求項1,請求項5乃至請求項8の一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具の平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】従来の光ファイバーケーブル固定具を構成するくさび型クランプの斜視図である。
【図15】従来の光ファイバーケーブル固定具による光ファイバーケーブルの固定方法を示す斜視図である。
【図16】従来の光ファイバーケーブル固定具による光ファイバーケーブルの固定方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1乃至図6は請求項1乃至請求項3及び請求項6乃至請求項8の第一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具を示し、図1に於て、21は一例としてABS樹脂を用いてブロック状の直方体形状に形成された固定台で、その上部23の中央に、光ファイバーケーブル(ドロップケーブル)25を上方から挿入可能(嵌め込み可能)な直線状の溝27が長手方向に設けられている。
【0031】
そして、図1及び図2に示すように溝27中央の両側面と、溝27の前後(固定台21の長手方向の前後)の出入口の両側面に、夫々、光ファイバーケーブル25を左右から位置決め保持する一対の突片29a,29b,31a,31b,33a,33bが、上部23と面一に対向して突設されている。そして、各突片29a,29b,31a,31b,33a,33bの先端側上部の角部にC面付けがなされると共に、出入口側の突片31a,31b,33a,33bの先端側側面にR付けがなされており、斯かる構造によって、固定台21の上方から溝27内に光ファイバーケーブル25が挿入し易く、また、図2の如く溝27内に光ファイバーケーブル25を挿入した後、光ファイバーケーブル25が二点鎖線で示すように左右に曲げられても、光ファイバーケーブル25のファイバ心線に余分な負荷がかからないようになっている。
【0032】
更に、図1及び図2に示すように中央の突片29a,29bを挟んで該突片29a,29bと前記突片31a,31bとの間の溝27の両側面に、光ファイバーケーブル25の引っ張り方向(図1及び図2中、矢印A方向)に角度θ(θ≒35°)のついた複数のスパイク羽根35が対向して設けられると共に、これらと離間して前記突片29a,29bと突片33a,33bとの間の溝27の両側面に、光ファイバーケーブル25の押し込み方向(図1及び図2中、矢印B方向)に角度θ(θ≒35°)のついた複数のスパイク羽根37が対向して設けられている。
【0033】
而して、図1乃至図4に示すようにスパイク羽根35,37は、夫々、前記角度θを以って溝27の内方へ突設された薄肉なフィンの如き羽根形状をなし、固定台21の略半分の高さ寸法を以って上部23と面一に設けられている。
【0034】
そして、スパイク羽根35,37は、溝27内への光ファイバーケーブル25の挿入時に、図4の実線で示す形状から二点鎖線で示すように外側へ広がるバネ性を有すると共に、逆にある一定の位置からは内側に変形しない構造となっている。そして、光ファイバーケーブル25の挿入後は、変形後の復元力でスパイク羽根35,37が光ファイバーケーブル25の外皮39を押さえ付けて、これを保持するようになっている。
【0035】
更に、図1,図2及び図4に示すように、光ファイバーケーブル25の外皮39に接触するスパイク羽根35,37の先端は鋭角に形成されており、斯様にスパイク羽根35,37の先端を鋭角に形成することで、溝27内に挿入した光ファイバーケーブル25の前記矢印A方向への引っ張りに対し、スパイク羽根37の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込む所謂スパイク作用によって、光ファイバーケーブル25が溝27から引っ張り方向に抜け難くなっている。
【0036】
同様に、溝27内に挿入した光ファイバーケーブル25の矢印B方向への押し込みに対し、スパイク羽根35の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込むスパイク作用によって、光ファイバーケーブル25が溝27から押し込み方向に抜け難くなっている。
【0037】
また、前記突片29a,29b,31a,31b,33a,33bと同様、溝27内に光ファイバーケーブル25を上方から挿入し易くするため、図1乃至図4に示すように各スパイク羽根35,37の先端側上部にC面付けがなされている。尚、C面付けに代えてR付けをしてもよい。
【0038】
一方、図3及び図5,図6に示すように固定台21の底部41には、周縁部を残して前記溝27に連通する平面視矩形状の凹部43が設けられており、その中央に支持片45が底部41と面一に架設されている。そして、該支持片45に、従来周知のバネ性を有する一個のクランプ(係止爪)47が下方へ突設されており、図5に示すように該クランプ47を通信機器の筐体49(光ファイバーケーブル25の固定部位)内に設けた固定穴51に差し込むことで、固定台21が筐体49内に回転可能に取り付くようになっている。
【0039】
その他、図1中、52は光ファイバーケーブル25に装着されたコネクタである。
【0040】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具53はこのように構成されており、次に、該光ファイバーケーブル固定具53を用いた光ファイバーケーブル25の固定方法を説明する。
【0041】
先ず、図5の如く通信機器の筐体49内に設けた固定穴51にクランプ47を差し込んで、固定台21を回転可能に取り付けておく。
【0042】
そして、筐体49内のコネクタに光ファイバーケーブル25のコネクタ52を接続した後、図1に示すように光ファイバーケーブル25を、固定台21の上部23に設けた溝27内に上方から挿入すれば(嵌め込めば)よく、固定台21は筐体49に回転可能に取り付けられているため、溝27への光ファイバーケーブル25の挿入に当たり、光ファイバーケーブル25のルートに沿って固定台21を回転させればよい。
【0043】
而して、既述したように突片29a,29b,31a,31b,33a,33bとスパイク羽根35,37の先端側上部にはC面付けがなされているため、光ファイバーケーブル25が溝27内にスムーズに案内されて挿入がし易く、また、図4の二点鎖線で示すように光ファイバーケーブル25を溝27内に嵌め込む力でスパイク羽根35,37の先端側が外側へ広がるため、光ファイバーケーブル25を溝27に容易に嵌め込むことができる。そして、光ファイバーケーブル25の挿入後は、変形後の復元力でスパイク羽根35,37が光ファイバーケーブル25の外皮39を押さえ付けてこれを保持する。
【0044】
そして、既述したようにスパイク羽根35,37は、逆にある一定の位置からは内側に変形しない構造となってため、溝27内に嵌め込んだ光ファイバーケーブル25の引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根35,37の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込んで(スパイク作用)、溝27からの引っ張り方向及び押し込み方向への光ファイバーケーブル25の抜けを防止することとなる。
【0045】
このように本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具53を用いて光ファイバーケーブル25を筐体49に固定することができ、本実施形態によれば、従来に比し、以下の如き優れた作用効果を有する。
【0046】
(1)光ファイバーケーブル25の固定に当たり、固定台21の溝27に光ファイバーケーブル25を嵌め込むだけでよく、特殊な工具や技能を必要としないため、簡単に作業ができる。
【0047】
(2)突片29a,29b,31a,31b,33a,33bとスパイク羽根35,37の先端側上部にC面付けがなされているため、光ファイバーケーブル25を溝27にスムーズに嵌め込むことができる。
【0048】
(3)図4の二点鎖線で示すように、光ファイバーケーブル25を溝27内に嵌め込む力でスパイク羽根35,37の先端側が外側へ広がるため、光ファイバーケーブル25を溝27に容易に嵌め込むことができる。
【0049】
(4)溝27内に嵌め込まれた光ファイバーケーブル25が、スパイク羽根35,37の先端で押さえ込まれて保持されると共に、光ファイバーケーブル25の引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根35,37の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込んで、溝27からの引っ張り方向及び押し込み方向への光ファイバーケーブル25の抜けを防止するため、光ファイバーケーブル25を確実に固定することができる。
【0050】
(5)スパイク羽根35,37は光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込むだけでファイバ心線に応力が加わらないため、光ファイバーケーブル25の光特性に悪影響を与えることがない。
【0051】
(6)光ファイバーケーブル25の外皮をバネ性を有するスパイク羽根35,37で押さえ込むため、光ファイバーケーブル外皮径の公差が生じた場合でも、スパイク羽根35,37のバネ性の反発によって公差を吸収し、十分な固定力を確保することができる。
【0052】
(7)固定台21を筐体49に回転可能に取り付けることができるため、溝27への光ファイバーケーブル25の挿入に当たり、光ファイバーケーブル25のルートに沿って固定台21を回転させることができ、光ファイバーケーブル25のファイバ心線に余分な負荷がかかることがない。
【0053】
(8)溝27の出入口側の突片31a,31b,33a,33bの先端側側面にR付けがなされているため、図2の如く溝27内に光ファイバーケーブル25を挿入した後、光ファイバーケーブル25が二点鎖線で示すように左右に曲げられても、光ファイバーケーブル25のファイバ心線に余分な負荷がかかることがない。
【0054】
(9)図14の従来例に比し、構造の単純化,部品点数の削減によって低コスト化が図れると共に、光ファイバーケーブル25に対する把持構造を小スペースにしたことで、通信機器(筐体49)の小型化を図ることが可能となった。
【0055】
尚、前記実施形態は、光ファイバーケーブル固定具53を、光通信装置の筐体49内への光ファイバーケーブル25の固定に使用したが、装置外に於ける整線のための光ファイバーケーブル25の固定に使用できることは勿論である。
【0056】
図7及び図8は請求項1乃至請求項3及び請求項6乃至請求項8の第二実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具を示し、本実施形態は、前記固定台21の外形形状に代えて固定台55をブロック状の円柱形状に形成すると共に、通信機器の筐体57内(光ファイバーケーブル25の固定部位)に固定台55の土台59を一体に突設したもので、固定台55は、円柱状の外形形状を除き、その他の構造は前記固定台21と同様であるため、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
【0057】
一方、図示するように土台59は平面視矩形状に形成され、その上面61の長手方向の端部側に、固定台55の外形形状に沿った円弧状のガイド面63が対向する一対のガイド部65が設けられており、両ガイド面63に沿って一対のガイド部65内に固定台55が収納されるようになっている。
【0058】
また、前記土台59の裏面側は中空とされて、両ガイド部63間の上面59の中央に、固定台55の底部に突設したクランプ47が差し込み可能な固定穴67が設けられており、固定穴67にクランプ47を差し込むことで、固定台55が一対のガイド部65間に回転可能に取り付くようになっている。
【0059】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具69はこのように構成されており、本実施形態によっても、前記光ファイバーケーブル固定具53と同様、所期の目的を達成することが可能で、既述した(1)〜(9)の作用効果を奏することができる。
【0060】
尚、既述した2つの実施形態は、固定台21,55を筐体49,57に回転可能に取り付けたが、例えば図6のクランプ47を固定台21の長手方向に2つ突設すると共に、これらに対応して筐体49側に2つの固定穴51を設けて、固定台21を筐体49に回転不能に固定してもよい。
【0061】
また、図9に示すように取付ネジ71を用いて固定台73を筐体75内(光ファイバーケーブル25の固定部位)に固定してもよく、本実施形態は、前記固定台21のクランプ47に代えて、固定台73底部の支持片にネジ挿通穴77を設けると共に、筐体75側に取付ネジ穴79を設けたものである。
【0062】
そして、固定台73は、前記固定台21の溝27の中央に設けた突片29a,29bに代え、取付ネジ71のネジ頭81の外形形状に沿った凹部83を先端に有する一対の突片85a,85bを設けたもので、その他の突片31a,31b,33a,33bやスパイク羽根35,37等の構成は固定台21と同一構造である。
【0063】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具87はこのように構成されており、本実施形態によっても、前記光ファイバーケーブル固定具53と同様、所期の目的を達成することが可能で、既述した(1)〜(6),(8),(9)の作用効果を奏することができる。
【0064】
図10及び図11は請求項1,請求項2,請求項4及び請求項6乃至請求項8の一実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具を示し、本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具89は、図2の突片29a,29bとスパイク羽根35,37に代え、固定台91の上部93に設けた溝95の両側面の上側に、光ファイバーケーブル25の引っ張り方向(図10中、矢印A方向)に角度のついた複数のスパイク羽根97を対向して設けると共に、溝95の両側面の下側に、光ファイバーケーブル25の押し込み方向(図10中、矢印B方向)に角度のついた複数のスパイク羽根99を対向して設けたもので、図11に示すように上部側に位置するスパイク羽根97の先端側上部はC面付けがなされて、溝95への光ファイバーケーブル25の嵌め込みがし易くなっている。そして、溝95の前後(固定台91の長手方向の前後)の出入口の両側面に、前記31a,31b,33a,33bと同一構造からなる突片101a,101b,103a,103bが、上部93と面一に対向して突設されている。
【0065】
尚、本実施形態のスパイク羽根97,99も、前記スパイク羽根35,37と同様、溝95内への光ファイバーケーブル25の挿入時に外側へ広がるバネ性を有すると共に、逆にある一定の位置からは内側に変形しない構造となっている。そして、光ファイバーケーブル25の挿入後は、変形後の復元力でスパイク羽根97,99が光ファイバーケーブル25の外皮39を押さえ付けて、これを保持するようになっている。
【0066】
また、図10及び図11に示すように、光ファイバーケーブル25の外皮39に接触するスパイク羽根97,99の先端は鋭角に形成されており、光ファイバーケーブル25の引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根97,99の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込むスパイク作用によって、光ファイバーケーブル25が溝95から抜け難くなっている。
【0067】
そして、図11に示すように固定台91の底部105には、周縁部を残して前記溝95に連通する平面視矩形状の凹部107が設けられており、その中央に前記クランプ47が突設された図6の支持片45が架設されている。そして、本実施形態に於ても、図示しない筐体(光ファイバーケーブル25の固定部位)内に設けた固定穴に差し込むことで、固定台91が筐体内に回転可能に取り付くようになっている。
【0068】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具89はこのように構成されているから、筐体内の固定穴51にクランプ47を差し込んで、固定台91を回転可能に取り付けた後、光ファイバーケーブル25を、固定台91の上部93に設けた溝95内に上方から挿入すれば(嵌め込めば)よく、固定台91は筐体に回転可能に取り付けられているため、溝95への光ファイバーケーブル25の挿入に当たり、光ファイバーケーブル25のルートに沿って固定台91を回転させればよい。
【0069】
而して、既述したように突片101a,101b,103a,103bとスパイク羽根97の先端側上部にはC面付けがなされているため、光ファイバーケーブル25が溝95内にスムーズに案内されて挿入がし易く、また、光ファイバーケーブル25を溝95内に嵌め込む力でスパイク羽根97,99の先端側が外側へ広がるため、光ファイバーケーブル25を溝95に容易に嵌め込むことができる。そして、光ファイバーケーブル25の挿入後は、変形後の復元力でスパイク羽根97,99が上下から光ファイバーケーブル25の外皮39を押さえ付けてこれを保持する。
【0070】
そして、既述したようにスパイク羽根97,99は、逆にある一定の位置からは内側に変形しない構造となってため、溝95内に嵌め込んだ光ファイバーケーブル25の引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根97,99の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込んで(スパイク作用)、溝95からの引っ張り方向及び押し込み方向への光ファイバーケーブル25の抜けを防止することとなる。
【0071】
このように本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具53を用いて光ファイバーケーブル25を筐体に固定することができ、本実施形態によっても、前記前記光ファイバーケーブル固定具53と同様、所期の目的を達成することができ、既述した(1)〜(9)の作用効果を奏することが可能である。
【0072】
図12及び図13は請求項1,請求項5乃至請求項8に係る発明の一実施形態を示し、本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具109は、前記スパイク羽根97,99に代え、固定台111の上部113に設けた溝115の両側面の一方に、光ファイバーケーブル25の引っ張り方向(図12中、矢印A方向)に角度のついた複数のスパイク羽根117を設けると共に、これに対向して溝115の他方の側面に、光ファイバーケーブル25の押し込み方向(図12中、矢印B方向)に角度のついた複数のスパイク羽根119を設けたもので、図13に示すように両スパイク羽根117,119の先端側上部はC面付けがなされて、溝115への光ファイバーケーブル25の嵌め込みがし易くなっている。
【0073】
而して、本実施形態のスパイク羽根117,119も、溝115内への光ファイバーケーブル25の挿入時に外側へ広がるバネ性を有すると共に、逆にある一定の位置からは内側に変形しない構造となっている。そして、光ファイバーケーブル25の挿入後は、変形後の復元力でスパイク羽根117,119が光ファイバーケーブル25の外皮39を押さえ付けて、これを保持するようになっている。
【0074】
また、図12及び図13に示すように、光ファイバーケーブル25の外皮39に接触するスパイク羽根117,119の先端は鋭角に形成されており、光ファイバーケーブル25の引っ張り,押し込みに対し、スパイク羽根117,119の先端が光ファイバーケーブル25の外皮39に食い込むスパイク作用によって、光ファイバーケーブル25が溝115から抜け難くなっている。
【0075】
そして、図13に示すように固定台111の底部121には、周縁部を残して前記溝115に連通する平面視矩形状の凹部123が設けられており、その中央に前記クランプ47が突設された図6の支持片45が架設されている。そして、本実施形態に於ても、図示しない筐体(光ファイバーケーブル25の固定部位)内に設けた固定穴に差し込むことで、固定台111が筐体内に回転可能に取り付くようになっているが、固定台111は前記固定台21,73,91に比し、長手方向に短寸に形成されている。
【0076】
本実施形態に係る光ファイバーケーブル固定具109はこのように構成されており、本実施形態によっても、前記光ファイバーケーブル固定具53と同様、所期の目的を達成することが可能で、既述した(1)〜(9)の作用効果を奏することができると共に、固定台111は前記固定台21,73,91に比し長手方向に短寸とされているため、更なる小スペースでの利用が可能となる。
【0077】
尚、既述した各実施形態は、固定台を筐体に回転可能に取り付けたり、取付ネジを用いて固定台を筐体に後付けする構造であるが、図示しない請求項9の一実施形態の如く、既述した固定台を光ファイバーケーブルの固定部位に一体形成してもよい。
【0078】
而して、斯かる実施形態によっても、図9の実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。また、本実施形態によれば、斯様に固定台を筐体等に一体形成した構造上、固定台の部品管理が不要となる利点を有する。
【0079】
そして、既述したが、本発明は装置外に於ける整線のための光ファイバーケーブルの固定に使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
21,55,73,91,111 固定台
23,93,113 固定台の上部
25 光ファイバーケーブル
27,95,115 溝
29a,29b,31a,31b,33a,33b,85a,85b,101a,101b,103a,103b 突片
35,37,97,99,117,119 スパイク羽根
39 光ファイバーケーブルの外皮
47 クランプ
49,57,75 通信機器の筐体(光ファイバーケーブルの固定部位)
51,67 固定穴
52 クランプ
53,69,87,89,109 光ファイバーケーブル固定具
59 土台
63 ガイド面
65 ガイド部
71 取付ネジ
77 ネジ挿通穴
79 取付ネジ穴
83 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック状に形成された固定台の上部に、上方から光ファイバーケーブルが挿入可能な溝が形成された光ファイバーケーブル固定具であって、
溝内部の対向する両側面に、光ファイバーケーブルの外皮に接触する先端が鋭角に形成され、光ファイバーケーブルの引っ張り方向及び押し込み方向に角度のついたバネ性を有するスパイク羽根が複数設けられていることを特徴とする光ファイバーケーブル固定具。
【請求項2】
光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面に対向して設けられ、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面に対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項3】
光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根と、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の前後に離間して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項4】
光ファイバーケーブルの引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根と、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が、前記溝の側面の上下に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項5】
前記溝の一方の側面に、引っ張り方向に角度のついた前記スパイク羽根が複数設けられると共に、これらに対向して他方の側面に、押し込み方向に角度のついた前記スパイク羽根が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項6】
前記スパイク羽根の先端側上部に、R付けまたはC面付けがなされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項7】
前記溝の前後の出入口の両側面に、R付けがなされていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項8】
前記固定台が、光ファイバーケーブルの固定部位に回転可能に取り付いていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具。
【請求項9】
前記固定台が、光ファイバーケーブルの固定部位に一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光ファイバーケーブル固定具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−266519(P2010−266519A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115459(P2009−115459)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】