説明

光ファイバー撮像束を備えた光パイプを有する組織活力コンパレーター

【課題】組織セクションに対して、外科用器具に付随する顎を正確に位置決めするための光学システムを有する外科用器具を提供すること、さらに、この光学システムを通って観察された画像を既知の参照画像と比較し、この外科用器具を組織に対してより正確に位置決めするための参照チャートまたはグラフを有する外科用器具をを提供すること。
【解決手段】外科用器具であって:ハウジング;該ハウジングから延びる少なくとも1つの顎;該少なくとも1つの顎上の光源;および該少なくとも1つの顎と該ハウジングとの間に延びる光ファイバー撮像束を備えた光パイプを備え、ここで、該光ファイバー撮像束を備えた光パイプが、該少なくとも1つの顎上に位置決めされる第1の端部および該ハウジング上に位置決めされる第2の端部を、該少なくとも1つの顎上の光源によって照射される画像が該ハウジングで見えるように有する、外科用器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
1.技術分野
本開示は、手術の間の組織活力を評価するためのコンパレーターを有する外科用器具に関する。より詳細には、本開示は、外科用器具の顎内に含まれる組織の特定領域の画像を外科医に運ぶような、光ファイバー撮像束を備えた光パイプを有する組織活力コンパレーターを組み込む外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
組織の特定領域に対する手術を実施することに有用である種々の外科用器具が、当該技術分野で知られている。代表的には、手術される組織の領域は、病気であるか、またはそうでなければ、外科的介入の必要がある。
【0003】
大部分のこのような外科用器具は、この外科用器具に付随する1つ以上の顎の間に組織を捕捉するよう設計されている。これらの外科用器具で代表的に実施される手術は、握ること、切断すること、ステープル留めすること、組織の測定値を得ることなどを含み得る。1つのタイプの外科用器具は、顎構造を取り込み、これは、それらの間に捕捉された組織を握り、そしてそれに対して作動するために互いに対して旋回様式で移動する。
【0004】
代替タイプの外科用器具は、組織を握り、そして操作するために互いに平行に移動する顎構造を有する。このような器具は、一般的な胃腸管ステープラー、管状組織セクションを連結するために用いられる端と端とを吻合するデバイスなどを含み得る。さらに、Greenらによる特許文献1に開示される組織測定デバイスのような器具は、組織厚みの正確な測定を得るために平行顎移動を取り込む。
【0005】
これらの種々の外科用器具の操作の間に、顎構造物を組織の特定領域に対して位置決めすることがしばしば必要である。これは、代表的には、問題の組織の直接視覚観察によって達成される。しばしば、しかし、この組織は不明瞭であるか、またはそうでなければ見ることが阻害される。さらに、いくつかの事例では、組織の直接観察が組織に対して外科用器具を位置決めするために用いられるとき、この外科用器具の位置決めは、正確に位置決めすることが困難である。組織に対する外科用器具の操作の前に組織の状態を決定することもまた所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,336,232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、それに対して操作されることが所望される組織セクションに対して、外科用器具に付随する顎を正確に位置決めするための光学システムを有する外科用器具に対する必要性が存在する。さらに、この光学システムを通って観察された画像を既知の参照画像と比較し、この外科用器具を組織に対してより正確に位置決めするための参照チャートまたはグラフを有する外科用器具に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)外科用器具であって:
ハウジング;
そのハウジングから延びる少なくとも1つの顎;
その少なくとも1つの顎上の光源;および
その少なくとも1つの顎とそのハウジングとの間に延びる光ファイバー撮像束を備えた光パイプを備え、ここで、その光ファイバー撮像束を備えた光パイプが、その少なくとも1つの顎上に位置決めされる第1の端部およびそのハウジング上に位置決めされる第2の端部を、その少なくとも1つの顎上の光源によって照射される画像がそのハウジングで見えるように有する、外科用器具。
(項目2)前記ハウジングが、そのハウジングから遠位方向に延びる細長い部材を有し、そして前記少なくとも1つの顎が、その細長い部材の遠位端上に取り付けられた第1の顎および第2の顎を含み、その第1の顎および第2の顎が互いに相対的に移動可能である、項目1に記載の外科用器具。
(項目3)前記第1の顎および第2の顎が、互いに対する旋回移動のために取り付けられる、項目2に記載の外科用器具。
(項目4)前記第1の顎および第2の顎が、互いに対する平行移動のために取り付けられる、項目2に記載の外科用器具。
(項目5)前記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部が、前記第1の顎上に位置決めされる、項目2に記載の外科用器具。
(項目6)前記光源が、前記第1の顎上に位置決めされる、項目5に記載の外科用器具。(項目7)前記光源が、前記第2の顎上に位置決めされる、項目5に記載の外科用器具。(項目8)前記光源が、前記第1の顎上に位置決めされる第1の光源、および前記第2の顎上に位置決めされる第2の光源を含む、項目5に記載の外科用器具。
(項目9)前記光源が、LED光源である、項目5に記載の外科用器具。
(項目10)前記ハウジングが、前記LED光源のための電源、およびそのLED光源をオンおよびオフするためのスイッチを含む、項目9に記載の外科用器具。
(項目11)前記光源の第2の端部に隣接するハウジング上に位置決めされる組織比較チャートをさらに備える、項目5に記載の外科用器具。
(項目12)前記組織比較チャートが、前記光源の第2の端部を少なくとも部分的に取り囲む、項目11に記載の外科用器具。
(項目13)前記ハウジングが、前記第1の光源および前記第2の光源のための電源、ならびにその第1の光源およびその第2の光源を制御するためのスイッチを含む、項目8に記載の外科用器具。
(項目14)前記組織比較チャートが、健常組織に対応する第1の参照画像、および非健常組織に対応する第2の参照画像を含む、項目11に記載の外科用器具。
(項目15)外科用器具であって:
ハウジング;
そのハウジングから遠位方向に延びる細長い部材;
その細長い部材の遠位端上の相対的移動のために取り付けられた第1の顎および第2の顎;
その第1の顎上に位置決めされる第1の端部およびそのハウジンク中に位置決めされる第2の端部を有する、光ファイバー撮像束を備えた光パイプ;
その第1の顎およびその第2の顎の少なくとも1つの上に位置決めされる、少なくとも1つの光源;
そのハウジング中に位置決めされるその光源のための電源;ならびに
そのハウジング上に位置決めされる組織比較チャート、
を備える、外科用器具。
(項目16)前記少なくとも1つの光源が、前記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部に隣接する第1の顎上に位置決めされる、項目15に記載の外科用器具。
(項目17)前記少なくとも1つの光源が、前記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部に対向する第2の顎上に位置決めされる、項目15に記載の外科用器具。
(項目18)外科用器具を用いて組織を可視化するためのシステムであって、そのシステムは、以下:
i)ハウジング;
ii)そのハウジングから遠位方向に延びる細長い部材;
iii)その細長い部材の遠位端上の相対的移動のために取り付けられた第1の顎および第2の顎;
iv)その第1の顎上に位置決めされた第1の端部およびそのハウジング中に位置決めされた第2の端部を有する光ファイバー撮像デバイス;
v)その第1の顎および第2の顎の少なくとも1つの上に位置決めされる少なくとも1つの光源;および
vi)そのハウジング上に位置決めされる組織比較チャート
を有する外科用器具を備え、
その第1の顎と第2の顎との間に位置決めされた組織が、その少なくとも1つの光源で照らされ;そして
その照らされた組織が、そのハウジング中に位置決めされたその光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部を通して見られる、システム。
(項目19)前記組織が、前記第1の顎上に位置決めされた少なくとも1つの光源で、その組織が、その組織から反射して離れる光で見られるように照らされる、項目18に記載のシステム。
(項目20)前記組織が、前記第2の顎上に位置決めされた少なくとも1つの光源で、その組織が、その組織を透過する光で見られるように照らされる、項目18に記載のシステム。
(項目21)前記光ファイバー撮像束を備えた光パイプを通じて見られた組織を、前記ハウジング上に位置決めされた組織比較チャートと比較するための手段をさらに備える、項目18に記載のシステム。
(項目22)外科用器具を用いて組織を可視化する方法であって:
a)以下を有する外科用器具を提供する工程:
i)ハウジング;
ii)そのハウジングから遠位方向に延びる細長い部材;
iii)その細長い部材の遠位端上の相対的移動のために取り付けられた第1の顎および第2の顎;
iv)その第1の顎上に位置決めされた第1の端部およびそのハウジング中に位置決めされた第2の端部を有する光ファイバー撮像デバイス;
v)その第1の顎および第2の顎の少なくとも1つの上に位置決めされる少なくとも1つの光源;および
vi)そのハウジング上に位置決めされる組織比較チャート;
b)その少なくとも1つの光源に電力を送達する工程;
c)その第1の顎と第2の顎との間に位置決めされた組織を、その少なくとも1つの光源で照らす工程;および
d)その照らされた組織を、そのハウジング中に位置決めされたその光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部を通して見る工程、
を包含する、方法。
(項目23)前記照らす工程が、前記組織を、前記第1の顎上に位置決めされた少なくとも1つの光源で、その組織が、その組織から反射して離れる光で見られるように照らすことを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)前記照らす工程が、前記組織を、前記第2の顎上に位置決めされた少なくとも1つの光源で、その組織が、その組織を透過する光で見られるように照らすことを含む、項目22に記載の方法。
(項目25)前記光ファイバー撮像束を備えた光パイプを通じて見られた組織を、前記ハウジング上に位置決めされた組織比較チャートと比較する工程をさらに包含する、項目22に記載の方法。
【0009】
(要旨)
手術の間に組織を操作および見るための外科用器具が開示される。この外科用器具は、一般に、ハウジングから延びる少なくとも1つの顎を有するハウジング、およびこの少なくとも1つの顎上に位置決めされる光源を含む。光ファイバー撮像束を備えた光パイプは、上記少なくとも1つの顎と上記ハウジングとの間に延びる。この光ファイバー撮像束を備えた光パイプは、上記少なくとも1つの顎上に位置決めされる第1の端部および上記ハウジング上に位置決めされる第2の端部を、上記光源によって照射される画像が上記ハウジングで見えるように有する。上記ハウジングは、このハウジングから遠位方向に延びる細長い部材、およびこの細長い部材の遠位端上に取り付けられた第1の顎および第2の顎を有する。この第1の顎および第2の顎は互いに対して移動可能である。1つの実施形態では、これら第1の顎および第2の顎は、互いに対する旋回移動のために取り付けられる。代替の実施形態では、これら第1の顎および第2の顎は、互いに対する平行移動のために取り付けられる。
【0010】
上記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部は、上記第1の顎上に位置決めされる。1つの実施形態では、上記光源は、上記第1の顎上に位置決めされ、その一方、代替の実施形態では、上記光源は、上記第2の顎上に位置決めされる。
【0011】
特定の実施形態では、上記光源がLED光源であり、そして上記ハウジングは、このLED光源のための電源、およびこのLED光源を能動化するためのスイッチを含む。その他の光源が用いられ得る。
【0012】
特定の実施形態では、上記ハウジングは、光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部に隣接するハウジング上に位置決めされる組織比較チャートを含む。この組織比較チャートは、この光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部を少なくとも部分的に取り囲む。1つの実施形態では、この組織比較チャートは、健常組織に対応する第1の参照画像、および非健常組織に対応する第2の参照画像を含む。中間参照は、比較のために、組織分解の種々のレベルを含み得る。
【0013】
ハウジング、このハウジングから遠位方向に延びる細長い部材、およびこの細長い部材の遠位端上の相対的移動のために取り付けられた第1の顎および第2の顎を有する外科用器具がまた開示される。この外科用器具は、上記第1の顎上に位置決めされる第1の端部および上記ハウジンク上に位置決めされる第2の端部を有する、光ファイバー撮像束を備えた光パイプを含む。少なくとも1つの光源が、上記第1の顎および上記第2の顎の少なくとも1つの上に位置決めされる。このハウジングは、上記ハウジング上に位置決めされる光源および組織比較チャートのための電源を含む。1つの実施形態では、上記少なくとも1つの光源は、上記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部に隣接する第1の顎上に位置決めされる。代替の実施形態では、上記少なくとも1つの光源は、上記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部に対向する第2の顎上に位置決めされる。
【0014】
外科用器具を用いて組織を可視化する方法がまた開示され、この方法は、ハウジング、およびこのハウジングから遠位方向に延びる細長い部材、およびこの細長い部材の遠位端上の相対的移動のために取り付けられた第1の顎および第2の顎を有する外科用器具を提供する工程を包含する。この外科用器具は、上記第1の顎上に位置決めされた第1の端部および上記ハウジング中に位置決めされた第2の端部を有する光ファイバー撮像デバイス、および上記第1の顎および第2の顎の少なくとも1つの上に位置決めされる少なくとも1つの光源をさらに含む。上記光源のための電源および組織比較チャートが、上記ハウジング上に位置決めされる。
【0015】
この方法は、上記第1の顎と第2の顎との間に位置決めされた組織を、上記少なくとも1つの光源で照らす工程、およびこの照らされた組織を、上記光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部を通して見る工程を包含する。1つの実施形態では、この組織は、上記第1の顎上に位置決めされた光源で、この組織が、組織から離れて反射する光で見られるように照らされる。1つの代替の実施形態では、この組織は、上記第2の顎上に位置決めされる光源で、この組織が、この組織を透過する光で見られるように照らされる。
【0016】
この方法は、上記照らされた組織を上記組織比較チャートと比較する工程をさらに包含する。
【0017】
(摘要)
組織活力コンパレーターを有する外科用器具が、この外科用器具に対する組織の画像を見るため、そしてこれら画像を所定の参照画像と比較するために提供される。この外科用器具は、組織を捕捉するための一対の顎、およびこの捕捉された組織を照射する1つ以上の光源14を含む。この外科用器具は、顎間の組織を見るための第1の端部および組織を観察するための外科用器具のハンドル部分上の第2の端部を有する光ファイバー撮像束を備えた光パイプをさらに含む。複数の参照画像を有する組織比較チャートが、光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第2の端部を通じて観察される画像との比較のためにこの外科用器具のハンドル上に提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、それに対して操作されることが所望される組織セクションに対して、外科用器具に付随する顎を正確に位置決めするための光学システムを有する外科用器具が提供される。さらに、この光学システムを通って観察された画像を既知の参照画像と比較し、この外科用器具を組織に対してより正確に位置決めするための参照チャートまたはグラフを有する外科用器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
組織活力コンパレーターを有する現在開示される外科用器具の種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【図1】図1は、旋回する顎構造を有する組織活力コンパレーターを備えた現在開示される外科用器具の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、見る窓および比較チャートを示す外科用器具のハンドルの一部分の平面図である。
【図3】図3は、図1の外科用器具の断面で示される側面図である。
【図4】図4は、図1の外科用器具の遠位端の断面で示される拡大された側面図である。
【図5】図5は、平行閉鎖顎構造を有する組織活力コンパレーターを備えた外科用器具の別の実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の外科用器具の断面で示される側面図である。
【図7】図7は、図5の外科用器具の遠位端の断面で示す拡大された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態の詳細な説明)
組織活力コンパレーターを有する現在開示される外科用器具の実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に説明され、ここで、同様の番号は、いくつかの図の各々で同一または対応する要素を指定する。当該技術分野で一般的であるように、用語「近位」は、使用者または操作者、すなわち、外科医または医師により近い外科用器具の一部または構成要素をいい、その一方、用語「遠位」は、使用者から遠く離れる外科用器具の一部または構成要素をいう。
【0021】
図1を参照して、組織活力コンパレーター(以後「TVC」という)を有する外科用器具、または組織に対する手術を実施する際の使用に適し、同時に外科医が手術されている組織を光学的に見ることを可能にする外科用器具10が開示される。詳細には、外科用器具10は、外科医が手術されている組織を見ること、そして、同時に、この組織の画像を、所定の参照画像と比較することを可能にする。この所定の参照画像は、動物組織の色、テクスチャー、またはその他の特徴に関するものを含み得る。
【0022】
外科用器具10は、一般に、ハンドル12から遠位方向に延びる細長い部材14を有するハンドル12を形成するハウジングを含む。第1の顎16は、細長い部材14の遠位端18上に取り付けられている。示されるように、この特定の実施形態では、第1の顎16は、細長い部材14に対して静止しており、そしてそれと一体に形成され得る。第2の顎20はまた、細長い部材14の遠位端18上に取り付けられている。第2の顎20は、第1の顎16および細長い部材14に対して移動可能である。アクチュエーター22がハンドル12上に提供され、第2の顎20を、第1の顎16から離れて間隔を置かれた開放位置と、第1の顎16に隣接する閉鎖位置との間を移動する。
【0023】
外科用器具10は、代表的には、組織を握ること、切断すること、ステープル留めすることなど、またはその他に組織を操作することのために用いられる旋回顎構造を有する種々の外科用器具に基づき得る。この実施形態では、第2の顎20は、第1の顎16および細長い部材14に対し、第2の顎20が第1の顎16に対して弧を通って移動するような旋回移動のために取り付けられる。
【0024】
外科用器具10は、開放位置と閉鎖位置との間で第2の顎20を移動することにおける使用のためのアクチュエーター22、およびハンドル12の鼻錐体部分26を回転するような形態である回転器24を含む。細長い部材14は、鼻錐体部分26の遠位端28から延びており、その結果、回転器24の回転は第1の顎16および第2の顎20を回転させ、そしてそれらを手術される組織に対して配向する役割を果たす。
【0025】
本明細書で上に記載されるように、外科用器具10は、手術されている組織を光学的に観察すること、および見られた画像を参照画像と比較することにおける使用のためのTVCを含む。外科用器具10は、第1の顎16上に位置決めされる第1の光源30を含み、第1の顎16と第2の顎20との間に位置決めされる組織を照らす。外科用器具10は、第1の光源30および本明細書中で以下により詳細に説明されるさらなる光源を操作するために複数位置スイッチ32をさらに含む。
【0026】
第1の顎16と第2の顎20との間に捕捉された組織を見るために、外科用器具10には、第1の顎16上に位置決めされる、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34(図3)が提供される。この光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38は、ハンドル12上に位置決めされ、外科医または操作者が第1の顎16と第2の顎20との間に捕捉された組織を光学的に見ることを可能にする。
【0027】
ここで、図1および図2を参照して、外科用器具10は、ハンドル12上に位置決めされる組織比較チャート40を備えて提供される。組織比較チャート40は、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38に隣接して、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプを通って見られる画像を、組織比較チャート40と関連する画像と比較するように位置決めされる。組織比較チャート40は、組織の色、テクスチャー、またはその他の特徴に対応し得る複数の参照画像とともに提供され、この外科用器具10が、手術されることが所望される組織の正確または特定の領域に対して適正に位置決めされ得る。
【0028】
組織比較チャート40は、健常組織にほぼ対応する第1の参照画像42を含む。スペクトルの対向する端部に、組織比較チャート40は、非健常組織に対応する第2の参照画像44を含む。複数の中間参照画像46、48、50、52および54が組織比較チャート40上に提供され、外科医または操作者が組織の状態を評価することを可能にする。外科用器具10の特定の用途に依存して、参照画像50のような中間の参照画像は、潜在的な生存組織の限界に関連する画像と対応し得る。
【0029】
ここで、図3を参照して、本明細書で上に記載のように、第2の顎20は、第1の顎16に対する旋回移動のために取り付けられる。第2の顎20の近位端56は、旋回点58で細長い部材14に、アクチュエーター22の移動に応答して、第2の顎20が第1の顎16に対して弧を通って移動し得るように取り付けられる。
【0030】
第2の顎20は、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34とほぼ対向して位置決めされる第2の光源60とともに提供される。これは、第2の光源60が、第1の顎16と第2の顎20にほぼ位置決めされる組織を通って光を伝達することを可能にし、その結果、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプによって観察される組織の画像は、この組織を通って伝達される光による。特定の適用では、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプは、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34を、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38に連結する従来の光ファイバーであり、それによって、それを通って画像を伝達する。あるいは、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプは、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34から第2の端部38まで画像を伝達するその他の代替の手段から構成され得る。例えば、デジタル化画像の電気的手段が利用され得るなど。
【0031】
示されるように、第1の対のワイヤ62は、第1の顎16、細長い部材14およびハンドル12を通って延び、第1の光源30を、ハンドル12中に位置決めされる複数位置スイッチ32と連結する。同様に、第2の対のワイヤ64は、第2の光源62を、複数位置スイッチ32と連結する。
【0032】
第1の光源30および第2の光源60は、LEDタイプ光源であり得ることが注目されるべきである。特定の適用では、LEDタイプ光源の使用は、それらが、ほとんど熱を発生せず、そして観察される組織の特徴に対し衝撃をほとんど有さないかまたは有さないので、特に所望される。これは、外科用器具10が、観察される組織の偽画像を得ないことを確実にする際に支援し得る。代替の適用では、第1の光源30および第2の光源60は、従来の白熱光、赤外またはその他のタイプの光源であり得る。
【0033】
図1に示されるように、複数位置スイッチ32には、第1の光源34および第2の光源60をそれぞれ制御するためのいくつかの位置が提供される。複数位置スイッチ32には、第1の光源34および第2の光源60についてオフ位置に対応する第1の位置66が提供される。複数位置スイッチ32は、第1の光源30のオン位置に対応する第2の位置68、および第2の光源60のオン位置に対応する第3の位置70をさらに含む。さらに、複数位置スイッチ32は、第1の光源34および第2の光源60の両方のオン位置に対応する第4の位置72を含む。それ故、第1の顎16と第2の顎20との間に含まれる組織は、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34に対して上および/または下からの光によって照らされ得る。1つ以上の光源を能動化するためのその他の制御が、この外科用器具のハンドル12上に含められ得る。例えば、スイッチは、各光源および/または光源の組み合わせについて提供され得る。
【0034】
図3に示されるように、外科用器具10は、電力ワイヤ76によって複数位置スイッチ32に連結されている、ハンドル12中に位置決めされる電源74をさらに含む。この特定の実施形態では、電源74は、自給式電源であることに注目すべきである。あるいは、電源74は、手術室内で利用可能な外部電源によって供給され得る。
【0035】
ここで、図4を参照して、第1の顎16と第2の顎20との間に位置決めされる組織Tを見るための外科用器具10の使用が、ここで説明される。第1の顎16は、傾斜した遠位面80を有する第1の組織係合面78を有し、組織に対する移動を容易にする。第2の顎20は、第2の組織係合面82を有する。種々の間、目的の組織は、第1の組織係合面78と第2の組織係合面82との間に位置決めされる。外科用器具10は、手術の標的である組織Tの周りに第1の顎16および第2の顎20を位置決めするように操作される。上記のように、これらの操作は、組織Tを握ること、ステープル留めすること、切断すること、そして別の方法で操作することを含み得る。
【0036】
一旦、外科用器具10が、組織Tの周りに適正に位置決めされると、複数位置スイッチ32が、第1の光源30および第2の光源60の1つまたは両方を能動化するために作動される。複数位置スイッチ32が第2の位置68まで移動されるとき、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34に隣接して位置決めされる第1の光源30は、能動化されて光ビーム84で組織Tを照らす。光ビーム84は組織Tを離れ、そして光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第1の端部34中に反射し、組織Tの画像を得る。外科用器具10は、第1の顎16および第2の顎20は、第1の顎16および第2の顎20が手術されるべき組織TCに隣接して位置決めされ、そして外科用器具10によって接触されるまで組織Tに沿って移動するように操作される。その後、外科用器具10は、標的組織TC上で特定の手術を実施するために操作され得る。
【0037】
あるいは、手術される組織Tのタイプおよび実施される特定の操作に依存して、複数位置スイッチ32は第3の位置70まで移動され得、光ビーム86により標的組織TCを通って光が伝達されるように第2の光源60を能動化する。さらに、複数位置スイッチ32は、第1の光源30および第2の光源60の照射のために第4の位置72まで移動され得、それによって、反射された光ビーム84および伝達された光ビーム86の両方を組織に対し、36の第1の端部34に向かって方向付け、そしてそのようにして、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38で標的組織TCの画像を得る。
【0038】
光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38は、その上で観察される画像を操作するために種々の様式で構築され得ることに注目すべきである。例えば、第2の端部38は、観察された画像を拡大するように構築され得、見られる画像の特徴を識別することを容易にする。さらに、第2の端部38には、種々のタイプのフィルターが提供され得、それを通って伝達される画像を操作し、そして定量化または修正する。
【0039】
図2に戻って参照し、一旦、標的組織TCの画像が、光ファイバー撮像束36を備えた光パイプの第2の端部38で得られると、この画像は、組織比較チャート40によって提供される参照画像と比較され得る。例えば、外科用器具10は、第2の端部38で観察された画像が、健常組織に対応する参照画像42に類似に見えるように操作され得る。外科用器具10は、次いで、組織Tに沿って、第2の端部38によって観察された画像が、1つ以上の中間参照画像48、50、52または54に対応するまで操作され得る。外科用器具10の所望の使用に依存して、外科用器具10は、第2の端部38中に現れる画像が、完全に非健常な組織に対応する参照画像44に類似に見えるまで操作され得る。
【0040】
このようにして、TVCを有する外科用器具10は、手術されている組織の画像を得るために利用され得、そして公知の参照画像に対しこの組織の画像を比較し、それによって手術される標的組織に対する外科用器具10の使用および位置決めを容易にする。
【0041】
ここで、図5を参照して、TVCを有する外科用器具、または組織を操作することおよび観察することにおける使用のための外科用器具90の代替の実施形態が開示される。外科用器具90は、ハンドル92から遠位方向に延びる細長い部材94を有するハンドル92を含む。第1の顎96は細長い部材94の遠位端98上に位置決めされ、そしてそれと一体に形成され得る。第2の顎100は、第1の顎96に対する平行移動のために取り付けられる。第2の顎100は、長軸方向部分102、および長軸方向部分102の近位端106から垂れる垂直部分104を含む。
【0042】
外科用器具90は、第1の顎96および第2の顎100を互いに対して平行に移動するためのアクチュエーター108をさらに含む。本願明細書で上に記載のように、一対の顎を互いに対して平行に移動するための種々の外科用器具が周知である。一対の顎を互いに対して平行に移動するために特に適切な機構は、Greenらによる米国特許番号第5,336,232号に開示され、その全体の開示は、本明細書中に参考とて援用される。
【0043】
外科用器具90は、ハンドル92の鼻錐体部分112および細長い部材94をハンドル92に対して回転し、第1の顎96および第2の顎100を組織に対して適正に位置決めするための回転器110を含む。
【0044】
第1の光源114は、第1の顎96上に位置決めされ、そしてハンドル92上に提供される複数位置スイッチ118によって作動される。光ファイバー撮像束120を備えた光パイプの第1の端部118(図6)は、第1の顎96上に提供され、そして光ファイバー撮像束120を備えた光パイプの第2の端部122は、外科用器具10に関して本明細書で上に記載の様式と類似の様式でハンドル92上に位置決めされる。組織比較チャート124がまた、ハンドル92上に提供される。本明細書で上に記載された組織比較チャート40と同様に、組織比較チャート124が、光ファイバー撮像束120を備えた光パイプの第2の端部118で観察される画像と比較され得る複数の参照画像126を含む。
【0045】
ここで図6を参照し、そして本明細書で上に記載されたように、第1の顎96および第2の顎100は、互いに対して平行に移動可能である。細長い部材94の遠位端98は、第2の顎100の垂直部分104の移動を収容するカットアウト128とともに提供される。第2の光源130が第2の顎100上に提供され組織を通って光を伝達する。第1の対のワイヤ132が第1の光源118を複数位置スイッチ116に連結し、そして第2の対のワイヤ134が第2の光源130を複数位置スイッチ116に連結する。
【0046】
しばらく図5に戻って参照して、複数位置スイッチ116は、第1の光源114および第2の光源130のオフ位置に対応する第1の位置136を含む。第2の位置138は、第1の光源114のオン状態に対応し、そして第3の位置140は、第2の光源130のオン状態に対応する。第4の位置142は、第1の光源114および第2の光源130両方のオン状態に対応する。
【0047】
図6を参照して、電源144がハンドル92内に提供され、第1の光源114および第2の光源130に電力を与える。電力ワイヤ146は、電源114を複数位置スイッチ116に連結する。あるいは、電源144は、手術室内で利用可能な外部電源によって供給され得る。
【0048】
ここで図7を参照して、第1の顎96は、第1の組織係合面148および遠位傾斜面150を含み、組織に対する位置決めを容易にする。同様に、第2の顎100は、第2の組織係合面152を含む。
【0049】
使用において、外科用器具90は、外科用器具10の様式と実質的に同一の様式で機能し、第1の顎96と第2の顎100との間で捕捉された組織の画像を見る。しかし、外科用器具10とは対照的に、外科用器具90の第1の顎96および第2の顎100は、外科用器具10での場合のように弧を通るのではなく、互いに対して平行に移動する。詳細には、外科用器具90は、組織Tの周りに第1の顎96と第2の顎100とを位置決めするように操作される。複数位置スイッチ116は、組織Tに対して光のビーム154を投影するように第1の光源114をオンするように作動される。組織Tの画像は、光ファイバー撮像束116を備えた光パイプの第1の端部118を通って観察され、そして組織比較チャート124の参照画像126に対する比較のために第2の端部122に伝達される(図5)。一旦、組織TCの適切な標的領域が第2の端部122を通って観察されると、外科用器具90は、組織Tに対して所望の手術を実施するために操作され得る。
【0050】
あるいは、複数位置スイッチ116は、第2の光源130をオンにするように操作され得、組織Tを通り、光ファイバー撮像束116を備えた光パイプの第1の端部118に向かって第2の光ビーム156を投影する。外科用器具10について本明細書に上記で記載されるように、複数位置スイッチ116は、第1の光源114および第2の光源130の両方をオンにする第3の位置142に操作され得る。
【0051】
このようにして、外科用器具90は、顎96と100との平行相対移動によって、第1の組織係合面150と第2の組織係合面152との間で組織を握るために用いられる。顎96および100のこの平行相対移動は、例えば、組織測定技法の間、ならびに種々のステープル留め操作および切断操作の間のような、旋回顎移動から生じ得る、組織の不均一圧縮が所望されない状況で所望される。
【0052】
さらなる実施形態では、上記外科用器具は一対の移動可能な顎を有し、ここで、各顎は、細長い部材に対して旋回して、または平行に移動する。本明細書中に開示される外科用器具は、1つ以上の光パイプおよび光源を組み込み得るか、または単一のデバイスに組み込まれた光パイプおよび光源を有し得る。その他の実施形態では、上記器具のハウジングは、手動で作動され、そしてハンドルを含む外科用器具の代替として、ロボットまたはコンピューター化外科用システムに連結するように形成される。
【0053】
種々の改変物が本明細書中に開示される実施形態になされ得ることが理解される。例えば、本明細書で上に記載のように、種々のタイプの光源が、組織を照射し、そしてその画像を生成するために提供され得る。さらに、第1および第2の光源、ならびに光ファイバー撮像束を備えた光パイプの第1の端部の位置は、それらの関連する顎内でほぼ中央に位置するとして示されているが、これらの構造は、この外科用器具の特定の使用に依存して関連する顎の代替の長軸方向位置、および垂直位置で提供され得る。さらに、2つ以上の光源、および1つ以上の光ファイバー撮像束を備えた光パイプが、上記外科用器具に伴い得る。それ故、上記の説明は、制限的であると解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示である。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および思想内のそ他の改変物を想定する。
【符号の説明】
【0054】
10 外科用器具
12 ハンドル
14 細長い部材
16 第1の顎
18 細長い部材の遠位端
20 第2の顎
22 アクチュエーター
24 回転器
26 鼻錐体部分
28 鼻錐体部分の遠位端
30 第1の光源
32 複数位置スイッチ
34 光パイプの第1の端部
36 光ファイバー撮像束
38 光パイプの第2の端部
40 組織比較チャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205901(P2012−205901A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128040(P2012−128040)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2007−164297(P2007−164297)の分割
【原出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】