説明

光ファイバ偏光子及びその製造方法

【課題】slow軸(X軸)の偏波の損失が小さいまま、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくすることができ、従来に比べ小型の光ファイバ偏光子及びその製造方法を得る。
【解決手段】光ファイバ偏光子1には、偏波保持光ファイバの一部に所定強度の炭酸ガスレーザーを照射することにより溶融延伸して細径化した延伸部2、3、4が形成されており、延伸部2、3、4のそれぞれの延伸長が5mm未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバセンサや光通信などに用いられる光ファイバ偏光子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ファイバ偏光子及びその製造方法は公知となっている。例えば、下記特許文献1や下記特許文献2に開示されるものがある。ここで、特許文献1には、偏波保持光ファイバの一部を5mm〜30mmの長さに延伸して細径化した延伸部を設けることにより、伝搬定数の大きいfast軸(Y軸)の偏波のみをクラッドモードに結合して減衰させ、伝搬定数の小さいslow軸(X軸)の偏波を透過させることを特徴とする光ファイバ偏光子が開示されている。特許文献2には、複屈折を有する光ファイバの一部に延伸部を設けたことを特徴とする光ファイバ偏光子と、この光ファイバ偏光子の延伸部の形成方法として、プロパンと酸素を燃焼ガスとして用いたマイクロトーチをバーナーとした加熱源を用いる方法とが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−172842号公報
【特許文献2】特開平4−27903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バーナーのような加熱源を用いた従来の光ファイバ偏光子の延伸部の形成方法では、延伸長が5mm未満である場合、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくすることができなかった。したがって、高い消光比を得るために、光ファイバ偏光子の延伸長を5mm以上好ましくは20mm以上とし、slow軸(X軸)の偏波の損失を小さくすることを犠牲にして、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくしていた。また、延伸長が長いため、光ファイバ偏光子を組み込んだ部品が大きくなり、該部品を小型化する上で支障があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、延伸部の長さが5mm以上の場合だけでなく5mm未満であっても、slow軸(X軸)の偏波の損失が小さいまま、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくすることができる光ファイバ偏光子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光ファイバ偏光子は、偏波保持光ファイバの一部に、石英ガラスが吸収する波長を発振するレーザーを所定強度で照射することにより溶融延伸し、細径化した延伸部が1ヵ所又は複数形成されており、前記延伸部のそれぞれの延伸長が5mm未満である。そして、前記レーザーが炭酸ガスレーザーであることが好ましい。
【0007】
本発明は、偏波保持光ファイバの一部を延伸して細径化した延伸部を有する光ファイバ偏光子の製造方法であって、前記偏波保持光ファイバの所定箇所において、石英ガラスが吸収する波長を発振するレーザーを所定強度で照射して、溶融延伸し、細径化して、前記延伸部を形成するものである。そして、前記レーザーが炭酸ガスレーザーであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、slow軸(X軸)の偏波の損失が小さいまま、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくすることができ、従来に比べ小型の光ファイバ偏光子及びその製造方法を提供できる。また、本発明の光ファイバ偏光子は、それぞれの延伸長が5mm未満である場合には、従来に比べ、全体長さを短くできるとともに、上記効果を十分達成できるので、実用しやすいものである。また、延伸する長さが短いため、生産速度の工場、生産装置の簡素化が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る光ファイバ偏光子及びその製造方法を説明する。図1は本発明の実施形態に係る光ファイバ偏光子の一部を示す図、図2は図1のI−I矢視断面図である。
【0010】
本実施形態に係る光ファイバ偏光子1は、一般的な偏波保持光ファイバを加工して作製したものであり、図1に示すように、複数の延伸部2、3、4が形成されている。また、図2に示すように、光ファイバ偏光子1は、応力付与部1c、1dが、コア1bを中心として、所定距離の間隔をあけてslow軸(X軸)方向に対称にクラッド1a内に埋設されているものである。
【0011】
延伸部2、3、4は、炭酸ガスレーザーを加熱源として用いて溶融延伸する以外は、従来と同様の方法で形成したものである。すなわち、一般的な偏波保持光ファイバの延伸箇所を中央にして2箇所間で保持した後、該延伸箇所に、炭酸ガスレーザーを照射しつつ、前述した2箇所間距離を拡げるように力を加え、延伸部が5mm未満の長さとなるように延伸することによって形成する。
【0012】
上述した炭酸ガスレーザーは、従来のバーナーなどの加熱源に比べ、光ファイバ偏光子1の延伸したい箇所において照射した際の温度分布を調整しやすいことから、延伸部の長さが5mm未満でも、容易且つ確実に、延伸部におけるslow軸(X軸)の偏波の損失を小さくしたまま、延伸部におけるfast軸(Y軸)の偏波の損失をある程度大きくできる。また、光ファイバ偏光子1は、複数の延伸部2、3、4を形成していることから、fast軸(Y軸)の偏波の損失を3回発生させることができ、十分にfast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくできる。なお、一変形例として、延伸部は2箇所でも4箇所以上でもよい。
【0013】
上記構成により、slow軸(X軸)の偏波の損失が小さいまま、fast軸(Y軸)の偏波の損失を大きくすることができる光ファイバ偏光子1及びその製造方法を提供できる。また、光ファイバ偏光子1は、それぞれの延伸長が5mm未満であるので、従来に比べ、全体長さを短くできるとともに、上記効果を十分達成できるので、実用しやすいものである。また、延伸する長さが短いため、生産速度の向上、生産装置の簡素化が達成できる。
【0014】
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ偏光子の一部を示す図である。
【図2】図1のI−I矢視断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 光ファイバ偏光子
1a クラッド
1b コア
1c、1d 応力付与部
2、3、4 延伸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏波保持光ファイバの一部に、石英ガラスが吸収する波長を発振するレーザーを所定強度で照射することにより溶融延伸し、細径化した延伸部が1ヵ所又は複数形成されており、前記延伸部のそれぞれの延伸長が5mm未満であることを特徴とする光ファイバ偏光子。
【請求項2】
前記レーザーが炭酸ガスレーザーであることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ偏光子。
【請求項3】
偏波保持光ファイバの一部を延伸して細径化した延伸部を有する光ファイバ偏光子の製造方法であって、
前記偏波保持光ファイバの所定箇所において、石英ガラスが吸収する波長を発振するレーザーを所定強度で照射して、溶融延伸し、細径化して、前記延伸部を形成することを特徴とする光ファイバ偏光子の製造方法。
【請求項4】
前記レーザーが炭酸ガスレーザーであることを特徴とする請求項3記載の光ファイバ偏光子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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