説明

光ファイバ共振器ジャイロスコープのための改善された光フィルタリング

【解決手段】光ファイバフィルタを提供する。第1の端面及び反対側の第2の端面を有する光ファイバを含み、第1の端面と第2の端面はファイバ長を規定する。第1の端面及び第2の端面は反射性コーティング材でコーティングされる。レーザから放射された光ビームが第1の端面又は第2の端面のうちの1つに結合されると、反対側の端面から出力される光ビームは狭窄な線幅と低い周波数雑音ゆらぎを有する。
【効果】本光ファイバフィルタは、極めて高いフィネス、狭窄な線幅、及び低コストであり、各レーザの残留した位相雑音、即ちサーボ帯域幅よりも高い周波数における位相ゆらぎを低減する。高性能な回転計測に要求される極めて狭窄な帯域幅、小さいサイズ、高パワーの取り扱い能力、低スプリアスの背景反射、製造容易性、調整容易性、及び低コストに対する潜在能力を持つ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] この発明は、米国海軍研究事務所により授与されたN00014−08−C−0665の下に米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明について一定の権利を有する。
【0002】
[0002] 光ファイバ共振器ジャイロスコープ(resonator−fiber−optic gyroscope:RFOG)は、ファイバリング共振キャビティを用いた回転速度計測装置であり、回転により共振キャビティ内に誘起されたサニャック効果の計測における信号対雑音比を増大させる。RFOGの基本的動作原理は、ファイバリング共振キャビティの回転が共振器軸において非ゼロ要素を持つ場合に、時計回り(clockwise:CW)及び反時計回り(counter−clockwise:CCW)方向における共振器の実効的な経路長が異なることである。CW及びCCWの共振周波数の差は回転によるサニャック位相シフトに比例し、この差を計測することによって、RFOGは回転速度を正確に計測することができる。
【0003】
[0003] 共振周波数を同定するために、レーザがコヒーレントな光をファイバ共振器へ供給する。半導体レーザはレーザ光源の低コストの選択肢である。しかしながら、半導体レーザは通常、RFOGの性能劣化を引き起こす可能性のある顕著な位相雑音を有している。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本願は、光ファイバフィルタに関する。光ファイバフィルタは、第1の端面及び反対側の第2の端面を有する光ファイバを含む。この第1の端面と第2の端面とによりファイバ長が規定される。この第1の端面及び第2の端面は、反射性コーティング材でコーティングされる。レーザから放射された光ビームが第1の端面又は第2の端面の一方の内部へ結合されると、反対側の端面からの光ビーム出力は、狭窄な線幅と低い周波数雑音ゆらぎを有する。
【0005】
[0005] 以下に添付された図面及び詳細な説明において、特許請求の範囲に記載された発明の様々な実施態様の詳細が説明される。詳細な説明、図面、及び請求の範囲から他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0006] 図1は、本発明に基づく光ファイバフィルタの一実施態様のブロック図である。
【図2】[0007] 図2は、本発明に基づく光ファイバフィルタの一実施態様のブロック図である。
【図3】[0008] 図3は、本発明に基づく、光ファイバフィルタを含む光ファイバ共振器ジャイロスコープの一実施態様のブロック図である。
【図4】[0009] 図4は、本発明に基づく、ピグテール付き強度変調器に結合された光ファイバフィルタの一実施態様のブロック図である。
【図5】[0010] 図5は、本発明に基づく光ファイバ共振器ジャイロスコープシステムにおいて用いるための、少なくとも1つの低雑音でコヒーレントな光ビームを発生させる方法の一実施態様のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0011] 異なる図における同様の参照番号及び指定は、同様の構成要素を示す。
【0008】
[0012] 光ファイバ共振器ジャイロスコープ(resonator−fiber−optic gyroscope:RFOG)の性能を劣化させることなくレーザダイオードをRFOGで使用するために、レーザの位相雑音が低減されなければならない。本明細書において説明される光ファイバ共振器ジャイロスコープの実施態様は、RFOGシステムに低位相雑音のリファレンス光ビームを供給する周波数安定化リファレンスレーザを含む。センシング用共振器の共振周波数を計測するのに用いるレーザ(スレーブ)は、サーボ機構によりこのリファレンス(マスター)レーザに位相ロックされて、サーボ帯域幅内におけるマスターレーザの低位相雑音がスレーブレーザへと伝達される。マスターレーザは、マスターレーザの位相/周波数ゆらぎを制御するネガティブフィードバックループに周波数識別器を用いることによって周波数安定化されている。このようにして、スレーブレーザは、電気光学サーボ機構の帯域幅内において低雑音を有する。
【0009】
[0013] 本明細書において説明される光ファイバ共振器ジャイロスコープの実施態様は、各スレーブレーザからの出力を受光するように結合された光ファイバフィルタを含む。この光ファイバフィルタは、各レーザの残留した位相雑音、即ちサーボ帯域幅よりも高い周波数における位相ゆらぎを低減する。光ファイバフィルタからの出力は、ファイバ共振器コイル(ジャイロセンシングコイル)の共振をプローブするのに用いられる。光ファイバフィルタは、RFOGによる高性能な回転計測に要求される所望の特徴を有する。これらの所望の特徴は、極めて狭窄な帯域幅、小さいサイズ、高パワーの取り扱い能力、低スプリアスの背景反射、製造容易性、調整容易性、及び低コストに対する潜在能力を含む。本明細書において説明される光ファイバフィルタは、極めて高いフィネス、狭窄な線幅、及び低コストのフィルタである。
【0010】
[0014] 図1は、本発明に基づく光ファイバフィルタ100一実施態様のブロック図である。光ファイバフィルタ100は、第1の端面112及び反対側の第2の端面114を有する固体コアの光ファイバ110を含む。第1の端面112と第2の端面114の間の距離によりファイバ長Lが規定される(ファイバ長Lの長さが決定される)。第1の端面112は、反射性コーティング材135でコーティングされている。第2の端面114は、反射性コーティング材136でコーティングされている。この実施態様の一実施において、反射性コーティング材135及び反射性コーティング材136は、それぞれ第1の端面112及び第2の端面114上に堆積された1又は複数の物質層を含む。この実施態様の別の実施において、反射性コーティング材135及び反射性コーティング材136は、複数の誘電体層である。
【0011】
[0015] 図1に示されるように、レーザ201から(矢印で表された)光ビーム300が放射される。この光ビーム300は、反射性コーティング材135及び端面112に入射し、光ファイバ110に結合される。反射性コーティング材135及び136は共振キャビティを形成しており、よって光ファイバ110の内部へ結合された光ビーム305は、反射性コーティング材135と反射性コーティング材136の間で多重反射される。本明細書において使用される用語「結合」とは、光源(レーザや光ファイバ)から放射(出力)された光の(結合効率に依存する)少なくとも一部分が受光用光ファイバの中に結合される「光学的結合」のことである。結合は、光源から受光用光ファイバへ直接的に(例えば突き合わせ結合)生じさせることが可能であり、また、光源と受光用光ファイバの間に設置されて光源からの光ビーム出力を位置合わせし方向付ける光学部品によって生じさせることも可能である。結合された光は受光用光ファイバの中を伝搬する。結合効率は、光源とファイバの開口数が一致した場合に最大となる。この実施態様の一実施において、結合を最適化するために光源とファイバの間にレンズ(不図示)が配置される。
【0012】
[0016] 反対側の第2の端面114から反射性コーティング材136を通って出力される光ビーム310は、狭窄な線幅と低い周波数雑音ゆらぎを有する。この実施態様の一実施において、反射性コーティング材135と反射性コーティング材136とにより形成される共振器キャビティのフィネスは1000であり、ファイバの長さは約5メートルであり、光ビーム310の線幅は20kHzである。この実施態様の別の実施において、反射性コーティング材135と反射性コーティング材136とにより形成される共振器キャビティのフィネスは200であり、ファイバの長さは約5メートルであり、光ビーム310の線幅は100kHzである。この実施態様の一実施において、反射性コーティング材135及び反射性コーティング材136は、所望の反射率を生じるようにファイバ内部に書き込まれたブラッググレーティングである。
【0013】
[0017] 光ファイバフィルタ100は双方向性であり、よって、レーザ201から放射された光ビーム300が第1の端面112又は第2の端面114の何れに結合された場合でも、反対側の端面からの光ビーム出力310は、狭窄な線幅と低い周波数雑音ゆらぎを有する。
【0014】
[0018] 光ファイバフィルタ100において、端面の切断角度はファイバ110の内部で多重反射を促進するような角度(通常はファイバのコアに対して90度)に指定されなければならず、また、ファイバの長さL、コーティング材の反射率R及びR、並びにファイバのモードフィールドの大きさ及び開口数(numerical aperture:NA)は、1)誘導ブリルアン散乱及び他の非線形効果の可能性を低減し、2)所望のパワーのスループットを可能とし、3)所望のフィルタの線幅を達成し、4)パッケージにした際の所望の曲げ半径を可能とするように、選択されなければならない。開口数NAを計算するには、光ビーム310の発散角θ及び光ファイバ110の屈折率nが用いられる。開口数NAはNA=nsinθであり、ここでnは光ファイバの外側の媒質の屈折率である。反射率R及びRはそれぞれ、表面に入射した光の強度に対する(その表面から)反射された光強度の比を表す。
【0015】
[0019] 図2は、本発明に基づく光ファイバフィルタ101一実施態様のブロック図である。光ファイバフィルタ101は、第1の端面112及び反対側の第2の端面114を有する固体コアの偏波保持ファイバ(polarization maintaining fiber:PMF)111を含む。都合の良いことに、反射性コーティング材は偏波保持ファイバ111の端部に直接形成することができ、よって偏波保持ファイバ111は高フィネスの共振器となる。第1の端面112は、反射性コーティング材131を形成する第1の複数の誘電体層(薄膜層)でコーティングされている。第2の端面は、反射性コーティング材132を形成する第2の複数の誘電体層(薄膜層)でコーティングされている。この実施態様の一実施において、反射性コーティング材131及び132は、それぞれ単一の薄膜層である。
【0016】
[0020] 図2に示されるように、マスターレーザ200から(矢印で表された)光ビーム308が放射される。この実施態様の一実施において、マスターレーザ200は、低位相雑音のリファレンス光ビーム308を出力する周波数安定化マスターレーザである。例えば、光ビーム308は、サーボ帯域幅内において数Hz/√Hzよりも実質的に小さい周波数雑音を有することが可能であるが、サーボ帯域幅よりも高い周波数領域ではより一層高い雑音レベルを有するかもしれない。マスターレーザ200から出力される光ビーム308は、スレーブレーザ120を位相ロックするのに用いられる。スレーブレーザ120は、出力端面172光ビーム307を放射する。光ビーム307は、光ファイバフィルタ101内へ結合される。結合された光ビーム305は、偏波保持ファイバ111内に形成された共振キャビティの中で反射性コーティング材131と反射性コーティング材132の間を多数回、伝搬する。反対側の第2の端面114から反射性コーティング材132を通って出力される光ビーム310は、狭窄な線幅と低い周波数雑音ゆらぎを有する。例えば、光ビーム310は、サーボ帯域幅の外側において数Hz/√Hzよりも実質的に低い周波数雑音レベルを有することが可能である。
【0017】
[0021] コーティング材131及び132は、典型的には、低損失で所望の透過率と反射率を持つように設計された誘電体積層物である。所望のコーティング材131及び132は、少量の透過率を持ち低損失で高反射率のミラーであり、その結果、入力端面171と出力端面172に入射する光は、大部分がファイバ内部へ反射されて、共振器を生じさせる。透過率が小さな係数を持つことにより、幾らかの光が、ファイバ共振器100又は101の中へ、またファイバ共振器100又は101から外へ、結合されることが可能である。図1及び2に示されるように、ファイバ110及び111の両端はコーティングされている。この実施態様の一実施において、反射性コーティング材135(131)の反射率Rは0.98であり、反射性コーティング材136(132)の反射率Rは0.97である。この実施態様の別の実施において、反射性コーティング材135(131)の反射率Rは0.98であり、反射性コーティング材136(132)の反射率Rは0.98である。この実施態様の更に別の実施において、反射性コーティング材135(131)の反射率Rは0.983であり、反射性コーティング材136(132)の反射率Rは0.983である。
【0018】
[0022] 共振器の往復の経路長2Lは、ファイバの第1の端面112からファイバ110又は111を通ってファイバのコーティングされた第2の端面114へ至り、折り返してファイバ110又は111を通ってファイバの第1の端面112へと至る経路長として、一意に定義される。この経路長は、光ファイバフィルタ100又は101の最大の安定性を規定する。光ファイバフィルタが長くなればなるほど、出力光ビームの線幅はより狭窄に(小さく)なる。高フィネス及び狭窄な線幅は、低カットオフ周波数の光ファイバフィルタ(低域通過フィルタ)をもたらすのに望ましい条件である。フィルタのカットオフ周波数が低くなればなるほど、レーザの周波数雑音はより低くなる。要約すると、フィネスが高くなればなるほど、且つ線幅が狭窄になればなるほど、折点周波数はより低くなり、また光ファイバフィルタはレーザの周波数雑音を低減するのにより有効となる。通過する周波数雑音ゆらぎに対する伝達関数は、電気的な低域通過フィルタ―その折点周波数以下では周波数を低下させないが、折点周波数をより大きく超えるにつれて、周波数を転落させる即ち減衰させるようになる―の伝達関数と同じように見える。折点周波数は、その線幅に比例する。
【0019】
[0023] 光ファイバ110(図1)及び111(図2)は、比較的に長い経路長を有し、それ故、高周波雑音のフィルタリングに際して長い光学的遅延時間をもたらす。共振する光ビームがファイバのコア内で非線形効果を励起しないことを保証するためには、光ファイバフィルタ101(100)を注意深く設計することが要求される。これらの非線形効果、例えばカー効果や誘導ブリルアン散乱(Stimulated Brillouin Scattering:SBS)は、光ファイバフィルタの安定性を低下させ、出力ビーム310の有用性を損なう。光共振器において、光ファイバフィルタ内を循環するパワーは、出力よりも遥かに強力である。もし循環パワーが光ファイバフィルタの内部で大きくなり過ぎると、誘導ブリルアン散乱(SBS)が発生する。誘導ブリルアン散乱は、光ファイバフィルタの出力を劣化させる大きな強度ゆらぎを引き起こす。光ファイバ111(110)が光共振器として機能する時に光ファイバ111(110)内での非線形効果の発生を防止するように、ファイバ長L、第1の端面112上の反射性コーティング材131(135)、第2の端面114上の反射性コーティング材132(136)、光ファイバ111(110)のモードフィールドの大きさ、及び光ファイバ111(110)の開口数NAが選択される。
【0020】
[0024] ここで非線形効果の発生を防止するよう設計された例示的な光ファイバフィルタ101の限界を説明する。光ファイバフィルタ101の例示的なファイバ111は、損失が60ppm/mでモードフィールド径が10.6μの偏波保持(polarization maintaining:PM)ファイバである。SBSが始まるパワーの閾値(Pcrit Brill)は、ファイバのコアの物理的面積A[m]、ファイバの損失α[m−1]、導波媒質の利得係数G[m/W]、及びファイバの長さL[m]に関係している。具体的には、Pcrit Brillは次の式:Pcrit Brill=21*[(α*Aeff)/(ρ*g*(1−e−(αL)))]に基づいて計算される。ここで、「*」は乗算記号を表す。損失αが0.25dB/km(〜60ppm/m)である公称10メートルの偏波保持ファイバ111に関しては、ガラス中のパワーの割合ρは1(即ち固体コアに対して)であり、SBSの利得Gは5×10−11m/W(シリカに対して)であり、ファイバのモードフィールド面積は8.8×10−11であり、SBSに関するパワー閾値Pcrit Brillは3.7Wである。
【0021】
[0025] 表1は、エアリー関数において200kHzの半値全幅(full−width−half−maximum:FWHM)ピークを持つ200kHz用光ファイバフィルタ101に用いられるPMファイバ111の長さLの関数として、フィネス、出力パワー、及び循環パワーを示す。表1はまた、反射性コーティング材の透過率(T)も示す。循環パワーの列は、共振フィルタ内を循環するパワーを単位入力に換算して列挙したものである。循環パワー(W)の列は、60mWの入力に基づく循環パワーをワットで与えるものであり、ブリルアン閾値を見積もるのに有用である。
【0022】
【表1】

【0023】
[0026] 上述された例示的な光ファイバフィルタ101に60mWのレーザビームが結合された場合、循環パワーは、表1に示されたファイバの長さ(例えば5m以下)に対してはブリルアン閾値を上回ることはない。表1に示された出力及び循環パワーは、単位入力パワーに規格化されている。ワットで表された循環パワーは、60mWの入力パワーを仮定している。
【0024】
[0027] 図3は、本発明に基づく、光ファイバフィルタ101,102,103を含む光ファイバ共振器ジャイロスコープ(resonator−fiber−optic gyroscope:RFOG)システム10の一実施態様のブロック図である。RFOGシステム10はまた、本明細書において「光ファイバ共振器ジャイロスコープ(RFOG)10」とも呼ばれる。RFOGシステム10は、高性能なジャイロスコープシステムである。各レーザの周波数雑音は、光ファイバフィルタ101,102,103を利用することにより低減されている。RFOG10は、周波数安定化マスターレーザ200、3つのスレーブレーザ(slave lasers:SL)121,122,及び123、3つのそれぞれの光ファイバフィルタ(optical−fiber filters:OFF)101,102,及び103、3つのそれぞれの強度変調器(intensity modulators:IM)320−1,320−2,及び320−3、並びにファイバ共振器コイル240を含む。ファイバ共振器コイル240は、ジャイロスコープ内でファイバリング共振キャビティを形成する光ファイバリング共振器である。ファイバ共振器コイル240はまた、本明細書において「ファイバループ240」及び「センシング用共振器240」とも呼ばれる。ファイバループ240は、その中を少なくとも2つの光ビームが対向して伝搬する光ファイバである。ファイバループ240の出力は、RFOG10の回転の速度を決定するために用いられる。この実施態様の一実施において、RFOG10には、2つだけの光ファイバフィルタ101及び102とそれぞれの2つのスレーブレーザ121及び122が存在する。この実施態様の別の実施において、マスターレーザ200並びに3つのスレーブレーザ(SL)121,122,及び123は、半導体レーザダイオードである。
【0025】
[0028] 周波数安定化マスターレーザ200からリファレンス光ビーム308が放射される。リファレンス光ビーム308は、低位相雑音(例えば、1Hz/√Hz以下)を有する。ビーム308は、マスター及びスレーブレーザ間に無線周波数(radio frequency:RF)のビート信号を発生させるのに用いられ、このビート信号は、位相同期回路(phase locked loop:PLL)250(本明細書において「マルチレーザ周波数制御回路250」とも呼ばれる)が、スレーブレーザ121,122,及び123を共振トラッキングサーボ251により決定される周波数間隔でマスターレーザ200に同期させるのに用いられる。これらのビート信号は、マルチレーザ周波数制御回路250により用いられ、マルチレーザ周波数制御回路250は、共振トラッキングサーボ251からのフィードバックを受け取って、それぞれのスレーブレーザ121,122,及び123の光ビームの周波数を精密に制御する。
【0026】
[0029] スレーブレーザ121,122,及び123は、図2に示されたスレーブレーザ120と同様の構成及び機能を有する。図3に示されるように、スレーブレーザ121は、第1の周波数f=f+Δf−FSRの光を放射するようにリファレンス光ビーム308−1に同期される。ここで、fはマスターレーザ200の中心周波数であり、Δfは中心周波数fからの周波数オフセットであり、FSRはセンシング用共振器240の自由スペクトル領域である。自由スペクトル領域(free spectral range:FSR)は、センシング用共振器240の隣り合った共振ピーク間の周波数間隔である。スレーブレーザ122は、第2の周波数f=f+Δfの光を放射するようにリファレンス光ビーム308−2に同期される。スレーブレーザ123は、第3の周波数f=f+Δf+FSRの光を放射するようにリファレンス光ビーム308−3に同期される。
【0027】
[0030] 光ファイバフィルタ101,102,及び103は、スレーブレーザ121,122,及び123から放射されたそれぞれの出力光ビーム307−1,307−2,及び307−3がそれぞれ光ファイバフィルタ101,102,及び103に結合されるように配置される。光ファイバフィルタ101,102,及び103は、それぞれ低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1,310−2,及び310−3を出力する。低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1,310−2,及び310−3は、それぞれ強度変調器320−1,320−2,及び320−3に結合される。当該技術分野において知られているように、光ビームの周波数雑音が低減されるにつれて、その光ビームのコヒーレンスは向上する。
【0028】
[0031] ファイバ共振器コイル240は、241において概略表される第1のコイル端面及び242において概略表される第2のコイル端面を有する光ファイバである。光ファイバフィルタ101及び103から出力された低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1及び310−3は、それぞれ強度変調器320−1及び320−3を介してファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に結合される。光ファイバフィルタ102から出力された低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2は、強度変調器320−2を介してファイバ共振器コイル240の第2のコイル端面242に結合される。
【0029】
[0032] 光ファイバフィルタ101,102,及び103はそれぞれ、第1の端面112及び反対側の第2の端面114を有する光ファイバ111を含む。第1の端面112及び第2の端面114は、それぞれ反射性コーティング材131及び132でコーティングされている。この実施態様の一実施において、光ファイバフィルタ101,102,及び103は、構成及び機能において、図1に示された光ファイバフィルタ100と同様である。
【0030】
[0033] 第1のスレーブレーザ121から放射された光ビーム307−1は、第1の光ファイバフィルタ101の第1の端面112に結合される。低雑音でコヒーレントな第1の光ビーム310−1は、第1の光ファイバフィルタ101の第2の端面114から出力され、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に(強度変調器320−1並びにビームスプリッタ271,272(1−2)及びレンズ270−1を含む光学部品を介して)結合される。当業者には理解できるように、光学部品による結合の他の構成も可能である。第1のコイル端面241においてファイバ共振器コイル240内へ結合された光ビーム310−1の一部分は、ファイバ共振器コイル240の中を反時計回り(counter−clockwise:CCW)方向に伝搬する。
【0031】
[0034] 第2のスレーブレーザ122から放射された光ビーム307−2は、第2の光ファイバフィルタ102の第1の端面112に結合される。低雑音でコヒーレントな第2の光ビーム310−2は、第2の光ファイバフィルタ102の第2の端面114から出力され、ファイバ共振器コイル240の第2のコイル端面242に(強度変調器320−2並びにビームスプリッタ272(3−4)及びレンズ270−2を含む光学部品を介して)結合される。第2のコイル端面242においてファイバ共振器コイル240内へ結合された光ビーム310−2の一部分は、ファイバ共振器コイル240の中を時計回り(clockwise:CW)方向に伝搬する。
【0032】
[0035] 第3のスレーブレーザ123から放射された光ビーム307−3は、第3の光ファイバフィルタ103の第1の端面112に結合される。低雑音でコヒーレントな第3の光ビーム310−3は、第3の光ファイバフィルタ103の第2の端面114から出力され、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に(強度変調器320−3並びにビームスプリッタ272(1−2)及びレンズ270−1を含む光学部品を介して)結合される。第1のコイル端面241においてファイバ共振器コイル240内へ結合された光ビーム310−3の一部分は、ファイバ共振器コイル240の中を反時計回り(CCW)方向に伝搬する。この実施態様の一実施において、レンズ270(1−2)はボールレンズである。
【0033】
[0036] ファイバ共振器コイル240内へ結合された光は、レンズ270−1及び270−2並びにビームスプリッタ272−2,272−5,及び272−4を通過してファイバ共振器コイル240の内部を多数回、伝搬する。時計回り(CW)方向に伝搬する光の一部分(例えば1乃至20%)は、ビームスプリッタ272−5によって検出器(PD1CW)261内へ反射される。反時計回り(CCW)方向に伝搬する光の一部分(例えば1乃至20%)は、ビームスプリッタ272−5によって検出器(PD2CCW)262内へ反射される。検出器261及び262において検出された光パワーの量を表す情報は、共振トラッキングサーボ251及びDCパワーサーボ254へ信号として送られる。共振トラッキングサーボ251は、マルチレーザ周波数制御回路250へ信号を送り、マルチレーザ周波数制御回路250は、スレーブレーザ121,122,及び123の光ビームの周波数を、必要に応じてセンシング用共振器240の共振ピークへ調整する。DCパワーサーボ254は、光ファイバフィルタ102から出力された光ビーム310−2のパワーを強度変調器(IM)320−2によって調整するために、加算回路(Σ)281へ信号を送る。この調整は、CW及びCCW方向におけるパワーのバランスを取って光カー効果により誘起されるキャビティの長さの差を最小化するために、実施される。
【0034】
[0037] 図3に示された例示的なRFOG10はまた、ビームスプリッタ258を介して強度変調器320−3からの光ビーム310−3の一部分(例えば1乃至10%)を受ける、相対強度雑音(relative intensity noise:RIN)検出器(PD3)262を含む。RIN検出器262は、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に入力されることになる光ビーム310−3の強度雑音を(光ビーム310−1と混合される前に)計測する。RIN検出器262からのRIN信号は、RINサーボ電子システム252へフィードバック信号を与える。RINサーボ電子システム252から強度変調器320−3へ送られた電子信号は、強度変調器320−3を通過する入力光ビーム310−3の全光強度を調整して、RINに起因する望ましくない強度のゆらぎが除去又は実質的に低減される。このようにして、RINサーボループは、強度変調器320−3を通過した入力光ビーム310−3の強度雑音、又は望まれない強度若しくは振幅変調を低減するのに用いられる。
【0035】
[0038] 図3に示された例示的なRFOG10はまた、強度変調器320−1からの光ビーム310−1の一部分(例えば1乃至10%)を受ける、相対強度雑音(relative intensity noise:RIN)検出器(PD4)257を含む。RIN検出器257は、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に入力されることになる光ビーム310−1の強度雑音を(ビーム310−3と混合される前に)計測する。RIN検出器257からのRIN信号は、RINサーボ電子システム254へフィードバック信号を与える。RINサーボ電子システム254から強度変調器320−1へ送られた電子信号は、強度変調器320−1を通過する入力光ビーム310−1の全光強度を調整して、RINに起因する望ましくない強度のゆらぎが除去又は実質的に低減される。このようにして、RINサーボループは、強度変調器320−1を通過した入力光ビーム310−1の強度雑音、又は望まれない強度若しくは振幅変調を低減するのに用いられる。
【0036】
[0039] 図3に示された例示的なRFOG10はまた、強度変調器320−2からの光ビーム310−2の一部分(例えば1乃至10%)を受ける、RIN検出器(PD0)260を含む。RIN検出器260からのRIN信号は、RINサーボ電子システム253へフィードバック信号を与える。RINサーボ電子システム253から強度変調器320−2へ送られた電子信号は、強度変調器320−2を通過する入力光ビーム310−2の全光強度を調整して、RINに起因する望ましくない強度のゆらぎが除去又は実質的に低減される。このようにして、RINサーボループは、強度変調器320−2を通過した入力光ビーム310−2の強度雑音、又は望まれない強度若しくは振幅変調を低減するのに用いられる。
【0037】
[0040] 図3に示された例示的なRFOG10はまた、シリコン光学ベンチ(silicon optical bench:SiOB)150を含む。シリコン光学ベンチ150は、第1のファイバコイル端面241及び第2のコイル端面242を互いに向かい合わせて光学的に位置合わせするようにシリコン光学ベンチ150の表面にエッチングされた、溝295及び296を含む。シリコン光学ベンチ150はまた、光ビーム310−1,310−3をファイバ端面241へ、またビーム310−2をファイバ端面242へ位置合わせし方向付けるのに用いられる光学部品(例えば、レンズ、ビームスプリッタ、及び/又はミラー)を配置するための設備(例えば、溝、位置合わせ構造、又はトレンチ)を含む。ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241は、シリコン光学ベンチ150の第1の溝295に配置される。ファイバ共振器コイル240の第2のコイル端面242は、シリコン光学ベンチ150の第2の溝296に配置される。溝295及び296は、第1のコイル端面241及び第2のコイル端面242が溝295及び296に配置された時に、ファイバ共振器コイル240の光ファイバのコアの中心が正確に光ビーム310(1−3)に位置合わせされるような深さまで、エッチングされている。同様に、溝295及び296は、第1のコイル端面241と第2のコイル端面242のコアが互いに向かい合って位置合わせされてファイバリング共振キャビティを作るような深さまで、エッチングされている。
【0038】
[0041] 図4は、本発明に基づく、ピグテール付き強度変調器320−1(図3)に結合された光ファイバフィルタ101の一実施態様のブロック図である。この実施態様において、端面505を持つファイバピグテール503は、入力ビーム310−1を強度変調器320−1に結合するように結合されている。ファイバピグテール503の端面505は、シリコン基板151の溝152に配置される。第1のボールレンズ161及び第2のボールレンズ162は、シリコン基板151のエッチング領域155に配置される。光ファイバフィルタ101の出力端は、シリコン光学ベンチ151の溝153(本明細書において第3の溝153とも呼ばれる)に配置される。2つのボールレンズ161及び162は、光ファイバフィルタ101から出力された光ビーム310−1を強度変調器320−1のファイバピグテール503の端面505内へ結合する。
【0039】
[0042] 図4に示されるように、第1のボールレンズ161及び第2のボールレンズ162は、それらの間を伝搬する低雑音でコヒーレントな光ビームをコリメートするように配置される。この例示的な位置合わせにおいて、光ファイバフィルタ101から第1のボールレンズ161へ結合された光ビーム310−1は、コリメートされた光ビーム310−1’として第1のボールレンズ161から出射する。コリメートされた光ビーム310−1’は、第2のボールレンズ162へ入射する。第2のボールレンズ162は、この光を光ビーム310−1”として強度変調器320−1のファイバピグテール503の端面505上に集光する。この実施態様の一実施において、光学部品(例えばビームスプリッタ272(1−2))がコリメートされた光ビーム310−1’の中に配置されて、第1のボールレンズ161と第2のボールレンズ162の間でこの光310−1’を方向付ける。そのような実施態様において、この光を方向付ける部品を固定するためのトレンチ(シリコン光学ベンチ151では不図示)が存在する。同じようにして、強度変調器320−1の出力は、シリコン光学ベンチ150(図3)上に配置されたビームスプリッタ271,272(1−2)及びレンズ270−1を介して入力ビーム310−1を共振器のファイバ端面241内へ結合するように強度変調器320−1の出力側ファイバピグテール(不図示)を溝297(図3)の中に設置することによって、シリコン光学ベンチ150内へ結合されることができる。
【0040】
[0043] 光ファイバフィルタ102及び103からそれぞれ出力された光ビーム310−2及び310−3を、シリコン基板(不図示)を介してそれぞれ強度変調器320−2及び320−3のファイバピグテールに結合するために、同様の配置が可能である。例えば、第3のボールレンズ(不図示)及び第4のボールレンズ(不図示)が、それらの間を伝搬する低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2をコリメートするように配置されることができる。
【0041】
[0044] この実施態様の別の実施において、第1の光ファイバフィルタ101の第2の端面114は、シリコン光学ベンチ150の第3の溝297に配置され、第2の光ファイバフィルタ102の第2の端面114は、シリコン光学ベンチ150の第4の溝298に配置され、第3の光ファイバフィルタ103の第2の端面114は、シリコン光学ベンチ150の第5の溝299に配置される。この実施態様の一実施において、光ファイバフィルタ101,102,及び103からの光ビーム出力をそれぞれ強度変調器320−1,320−2,及び320−3に位置合わせし、強度変調器320−1,320−2,及び320−3の出力をファイバ共振器コイル240に位置合わせするために、集積化されたシリコン光学ベンチが用いられる。
【0042】
[0045] この実施態様の更に別の実施において、1つの光学的に透明なボールレンズ161のみが、シリコン光学ベンチ150のエッチング領域に配置される。この実施態様の別の実施において、第1のボールレンズ161及び第2のボールレンズ162は、シリコン光学ベンチ150及び/又は151の2つの離れたエッチング領域に配置される。このようにして、少なくとも1つの光学的に透明なボールレンズ161が、光ファイバフィルタ101,102,及び/又は103のうち少なくとも1つの第2の端面114からそれぞれ出力された光ビーム310−1,310−2,及び/又は310−3を、ファイバ共振器コイル240の少なくとも1つの各コイル端面241,242,又は243にそれぞれ結合する。
【0043】
[0046] 上述したように、シリコン光学ベンチ150及び/又は151は、光学素子(例えば、第1のボールレンズ161、第2のボールレンズ162、ビームスプリッタ271,272(1−5)、及び/又はレンズ270(1−2))を配置するための溝(例えば、溝297−299,152,152、及び/又はエッチング領域155)を含み、これら光学素子は、少なくとも2つの光ファイバフィルタ(例えば、101−103)から出力された少なくとも2つの低雑音でコヒーレントな光ビーム(例えば、310(1−3))を第1のコイル端面241及び第2のコイル端面242並びに第1のコイル端面241と第2のコイル端面242の間に位置合わせし方向付ける。シリコン光学ベンチ150上にファイバ共振器コイル240を収容することで、RFOG10の低コストの実施がもたらされる。
【0044】
[0047] 図5は、本発明に基づく光ファイバ共振器ジャイロスコープシステム10において用いるための、少なくとも1つの低雑音でコヒーレントな光ビームを発生させる方法500の一実施態様のフロー図である。他の結合配置により構成されるRFOGが用いられることが可能であることは理解されるべきであるが、この方法500は、図2及び3を参照して説明される。
【0045】
[0048] ブロック502において、少なくとも1つのスレーブレーザ121を制御するために、マスターレーザ200から放射された光ビーム308が用いられる。この少なくとも1つのスレーブレーザ121は、マスターレーザ200に同期される。3つのスレーブレーザ121,122,及び123は、共振トラッキングサーボ251によって決定される周波数間隔を空けてマスターレーザ200に同期される。図3に示されるように、第1のスレーブレーザ121は第1の周波数f=f+Δf−FSRに同期され、第2のスレーブレーザ122は第2の周波数f=f+Δfに同期され、第3のスレーブレーザ123は第3の周波数f=f+Δf+FSRに同期される。
【0046】
[0049] ブロック504において、少なくとも1つのスレーブレーザ121から放射された光ビーム307が、それぞれ少なくとも1つの光ファイバフィルタ101に結合される。具体的には、少なくとも1つのスレーブレーザ120から出力された光ビーム307は、それぞれ少なくとも1つの光ファイバフィルタ101の第1の端面112に結合される。
【0047】
[0050] 図3に示されるように、第1のスレーブレーザ121からの(第1の周波数f=f+Δf−FSRの)出力307−1は第1の光ファイバフィルタ101の第1の端面112に結合され、第2のスレーブレーザ122からの(第2の周波数f=f+Δfの)出力307−2は第2の光ファイバフィルタ102の第1の端面112に結合され、第3のスレーブレーザ123からの(第3の周波数f=f+Δf+FSRの)出力307−3は第3の光ファイバフィルタ103の第1の端面112に結合される。
【0048】
[0051] ブロック506において、少なくとも1つの低雑音でコヒーレントな光ビーム310がそれぞれ少なくとも1つの光ファイバフィルタ101から出力される。図3に示されるように、低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1が第1の光ファイバフィルタ101の第2の端面114から出力され、低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2が第2の光ファイバフィルタ102の第2の端面114から出力され、低雑音でコヒーレントな光ビーム310−3が第3の光ファイバフィルタ103の第2の端面114から出力される。
【0049】
[0052] ブロック508において、少なくとも1つの光ファイバフィルタ101の第2の端面114から出力された、この少なくとも1つの低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1は、回転速度に対して敏感な共振周波数を有するファイバ共振器コイル240の2つのコイル端面(例えば、第1のコイル端面241及び第2のコイル端面242)のうち少なくとも1つに結合される。
【0050】
[0053] 図3に示されるように、第1の光ファイバフィルタ101の第2の端面114から出力された低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1は、強度変調器320−1及びこの低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1の出力を第1のコイル端面241に位置合わせし方向付けるように配置された他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に結合される。
【0051】
[0054] 同様に、図3は、第2の光ファイバフィルタ102の第2の端面114から出力された低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2が、強度変調器320−2及びこの低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2の出力を第2のコイル端面242に位置合わせし方向付けるように配置された他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第2のコイル端面242に結合されることを示す。
【0052】
[0055] 同様に、図3は、第3の光ファイバフィルタ103の第2の端面114から出力された低雑音でコヒーレントな光ビーム310−3が、強度変調器320−3及びこの低雑音でコヒーレントな光ビーム310−3の出力を第1のコイル端面241に位置合わせし方向付けるように配置された他の光学素子を介して、ファイバ共振器コイル240の第1のコイル端面241に結合されることを示す。この実施態様の一実施において、RFOGシステム10には第3のスレーブレーザ123及び光ファイバフィルタ103は存在しない。
【0053】
[0056] この実施態様の一実施において、第1のコイル端面241はシリコン光学ベンチ150の第1の溝295に配置され、第2のコイル端面242はシリコン光学ベンチ150の第2の溝296に配置される。
【0054】
[0057] この実施態様の別の実施において、第1の低雑音でコヒーレントな光ビーム310−1は、シリコン光学ベンチ150の第1のエッチング領域155に配置された少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150の第1の溝295に配置された第1のコイル端面241に結合され、第2の低雑音でコヒーレントな光ビーム310−2は、シリコン光学ベンチ150の第2のエッチング領域155に配置された少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150の第2の溝296に配置された第2のコイル端面242に結合され、第3の低雑音でコヒーレントな光ビーム310−3は、シリコン光学ベンチ150の第3のエッチング領域299に配置された少なくとも1つのボールレンズ161を介して、シリコン光学ベンチ150の第1の溝295に配置された第1のコイル端面241に結合される。この後者の構成のいくつかの実施態様において、第3の低雑音でコヒーレントな光ビーム310−3及び第3のエッチング領域299に配置されたボールレンズ161は存在しない。
【0055】
[0058] この実施態様の更に別の実施において、強度変調の機能は、光ファイバフィルタ101,102,及び103上で直接的に実施される。この後者の事例の実施態様において、第1の光ファイバフィルタ101の第2の端面114はシリコン光学ベンチ150の第3の溝297に配置され、第2の光ファイバフィルタ102の第2の端面114はシリコン光学ベンチ150の第4の溝298に配置され、第3の光ファイバフィルタ103の第2の端面114はシリコン光学ベンチ150の第5の溝299に配置される。この後者の構成のいくつかの実施態様において、第5の溝299に配置される第3の光ファイバフィルタ103は存在しない。
【0056】
[0059] このようにして、安価なRFOGシステムは、低コストのレーザダイオードを用い、レーザダイオードの位相雑音を低減するために(光ファイバフィルタの使用によって)光フィルタリングを改善する。それ故、低コストのRFOGシステムは改善された性能を有する。この実施態様の一実施において、光ファイバフィルタ100又は101は、1つのレーザ及び周波数シフタを含むシステムにおいて用いられる。
【0057】
[0060] 後述の特許請求の範囲によって規定される発明の多数の実施態様が説明された。それにもかかわらず、説明された実施態様に対して、特許請求の範囲に記載された発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変形をすることが可能であることは理解されるであろう。したがって、他の実施態様は、後述の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低位相雑音を有するリファレンス光ビームを放射する周波数安定化マスターレーザ(200)と、
前記リファレンス光ビームがそれぞれを制御するように配置された少なくとも2つのスレーブレーザ(121)と、
前記少なくとも2つのスレーブレーザから放射される光ビーム(307−1)がそれぞれに結合されるように配置され、それぞれ低雑音でコヒーレントな光ビーム(310−1)を出力する少なくとも2つの光ファイバフィルタ(101)と、
第1のコイル端面(241)及び第2のコイル端面(242)を有するファイバ共振器コイル(240)と、
を含み、
前記少なくとも2つの光ファイバフィルタのうちの1つから出力される光ビーム(310−1)が前記ファイバ共振器コイルの前記第1のコイル端面に結合され、
前記少なくとも2つの光ファイバフィルタのうちの別の1つから出力される光ビーム(310−2)が前記ファイバ共振器コイルの前記第2のコイル端面に結合される、
光ファイバ共振器ジャイロスコープ(10)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの光ファイバフィルタはそれぞれ第1の端面(112)及び反対側の第2の端面(114)を有する光ファイバ(110)を含み、前記第1の端面と前記第2の端面はファイバ長(L)を規定し、前記第1の端面及び前記第2の端面は反射性コーティング材(135)でコーティングされ、前記ファイバ長、前記第1の端面(112)上の前記反射性コーティング材(135)、前記第2の端面(114)上の前記反射性コーティング材(136)、前記光ファイバのモードフィールドの大きさ、及び前記光ファイバの開口数は前記少なくとも2つの光ファイバフィルタの前記光ファイバ内での非線形効果の発生を防止するように選択される、請求項1に記載の光ファイバ共振器ジャイロスコープ(10)。
【請求項3】
第1のスレーブレーザ(121)及び第2のスレーブレーザ(122)を周波数安定化マスターレーザ(200)に位相同期させるステップと、
前記第1のスレーブレーザから放射される光ビーム(307−1)を第1の光ファイバフィルタ(101)の第1の端面(112)に結合するステップであって、前記第1の光ファイバフィルタの第2の端面(114)から第1の低雑音でコヒーレントな光ビーム(310−1)が出力されるステップと、
前記第2のスレーブレーザ(122)から放射される光ビーム(307−2)を第2の光ファイバフィルタ(102)の第1の端面に結合するステップであって、前記第2の光ファイバフィルタの第2の端面から第2の低雑音でコヒーレントな光ビーム(310−2)が出力されるステップと、
前記第1の低雑音でコヒーレントな光ビームをファイバ共振器コイル(240)の第1のコイル端面(241)に結合するステップと、
前記第2の低雑音でコヒーレントな光ビームを前記ファイバ共振器コイルの第2のコイル端面(242)に結合するステップと、
を含む、光ファイバ共振器ジャイロスコープ(10)において用いるための少なくとも1つの低雑音でコヒーレントな光ビーム(310−1)を発生させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−251992(P2012−251992A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−76927(P2012−76927)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】