説明

光ファイバ増幅器

少なくとも2つの増幅光ファイバセクション24、56、84、94と、増幅光ファイバセクション24、56、84、94に光ポンピングを行うためのポンピング手段とを含む光増幅器50、66を説明する。2つ以上の増幅光ファイバセクション24、56、84、94を使用中に実質的に直線に保持する光ファイバ支持手段、例えば、基板におけるチャネルまたはチャネル群20、26、42、44、54も設けられる。また、光ファイバ支持手段は、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションの間で光を結合するための手段も含む。少なくとも1つの増幅光ファイバ24、56、84、94は、エルビウムドープファイバ増幅器EDFAをもたらすエルビウムドープコアを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ増幅器に関し、より詳細には、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバベースのネットワークは、単一モード光ファイバおよびマルチモード光ファイバを使用する多くの形態で知られており、実施されてきた。マルチモード光ファイバベースのシステムは、通常、ファイバ内のモード分散効果に起因して限られた帯域幅を有する。モード分散効果は、放物線状屈折率分布型(parabolically graded index)マルチモードファイバなどを使用して、抑えるまたは無くすことができるが、そのようなファイバは、製造するのが難しく、高価である。このため、マルチモード光ファイバは、通常、低速ネットワークアプリケーションにおいてだけ使用される。
【0003】
モード分散効果は、本質的に、単一モード光ファイバにおいては影響が小さく、このため、そのようなファイバが、高帯域幅データ伝送システムにおいて使用される。しかし、単一モード伝播を維持するのに要求される小さいコア径(通常、10μm未満)により、ファイバに結合することができる光パワーが制限される。このため、データが、いくつかの長い長さの単一モード光ファイバを伝送される場合、光増幅器が、しばしば、必要である。
【0004】
単一モード光ファイバシステムにおいて使用するのに適した1つの知られているタイプの光増幅器が、いわゆるエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)である。通常のEDFAは、エルビウムをドープしたガラスから形成されたコア領域を有する、単一モード光ファイバを含む。信号ビーム(例えば、およそ1550nmの波長)およびポンプビーム(例えば、980nmまたは1480nmの波長)が、ドープ光ファイバに結合される。ポンプビームは、エルビウムドープ光ファイバ内で信号ビームの増幅を生じさせる。
【0005】
エルビウムをドープしたガラスの比較的低い光利得は、通常のEDFAにおいて、長いメートル(例えば、数十メートルまたは数百メートル)の単一モード光ファイバが要求されることを意味する。このため、知られているEDFAは、物理的に大きく、極めて高価である。さらに、小さいコア径は、ファイバ内の非線形効果、およびファイバコアおよび/またはファイバの端面に対して放射によって生じさせられる損傷に起因して、知られているEDFAの最大光パワー出力に限度を課す。
【0006】
US6611372が、単一のリン酸塩ガラス光ファイバが、基板におけるV溝チャネルの中に保持される光増幅器構成を記載している。US6611372で記載される光ファイバは、通常、長さ20cm未満であり、50μm〜100μmの範囲内のコア径を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、知られているファイバ増幅器の前述した不利点の少なくともいくつかを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、光増幅器が、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションと、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションに光ポンピングを行うためのポンピング手段と、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションを使用中に実質的に直線に保持するための光ファイバ支持手段とを含み、光ファイバ支持手段は、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションの間で光を結合する手段をさらに含む。
【0009】
こうして、複数の増幅光ファイバセクションが、ファイバセクションを実質的に直線に保持する光ファイバ支持手段によって支持された光増幅器が提供される。こうして、光ファイバ支持手段は、光ファイバの実質的な屈曲を防止することにより、モード変換効果を最小限に抑える。つまり、光ファイバ支持手段は、増幅光ファイバセクションの基本モードに最初に結合された光パワーが、ファイバを伝播するにつれ、より高次のモードに結合されないことを確実にする。
【0010】
本発明の光増幅器は、2つ以上の増幅光ファイバセクションまたは増幅光ファイバ長を使用して形成される。また、光ファイバ支持手段は、増幅光ファイバ長の間で光を結合する手段も含み、例えば、光ファイバ支持手段は、以下により詳細に説明するタイプの中空コア光導波路または自由空間光構成を含むことが可能である。このようにして、増幅されるべきビームのための長い有効光路が、実質的に直線に保持される光ファイバセクションだけを使用して、コンパクトな空間内で設けられることが可能である。このため、本発明は、装置が形成される増幅光ファイバを曲げる必要なしに、US6611372において記載される構成よりもコンパクトな光増幅器構成を提供する。増幅光ファイバの屈曲を防止することは、以上に概要を述べたとおり、主に基本モードでファイバに光を効率的に伝播させることが所望される場合、特に有利である。
【0011】
「光」という用語は、本明細書では、遠紫外線から遠赤外線までの波長を有する任意の電磁放射を指すのに使用されることに留意されたい。さらに、本明細書で使用される「増幅光ファイバ」という用語は、適切な第2の波長の放射で光ポンピングされると、第1の波長の入力ビームを増幅するように構成された(例えば、エルビウムなどの希土類金属をコアにドープすることにより)光ファイバを意味する。
【0012】
有利には、光ファイバ支持手段は、少なくとも2つのチャネルを含む基板を含み、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションそれぞれが、基板のチャネル内に配置される。つまり、光ファイバ支持手段は、増幅光ファイバセクションを受けるために内部に、または上部に少なくとも2つのチャネルが形成されている基板を含む。
【0013】
基板にチャネルを設けることにより、光ファイバセクションを実質的に直線に保持する簡便な方法が提供される。チャネルは、好ましくは、光ファイバにスナグフィットをもたらして、ファイバが、挿入後に曲がるのが防止されることを確実にする寸法にされる。代替として、ファイバは、チャネル内に部分的に挿入されて、要求されるファイバ直線性(straightness)をもたらし、適切な場所に固定されてもよい。光ファイバは、チャネル内に挿入される前に、クラッドまでむき取られてもよく、あるいはチャネルが、ファイバに加えて、任意の関連する外側被覆層を受けるように構成されてもよい。チャネルは、有利には、円形または長方形(正方形を含む)の断面を有することが可能であり、あるいはV溝構造を有していてもよい。ファイバを機械的損傷から保護し、ファイバが、基板内に留められていることを確実にするため、基板に別個の蓋部分を取り付ける(例えば、接着剤でつける)ことができる。また、スプリングクリップ、マイクログリッパ(micro−gripper)、またはその他の機械的な位置付け手段(例えば、MEMSアクチュエータ)も、光ファイバを適切な場所に固定するように備えられることが可能である。
【0014】
また、基板は、冷却チャネル、ベント、および/またはアパーチャも含むことが可能であり、これらを通って、かつ/またはこれらの上を冷却用の流体(例えば、液体またはガス)が通ることが可能である。このように基板を冷却することにより、高パワーポンプビームを使用して高パワー光信号が増幅される際に、熱の蓄積が防止される。
【0015】
有利には、基板の複数のチャネルは、互いに隣接して、実質的に並行に形成されて、折り返し構成を形成する。折り返し構成の使用により、増幅器の物理的サイズが大幅に縮小されることが可能になる。
【0016】
光損失を減らし、基本モード伝播が維持されることを確実にするため、有利には、中空コア光導波路が基板に形成されて、複数の増幅光ファイバそれぞれの間の放射を誘導する。中空コア光導波路は、長方形(正方形を含む)の断面を有することが可能である。正方形、またはほぼ正方形の断面の中空コア光導波路は、損失が、実質的に偏光に応じない導波路をもたらし、光の偏光状態が未知である、または変化している場合に好ましい。導波路を、幅より大きい深さを有するような寸法にすることは、偏光に応じない損失を増加させるが、導波路を伝播する光の偏光状態が知られている場合、有利である可能性がある。長方形の断面の導波路が好都合であるが、多くの代替の導波路形状も使用することができる。例えば、円形、楕円形、またはV形の導波路を設けることもできる。WO 03/065091において記載されるとおり、中空コア光導波路は、内表面上に反射コーティングを有することも可能である。
【0017】
中空コア光導波路構造が作成される際、中空コアは空気で満たされる可能性が高いことに留意すべきである。しかし、これは全く、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。中空コアは、任意の流体(例えば、液体、または窒素のような不活性ガス)を含むこと、または真空であることも可能である。中空コアという用語は、単に、固体物質が全く存在していないコアを意味する。
【0018】
中空コア導波路の形成が好ましいが、光は、代替として、自由空間内で複数の増幅光ファイバそれぞれの間で結合されることも可能である。回折効果を最小限に抑え、これにより、様々な長さの増幅光ファイバの間における光結合効率を最大化する、適切なレンズまたは成形された反射鏡も備えられることが可能である。
【0019】
さらに、有利には、少なくとも1つの整列スロットが、基板に形成されることが可能であり、少なくとも1つ整列スロットは、光学構成部品を受けるように構成される。例えば、基板は、所望の光学構成を実施するのに要求される、鏡、レーザ、フィルタ、光アイソレータ、レンズ、その他を担持することが可能である。整列スロットは、適切に、構成部品を受け入れるような形状をしており、このため、必要に応じて、任意の関連する中空コア光導波路よりも深く/浅く、かつ/または幅広い/狭いことが可能である。スプリングクリップまたはマイクログリッパを使用して、構成部品を適切な場所に固定することができる。
【0020】
基板に形成された各整列スロットは、そのスロットが受ける光学構成部品を整列させるのに十分な精度で作られることが可能である。このため、光学構成部品をそのような整列スロットに入れることは、光学構成部品を本来的に整列させ、構成部品整列工程または構成部品調整工程は、要求されない。つまり、所望される整列が達せられるまで、構成部品の位置が調整される(例えば、手で)能動的な整列工程を要する代わりに、光学構成部品の受動的な整列がもたらされる。中空コア光導波路を使用して構成部品を結合する光回路の形成は、参照により内容が本明細書に組み込まれている、WO 03/065091でより詳細に記載されている。
【0021】
有利には、レンズが、少なくとも1つの整列スロットに留められる、もしくは保持される。以下に記載するとおり、単一のレンズを使用して、異なる開口数を有する光ファイバの間で光フィールドのモード整合が行われることが可能である。
【0022】
代替として、またはさらに、一部の光学構成部品は、基板から一体構造で(monolithically)形成されることも可能である。EDFA構成の中に有利に含められることが可能な様々な光学構成部品および光学レイアウトが、当業者には知られていよう。
【0023】
また、基板は、入力または出力の単一モード光ファイバの終端を受けるための少なくとも1つの光ファイバ終端取り付け手段も含むことが可能である。取り付け手段は、基板に形成され、中実コア光ファイバを適切な場所に保持するように構成され、増幅器に光入力/出力が行われることを可能にする溝を含むことが可能である。また、段階状(stepped)光ファイバ整列スロットも設けられて、バッファ層とクラッドの両方を保持することが可能である。また、スプリングクリップ、マイクログリッパ、またはその他の機械的位置付け手段も備えられて、光ファイバを適切な場所に固定することが可能である。
【0024】
有利には、光ファイバ保持チャネルおよび/または光導波路は、半導体材料を含む基板に形成されることが可能である。シリコンなどの半導体基板が、超微細加工技術を使用して、高い精度を有する中空コア導波路を設けるように都合よくエッチングされることが可能である。基板は、有利には、多層ウェーハ、例えば、SiGe、シリコンオンインシュレータ(silicon−on−insulator)(SOI)、シリコンオングラス(silicon−on−glass)、またはGaAsオンシリコンを含むことが可能である。超微細加工技術には、通常、パターンを画定するリソグラフィ工程に続き、基板材料上の、または基板材料内の1つまたは複数の層に、そのパターンを移すエッチング工程を含むことが、当業者には認識されよう。リソグラフィ工程は、フォトリソグラフィ、X線リソグラフィ、または電子ビームリソグラフィを含むことが可能である。エッチング工程は、物理的手段(リフトオフミリングまたはイオンビームミリングなどの)、化学エッチング、またはドライプラズマエッチングを使用して実行されることが可能である。有利には、光回路は、深堀り(deep)反応性イオンエッチング(深堀りドライエッチングまたは深堀りシリコンエッチングとも呼ばれる)によって形成される。また、このタイプの超微細加工技術は、スパッタリング、CVD、および電気めっきなどの様々な層堆積技術と両立できる。
【0025】
有利には、半導体材料を含む基板が使用されることが可能であるが、装置は、様々な代替の基板上に形成されることも可能である。例えば、水晶基板、シリカ基板、またはガラス基板が、使用されることも可能である。好都合には、本発明で使用される基板には、半導体処理技術が容易に適用されることが可能である。半導体処理技術は、本質的に、半導体基板に対して使用されるために開発されているが、基板の半導体特性が要求されない一部の非半導体基板にも、有利に適用されることが可能であることに留意されたい。WO 03/065091で記載されるとおり、エンボス加工された基板または成形プラスチック基板も使用されることが可能である。
【0026】
代替として、基板は、有利には、金属を含むことが可能である。金属基板は、高い熱伝導率を有し、放散される必要がある相当な量の熱を生じさせる構成部品(例えば、レーザダイオード)が使用される場合に、有利である可能性がある。また、被削性ガラスセラミック基板(例えば、アルミナ)も、有利に使用されることが可能である。いくつかの知られているミリング技術、例えば、コンピュータによって制御されたミリング、レーザ加工、または放電加工を使用して、そのような基板に、要求されるチャネルを形成してもよい。
【0027】
基板を含む光ファイバ支持手段が有利であるが、様々な代替の光ファイバ支持手段が、本発明に従って提供されることが可能である。例えば、細長い支持管またはファイバテンション(tensioning)手段が提供されて、ファイバを実質的に直線に保持するようにファイバに十分な力を作用させることも可能である。
【0028】
有利には、ポンプビームは、直列の複数の増幅光ファイバの中を通るように送られる。代替として、ポンプビームは、好都合には、各増幅光ファイバ(すなわち、並列に設けられた)に別々に向かわされてもよい。直列ポンピングは、実施するのがそれほど複雑でないという利点を有するが、ポンプビームの光パワーは、光ファイバの中を通るにつれて小さくなる。並列ポンピング構成は、実施するのがより複雑であるが、光ファイバの中で最適なポンピングパワーレベルが維持されることを可能にし、このため、増幅器の全体的な光利得を増加させることができる。また、直列ポンピングと並列ポンピングの組み合わせも、3つ以上の増幅光ファイバセクションを有する増幅器において使用されることが可能である。このため、増幅ファイバ経路にわたるポンプパワー配分の向上した制御が、本発明によってもたらされることが可能である。
【0029】
ポンプビームは、いくつかの異なる形で増幅光ファイバセクションに供給されることが可能であるが、信号ビーム(すなわち、増幅されるべきビーム)は、直列の増幅光ファイバセクションを通って送られることに留意されたい。つまり、信号ビームの光は、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションの間で結合される。以下に概要を述べるとおり、選択反射鏡を使用して、所望される光学構成が実施されることを可能にするのに要求されるとおり、ポンプビームと信号ビームを分離することができる。また、少なくとも1つの光アイソレータも、増幅ファイバセクション内の光振動を抑えるように備えられることが可能である。
【0030】
増幅光ファイバは、有利には、クラッドポンピングされることが可能であることが当業者には理解されよう。クラッドポンピングされる単一モード光ファイバは、知られており、例えば、S.U.アラム(Alam)ら、「high power cladding pumped erbium−ytterbium co−doped fibre laser」in proc.OFC2001、Anaheim、USA、March 17−22、2001、paper TU14を参照されたい。そのようなファイバでは、ファイバコアは、内側クラッド層と外側クラッド層によって囲まれる。ファイバは、増幅されるべきビームが、ファイバコア内で誘導される(すなわち、ファイバコアと内側クラッド層の界面からの反射によって)一方で、ポンプビームが、ファイバコアおよび内側クラッド層の内部で誘導される(すなわち、内側クラッド層と外側クラッド層からの反射によって)ように構成される。このようにして、ポンプ放射強度は、ファイバコアを損傷することなしに増加されることが可能であり、より大きい長さの光ファイバにわたって配分される。
【0031】
中空チャネルを含むファイバ支持手段の場合には、中空チャネル自体が、ポンプ放射のための「クラッド」導波路の一部を形成することが可能である。つまり、増幅光ファイバは、増幅されるべきビームをコアに沿って誘導するように構成されたファイバコアと複数のクラッド層とを有することが可能である。さらに、光増幅器は、ポンプビームが、クラッド層と中空チャネルとの間の界面における反射によって、ファイバのコア/クラッドに沿って誘導されるように構成されることが可能である。このようにして、前述したクラッドポンピング動作の様々な利点が得られる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの増幅光ファイバセクションのコア径は、20μmより大きく、より好ましくは、30μmより大きく、より好ましくは、50μmより大きく、より好ましくは、100μmより大きく、より好ましくは、150μmより大きく、より好ましくは、200μmより大きく、または、より好ましくは、250μmより大きい。コア径が大きいほど、所与の長さの光ファイバに関して増幅器がもたらすことができる光利得が高くなる。複数の光ファイバセクションは、同一のコア径を有していても、異なるコア径を有していてもよい。
【0033】
好ましくは、少なくとも1つの増幅光ファイバセクションは、マルチモード光ファイバである。本明細書で使用されるマルチモード光ファイバという用語は、コアとクラッドの間の屈折率におけるステップに対して十分に大きいコア径を有して、ファイバが、動作波長において複数の光学モードの伝播をサポートすることができるファイバを指す。
【0034】
マルチモード光ファイバは、標準の単一モード光ファイバよりも、通常、相当に大きい(例えば、数桁までの違いで)コア径を有する。このため、知られている単一モードの増幅光ファイバを使用して可能である単位長さ当たりの光利得と比べて、数桁までより大きい単位長当たりの光利得が、そのようなファイバを使用して達せられることが可能である。従来、当業者は、基本モード出力パワーを通常は低減させるモード変換効果のために、単一モードファイバ増幅器におけるマルチモード光ファイバの使用を軽視してきた。しかし、本発明による光ファイバ支持手段を備えることにより、光が、主に基本モードで、マルチモード光ファイバセクションを通って伝播されることが可能になる。
【0035】
マルチモード増幅光ファイバの代わりに、少なくとも1つの増幅光ファイバセクションが、有利に、単一モードファイバであることも可能である。単一モード光ファイバは、低いステップインデックス(すなわち、コアとクラッドの間における比較的小さい屈折率の差)と、大きいコア径(例えば、20μmより大きい、30μmより大きい、50μmより大きい、100μmより大きい、または200μmより大きい)とを有するように構成されることが好ましい。そのような光ファイバが大きく曲げられることは、光パワーが、基本モードから、より高次の光学モードに結合されることをもたらす。しかし、励起される、より高次のモードは、低いステップインデックスが、そのモードに結合された光パワーを減衰させるため、光ファイバを効率的に伝播しない。
【0036】
このため、低いステップインデックスの単一モードファイバは、マルチモードファイバに類似していると考えることができる。つまり、マルチモードファイバでは、モード変換効果により、光ファイバの全長を伝播する、より高次のモードの励起が生じさせられるのに対して、低いステップインデックスの単一モード光ファイバにおいて励起される、より高次のモードは、その低いステップインデックスのために減衰させられる。つまり、マルチモード光ファイバと低いステップインデックスの単一モード光ファイバは、より大きいコア径を有するが、それらのファイバが大きく曲げられた場合、大幅に低減された基本モードパワー伝送をもたらす。
【0037】
このため、本発明の光ファイバ支持手段は、マルチモード増幅光ファイバ、または低いステップインデックスの単一モード増幅光ファイバに対して使用された場合、以前に可能であったよりも高い光利得の増幅器、および/またはよりコンパクトな光増幅器構成をもたらす。また、本発明のファイバ増幅器は、単一モード光ファイバネットワークにおいて使用するのにも適している。さらに、この増幅器によって扱われることが可能な最大光パワーも、増加される。すなわち、より大きいファイバコアにより、ファイバコア内のパワー密度を増加させることなしに、総出力パワーが増加されることが可能になる。このため、本発明のファイバ増幅器は、先行技術の単一モードファイバ増幅器よりも、相当に高い出力パワーをもたらすように構成されることが可能である。
【0038】
有利には、前記少なくとも1つの増幅光ファイバのコアは、希土類金属ドーパントを含む。エルビウムが好ましく、そのような場合には、ポンピング手段は、エルビウムにおける15/2から11/2までの遷移に対応する1つまたは複数の波長を有する放射をもたらすように構成される。例えば、およそ915nm、980nm、および/または1480nmのポンプ波長が、使用されることが可能である。また、イッテルビウムドーパントも、有利には、エルビウムとの組み合わせで、使用されることが可能である。
【0039】
有利には、入力ビームを増幅光ファイバセクションに結合するビーム入力手段が、備えられる。好ましくは、ビーム入力手段は、入力ビームが、少なくとも1つの増幅光ファイバの中で基本伝播モードを主に励起するように構成される。これにより、モード変換効果がさらに抑えられる。
【0040】
ビーム入力手段は、例えば、ファイバコアの光軸に対して、許容できるレベルの横方向および角度の調整のずれで、光ファイバのコア上に入力ビームを正確に集束させる少なくとも1つのレンズ、または複数のレンズを含むことが可能である。ビーム入力手段の少なくとも1つのレンズは、自由空間内で(例えば、光学ベンチ上で)適切に位置付けられること、あるいは以下に記載されるとおり、適切な基板において位置合わせされること、またはそのような基板から形成されることが可能である。入射信号ビームとファイバコアとの位置合わせの品質により、増幅光ファイバの基本モードに結合される光パワーの量が決まり、このため、単一モードシステムにおいて使用される際の全体的な装置性能が規定される。
【0041】
ある範囲の光学モード(基本モードを含む)が、入射信号ビームによって励起された場合、マルチモード光ファイバを直線に保持する光ファイバ支持手段の使用により、光ファイバを介する伝送中に、基本モードから、より高次のモードに最小の光パワーしか伝達されないことが確実になることに留意されたい。すると、より高次のモードにおけるパワーは、捨てられ、基本モード放射だけが、その先の伝送に供給されることが可能である。明らかに、そのような構成は、第1の実例における、光パワーの大部分が、増幅ファイバの基本モードを励起することを確実にすることと比べて、それほど効率的ではない。
【0042】
ビーム入力手段は、好ましくは、単一モード光ファイバから入力ビームを受け取るように構成される。さらに、光増幅器は、増幅されたビームを出力単一モード光ファイバに結合する出力手段をさらに含むことが可能である。このようにして、光増幅器は、高帯域幅の単一モード光ファイバネットワークにおいて使用されることが可能である。
【0043】
好都合には、光増幅器によって受け取られる入力ビームは、変調される。例えば、データ網の場合には、入力ビームは、データ信号を伝送するように強度変調されることが可能である。代替として、光増幅器は、有利には、レーザ源、または先行技術(すなわち、低パワーの)ファイバ増幅器システムからCWビームを受け取るように構成されてもよい。
【0044】
また、本発明の光増幅器は、高レベルの光パワーの生成を要求する様々な応用例において使用されることが可能であることも理解されたい。光ファイバベースのレーザレーダ(LIDAR)装置が、本発明の増幅器によって生成されることが可能な、より高いレベルの光パワーの恩恵を受けるシステムの例である。現在、光ファイバベースのLIDARシステムの性能は、知られているEDFAを使用して生成されることが可能な光パワーによって制限されている。本発明の光増幅器を備えることにより、光パワー出力が大幅に向上し(すなわち、数桁の違いで)、そのため、LIDARシステムの性能(例えば、範囲、感度、その他)が大幅に向上する。特に、先行技術の(すなわち、低パワーの)EDFAを、本発明のパワー増幅器に光ビームを出力する前置増幅器として使用することができる。
【0045】
有利には、ポンピング手段は、少なくとも1つのレーザを含む。また、少なくとも1つのレーザによって生成されたポンプ放射が、増幅光ファイバセクションに結合されるのも好都合である。好都合には、ポンプ放射は、増幅光ファイバの各ファイバの基本モードを主に励起するように構成される。ポンプ放射を増幅光ファイバの基本モードに結合することにより、やはり基本モードで伝播する信号ビームとの良好な重なりが確実になる。これにより、増幅器のポンピング効率が最大化される。
【0046】
ポンピング手段は、好都合には、少なくとも1つレーザの出力に光結合された少なくとも1つのマルチモード光ファイバを含むことが可能であり、前記マルチモード光ファイバは、増幅光ファイバセクションにも光結合される。そのようなレーザポンプ装置は、市販されている。
【0047】
以下により詳細に記載されるとおり、レーザ装置のマルチモード光ファイバからの出力が、増幅光ファイバセクションに効率的に結合されることが有利である。結合を最大化するため、増幅光ファイバの開口数は、有利には、レーザポンプ装置のマルチモード光ファイバの開口数より大きい。また、マルチモード光ファイバは、ある倍率(m)を有するレンズ系を介して、増幅光ファイバセクションに都合よく結合されることも可能であり、ただし、増幅光ファイバの開口数は、マルチモード光ファイバの開口数と倍率(m)の積より大きい。これにより、光ファイバ間の光結合が最大化されることが確実になる。
【0048】
代替として、ポンプ放射は、クラッドを通して光ファイバコアに向かわせられてもよい(すなわち、側部ポンピング)。例えば、ポンピング手段は、有利には、レーザダイオードアレイを含むことが可能であり、前記レーザダイオードアレイは、前記少なくとも1つの増幅光ファイバそれぞれの側部にポンプビームを照射するように構成される。ダイオードアレイの使用が、側部ポンプ構成のために好ましいのは、その使用により、複数のより低いパワー出力のレーザダイオードを使用して、ポンピングを容易に実現することが可能になるからである。また、クラッドポンピング構成も実施することができる。
【0049】
有利には、選択的に反射する共振要素を、少なくとも1つの増幅光ファイバの各終端に備えて、共振空洞を形成するようにすることが可能である。選択的に反射する共振要素は、ポンプビームおよび/または増幅されるべきビームのための共振空胴をもたらすように構成されることが可能である。例えば、光増幅器は、ポンプ放射を増幅ファイバ内に留めるが、増幅器であるべきビームが、増幅ファイバを通り抜けることは許すことが可能である。代替として、またはさらに、選択的に反射する共振要素は、増幅された放射が増幅光ファイバ内で強まることを許すように構成されることが可能であり、すなわち、光増幅器は、共振レーザ空洞として作用することが可能である。
【0050】
また、本発明の第1の態様による光増幅器のための基板も、提供されることが可能である。また、本発明の第1の態様のファイバ増幅器において使用するための希土類ドープ光ファイバも提供されることが可能であり、希土類ドープ光ファイバは、20μmより大きいコア径を有する。より好ましくは、コア径は、30μmより大きく、より好ましくは、50μmより大きく、より好ましくは、100μmより大きく、より好ましくは、150μmより大きく、より好ましくは、200μmより大きく、または、より好ましくは、250μmより大きい。有利には、希土類ドーパントは、エルビウムである。
【0051】
また、光増幅器は、少なくとも1つの増幅光ファイバ、および少なくとも1つの増幅光ファイバに光ポンピングを行うためのポンピング手段も含むことが可能である。また、光ファイバ支持手段も提供されて、前記少なくとも1つの増幅光ファイバを使用中に実質的に直線に保持することが可能である。
【0052】
本発明を添付の図面に関連して、単に例として、以下に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図1を参照すると、先行技術のエルビウムドープファイバ増幅器2が示されている。増幅器2は、入力段4と、エルビウムドープ単一モード光ファイバ6と、出力段8とを含む。エルビウムドープ光ファイバ6は、およそ10メートルの長さであり、通常、半径、数センチメートルの緩いコイルに構成される。
【0054】
入力段4は、入力単一モード光ファイバ10および入射ポンプビーム12からの信号ビームを、エルビウムドープ単一モード光ファイバ6に結合するように構成される。ポンプビーム12は、エルビウムドープ光ファイバ6内部で信号ビームを増幅させ、増幅された信号ビームは、出力段8によって受け取られて、その先の伝送のために出力単一モード光ファイバ14に結合される。
【0055】
前述したとおり、知られているEDFAで使用される単一モードの光ファイバは、小さいコア径(わずか数ミクロンの)を有する。この小さいコア径は、要求される利得を実現するのに、長い数本の単一モード光ファイバが必要であることを意味する。これにより、増幅器2を縮小することができる最小の物理的サイズに根本的な限度が課される。また、小さいコア径により、そのような単一モードファイバのパワー処理能力も、およそ1ワット程度に制限される。
【0056】
本発明によれば、エルビウムドープ光ファイバのコア径は、ファイバが、使用中に実質的に直線に保持されるという条件付きで(例えば、シリコン基板の表面に形成されたチャネルの中で)、大きくされることが可能であることが分かっている。この構成により、基本モードのフィールドが、モード変換効果に起因する大幅な光損失なしに、先行技術のエルビウムドープファイバよりも大きい直径のコアを有する光ファイバの中で励起され、伝播することが可能になる。
【0057】
特に、いわゆるマルチモード増幅光ファイバを、本発明の増幅器で使用することができる。そのような光ファイバは、先行技術の単一モード光ファイバより、はるかに大きいコア径(数百ミクロンの)を有する。大きくされたコア径により、はるかに短い長さのファイバで、要求される光利得が実現されることが可能になる。さらに、はるかに大きいコア断面のため、マルチモード光ファイバは、より高いパワー密度を扱うことができ、このため、先行技術の単一モードエルビウムドープファイバよりも高い全体的パワースループットを可能にする。EDFAにおいて使用するためのマルチモード増幅光ファイバの製造は、支持されていないマルチモード光ファイバにおいて生じるモード変換効果のために、今日まで、当業者によって軽視されてきたことを再び強調しておかなければならない。
【0058】
以下に与える様々な例では、マルチモード光ファイバが記載されるが、本発明の教示は、大きいコア径と、低いステップインデックス(すなわち、コアとクラッドの間における比較的小さい屈折率の差)とを有する、単一モード光ファイバに適用された場合にも、同様に有効であることが当業者には理解されよう。実際、低いステップインデックスの単一モードファイバは、マルチモードファイバに極めて類似している。つまり、マルチモードファイバでは、屈曲に起因するモード変換効果により、光ファイバの全長を伝播する、より高次のモードの励起が生じさせられるのに対して、低いステップインデックスの単一モード光ファイバにおいて励起される、より高次のモードは、短い距離内で減衰させられる。
【0059】
光ファイバに関して、励起されることが可能なモードの数(N)は、以下の近似式によって与えられる。すなわち、
【数1】

ただし、aは、ファイバコアの半径であり、λは、光の波長であり、nは、コアの屈折率であり、nは、クラッドの屈折率である。この光ファイバのいわゆるステップインデックスは、単にn−nである。
【0060】
数式(1)から、コア半径を大きくすることにより、所与のステップインデックスに関して光ファイバ中で励起されるモードの数が増加することを見て取ることができる。また、ステップインデックスが小さくされるという条件付きで、大きくされたコア半径に対して単一モード伝播が維持されることが可能であることも見て取ることができる。そのような低いステップインデックスの光ファイバが大きく曲げられることは、光パワーが、基本モードから、より高次の光学モードに結合されることをもたらすが、それらのより高次のモードは、ひどく減衰される。
【0061】
このため、低いステップインデックスの単一モードファイバは、マルチモードファイバに類似していると考えることができる。つまり、マルチモードファイバでは、モード変換効果により、光ファイバの全長を伝播する、より高次のモードの励起が生じさせられるのに対して、低いステップインデックスの単一モード光ファイバでは、より高次のモードが励起されるが、その低いステップインデックスのために減衰させられる。つまり、マルチモード光ファイバと低いステップインデックスの単一モード光ファイバは、より大きいコア径を有するが、それらのファイバが大きく曲げられた場合、大幅に低減された基本モードパワー伝送をもたらす。
【0062】
図2a〜図2dを参照すると、光ファイバを実質的に直線に保持することができる、いくつかの基板が示されている。
【0063】
図2aは、V溝がウェットエッチングによって形成されているシリコン基板20と、結合される蓋部分22とを示す。V溝は、エルビウムドープマルチモード光ファイバ24を支持し、実質的に直線に保持するような寸法にされている。
【0064】
図2bは、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板26を示す。SOI基板26は、上部シリコン層30と下部シリコン層32との間に挟まれたSiO層28から形成されている。SiO層28は、エッチングストップとして作用する。これにより、上部シリコン層30が、エッチングストップまでエッチングされることが可能になり、チャネルの深さが、非常に正確に画定されることが可能になる(すなわち、チャネルの深さは、エッチングストップの深さと等しい)。このため、エルビウムドープマルチモード光ファイバ24を保持する長方形断面のチャネルは、容易に形成することができる。また、SiOの蓋部分34も、ファイバが、整列スロット内に留められるのを確実にするように備えられる。図2aおよび図2bに示された構成は、上側部分と下側部分が、光ファイバを保持するために揃えられることを要さないという利点を有する。
【0065】
図2cは、エルビウムドープマルチモード光ファイバ24を実質的に直線に保持するための別の構成を示す。実質的に長方形断面のエッチングされたチャネルをともに含む上部基板36と下部基板38が備えられる。上部基板と下部基板は、組み合わせられると、光ファイバが保持されるチャネルを画定する。
【0066】
図2dは、光ファイバを実質的に直線に保持するためのさらなる構成を示す。光ファイバ24が挿入される細長い剛性の管40が提供される。管は、金属、ガラス、またはプラスチックなどであることが可能である。細長い管は、基板内に/基板上に形成されたチャネルに配置されて、さらなる剛性をもたらすことが可能である。
【0067】
図3は、チャネルの中に完全に挿入されたファイバを示すが、ファイバは、チャネルの中に部分的に挿入されてもよいことに留意されたい。例えば、増幅ファイバは、基板の表面内に、または表面上に形成されたリッジ(ridge)によって直線に保持されてもよい。そのようなファイバは、適切な接着剤などを使用して、基板に固定されることが可能である。
【0068】
図3を参照すると、シリコン基板44に形成された長方形断面のチャネル42が示されている。マルチモードエルビウムドープ光ファイバ24(コア46とクラッド48とを含む)が、チャネル42内に配置され、チャネル42によって実質的に直線に保持される。図4は、深堀り反応性イオンエッチングを使用してシリコンウェーハに形成された、そのようなチャネルの画像を示す。
【0069】
図5a、図5bを参照すると、本発明によるEFDA構成50が示されている。図5aは、EDFA50の透視図を与えるのに対して、図5bは、EDFA50が形成されることが可能な基板52の側面図を示す。
【0070】
EDFA50は、シリコン基板52に形成された、いくつかの中空チャネルを含む。4つのファイバ保持チャネル54a〜d(本明細書では、まとめて、保持チャネル54と呼ぶ)が基板に設けられて、4つのある長さのエルビウムドープマルチモード光ファイバ56a〜d(本明細書では、まとめて、マルチモード光ファイバ56と呼ぶ)を受け、実質的に直線に保持する。図5aは、マルチモード光ファイバ56が挿入された基板52を示すのに対して、図5bは、光ファイバ挿入に先立つ基板を示す。
【0071】
4つのファイバ保持チャネル54が、互いに実質的に並行に置かれるように構成される。波長選択反射鏡58が、入力光ファイバ60からの信号ビーム、およびレーザ61からのポンプビーム62を、マルチモード光ファイバ56dに結合するように構成される。また、光ファイバ56dを出る合成された信号/ポンプビームを、光ファイバ54a〜cのそれぞれを通るように送る複数の鏡64も備えられる。第2の波長選択反射鏡66が備えられて、増幅された信号ビームが、光ファイバ56aを出る際に、残余のポンプビームから分離する。光ファイバ56を伝播するにつれ、増幅された信号ビームは、次に、単一モード出力光ファイバ68に結合される。
【0072】
光は、中空コア光導波路として作用するように構成された、基板に形成されたチャネル70によって、4本のある長さのマルチモード光ファイバ56の間で誘導される。図示されていないが、中空チャネル70の内壁は、光損失を減らすように反射材料(例えば、金、銀、または銅)で被覆されてもよい。また、第1の選択反射鏡58および第2の選択反射鏡66、ならびに鏡64を受け、整列させる整列スロットも、基板に形成される。また、光ビームが、光ファイバ56の間で通過するにつれ、光ビームに対して作用する様々な追加の光学構成部品(例えば、レンズなど)も、中空チャネル70の中に備えられることが可能である。シリコン基板を使用して光学構成部品を整列した状態に保持すること、およびそのような構成部品間で放射を伝える中空コア光導波路を設けることは、WO 03/065091でより詳細に記載されている。
【0073】
EDFA50は、1つの長さの光ファイバ(例えば、ファイバ56d)から中空チャネル70の中に注入されたビームの「再イメージング(re−imaging)」が、第2の長さの光ファイバ(例えば、ファイバ56c)の入力開口付近で生じるように構成されることが可能である。再イメージング現象は、他の場所でより詳細に説明されている。例えば、WO 03/065091を参照されたい。要するに、中空チャネル70から形成される中空コア光導波路は、マルチモード導波路として形成されることが可能である。このマルチモード導波路を適切な寸法にすることにより、入力ビームのイメージであるビームが生成されることが可能な、様々なビーム分割(splitting)機能およびビーム結合(combining)機能がもたらされる。
【0074】
特に、長方形断面または正方形断面の中空マルチモード導波路が、導波路の長さを、幅および深さに対して適切な関係を有するように構成することにより、対称の光フィールド、反対称の光フィールド、または非対称の光フィールドの再イメージングをもたらすように構成されることが可能である。つまり、入力ビームのガウス入力プロファイルが、所与の導波路に沿ってある距離を伝播した後、再イメージングされる(すなわち、再現される)。また、この効果は、ビーム複製も、つまり、再イメージング長より短い距離において形成されるビームの複数のイメージも生じさせる。この効果は、US5410625において以前に記載されており、マルチモード干渉(MMI)ビーム分割装置のための基礎を提供する。
【0075】
例として、正方形断面の導波路を伝播する対称フィールドを考慮されたい。この導波路は、導波路幅の2乗を伝播放射の波長で割ることによって与えられる再イメージング長を有する。対称フィールドの再イメージングは、再イメージング長、および再イメージング長の倍数において生じる。再イメージング点の中間に、ビーム複製点、および最大フィールド拡大(maximum field expansion)点が見出される。
【0076】
このため、50.0μm幅の中空導波路、および1.55μmの放射の場合には、再イメージング長は、1.613mmである。対称フィールドは、この長さ、およびこの長さの整数倍、すなわち、3.23mm、4.84mmなどにおいて再イメージングされる。このため、単一モード光ファイバからのTEM00ガウス入力ビームは、1.613mmの整数倍において再イメージングされることが可能である。
【0077】
代替として、非対称の光フィールドの場合には、50.0μm幅の中空導波路に関して、再イメージングは、対称フィールドの再イメージングに要求される長さの8倍において、すなわち、12.09mmにおいて生じる。また、非対称フィールドの鏡像も、この長さの半分のところで、すなわち、6.05mmにおいて形成される。特に、マルチモード領域の中心線から入力を片寄らせることにより、中心線のいずれかの側に等価の片寄りで、導波路に沿った所定の距離において再イメージングされる非対称の入力がもたらされる。
【0078】
導波路の深さと幅が相当に異なる長方形の導波路の場合には、2つの導波路断面寸法(例えば、深さおよび幅)に関連する再イメージング長自体、相異なる。しかし、特定の幅と深さに関して同一の長さにおいて再イメージングが生じるように、長方形の中空導波路の寸法間の関係を構成することにより、任意フィールドが再イメージングされることが可能である。このため、対称フィールドは、幅wの軸に関連する再イメージング長と、幅wの軸に関連する再イメージング長が同一となるように構成することにより、中空の長方形の導波路において対称フィールドが再イメージングされることが可能である。
【0079】
再イメージング効果の使用により、レンズまたは成形された鏡、その他などのビーム拡大/圧縮構成部品の必要なしに、様々な長さのエルビウムドープファイバ間の効率的な結合が確実になる。要求に応じて、中空導波路は、ポンプビームおよび/または信号ビームの波長における再イメージング向けに最適化されることが可能である。
【0080】
図6を参照すると、複数のポンプEDFA66が示されている。EDFA66は、図5に関連して前述した形で、シリコン基板に形成されたチャネルの中に保持される、4つのマルチモードエルビウムドープ光ファイバセクション56を含む。ポンプビーム(例えば、980nm)の透過は、可能であるが、信号ビーム(例えば、1.5μm)は反射する、8つの波長選択反射鏡68が備えられる。
【0081】
EDFA66は、入射信号ビーム70が、波長選択反射鏡68からの反射を介して、4つのマルチモード光ファイバセクション56を通って送られるように構成される。4つのポンプビーム72a〜72dは、各マルチモードエルビウムドープ光ファイバセクション56を別々にポンピングするように供給される。EDFAの様々な代替の構成も可能である。例えば、折り返し構成をもたらす反射鏡68が、波長フィルタ操作および/または帯域通過操作を可能にする薄膜コーティングも有することが可能である。
【0082】
図6の複数ポンプ構成は、より高いポンプ効率をもたらし、所与の入力パワーレベルに対する最適ポンプパワーに関連して、利得飽和および強度トレードオフの点で利点を有する。また、ブロードバンド通信アプリケーションに関して、個別のポンピングは、適切な利得プロファイルが実現されることを可能にすることができる。つまり、各ポンプビームは、わずかに異なる波長を有することができる。また、そのような構成は、1300nm波長帯域と1500nm波長帯域の両方で信号を増幅することができる増幅器が提供されることも可能にする。さらに、図6に示された構成のタイプは、同一の特性を有するビーム分割およびビーム結合構成部品(すなわち、反射鏡68)が使用されることを可能にする。
【0083】
図5および図6に示された光学構成は、単一平面における平坦な基板上に形成されているが、様々な構成部品およびファイバが、3次元スタックに構成された装置を形成することも可能であることに留意されたい。3次元スタックの使用は、さらにコンパクトな構成をもたらす可能性を有する。
【0084】
支持基板を使用して、マルチモード光ファイバセクションを使用中に実質的に直線に保持することにより、放射が光ファイバの中を伝播する際に、モード変換効果が最小限に抑えられることが確実になる。しかし、マルチモード光ファイバに最初に注入された放射が、光ファイバの基本モードを主に励起することを確実にすることも有利である。
【0085】
図7を参照すると、ビームにおける光パワーの実質的にすべてが、マルチモード光ファイバの基本モードだけに結合されることを可能にする構成が示されている。この構成は、長方形断面のT形チャネル78が形成されているシリコン基板76を含む。
【0086】
T形チャネル78の第1のアームは、信号ビームを伝える入力単一モード光ファイバ80の終端を受けるように構成される。T形チャネル78の第2のアームは、ポンプビームを伝える単一モード光ファイバ82を受けるのに対して、第3のアームは、マルチモードエルビウムドープ光ファイバ84を受けるように構成される。各光ファイバの終端は、反射防止コーティングを有する。さらに、各光ファイバの終端は、光ファイバ面が、光軸に対して垂直から何度か外れた角度が付けられるように清浄にされる。角度が付けられた面は、望ましくない寄生振動を抑えるのに役立つ。
【0087】
波長選択反射要素86が、T形チャネルのアームの交差点における整列スロット内に配置される。反射要素86は、信号ビーム波長(通常、1.5μm)で反射性であり、ポンプビーム波長(980nm)で透過性である。使用中、信号ビームは、反射要素86からマルチモードエルビウムドープ光ファイバ84に反射されるのに対して、ポンプビームは、選択反射要素86を透過して、エルビウムドープマルチモード光ファイバ84に向けられる。
【0088】
入力単一モード光ファイバ80を出る信号ビームを成形する第1のレンズセット88が備えられ、ポンプビームが単一モード光ファイバ82を出た後、ポンプビームを成形する第2のレンズセット90が備えられる。第1のセットのレンズ、および第2のセットのレンズは、シリコン基板76に形成された整列スロット(図示せず)内に保持され、必要に応じて、ビーム拡大またはビーム圧縮をもたらす。
【0089】
図7は、T形チャネルの様々なアームが同一の幅であるように示しているが、様々なアームを形成するチャネルは、異なる断面寸法を有していてもよい。例えば、マルチモードエルビウムドープ光ファイバ84は、およそ1mmの幅を有するチャネルの中に保持されてもよく、この幅は、エルビウムドープマルチモード光ファイバの外径に良好なフィットをもたらす。単一モードの入力ファイバおよびポンプファイバは、それらの外部寸法に適切な、より小さいチャネルの中に配置されてもよい。また、ファイバ終端を互いに接続する様々なチャネル部分が、中空コア光導波路として作用して、光ファイバ間の放射を誘導するように構成されることも可能である。そのような中空コア光導波路の使用により、自由空間伝播に存在する分散効果が最小限に抑えられる。
【0090】
複数のファイバ、および複数の中空コア光導波路の間で光結合効果を最大化するため、基板に形成される中空コア光導波路は、光ファイバの基本モードと等価の形態の基本モードをサポートするように構成されなければならない。つまり、中空コア導波路を伝播する光の有効ビーム径が、光ファイバを伝播する光の有効ビーム径と整合させられなければならない。
【0091】
図8を参照すると、光ファイバの円形断面コアへのガウスビームのパワー結合効率が、有効TEM00ビームウエスト半径(W)対光ファイバコアの半径(A)の比の関数として示されている。このため、幅2Aのコアを有する光ファイバに関して、入力ビームの有効TEM00ビームウエストは、W/Aがおよそ0.64になるように選択されなければならない。正方形断面を有する光導波路の場合には、W/Aは、結合効率を最大化するように、およそ0.703になるように選択されなければならない。
【0092】
また、光が、ファイバコアの光軸と一致する方向から、マルチモード光ファイバのコアに入射する場合、マルチモード光ファイバの基本モードだけが励起されることも分かっている。しかし、ファイバコアの光軸に対する光の横方向の調整のずれ、および/または角度の調整のずれが大き過ぎる場合、より高次のモードの励起が生じる。実際の装置では、様々な光学構成部品の整列精度により、角度の整列精度および/または横方向の整列精度が決まり、このため、より高次の光学モードに結合されるパワーの量が規定される。
【0093】
このため、所与の構成部品の整列精度に関して、基本モード励起だけが生じることを確実にするだけ十分に小さいコア径を有する光ファイバを備えることが可能である。以上に基づき、要求される角度の整列許容差(θ)は、以下の数式によって与えられることが可能である。すなわち、
θ≦λ/10w (2)
ただし、λは、伝播する波長であり、wは、マルチモード導波路の幅である。前述したタイプの中空導波路コアの導波路装置において、0.5ミリラジアンのオーダの角度の整列許容差が実現可能である。したがって、数式(2)から、この角度の整列許容差と1.5μmの放射の組み合わせにより、およそ300μmの最大ファイバコア幅が与えられる。
【0094】
同様の分析を使用して、光ファイバがどれだけ直線に保持される必要があるかを算出することができる。所与の曲率半径に曲げられたファイバを、セグメントの間に小さい傾斜を有する直線セグメントセットと考えることができる。互いに対して傾斜した2つの直線要素を考慮すると、それらの要素の間の傾斜の効果は、ファイバ径にわたる半径に応じる位相誤差を課すことになる。この位相誤差により、次の直線ファイバセグメントの基本モードへの結合が損なわれる。これは、次のセグメントの基本モードが、平面の位相面を有するからである。位相誤差の大きさは、w・θ/λとして拡大縮小する。さらには、θ∝1/Rであり、ただし、Rは、曲率半径である。その結果、曲げられたファイバの2つの直線セグメント間の位相誤差の大きさは、w/Rλに比例する。これに基づき、曲げられたマルチモードファイバの出口における基本モード忠実度の予測を、次の3つの変数の関数として行うことができる。すなわち、コア径であるw、ファイバの曲率半径であるR、およびコア内の放射の波長であるλである。
【0095】
10μmのコア径を有する従来の単一モードエルビウムドープファイバと比べて、300μmコア径は、およそ1000の利得量の(したがって、パワーの)倍率変更を与える。したがって、1メートルの長さの300μmコア径マルチモードエルビウムドープファイバは、10メートルの長さの10μmコア径単一モード光ファイバより、100倍多くの光利得をもたらす。さらに、10cmの長さのマルチモードエルビウムドープファイバでさえ、10メートルの長さの単一モード光ファイバより、10倍多くの光利得をもたらすことが分かり得る。このため、本発明は、エルビウムドープ増幅器のサイズが大幅に縮小されること、および/またはエルビウムドープ増幅器が、所与の長さのドープファイバに関して、より多くの光利得をもたらすことを可能にする。
【0096】
図9を参照すると、本発明のEDFAによってもたらされる予測の出力信号パワーが、3つのポンプパワー(10W、20W、および50W)に関してエルビウムドープファイバ長の関数として示されている。1Wの入力ビームが使用された。このため、より大きいポンピングパワーの利点が明らかであること、および所与のファイバ長に関して最適なポンプパワーが存在することが分かり得る。
【0097】
前述したとおり、増幅されるべきビームは、主に基本モードでマルチモードファイバを伝播して、モード分散効果によって装置の帯域幅が低減されないことを確実にしなければならない。また、ポンプビームが、基本モードだけでエルビウムドープ光ファイバを伝播することが好ましいが、決して不可欠ではない。ポンプビームをマルチモード導波路の基本モードだけに結合することにより、マルチモードファイバ利得量との良好な重なりが確実になり、増幅効率が向上する。
【0098】
図7に示された光結合構成が、前述の図5および図6に関連して記載されたEDFAにおいて使用されることが可能である。さらに、どのように、そのような構成を逆方向に動作させて、合成された信号/ポンプビームが分離されて、単一モード出力光ファイバに注入される出力信号ビームをもたらすようにすることができるかも理解されよう。
【0099】
図10を参照すると、前述した増幅器が、どのように光ファイバ共振器90の基礎を形成することができるかが示されている。共振器90は、シリコン基板92から形成され、基板92に形成されたチャネル内に実質的に直線に保持されたエルビウムドープマルチモード導波路セクション94を含む。エルビウムドープマルチモード導波路94は、基板92に形成された整列スロットの中に保持された第1の反射鏡96と第2の反射鏡98との間に配置されている。図示されていないが、第1の反射鏡および第2の反射鏡は、曲面になっていて高次モード抑圧をもたらすことが可能である。
【0100】
増幅されるべきビーム、およびポンプビームは、単一モード入力ファイバ100および単一モードポンプファイバ102によって供給される。増幅されるべきビーム、およびポンプビームは、波長選択反射構成部品104からの透過/反射によって合成され、第1の反射鏡96を透過し、増幅が行われるエルビウムドープ光ファイバ94の基本モードに結合される。
【0101】
エルビウムドープ光ファイバ94を出た後、ポンプビーム、および増幅されたビームは、第2の反射鏡98に誘導される。増幅されたビームのある割合(例えば、数パーセント)が、第2の反射鏡98を透過し、出力光ファイバ106に結合される。増幅されたビームの残りの部分、および残りのポンプ放射は、第2の反射鏡98によって反射され、エルビウムドープ光ファイバ94に戻るように結合される。第1の反射鏡96は、エルビウムドープ光ファイバ94から反射鏡96に入射するポンプ放射、および増幅された放射に対して完全に反射性であるように構成される。このようにして、第1の反射鏡、および第2の反射鏡によって共振空洞が形成される。
【0102】
1つだけのある長さのエルビウムドープ光ファイバが、図10に示されているが、複数本の光ファイバが備えられることも可能であることに留意されたい。例えば、図5に関連して説明したタイプの折り返し構成が、使用されることも可能である。
【0103】
高い光利得に加え、図10に関連して説明した共振器は、様々な追加の利点を有する。例えば、基板が、光ファイバの全長に沿って光ファイバと熱接触しており、このため、光ファイバから過度の熱を除去するのに使用されることが可能である。そのような冷却は、光ファイバを支持するチャネルの中に流体(例えば、ガスまたは液体)を送ることによって可能であり、かつ/または別個の冷却チャネルが、基板に設けられることが可能である。
【0104】
前述した諸実施形態は、ポンプ放射が、エルビウムドープ光ファイバに結合され、その光ファイバに沿って伝播することに依拠する。図11を参照すると、どのように側部ポンプ構成が、代替で、または追加で使用されることが可能であるかが示されている。
【0105】
図11は、シリコン基板112に形成されたチャネル内に実質的に直線に保持された、エルビウムドープマルチモード光ファイバセクション110を示す。信号ビームが、マルチモード光ファイバ110に結合され、ファイバ110内部で基本モードを主に励起する。複数のポンプレーザダイオード114が、ファイバクラッドを通してマルチモード光ファイバ110の側部を照射するように構成される。このようにして、マルチモード光ファイバ110のコアが、ポンプ放射を受け、ファイバ110の中で伝播する信号ビームを増幅する。
【0106】
図11は、マルチモード光ファイバ110に対して垂直の向きにされたレーザダイオード群114を示す。しかし、ポンプ放射は、任意の角度で光ファイバに向けられることが可能であることを理解されたい。また、側部ポンプ構成を使用して、前述したタイプのクラッドポンピング構成を実施することもできる。
【0107】
図12を参照すると、マルチモードファイバポンプ源120とエルビウムドープ光ファイバ122との間で光を結合するための技術が示されている。マルチモードファイバポンプ源120は、マルチモードポンプファイバ126に結合されたポンプダイオードアレイ124を含む。ポンプファイバ126によって出力される光は、焦点距離fのレンズ128、および鏡130を介して、エルビウムドープ光ファイバ122の終端に向けられる。
【0108】
ポンプファイバビーム径が、dであり、ポンプファイバ開口数(NA)が、NAである場合、コア径dのエルビウムドープマルチモードファイバに関して、そのエルビウムドープファイバのNA(NA)は、以下のとおりであるはずである。すなわち、
【数2】

そのような場合には、レンズ128によって与えられる倍率(m)は、以下のとおりである。すなわち、
【数3】

【0109】
このため、マルチモードポンプファイバ(つまり、ポンプビーム)から効率的な結合をもたらすのに要求される、エルビウムドープマルチモードファイバコアのNAを、容易に計算することができる。マルチモードポンプファイバとマルチモードエルビウムドープファイバに関して、同一のコア径では、エルビウムドープコアのNAは、マルチモードポンプファイバのNAと同一であるか、そのNAより大きいはずであることを理解されたい。
【0110】
通常、マルチモードポンプファイバNAは、0.2〜0.4の範囲内にある。以上に概要を述べたNA設計基準と併せて、拡大/縮小(de−magnifying)構成をもたらすための単一のレンズ128を備えることにより、効率的な幾何学的モード整合がもたらされることが可能である。
【0111】
エルビウムドープ光ファイバを以上に説明したのは、エルビウムドープ光ファイバが、通信アプリケーションのために有利である1525nmから1610nmまでの波長範囲内の放射を増幅するのに使用することができるからである。しかし、本発明は、代替の増幅光ファイバにも、例えば、他の任意の希土類ドープシリカファイバにも同様に適用可能である。適切な増幅ファイバについてのさらなる情報は、Saleh and Teich、Fundamentals of Photonics、John Wiley and Sons、1991、ISBN047183965−5の479ページで見ることができる。
【0112】
本発明の光増幅器が使用されることが可能な多数の応用例が、当業者には直ちに認識されよう。例えば、増幅器は、LIDARシステムなどにおいて使用するための高パワー光ビームを供給するのに使用されることも可能である。また、高いレベルの光パワーは、光パラメトリック発振器(OPO)を駆動するのに使用されることも可能である。これまで、OPOに関連する高い光損失が、先行技術のEDFAのパワー限度と組み合わされて、生成されることが可能な光ビームの出力パワーを厳しく制約していた。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】先行技術のEDFAを示す図である。
【図2a】様々な整列手段において直線に保持されたマルチモードファイバを示す図である。
【図2b】様々な整列手段において直線に保持されたマルチモードファイバを示す図である。
【図2c】様々な整列手段において直線に保持されたマルチモードファイバを示す図である。
【図2d】様々な整列手段において直線に保持されたマルチモードファイバを示す図である。
【図3】正方形断面のチャネルの中に保持されたファイバを示す拡大図である。
【図4】シリコン基板に形成された正方形のチャネルを示す図である。
【図5a】マルチモード導波路を組み込んだ折り返しEDFAを示す図である。
【図5b】マルチモード導波路を組み込んだ折り返しEDFAを示す図である。
【図6】複数のポンプビーム入力を組み込んだ折り返しEDFA構成を示す図である。
【図7】マルチモードエルビウムドープファイバの基本モードに放射を結合する手段を示す図である。
【図8】マルチモード導波路の基本モードへのパワー結合効率を、ビームウエスト対導波路コア幅の比の関数として示す図である。
【図9】3つのポンプパワーで信号パワーをファイバ長の関数として示す図である。
【図10】共振光増幅器を示す図である。
【図11】側部ポンプダイオードアレイを含むファイバ増幅器を示す図である。
【図12】増幅光ファイバセクションに結合されたマルチモード導波路レーザ源を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの増幅光ファイバセクションと、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションに光ポンピングを行うためのポンピング手段と、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションを使用中に実質的に直線に保持するための光ファイバ支持手段とを含む、光増幅器であって、
光ファイバ支持手段が、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションの間で光を結合する手段をさらに含む、光増幅器。
【請求項2】
光ファイバ支持手段が、少なくとも2つのチャネルを含む基板を含み、少なくとも2つの増幅光ファイバセクションそれぞれが、基板のチャネル内に配置される、請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
少なくとも2つのチャネルが、互いに隣接して、実質的に並行に形成されて、折り返し構成を形成する、請求項2に記載の光増幅器。
【請求項4】
基板に形成されたチャネルが、実質的に長方形の断面を有する、請求項2または3に記載の光増幅器。
【請求項5】
少なくとも2つの増幅光ファイバセクションの間で光を結合する手段が、前記基板に形成された1つまたは複数の中空コア光導波路を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項6】
反射コーティングが、1つまたは複数の中空コア光導波路の内表面上に施される、請求項5に記載の光増幅器。
【請求項7】
基板が、光学構成部品を受けるように構成された少なくとも1つの整列スロットをさらに含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項8】
レンズが、少なくとも1つの整列スロットの中に保持される、請求項7に記載の光増幅器。
【請求項9】
基板が、少なくとも1つの光ファイバ終端取り付け手段をさらに含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項10】
基板が、半導体材料を含む、請求項2から9のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項11】
チャネルが、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用して基板に形成される、請求項2から10のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項12】
ポンピング手段が、直列の各増幅光ファイバセクションを通して送られるポンプビームを供給する、請求項1から11のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項13】
ポンピング手段が、各増幅光ファイバセクションに別々に送られる複数のポンプビームを供給する、請求項1から11のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項14】
増幅光ファイバの少なくとも1つのセクションのコア径が、50μmより大きい、請求項1から13のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項15】
少なくとも1つの増幅光ファイバセクションが、マルチモード光ファイバである、請求項1から14のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項16】
少なくとも1つの増幅光ファイバセクションが、単一モード光ファイバである、請求項1から15のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項17】
少なくとも1つの増幅光ファイバセクションのコアが、希土類金属ドーパントを含む、請求項1から16のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項18】
増幅光ファイバセクションに入力ビームを結合するためのビーム入力手段が備えられる、請求項1から17のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項19】
ビーム入力手段が、少なくとも1つのレンズを含む、請求項18に記載の光増幅器。
【請求項20】
ビーム入力手段は、入力ビームが、前記増幅光ファイバセクション内で基本伝播モードを主に励起するように構成される、請求項18から19のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項21】
ビーム入力手段が、単一モード光ファイバから入力ビームを受け取るように構成される、請求項18から20のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項22】
増幅光ファイバセクションからの増幅されたビームを、出力単一モード光ファイバに結合するビーム出力手段が備えられる、請求項1から21のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項23】
ポンピング手段が、少なくとも1つのレーザを含む、請求項1から22のいずれかに記載の光増幅器。
【請求項24】
ポンピング手段が、少なくとも1つのレーザの出力に光結合された少なくとも1つのマルチモード光ファイバを含み、前記マルチモード光ファイバが、増幅光ファイバセクションにも光結合される、請求項23に記載の光増幅器。
【請求項25】
増幅光ファイバの開口数が、マルチモード光ファイバの開口数より大きい、請求項24に記載の光増幅器。
【請求項26】
マルチモード光ファイバが、ある倍率(m)を有するレンズ系を介して増幅光ファイバセクションに結合され、増幅光ファイバの開口数が、マルチモード光ファイバの開口数と倍率(m)の積よりも大きい、請求項24に記載の光増幅器。
【請求項27】
ポンピング手段が、レーザダイオードアレイを含み、前記レーザダイオードアレイが、各増幅光ファイバセクションの側部にポンプビームを照射するように構成される、請求項1から22のいずれか一項に記載の光増幅器。
【請求項28】
請求項1から27のいずれかに記載の光増幅器と、2つの選択反射要素とを含み、光増幅器が、選択反射要素に関して共振レーザ空洞を形成するように構成されるレーザ装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−512698(P2007−512698A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540615(P2006−540615)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004992
【国際公開番号】WO2005/055377
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】