説明

光ファイバ接続用クロージャ及び光ファイバ接続方法

【課題】ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を抑制することができる光ファイバ接続用クロージャを提供する。
【解決手段】光ファイバ接続用クロージャ1のトレイ固定ベース9には、心線通過トレイ12と接続トレイ群13とが着脱可能に且つ立てた状態で回動可能に取り付けられている。心線通過トレイ12には、幹線主ケーブル2の中間部分の外被を除去して露出された光ファイバ心線3が収容される。接続トレイ群13は、1枚の接続トレイ19及び4枚の接続トレイ20からなっている。接続トレイ19には、光ファイバ心線3を切断・単心分離させて形成された光ファイバ心線16と光スプリッタ21の入力光ファイバ心線22との接続部分が収容される。接続トレイ20には、光スプリッタ21の出力光ファイバ心線26と分岐ケーブル4の光ファイバ心線5との接続部分が光スプリッタ21と共に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば局側光ケーブルと加入者側光ケーブルとを接続する光ファイバ接続用クロージャ及び光ファイバ接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバ接続用クロージャとしては、例えば特許文献1に記載されているように、ベースに止着されたガイド部材と、このガイド部材にカバープレートを介して止着されたサポート部材と、このサポート部材に揺動自在に止着され、光ファイバを収容する複数枚のファイバ収容トレイとを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−505567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、心線種が異なる光ファイバ心線を同じ光ファイバ収容トレイに収容すると、それらの光ファイバ心線が光ファイバ収容トレイ内で混在することになるので、必要な光ファイバ心線のみを取り出すことが困難になる。また、心線種の違いによって光ファイバ心線自体の曲げ剛性が異なることから、場合によっては所望の光伝送特性が得られないレベルの曲げが局所的に発生することがある。
【0005】
本発明の目的は、ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を抑制することができる光ファイバ接続用クロージャ及び光ファイバ接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下方から導入された第1光ケーブルの第1光ファイバ心線と下方から導入された第2光ケーブルの第2光ファイバ心線とを接続する光ファイバ接続用クロージャにおいて、トレイ固定ベースと、トレイ固定ベースに立てた状態で回動可能に取り付けられた複数種類のファイバ収容トレイとを備え、複数種類のファイバ収容トレイは、第1光ケーブルの中間部分の外被を除去して露出された第1光ファイバ心線を収容するための心線通過トレイと、第1光ファイバ心線を切断すると共に単心分離させて形成された第3光ファイバ心線と光スプリッタの入力光ファイバ心線との接続部分を収容するための第1接続トレイと、光スプリッタの出力光ファイバ心線と第2光ファイバ心線との接続部分を光スプリッタと共に収容するための第2接続トレイとを有することを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明の光ファイバ接続用クロージャにおいては、第1光ファイバ心線が心線通過トレイに収容され、第1光ファイバ心線を切断すると共に単心分離させて形成された第3光ファイバ心線及び光スプリッタの入力光ファイバ心線が第1接続トレイに収容され、光スプリッタの入力光ファイバ心線及び出力光ファイバ心線と第2光ファイバ心線とが第2接続トレイに収容されることとなる。つまり、第1接続トレイには単心の光ファイバ心線のみが収容されるため、第1接続トレイにおいて心線種が異なる光ファイバ心線が混在することは無い。また、光スプリッタの出力光ファイバ心線及び第2光ファイバ心線を同じ心線種とした場合には、例えば第2接続トレイに収容される入力光ファイバ心線の長さを短くすることで、第2接続トレイにおいて心線種が異なる光ファイバ心線が混在しにくくなる。これにより、ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を抑制することができる。
【0008】
好ましくは、第1接続トレイは、第3光ファイバ心線と入力光ファイバ心線との接続部分を複数分だけ収容可能であり、第2接続トレイは複数枚有し、一枚の第1接続トレイと複数枚の第2接続トレイとが一組となってトレイ固定ベースに回動可能に取り付けられていると共に、第1接続トレイ及び各第2接続トレイが互いに開閉可能である。
【0009】
例えば第1光ファイバ心線が光ファイバテープ心線である場合には、単心の第3光ファイバ心線を光ファイバテープ心線の心数分だけ第1接続トレイに収容すると共に、第2接続トレイの枚数を光ファイバテープ心線の心数分とすることにより、一組の第1接続トレイ及び各第2接続トレイを第1光ファイバ心線毎に振り分けることができる。
【0010】
また、好ましくは、第2接続トレイの上側領域には、出力光ファイバ心線を収容するための上部収容部が設けられ、第2接続トレイの下側領域には、第2光ファイバ心線を収容するための下部収容部が設けられている。
【0011】
この場合には、光スプリッタの出力光ファイバ心線及び第2光ファイバ心線が異なる心線種であっても、出力光ファイバ心線及び第2光ファイバ心線の収容領域が第2接続トレイの上下で区分けされるため、第2接続トレイにおいて両者が混在することは無い。これにより、ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を一層抑制することができる。
【0012】
さらに、好ましくは、トレイ固定ベースの両側には、異なる種類の光ファイバ心線を互いに分離させてガイドするための心線ガイド部が設けられている。
【0013】
この場合には、心線種の異なる光ファイバ心線が心線ガイド部により整理された状態で配線されることとなるため、ファイバ収容トレイの外部における光ファイバ心線の輻輳を防止することができる。
【0014】
本発明の光ファイバ接続方法は、上記の光ファイバ接続用クロージャを用意する工程と、第1光ケーブルの中間部分の外被を除去して露出された第1光ファイバ心線を切断すると共に単心分離させて第3光ファイバ心線を形成する工程と、第1光ファイバ心線を心線通過トレイに収容する工程と、第3光ファイバ心線と光スプリッタの入力光ファイバ心線とを接続し、その接続部を第3光ファイバ心線及び入力光ファイバ心線と共に第1接続トレイに収容する工程と、光スプリッタの出力光ファイバ心線と第2光ファイバ心線とを接続し、その接続部を光スプリッタ、出力光ファイバ心線及び第2光ファイバ心線と共に第2接続トレイに収容する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0015】
このように本発明の光ファイバ接続方法においては、上述したように、第1接続トレイには単心の光ファイバ心線のみが収容されるため、第1接続トレイにおいて心線種が異なる光ファイバ心線が混在することは無い。また、上述したように、光スプリッタの出力光ファイバ心線及び第2光ファイバ心線を同じ心線種とした場合には、例えば第2接続トレイに収容される入力光ファイバ心線の長さを短くすることで、第2接続トレイにおいて心線種が異なる光ファイバ心線が混在しにくくなる。これにより、ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ファイバ収容トレイにおける心線種が異なる光ファイバ心線の混在を抑制することができる。これにより、ファイバ収容トレイから必要な種類の光ファイバ心線のみを容易に取り出すことが可能となる。また、光ファイバ心線の局所曲げが生じにくくなるため、光ファイバ心線の伝送特性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わる光ファイバ接続用クロージャの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した複数種類のファイバ収容トレイがトレイ固定ベースに回動自在に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示した複数種類のファイバ収容トレイがトレイ固定ベースに回動自在に取り付けられている状態を示す平面図である。
【図4】図2に示した心線通過トレイに光ファイバ心線が収容された状態を示す図である。
【図5】図2に示した接続トレイ群の斜視図である。
【図6】図2に示した接続トレイ群の接続トレイに光スプリッタ及び光ファイバ心線が収容された状態を示す図である。
【図7】図2に示したドロップトレイに光ファイバ心線が収容された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係わる光ファイバ接続用クロージャ及び光ファイバ接続方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係わる光ファイバ接続用クロージャの一実施形態を示す斜視図である。同図において、本実施形態の光ファイバ接続用クロージャ(以下、単にクロージャ)1は、マンホール等の地下に設置され、局側の幹線主ケーブル2に内蔵された光ファイバ心線3と加入者側の分岐ケーブル4に内蔵された光ファイバ心線5及びドロップケーブル6に内蔵された光ファイバ心線7とを接続する機器である。クロージャ1は、PDS(Passive Double Star)回線システムにおいて使用されるものである。
【0020】
クロージャ1は、ケース(図示せず)に収容されるクロージャ本体8を備えている。クロージャ本体8には、クロージャ1の下方から導入される幹線主ケーブル2、分岐ケーブル4及びドロップケーブル6を貫通させる複数のケーブル導入穴8aが形成されている。なお、クロージャ1内に導入された幹線主ケーブル2、分岐ケーブル4及びドロップケーブル6は、図示しない固定手段によりクロージャ本体8に固定される。
【0021】
クロージャ本体8の上部には、トレイ固定ベース9が設けられている。トレイ固定ベース9の上面には、図2及び図3に示すように、1対の外レーン10と1対の内レーン11とが設けられている。外レーン10には、複数のピン受け凹部10aが等ピッチで形成され、内レーン11には、複数のピン受け凹部11aが等ピッチで形成されている。
【0022】
トレイ固定ベース9には、図1〜図3に示すように、複数枚の心線通過トレイ12と複数組の接続トレイ群13と複数枚のドロップトレイ14とが着脱可能に且つ立てた状態で回動可能に取り付けられている。
【0023】
心線通過トレイ12は、図4に示すように、幹線主ケーブル2の中間部分の外被を除去して露出された光ファイバ心線3を収容するためのファイバ収容トレイである。光ファイバ心線3は、例えば4心の光ファイバテープ心線である。心線通過トレイ12に収容される光ファイバ心線3としては、切断せずに心線通過トレイ12をそのまま通過させるものや、一度切断して再接続されたものが含まれる。このような光ファイバ心線3(4心光ファイバテープ心線)を切断すると共に単心分離させることで、4本の単心の光ファイバ心線16が形成される。これらの光ファイバ心線16は、心線通過トレイ12から導出される。
【0024】
心線通過トレイ12の下端部(基端部)には、外レーン10のピン受け凹部10aと係合する1対のピン15aを有する支持部15が設けられている。これらのピン15aをピン受け凹部10aに嵌め込むことで、心線通過トレイ12がトレイ固定ベース9に対して立った状態でトレイ固定ベース9の上面に沿った回転軸回りに回動可能となる。心線通過トレイ12には、光ファイバ心線3を押さえる複数の押さえ板18が設けられている。
【0025】
接続トレイ群13は、図5に示すように、1枚の接続トレイ19及び4枚の接続トレイ20を有する5枚一組となっている。接続トレイ19及び各接続トレイ20は、互いに開閉可能に連結されている。
【0026】
接続トレイ19は、図6(a)に示すように、心線通過トレイ12から導出された光ファイバ心線16と光スプリッタ21(後述)の入力光ファイバ心線22との融着接続部S1を、光ファイバ心線16及び入力光ファイバ心線22と共に収容するためのファイバ収容トレイである。入力光ファイバ心線22は、単心の光ファイバ心線である。接続トレイ19には、4本の光ファイバ心線16と、これらの光ファイバ心線16と接続される4本の入力光ファイバ心線22とが収容される。
【0027】
接続トレイ19の下端部(基端部)には、外レーン10のピン受け凹部10aと係合する1対のピン23aを有する支持部23が設けられている。これらのピン23aをピン受け凹部10aに嵌め込むことで、接続トレイ群13がトレイ固定ベース9に対して立った状態でトレイ固定ベース9の上面に沿った回転軸回りに回動可能となる。
【0028】
接続トレイ19の上側領域には、光ファイバ心線16と入力光ファイバ心線22との融着接続部S1が装着される複数(ここでは8つ)の接続部装着部24が設けられている。また、接続トレイ19には、光ファイバ心線16及び入力光ファイバ心線22を押さえる複数の押さえ板25が設けられている。
【0029】
接続トレイ20は、トレイ固定ベース9に対する接続トレイ19の回転軸(1対のピン23aで作られる軸)と略平行な回転軸回りに回動可能となるように接続トレイ19の支持部23に支持されている。これにより、接続トレイ19及び各接続トレイ20は、互いに開閉可能となる。
【0030】
接続トレイ20は、図6(b)に示すように、(1×8)タイプの光スプリッタ21と、光スプリッタ21の出力光ファイバ心線26と分岐ケーブル4の外被から延び出た光ファイバ心線5との融着接続部S2とを、出力光ファイバ心線26、光ファイバ心線5及び接続トレイ20から導出された入力光ファイバ心線22と共に収容するためのファイバ収容トレイである。
【0031】
(1×8)タイプの光スプリッタ21は、1つの光信号を8つの光信号に分岐させる光分岐器である。接続トレイ20の上端部には、光スプリッタ21が装着されるスプリッタ装着部27が設けられている。
【0032】
出力光ファイバ心線26は、例えば4心光ファイバテープ心線である。光ファイバ心線5は、単心光ファイバである。従って、接続トレイ20には、2枚の出力光ファイバ心線26と8本の光ファイバ心線5と2つの融着接続部S2とが収容されることとなる。なお、8本の光ファイバ心線5の一部は、切断されて接続トレイ20から導出されることがある。
【0033】
接続トレイ20の上側領域には、光スプリッタ21の出力光ファイバ心線26を収容するための上部収容部20aが形成され、接続トレイ20の下側領域には、光ファイバ心線5を収容するための下部収容部20bが形成されている。
【0034】
接続トレイ20における上部収容部20aと下部収容部20bとの間には、出力光ファイバ心線26と光ファイバ心線5との融着接続部S2が装着される複数(ここでは2つ)の接続部装着部28が設けられている。
【0035】
接続トレイ20には、上部収容部20aを形成するガイド部29と、下部収容部20bを形成するガイド部30とが設けられている。これらのガイド部29,30によって、入力光ファイバ心線22を収容するための側部収容部20cが接続トレイ20の左右両側に形成されている。
【0036】
また、接続トレイ20には、入力光ファイバ心線22を押さえる複数の押さえ板31と、出力光ファイバ心線26を押さえる複数の押さえ板32と、光ファイバ心線5を押さえる複数の押さえ板33とが設けられている。
【0037】
4枚の接続トレイ20のうち接続トレイ19に対して最も外側の接続トレイ20の左右両側には、フック部34がそれぞれ設けられている。接続トレイ19の左右両側には、フック部34と係合する突起部35がそれぞれ設けられている。各フック部34を各突起部35に引っ掛けることで、接続トレイ19及び各接続トレイ20が閉じた状態に保持されるようになる。これにより、接続トレイ19及び各接続トレイ20は、一体となってトレイ固定ベース9の上面に沿った回転軸回りに回動可能となると共に、それぞれ個別に接続トレイ19の回転軸と略平行な回転軸回りに互いに開閉可能となる。
【0038】
このような接続トレイ群13は、光ファイバ心線3の心数(4心光ファイバテープ心線)に応じて、1枚の接続トレイ19及び4枚の接続トレイ20で一組となっている。このため、接続トレイ群13を光ファイバ心線3毎に振り分けることができる。従って、光ファイバ心線3の配線接続や管理が行いやすくなる。
【0039】
ドロップトレイ14は、図7に示すように、接続トレイ20において切断された1本の光ファイバ心線5とドロップケーブル6の外被から延び出た光ファイバ心線7との融着接続部S3を光ファイバ心線5,7と共に収容するためのファイバ収容トレイである。
【0040】
ドロップトレイ14の下端部(基端部)には、内レーン11のピン受け凹部11aと係合する1対のピン36aを有する支持部36が設けられている。これらのピン36aをピン受け凹部11aに嵌め込むことで、ドロップトレイ14がトレイ固定ベース9に対して立った状態でトレイ固定ベース9の上面に沿った回転軸回りに回動可能となる。
【0041】
ドロップトレイ14の上端部には、光ファイバ心線5,7同士の融着接続部S3が装着される複数(ここでは2つ)の接続部装着部37が設けられている。また、ドロップトレイ14には、光ファイバ心線5,7を押さえる複数の押さえ板38が設けられている。
【0042】
図1〜図3に戻り、トレイ固定ベース9の左右両側には、光ファイバ心線3,5,7,16,22を互いに分離させてガイドするための複数の略リング状の心線ガイド部39がそれぞれ設けられている。各心線ガイド部39は、光ファイバ心線3,5,7,16,22を心線ガイド部39の内部空間に導くための心線導入部39aを有している。
【0043】
このような心線ガイド部39を設けることにより、光ファイバ心線3,5,7,16,22を心線種毎に整列させて配線することができる。これにより、心線通過トレイ12、接続トレイ群13及びドロップトレイ14の外部において、光ファイバ心線3,5,7,16,22の輻輳を防止することができる。
【0044】
以上のようなクロージャ1において、幹線主ケーブル2と分岐ケーブル4及びドロップケーブル6とを接続するときは、まず幹線主ケーブル2の中間部分の外被を除去して露出された光ファイバ心線3を心線通過トレイ12に収容する。
【0045】
また、光ファイバ心線3(4心光ファイバテープ心線)を切断・単心分離させて形成された光ファイバ心線16と光スプリッタ21の入力光ファイバ心線22とを融着接続する。そして、光ファイバ心線16と入力光ファイバ心線22との融着接続部S1を接続トレイ19の接続部装着部24に装着すると共に、光ファイバ心線16及び入力光ファイバ心線22を接続トレイ19に収容する。
【0046】
また、光スプリッタ21の出力光ファイバ心線26と光ファイバ心線5とを融着接続する。そして、光スプリッタ21を接続トレイ20のスプリッタ装着部27に装着すると共に、出力光ファイバ心線26と光ファイバ心線5との融着接続部S2を接続部装着部28に装着する。また、出力光ファイバ心線26を接続トレイ20の上部収容部20aに収容し、光ファイバ心線5を同下部収容部20bに収容し、入力光ファイバ心線22を同側部収容部20cに収容する。
【0047】
また、接続トレイ20において切断された光ファイバ心線5と光ファイバ心線7とを融着接続する。そして、光ファイバ心線5,7の融着接続部S3をドロップトレイ14の接続部装着部37に装着すると共に、光ファイバ心線5,7をドロップトレイ14に収容する。
【0048】
以上により、幹線主ケーブル2の光ファイバ心線3と分岐ケーブル4の光ファイバ心線5及びドロップケーブル6の光ファイバ心線7とが光スプリッタ21を介して接続されることとなる。
【0049】
以上のような本実施形態にあっては、心線通過トレイ12にテープ心線である光ファイバ心線3を収容し、接続トレイ19に単心線である光ファイバ心線16,22を収容する。また、接続トレイ20の上部収容部20aにテープ心線である光ファイバ心線26を収容し、接続トレイ20の下部収容部20bに単心線である光ファイバ心線5を収容し、接続トレイ20の側部収容部20cに単心線である光ファイバ心線16を収容する。さらに、ドロップトレイ14に単心線である光ファイバ心線5,7を収容する。つまり、ファイバ収容トレイの一つの心線収容領域には、心線種の異なる複数の光ファイバ心線が収容されることは無い。これにより、ファイバ収容トレイにおいて心線種が異なる光ファイバ心線が混在することが抑制される。
【0050】
従って、複数種類の光ファイバ心線の配線状態の見た目が良くなるばかりでなく、ファイバ収容トレイから必要な光ファイバ心線のみを容易に取り出すことができる。また、心線種が異なると光ファイバ心線の曲げ剛性が変わるため、光ファイバ心線の局所的な曲げが発生することがあるが、ファイバ収容トレイの一つの心線収容領域には1種類の光ファイバ心線しか収容されないため、光ファイバ心線の局所的な曲げが発生しにくくなる。これにより、光ファイバ心線の所望の光伝送特性を確保することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、互いに開閉可能な1枚の接続トレイ19及び複数枚の接続トレイ20によって一組の接続トレイ群13を構成したが、これらの接続トレイ19,20を組ではなく別個独立なものとしても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、ドロップトレイ14がトレイ固定ベース9の内レーン11に着脱可能に取り付けられているが、特にそれには限られず、例えばトレイ固定ベース9に内レーン11を設けずに、ドロップトレイ14のサイズを大きくしても良い。また、光ケーブルの配線形態によっては、ドロップトレイ14は無くても良い。
【0053】
さらに、ファイバ収容トレイの構造及び光ファイバ心線収容形態等としては、特に上記実施形態のものには限られず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…光ファイバ接続用クロージャ、2…幹線主ケーブル(第1光ケーブル)、3…光ファイバ心線(第1光ファイバ心線)、4…分岐ケーブル(第2光ケーブル)、5…光ファイバ心線(第2光ファイバ心線)、9…トレイ固定ベース、12…心線通過トレイ(ファイバ収容トレイ)、13…接続トレイ群、16…光ファイバ心線(第3光ファイバ心線)、19…接続トレイ(第1接続トレイ、ファイバ収容トレイ)、20…接続トレイ(第2接続トレイ、ファイバ収容トレイ)、20a…上部収容部、20b…下部収容部、21…光スプリッタ、22…入力光ファイバ心線、26…出力光ファイバ心線、39…心線ガイド部、S1〜S3…融着接続部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方から導入された第1光ケーブルの第1光ファイバ心線と下方から導入された第2光ケーブルの第2光ファイバ心線とを接続する光ファイバ接続用クロージャにおいて、
トレイ固定ベースと、
前記トレイ固定ベースに立てた状態で回動可能に取り付けられた複数種類のファイバ収容トレイとを備え、
前記複数種類のファイバ収容トレイは、
前記第1光ケーブルの中間部分の外被を除去して露出された前記第1光ファイバ心線を収容するための心線通過トレイと、
前記第1光ファイバ心線を切断すると共に単心分離させて形成された第3光ファイバ心線と光スプリッタの入力光ファイバ心線との接続部分を収容するための第1接続トレイと、
前記光スプリッタの出力光ファイバ心線と前記第2光ファイバ心線との接続部分を前記光スプリッタと共に収容するための第2接続トレイとを有することを特徴とする光ファイバ接続用クロージャ。
【請求項2】
前記第1接続トレイは、前記第3光ファイバ心線と前記入力光ファイバ心線との接続部分を複数分だけ収容可能であり、
前記第2接続トレイは複数枚有し、
一枚の前記第1接続トレイと複数枚の前記第2接続トレイとが一組となって前記トレイ固定ベースに回動可能に取り付けられていると共に、前記第1接続トレイ及び前記各第2接続トレイが互いに開閉可能であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ接続用クロージャ。
【請求項3】
前記第2接続トレイの上側領域には、前記出力光ファイバ心線を収容するための上部収容部が設けられ、前記第2接続トレイの下側領域には、前記第2光ファイバ心線を収容するための下部収容部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ接続用クロージャ。
【請求項4】
前記トレイ固定ベースの両側には、異なる種類の光ファイバ心線を互いに分離させてガイドするための心線ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光ファイバ接続用クロージャ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の光ファイバ接続用クロージャを用意する工程と、
前記第1光ケーブルの中間部分の外被を除去して露出された前記第1光ファイバ心線を切断すると共に単心分離させて第3光ファイバ心線を形成する工程と、
前記第1光ファイバ心線を前記心線通過トレイに収容する工程と、
前記第3光ファイバ心線と前記光スプリッタの入力光ファイバ心線とを接続し、その接続部を前記第3光ファイバ心線及び前記入力光ファイバ心線と共に前記第1接続トレイに収容する工程と、
前記光スプリッタの出力光ファイバ心線と前記第2光ファイバ心線とを接続し、その接続部を前記光スプリッタ、前記出力光ファイバ心線及び前記第2光ファイバ心線と共に前記第2接続トレイに収容する工程とを含むことを特徴とする光ファイバ接続方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113926(P2013−113926A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258122(P2011−258122)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000231936)日本通信電材株式会社 (98)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(595083051)株式会社ジャパンリーコム (40)
【Fターム(参考)】