光ファイバ接続部
【課題】細型筒体構造であるにも拘わらず機械的強度の確保を実現し、さらに多数のアダプタの搭載と軸方向への調整を可能として接続工事を行う際に使い勝手のよい光ファイバ接続部を提供する。
【解決手段】一対のケーブル把持部20,20と、一対のロッド30,30、一若しくは複数のアダプタ固定部40、および、これらを収容する収容ケースと、を備え、アダプタ固定部40がロッド30上を摺動して所定位置にて固定されるような光ファイバ接続部100とした。
【解決手段】一対のケーブル把持部20,20と、一対のロッド30,30、一若しくは複数のアダプタ固定部40、および、これらを収容する収容ケースと、を備え、アダプタ固定部40がロッド30上を摺動して所定位置にて固定されるような光ファイバ接続部100とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹線ケーブルから光ファイバを分岐して配線するための光ファイバ接続部に関する。
【0002】
従来技術の光ファイバ接続部として、例えば、特許文献1(特開2007−219166号公報、発明の名称「光ファイバ分岐ケーブル、その配線方法、及びその提供方法」)に記載の発明が知られている。
特許文献1に記載の従来技術では、幹線系の多心光ファイバケーブルの途中に分岐部が設けられ、分岐部は、多心光ファイバケーブルの外被を除去した部分の抗張力線に対して覆うように装着されるベース部材と、多心光ファイバケーブルから取り出されたテープユニットの先端に接続された多心光コネクタと、多心光コネクタが接続されたテープユニットの余長を収納する余長収納部と、多心光コネクタを複数取り付け可能なコネクタ取り付け部と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219166号公報(段落番号[0041],図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光ファイバ分岐ケーブルでは、幹線ケーブルの全周囲をベース部材で覆う構図であるため、機械的強度を確保できるが、半径方向の長さが長くなって構造が全体的に太くなるという問題があった。機械的強度に影響を与えることなく、半径方向の長さを短くして細くしたいという要請があった。
また、レセプタクルの取り付け位置は軸方向へは調整できない構成であるため、取り付けに制約があるという問題があった。特に軸方向の取り付け位置を調整したいという要請があった。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、細型筒体構造であるにも拘わらず機械的強度の確保を実現し、さらに多数のアダプタの搭載と軸方向への調整を可能として接続工事を行う際に使い勝手のよい光ファイバ接続部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る光ファイバ接続部は、
複数の光ファイバを覆う外被を有する幹線ケーブルの途中にて光ファイバを引き出して光ファイバの接続を行う光ファイバ接続部であって、
幹線ケーブルを二カ所にて把持する一対のケーブル把持部と、
一対のケーブル把持部間に渡されて連結固定される一対のロッドと、
ロッド上を摺動して所定位置にて固定される位置決め部およびアダプタを固定するアダプタ固定部を有する一または複数のアダプタ固定部と、
一対のケーブル把持部、一対のロッド、および、一若しくは複数のアダプタ固定部を収容する収容ケースと、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る光ファイバ接続部は、
請求項1に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿通されて固定される固定用孔部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る光ファイバ接続部は、
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿入されて固定される溝部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る光ファイバ接続部は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、上側把持部および下側把持部からなり、幹線ケーブルに対して上側把持部および下側把持部を挟み込んで取り付けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る光ファイバ接続部は、
請求項4に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部の前記上側把持部および前記下側把持部を締結する六角穴付きのケーブル把持部用固定ボルトを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細型筒体構造であるにも拘わらず機械的強度の確保を実現し、さらに多数のアダプタの搭載と軸方向への調整を可能として接続工事を行う際に使い勝手のよい光ファイバ接続部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部の使用状態を含む外観図である。
【図2】本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部から収容ケースを取り去った構図の説明図である。
【図3】収容ケースの斜視外観図である。
【図4】ラッチ部を説明する説明図であり、図4(a)は第1のラッチ部の説明図、図4(b)は第2のラッチ部の説明図である。
【図5】ケーブル把持部の斜視外観図である。
【図6】ケーブル把持前のケーブル把持部の斜視外観図である。
【図7】ロッドの斜視外観図である。
【図8】アダプタ固定部の説明図であり、図8(a)は上側を見るようにしたアダプタ固定部の説明図、図8(b)は下側を見るようにしたアダプタ固定部の説明図である。
【図9】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図である。
【図10】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図である。
【図11】アダプタ固定部のロッドへの取り付けおよびコネクタ・配線を説明する説明図である。
【図12】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図であり、図12(a)は看者の視認方向を説明する説明図であり、図12(b)はアダプタ固定部の取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部について図を参照しつつ以下に説明する。本形態の光ファイバ接続部100は、図1で示すように、幹線ケーブル200の途中に配置されており、設置箇所にて幹線ケーブル200を収容ケース10により覆う構造としている。収容ケース10の挿通孔12からは幹線ケーブル200とドロップケーブル300が引き出されている。なお、ドロップケーブル300は支持線を含む構造である。
【0014】
本形態の光ファイバ接続部100は、内部構造として、図2に示すように、一対のケーブル把持部20,20と、これら一対のケーブル把持部20,20に渡されて連結固定される二本のロッド30,30と、二本のロッド30,30上を摺動・回転し、アダプタを固定する一または複数のアダプタ固定部40(図2では例示的に一個図示している。)と、を備える構造である。
【0015】
続いて各部構成について説明する。
収容ケース10は、図1,図3に示すように連結部11(図1)、挿通孔12(図1,図3)、ラッチ部13(図3)を備える。収容ケース10は切れ目14が設けられた半割構造であり、連結部11により連結される二個のケースが開閉可能になされている。そして開口部にラッチ部13が設けられており、強固に閉じられて切れ目14からは雨水等が進入しにくくなるようになされている。
【0016】
ラッチ部13は、図4(a)で示すように、一方のバンド部131と、他方の留め部132と、からなる。留め部132の留め部本体132aには前孔132bが設けられており、この前孔132bにバンド部131のバンド本体131aが通され、さらに留め部本体132a上の三角頂点上にある3箇所の係止突起部132cのうち、留め部本体132aの両側にある二個の係止突起部132cがバンド本体131aの切り欠き部131cに嵌め込まれ、残る一個の係止突起部132cがバンド本体131aの角孔状の孔部131bに嵌め込まれて係止固定される。なお、図3(b)で示すように先端側の一個の係止突起部132cの先端を球体とし、孔部131bを円孔としても良い。
【0017】
このようなラッチ部13は円筒状の収納ケース10に対し、断面で半径方向および周方向の力に抗して締結を維持する。また、このようなラッチ部13の向きを図3で示すように交互に異ならせているため、特に周方向の力が上下の両方向に抗して締結を維持する。このような収容ケース10は、一対のケーブル把持部20,20、二本のロッド30,30、および、一若しくは複数のアダプタ固定部40を収容する。
なお、収容ケース10の色は幹線ケーブル200と同色であることが好ましく、例えば幹線ケーブル200によく使用される黒色が選択される。
【0018】
ケーブル把持部20は、図5で示すように、合成樹脂製の上側把持部21、下側把持部22を備える。これら上側把持部21、下側把持部22は、同一構造体である。上側把持部21、下側把持部22は、図6で示すように、幹線ケーブル200の被覆を除去してスロット201を露出させた箇所の両側にて幹線ケーブル200を上下で挟み、図5で示すように、ケーブル把持部用固定ボルト23により固定されて図5で示すように把持固定される。
【0019】
開口部21e,22eにはそれぞれ突起部21f,22fが設けられて幹線ケーブル200の被覆を突き刺し、幹線ケーブル200が移動しないように固定する。なお、ケーブル把持部用固定ボルト23として、六角穴付ボルトを使用することにより、一定のトルクにより締め付けるトルク管理を行い、光ファイバに不要な力を加えないように均一された工法を行うようにしている。
【0020】
また、ケーブル把持部20を二分割構造としたため、幹線ケーブル200の外径変化に対応し、把持可能としている。上側把持部21と下側把持部22とが接触するときの幹線ケーブル200の外径は例えば10mmであるとする。これよりも大きな外径の幹線ケーブル200が把持されたとき、上側把持部21と下側把持部22とがケーブル把持部用固定ボルト23により締結されたときの樹脂製の本体のしなりにより、隙間なく確実に把持が出来る。
【0021】
上側把持部21の左右二カ所と下側把持部22の左右二カ所とにドロップケーブルを挿通させてネジ24によりドロップケーブル300を固定する固定用孔部21a,21b,22a,22bが設けらている。また、ドロップケーブルを上側から挿入して把持する溝部21c,21d,22c,22dも設けられている。作業者はこれら固定用孔部21a,21b,22a,22bおよび溝部21c,21d,22c,22dを用いてドロップケーブルの配線を行うことができる。
【0022】
ロッド30は、図7で示すように、ロッド本体31、両端の孔部32を備えており、孔部32を通過させたネジ25を一対のケーブル把持部20,20に締結して連結固定する。そして二本のロッド30,30が上下に取り付けられる。ロッド30の長さにより一対のケーブル把持部20,20の取り付け位置が決定される。このように幹線ケーブル200に接触しないロッド30を採用したため、ケーブル把持部20以外は幹線ケーブル200の外径に影響されない構造体とすることができる。また、幹線ケーブル200には直接触れない箇所であるためケーブル把持部20へロッド30を取り付ける際にはトルク管理による固定を容易にすることができる。
【0023】
アダプタ固定部40は、図8で示すように、位置決め部41、アダプタ取り付け部42を備える。
位置決め部41は、位置決め部本体41a、孔部41b、ネジ孔部41c、ネジ挿通孔部41d、隙間部41eを備える。ロッド30が孔部41bに挿通された状態のアダプタ固定部40は、ロッド30と平行に移動でき、また、ロッド30に対して回転できるようになる。隙間部41eは孔部41bと連通する空間であり、位置決め部本体41aを変形し易い構造としている。ネジ挿通孔部41dを通過させてネジ孔部41cにネジを螺挿し、ネジを締めると孔部41bが閉まって位置決め部本体41aが変形し、ロッド30の所定位置に固定される。
【0024】
アダプタ取り付け部42は、凹字状体部42a、ネジ孔部42bを備える。凹字状体部42aの溝内にアダプタが嵌め込まれ、ネジがアダプタの挿通孔に通された状態でネジ孔部42bに締結固定される。そして、このようなアダプタ取り付け部42がロッド30に挿通されてアダプタが配置される。配置については後述する。
【0025】
アダプタ50は、図11にも示すように、光ファイバの端部に接続されたコネクタ60が差し込まれて連結される。このアダプタ50の両端にそれぞれコネクタ60が差し込まれて光ファイバ同士が連結されることとなる。アダプタ50は、例えば一般的に使用されているSCアダプタであり、コネクタもSCコネクタである。
【0026】
続いて光ファイバ接続部100の使用方法について説明する。ここでは幹線ケーブル200中に新たに設置する使用方法について説明する。
幹線ケーブル200としてSZ型光ケーブルが使用されているものとする。まず、幹線ケーブル200の所望位置にて被覆を除去する。すると、図2で示すようにその箇所でスロット201とこのスロットに巻き付けられている光ファイバ心線が現れる。光ファイバ心線にコネクタ60を接続する。そして、一対のケーブル把持部20,20および一対のロッド30,30を組み立てて、図2のような状態とする。この際、図示していないが、実際にはロッド30には使用するアダプタ固定部40が予め挿通された状態で一対のケーブル把持部20,20に取り付けられる。
【0027】
続いてアダプタ固定部40の位置の調整を行う。図9で示すようにアダプタ固定部40を矢印a方向に移動させ、そして図10で示すように位置決め用ネジ70を締めて最適位置にて固定する。そして、アダプタ50の一方の側にコネクタを連結する。なお、配線が多くてアダプタ50にコネクタ60を取り付けにくいときであっても、配線がない箇所までアダプタ50を回転させてからコネクタ60を取り付けるようにしても良い。
【0028】
また、ドロップケーブルの一端にもコネクタ60が連結してあり、アダプタ50の他方の側にコネクタ60を連結する。このような接続作業を続けていき、最終的には図11で示すような状態となる。
【0029】
この際、図10で示すように二個のアダプタ固定部40は、一本のロッド30上で近接して配置し、幹線ケーブル200に接した状態で略90°交差して配置されるようにすると、収容ケース10の円形断面をみるとき、半径方向の長さが少なくなり、細い構造にすることができる。
【0030】
また、図12(b)で示すように、幹線ケーブル200を挟んで180°対向してロッド30が二本配置されているため、上側のロッド30に二個のアダプタ固定部40を略90°交差させて配置する。下側のロッド30にも二個のアダプタ固定部40を略90°交差させて配置する。これにより一箇所に四個のアダプタ固定部40を四角形状に配置することができる。これは特に多数のアダプタを配置したいときに利便性が高い。ロッド30が短くても多数のアダプタを配置することができる。
また、幹線ケーブル200にアダプタ50が近接して配置されるため、収容ケース10の径を可能な限り短くすることができ、細くすることが可能となる。
【0031】
なお、このドロップケーブルは、ケーブル把持部21,22の固定用孔部21a,21b,22a,22bにて挿入の上で固定された状態で引き出されるか、または、溝部21c,21d,22c,22dに嵌め込まれた状態で引き出される。そして、配線終了後には収納ケース10で覆い、最終的に図1で示すような状態として、工事は終了する。
【0032】
以上本形態の光ファイバ接続部100について説明した。なお、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、SC型の幹線ケーブル以外の光ファイバケーブルに適用しても良く、スロットレス型光ケーブル等に適用してもよい。
また、幹線ケーブルとドロップケーブルとの接続であるとして説明したが、この接続は両側へ接続するπ分岐配線や、片側へ接続する片側分岐配線としても良い。
【0033】
また、ロッド30を長くしてアダプタ50の取り付け位置の選択範囲を拡げるようにしても良い。例えば、複数回切断して短くなったような光ファイバ心線を用いる場合でも、アダプタ固定部40を移動させれば最適位置にて接続が可能となり、利便性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、特に支持柱(いわゆる電信柱や電柱)間を渡されて架空敷設されている幹線ケーブルからの分岐箇所に設けられてユーザ(戸建て、アパート、マンション)等にドロップケーブルを引き込むための光接続部として適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
100:光ファイバ接続部
10:収容ケース
11:連結部
12:挿通孔
13:ラッチ部
131:バンド部
131a:バンド本体
131b:孔部
131c:切り欠き部
132:留め部
132a:留め部本体
132b:前孔
132c:係止突起部
14:切れ目部
20:ケーブル把持部
21:上側把持部
21a,21b:固定用孔部
21c,21d:溝部
21e:開口部
21f:突起部
21c,21d:溝部
22:下側把持部
22a,22b:固定用孔部
22c,22d:溝部
22e:開口部
22f:突起部
23:ケーブル把持部用固定ボルト
24,25:ネジ
30:ロッド
31:ロッド本体
32:孔部
40:アダプタ固定部
41:位置決め部
41a:位置決め部本体
41b:孔部
41c:ネジ孔部
41d:ネジ挿通孔部
41e:隙間部
42:コネクタ固定部
42a:凹字状体部
42b:ネジ孔部
50:アダプタ
60:コネクタ
70:位置決め用ネジ
200:幹線ケーブル
201:スロット
300:ドロップケーブル(支持線含む)
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹線ケーブルから光ファイバを分岐して配線するための光ファイバ接続部に関する。
【0002】
従来技術の光ファイバ接続部として、例えば、特許文献1(特開2007−219166号公報、発明の名称「光ファイバ分岐ケーブル、その配線方法、及びその提供方法」)に記載の発明が知られている。
特許文献1に記載の従来技術では、幹線系の多心光ファイバケーブルの途中に分岐部が設けられ、分岐部は、多心光ファイバケーブルの外被を除去した部分の抗張力線に対して覆うように装着されるベース部材と、多心光ファイバケーブルから取り出されたテープユニットの先端に接続された多心光コネクタと、多心光コネクタが接続されたテープユニットの余長を収納する余長収納部と、多心光コネクタを複数取り付け可能なコネクタ取り付け部と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219166号公報(段落番号[0041],図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光ファイバ分岐ケーブルでは、幹線ケーブルの全周囲をベース部材で覆う構図であるため、機械的強度を確保できるが、半径方向の長さが長くなって構造が全体的に太くなるという問題があった。機械的強度に影響を与えることなく、半径方向の長さを短くして細くしたいという要請があった。
また、レセプタクルの取り付け位置は軸方向へは調整できない構成であるため、取り付けに制約があるという問題があった。特に軸方向の取り付け位置を調整したいという要請があった。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、細型筒体構造であるにも拘わらず機械的強度の確保を実現し、さらに多数のアダプタの搭載と軸方向への調整を可能として接続工事を行う際に使い勝手のよい光ファイバ接続部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る光ファイバ接続部は、
複数の光ファイバを覆う外被を有する幹線ケーブルの途中にて光ファイバを引き出して光ファイバの接続を行う光ファイバ接続部であって、
幹線ケーブルを二カ所にて把持する一対のケーブル把持部と、
一対のケーブル把持部間に渡されて連結固定される一対のロッドと、
ロッド上を摺動して所定位置にて固定される位置決め部およびアダプタを固定するアダプタ固定部を有する一または複数のアダプタ固定部と、
一対のケーブル把持部、一対のロッド、および、一若しくは複数のアダプタ固定部を収容する収容ケースと、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る光ファイバ接続部は、
請求項1に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿通されて固定される固定用孔部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る光ファイバ接続部は、
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿入されて固定される溝部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る光ファイバ接続部は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、上側把持部および下側把持部からなり、幹線ケーブルに対して上側把持部および下側把持部を挟み込んで取り付けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る光ファイバ接続部は、
請求項4に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部の前記上側把持部および前記下側把持部を締結する六角穴付きのケーブル把持部用固定ボルトを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細型筒体構造であるにも拘わらず機械的強度の確保を実現し、さらに多数のアダプタの搭載と軸方向への調整を可能として接続工事を行う際に使い勝手のよい光ファイバ接続部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部の使用状態を含む外観図である。
【図2】本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部から収容ケースを取り去った構図の説明図である。
【図3】収容ケースの斜視外観図である。
【図4】ラッチ部を説明する説明図であり、図4(a)は第1のラッチ部の説明図、図4(b)は第2のラッチ部の説明図である。
【図5】ケーブル把持部の斜視外観図である。
【図6】ケーブル把持前のケーブル把持部の斜視外観図である。
【図7】ロッドの斜視外観図である。
【図8】アダプタ固定部の説明図であり、図8(a)は上側を見るようにしたアダプタ固定部の説明図、図8(b)は下側を見るようにしたアダプタ固定部の説明図である。
【図9】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図である。
【図10】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図である。
【図11】アダプタ固定部のロッドへの取り付けおよびコネクタ・配線を説明する説明図である。
【図12】アダプタ固定部のロッドへの取り付けを説明する説明図であり、図12(a)は看者の視認方向を説明する説明図であり、図12(b)はアダプタ固定部の取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、本発明を実施するための形態の光ファイバ接続部について図を参照しつつ以下に説明する。本形態の光ファイバ接続部100は、図1で示すように、幹線ケーブル200の途中に配置されており、設置箇所にて幹線ケーブル200を収容ケース10により覆う構造としている。収容ケース10の挿通孔12からは幹線ケーブル200とドロップケーブル300が引き出されている。なお、ドロップケーブル300は支持線を含む構造である。
【0014】
本形態の光ファイバ接続部100は、内部構造として、図2に示すように、一対のケーブル把持部20,20と、これら一対のケーブル把持部20,20に渡されて連結固定される二本のロッド30,30と、二本のロッド30,30上を摺動・回転し、アダプタを固定する一または複数のアダプタ固定部40(図2では例示的に一個図示している。)と、を備える構造である。
【0015】
続いて各部構成について説明する。
収容ケース10は、図1,図3に示すように連結部11(図1)、挿通孔12(図1,図3)、ラッチ部13(図3)を備える。収容ケース10は切れ目14が設けられた半割構造であり、連結部11により連結される二個のケースが開閉可能になされている。そして開口部にラッチ部13が設けられており、強固に閉じられて切れ目14からは雨水等が進入しにくくなるようになされている。
【0016】
ラッチ部13は、図4(a)で示すように、一方のバンド部131と、他方の留め部132と、からなる。留め部132の留め部本体132aには前孔132bが設けられており、この前孔132bにバンド部131のバンド本体131aが通され、さらに留め部本体132a上の三角頂点上にある3箇所の係止突起部132cのうち、留め部本体132aの両側にある二個の係止突起部132cがバンド本体131aの切り欠き部131cに嵌め込まれ、残る一個の係止突起部132cがバンド本体131aの角孔状の孔部131bに嵌め込まれて係止固定される。なお、図3(b)で示すように先端側の一個の係止突起部132cの先端を球体とし、孔部131bを円孔としても良い。
【0017】
このようなラッチ部13は円筒状の収納ケース10に対し、断面で半径方向および周方向の力に抗して締結を維持する。また、このようなラッチ部13の向きを図3で示すように交互に異ならせているため、特に周方向の力が上下の両方向に抗して締結を維持する。このような収容ケース10は、一対のケーブル把持部20,20、二本のロッド30,30、および、一若しくは複数のアダプタ固定部40を収容する。
なお、収容ケース10の色は幹線ケーブル200と同色であることが好ましく、例えば幹線ケーブル200によく使用される黒色が選択される。
【0018】
ケーブル把持部20は、図5で示すように、合成樹脂製の上側把持部21、下側把持部22を備える。これら上側把持部21、下側把持部22は、同一構造体である。上側把持部21、下側把持部22は、図6で示すように、幹線ケーブル200の被覆を除去してスロット201を露出させた箇所の両側にて幹線ケーブル200を上下で挟み、図5で示すように、ケーブル把持部用固定ボルト23により固定されて図5で示すように把持固定される。
【0019】
開口部21e,22eにはそれぞれ突起部21f,22fが設けられて幹線ケーブル200の被覆を突き刺し、幹線ケーブル200が移動しないように固定する。なお、ケーブル把持部用固定ボルト23として、六角穴付ボルトを使用することにより、一定のトルクにより締め付けるトルク管理を行い、光ファイバに不要な力を加えないように均一された工法を行うようにしている。
【0020】
また、ケーブル把持部20を二分割構造としたため、幹線ケーブル200の外径変化に対応し、把持可能としている。上側把持部21と下側把持部22とが接触するときの幹線ケーブル200の外径は例えば10mmであるとする。これよりも大きな外径の幹線ケーブル200が把持されたとき、上側把持部21と下側把持部22とがケーブル把持部用固定ボルト23により締結されたときの樹脂製の本体のしなりにより、隙間なく確実に把持が出来る。
【0021】
上側把持部21の左右二カ所と下側把持部22の左右二カ所とにドロップケーブルを挿通させてネジ24によりドロップケーブル300を固定する固定用孔部21a,21b,22a,22bが設けらている。また、ドロップケーブルを上側から挿入して把持する溝部21c,21d,22c,22dも設けられている。作業者はこれら固定用孔部21a,21b,22a,22bおよび溝部21c,21d,22c,22dを用いてドロップケーブルの配線を行うことができる。
【0022】
ロッド30は、図7で示すように、ロッド本体31、両端の孔部32を備えており、孔部32を通過させたネジ25を一対のケーブル把持部20,20に締結して連結固定する。そして二本のロッド30,30が上下に取り付けられる。ロッド30の長さにより一対のケーブル把持部20,20の取り付け位置が決定される。このように幹線ケーブル200に接触しないロッド30を採用したため、ケーブル把持部20以外は幹線ケーブル200の外径に影響されない構造体とすることができる。また、幹線ケーブル200には直接触れない箇所であるためケーブル把持部20へロッド30を取り付ける際にはトルク管理による固定を容易にすることができる。
【0023】
アダプタ固定部40は、図8で示すように、位置決め部41、アダプタ取り付け部42を備える。
位置決め部41は、位置決め部本体41a、孔部41b、ネジ孔部41c、ネジ挿通孔部41d、隙間部41eを備える。ロッド30が孔部41bに挿通された状態のアダプタ固定部40は、ロッド30と平行に移動でき、また、ロッド30に対して回転できるようになる。隙間部41eは孔部41bと連通する空間であり、位置決め部本体41aを変形し易い構造としている。ネジ挿通孔部41dを通過させてネジ孔部41cにネジを螺挿し、ネジを締めると孔部41bが閉まって位置決め部本体41aが変形し、ロッド30の所定位置に固定される。
【0024】
アダプタ取り付け部42は、凹字状体部42a、ネジ孔部42bを備える。凹字状体部42aの溝内にアダプタが嵌め込まれ、ネジがアダプタの挿通孔に通された状態でネジ孔部42bに締結固定される。そして、このようなアダプタ取り付け部42がロッド30に挿通されてアダプタが配置される。配置については後述する。
【0025】
アダプタ50は、図11にも示すように、光ファイバの端部に接続されたコネクタ60が差し込まれて連結される。このアダプタ50の両端にそれぞれコネクタ60が差し込まれて光ファイバ同士が連結されることとなる。アダプタ50は、例えば一般的に使用されているSCアダプタであり、コネクタもSCコネクタである。
【0026】
続いて光ファイバ接続部100の使用方法について説明する。ここでは幹線ケーブル200中に新たに設置する使用方法について説明する。
幹線ケーブル200としてSZ型光ケーブルが使用されているものとする。まず、幹線ケーブル200の所望位置にて被覆を除去する。すると、図2で示すようにその箇所でスロット201とこのスロットに巻き付けられている光ファイバ心線が現れる。光ファイバ心線にコネクタ60を接続する。そして、一対のケーブル把持部20,20および一対のロッド30,30を組み立てて、図2のような状態とする。この際、図示していないが、実際にはロッド30には使用するアダプタ固定部40が予め挿通された状態で一対のケーブル把持部20,20に取り付けられる。
【0027】
続いてアダプタ固定部40の位置の調整を行う。図9で示すようにアダプタ固定部40を矢印a方向に移動させ、そして図10で示すように位置決め用ネジ70を締めて最適位置にて固定する。そして、アダプタ50の一方の側にコネクタを連結する。なお、配線が多くてアダプタ50にコネクタ60を取り付けにくいときであっても、配線がない箇所までアダプタ50を回転させてからコネクタ60を取り付けるようにしても良い。
【0028】
また、ドロップケーブルの一端にもコネクタ60が連結してあり、アダプタ50の他方の側にコネクタ60を連結する。このような接続作業を続けていき、最終的には図11で示すような状態となる。
【0029】
この際、図10で示すように二個のアダプタ固定部40は、一本のロッド30上で近接して配置し、幹線ケーブル200に接した状態で略90°交差して配置されるようにすると、収容ケース10の円形断面をみるとき、半径方向の長さが少なくなり、細い構造にすることができる。
【0030】
また、図12(b)で示すように、幹線ケーブル200を挟んで180°対向してロッド30が二本配置されているため、上側のロッド30に二個のアダプタ固定部40を略90°交差させて配置する。下側のロッド30にも二個のアダプタ固定部40を略90°交差させて配置する。これにより一箇所に四個のアダプタ固定部40を四角形状に配置することができる。これは特に多数のアダプタを配置したいときに利便性が高い。ロッド30が短くても多数のアダプタを配置することができる。
また、幹線ケーブル200にアダプタ50が近接して配置されるため、収容ケース10の径を可能な限り短くすることができ、細くすることが可能となる。
【0031】
なお、このドロップケーブルは、ケーブル把持部21,22の固定用孔部21a,21b,22a,22bにて挿入の上で固定された状態で引き出されるか、または、溝部21c,21d,22c,22dに嵌め込まれた状態で引き出される。そして、配線終了後には収納ケース10で覆い、最終的に図1で示すような状態として、工事は終了する。
【0032】
以上本形態の光ファイバ接続部100について説明した。なお、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、SC型の幹線ケーブル以外の光ファイバケーブルに適用しても良く、スロットレス型光ケーブル等に適用してもよい。
また、幹線ケーブルとドロップケーブルとの接続であるとして説明したが、この接続は両側へ接続するπ分岐配線や、片側へ接続する片側分岐配線としても良い。
【0033】
また、ロッド30を長くしてアダプタ50の取り付け位置の選択範囲を拡げるようにしても良い。例えば、複数回切断して短くなったような光ファイバ心線を用いる場合でも、アダプタ固定部40を移動させれば最適位置にて接続が可能となり、利便性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、特に支持柱(いわゆる電信柱や電柱)間を渡されて架空敷設されている幹線ケーブルからの分岐箇所に設けられてユーザ(戸建て、アパート、マンション)等にドロップケーブルを引き込むための光接続部として適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
100:光ファイバ接続部
10:収容ケース
11:連結部
12:挿通孔
13:ラッチ部
131:バンド部
131a:バンド本体
131b:孔部
131c:切り欠き部
132:留め部
132a:留め部本体
132b:前孔
132c:係止突起部
14:切れ目部
20:ケーブル把持部
21:上側把持部
21a,21b:固定用孔部
21c,21d:溝部
21e:開口部
21f:突起部
21c,21d:溝部
22:下側把持部
22a,22b:固定用孔部
22c,22d:溝部
22e:開口部
22f:突起部
23:ケーブル把持部用固定ボルト
24,25:ネジ
30:ロッド
31:ロッド本体
32:孔部
40:アダプタ固定部
41:位置決め部
41a:位置決め部本体
41b:孔部
41c:ネジ孔部
41d:ネジ挿通孔部
41e:隙間部
42:コネクタ固定部
42a:凹字状体部
42b:ネジ孔部
50:アダプタ
60:コネクタ
70:位置決め用ネジ
200:幹線ケーブル
201:スロット
300:ドロップケーブル(支持線含む)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを覆う外被を有する幹線ケーブルの途中にて光ファイバを引き出して光ファイバの接続を行う光ファイバ接続部であって、
幹線ケーブルを二カ所にて把持する一対のケーブル把持部と、
一対のケーブル把持部間に渡されて連結固定される一対のロッドと、
ロッド上を摺動して所定位置にて固定される位置決め部およびアダプタを固定するアダプタ固定部を有する一または複数のアダプタ固定部と、
一対のケーブル把持部、一対のロッド、および、一若しくは複数のアダプタ固定部を収容する収容ケースと、
を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿通されて固定される固定用孔部を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿入されて固定される溝部を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、上側把持部および下側把持部からなり、幹線ケーブルに対して上側把持部および下側把持部を挟み込んで取り付けられることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項5】
請求項4に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部の前記上側把持部および前記下側把持部を締結する六角穴付きのケーブル把持部用固定ボルトを備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項1】
複数の光ファイバを覆う外被を有する幹線ケーブルの途中にて光ファイバを引き出して光ファイバの接続を行う光ファイバ接続部であって、
幹線ケーブルを二カ所にて把持する一対のケーブル把持部と、
一対のケーブル把持部間に渡されて連結固定される一対のロッドと、
ロッド上を摺動して所定位置にて固定される位置決め部およびアダプタを固定するアダプタ固定部を有する一または複数のアダプタ固定部と、
一対のケーブル把持部、一対のロッド、および、一若しくは複数のアダプタ固定部を収容する収容ケースと、
を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿通されて固定される固定用孔部を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、光ファイバが挿入されて固定される溝部を備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部は、上側把持部および下側把持部からなり、幹線ケーブルに対して上側把持部および下側把持部を挟み込んで取り付けられることを特徴とする光ファイバ接続部。
【請求項5】
請求項4に記載の光ファイバ接続部において、
前記ケーブル把持部の前記上側把持部および前記下側把持部を締結する六角穴付きのケーブル把持部用固定ボルトを備えることを特徴とする光ファイバ接続部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−221425(P2011−221425A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92829(P2010−92829)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(598069423)株式会社ケイ・オプティコム (9)
【出願人】(000145954)株式会社昭電 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(598069423)株式会社ケイ・オプティコム (9)
【出願人】(000145954)株式会社昭電 (22)
【Fターム(参考)】
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