説明

光ファイバ無線通信システム

【課題】MIMO送受信機が設置された親局とアンテナ局との間を上り・下りそれぞれアンテナ数より少ない数の光源を用い、従続変調を行うことで、少数の光ファイバ回線によって子局端末とMIMO親局との間で送受信されるMIMO方式の信号を伝送することができるようにする。
【解決手段】信号送信する際に、光源21が出射した光搬送波に対して光変調器22によって光を強度変調することと送信側波長分散制御器23によって波長分散を付加することとの組み合わせを複数のアンテナポート2のそれぞれに対応させて連続して行うと共に、信号受信する際に、受信側波長分散制御器35によって波長分散を付加し、送信側の光源21から受信側の光検波器36まで伝搬する光に与えられる波長分散量を調整することにより、各光検波器36において特定の信号Sの受信強度を他の信号の受信強度よりも大きくするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、MIMO(Multiple Input Multiple Output の略)方式等の無線通信と組み合わせて好適な光ファイバ無線通信システムの構築技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO技術を用いた無線アクセスは無線LANの規格であるIEEE802.11nで実用化されており、MIMO親局(MIMO端末局のうちの一方)として用いられる送受信器やMIMO子局側の端末(例えばユーザ側の端末)として用いられる機器が市販されている。MIMO方式では送受信を行う子局側の端末(以下、子局端末という)は単数若しくは複数の場合が想定され、子局端末と当該子局端末との間で電波を送受信するMIMO親局とのそれぞれには複数のアンテナが備えられる。そして、MIMO親局は、上位ネットワークに接続され、子局端末との間ではMIMO方式の無線通信を行うと共に、無線信号の変復調を行い、上位ネットワークを介して通信を行う。
【0003】
また、MIMO技術を用いた無線アクセスに光ファイバ無線を応用する研究が行われている(非特許文献1)。この場合は、図3に示すように、上位ネットワーク12と接続された親局1内のMIMO親局2の各アンテナポート2a,2b,2cのそれぞれに対応させて光源及び電気/光変換機能を備える光出力装置3a,3b,3c並びに光/電気変換を行う光検波器4a,4b,4cが設けられると共に、アンテナ局6(MIMO技術のリモートアンテナに対応する)の各アンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応させて光検波器7a,7b,7c並びに光出力装置8a,8b,8cが設けられる。なお、親局1内のMIMO親局2のアンテナポート2a,2b,2cのそれぞれはアンテナ局6のアンテナ9a,9b,9cのそれぞれと対応するものであり、第一のアンテナポート2aとアンテナ9aとの間、第二のアンテナポート2bとアンテナ9bとの間、第三のアンテナポート2cとアンテナ9cとの間のそれぞれで信号の伝送が行われる。そして、親局1内の光出力装置3a,3b,3cとアンテナ局6内の光検波器7a,7b,7cとが一対一で光ファイバ回線5a,5b,5cによって接続、若しくは光ファイバ回線5a,5b,5cをN分岐し、各々にアンテナ局を備える構成とし、一対Nで接続され、親局1内の光検波器4a,4b,4cとアンテナ局6内の光出力装置8a,8b,8cとが光ファイバ回線5a',5b',5c'によって接続される。
【0004】
そして、複数のアンテナ9a,9b,9cを備えるアンテナ局6と複数のアンテナ11a,11b(11a',11b')を備える子局端末10A(10B)との間でMIMO方式の無線通信が行われ、アンテナ局6と親局1との間で光ファイバ回線5a等,5a'等による光信号の伝送が行われ、さらに、親局1は上位ネットワーク12を介して信号の伝送を行う。
【0005】
なお、光出力装置3a,3b,3c及び8a,8b,8cは、具体的には例えば、レーザダイオード等の光源及び光変調器(電気/光変換器とも呼ばれる)としての機能を備え、光源から出射された光搬送波を例えば無線信号等の電気信号を入力情報として光変調器によって強度変調することによって電気信号を光信号に変換するようにしても良いし、或いは、電気信号を入力情報として光源に直接入力し光を強度変調することによって電気信号を光信号に変換するようにしても良い。また、光検波器4a,4b,4c及び7a,7b,7cは、光/電気変換器とも呼ばれ、入射された光信号を電気信号に変換し例えば無線信号を再生して出力するものである。なお、無線信号を入力情報として光を強度変調して光信号に変換して光ファイバ回線で伝送する技術はRoF(Radio on Fiber の略)と呼ばれる。
【0006】
そして、図3に示す例において、上位ネットワーク12によって伝送されてきた信号は、親局1内のMIMO親局2に入力され、当該MIMO親局2の各アンテナポート2a,2b,2cから信号Sa,Sb,Scとして出力される。これら信号Sa,Sb,Scは、それぞれ、光出力装置3a,3b,3cに入力され、電気/光変換されて光ファイバ回線5a,5b,5cに入射される。光ファイバ回線5a,5b,5cを伝搬してアンテナ局6に到達した光は、それぞれ、光検波器7a,7b,7cに入射され、光/電気変換され信号Sa,Sb,Scとして再生され出力されてアンテナ9a,9b,9cからMIMO方式で電波送信される。
【0007】
一方、複数のアンテナ11a,11b(11a',11b')を備える子局端末10A(10B)からMIMO方式で電波送信された無線信号はアンテナ局6の各アンテナ9a,9b,9cによって受信される。そして、各アンテナ9a,9b,9cによって受信された電波は、それぞれ、信号Sa',Sb',Sc'としてアンテナ局6内の光出力装置8a,8b,8cに入力され、電気/光変換されて光ファイバ回線5a',5b',5c'に入射される。光ファイバ回線5a',5b',5c'を伝搬して親局1に到達した光は、それぞれ、光検波器4a,4b,4cに入射され、光/電気変換され信号Sa',Sb',Sc'として再生され出力されて親局1内のMIMO親局2から上位ネットワーク12に対して送出される。
【0008】
なお、図3に示す例ではアンテナ局6のアンテナの本数は三本であるが、MIMO方式の無線通信を行う場合のアンテナの本数は三本には限られない。なお、MIMO技術を用いた無線アクセスに光ファイバ無線を応用する場合は、MIMO親局2のアンテナポートの数とアンテナ局6のアンテナの本数とが同じである場合や、光分岐を用いて一つのアンテナポートに対して複数のアンテナ局を接続する場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】金岡泰弘 他:ROFを利用したマルチセルMIMOの一検討,社団法人電子情報通信学会,信学技報,OCS2009-85,2009年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1の信号伝送技術では、親局1内のMIMO親局2の各アンテナポート2a,2b,2cに対応させて設けられる光出力装置3a,3b,3cとアンテナ局6の各アンテナ9a,9b,9cに対応させて設けられる光検波器7a,7b,7cとを個別の光ファイバ回線5a,5b,5cで接続すると共に、親局1内のMIMO親局2の各アンテナポート2a,2b,2cに対応させて設けられる光検波器4a,4b,4cとアンテナ局6の各アンテナ9a,9b,9cに対応させて設けられる光出力装置8a,8b,8cとを個別の光ファイバ回線5a',5b',5c'で接続するようにしているので、アンテナポートやアンテナ局毎に光源が必要になると共に、アンテナ局6のアンテナの本数の二倍の光ファイバ回線が必要となる。なお、上り回線と下り回線とを波長多重したとしてもアンテナ本数と同数の光ファイバ回線が必要となる。このため、MIMO親局2が設置された親局1とアンテナ局6との間に多数の光ファイバ回線を敷設する必要があり、整備コストの面で優れているとは言い難く、汎用性が高いとは言い難い。
【0011】
そこで、本発明は、MIMO送受信機が設置された親局とアンテナ局との間の光ファイバ無線通信において、上り・下りそれぞれアンテナ数より少ない数の光源(上り回線用に1台の光源・下り回線用に1台の光源でも良い)を用い、従続変調を行うことで光源数を減らすと共に、少数の光ファイバ回線によって子局端末とMIMO親局との間で送受信されるMIMO方式の信号を伝送することができる光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の光ファイバ無線通信システムは、複数のアンテナを有して子局端末との間でMIMO方式の信号伝送を行うアンテナ局と前記複数のアンテナのそれぞれに対応する複数のアンテナポートを有し上位ネットワークと接続されたMIMO親局を有する親局とのそれぞれに、信号送信の仕組みとして、光源と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて各前記アンテナポートから出力される信号若しくは各前記アンテナが受信した電波の信号を入力情報として光を強度変調して出力する光変調器と、当該光変調器(前記親局若しくは前記アンテナ局から光を出力する直前の光変調器を除く)それぞれの出力側に設けられて前記光変調器から出力される光に波長分散を付加する送信側波長分散制御器と、前記親局若しくはアンテナ局から光を出力する直前の光変調器と接続され信号送信先の前記アンテナ局若しくは前記親局に向けて敷設される光ファイバとを設けると共に、信号受信の仕組みとして、信号送信元の前記アンテナ局若しくは前記親局から敷設された前記光ファイバ回線から入射される光を前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応させて分岐する光素子と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて前記光素子によって分岐された光に波長分散を付加する受信側波長分散制御器と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて前記受信側波長分散制御器から出射された光を受信して光/電気変換し前記アンテナポート若しくは前記アンテナに対して出力する光検波器とを設け、信号送信する際に、前記光源が出射した光搬送波に対して前記アンテナポートから出力される信号若しくは前記アンテナが受信した電波の信号を入力情報として前記光変調器によって光を強度変調することと当該強度変調された光(前記親局若しくはアンテナ局から光を出力する直前の光変調器によって強度変調された光を除く)に前記送信側波長分散制御器によって波長分散を付加することとの組み合わせを前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応させて連続して行うと共に、信号受信する際に前記光素子によって分岐された光のそれぞれに前記受信側波長分散制御器によって波長分散を付加して、送信側の光源から受信側の光検波器まで伝搬する光に与えられる波長分散量を前記送信側波長分散制御器及び前記受信側波長分散制御器によって調整することにより、各前記光検波器から出力される各前記アンテナポートから出力される信号若しくは各前記アンテナが受信した電波の信号の強度の比率を前記光検波器毎に違えるようにしている。
【0013】
したがって、この光ファイバ無線通信システムによると、親局とアンテナ局とのそれぞれに1台ずつの光源を設けると共に親局とアンテナ局とを上り・下り別の多くても二本の光ファイバ回線で接続することにより、親局内のMIMO親局の複数のアンテナポートとアンテナ局の複数のアンテナとの間でやりとりされる複数種類の信号の伝送が行われる。さらに、上り回線と下り回線を波長分割多重すれば、一本の光ファイバ回線で接続することも可能である。
【0014】
また、この光ファイバ無線通信システムは、アンテナ局と子局端末との間における従来のMIMO方式の信号伝送の仕組みを変更する必要はなく、個々の子局端末には変更を加えることなく導入することができる。
【0015】
なお、本発明で用いられる各種変数の単位としては、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値dは〔ps/nm/km〕,波長λは〔nm〕,光ファイバの線路長Lは〔km〕,周波数fは〔MHz〕,光に付加する分散量Dは〔ps/nm〕,光の速度cは〔m/s〕,偏波保持光ファイバのビート長xは〔mm〕が一般的に用いられる。一方、本出願では、本発明に係る数式をSI基本単位系での式として表記している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光ファイバ無線通信システムによれば、上り回線・下り回線の光源数をそれぞれ1台とすることができるため、通信システムの整備コストの低廉化を図ることが可能になる。また、本発明の光ファイバ無線通信によれば、親局とアンテナ局とを上り・下り別の多くても二本の光ファイバ回線で接続することで複数のアンテナポートと複数のアンテナとの間でやりとりされる複数種類の信号の伝送を行うことができるので、従来のようにアンテナ局(リモートアンテナ)のアンテナの本数の二倍の光ファイバ回線を敷設する場合に比べて整備コストを低廉にすることが可能であり、MIMO方式の信号伝送と光ファイバ回線との組み合わせの汎用性、さらに、MIMO方式の信号伝送自体の汎用性の向上を図ることが可能になる。さらに、上り回線と下り回線とで用いる光源の波長を違えて波長分割多重すれば必要な光ファイバ回線は一本のみにすることが可能である。
【0017】
また、本発明の光ファイバ無線通信システムは、個々の子局端末には変更を加えることなく導入することができるので、この点からもMIMO方式の信号伝送と光ファイバ回線との組み合わせの汎用性、さらに、MIMO方式の信号伝送自体の汎用性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光ファイバ無線通信システムの実施形態を説明する構成図である。
【図2】実施形態の光ファイバ無線通信システムの信号伝送の仕組みを説明する図である。
【図3】光ファイバ回線と組み合わせた従来のMIMO方式の信号伝送の概略を説明する図である。
【図4】実施形態の光ファイバ無線通信システムの信号伝送における分散量と受信強度との間の関係を説明する図である。
【図5】実施形態の光ファイバ無線通信システムにおけるアンテナ局の受信側の別の構成を説明する図である。
【図6】他の実施形態の光ファイバ無線通信システムの信号伝送における分散量と受信強度との間の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図2から図4に、本発明の光ファイバ無線通信システムの実施形態の一例を示す。この光ファイバ無線通信システムは、図1に示すように、複数のアンテナ9a,9b,9cを有して子局端末10A,10Bとの間でMIMO方式の信号伝送を行うアンテナ局30と複数のアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応する複数のアンテナポート2a,2b,2cを有し上位ネットワーク12と接続されたMIMO親局2を有する親局20とのそれぞれに、信号送信の仕組みとして、光源21・31と、複数のアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応づけられて各アンテナポート2a,2b,2cから出力される信号Sa,Sb,Sc若しくは各アンテナ9a,9b,9cが受信した電波の信号RWa,RWb,RWcを入力情報として光を強度変調して出力する光変調器22a,22b,22c・32a,32b,32cと、当該光変調器(親局20若しくはアンテナ局30から光を出力する直前の光変調器22c・32cを除く)それぞれの出力側に設けられて光変調器22a,22b・32a,32bから出力される光に波長分散を付加する送信側波長分散制御器23a,23b・33a,33bと、親局20若しくはアンテナ局30から光を出力する直前の光変調器22c・32cと接続され信号送信先のアンテナ局30若しくは親局20に向けて敷設される光ファイバ回線27・37とを設けると共に、信号受信の仕組みとして、信号送信元のアンテナ局30若しくは親局20から敷設された光ファイバ回線37・27から入射される光を複数のアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応させて分岐する光素子29・39と、複数のアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応づけられて光素子29・39によって分岐された光に波長分散を付加する受信側波長分散制御器25a,25b,25c・35a,35b,35cと、複数のアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応づけられて受信側波長分散制御器25a,25b,25c・35a,35b,35cから出射された光を受信して光/電気変換しアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cに対して出力する光検波器26a,26b,26c・36a,36b,36cとを設け、信号送信する際に、光源21・31が出射した光搬送波に対してアンテナポート2a,2b,2cから出力される信号Sa,Sb,Sc若しくはアンテナ9a,9b,9cが受信した電波の信号RWa,RWb,RWcを入力情報として光変調器22a,22b,22c・32a,32b,32cによって光を強度変調することと当該強度変調された光(親局20若しくはアンテナ局30から光を出力する直前の光変調器22c・32cによって強度変調された光を除く)に送信側波長分散制御器23a,23b・33a,33bによって波長分散を付加することとの組み合わせを複数のアンテナポート2a,2b,2c若しくはアンテナ9a,9b,9cのそれぞれに対応させて連続して行うと共に、信号受信する際に光素子29・39によって分岐された光のそれぞれに受信側波長分散制御器25a,25b,25c・35a,35b,35cによって波長分散を付加して、送信側の光源21・31から受信側の光検波器36a,36b,36c・26a,26b,26cまで伝搬する光に与えられる波長分散量を送信側波長分散制御器23a,23b・33a,33b及び受信側波長分散制御器35a,35b,35c・25a,25b,25cによって調整することにより、各光検波器36a,36b,36c・26a,26b,26cから出力される各アンテナポート2a,2b,2cから出力される信号Sa,Sb,Sc若しくは各アンテナ9a,9b,9cが受信した電波の信号RWa,RWb,RWcの強度の比率を光検波器36a,36b,36c・26a,26b,26c毎に違えるようにする。
【0021】
実施形態の説明においては、上位ネットワーク12によって伝送されてきた信号を親局20からからアンテナ局30に向けて伝送して子局端末10A,10Bが受信する場合を例に挙げて説明する。すなわち、親局20が送信側の装置であり、アンテナ局30が受信側の装置である。
【0022】
ここで、MIMO親局2並びにアンテナ局30と子局端末10A,10Bとの間における信号の送受信に係る設備や仕組みは、従来のMIMO方式の信号伝送に係る設備や仕組みと同じである。図1及び図2に示す例では、子局端末10A(10B)は二本のアンテナ11a,11b(11a',11b')を有し、アンテナ局30は三本のアンテナ9a,9b,9cを有し、親局20内のMIMO親局2はこれらアンテナ9a,9b,9cに対応づけられた第一・第二・第三のアンテナポート2a・2b・2cを有し、これら設備やアンテナ局30と子局端末10A,10Bとの間におけるMIMO方式の無線通信の仕組みなどは従来と同じである。また、本実施形態では、MIMO方式の信号伝送では周波数fの無線信号が用いられる。
【0023】
親局20は、上位ネットワーク12と接続されたMIMO親局2の他に、送信側の装置(言い換えると、端末局)の仕組みとして、光源21と、各アンテナポート2a,2b,2cに対応する複数の光変調器22a,22b,22c(以下、各光変調器を区別する必要がないときは単に光変調器22と表記する)と、送信側波長分散制御器23a,23b(同様に、単に送信側波長分散制御器23と表記する)とを備える。
【0024】
光源21は、電気/光変換を行うための光搬送波を出射するものであり、例えばレーザダイオードが用いられる。なお、本実施形態では、光源21は波長λの光搬送波を出射する。
【0025】
光変調器22は、MIMO親局2から出力される信号Sa,Sb,Scを入力情報として光を強度変調することによって電気/光変換を行って無線信号(電気信号)を光信号に変換するものであり、MIMO親局2の各アンテナポート2a,2b,2cに対応して、すなわち、アンテナポート2a,2b,2cと同じ数だけ備えられる。図1に示す例では、アンテナ局30は三本のアンテナ9a,9b,9cを備えているのでMIMO親局2のアンテナポートの数は三であり、したがって三つの光変調器22が設けられる。なお、MIMO親局2のアンテナポートの数はアンテナ局30のアンテナの本数と同じである。
【0026】
送信側波長分散制御器23は、入射された光に任意の波長分散量を付加して出射するものであり、例えばファイバブラッググレーティングやエタロンやVIPA(Virtually Imaged Phased Array の略)やPLC(平面光導波路回路)等の光デバイスを利用することが考えられる。本実施形態では、送信側波長分散制御器23a,23bによって付加される波長分散量をそれぞれD1,D2とする。
【0027】
また、送信側波長分散制御器23として分散補償ファイバやシングルモードファイバ等の光ファイバを用いることも考えられ、この場合の波長分散量Dは、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値d,長さLとするとD=d×Lで与えられる。
【0028】
そして、本発明では、上り・下り別の一本ずつの光ファイバ回線27によって複数種類の信号の伝送を可能とするため、一波長の光搬送波を従属変調すると共に波長分散量を累積付加するようにしている。すなわち、光源21が出射した波長λの光搬送波を、各アンテナポート2a,2b,2cから出力される信号Sa,Sb,Scを入力情報として光変調器22a,22b,22cによって強度変調することと送信側波長分散制御器23a,23bによって波長分散量を付加することとを組み合わせて各アンテナポート2a,2b,2cに対応させて連続して行う。
【0029】
具体的には、図1に示す例における上位ネットワーク12によって伝送されてきた信号を親局20からからアンテナ局30に向けて伝送して子局端末10A,10Bが受信する場合の詳細である図2に示すように、光源21から波長λの光搬送波Lcが出射され、MIMO親局2が受信して第一のアンテナポート2aから出力される信号Saを入力情報として第一の光変調器22aによって光搬送波Lcが強度変調されて光信号L1が出射される。そして、第一の送信側波長分散制御器23aによって光信号L1に分散量D1が付加されて光信号L2が出射される。
【0030】
続いて、MIMO親局2が受信して第二のアンテナポート2bから出力される信号Sbを入力情報として第二の光変調器22bによって光信号L2が強度変調されて光信号L3が出射される。そして、第二の送信側波長分散制御器23bによって光信号L3に分散量D2が付加されて光信号L4が出射される。
【0031】
続いて、MIMO親局2が受信して第三のアンテナポート2cから出力される信号Scを入力情報として第三の光変調器22cによって光信号L4が強度変調されてRoF信号が出射される。そして、当該RoF信号が親局20から光ファイバ回線27に入射される。ここで、図1及び図2に示す例における親局20から光を出力する直前の(言い換えると、最後の)電気/光変換である第三の光変調器22cによる強度変調がなされた後の光信号に対しては分散量の付加は行わない。すなわち、本発明では、光強度を変調することと波長分散量を付加することとを組み合わせて各アンテナポート2a,2b,2cに対応させて連続して行うことが基本であるが、送信側の装置になっている親局20若しくはアンテナ局30における連続処理のうち最後のアンテナポート2c若しくはアンテナ9cに対応させて行う処理では光の強度変調のみを行って波長分散量の付加は行わない。
【0032】
光ファイバ回線27に入射されたRoF信号は、当該光ファイバ回線27によって、ここでの説明における受信側の装置(言い換えると、端末局)であるアンテナ局30に伝送される。
【0033】
アンテナ局30は、受信側の装置の仕組みとして、光分岐素子39と、各アンテナ9a,9b,9cに対応する複数の受信側波長分散制御器35a,35b,35c(以下、各波長分散制御器を区別する必要がないときは単に受信側波長分散制御器35と表記する)と、光検波器36a,36b,36c(同様に、単に光検波器36と表記する)とを備える。
【0034】
光分岐素子39は、光ファイバ回線27からアンテナ局30に入力されたRoF信号を各アンテナ9a,9b,9cに対応させて、すなわち、アンテナの本数と同じ数に分岐するものであり、例えば光カプラや波長分割多重カプラが用いられる。なお、図2に示す例では、アンテナ局30は三本のアンテナ9a,9b,9cを備えているので、入力されたRoF信号は三つの光に分岐される。
【0035】
受信側波長分散制御器35は、光分岐素子39によって分岐されたRoF信号に任意の波長分散量を付加して出射するものであり、例えばファイバブラッググレーティングやエタロンやVIPA(Virtually Imaged Phased Array の略)やPLC(平面光導波路回路)等の光デバイスを利用することが考えられる。また、受信側波長分散制御器35として分散補償ファイバやシングルモードファイバ等の光ファイバを用いることも考えられ、この場合の波長分散量Dは、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値d,長さLとするとD=d×Lで与えられる。なお、本実施形態では、受信側波長分散制御器35a,35b,35cによって付加される波長分散量をそれぞれD3,D4,D5とする。
【0036】
光検波器36は、受信した光信号を電気信号に変換するものである。なお、光検波器36としては具体的には例えばフォトダイオードが用いられる。
【0037】
そして、本発明では、送信側の装置としての親局20の送信側波長分散制御器23a,23bによって付加される波長分散量D1,D2、及び、受信側の装置としてのアンテナ局30の受信側波長分散制御器35a,35b,35cによって付加される波長分散量D3,D4,D5の大きさを調整することにより、受信側の装置としてのアンテナ局30の光検波器36a,36b,36cにおける信号Sa,Sb,Scに対応する光の受信強度を変化させる。
【0038】
光ファイバ内を伝搬する光ファイバ無線の信号は、波長分散によるフェージングによって光ファイバの線路長(言い換えると、伝搬による累積の波長分散量)に従って周期的に無線信号の受信強度が変化する。具体的には、数式1で表される受信強度P(即ち、送信側の装置からの出力に対する受信側の装置の光検波器からの出力の比)を用いる。数式1は、光ファイバを伝搬することによる累積の波長分散量dLに加え、波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散量の合計ΣDを考慮した式である。
【数1】

ここに、 P :受信強度,
c :真空中での光の速度,
π :円周率,
λ :光源の波長,
d :光ファイバの単位長さあたりの波長分散値,
L :光ファイバの線路長,
ΣD:意図的に付加される波長分散量の合計,
f :無線信号の周波数,
α :光出力装置の光変調器のチャープパラメータ
をそれぞれ表す。
【0039】
図2に示す例であれば、光源の波長は光源21の波長であり、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値d及び線路長Lは、親局20内及びアンテナ局30内の光ファイバの長さは光ファイバ回線27の長さに比べれば十分に短く無視できると考えると、親局20内の第三の光変調器22cからアンテナ局30内の光分岐素子39までの光ファイバ回線27の単位長さあたりの波長分散値及び長さである。なお、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値が区間によって異なる場合には、分散値が異なる区間毎に「単位長さあたりの波長分散値×区間長」の合計を算出して当該合計値を数式1のdLとして用いる。
【0040】
そして、本実施形態では、親局20内のMIMO親局2の第一のアンテナポート2aから出力された信号Saの受信強度Pを、当該第一のアンテナポート2aと対応づけられているアンテナ局30のアンテナ9aに対して出力を行う光検波器36aにおいて、他の信号Sb,Scの受信強度Pよりも大きくなるようにする。また、親局20内のMIMO親局2の第二のアンテナポート2bから出力された信号Sbの受信強度Pを、当該第二のアンテナポート2bと対応づけられているアンテナ局30のアンテナ9bに対して出力を行う光検波器36bにおいて、他の信号Sa,Scの受信強度Pよりも大きくなるようにする。さらに、同様に、光検波器36cにおいて信号Scの受信強度Pを他の信号Sa,Sbの受信強度Pよりも大きくなるようにする。
【0041】
ここで、アンテナ局30の光検波器36a,36b,36cに入射するまでに波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散量の合計ΣDは以下のようになる。なお、信号Saで変調された光と、更に信号Sbで変調された光と、更に信号Scで変調された光とのいずれも、光ファイバを伝搬することによる累積の波長分散量はdLで同じである。
i)光検波器36aに入射される光について
信号Saで変調された光 :D1+D2+D3
さらに、信号Sbで変調された光:D2+D3
さらに、信号Scで変調された光:D3
ii)光検波器36bに入射される光について
信号Saで変調された光 :D1+D2+D4
さらに、信号Sbで変調された光:D2+D4
さらに、信号Scで変調された光:D4
iii)光検波器36cに入射される光について
信号Saで変調された光 :D1+D2+D5
さらに、信号Sbで変調された光:D2+D5
さらに、信号Scで変調された光:D5
【0042】
そして、図4に示す考え方に従って各光検波器36a,36b,36cにおける各信号Sa,Sb,Scの受信強度Pを操作する。
【0043】
例えば光検波器36aにおいては信号Saの受信強度Paを他の信号Sbの受信強度Pb及び信号Scの受信強度Pcよりも大きくする。本実施形態では、具体的には、受信強度Pa=1になると共にPb=Pc=0.5になるように波長分散量D1,D2,D3を設定する。
【0044】
また、光検波器36bにおいては信号Sbの受信強度Pbを他の信号Saの受信強度Pa及び信号Scの受信強度Pcよりも大きくする。本実施形態では、具体的には、受信強度Pb=1になると共にPa=Pc=0.5になるように波長分散量D1,D2,D4を設定する。
【0045】
さらに、光検波器36cにおいては信号Scの受信強度Pcを他の信号Saの受信強度Pa及び信号Sbの受信強度Pbよりも大きくする。本実施形態では、具体的には、受信強度Pc=1になると共にPa=Pb=0.5になるように波長分散量D1,D2,D5を設定する。
【0046】
そして、各送信側波長分散制御器23a,23b及び各受信側波長分散制御器35a,35b,35cによって上記の条件を満たす波長分散量D1,D2,D3,D4,D5を付加すれば、各光検波器36a,36b,36cにおいて特定の信号に対応する光信号の受信強度Pを大きくすることが、言い換えれば、受信強度Pに差をつけることができる。
【0047】
なお、上述の説明においては特定の信号に対応する光信号の受信強度P=1にすると共に他の信号に対応する光信号の受信強度P=0.5にするようにしているが、受信強度Pの大きさをそれぞれどの程度にするかは上記の組み合わせには限られない。付け加えると、本発明においては、受信側の装置の光検波器における各信号Sa,Sb,Sc・RWa,RWb,RWcの強度の比率が各光検波器26a,26b,26c・36a,36b,36c毎に異なっていれば良い。
【0048】
また、子局端末10A,10Bから発信された無線信号をアンテナ局30から親局20に向けて伝送して上位ネットワーク12に送出する場合、すなわち、アンテナ局30が送信側の装置(端末局)となると共に親局20が受信側の装置(端末局)となる場合も上述の場合と同様の処理が行われる。この場合には、子局端末10A,10Bから発信された無線信号は、アンテナ局30の各アンテナ9a,9b,9cによって受信されて無線信号(電気信号)RWa,RWb,RWcとして出力される。
【0049】
このため、アンテナ局30は、送信側の装置の仕組みとして、光源31と、各アンテナ9a,9b,9cに対応する複数の光変調器32a,32b,32cと、送信側波長分散制御器33a,33bとを備える。
【0050】
また、親局20は、受信側の装置の仕組みとして、光分岐素子29と、各アンテナポート2a,2b,2cに対応する複数の受信側波長分散制御器25a,25b,25cと、光検波器26a,26b,26cとを備える。
【0051】
そして、各アンテナ9a,9b,9cとの入出力と各アンテナポート2a,2b,2cとの入出力という差異はあるものの、アンテナ局30の送信側の装置としての仕組みである光源31、各光変調器32a,32b,32c、各送信側波長分散制御器33a,33bの働きは上述の送信側の装置としての親局20の光源21、各光変調器22a,22b,22c、各送信側波長分散制御器23a,23bとそれぞれ同じであり、親局20の受信側の装置としての仕組みである光分岐素子29、各受信側波長分散制御器25a,25b,25c、各光検波器26a,26b,26cの働きは上述の受信側の装置としてのアンテナ局30の光分岐素子39、各受信側波長分散制御器35a,35b,35c、各光検波器36a,36b,36cとそれぞれ同じである。
【0052】
なお、アンテナ局30の第三の光変調器32cから親局20の光分岐素子29に対して光信号を伝送するための光ファイバ回線37が設けられる。
【0053】
以上のように構成された本発明の光ファイバ無線通信システムによれば、親局とアンテナ局とを上り・下り別一本ずつ合計二本のみの光ファイバ回線で接続することで複数のアンテナポートと複数のアンテナとの間でやりとりされる複数種類の信号の伝送を行うことができるので、従来のようにアンテナ局(リモートアンテナ)のアンテナの本数の二倍の光ファイバ回線を敷設する場合に比べて整備コストを低廉にすることが可能であり、MIMO方式の信号伝送と光ファイバ回線との組み合わせの汎用性、さらに、MIMO方式の信号伝送自体の汎用性の向上を図ることが可能になる。また、本発明の光ファイバ無線通信システムは、個々の子局端末には変更を加えることなく導入することができるので、この点からもMIMO方式の信号伝送と光ファイバ回線との組み合わせの汎用性、さらに、MIMO方式の信号伝送自体の汎用性の向上を図ることが可能になる。
【0054】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、光源21・31から出射された光搬送波を第一の光変調器22a・32aによって強度変調するようにしているが、これに限られず、光源21・31に信号Sa・RWaを直接入力して変調するようにしても良い。
【0055】
また、上述の実施形態では上り・下り別一本ずつ合計二本の光ファイバ回線27,37を設けるようにしているが、波長分割多重を用いて上下回線のRoF信号を一本の光ファイバに多重するようにして光ファイバ回線を一本のみ用いる構成にしても良い。
【0056】
また、図2に示すアンテナ局30の光ファイバの光分岐素子39と各受信側波長分散制御器35a,35b,35cとの接続の構成を、図5に示すように、受信側波長分散制御器35a,35b,35cを連続的に挿入する(言い換えると、直列的に並べる)と共にその間に光分岐素子39a,39bを配置して光分岐を行う構成にしても良い。なお、この場合に各受信側波長分散制御器35a,35b,35cによって付加する分散量D3',D4',D5'は前述の分散量D3,D4,D5を用いて以下のように表される。
D3'=D3
D4'=D4−D3
D5'=D5−D4
【0057】
さらに、図2では入力側(送信側)の光変調器の数と出力側(受信側)の光検波器の数とが等しい例を示しているが、例えば出力側での光分岐素子29・39の分岐数を増やしてアンテナ数を増加させ、入力側の光変調器の数と出力側の光検波器の数とが異なる構成にしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、アンテナ局30が三本のアンテナ9a,9b,9cを有すると共に親局20内のMIMO親局2が三つのアンテナポート2a,2b,2cを有する場合を例に挙げて説明したが、アンテナ局30のアンテナの本数及びMIMO親局2のアンテナポートの数はこれには限られない。
【0059】
具体的に例えば、アンテナ局30が二本のアンテナを有すると共にMIMO親局2が二つのアンテナポートを有する場合には、親局20からアンテナ局30に向けて信号を伝送する際であれば、親局20において信号Saを入力情報として光搬送波を強度変調すると共に波長分散量D1を付加し、さらに信号Sbを入力情報として強度変調して光ファイバ回線27に出射し、そして、アンテナ局30において二つに分岐された光の一方に波長分散量D2を付加すると共に他方に波長分散量D3を付加する。このときの各波長分散量D1,D2,D3の大きさを例えば図6に示すような値として調整すれば良い。この場合は二つの無線信号を互いに干渉無く独立に伝送できることから、MIMO信号に限らず、一般的な無線信号の多重伝送に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
2 MIMO親局
12 上位ネットワーク
20 親局
30 アンテナ局
21・31 光源
22・32 光変調器
23・33 送信側波長分散制御器
25・35 受信側波長分散制御器
26・36 光検波器
27・37 光ファイバ回線
29・39 光分岐素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを有して子局端末との間でMIMO方式の信号伝送を行うアンテナ局と前記複数のアンテナのそれぞれに対応する複数のアンテナポートを有し上位ネットワークと接続されたMIMO送受信機を有する親局とのそれぞれに、信号送信の仕組みとして、光源と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて各前記アンテナポートから出力される信号若しくは各前記アンテナが受信した電波の信号を入力情報として光を強度変調して出力する光変調器と、当該光変調器(前記親局若しくは前記アンテナ局から光を出力する直前の光変調器を除く)それぞれの出力側に設けられて前記光変調器から出力される光に波長分散を付加する送信側波長分散制御器と、前記親局若しくはアンテナ局から光を出力する直前の光変調器と接続され信号送信先の前記アンテナ局若しくは前記親局に向けて敷設される光ファイバとを設けると共に、信号受信の仕組みとして、信号送信元の前記アンテナ局若しくは前記親局から敷設された前記光ファイバ回線から入射される光を前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応させて分岐する光素子と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて前記光素子によって分岐された光に波長分散を付加する受信側波長分散制御器と、前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応づけられて前記受信側波長分散制御器から出射された光を受信して光/電気変換し前記アンテナポート若しくは前記アンテナに対して出力する光検波器とを設け、信号送信する際に、前記光源が出射した光搬送波に対して前記アンテナポートから出力される信号若しくは前記アンテナが受信した電波の信号を入力情報として前記光変調器によって光を強度変調することと当該強度変調された光(前記親局若しくはアンテナ局から光を出力する直前の光変調器によって強度変調された光を除く)に前記送信側波長分散制御器によって波長分散を付加することとの組み合わせを前記複数のアンテナポート若しくはアンテナのそれぞれに対応させて連続して行うと共に、信号受信する際に前記光素子によって分岐された光のそれぞれに前記受信側波長分散制御器によって波長分散を付加して、送信側の光源から受信側の光検波器まで伝搬する光に与えられる波長分散量を前記送信側波長分散制御器及び前記受信側波長分散制御器によって調整することにより、各前記光検波器から出力される各前記アンテナポートから出力される信号若しくは各前記アンテナが受信した電波の信号の強度の比率を前記光検波器毎に違えることを特徴とする光ファイバ無線通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate