説明

光ファイバ磁気センサ

【課題】金属製の耐水圧容器を用いることなく高圧力下でも使用可能な光ファイバ磁気センサを提供する。
【解決手段】光ファイバ磁気センサは、センシング光ファイバコイル3a、センシング光ファイバコイル3aに接着された磁歪材料3b及びこの磁歪材料3bに交流磁界を印加するための励磁コイル3cを有する磁気センシング部3と、内部に磁気センシング部3が収納された容器1とを備え、容器1内に油などの液体2が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ磁気センサの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光ファイバ磁気センサに用いられている磁気センシング部として、例えば、コの字形に形成された磁歪材料と、この磁歪材料の2辺にそれぞれ巻回されて接着された2本の光ファイバコイルと、磁歪材料の端部対向面に両端が固着された強磁性材料と、磁歪材料の各辺に巻回方向が異なるように巻かれたトロイダルコイルと、2本の光ファイバコイルの各一端がそれぞれ接続され、入力側が光源と接続された光入力用の光カプラと、2本の光ファイバコイルの各他端がそれぞれ接続され、出力側がO/E変換器と接続された光出力用の光カプラとで構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の磁気センシング部として、例えば、長円状に巻回されたセンシング光ファイバコイルと、このセンシング光ファイバコイルの平坦部に接着された磁歪材料と、磁歪材料の周囲に設けられた励起コイルとで構成されたものがある。センシング光ファイバコイルの一端は、入力側が光源と接続された光入力用の光カプラと接続され、その光ファイバコイルの他端は、出力側がO/E変換器と接続された光出力用の光カプラと接続されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3030358号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特許第3493552号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の光ファイバ磁気センサを水中用として使用する場合、又は地中用として使用する場合、磁気センシング部を耐圧性のある容器に収納するが、容器に耐圧性に優れた金属材料を使用した場合には、その金属材料がトロイダルコイルや励起コイルに発生する磁界により磁化されたり、金属材料に渦電流が生じることがあり、このような状態になった場合には、その影響で磁気信号の検出精度が低下する虞があった。また、磁化、渦電流などの影響を受けない容器の材料として、樹脂やセラミックなどの非磁性絶縁材があるが、高い耐圧性が得られなかった。また、直接海水などに曝した場合は、磁歪材料などが急激に劣化するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光ファイバ磁気センサは、センシング光ファイバコイル、センシング光ファイバコイルに接着された磁歪材料及びこの磁歪材料に交流磁界を印加するための励磁コイルを有する磁気センシング部と、内部に磁気センシング部が収納された容器とを備え、この容器内に液体が充填されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、磁気センシング部を液体が充填された容器内に収納したので、金属製の耐水圧容器と同様に高圧力下でも使用が可能になり、検出精度が低下することなく磁気信号を検出することができる。また、直接海水などに曝すことがないので、磁歪材料などが急激に劣化することもないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態6に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。
図中に示す容器1は、例えばゴムなどの弾性部材により形成され(以下、容器を「ゴム容器」という)、その内部には、液体2が充填され、その中に磁気センシング部3が設けられている。液体2は、磁気センシング部3を化学変化などで劣化させないような例えば油やフッ素系不活性液体などが用いられている。磁気センシング部3は、長円状に複数回巻かれて形成されたセンシング光ファイバコイル3aと、このセンシング光ファイバコイル3aの対向する平坦部の両側或いは片側にそれぞれ接着された例えばアモルファス金属からなるシート状の磁歪材料3bと、この磁歪材料3bの外側に間隙を有して巻回された交流磁界を発生させるための励磁コイル3cとで構成されている。センシング光ファイバコイル3aは、一端が光カプラ4と接続され、他端がミラー5と接続されている。リファレンス光ファイバ6は、一端が光カプラ4と接続され、他端がミラー7と接続されている。
【0010】
励磁信号発生器10は、磁気センシング部3の励磁コイル3cと接続され、光源11は、光カプラ4の入力側と変調信号発生器12とに接続され、O/E変換器13は、光カプラ4の出力側と接続されている。復調器14は、位相復調器14aとAM復調器14bとからなり、その位相復調器14aは、O/E変換器13と変調信号発生器12とに接続され、AM復調器14bは、その位相復調器14aと励磁信号発生器10とに接続されている。
【0011】
前述したゴム容器1、ゴム容器1内に液体2と共に入れられた磁気センシング部3、光カプラ4、ミラー5、7及びリファレンス光ファイバ6によりマイケルソン光干渉計(以下、単に「光干渉計」という)が構成され、水中に設けられている。そのため、光カプラ4とミラー5、7には、耐水圧性の高いものが使用されている。また、励磁信号発生器10、光源11、変調信号発生器12、O/E変換器13及び復調器14は、空中に設置されている。
【0012】
前記のように構成された光ファイバ磁気センサにおいては、励磁信号発生器10からの励磁信号が容器1内の磁気センシング部3の励起コイル3cに印加されると、その励起コイル3cに交流磁界が発生し、その交流磁界によって磁歪材料3bが歪み、この磁歪材料3bの歪みによりセンシング光ファイバコイル3aが伸縮する。この時、そのセンシング光ファイバコイル3aを伝搬する光源12からのレーザ光の位相が変化し、光カプラ4によってリファレンス光ファイバ6からのレーザ光と干渉される。レーザ光は、変調信号発生器12の変調信号により変調された光である。光カプラ4により干渉されたレーザ光は、O/E変換器13により電気信号に変換され、位相復調器14aに入力される。この位相復調器14aは、変調信号発生器11の変調信号を用いて、O/E変換器13からの入力信号の位相をパッシブホモダイン処理(又はヘテロダイン処理)で復調しAM復調器14bに出力する。AM復調器14bは、その入力信号を励磁信号発生器10からの励磁信号の周波数でAM復調し、測定対象の磁気信号を検出する。
【0013】
ところで、ゴム容器1に収納された磁気センシング部3には、ゴム容器1内に充填された液体2により静水圧が均一に加わっており、そのため、高圧力下でも破損することなく、前述した動作を行う。
【0014】
以上のように実施の形態1によれば、ゴム容器1内に充填された液体2の中に磁気センシング部3を設けたので、金属製の耐水圧容器を用いることなく高圧力下でも使用が可能になり、そのため、精度が低下することなく磁気信号を検出することができる。また、磁気センシング部3を海水に曝すことがないので、磁歪材料3bなどの劣化を防止することもできる。
【0015】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
本実施の形態は、光カプラ4とミラー7との間に設けられたリファレンス光ファイバ6に音圧感度調整部8を設けたものである。この音圧感度調整部8は、リファレンス光ファイバ6を複数回コイル状に巻き、その部分を例えば金属などの部材で覆ったものである。音圧感度は、コイル状のリファレンス光ファイバ6の長さ、その光ファイバ6と前記部材の弾性係数、前記部材の遮音特性で調整される。また、光干渉計で受ける音圧が復調器14の出力に現れる周波数帯において、センシング光ファイバコイル3aの受ける音圧とほぼ同じ音圧をリファレンス光ファイバ6が受けられるように、磁気センシング部3が収納されたゴム容器1とリファレンス光ファイバ6とが互いに接近して設けられている。
【0016】
実施の形態2における光ファイバ磁気センサは、前述した実施の形態1と同様に動作し、測定対象の磁気信号を検出する。センシング光ファイバコイル3aと音圧感度調整部8を備えたリファレンス光ファイバ6は、それぞれ同じ感度の音圧を受けることになる。一方、励起コイル3cから発生した交流磁界により磁歪材料3bが歪み、この磁歪材料3bの歪みによりセンシング光ファイバコイル3aが伸縮するので、そのセンシング光ファイバコイル3aを伝搬するレーザ光の位相が変化し、リファレンス光ファイバ6を伝播するレーザ光と位相差が生じ、O/E変換器13を介して復調器14に入力される。一方、各光ファイバ3a、6に音圧が加わった場合、各光ファイバ3a、6の音圧感度がほぼ同じであるため、復調器14の出力に現れる音圧による雑音が低減され、測定対象の磁気信号が検出される。
【0017】
このように実施の形態2においては、センシング光ファイバコイル3aの受ける音圧とほぼ同じ感度の音圧をリファレンス光ファイバ6が受けるように、その光ファイバ6に音圧感度調整部8を設けたので、復調器14の出力に現れる雑音が実施の形態1と比べ低くなり、より小さい磁気信号も検出することが可能になる。
【0018】
実施の形態3.
図3は本発明の実施の形態3に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1の光ファイバ磁気センサに用いられた磁気センシング部3と同じ構造の第1磁気センシング部31と第2磁気センシング部32をゴム容器1内に収納したものである。この容器1内には、前述したように液体2が充填されている。第1及び第2磁気センシング部31、32は、構造が同じであるため、音圧感度が同一となる。なお、第1及び第2磁気センシング部31、32の各磁歪材料3bの外側にそれぞれ巻回された励磁コイル3cは、巻き方向が互いに逆になっている。
【0019】
本実施の形態においては、第1及び第2磁気センシング部31、32のそれぞれのセンシング光ファイバコイル3aを通過したレーザ光の位相は、各光ファイバコイル3aの歪みによりそれぞれ変化し、光カプラ4により干渉光となってO/E変換13に入力され、位相差のある電気信号に変換される。そして、この位相差は、前述したように、位相復調器14aによりパッシブホモダイン処理で復調され、AM復調器14bによりAM復調され、測定対象の磁気信号が検出される。一方、第1及び第2磁気センシング部31、32の各光ファイバコイル3aに音圧が加わった場合、各光ファイバ3a、6の音圧感度がほぼ同じであるため、復調器14の出力に現れる音圧による雑音が低減される。
【0020】
また、第1及び第2磁気センシング部31、32は、液体2が充填されたゴム容器1内に収納されているため、第1及び第2磁気センシング部31、32には、その液体2により圧力が均一に加わっており、高圧力下でも破損することなく、前述した動作を行う。
【0021】
以上のように実施の形態3によれば、ゴム容器1内に充填された液体2の中に第1及び第2磁気センシング部31、32を設けたので、金属製の耐圧容器を用いることなく高水圧下の水中でも使用が可能になっている。また、第1及び第2磁気センシング部31、32を海水に曝すことがないので、磁歪材料3bなどの劣化も防止することができる。また、第1及び第2磁気センシング部31、32の構造が同じで、音圧感度が同一であるため、復調器14の出力に現れる雑音が実施の形態1と比べ低くなり、より小さい磁気信号も検出することが可能になる。
【0022】
なお、前述した第1及び第2磁気センシング部31、32の光ファイバに実施の形態2に示す音圧感度調整部8を設けて、双方の音圧感度の誤差を調整するようにしてもよい。
【0023】
また、前記の実施の形態3では、実施の形態1に示す磁気センシング部3と同じ構造の第1及び第2磁気センシング部31、32をゴム容器1内に収納したことを述べたが、これに限定されるものではない。例えば、コの字形の磁歪材料、この磁歪材料の平行な2辺にそれぞれ接着された2つの光ファイバコイル、コの字形の磁歪材料に強磁性材を取り付けて環状にし、その磁歪材料の2辺に巻回方向が異なるように巻かれたトロイダルコイル、各光ファイバコイルの両端に接続された2つの光カプラ、環状の磁歪材料の外周に間隙を有して巻かれたソレノイドコイルなどでなる磁気センシング部をゴム容器1に収納するようにしてもよい。その場合、一方の光カプラは光源11と接続され、もう一方の光カプラはO/E変換器13と接続される。また、AM復調器14bの出力側にソレノイドコイルと接続される帰還制御信号発生器を設ける。
【0024】
また、前述したように、コの字形の磁歪材料、この磁歪材料の平行な2辺にそれぞれ接着された2つの光ファイバコイル、コの字形の磁歪材料に強磁性材を取り付けて環状にし、その磁歪材料の2辺に巻回方向が異なるように巻かれたトロイダルコイルにより形成される磁気回路を、直交する3方向に配置してなる磁気センシング部をゴム容器1に収納するようにしてもよい。
【0025】
また、他の磁気センシング部として、例えば、長円状に巻回さた2つの光ファイバコイル、各光ファイバコイルの互いに対向する平坦部にそれぞれ接着された磁歪材料、各光ファイバコイルに接着された磁歪材料の両端が互いに磁気的に結合されるように設けられたヨーク、同じ光ファイバコイルに接着された磁歪材料には同じ方向の磁界が加わるように、また、一方の光ファイバコイルに接着された磁歪材料ともう一方の光ファイバコイルに接着された磁歪材料とには互いに逆方向の磁界が加わるように巻回された励磁コイル、各光ファイバコイルの両端に接続された2つの光カプラなどからなるものであってもよい。その場合、一方の光カプラは光源11と接続され、もう一方の光カプラはO/E変換器13と接続される。
【0026】
実施の形態4.
図4は本発明の実施の形態4に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。また、測定対象の磁気信号検出時の動作についても実施の形態1と同じであるため説明を割愛する。
【0027】
本実施の形態は、ゴム容器1に代えて、例えば、セラミック、ガラス、セメント、石材などの非磁性で導電性の低く、遮音効果の高い材料の筐体1a(以下、「非磁性筐体1a」という)を用いたものであり、充填された液体2の中に磁気センシング部3が設けられている。この非磁性筐体1aは、周囲で発生する音を遮断し、非磁性筐体1a内の磁気センシング部3のセンシング光ファイバ3aに加わる音圧を減衰させる。
【0028】
以上のように実施の形態4においては、液体2が充填された非磁性筐体1aを水中に用いるようにしたので、外圧に対する剛性が強く、そのため、空洞の非磁性筐体や非磁性材料の耐圧容器と比べ高い耐水圧性が得られている。
また、センシング光ファイバ3aは、励磁コイル3cから発生する交流磁界の周波数近傍の音を感知する程の感度を有しているが、遮音効果の有する非磁性筐体1aを用いているので、復調器14の出力に現れる雑音が低く、より小さい磁気信号も検出ができる。
また、非磁性で渦電流の影響も小さい筐体を用いているため、検出精度を低下させることなく測定対象の磁気信号を検出することができ、直接海水に曝すことがないので、磁歪材料などを劣化させることもない。
【0029】
なお、光カプラ4とミラー7の間に設けられたリファレンス光ファイバ6に、実施の形態2で説明した音圧感度調整部8を設けて、復調器14の出力に現れる雑音をより低減させるようにしてもよい。
【0030】
実施の形態5.
図5は本発明の実施の形態5に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。また、測定対象の磁気信号検出時の動作についても実施の形態1と同じであるため説明を割愛する。
【0031】
本実施の形態は、磁気センシング部3が収納された非磁性筐体1aと、この非磁性筐体1aの例えば上部に連結されたゴム容器1とからなるものを水中に設けるようにしたものである。非磁性筐体1aの上部面のほぼ中央にオリフィス9が設けられ、非磁性筐体1aとゴム容器1の両方には液体2が注入されている。
【0032】
非磁性筐体1aのキャビティの容積、液体2の弾性係数とオリフィス9の形状で決まるヘルムホルツ共振を励磁コイル3cから発生する交流磁界の周波数より低くし、かつ、非磁性筐体1aの内部に伝わる音圧が減衰するように非磁性筐体1aのキャビティの容積、液体2の弾性係数とオリフィス9の形状が決められている。また、ゴム容器1の容積は、使用する環境の静水圧による体積収縮分の液体2を非磁性筐体1a内に供給できる容積とする。
【0033】
本実施の形態においては、非磁性筐体1aはヘルムホルツ共振より高い周波数の音を減衰させ、非磁性筐体1aに収納された磁気センシング部3のセンシング光ファイバ3aに加わる音圧を低減させる。外部水圧による静水圧が変化すると、ゴム容器1と非磁性筐体1aの間で液体2がオリフィス9を通って移動し、非磁性筐体1aの内外で圧力平衡が保たれる。
【0034】
このように、非磁性筐体1aの内外で圧力平衡状態となるため、実施の形態4の非磁性筐体1aよりも高い耐水圧が得られ、復調器14の出力に現れる周波数帯の音が非磁性筐体1aにより低減されるため、より小さい磁気信号も検出することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、非磁性筐体1aの上部にゴム容器1を連結させるようにしたが、非磁性筐体1aの下部にゴム容器1を連結させても同じ効果を奏する。
【0036】
また、光カプラ4とミラー7の間に設けられたリファレンス光ファイバ6に、実施の形態2で説明した音圧感度調整部8を設けて、復調器14の出力に現れる雑音をより低減させるようにしてもよい。
【0037】
実施の形態6.
図6は本発明の実施の形態6に係る光ファイバ磁気センサを示す概略構成図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同一又は相当部分には同じ符号を付し説明を省略する。また、測定対象の磁気信号検出時の動作についても実施の形態1と同じであるため説明を割愛する。
【0038】
本実施の形態は、図中に示すように、一体に形成されたゴム容器1と非磁性筐体1aの液体2の中に、空気などの気体をゴムなどの弾性部材で包んだ物(以下、「気泡入り部材91」という)を入れたものである。なお、気泡入り部材91として、複数の小さな気泡を有するゴムなどであってもよいし、また、気体を入れた袋であってもよい。
【0039】
本実施の形態においては、ゴム容器1と非磁性筐体1aの液体2中に設けられた気泡入り部材91により、外部からの音が吸収されたり反射されたりし、また散乱されたりして、音圧が低下する。また、非磁性筐体1aの中に設けられた気泡入り部材91によって、キャビティの容積弾性係数が低くなり、ヘルムホルツ共振がより低い周波数に移り、非磁性筐体1aでの音の減衰が大きくなる。
【0040】
以上のように、ゴム容器1と非磁性筐体1aの液体2の中に気泡入り部材91を入れたので、復調器14の出力に現れる雑音が実施の形態5よりもさらに低くなり、より小さい磁気信号も検出することができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、ゴム容器1と非磁性筐体1aの液体2の中に気泡入り部材91を入れて説明したが、その非磁性筐体1aの外周に設けて、センシング光ファイバ3aに加わる音圧を低減させるようにしてもよい。また、そのゴム容器1の外周に設けてもよい。
【0042】
また、実施の形態1のゴム容器1や、実施の形態4の非磁性筐体1aの中に気泡入り部材91を入れて、センシング光ファイバ3aに加わる音圧を低減させるようにしてもよい。
【0043】
また、光カプラ4とミラー7の間に設けられたリファレンス光ファイバ6に、実施の形態2で説明した音圧感度調整部8を設けて、復調器14の出力に現れる雑音をより低減させるようにしてもよい。
【0044】
前述した各実施の形態では、光カプラ4とミラー5、7をゴム容器1や非磁性筐体1aの外に配置したことを述べたが、光カプラ4とミラー5、7をゴム容器1や非磁性筐体1aの中に収めるようにしてもよい。
【0045】
また、実施の形態4以外の実施の形態では、ゴム容器1の内部が外部と同じ静水圧を受ける例を説明したが、ある程度の剛性があるゴム容器1を用いて、その容器内外で圧力差が生じてもよい。
【0046】
また、各実施の形態では、マイケルソン光干渉計を用いる例を示したが、これに代えて、マッハ・ツェンダ光干渉計など他の型の光干渉計を用いることもできる。
【0047】
さらに、O/E変換器13の出力をパッシブホモダイン又はヘテロダイン処理で復調するようにしたが、アクティブホモダインのようにO/E変換器13の出力で位相復調後と同等の出力を得る方法を用いることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 ゴム容器、1a 非磁性筐体、2 液体、3 磁気センシング部、31 第1磁気センシング部、32 第2磁気センシング部、3a センシング光ファイバ、3b 磁歪材料、3c 励磁コイル、4 光カプラ、5,7 ミラー、6 リファレンス光ファイバ、8 音圧感度調整部、9 オリフィス、91 気泡入り部材、10 励磁信号発生器、11 光源、12 変調信号発生器、13 O/E変換器、14 復調器、14a 位相復調器、14b AM復調器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシング光ファイバコイル、センシング光ファイバコイルに接着された磁歪材料及びこの磁歪材料に交流磁界を印加するための励磁コイルを有する磁気センシング部と、
内部に前記磁気センシング部が収納された、弾性材からなる容器とを備え、
前記容器内に液体が充填されていることを特徴とする光ファイバ磁気センサ。
【請求項2】
センシング光ファイバコイル、センシング光ファイバコイルに接着された磁歪材料及びこの磁歪材料に交流磁界を印加するための励磁コイルを有する磁気センシング部と、
内部に前記磁気センシング部が収納された、遮音効果の高い部材からなる容器とを備え、
前記容器内に液体が充填されていることを特徴とする光ファイバ磁気センサ。
【請求項3】
センシング光ファイバコイル、センシング光ファイバコイルに接着された磁歪材料及びこの磁歪材料に交流磁界を印加するための励磁コイルを有する磁気センシング部と、
内部に前記磁気センシング部が収納された、遮音効果の高い非磁性部材からなる容器とを備え、
前記容器内に液体が充填されていることを特徴とする光ファイバ磁気センサ。
【請求項4】
センシング光ファイバコイル、センシング光ファイバコイルに接着された磁歪材料及びこの磁歪材料に交流磁界を印加するための励磁コイルを有する磁気センシング部と、
内部に前記磁気センシング部が収納された容器とを備え、
前記容器は、第1容器と、この第1容器に連結され、内部に前記磁気センシング部が収納された第2容器とからなり、
前記第1容器及び第2容器に液体が注入され、前記第2容器の第1容器と隔離する面に、水圧の変化に応じて前記液体を移動させるオリフィスが設けられていることを特徴とする光ファイバ磁気センサ。
【請求項5】
前記第1容器に弾性材を、前記第2容器に遮音効果の高い部材を用いたことを特徴とする請求項4記載の光ファイバ磁気センサ。
【請求項6】
少なくとも前記第2容器内の磁気センシング部の周辺に、音圧を低下させる部材を配置したことを特徴とする請求項4又は5記載の光ファイバ磁気センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145596(P2012−145596A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105766(P2012−105766)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2009−220544(P2009−220544)の分割
【原出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】