説明

光ファイバ純度センサを有するシステム

【課題】発電機内で冷却剤として用いられる気体純度監視において、室温や気体温度による変動を受けにくい純度測定センサおよびシステムを提供する。
【解決手段】システムは、発電機(12)であって、固定子、回転子、および発電機の内部を通る気体冷却剤経路(18)を備える発電機と、気体冷却剤経路を通る気体冷却剤(52)流の気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)とを含む。光ファイバ純度センサは、ファイバコアと、屈折率が周期的に変調される格子構造と、格子構造の周囲に位置決めされたファイバクラッドと、ファイバクラッドの周りに位置決めされた多層感知フィルムとを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、純度検出のためのシステムに関し、より詳細には、光ファイバ純度センサを使用するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
気体は、燃料電池、輸送、および発電などの多くの産業に及ぶ幅広い用途で使用される。たとえば水素は、発電機などの電気機器内で冷却剤として使用することができる。二酸化炭素および空気などの他の気体も、発電機内で使用することができる。水素の純度要件は、用途に応じて異なる。たとえば、発電機は、可燃性の気体混合物が生じるのを回避するために、高純度の水素を必要とすることがある。既存の水素純度を監視する計器は通常、熱伝導率検出(TCD)に基づく。TCDは、非特異性および非破壊性をもつ多目的の気体分析法であり、炎イオン化検出法より影響を受けにくい。TCDの分解能および精度は、制限されることがある。水素純度を監視する他の方法は、気体密度および差圧に基づく測定の使用を含む。しかし、これらの方法は、室温および気体温度によって引き起こされる変動の影響を受けやすい。したがって、前述の問題の1つまたは複数に対処するために、改善された純度測定センサおよびシステムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第12/754,391号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
最初に請求される本発明の範囲に相当する特定の実施形態について、以下に要約する。これらの実施形態は、請求される本発明の範囲を限定しようとするものではなく、これらの実施形態は、本発明の可能な形式の簡単な要約を提供することのみを目的とする。実際には、本発明は、下記の実施形態に類似している、または下記の実施形態とは異なる様々な形式を包含することができる。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、発電機であって、固定子、回転子、および発電機の内部を通る気体冷却剤経路を備える発電機と、気体冷却剤経路を通る気体冷却剤流の気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサとを含む。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、純度制御装置を含む気体純度制御システムと、気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサとを含む。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、気体冷却剤の気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサを含む。少なくとも1つの光ファイバ純度センサは、ファイバコアと、ファイバコアの周りに位置決めされた屈折率が周期的に変調される格子構造と、屈折率が周期的に変調される格子構造の周囲に位置決めされたファイバクラッドと、ファイバクラッドの周りに位置決めされた多層感知フィルムとを含む。多層感知フィルムは、複数の高屈折率材料層および低屈折率材料層からなる変調構造を備える。システムはまた、感知されたレベルが気体純度の閾値レベルを下回る場合に気体純度を増大させるための制御機能を開始するように構成された純度制御装置を含む。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されるであろう。図面全体にわたって、同じ文字は同じ部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態による光ファイバ純度センサを組み込む発電機システムのブロック図である。
【図2】一実施形態による光ファイバ純度センサを組み込む発電機システムのブロック図である。
【図3】一実施形態による光ファイバ純度センサを組み込む発電機システムの概略図である。
【図4】一実施形態による光ファイバ純度センサを組み込む発電機システムの部分横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による光ファイバ純度センサの概略図である。
【図6】一実施形態による光ファイバ純度センサを組み込む発電機を動作させるプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の特有の実施形態について、以下に説明する。これらの実施形態についての簡潔な説明を提供するために、本明細書では、実際の実装形態のすべての特徴について説明するわけではない。あらゆるそのような実際の実装形態の開発において、あらゆる工学または設計プロジェクトの場合と同様に、実装形態ごとに変動しうるシステム関連および事業関連の制約に対する準拠など、開発者の特有の目標を実現するには、多数の実装形態に特有の決定を行わなければならないことを理解されたい。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間のかかることもあるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとっては設計、製作、および製造という日常の業務であろうということを理解されたい。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素について述べるとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、記載の要素以外のさらなる要素も存在しうることを意味するものとする。
【0012】
以下に詳細に論じるように、開示する実施形態のいくつかは、固定子、回転子、および発電機の内部を通る気体冷却剤経路を含む発電機を対象とするシステムを含む。より一般には、他の実施形態は、タービン、燃焼エンジン、発電機、電気モータなどの任意の回転機械を含む。以下に論じるように、発電機などの電気機器に対する冷却剤として水素を使用することで、他の気体に勝るいくつかの利点を提供する。他の気体を発電機内で使用することもできる。開示するシステムはまた、気体冷却剤経路を通る気体冷却剤流の気体純度を感知するように構成できる少なくとも1つの光ファイバ純度センサを含む。気体純度の監視は、電気電子技術者協会(IEEE)規格などの業界規格の要件となることがある。以下に詳細に説明するように、光ファイバ純度センサは、センサが気体冷却剤の気体純度を感知できるようにともに働くいくつかの構成要素を含むことができる。たとえば、光ファイバ純度センサは、様々なコーティング、または感知層を含むことができ、コーティングはそれぞれ、センサが異なる気体純度レベルを検出できるようにすることができる。特定の実施形態では、光ファイバ純度センサは、空気中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第1のコーティングと、二酸化炭素(CO2)中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第2のコーティングと、空気中のCO2レベルの検出を可能にするように構成された第3のコーティングとを含むことができる。発電機内で光ファイバ純度センサを使用することで、圧力、温度、および流量センサなどの他の光ファイバセンサの追加を容易にすることができる。そのような光ファイバセンサはすべて、同じ呼掛け器システムを共用することができ、それによって資本、保守、および動作上の費用を潜在的に低減させることができる。以下に詳細に説明するように、呼掛け器システムは、光信号を解釈して、監視されるパラメータの値にする。さらに、他のセンサと比較すると、光ファイバセンサは、寸法が小さいこと、電力を必要としないこと、多重化が可能であること、電界および/または磁界に耐えること、高温および/または高圧に適していること、精度が高いことなどのいくつかの利点を提供する。
【0013】
開示する実施形態のいくつかは、純度制御装置を含む気体純度制御システム、および気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサを対象とする。純度制御装置は、感知されたレベルが気体純度の閾値レベルを下回る場合に気体純度を増大させるための制御機能を開始するように構成することができる。特定の実施形態では、気体純度の閾値レベルは、気体冷却システム内部で可燃性の混合物を回避することに基づくことができる。純度制御装置によって開始できる制御機能の例には、低純度の気体の一部分を排出すること、および/またはさらなる高純度の気体を追加することが含まれる。したがって、光ファイバ純度センサからの精密なフィードバックを使用することによって、冷却制御装置は、気体冷却システムを所望の動作窓内で維持するのを助けることができる。
【0014】
図1は、一実施形態による発電機システム10のブロック図である。発電機システム10は、発電機12を含むことができる。発電機12は、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するデバイスである。機械的エネルギー源は、駆動シャフト16を介して発電機12に結合されたエンジン14とすることができる。エンジン14の例には、それだけに限定されるものではないが、蒸気タービンエンジンおよびガスタービンエンジンが含まれる。動作中、発電機12は熱を生成することがあるが、この熱は、冷却剤を使用して除去することができる。発電機12内で使用できる冷却剤の例には、それだけに限定されるものではないが、空気、水、水素、ヘリウムなどが含まれる。図示の実施形態では、発電機12は、水素冷却剤経路18を含む。水素冷却剤経路18は、発電機12内部、発電機12の外部表面付近、または熱を除去できる場所ならどこにでも配置することができる。したがって、水素冷却剤経路18は、発電機12を通って水素を運ぶ通路、導管、またはパイプを含むことができる。水素は、発電機12に使用できる他の冷却剤と比較すると、いくつかの利点を提供する。具体的には、水素は、低い密度、高い比熱、および高い熱伝導率を有する。これらの特質のため、冷却剤として水素を使用する発電機12は、空気などの他の冷却剤を使用する発電機12より小さくかつ安価にすることができる。
【0015】
発電機12内で熱を除去した後、温かい水素20を、たとえばシェルおよびチューブ熱交換器またはプレート熱交換器などの水素熱交換器22へ誘導することができる。水素熱交換器22は、温かい水素20から熱を除去し、冷たい水素24を水素冷却剤経路18へ返して、発電機12からさらなる熱を除去するために使用される。したがって、発電機12内で使用される水素は、本質的な閉ループ内を循環する。水素冷却剤経路18内の水素の圧力は、約400キロパスカル(kPa)、500kPa、または600kPaより大きくすることができる。水素冷却剤経路18内の水素の純度は、酸素の存在によって引き起こされるコロナ放電の可能性を低減させるのを助けるために、非常に高くすることができる。たとえば、水素冷却剤経路18内の水素の純度は、約95パーセント、98パーセント、または99パーセントより大きくすることができる。
【0016】
水素熱交換器22を通って循環する水素から熱を除去するために、冷却剤を使用することができる。冷却剤は、水、冷媒、熱交換流体などの液体とすることができる。水素熱交換器22からの温かい冷却剤26を、冷却剤熱交換器28へ誘導することができる。冷却剤熱交換器28は、温かい冷却剤26から熱を除去するように構成することができる。冷却剤熱交換器28は、シェルおよびチューブ熱交換器、プレート熱交換器、または任意の他の適したタイプの熱交換器とすることができる。冷たい冷却剤30は、冷却剤熱交換器28から水素熱交換器22へ誘導することができ、それによって本質的な閉ループシステムを作ることができる。他の実施形態では、冷却剤熱交換器28を省略することができ、閉ループシステムの代わりに開ループ冷却剤システムを使用することができる。たとえば、温かい冷却剤26は、湖沼または河川などの大きな貯水池の一部分へ誘導される冷却水とすることができ、冷たい冷却剤30は、貯水池の別の部分から得られる冷却水とすることができる。水素熱交換器22と冷却剤熱交換器28はともに、水素冷却ユニットまたは水素冷却システム32と呼ぶことができる。
【0017】
発電機12内部には、水素冷却剤経路18に沿って様々な位置を監視するように構成された1つまたは複数の光ファイバセンサ34を配置することができる。光ファイバセンサ34は、空気中の水素レベル、CO2中の水素レベル、または空気中のCO2レベルという気体純度レベルの少なくとも1つを監視または検出するように構成することができる。光ファイバセンサ34については、以下により詳細に説明する。光ファイバセンサ34には呼掛け器36を結合することができ、呼掛け器36を使用して、光ファイバセンサ34からの信号に基づいて気体純度レベルを判定することができる。具体的には、光ファイバケーブル38は、光ファイバセンサ34と呼掛け器36を接続することができる。光ファイバセンサ34は、光ファイバケーブル38に沿って光ファイバ信号を送り、次いで信号は、呼掛け器36によって気体純度の読取り値に解釈される。呼掛け器36からの気体純度情報は、信号42を介して制御システム40へ送ることができる。たとえば、信号42は、4mA〜20mAの電気信号とすることができ、ワイアを介してまたは無線で伝送することができる。制御システム40は、独立型のプロセス制御システム、またはより大きなプロセス制御システムの一部とすることができる。制御システム40に使用できる技術の例には、それだけに限定されるものではないが、開もしくは閉ループ制御、線形もしくは非線形制御、プログラム可能論理制御装置(PLC)、分散型制御システム(DCS)、モデル予測制御、統計プロセス制御、または他の高度なプロセス制御方法が含まれる。さらに、制御システム40は、純度制御装置43、エンジン制御装置44、発電機制御装置46、冷却制御装置48などを含むことができる。様々な入力に基づいて、制御装置43、44、46、および48は、出力信号50を発電機システム10の様々な構成要素へ送ることができる。たとえば、純度制御装置43は、呼掛け器36から信号42を受け取り、出力信号50を気体制御デバイス51へ送ることができる。気体制御デバイス51は、発電機12に出入りする気体の流量を制御するために、1つまたは複数の制御弁53を含むことができる。エンジン制御装置44は、信号42を受け取り、出力信号50をエンジン14へ送ることができる。気体純度情報が閾値内でない場合、エンジン制御装置44は、停止するようにエンジン14に指示することができる。同様に、発電機制御装置46および冷却制御装置48は、気体純度情報に基づいて、出力信号50をそれぞれ発電機12および冷却システム32へ送ることができる。
【0018】
動作中、発電機12から漏れたり除去されたりした可能性のある任意の水素と交換するために、発電機12に水素52を供給することができる。さらに、水素52は、発電機12を最初に使用するときに発電機12に供給することができる。以下に詳細に説明するように、水素52は、発電機12の保守を準備するときにCO254で置き換えることができる。不燃性の気体として、CO254は、水素52と安全に組み合わせることができる。置き換えられた水素52は、パージ56へ送られる。すべて、または実質的にすべての水素52がCO254によって置き換えられた後、CO254を空気58で置き換えることができる。したがって、CO254は、パージ56へ送られる。すべて、または実質的にすべてのCO254が空気58で置き換えられた後、発電機12は、保守する準備ができているであろう。
【0019】
図2は、発電機システム10の別の実施形態のブロック図である。図1に示すものと共通の図2内の要素には、同じ参照番号を付ける。図示の実施形態では、光ファイバセンサ34は、発電機12内部に配置されていない。その代わり、気体サンプリング管材または配管70は、発電機12から光ファイバセンサ34へ気体を運ぶことができ、光ファイバセンサ34は、制御パネル72内に配置することができる。したがって、いくつかの実施形態では、水素冷却剤経路18は、発電機12内部の内部部分と管材70を含む外部部分の両方を含むことができる。管材70は、水素冷却剤ラインと呼ばれることもある。管材70は、304ステンレス鋼または316ステンレス鋼などの材料から作ることができ、たとえば約3mm、6mm、9mm、または12mmの外径を有することができる。管材70は、少量の気体を発電機12内部から光ファイバセンサ34へ運ぶ。上記のように、呼掛け器36は、光ファイバセンサ34からの信号に基づいて気体純度情報を判定する。呼掛け器36は、気体純度情報を、制御パネル72内に配置された1つまたは複数のディスプレイ74へ送ることができる。ディスプレイ74により、制御パネル72付近に立っている操作者は、気体純度情報を観察することができる。制御パネル72はまた、ユーザ入力パネル76を含むことができ、ユーザ入力パネル76により、操作者は、光ファイバセンサ34、呼掛け器36、および/またはディスプレイ74へ入力を提供することができる。たとえば、ユーザ入力パネル76により、操作者は、制御パネル72の構成要素のいずれかの構成または設定を変化させることができる。制御パネル72内に光ファイバセンサ34を配置することで、発電機12内部に光ファイバセンサ34を配置することに勝るいくつかの利点を提供することができる。たとえば、制御パネル72内に配置すると、光ファイバセンサ34によりアクセスしやすくなるため、光ファイバセンサ34の保守または交換をより容易にすることができる。発電機システム10の他の態様も、上記で詳細に説明したものに類似している。
【0020】
図3は、別の実施形態による発電機システム10の概略図である。図1に示すものと共通の図3内の要素には、同じ参照番号を付ける。図示の実施形態では、発電機12および水素冷却剤経路18のさらなる詳細を示す。具体的には、発電機12は、発電機12の固定部分である固定子90と、発電機12の回転部分である回転子92とを含むことができる。固定子90は、発電機12の外周付近に位置することができ、回転子92は、発電機12の中心軸付近に位置することができる。別法として、回転子92は、発電機12の外周付近に位置することができ、固定子90は、発電機12の中心軸付近に位置することができる。さらに、発電機12は、回転子92の回転を容易にするために、1つまたは複数の軸受システム94を含むことができる。軸受システム94は、発電機12内へ、または発電機12からの気体の漏れを防止するのを助けるために、1つまたは複数のシールを含むことができる。
【0021】
固定子90、回転子92、および/または軸受システム94はそれぞれ、1つまたは複数の冷却剤通路96を含むことができ、冷却剤通路96は、発電機12を通る冷却剤の循環を提供するように構成することができる。図示の実施形態では、冷却剤通路96は、構成要素の周囲に、構成要素に沿って前後に、またはこれらの組合せで延びるコイルまたは巻線とすることができる。いくつかの実施形態では、冷却剤通路96は、構成要素内で軸方向、円周方向、または径方向に延びることができる。図示の実施形態では、水素冷却剤経路18は、固定子90を通って延びる固定子冷却剤経路98、回転子92を通って延びる回転子冷却剤経路100、および/または軸受システム94を通って延びる軸受冷却剤経路102を含むことができる。具体的には、特定の実施形態では、冷たい水素24は、固定子90、回転子92、および/または軸受システム94の一方の端部に入り、発電機12のこれらの構成要素の反対側の端部から出ることができる。さらに、光ファイバセンサ34は、固定子90、回転子92、および/または軸受システム94の気体純度を測定するために、発電機12全体にわたって配置することができる。図3には発電機12の外側を示すが、他の実施形態では、光ファイバセンサ34は、水素冷却剤経路18の内部部分に沿って発電機12内部に配置することもできる。たとえば、固定子光ファイバ純度センサ34は、固定子冷却剤経路98に結合することができ、回転子光ファイバ純度センサ34は、回転子冷却剤経路100に結合することができ、および/または軸受光ファイバ純度センサ34は、軸受冷却剤経路102に結合することができる。より一般には、第1の光ファイバ純度センサ34は、発電機12の第1の領域の第1の気体純度を感知するように構成することができ、第2の光ファイバ純度センサは、発電機12の第2の領域の第2の気体純度を感知するように構成することができる。発電機システム10の他の態様も、上記で詳細に説明したものと類似している。
【0022】
図4は、発電機システム10の部分横断面図である。図1および図3に示すものと共通の図4内の要素には、同じ参照番号を付ける。図示の実施形態では、冷たい水素24は、発電機12全体にわたって配置された1つまたは複数の冷却剤通路96を通って流れる。たとえば、特定の実施形態では、冷たい水素24はまず、回転子92の中心軸内部および付近に位置する冷却剤通路96へ誘導することができる。次いで冷たい水素24は、回転子92の残り部分を冷却するために、さらなる冷却剤通路96を通って放射状に外方へ誘導することができる。他の実施形態では、固定子90および/または軸受システム94内に、さらなる冷却剤通路96を配置することができる。冷却剤通路96を通過した後、温かい水素20は、発電機12の周辺部付近に位置する1つまたは複数の管寄せ110内で収集することができる。管寄せ110からは、温かい水素20を水素熱交換器22へ返すことができる。特定の実施形態では、管寄せ110を使用することで、温かい水素20を水素熱交換器22へ運ぶための個々のラインまたは導管の数を低減させることができる。発電機システム10の他の態様も、上記で詳細に説明したものと類似している。
【0023】
図5は、上記で詳細に説明した発電機システム10とともに使用できる光ファイバ純度センサ34の一実施形態を示す。図示の実施形態では、気体純度センサ34は、中心ファイバコア112と光通信する調整可能な広帯域の光源などの光源110を含む。中心ファイバコア112は、軸114に沿って延び、屈折率が周期的に変調される格子を含む。屈折率が周期的に変調されるファイバ格子は、紫外(UV)光および位相マスクを使用して干渉パターンを形成し、次いでファイバコア112上を照らすプロセスから作ることができる。ファイバコア112が特定の時間にわたって露出された後、周期的な屈折率パターンが、ファイバコア112内部に生じる。明るく照らされた領域は、UV光によって照らされていない暗い領域より高い屈折率を有し、したがって周期変調が形成される。そのような屈折率が周期的に変調される格子構造は、ブラッグ共振波長λと呼ばれる波長で広帯域光のわずかな部分を効果的に反射することができる。この波長は、λ=2ndという関係によって定義される。上式で、nはファイバコア内の実効屈折率であり、dは格子の周期性である。他の方法を使用して、屈折率が周期的に変調される格子を準備することもできる。
【0024】
一実施形態では、中心ファイバコア112は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)およびフッ素(F)で共ドープされたシリカを含み、約5ミクロン〜約9ミクロンの範囲の直径を有する。周期変調は、導波モードのフィールドエネルギーをファイバクラッドに当てることによってクラッドモードに対する導波コアモードの結合を増大させるために、たとえばアポダイズド変調、ブレーズド変調、またはブレーズドおよびアポダイズド変調を含むことができる。一実施形態では、屈折率周期格子は、ファイバコア112の周囲に位置決めされた長周期ファイバ格子(LPG)構造116を備える。
【0025】
図示の実施形態では、ファイバクラッド118は、ファイバコア112の周りに円周方向に配置され、一実施形態では、約125ミクロンの外径を有し、純粋シリカから作られる。一実施形態では、ファイバクラッド118は、ファイバコア112を通って光を伝搬する導波路として作用するように構成される。広帯域の調整可能な光源110は、光ファイバケーブルと光通信するように位置決めされ、ファイバコア112を通って伝搬する近赤外光を放出する。
【0026】
図示の実施形態では、LPG構造116のファイバクラッド118の周りに、ナノ構造の多層の感知層120が配置される。感知層120は、コーティングと呼ばれることもある。感知層120は、たとえば屈折率の変動、光吸収率の変化、感知材料応力の変化、またはこれらの組合せによって、ファイバクラッド118のモードとファイバコア112の基本モードの結合を効果的に助けるように構成される。感知層120は、屈折率の変動、吸収率の変化、感知材料応力の変化、または他の変化を引き起こす特定の気体との相互作用に感応し、かつ/またはこれらの相互作用によって活性化される。たとえば、感知層120は、水素ガス52、CO2ガス54、または他の気体に感応することがある。いくつかの実施形態では、光ファイバ純度センサ34は、空気58中の水素52のレベルの検出を可能にするように構成された第1の感知層120と、CO254中の水素52のレベルの検出を可能にするように構成された第2の感知層と、空気58中のCO254のレベルの検出を可能にするように構成された第3の感知層とを含むことができる。より一般には、光ファイバ純度センサ34は、水素52のレベルの検出を可能にするように構成された第1の感知層120と、第2の気体レベルの検出を可能にするように構成された第2の感知層とを含むことができる。一実施形態では、感知層120は、多層のナノ構造の感知フィルムを含み、この感知フィルムは、水素ガス52への露出時にナノ構造の多層感知フィルム上に水素化物が形成されるとき、その周囲の不透明な鏡面状の表面をより透光性の表面にする。水素化物を形成することで、クラッドモード境界および結合効率を変化させ、したがってファイバ格子に基づく水素純度センサ34の伝送波長およびパワー損失が変調される。変調された信号は、次いで光ファイバケーブル38を通って呼掛け器36へ進む。
【0027】
特定の実施形態では、ファイバ水素ガス純度センサ34は、光ファイバコア112の長手方向軸114に沿って、約10mm〜約50mmの長さを有する。LPG構造116は、長手方向軸114に沿って、約10mm〜約30mmの長さを有し、クラッド直径は約0.05mm〜約0.125mmである。LPG構造116は、長手方向軸114に沿って変調を有し、ピッチ寸法は約0.1ミクロン〜約0.6ミクロンである。LPG構造116は、アポダイズドまたはブレーズド屈折率変調プロファイルを用いて、基本モードエネルギーをファイバクラッド118のモードに効果的に落とすように構成される。感知層120の感知材料の屈折率がファイバクラッド118より低いとき、ファイバクラッド118のモードは、感知材料/クラッドとファイバコアの境界によって導波される。一部の光エネルギーは、エバネッセントフィールドによって感知材料内へ放散され、クラッドモードは、放射モードと同様にエネルギーを感知コーティング層内へ部分的に放散する。
【0028】
図6は、発電機12の一実施形態を動作させるために制御システム40が使用できるプロセス150の流れ図である。ステップ152で、発電機12などの回転機械を通って流れる水素冷却剤経路18などの気体冷却剤経路に沿って配置された少なくとも1つの光ファイバセンサ34からのセンサデータが得られる。光センサは、光ファイバ純度センサ34だけではなく、光ファイバ圧力センサ、光ファイバ温度センサ、光ファイバ流量センサ、および他の光ファイバセンサも含むことができる。ステップ154で、光センサデータを分析して、気体冷却剤の組成を決定する。気体冷却剤の組成には、気体(たとえば、水素)の純度および気体冷却剤中の不純物(たとえば、酸素、窒素など)の量を含むことができる。ステップ156で、冷却剤純度が第1の閾値と比較される。第1の閾値は、たとえばコロナ放電を防止するのを助け、または回転機械の効率を増大させるのを助けるレベルで確立することができる。第1の閾値は、「低−低」レベルと呼ばれることがある。冷却剤純度が第1の閾値を上回る場合、プロセス150はステップ160へ進む。ステップ160では、冷却剤純度が第2の閾値、つまり「低」レベルと比較される。冷却剤純度が第2の閾値を上回る場合、プロセス150は、さらなるセンサデータを得るためにステップ152に戻る。冷却剤純度が第2の閾値を下回る場合、ステップ162で、気体冷却剤の一部分をパージし、新しい気体冷却剤(たとえば、水素)を追加して、気体純度を増大させるのを助ける。言い換えれば、感知された水素純度のレベルが第2の閾値を下回る水素冷却剤の一部分が除去され、水素純度のレベルが第2の閾値より実質的に大きいより高純度の水素冷却剤が追加される。ステップ162は、純度制御装置43が適当な制御機能を開始することによって実現することができる。気体冷却剤の一部分をパージすることによって、パージされた気体冷却剤中の不純物を除去し、新しい気体冷却剤で置き換えることができる。ステップ162から、プロセス150は、さらなるセンサデータを得るためにステップ152に戻る。
【0029】
ステップ156に戻ると、冷却剤純度が第1の閾値を下回る場合、プロセス150はステップ164へ進む。ステップ164では、気体冷却剤を回転機械からパージし、難燃性ガス(たとえば、CO2)を追加して、気体冷却剤の純度を低減させる。したがって、この難燃性ガスは、ステップ164で、気体冷却剤に置き換わる。難燃性ガスの例には、それだけに限定されるものではないが、CO2、窒素、アルゴン、不活性ガス、希ガス、またはこれらの任意の組合せが含まれる。ステップ168で、気体冷却剤の純度が第3の閾値と比較される。第3の閾値は、気体冷却剤の大部分が回転機械から除去されたことを保証するのを助けるレベルで確立することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、第3の閾値は、CO2中で約5パーセントの水素とすることができる。気体冷却剤の純度が第2の閾値より大きい場合、プロセス150はステップ164に戻り、引き続き気体冷却剤を難燃性ガスでパージする。気体冷却剤純度が第2の閾値を下回る場合、ステップ170で、難燃性ガスおよびあらゆる残りの気体冷却剤を空気でパージすることができる。気体冷却剤および難燃性ガスが回転機械から十分にパージされた後、プロセス150はステップ172へ進む。ステップ172では、回転機械上で保守を実行して、任意の問題を判定および修理することができる。回転機械上で修理が完了した後、上記のプロセスを本質的に逆方向に実行して、回転機械を再び使用することができる。具体的には、難燃性ガスで、回転機械内の空気を置き換えることができる。次に、気体冷却剤の純度が第2の閾値を超過するまで、気体冷却剤で難燃性ガスを置き換えることができる。その時点で、回転機械を再開させることができる。
【0030】
この記載の説明は、例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、そして任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、あらゆる当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と変わらない構造上の要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に変わらない同等の構造上の要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0031】
10 発電機システム
12 発電機
14 エンジン
16 駆動シャフト
18 水素冷却剤経路
20 温かい水素
22 水素熱交換器
24 冷たい水素
26 温かい冷却剤
28 冷却剤熱交換器
30 冷たい冷却剤
32 水素冷却システム
34 光ファイバセンサ
36 呼掛け器
38 光ファイバケーブル
40 制御システム
42 信号
43 純度制御装置
44 エンジン制御装置
46 発電機制御装置
48 冷却制御装置
50 出力信号
51 気体制御デバイス
52 水素
53 制御弁
54 二酸化炭素(CO2
56 パージ
58 空気
70 気体サンプリング管材
72 制御パネル
74 ディスプレイ
76 ユーザ入力パネル
90 固定子
92 回転子
94 軸受システム
96 冷却剤通路
98 固定子冷却剤経路
100 回転子冷却剤経路
102 軸受冷却剤経路
110 管寄せ
112 中心ファイバコア
114 軸
116 長周期ファイバ格子(LPG)構造
118 ファイバクラッド
120 ナノ構造の多層の感知層
150 発電機を動作させるために制御システムによって使用されるプロセス
152 センサデータを得るステップ
154 センサデータを分析するステップ
156 純度を第1の閾値と比較するステップ
160 純度を第2の閾値と比較するステップ
162 気体冷却剤の一部分をパージするステップ
164 気体冷却剤をパージするステップ
168 純度を第3の閾値と比較するステップ
170 空気でパージするステップ
172 保守を実行するステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機(12)であって、固定子(90)、回転子(92)、および前記発電機(12)の内部を通る気体冷却剤経路(18)を備える発電機(12)と、
前記気体冷却剤経路(18)を通る気体冷却剤(52)流の気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、
ファイバコア(112)と、
前記ファイバコア(112)の周りに位置決めされた屈折率が周期的に変調される格子構造(116)と、
前記屈折率が周期的に変調される格子構造(116)の周囲に位置決めされたファイバクラッド(118)と、
前記ファイバクラッド(118)の周りに位置決めされた多層感知フィルム(120)とを備え、前記多層感知フィルム(120)が、複数の高屈折率材料層および低屈折率材料層からなる変調構造を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、空気(58)中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第1のコーティング(120)と、二酸化炭素(54)中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第2のコーティング(120)と、空気(58)中の二酸化炭素レベルの検出を可能にするように構成された第3のコーティング(120)とを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記気体冷却剤経路(18)が、前記回転子(92)を通って延びる回転子冷却剤経路(100)を備え、前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、前記回転子冷却剤経路(100)に結合された回転子光ファイバ純度センサ(34)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記気体冷却剤経路(18)が、前記固定子(90)を通って延びる固定子冷却剤経路(98)を備え、前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、前記固定子冷却剤経路(98)に結合された固定子光ファイバ純度センサ(34)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記気体冷却剤経路(18)が、軸受システム(94)を通って延びる軸受冷却剤経路(102)を備え、前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、前記軸受冷却剤経路(102)に結合された軸受光ファイバ純度センサ(34)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)を有する制御パネル(72)を備え、前記気体冷却剤経路(18)が、前記発電機(12)から前記制御パネル(72)へ延びる外部気体冷却剤ライン(70)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記気体冷却剤経路(18)が、前記発電機(12)内に内部気体冷却剤通路(96)を備え、前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、前記内部気体冷却剤通路(96)に沿って配置される、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
純度制御装置(43)を備える気体純度制御システム(40)と、気体純度を感知するように構成された少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)と
を備えるシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、
ファイバコア(112)と、
前記ファイバコア(112)の周りに位置決めされた屈折率が周期的に変調される格子構造(116)と、
前記屈折率が周期的に変調される格子構造(116)の周囲に位置決めされたファイバクラッド(118)と、
前記ファイバクラッド(118)の周りに位置決めされた多層感知フィルム(120)とを備え、前記多層感知フィルム(120)が、複数の高屈折率材料層および低屈折率材料層からなる変調構造を備える、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、空気(58)中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第1のコーティング(120)と、二酸化炭素(54)中の水素レベルの検出を可能にするように構成された第2のコーティングと、空気(58)中の二酸化炭素レベルの検出を可能にするように構成された第3のコーティングとを備える、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
回転機械であって、前記回転機械の内部を通って延びる内部気体通路(96)を備える回転機械を備え、前記内部気体通路が前記気体を含む、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記純度制御装置(43)が、感知されたレベルが前記気体純度の閾値レベルを下回る場合に前記気体純度を増大させるための制御機能を開始するように構成される、請求項9記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(34)が、機械の第1の領域の第1の気体純度を感知するように構成された第1の光ファイバ純度センサ(34)と、前記機械の第2の領域の第2の気体純度を感知するように構成された第2の光ファイバ純度センサ(34)とを備える、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
前記純度制御システム(40)が、呼掛け器(36)およびディスプレイ(74)を備え、前記呼掛け器(36)が、前記少なくとも1つの光ファイバ純度センサ(32)からの信号(42)に基づいて気体純度情報を判定するように構成され、前記ディスプレイ(74)が、前記気体純度情報を出力するように構成される、請求項9記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−93353(P2012−93353A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227608(P2011−227608)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】