説明

光モジュール

【課題】 レンズホルダ内にゴミが進入しても、光モジュールの特性を低下させることのない信頼性の高い光モジュールを提供する。
【解決手段】 配線4が設けられた基板2と、基板2に配線4と電気的に接続されるように設けられた、光学的部分8を有する光学チップ6と、光学的部分8の上方に配置されたレンズユニット12と、レンズユニット12を保持するレンズホルダ16であって、凹部18を有し、凹部18の内側及び基板2によって区画された空間内20に光学チップ6が配置されるように基板2に設けられたレンズホルダ16と、空間内20に設けられた、静電気を帯びた帯電フィルム30と、帯電フィルム30上に、空間内20に露出するように設けられた粘着材34と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置のパッケージに組み込まれる光モジュールは、製造工程中にゴミが進入してしまうことが避けられず、そのゴミの除去のために多くの時間を費やしている。レンズホルダ内に進入したゴミは、その位置が固定されないので、光モジュールの傾き、または振動によってその位置を変える。ときには、光学チップ以外の場所にあったゴミが光学チップの光学的部分に移動する。この問題点を解決するために、レンズホルダ内部の表面に、粘着性材料を塗布する技術を開示している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−261158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、粘着性材料に接触するゴミに対しては、固着させることができるが、粘着性材料に接触しないゴミに対しては、光学的部分への移動が懸念される。
【0004】
本発明の目的は、レンズホルダ内にゴミが進入しても、光モジュールの特性を低下させることのない信頼性の高い光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る光モジュールは、配線が設けられた基板と、
前記基板に前記配線と電気的に接続されるように設けられた、光学的部分を有する光学チップと、
前記光学的部分の上方に配置されたレンズユニットと、
前記レンズユニットを保持するレンズホルダであって、凹部を有し、前記凹部の内側及び前記基板によって区画された空間内に前記光学チップが配置されるように前記基板上に設けられたレンズホルダと、
前記空間内に設けられた、静電気を帯びた帯電フィルムと、
前記帯電フィルム上に、前記空間内に露出するように設けられた粘着材と、
を有する。本発明によれば、レンズホルダ内に粘着材が設けられた静電気を帯びた帯電フィルムを設ける。これにより、作業途中で誤って混入したゴミや、各部品に付着していて、組み立て後、脱落したくず等を静電気の作用で効率よく粘着材に固着させることができ、光モジュールの特性を低下させることのない信頼性の高い光モジュールを提供することができる。
(2)この光モジュールは、
前記帯電フィルムは可視光を通過させるが、赤外線領域の光を通過させないものであってもよい。
(3)この光モジュールは、
前記粘着剤はアクリル系粘着剤からなるものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0007】
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る光モジュールを示す断面図である。本実施の形態に係る光モジュールは、基板2を有する。基板2は、配線4が設けられている。
【0008】
本実施の形態に係る光モジュールは、光学チップ6を有する。光学チップ6は、基板2に配線4と電気的に接続されるように設けられている。光学チップ6は、光学的部分8を有する。光学的部分8は、光が入射又は出射する部分である。また、光学的部分8は、光エネルギーと他のエネルギー(例えば電気)を変換する。すなわち、光学的部分8は、複数のエネルギー変換素子(受光素子・発光素子)を有する。本実施の形態では、光学的部分8は受光部である。すなわち、本実施の形態では、光モジュールは、イメージセンサ(例えばCCD,CMOSセンサ)である。光学チップ6には、複数の電極10が形成されている。電極10は、パッド上に形成されたバンプを有するが、パッドのみであってもよい。電極10は、光学的部分8の外側に形成されている。光学チップ6の複数辺(例えば対向する二辺又は四辺)又は一辺に沿って電極を配置してもよい。
【0009】
本実施の形態に係る光モジュールは、レンズユニット12を有する。レンズユニット12は、光学チップ6の光学的部分8の上方に配置されている。レンズユニット12は、レンズ14を保持している。
【0010】
本実施の形態に係る光モジュールは、レンズホルダ16を有する。レンズホルダ16は、レンズユニット12を保持する。レンズホルダ16は、凹部18を有し、凹部18の内側及び基板2によって区画された空間内20に光学チップ6を配置するように基板2に設けられている。レンズユニット12及びレンズホルダ16には、光学的部分8の上方において、第1及び第2の開口部22,24が形成されている。第1及び第2の開口部22,24は、連通する。そして、レンズユニット12の第1の開口部22内にレンズ14が取り付けられている。レンズ14は、光学チップ6の光学的部分8から間隔をあけて保持されている。レンズユニット12の外側とレンズホルダ16の第2の開口部24の内側には第1及び第2のねじ26,28が形成されており、これらによってレンズユニット12及びレンズホルダ16は結合されている。したがって、第1及び第2のねじ26,28によってレンズユニット12及びレンズホルダ16は、第1及び第2の開口部22,24の軸に沿った方向に移動する。これにより、レンズ14の焦点を調整することができる。凹部18は、開口部を有する。凹部18の開口部は、光学チップ6の外形よりも大きく形成され、光学チップ6を収容できるようになっている。凹部18の開口部には、その開口端部に光学チップ6を支持する基板2が設けられている。基板2は、光軸に対して垂直な面を有することが好ましい。光学チップ6は、電極10の形成面が上方を向くように配置され、電極10と基板2上の配線4の一部とが電気的に接続されている。それらの電気的な接続は、ワイヤを使用したワイヤボンディングを適用して達成することができる。
【0011】
本実施の形態に係る光モジュールは、帯電フィルム30を有する。帯電フィルム30は、レンズホルダ16の凹部18の内側及び基板2によって区画された空間内20に設けられている。帯電フィルム30は、静電気を帯びている。帯電フィルム30は、静電気の作用でゴミ32を吸引する。帯電フィルム30の材料は、静電気を帯びる膜形成材であれば任意の高分子材料、ガラス材料を使用することができるが、一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテン共重合体、イオン−架橋オレフィン共重合体、エチレン−アクリル共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニル/フッ化ビニリデン共重合体、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA樹脂)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP樹脂)等のフッ素樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン等の塩素樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル;ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10等のポリアミド;各種アクリル系樹脂等が単独或いは2種以上の組み合わせで使用される。これらの内でも、PTFE樹脂、PFA樹脂、FEP樹脂等のフッ素樹脂が静電気の保持性がよく、耐久性もよいことから好ましい。帯電フィルム30は、摩擦等により静電気を帯びる。例えば、帯電フィルム30の表面を保護する保護シート(図示せず)を剥がすことによって容易に静電気を帯びる。なお、帯電フィルム30は、レンズホルダ16の第2の開口部24を塞ぐ部分がフィルタであってもよい。フィルタは、特定の光のみを透過させるもの、例えば、可視光を通過させるが赤外線領域の光を通過させないものであってもよい。
【0012】
本実施の形態に係る光モジュールは、粘着材34を有する。粘着材34は、帯電フィルム30上に、空間内20に露出するように設けられている。粘着材34は、帯電フィルム30が静電気の作用で吸引したゴミ32を固着する。粘着材34は、例えばアクリル系粘着材を使用すれば、硬化することなく、長期に渡りゴミ等を固着させることができる。なお、粘着材34は、粘着テープであってもよい。
【0013】
以上述べたように本発明によれば、作業途中で誤って混入したゴミなどや、各部品に付着していて、組み立て後、脱落したくず等を静電気の作用で効率よく粘着材に固着させることができ、光モジュールの特性を低下させることのない信頼性の高い光モジュールを提供することができる。
【0014】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。さらに、本発明は、実施の形態で説明した技術的事項のいずれかを限定的に除外した内容を含む。あるいは、本発明は、上述した実施の形態から公知技術を限定的に除外した内容を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る光モジュールを示す断面図である。
【符号の説明】
【0016】
2…基板 4…配線 6…光学チップ 8…光学的部分 10…電極 12…レンズユニット 14…レンズ 16…レンズホルダ 18…凹部 20…空間内 22…第1の開口部 24…第2の開口部 26…第1のねじ 28…第2のねじ 30…帯電フィルム 32…ゴミ 34…粘着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が設けられた基板と、
前記基板に前記配線と電気的に接続されるように設けられた、光学的部分を有する光学チップと、
前記光学的部分の上方に配置されたレンズユニットと、
前記レンズユニットを保持するレンズホルダであって、凹部を有し、前記凹部の内側及び前記基板によって区画された空間内に前記光学チップが配置されるように前記基板上に設けられたレンズホルダと、
前記空間内に設けられた、静電気を帯びた帯電フィルムと、
前記帯電フィルム上に、前記空間内に露出するように設けられた粘着材と、
を有する光モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の光モジュールにおいて、
前記帯電フィルムは可視光を通過させるが、赤外線領域の光を通過させないものであることを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の光モジュールにおいて、
前記粘着剤はアクリル系粘着剤からなることを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【公開番号】特開2006−42230(P2006−42230A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222892(P2004−222892)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】