説明

光モジュール

【課題】半導体素子が実装されるフレキシブル基板の実装面を湾曲させることなく筐体内に配置することができ、しかも、フレキシブル基板に形成される信号伝送路により伝送される信号の特性に悪影響を与えることがないこと。
【解決手段】フレキシブル配線基板22の表面22Aにおける所定の実装面において、第1の放熱ブロック24および押圧シート26の真下の位置には、その実装面を下カバー12に向けて押圧するフレキシブル配線基板用押さえプレート28が設けられ、フレキシブル配線基板用押さえプレート28は、5個の突起部28PAおよび28PBをそれぞれ一列状に有し、各突起部28PAおよび28PBは、導電パターン22ACPを所定の間隔で横切るように形成されているもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタが接続される光半導体素子や光半導体素子を駆動、信号増幅するための半導体素子を含む光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークにおいては、例えば、特許文献1にも示されるような、XFP型光トランシーバが、光モジュールとして実用に供されている。XFP型光トランシーバは、光コネクタレセプタクルと、送信モジュールおよび受信モジュールが取り付けられた回路基板とを筐体内に備えている。
【0003】
また、特許文献2にも示されるように、光モジュールの低背化および光モジュールの高密度実装の要求から光半導体素子を備える第1の基板と、光半導体素子を駆動、信号増幅するための半導体素子および外部との電気信号の入出力のために電気コネクタを備える第2の基板と、第1の基板の端部と第2の基板の端部とを電気的に接続する折り曲げ可能なフレキシブルケーブルとを含んで構成されるものが提案されている。さらに、例えば、特許文献2にも示されるような、光コネクタとしてのMTフェルールを備えるMTコネクタが、実用に供されている。そのようなMTコネクタは、特許文献2にも示唆されているように、ガイドピンの取り付け位置精度が光半導体素子と光ファイバとの光結合を左右するので基板にガイドピンを高精度で実装する必要がある。従って、その基板には、所定の硬さが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−322819号公報
【特許文献2】国際公開第2008/096716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のMTコネクタは、光モジュールの低背化および光モジュールの高密度実装の要求から柔軟な薄板状のフレキシブル基板に実装することが要望される場合がある。例えば、光半導体素子およびドライバ等が所定の実装面に搭載されたフレキシブル基板に対しMTフェルールを位置決めしたフレキシブル基板ユニットが比較的小さな筐体内に配置される場合がある。この場合、フレキシブル基板が湾曲することによりクラックが半田層に形成され、または、振動によりドライバ等の半導体素子が剥がれる虞がある。そこで、フレキシブル基板ユニットにおいてその実装面を湾曲しないように筐体内に対し押さえ付けることも考えられる。
【0006】
しかし、フレキシブル基板に形成される信号伝送路により伝送される信号の特性に悪影響を与えないようにその実装面を筐体内で押さえ付けることは容易でない。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、光コネクタが接続される光半導体素子や光半導体素子を駆動、信号増幅するための半導体素子を含む光モジュールであって、半導体素子が実装されるフレキシブル基板の実装面を湾曲させることなく筐体内に配置することができ、しかも、フレキシブル基板に形成される信号伝送路により伝送される信号の特性に悪影響を与えることがない光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る光モジュールは、発光素子および受光素子と、発光素子および受光素子を駆動させる半導体素子とが、一方の面に実装されるフレキシブル配線基板と、フレキシブル配線基板の一方の面を支持する支持面を有する筐体と、
フレキシブル配線基板の他方の面に当接する押さえプレートと、押さえプレートを筐体の支持面に配置されるフレキシブル配線基板の他方の面に向けて付勢する弾性部材と、を備え、押さえプレートと筐体の支持面とによってフレキシブル配線基板が挟持されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光モジュールは、フレキシブル配線基板は、他方の面に形成された導電パターンを有し、押さえプレートは、導電パターン上に当接する突起部を有するものでもよい。押さえプレートの突起部は、導電パターンに当接する円弧状の先端部を有するものでもよい。フレキシブル配線基板は、一方の面に形成された導電パターンを有し、筐体の前記支持面は、フレキシブル配線基板の他方の導電パターンに対応して凹部を有するものでもよい。筐体は、金属材料で作られてもよい。弾性部材は、筐体の収容部における内周部に配される放熱部材と押さえ部材との間に挟持されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光モジュールによれば、押さえプレートと筐体の支持面とによってフレキシブル配線基板が挟持されるので半導体素子が実装されるフレキシブル基板の実装面を湾曲させることなく筐体内に配置することができ、しかも、フレキシブル基板に形成される信号伝送路により伝送される信号の特性に悪影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る光モジュールの一例の要部を示す部分断面図である。
【図2】本発明に係る光モジュールの一例の外観をダストキャップとともに示す斜視図である。
【図3】図2に示される例における構成部品を示す分解斜視図である。
【図4】図2に示される例に用いられる第1の放熱ブロックおよび押さえプレートを部分的に示す斜視図である。
【図5】(A)、および、(C)は、それぞれ、第1の放熱ブロックおよび押さえプレートの組み立て手順の説明に供される斜視図であり、(B)は、(A)に示される例における要部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明に係る光モジュールの一例の外観を示す。
【0013】
図2において、光モジュール10は、光ファイバ40に接続される通信システム(不図示)と、光モジュール10が着脱可能に接続されるリセプタクルアッセンブリー(不図示)とを電気的に接続するものとされる。
【0014】
光モジュール10は、筐体の上部を形成する上カバー14と、その筐体の下部を形成する下カバー12と、上カバー14と下カバー12とにより覆われ形成される内部空間に配される光モジュール本体部20(図3参照)とを主な構成要素として構成されている。
【0015】
また、光モジュール10は、上カバー14および下カバー12の両側面部に対し摺動可能に配されるロック/アンロックアーム18aおよび18bを有するプルタブ18を備えている。ロック/アンロックアーム18aおよび18bは、それぞれ、図示が省略されるコイルスプリングにより矢印Pの示す方向とは逆方向に付勢されている。これにより、合成樹脂で作られるプルタブ18は、矢印Pの示す方向に操作される場合、ロック/アンロックアーム18aおよび18bがリセプタクルアッセンブリーに対しアンロック状態とされる。これにより、光モジュール10が、リセプタクルアッセンブリーに対し取り外し可能とされる。一方、プルタブ18は、光モジュール10がリセプタクルアッセンブリーに装着された後、解放された場合、ロック/アンロックアーム18aおよび18bがリセプタクルアッセンブリーに対しロック状態とされる。これにより、光モジュール10がリセプタクルアッセンブリーに対し脱落する虞がない。
【0016】
さらに、ダストキャップCAが備えられている。一端が開口するダストキャップCAは、上カバー14および下カバー12の先端部に対し矢印の示す方向に沿って着脱可能とされる。ダストキャップCAは、光モジュール10が使用されていないとき、後述する光モジュール本体部分20の一部を構成するカードエッジ基板30の前端部、上カバー14および下カバー12の先端部を覆うように構成されている。
【0017】
上カバー14および後述する下カバー12は、例えば、亜鉛−アルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料から作られている。図3に示されるように、上カバー14における後述する光モジュール本体部分20の一部を構成するLED基板32に対応する部分には、上カバー14の一方の端部の内側に配されるライトパイプの発光部14LPが2箇所に設けられている。図3における直交座標におけるX座標軸に沿って所定の間隔をもって設けられる各発光部14LPは、図示が省略されるライトパイプに一体に形成されている。なお、X座標軸は、上カバー14の短辺に対し略平行に延びており、X座標軸に直交するY座標軸は、上カバー14の長辺に対し略平行に延びている。
【0018】
上カバー14の内周部における発光部14LPの真下部分には、雌ねじ部14FS1が2箇所に設けられている。雌ねじ部14FS1には、後述する下カバー12を上カバー14に対し固定するための小ネジBS1がねじ込まれる。各雌ねじ部14FS1は、下カバー12の透孔12b2、および、12b3に対し向かい合って形成されている。また、上カバー14におけるカードエッジ基板30を覆う部分の内周部には、雌ねじ部14FS2が設けられている。雌ねじ部14FS2には、後述する下カバー12を上カバー14に対し固定するための小ネジBS1がねじ込まれる。雌ねじ部14FS2は、カードエッジ基板30の透孔30b、および、下カバー12の透孔12b1に対し向かい合って形成されている。雌ねじ部14FS2に隣接した位置に形成される溝には、図1に示されるように、シール用のゴムチューブRU2が設けられている。さらに、上カバー14の内周部におけるY座標軸に沿った雌ねじ部14FS1と雌ねじ部14FS2との間の略中央部には、平坦な押圧面14PSが形成されている。押圧面14PSは、上カバー14と下カバー12とが、小ネジBS1により一体化される場合、後述する第1の放熱ブロック24の表面に当接し第1の放熱ブロック24を所定の圧力で押圧するものとされる。上カバー14の外周部の先端部には、凹部を有する係合部14aが形成されている。係合部14aは、リセプタクルアッセンブリー(不図示)に対し係合される。
【0019】
光モジュール本体部分20は、図1に示されるように、フレキシブル配線基板22と、フレキシブル配線基板22の一端22E1に接続されるカードエッジ基板30と、フレキシブル配線基板22の他端22E2に接続されるLED基板32とを主な要素として含んで構成されている。
【0020】
LED基板32の接続端部は、フレキシブル配線基板22の他端22E2に電気的に接続されている。その接続端部には、図3に示されるように、上カバー14と下カバー12とが一体化される場合、後述する下カバー12の位置決めピン12LPが係合される一対の貫通孔32dが所定の間隔で形成されている。また、その接続端部は、一対の小ネジBS2が下カバー12の台座に設けられる一対の雌ねじ孔12FSにねじ込まれることにより、下カバー12に固定されている。さらに、LED基板32における接続端部に向かい合う端部には、光ファイバケーブル40が接続されるケーブル用コネクタ42が配されている。ケーブル用コネクタ42からのケーブル42C(図1参照)は、後述するMTフェルール44に接続されている。LED基板32は、光モジュール20の接続状態を含む光モジュール20の動作状態を表示する複数のLED32a、32bを備えている。LED32a、32bは、上述のライトパイプの発光部14LPの真下の位置に設けられている。
【0021】
カードエッジ基板30は、図1に示されるように、フレキシブル配線基板22の一端22E1に電気的に接続されている。カードエッジ基板30におけるフレキシブル配線基板22の一端22E1に接続される端部に向かい合う端部には、コンタクトパッド群30Eが形成されている。コンタクトパッド群30Eは、図3におけるX座標軸に沿って所定の間隔で形成される複数のコンタクトパッドから形成されている。カードエッジ基板30の中央部分には、上述の小ネジBS1が挿入される貫通孔30bが形成されている。上カバー14と下カバー12とが一体化される場合、カードエッジ基板30における貫通孔30bとコンタクトパッド群30Eとの間の部分が、図1に示されるように、上述のゴムチューブRU2と後述する下カバー12のシール用ゴムチューブRU1とにより挟持される。これにより、コンタクトパッド群30Eが形成される部分は、上カバー14の係合部14aと下カバー12の係合部12aとの間で外部に向けて突出することとなる。従って、コンタクトパッド群30Eが形成される部分は、所定の電子機器内のプリント配線基板に設けられたリセプタクルアッセンブリーに接続されるプラグ部分として形成されている。
【0022】
フレキシブル配線基板22は、例えば、保護層に覆われた複数の導電層が絶縁性基材上に形成された構成とされる。絶縁性基材は、例えば、厚さ50μm程度の液晶ポリマー、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)で成形されている。また、導電層は、例えば、厚さ12μm程度の銅合金の層で形成されている。保護層は、例えば、熱硬化型のレジスト層、あるいは、ポリイミドフィルムにより形成されている。
【0023】
フレキシブル配線基板22の一端22E1から他端22E2までに至る部分は、図1に示されるように、カードエッジ基板30に隣接した後述するフレキシブル配線基板用押さえプレート28の真下を通過する。その後、その部分は、フレキシブル配線基板22の一方の表面22Aにおける実装面において保護キャップ36が固定された部分が、互いに向かい合って配される第1の放熱ブロック24と第2の放熱ブロック34との間を垂直に立ち上がっている。そして、保護キャップ36が実装される部分に連なる部分が第2の放熱ブロック34の上面、MTフェルール44および光コネクタ用押圧部品50の上面を覆うように通過するものとされる。すなわち、フレキシブル配線基板22の一端22E1から他端22E2までに至る部分は、階段状に引き回され、カードエッジ基板30を含むフレキシブル配線基板22の前方部分は、階段の下段部分として、LED基板32を含むフレキシブル配線基板22の後方部分は、階段の上段部分として形成される。
【0024】
フレキシブル配線基板22におけるフレキシブル配線基板用押さえプレート28の真下となる部分には、図4に拡大されて示されるように、所定の複数の半導体素子が実装されるとともに、信号を伝送する高速伝送路を形成する導体層としての複数の導体パターン22ACPが、図3におけるY座標軸に沿って形成されている。所定の複数の半導体素子は、例えば、図4に示されるように、後述するドライバおよびレシーバの動作制御を行う集積回路であるマイクロコンピュータ22AM,ドライバおよびレシーバに関連する信号のためのノイズフィルタ(コンデンサ)群22AN、マイクロコンピュータ22AMの動作に関連する抵抗およびMOSFET等からなる半導体部品群22AQとを含んで構成されている。
【0025】
フレキシブル配線基板22の表面22Aにおける保護キャップ36に対向する部分には、少なくとも、光信号と電気信号を相互に変換する光半導体素子を備えている。具体的には、図1に示されるように、光ファイバケーブル40およびケーブル用コネクタ42からの光信号を、光コネクタとしてのMTフェルール42を介して受信する例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの受光素子35bと、光ファイバケーブル40への光信号を、光コネクタとしてのMTフェルール42を介して発信する例えば、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface−Emitting Laser:略称VCSEL)、端面発光型レーザダイオードなどの発光素子35aとを備えている。受光素子35bに隣接した位置には、半導体素子35cが設けられている。光半導体素子を構成する受光素子35bと発光素子35aとは、フレキシブル配線基板22における実装面に図3におけるZ座標軸に沿って直線的に配列される。フレキシブル配線基板22は、また、受光素子35bで変換された電気信号を増幅するための半導体素子であるレシーバ、および、発光素子35aを駆動させて電気信号を光信号に変換させるための半導体素子であるドライバを含んでいる。レシーバおよびドライバから発生する熱は、保護キャップ36、第1の放熱ブロック24および第2の放熱ブロック42にバランス良く伝導することができる。それにより、放熱効果をより一層向上させることが可能となる。
【0026】
フレキシブル配線基板22における後述するMTフェルール44が接続される表面22B(図5(C)参照)とは反対側の表面22Aの実装面には、光半導体素子、レシーバおよびドライバを覆う保護キャップ36が、取り付けられている。保護キャップ36は、アルミニウムや亜鉛合金などの熱伝導性のよい金属材料から作られ、光半導体素子、レシーバ、ドライバなどの半導体素子から発生する熱を放熱するとともに、そのような熱を第1放熱ブロック24に伝導する。なお、光半導体素子、レシーバ、ドライバの表面に熱伝導接着剤、熱伝導ペーストが塗布されてもよい。このような熱伝導材を介して光半導体素子、レシーバ、ドライバなどの半導体素子から発生する熱を保護キャップ36に伝導することで、放熱効果をより一層向上させることが可能となる。
【0027】
また、光モジュール本体部分20には、保護キャップ36に向かい合って第2の放熱ブロック34が設けられている。第2の放熱ブロック34は、後述するMTフェルール44の外周部を取り囲むように形成されている。言い換えれば、第2の放熱ブロック34には、MTフェルール44が前後方向に移動できるように、第2の放熱ブロック34内を図3のY座標軸に沿って貫通しZ座標軸方向に向けて開放される概略U字形の溝が形成されている。第2の放熱ブロック34の両側部は、それぞれ、後述する下カバー12に対して移動しないように、下カバー12の両側部の内周部に形成された一対の凹部12eに嵌め込まれる。第2の放熱ブロック34は、直接または弾性材料からなる熱伝導シート42を介して下カバー12に接触するように構成される。それにより、フレキシブル配線基板22から発生する熱は、第2の放熱ブロック34および熱伝導シート42を介して効率的に下カバー12に伝導されるので外部に放熱させることができる。なお、弾性材料からなる熱伝導シート42を介在させることで、第1の放熱ブロック24および第2の放熱ブロック34それぞれと上カバー14および下カバー12それぞれとの接触に対する寸法精度を厳密に出す必要がなくなる。また、第1の放熱ブロック24および第2の放熱ブロック34がフレキシブル配線基板22及び保護キャップ36を挟んでこれらを固定するという構成は、フレキシブル配線基板22の垂直部分としての領域が垂直になるように支持されることに役立つ。
【0028】
ケーブル用コネクタ42からのケーブル42Cに接続されるMTフェルール44は、フレキシブル配線基板22に設けられた位置決め孔(不図示)を貫通する位置決めピン(不図示)により、上述の光半導体素子に正しく対向するように位置決めされる。これにより、MTフェルール44は、フレキシブル配線基板22および保護キャップ36、位置決めピンを介して第1の放熱ブロック24に対して摺動自在に連結される。
【0029】
MTフェルール44は、図1に示されるように、一対のコイルスプリング48により光コネクタ用押圧部品50およびプレート46を介してフレキシブル配線基板22の表面22Bに対して押し付けられている。光コネクタ用押圧部品50は、ポリアミドなどの合成樹脂材料からなる合成樹脂部材で作られている。プレート46は、ステンレス鋼や亜鉛合金などの金属材料から作られている。なお、光コネクタ用押圧部品50およびプレート46は、斯かる例に限られることなく、例えば、光コネクタ用押圧部品およびプレートが一体に亜鉛ダイキャストにより、全て金属材料から作られてもよい。
【0030】
第1の放熱ブロック24および第2の放熱ブロック34は、フレキシブル配線基板22から発生する熱をフレキシブル配線基板22の各表面22Aおよび22Bから放熱する部材である。第1の放熱ブロック24および第2の放熱ブロック34は、図4、および、図5(C)に示されるように、フレキシブル配線基板22および保護キャップ36を挟んで2本の小ネジBS3により固定される。
【0031】
保護キャップ36と一方の端部22E1との間に配される第1の放熱ブロック24における内周部の中央部には、図5(A)に示されるように、押圧シート26が配される凹部24Rが形成されている。また、凹部24Rにおける一方の端部22E1側の周辺には、位置決めピン24bが向かい合って2箇所に形成されている。位置決めピン24bは、後述するフレキシブル配線基板用押さえプレート28の第1の放熱ブロック24に対する位置決めを行うものとされる。また、凹部24Rにおける保護キャップ36側の周縁には段差部24Sが形成されている。段差部24Sは、フレキシブル配線基板用押さえプレート28の段差部28Sに係合される。
【0032】
矩形状の押圧シート26は、エチレンプロピレンゴムのような弾性材料から薄板状に形成されている。
【0033】
上述したフレキシブル配線基板22の表面22Aにおける導体形成面としての所定の実装面において、第1の放熱ブロック24および押圧シート26の真下の位置には、その実装面を下カバー12の支持面12Dに向けて押圧するフレキシブル配線基板用押さえプレート28(以下に「押さえプレート」ともいう。)が設けられている。押さえプレート28は、例えば、樹脂材料で成形され、図4に示されるように、第1の放熱ブロック24の位置決めピン24bに対応する位置に透孔28bを有している。各透孔28bには、図5(B)に示されるように、位置決めピン24bが挿入される。また、第1の放熱ブロック24の下方に配される押さえプレート28の外周部における保護キャップ36側の端部には、段差部28Sが形成されている。第1の放熱ブロック24が押さえプレート28に重ねられる場合、段差部28Sは、第1の放熱ブロック24の段差部24Sに係合される。また、押さえプレート28におけるフレキシブル配線基板22の表面22Aにおける所定の実装面に対向する内周部の中央部には、図5(A)に示されるように、実装された半導体素子との干渉を避けるための凹部が切欠部28Cに連なって形成されている。その凹部の周縁の両脇には、5個の突起部28PAおよび28PBが、それぞれ、図3のY座標軸に沿って一列に形成されている。各突起部28PAおよび28PBは、その実装面に載置されるとき、上述の導電パターン22ACPを所定の間隔で横切るように形成されている。また、各突起部28PAおよび28PBの先端部は、図5(B)に拡大されて示されるように、導電パターン22ACPに対し面ではなく線で接触するように円弧状の先端部を有している。なお、上述の例においては、5個の突起部28PAおよび28PBが押さえプレート28に形成されているが、斯かる例に限られることなく、突起部28PAおよび28PBの数量は、5個未満であってもよく、または、6個以上であってもよい。さらに、押さえプレート28における保護キャップ36側の端部は、後述するようにフレキシブル配線基板22を沿わせて容易に折り曲げることができるように、円弧状に形成されている。
【0034】
押圧シート26および押さえプレート28をフレキシブル配線基板22に組み付ける場合、図5(A)に示されるように、第1の放熱ブロック24が、小ネジBS3によりフレキシブル配線基板22を挟んで第2の放熱ブロック34と位置決めされ固定された後、押圧シート26が第1の放熱ブロック24の凹部24Rに挿入され、次に、押さえプレート28の段差部28Sが第1の放熱ブロック24の段差部24Sに係合され、位置決めピン24bが透孔28bに嵌るように、押さえプレート28が第1の放熱ブロック24上に重ねられる。続いて、フレキシブル配線基板22が、図5(C)に示されるように、カードエッジ基板30側から押さえプレート28の円弧状の端部に沿わせて曲げられる。そして、所定の治具が使用されることにより、下カバー12がフレキシブル配線基板22の表面22Bに対し上方から被せられることとなる。
【0035】
下カバー12は、図3に示されるように、フレキシブル配線基板22および光モジュール本体部分20を収容する部分を有している。その収容部分は、図3におけるY座標軸に沿った一対の側壁部12RWおよび12RLにより囲まれ形成されている。そのY座標軸に沿って一対の側壁部12RWおよび12RLを越えて突出する下カバー12の一端には、係合部12aが一体に形成されている。係合部12aは、カードエッジ基板30および上カバー14の係合部14aに向かい合っている。一対の側壁部12RWおよび12RLを連結する下カバー12の底部における係合部12a側の端部には、カードエッジ基板30が配される。その底部における端部には、小ネジBS1が挿入される透孔12b1が形成されている。係合部12aの基端部近傍の溝には、シール用ゴムチューブRU1が設けられている。また、図3におけるY座標軸に沿って隣接した支持面12Dには、フレキシブル配線基板22における第1の放熱ブロック24、押圧シート26および押さえプレート28に対応する部分が配される。また、隣接した位置には、凹部12Rが形成されている。凹部12Rには、図5(C)に示されるような、フレキシブル配線基板22の表面22Bに形成される導体パターン22BCPが所定の隙間をもって配されている。これにより、導体パターン22BCPが下カバー12の底部に接触する虞がないので伝送信号の特性の劣化が回避される。
【0036】
支持部12Dに隣接した一対の側壁部12RWおよび12RLの内周部には、それぞれ、第2の放熱ブロック34の両側部が嵌合される凹部12eが向かい合って形成されている。
【0037】
底部におけるY座標軸に沿って支持面12Dおよび凹部12eの位置よりもさらに離隔する方向には、LED基板32を固定する一対の台座が形成されている。その台座には、コイルスプリング48の一端を受け止めるスプリング受け12WAがその側面に形成されている。また、LED基板32を支持する台座の上面には、上述の2本の小ネジBS2がそれぞれねじ込まれる雌ネジ孔12FSが形成されている。また、フレキシブル配線基板22の一対の貫通孔32dに係合される位置決めピン12LPが形成されている。また、その台座からさらにY座標軸に沿って離隔した下カバー12の端部には、小ネジBS1が挿入される透孔12b2および12b3が形成されている。
【0038】
斯かる構成において、下カバー12がフレキシブル配線基板22の表面22Bに対し上方から被せられた後、上カバー14は、その押圧面14PSが第1の放熱ブロック24とともに、押圧シート26および押さえプレート28を押圧するように下カバー12に重ねられる。そして、図3に示されるように、3本の小ネジBS1が、下カバー12の貫通孔12b1,12b2、および、12b3を通じて上カバー14の各雌ネジ孔にねじ込まれることにより、光モジュール10の組み立てが終了することとなる。その際、第1の放熱ブロック24が上カバー14の押圧面14PSにより、図1の矢印Fが示す方向に、即ち、フレキシブル配線基板22の実装面を押圧する方向に、所定の圧力で押圧される。従って、押さえプレート28の突起部28PAおよび28PBの先端が、信号伝送路としての導体パターン22ACPに線接触した状態で、所定の圧力でフレキシブル配線基板22の表面22Bを平坦となるように押圧することとなる。これにより、フレキシブル配線基板22が、押さえプレート28の突起部28PAおよび28PBと下カバー12の支持面12Dによって挟まれた状態となる。従って、フレキシブル配線基板22の実装面が上カバー14の内周部と下カバー12の内周部との間で湾曲し、振動により半導体素子が剥がれ落ちる虞もない。また、押さえプレート28の突起部28PAおよび28PBが所定の間隔で形成されているので導体パターン22ACPを流れる信号の信号特性に悪影響を与えることもない。さらに、押圧シート26が所定量、押しつぶされることにより製造誤差も吸収されるので各部品の加工精度について高精度が要求されず、従って、製造コストの低減が図れることとなる。
【0039】
さらに、上述の例においては、フレキシブル配線基板22から発生する熱は、保護キャップ36および第1の放熱ブロック24を介して効率的に上カバー14に伝えられ、外部に放熱させることができる。光モジュール本体部分20は、第1の放熱ブロック24、フレキシブル配線基板用押さえプレート28および第2の放熱ブロック34、MTフェルール44が、階段状に折り曲げられたフレキシブル配線基板22を挟んで略水平に配置される。それにより、光モジュール10は、薄型化ひいては小型化が可能となる。
【0040】
なお、カバー部材は、上述の例に限られることなく、上カバーと下カバーとによって構成されるものに限らず、1つの部材で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 光モジュール
12 下カバー
14 上カバー
22 フレキシブル配線基板
24 第1の放熱ブロック
26 押圧シート
28 フレキシブル配線基板用押さえプレート
30 カードエッジ基板
32 LED基板
34 第2の放熱ブロック
44 光コネクタ(MTフェルール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および受光素子と、該発光素子および受光素子を駆動させる半導体素子とが、一方の面に実装されるフレキシブル配線基板と、
前記フレキシブル配線基板の一方の面を支持する支持面を有する筐体と、
前記フレキシブル配線基板の他方の面に当接する押さえプレートと、
前記押さえプレートを前記筐体の支持面に配置される前記フレキシブル配線基板の他方の面に向けて付勢する弾性部材と、を備え、
前記押さえプレートと前記筐体の支持面とによって前記フレキシブル配線基板が挟持されることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブル配線基板は、前記他方の面に形成された導電パターンを有し、前記押さえプレートは、前記導電パターン上に当接する突起部を有することを特徴とする請求項1記載の光モジュール。
【請求項3】
前記押さえプレートの突起部は、前記導電パターンに当接する円弧状の先端部を有することを特徴とする請求項2記載の光モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブル配線基板は、前記一方の面に形成された導電パターンを有し、前記筐体の前記支持面は、前記フレキシブル配線基板の他方の導電パターンに対応して凹部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の光モジュール。
【請求項5】
前記筐体は、金属材料で作られることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の光モジュール。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記筐体の収容部における内周部に配される放熱部材と前記押さえ部材との間に挟持されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98292(P2013−98292A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238676(P2011−238676)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】