説明

光中継システム

【課題】遅延時間調整に要する作業負担を軽減できる光中継システムを提供する。
【解決手段】基地局1が、LCX3−1及び光ファイバ伝送路4−1〜4−nに同期信号を送信する信号送信(TX)部200と、LCXに送信された同期信号と光ファイバ伝送路に送信された同期信号との位相差情報に基づいて、移動局7との間で送受信する信号の位相を調整する位相調整器101,110とを備え、中継機2−1〜2−nが、前段の中継機又は基地局1からLCXを介して受信した同期信号と基地局1から光ファイバ伝送路を介して受信した同期信号との位相差を検出し、位相差情報として前段の中継機又は基地局1に送信する位相差検出部800と、後段の中継機の位相差検出部800から受信した位相差情報に基づいて、移動局7と基地局1との間で送受信する信号の位相を調整する位相調整器901,910とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車無線システムや自動交通システムに適用される移動体通信用の光中継システムに係り、特に漏洩同軸ケーブル(LCX:Leakage CoaXial cable)及び光ファイバを介して移動局と基地局の通信を中継する光中継システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
漏洩同軸ケーブル(以下、LCXと称す)及び光ファイバ伝送路を介して移動局と基地局の通信を中継する従来のシステムとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このシステムでは、前段の中継機と接続するLCXの終端と後段の中継機に接続するLCXの送信端との切れ目(以下、LCX渡り区間と称す)にて基地局からの伝送経路長が異なる。これにより、光ファイバを介した通信とLCXを介した通信の間における遅延時間の相違を生じ、移動局と基地局の通信が瞬断する可能性がある。
【0003】
そこで、特許文献1のシステムでは、中継機間に敷設された各LCXの位相を、基地局の遅延補正装置内に実装された光ファイバ長を調整することにより遅延時間を調整している。具体的に説明すると、基地局から光ファイバ伝送路及び中継機を介してLCXの端部へ伝搬した信号と、基地局から光ファイバ伝送路及び前記中継機の後段の中継機を介してLCXの端部へ伝搬した信号との突き合わせ点にて遅延時間を測定し、位相を合わせるために基地局で必要な長さの光ファイバを切断、融着作業を行ってから遅延時間を再測定する。これらの作業を所望の位相差となるまで繰り返す。
【0004】
【特許文献1】特開2004−236165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムは、光ファイバ伝送路での遅延時間が約5μs/kmであるのに対し、LCXでの遅延時間が約3.75μs/kmであるので、これによる遅延時間を補正するものである。例えば、1Mbpsのデータ伝送を行う場合、1bitのデータ幅は1μsであることから、この1/10の時間である0.1μsで位置合わせするには、±20mの位置合わせ精度で光ファイバを切り出す必要がある。また、1/100の時間である0.01μsで調整する場合は、±2mの精度で光ファイバを切り出さなければならない。さらに、この精度は、システムで許容されるエラーレートにより変化する。
【0006】
このように、従来のシステムでは、システム設置現場で光ファイバの切断、融着、位相差測定を繰り返す煩雑な作業が必要であるため、光ファイバやLCXの経路変更等により経路長が変化した場合、その都度調整作業をしなければならず、保守運用の面での作業負担が大きいという課題があった。また、システムが10Mbps以上の高いデータレートである場合、さらに高い精度での調整が必要となり、光ファイバ長を実際に調整するのは、物理的に不可能であるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、遅延時間の調整を自動化することにより、遅延時間調整に要する作業負担を軽減できる光中継システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る光中継システムは、基地局を起点として漏洩同軸ケーブルを縦続きに接続するとともに、光ファイバ伝送路で基地局に各々接続され、光ファイバ伝送路及び漏洩同軸ケーブルを介して移動局と基地局との無線通信を中継する中継機を備えた光中継システムにおいて、基地局が、漏洩同軸ケーブル及び光ファイバ伝送路を介して移動局へ送信する信号に同期信号を合成して送信する信号送信部と、自局から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、該後段の中継機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して該後段の中継機から更に後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する基地局側位相調整部を備え、中継機が、前段の中継機又は基地局に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、自機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して自機から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差を検出し、位相差情報として前段の中継機又は基地局に送信する位相差検出部と、自機から漏洩同軸ケーブルを介して接続する後段の中継機の位相差検出部から受信した位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する中継機側位相調整部を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、基地局が、漏洩同軸ケーブル及び光ファイバ伝送路を介して移動局へ送信する信号に同期信号を合成して送信する信号送信部と、自局から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、該後段の中継機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して該後段の中継機から更に後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する基地局側位相調整部を備え、中継機が、前段の中継機又は基地局に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、自機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して自機から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差を検出し、位相差情報として前段の中継機又は基地局に送信する位相差検出部と、自機から漏洩同軸ケーブルを介して接続する後段の中継機の位相差検出部から受信した位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する中継機側位相調整部を備えるので、移動局と基地局との間で送受信される信号の位相調整を自動化することができ、システム導入時の調整を容易に行うことができるという効果がある。また、光ファイバ伝送路や漏洩同軸ケーブルの経路変更等による線路長変化時にも自動で対応することができ、保守運用の効率化を図ることができる。さらに、nsオーダの調整が可能であり10Mbps超の高ビットレートの通信にも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による光中継システムの構成を示す図であり、1局の基地局1に対し、中継機2−1〜2−nがLCX3−1〜3−nを介して数珠繋ぎに接続され、さらに光ファイバ伝送路4−1〜4−nを介して基地局1と接続させた構成を1つの無線ゾーンとして構築した場合を示している。図1に示す構成のシステムを複数接続することにより、LCXを介して基地局1と移動局7の間で無線信号8がやり取りされる広域な無線ゾーンを有する移動体通信システムの構築が可能である。
【0011】
基地局1は、基地RF部100、信号送信(TX)部(送信部)200、信号受信(RX)部300、基地E/O400−1〜400−n、WDMフィルタ5及び基地O/E500−1〜500−nを備える。基地RF部100は、基地局1から移動局7へ送信する下り信号を信号送信(TX)部200から入力してLCX3−1へ直接送信すると共に、LCX3−1を伝搬してきた移動局7から基地局1へ送信された上り信号を信号受信(RX)部300へ出力する。
【0012】
基地局1から移動局7へ送信する下り信号は、LCXを介して無線信号8として移動局7に送信され、移動局7から基地局1への無線信号8がLCXで受信されて上り信号として基地局1へ送信される。図2は、実施の形態1による光中継システムで扱われる下り信号と上り信号の周波数帯域の配置例を示す図である。図2に示すように、基地局1と移動局7の間での通信信号である下り信号及び上り信号は、周波数帯域が異なる信号で構成される。図2の例では、下り信号より高周波帯域の信号で上り信号を構成している。
【0013】
信号送信(TX)部200は、LCX3−1〜3−(n+1)の各区間に対応する(n+1)系統に下り信号を分配して、基地RF部100、基地E/O部400−1〜400−nに出力する。信号受信(RX)部300は、LCX3−1を伝搬してきた上り信号を基地RF部100を介して受信し、LCX3−2〜3−(n+1)を伝搬してきた上り信号を中継機2−1〜2−n、光ファイバ伝送路4−1〜4−n及び基地O/E500−1〜500−nを介して受信する。
【0014】
基地E/O400−1〜400−nは、信号送信(TX)部200から入力した電気信号の下り信号を任意の波長λ1の下り光信号に電気光変換し、光ファイバ伝送路4−1〜4−nへ出力する。図3は、実施の形態1による光中継システムにおける電気光変換を説明するための図であり、基地E/O400−1〜400−n内のLD(信号用レーザダイオード)の駆動電流に対する光出力の特性を示している。図3に示すように、基地E/O400−1〜400−nは、下り信号を電気信号から光信号へ線形に変換する。
【0015】
基地O/E500−1〜500−nは、光ファイバ伝送路4−1〜4−nを介して受信された上り光信号を元の電気信号の上り信号に変換して信号受信(RX)部300に出力する。WDMフィルタ5は、光ファイバ伝送路4−1〜4−nに伝搬させる上り光信号(波長λ2)と下り光信号(波長λ1)を波長多重すると共に、光ファイバ伝送路4−1〜4−nを伝搬してきた上り光信号と下り光信号とを波長分離する。ここで、下り光信号の波長λ1としては、1300nm〜1600nmの任意の1波長を選択してもよく、上り光信号の波長λ2と異なる波長であれば、既存の技術を用いて波長多重分離(合波、分波)することができる。
【0016】
中継機2−1〜2−nは、WDMフィルタ5、中継E/O600−1〜600−n、中継O/E700−1〜700−n、位相差検出部800及び中継RF部900を備える。中継E/O600−1〜600−nは、中継RF部900から入力した上り信号を上り光信号に変換し、光ファイバ伝送路4−1〜4−nへ出力する。中継O/E700−1〜700−nは、光ファイバ伝送路4−1〜4−nを介して受信された下り光信号を電気信号に変換して中継RF部900に出力する。
【0017】
位相差検出部800は、基地局1から光ファイバ伝送路を経由して伝送されて中継RF部により後段の中継機に接続するLCXに送出される下り信号と、後段のLCXを伝搬して受信された下り信号との位相差、即ちLCX渡り区間6−1〜6−nにおける位相差を検出する。中継RF部900は、中継O/Eにより元の電気信号に変換された下り信号を位相差検出部800及びLCXに出力すると共に、LCXを伝搬してきた上り信号を受信して中継E/Oに出力する。
【0018】
次に、基地局1の内部構成について詳細に説明する。
図4は、図1中の基地RF部の内部構成を示す図である。図4に示すように、基地RF部100は、位相調整器(基地局側位相調整部)101,110、下り信号用AMP102、上り信号用AMP103、フィルタ機能付き合成器104、分配器105、バンドパスフィルタ(BPF)106、バンドリジェクションフィルタ(BRF)107、検波部108及びローパスフィルタ(LPF)109を備える。位相調整器101は、ローパスフィルタ109で平滑化された位相差信号(単一周波数Frの信号)に基づいて、信号送信(TX)部200から入力した下り信号の位相を調整する。
【0019】
下り信号用AMP102は、位相調整器101により位相調整された下り信号を増幅する。上り信号用AMP103は、フィルタ機能付き合成器104により分離された上り信号を増幅する。フィルタ機能付き合成器104は、LCX3−1からの上り信号及び下り信号用AMP102からの下り信号を入力し、これらを分離して下り信号をLCX3−1へ送信し、上り信号を上り信号用AMP103へ出力する。なお、フィルタ機能付き合成器104におけるフィルタ機能とは、図2に示した下り信号と上り信号の周波数帯域を分けることができる機能をいう。
【0020】
分配器105は、上り信号用AMP103により増幅された上り信号をバンドパスフィルタ106及びバンドリジェクションフィルタ107へそれぞれ分配する。バンドパスフィルタ106は、入力した上り信号から位相差信号を抽出する。バンドリジェクションフィルタ107は、入力した上り信号から位相差信号を除去する。
【0021】
検波部108は、バンドパスフィルタ106を通過した位相差信号を振幅検波する。ローパスフィルタ109では、検波部108により振幅検波された位相差信号を平滑化する。位相調整器110は、ローパスフィルタ109で平滑化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ107を通過した上り信号の位相を調整する。
【0022】
図5は、図1中の信号送信(TX)部の内部構成を示す図である。図5に示すように、信号送信(TX)部200は、RF送信機(TX)201、合成器202、分配器203、同期信号発生部204、発振器(Fp)205、及び変調器206を備える。RF送信機(TX)201は、移動局7へ送信すべき下り主信号を生成する。
【0023】
合成器202は、RF送信機(TX)201からの下り主信号と変調器206からの同期用変調信号(Fp*Fs)とを合成する。合成器202による信号の合成レベルは、主信号への相互変調歪やスプリアスを考慮して、図2に示すように、キャリア信号(周波数Fp)が、下り信号となる主信号よりも10dB以上低い電力(主信号の1/10以下の電力を示す)と設定する。
【0024】
分配器203では、合成器202により合成された信号を中継機の台数+1(=n+1)に分配し、1つは基地RF部100へ、その他を電気光変換部である基地E/O400−1〜400−nに出力する。同期信号発生部204は、同期信号(周波数Fs)を発生する。なお、同期信号としては、周波数Fsがキャリア信号の周波数Fpよりも十分低い周波数(Fs≦{Fp/100})のパルス波若しくは特定パターンを選択する。
【0025】
発振器205は、キャリア信号(周波数Fp)を発生する。変調器206は、同期信号発生部204で発生させた同期信号(周波数Fs)と、発振器205からのキャリア信号(周波数Fp)とを入力してASK変調若しくはAM変調により同期用変調信号(Fp*Fs)を生成する。
【0026】
図6は、図1中の信号受信(RX)部の内部構成を示す図である。図6に示すように、信号受信(RX)部300は、RF受信機(RX)301及び合成器302を備える。RF受信機(RX)301は、合成器302により合成された信号を受信する。合成器302は、基地RF部100又は基地O/E500−1〜500−nから受信した上り信号を合成する。
【0027】
図7は、図1中の基地E/O及び基地O/Eの内部構成を示す図であり、図7(a)が基地E/Oの内部構成を示しており、図7(b)が基地O/Eの内部構成を示している。図7(a)に示すように、基地E/O400−1〜400−nは、AMP401及び信号用レーザダイオード(LD)402を備える。AMP401は、信号送信(TX)部200から入力した下り信号を所定の信号レベルまで増幅する。信号用レーザダイオード(LD)402は、AMP401により増幅された下り信号を、波長λ1の下り光信号に電気光変換してWDMフィルタ5へ出力する。
【0028】
また、図7(b)に示すように、基地O/E500−1〜500−nは、信号用フォトダイオード(PD)501及びAMP502を備える。信号用フォトダイオード(PD)501は、光ファイバ伝送路を伝搬してきた信号からWDMフィルタ5により波長分離された上り光信号(波長λ2)を、元の電気信号の上り信号に光電変換する。AMP502は、信号用フォトダイオード(PD)501により光電変換された上り信号を所望の信号レベルに増幅して信号受信(RX)部300へ出力する。
【0029】
次に、中継機の内部構成について詳細に説明する。
図8は、図1中の中継RF部の内部構成を示す図である。図8に示すように、中継RF部900は、位相調整器(中継機側位相調整部)901,910、下り信号用AMP902、上り信号用AMP903、フィルタ機能付き合成器904、分配器905,911、バンドパスフィルタ(BPF)906、バンドリジェクションフィルタ(BRF)907、検波部908及びローパスフィルタ(LPF)909を備える。
【0030】
位相調整器901は、ローパスフィルタ909で平滑化された位相差信号Frに基づいて、中継O/Eから入力した下り信号の位相を調整する。分配器911は、位相調整器901によって位相調整された下り信号を下り信号用AMP902と位相差検出部800に分配する。
【0031】
下り信号用AMP902は、位相調整器901により位相調整された下り信号を増幅する。上り信号用AMP903は、フィルタ機能付き合成器904により分離された上り信号を増幅する。フィルタ機能付き合成器904は、LCXからの上り信号及び下り信号用AMP902からの下り信号を入力し、これらを分離して下り信号をLCXへ送信し、上り信号を上り信号用AMP903へ出力する。なお、フィルタ機能付き合成器904におけるフィルタ機能とは、基地RF部100のフィルタ機能付き合成器と同様に、図2に示した下り信号と上り信号の周波数帯域を分けることができる機能をいう。
【0032】
分配器905は、上り信号用AMP903により増幅された上り信号をバンドパスフィルタ906及びバンドリジェクションフィルタ907へそれぞれ分配する。バンドパスフィルタ906は、入力した上り信号から位相差信号を抽出する。バンドリジェクションフィルタ907は、入力した上り信号から位相差信号を除去する。
【0033】
検波部908は、バンドパスフィルタ906を通過した位相差信号を振幅検波する。ローパスフィルタ909では、検波部908により振幅検波された位相差信号を平滑化してDC信号に変換する。位相調整器910は、ローパスフィルタ909で平滑化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ907を通過した上り信号の位相を調整する。
【0034】
図9は、図1中の中継E/O及び中継O/Eの内部構成を示す図であり、図9(a)が中継E/Oの内部構成を示しており、図9(b)が中継O/Eの内部構成を示している。図9(a)に示すように、中継E/O600−1〜600−nは、AMP601及び信号用レーザダイオード(LD)602を備える。AMP601は、中継RF部900から入力した下り信号を所定の信号レベルまで増幅する。信号用レーザダイオード(LD)602は、AMP601により増幅された下り信号を、波長λ1の下り光信号に電気光変換してWDMフィルタ5へ出力する。
【0035】
また、図9(b)に示すように、中継O/E700−1〜700−nは、信号用フォトダイオード(PD)701及びAMP702を備える。信号用フォトダイオード(PD)701は、光ファイバ伝送路を伝搬してきた信号からWDMフィルタ5により波長分離された上り光信号(波長λ2)を、元の電気信号の上り信号に光電変換する。AMP702は、信号用フォトダイオード(PD)701により光電変換された上り信号を所望の信号レベルに増幅して中継RF部900へ出力する。
【0036】
図10は、図1中の位相差検出部の内部構成を示す図である。図10に示すように、位相差検出部800は、バンドパスフィルタ(BPF)801,805、復調部802,810、位相比較器(PC)803、ローパスフィルタ(LPF)804、発振器(Fr)806、AMP807、可変減衰器(ATT)808及び方向性結合器(CIR)809を備える。バンドパスフィルタ801は、中継RF部900の分配器911により入力された下り信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出する。
【0037】
復調部802では、バンドパスフィルタ801を通過した同期用変調信号に対してASK復調若しくはAM復調処理を施して同期信号(周波数Fs)を復調する。なお、復調方法としては、例えば包絡線検波を用いる。位相比較器(PC)803は、復調部802及び復調部810で復調された各同期信号(周波数Fs)の位相を比較し、これら信号の位相差信号を生成する。ローパスフィルタ804では、位相比較器803により生成された位相差信号を平滑化してDC信号に変換する。
【0038】
また、バンドパスフィルタ805は、方向性結合器(CIR)809を介して入力した下り信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出する。発振器806は、単一周波数Frの信号を発振する。AMP807は、発振器806から出力される単一周波数Frの信号(正弦波)を所望の信号レベルに増幅する。可変減衰器(ATT)808は、ローパスフィルタ804から入力した位相差信号に比例した振幅になるように、AMP807で増幅された単一周波数Frの信号の振幅を制御する。これにより、単一周波数Frの信号の振幅情報が位相差信号となり、基地局1若しくは前段の中継機へフィードバックされる。
【0039】
方向性結合器(CIR)809は、前段の中継機の中継RF部900と送信端が接続するLCXの終端に接続しており、可変減衰器808から出力された単一周波数Frの信号を該LCXへ送信すると共に、該LCXを伝搬してきた下り信号をバンドパスフィルタ805へ出力する。なお、中継機2−1の方向性結合器809では、基地局1の基地RF部100に送信端が接続するLCX3−1の終端と接続し、基地局1から送信されてLCX3−1を伝搬してくる下り信号をバンドパスフィルタ805へ出力する。
【0040】
次に動作について説明する。
先ず、実施の形態1による光中継システムにおける下り信号の流れを説明する。
(1)基地局1→LCX3−1→移動体7の順で伝送される場合
基地局1の信号送信(TX)部200は、LCX3−1〜3−(n+1)の区間分に相当する(n+1)系統に下り信号を分配し、その1つの下り信号が基地RF部100に出力されてLCX3−1に送信され、LCX3−1から無線信号8となって移動体7に送信される。
【0041】
図4〜7を用いて説明する。先ず、基地局1を構成する信号送信(TX)部200のRF送信機(TX)201が、下り主信号を発生して合成器202に出力する。また、変調器206が、同期用変調信号(Fp*Fs)を生成して合成器202に出力する。
【0042】
なお、同期用変調信号(Fp*Fs)は、変調器206が、同期信号発生部204により発振された周波数Fsの同期信号を、発振器205により発振された周波数Fpのキャリア信号を用いてASK変調若しくはAM変調して得られる。また、同期信号としては、周波数Fpがキャリア信号の周波数Fpよりも十分低い周波数(Fs≦{Fp/100})のパルス波若しくは特定パターンを選択する。
【0043】
合成器202は、RF送信機(TX)201からの下り主信号と、変調器206からの同期用変調信号とを合成して分配器203に出力する。このときの合成レベルは、上述したように、下り主信号への相互変調歪やスプリアスを考慮して下り主信号よりも10dB以上低い電力(主信号の1/10以下の電力)と設定する。
【0044】
分配器203では、合成器202から入力した下り信号を中継機の台数+1の数(=n+1)に分配し、1つは基地RF部100へ出力し、その他を基地E/O−400−1〜400−nにそれぞれ出力する。
【0045】
基地RF部100に出力された下り信号は、位相調整器101で位相調整され、下り信号用AMP102で所要の信号レベルまで増幅されると、上り信号と下り信号を分離するフィルタ機能付き合成器104を経由してLCX3−1に送信される。なお、上り信号と下り信号を分離するフィルタ機能は、図2に示す上り信号と下り信号の周波数帯域を分けることができるフィルタ機能を示している。LCX3−1を伝搬した下り信号は、無線信号8として漏洩され、該LCX3−1の区間を移動する移動体7に受信される。
【0046】
(2)基地局1→光ファイバ伝送路4−1〜4−n→中継機2−1〜2−n→LCX3−2〜3−(n−1)→移動体7の順で伝送される場合
基地E/O400−1〜400−nが、基地局1の信号送信(TX)部200によって分配された下り信号の1つを電気光変換により任意の下り光信号(波長λ1)に変換してWDMフィルタ5に出力する。WDMフィルタ5では、下り光信号(波長λ1)と上り光信号(波長λ2)とを波長多重して中継機2−1〜2−nに向けて光ファイバ伝送路4−1〜4−nにそれぞれ送信する。
【0047】
図4〜8を用いて説明する。上述のようにして、信号送信(TX)部200の分配器203から基地E/O400−1〜400−nに下り信号が入力されると、基地E/O400−1〜400−n内のAMP401は、この下り信号を所望の信号レベルに増幅する。この後、信号用レーザダイオード(LD)401が、この下り信号を波長λ1の下り光信号に電気光変換してWDMフィルタ5に出力し、WDMフィルタ5を介して光ファイバ伝送路4−1〜4−nへ出力される。
【0048】
光ファイバ伝送路4−1〜4−nを伝送してきた下り光信号が中継機2−1〜2−nに到達すると、中継機2−1〜2−nのWDMフィルタ5によって下り光信号(波長λ1)と上り光信号(波長λ2)とが分離され、下り光信号が中継O/E700−1〜700−nに出力される。中継O/E700−1〜700−nでは、内部の信号用フォトダイオード(PD)701が、下り光信号を元の電気信号の下り信号に光電気変換し、AMP702が該下り信号を所望の信号レベルに増幅した後、中継RF部900に出力する。
【0049】
中継RF部900では、下り信号を入力すると、内部の位相調整器901が遅延調整した後、分配器911で下り信号用AMP902と位相差検出部800に2分岐する。下り信号用AMP902は、下り信号を所望の信号レベルまで増幅すると、フィルタ機能付き合成器904に出力する。
【0050】
なお、上記遅延調整は、各中継機にとって基地局1から1区間遠い(後段の)LCXとのLCX渡り区間を対象とする。位相調整器901には、可変位相分解能が約0.1ns/V以下のものを使用し、制御誤差が0.01ns程度となる。これにより、ns台での位相調整が可能である。
【0051】
中継機2−1〜2−nの各中継RF部900内のフィルタ機能付き合成器904は、入力した下り信号を、LCX3−2〜3−(n+1)にそれぞれ送信する。なお、フィルタ機能付き合成器904によるフィルタ機能とは、図2に示した上り信号と下り信号の周波数帯域を分けることができる機能をいう。LCX3−2〜3−(n+1)に送信された下り信号は、LCX3−2〜3−(n+1)から無線信号8として漏洩し、LCX3−2〜3−(n+1)の区間を移動する移動局7に受信される。
【0052】
一方、位相差検出部800は、光ファイバ伝送路4−1〜4−nを介して中継機2−1〜2−nに伝送されてLCX3−2〜3−(n+1)に送信される下り信号(中継RF部900の分配器911から入力した下り信号)(同期信号)と、基地局1からLCX3−1〜3−(n+1)の各々を介して伝送されてきた下り信号(同期信号)との位相差を検出する。
【0053】
ここで、図10を用いて位相差検出部800による動作の詳細を説明する。
位相差検出部800内のバンドパスフィルタ801は、中継RF部900から入力した下り信号から同期変調信号(Fp*Fs)を抽出して復調部802に出力する。復調部802は、同期変調信号(Fp*Fs)に対してASK復調若しくはAM復調を行って同期信号(周波数Fs)を復調する。
【0054】
中継機2−1の位相差検出部800の場合は、基地局1から送信されてLCX3−1を経由してきた下り信号が方向性結合器809に入力し、中継機2−2〜2−nの位相差検出部800の場合では、中継機2−1〜2−(n−1)を経由してそれぞれLCX3−2〜3−nを伝搬してきた下り信号が方向性結合器809に入力され、バンドパスフィルタ805に出力される。バンドパスフィルタ805は、該下り信号から同期変調信号(Fp*Fs)を抽出し復調部810へ出力する。
【0055】
復調部810では、ASK復調若しくはAM復調を同期変調信号(Fp*Fs)に施して同期信号Fsを復調して位相比較器(PC)803に出力する。位相比較器(PC)803は、復調部802,810によりそれぞれ復調された同期信号を位相比較して位相差信号を生成し、ローパスフィルタ804に出力する。
【0056】
ローパスフィルタ804は、入力した位相差信号を平滑化してDC信号に変換し、可変減衰器(ATT)808に出力する。一方、位相差検出部800の発振器806は、単一周波数Frの信号を発振してAMP807に出力する。AMP807は、入力した単一周波数Frの信号を所望の信号レベルに増幅して可変減衰器(ATT)808に出力する。
【0057】
可変減衰器(ATT)808では、ローパスフィルタ804から入力したDC化された位相差信号に比例した振幅となるように、AMP807から入力した単一周波数Frの信号の振幅を制御して方向性結合器809に出力する。これにより、中継機2−1の位相差検出部800の場合は、方向性結合器809からLCX3−1を介して基地局1へ該位相差信号がフィードバックされ、中継機2−2〜2−nの位相差検出部800の場合は、方向性結合器809からLCX3−2〜3−nを介して該位相差信号が中継機2−1〜2−(n−1)へそれぞれフィードバックされる。
【0058】
LCX3−1〜3−(n−1)を上り信号と共に伝搬してきた位相差信号は、基地局1の基地RF部100及び前段の中継機2−1〜2−(n−1)の中継RF部900に入力される。
【0059】
このようなフィードバック制御を繰り返し行うことで位相調整が行われる。なお、位相調整を実施する手順は、基地局1より最も遠端にあたるLCX渡り区間6−nから順に、6−(n−1),・・・,6−2,6−1を調整するため、中継機2−nから順に基地局1に向かって位相比較と位相調整を実施していく。
【0060】
ここで、位相調整処理を詳細に説明する。
図11は位相調整処理の流れを示すフローチャートであり、この図に沿って説明する。
中継機2−nには後段に中継機がなく位相差信号のフィードバックがないため、位相調整器901は固定動作として中継O/E700−nから入力した信号を位相差検出部800に出力する。また、基地局1の信号送信(TX)部200が光ファイバ伝送路4−nを介して中継機2−nに通信接続する(ステップST1)。これにより、中継機2−nが、LCX渡り区間6−nにおける伝搬遅延の調整を開始(ステップST2)し、基地局1の信号送信(TX)部200が、光ファイバ伝送路4−(n−1)を介して中継機2−(n−1)に通信接続する(ステップST3)。
【0061】
続いて、中継機2−nの中継RF部900の位相調整器901は、光ファイバ伝送路4−n及び中継O/E700−nを経由して基地局1から下り信号を受信すると、分配器911に出力し、分配器911を介して位相差検出部800に出力する。中継機2−nの位相差検出部800のバンドパスフィルタ801は、分配器911により入力された信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出して復調部802に出力する。復調部802では、バンドパスフィルタ801を通過した同期用変調信号に対してASK復調若しくはAM復調処理を施して同期信号(周波数Fs)を復調し、位相比較器(PC)803に出力する。
【0062】
また、バンドパスフィルタ805は、方向性結合器(CIR)809がLCX3−nを介して中継機2−(n−1)より受信した信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出し、復調部810に出力する。復調部810では、バンドパスフィルタ805を通過した同期用変調信号に対してASK復調若しくはAM復調処理を施して同期信号(周波数Fs)を復調し、位相比較器(PC)803に出力する。
【0063】
位相比較器(PC)803は、復調部802及び復調部810で復調された各同期信号(周波数Fs)の位相を比較して位相差を検出し、該位相差が調整範囲内であるか否かを判定する(ステップST4)。このとき、位相差が調整範囲内であれば、前段の中継機による位相調整処理に移行する。
【0064】
一方、位相差が調整範囲外である場合、位相比較器(PC)803は、復調部802及び復調部810で復調された各同期信号の位相差信号を生成して、ローパスフィルタ804に出力する。ローパスフィルタ804では、位相比較器803により生成された位相差信号を平滑化してDC信号に変換し可変減衰器(ATT)808に出力する。
【0065】
可変減衰器(ATT)808は、ローパスフィルタ804から入力した信号に比例した振幅になるように、AMP807で増幅された単一周波数Frの信号の振幅を制御する。方向性結合器(CIR)809は、可変減衰器808から出力された単一周波数Frの位相差信号を、LCX3−nを介して中継機2−(n−1)へ送信(フィードバック)する(ステップST5)。
【0066】
中継機2−(n−1)の中継RF部900のフィルタ機能付き合成器904は、LCX3−nを介して伝搬してきた信号から上り信号を分離し、上り信号用AMP903へ出力する。上り信号用AMP903では、該上り信号を所望の信号レベルに増幅して分配器905に出力する。分配器905は、上り信号用AMP903から入力した上り信号をバンドパスフィルタ906及びバンドリジェクションフィルタ907へ各々分配する。
【0067】
バンドパスフィルタ906では、入力した上り信号より中継機2−nからの位相差信号(単一周波数Frの信号)を抽出して検波部908に出力する。一方、バンドリジェクションフィルタ907は、入力した上り信号から上記位相差信号を除去して位相調整器910に出力する。
【0068】
検波部908では、バンドパスフィルタ906を通過した上記位相差信号を振幅検波してローパスフィルタ909に出力する。ローパスフィルタ909は、検波部908により振幅検波された位相差信号を平滑化してDC信号に変換し、位相調整器901と位相調整器910に出力する。位相調整器910では、ローパスフィルタ909で平滑化された中継機2−nからの位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ907を通過した上り信号の位相を調整し、中継E/O600−(n−1)へ出力する。
【0069】
一方、位相調整器901では、ローパスフィルタ909で平滑化された中継機2−nからの位相差信号に基づいて、中継O/E700−(n−1)から入力した下り信号の位相を調整する(LCX渡り区間6−nでの伝送遅延の調整)(ステップST6)。分配器911は、位相調整器901により位相調整された下り信号を下り信号用AMP902と位相差検出部800に分配する。
【0070】
中継機2−(n−1)の位相差検出部800のバンドパスフィルタ801は、上述のようにして中継RF部900の分配器911により入力された信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出して復調部802に出力する。復調部802では、バンドパスフィルタ801を通過した同期用変調信号に対してASK復調若しくはAM復調処理を施して同期信号(周波数Fs)を復調し、位相比較器(PC)803に出力する。
【0071】
また、バンドパスフィルタ805は、方向性結合器(CIR)809がLCX3−(n−1)を介して中継機2−(n−2)から受信した信号より同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出し、復調部810に出力する。位相比較器(PC)803では、復調部802及び復調部810で復調された各同期信号(周波数Fs)の位相を比較し、これら信号の位相差信号を生成する。ローパスフィルタ804では、位相比較器803により生成された位相差信号を平滑化してDC信号に変換する。
【0072】
可変減衰器(ATT)808は、ローパスフィルタ804から入力した位相差信号に比例した振幅になるように、AMP807で増幅された単一周波数Frの信号の振幅を制御する。方向性結合器(CIR)809は、可変減衰器808から出力された単一周波数Frの位相差信号を、LCX3−(n−1)を介して中継機2−(n−2)に送信(フィードバック)する。
【0073】
上述したようなステップST1からステップST6までの処理は、中継機2−2(n=2)に至るまで繰り返される。これにより、LCX渡り区間6−(n−2)〜6−2における伝搬遅延差、つまり、LCX3−(n−2)〜3−2の伝搬遅延と光ファイバ伝送路4−(n−2)〜4−2及び中継機2−(n−2)〜2−2の伝搬遅延との差分がそれぞれ調整される。
【0074】
続いて、中継機2−1が、上述のようにしてLCX渡り区間6−2での伝送遅延を調整すると、基地局1は、LCX渡り区間6−1における伝搬遅延の調整を開始(ステップST7)し、基地局1の信号送信(TX)部200が、光ファイバ伝送路4−1を介して中継機2−1に通信接続する(ステップST8)。
【0075】
この後、中継機2−1の位相差検出部800は、上述のようにして、中継RF部900から入力した信号(光ファイバ伝送路4−1及び中継O/E700−1を経由して伝送してきた同期信号)とLCX3−1を介して基地局1から受信した同期信号との位相差を検出し、該位相差が調整範囲内であるか否かを判定する(ステップST9)。このとき、位相差が調整範囲内であれば、位相調整処理を完了する。
【0076】
一方、位相差が調整範囲外である場合、中継機2−1の位相差検出部800は、上述のようにして上記同期信号の位相差信号を生成し、LCX3−1を介して基地局1へ送信(フィードバック)する(ステップST10)。
【0077】
基地局1の基地RF部100のフィルタ機能付き合成器104が、LCX3−1を介して受信された信号から上記位相差信号を分離し、該位相差信号を上り信号用AMP103へ出力する。これにより、分配器105は、上り信号用AMP103で所望の信号レベルに増幅された位相差信号をバンドパスフィルタ106及びバンドリジェクションフィルタ107へそれぞれ分配する。
【0078】
バンドパスフィルタ106では、入力した上り信号より中継機2−1からの位相差信号(単一周波数Frの信号)を抽出して検波部108に出力する。一方、バンドリジェクションフィルタ107は、入力した上り信号から上記位相差信号を除去して位相調整器110に出力する。
【0079】
検波部108は、バンドパスフィルタ106を通過した上記位相差信号を振幅検波してローパスフィルタ109に出力する。ローパスフィルタ109では、検波部108により振幅検波された位相差信号を平滑化してDC信号に変換して位相調整器101及び位相調整器110にそれぞれ出力する。
【0080】
ステップST11において、位相調整器110は、ローパスフィルタ109で平滑化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ107を通過した上り信号の位相を調整する。一方、位相調整器101では、ローパスフィルタ109で平滑化された中継機2−1からの位相差信号に基づいて、信号送信(TX)部200から入力した下り信号の位相を調整する。このステップST11で位相調整された信号から、ステップST7からステップST11までの処理を位相差が調整範囲外になるまで繰り返す。
【0081】
次に、実施の形態1による光中継システムにおける上り信号の流れを説明する。
(1)移動体7→LCX3−1→基地局1の順で伝送される場合
移動体7から無線信号8として送信された上り信号は、LCX3−1に受信される。基地局1の基地RF部100がLCX3−1を伝搬してきた上り信号を受信し、信号受信(RX)部300に出力する。
【0082】
図4を用いて説明すると、基地局1に到達した上り信号は、基地RF部100に入力され、フィルタ機能付き合成器104によって上り信号が分離され、上り信号用AMP103に出力される。分配器105では、上り信号用AMP103により所望の信号レベルに増幅された上り信号をバンドパスフィルタ106とバンドリジェクションフィルタ107に分配する。
【0083】
バンドパスフィルタ106では、入力した上り信号より中継機2−1からの位相差信号を抽出して検波部108に出力する。検波部108は、バンドパスフィルタ106を通過した上記位相差信号を振幅検波しローパスフィルタ109に出力する。ローパスフィルタ109は、検波部108で振幅検波された位相差信号を平滑化してDC信号に変換し位相調整器101に出力する。
【0084】
位相調整器101は、上述のようにして、ローパスフィルタ109からの信号に基づいて下り信号の位相調整を行い、該下り信号を下り信号用AMP102で増幅した後、フィルタ機能付き合成器104によりLCX3−1に送出する。
【0085】
一方、バンドリジェクションフィルタ107では、入力した上り信号から上記位相差信号(単一周波数Frの信号)を除去して位相調整器110に出力する。位相調整器110では、上述のようにしてローパスフィルタ109で平滑化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ107を通過した上り信号の位相を調整する。位相を調整された上り信号は、基地局1の信号受信(RX)部300にて受信される。
【0086】
(2)移動体7→LCX3−2〜3−n→中継機2−1〜2−n→光ファイバ伝送路4−1〜4−n→基地局1の順で伝送される場合
LCX3−2〜3−nの区間を移動する移動体7から無線信号8として送信された上り信号は、該LCX3−2〜3−nに受信され、中継機2−1〜2−nの方向へ伝搬する。中継機2−1〜2−nに到達した上り信号は、中継機2−1〜2−nの中継RF部900に受信される。中継機2−1〜2−nの中継RF部900のフィルタ機能付き合成器904では、LCX3−1〜3−nを経由して伝搬する信号から上り信号を分離する。該上り信号は、上り信号用AMP903によって増幅された後、分配器905にてバンドパスフィルタ906とバンドリジェクションフィルタ907に分配される。
【0087】
バンドパスフィルタ906では、入力した上り信号から位相差信号を抽出して検波部908に出力する。検波部908は、バンドパスフィルタ906を通過した上記位相差信号を振幅検波しローパスフィルタ909に出力する。ローパスフィルタ909は、検波部908で振幅検波された位相差信号を平滑化してDC信号に変換し位相調整器901に出力する。
【0088】
位相調整器901は、上述のようにして、ローパスフィルタ909からの信号に基づいて下り信号の位相調整を行う。該下り信号は、下り信号用AMP902で増幅された後、フィルタ機能付き合成器904によりLCX3−2〜3−nに送出される。また、該下り信号は、分配器911によって位相差検出部800に出力される。
【0089】
一方、バンドリジェクションフィルタ907では、入力した上り信号から上記位相差信号(単一周波数Frの信号)を除去して位相調整器910に出力する。位相調整器910では、上述のようにしてローパスフィルタ909で平滑化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ907を通過した上り信号の位相を調整する。位相を調整された上り信号は、中継E/O600−1〜600−nに出力される。
【0090】
中継E/O600−1〜600−nは、入力した電気信号の上り信号を、波長λ2の上り光信号に電気光変換してWDMフィルタ5に出力する。WDMフィルタ5は、中継E/O600−1から入力した上り光信号と下り光信号(波長λ1)とを波長多重して光ファイバ伝送路4−1〜4−nに基地局1へ向けて送信される。
【0091】
基地局1のWDMフィルタ5は、中継機2−1〜2−nから光ファイバ伝送路4−1〜4−nを経由して到達した光信号から上り光信号と下り光信号とを分離し、上り光信号を基地O/E500−1〜500−nに出力する。基地O/E500−1〜500−nは、上り光信号を元の電気信号の上り信号に光電気変換して信号受信(RX)部300に出力する。
【0092】
中継機2−1〜2−nの位相差検出部800では、光ファイバ伝送路4−1〜4−nを経由して伝送され、中継機2−1〜2−nを介してLCX3−2〜3−nに送出される下り信号と、基地局1からLCX3−1〜3−nを経由して中継機2−1〜2−nに到達した下り信号との位相差、即ちLCX渡り区間6−1〜6−nにおける位相差を検出する。中継機2−2〜2−nでは、それぞれLCX渡り区間6−2〜6−nの位相差をそれぞれ検出する。
【0093】
なお、LCX渡り区間6−2の位相差とは、光ファイバ伝送路4−1、中継機2−1及びLCX3−2の伝搬遅延と、光ファイバ伝送路4−2及び中継機2−2の伝搬遅延との差分を示している。即ち、LCX渡り区間6−nの位相差は、光ファイバ伝送路4−(n−1)、中継機2−(n−1)及びLCX3−nの伝搬遅延と、光ファイバ伝送路4−n及び中継機2−nの伝搬遅延との差分を示している。これらの区間は、下り信号及び上り信号のそれぞれに共通する区間を示しており、下り信号の位相差を検出した検出情報は、そのまま上り信号の位相差情報として利用が可能である。従って、位相差検出部として、同一構成のものに統一できる利点がある。
【0094】
以上のように、この実施の形態1によれば、基地局1が、漏洩同軸ケーブル3−1及び光ファイバ伝送路4−1〜4−nを介して移動局7へ送信する信号に同期信号を合成して送信する信号送信(TX)部200と、漏洩同軸ケーブル3−1を伝送する信号に合成された同期信号と、光ファイバ伝送路4−1を伝送して中継機2−1から漏洩同軸ケーブル3−2に伝送される信号に合成された同期信号との位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する位相調整器101,110を備え、中継機2−1〜2−nが、前段の中継機又は基地局に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、自機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して自機から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差を検出し、位相差情報として前段の中継機又は基地局に送信する位相差検出部800と、自機から漏洩同軸ケーブルを介して接続する後段の中継機から受信した位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する位相調整器901,910を備えたので、位相調整が自動化されることから、システム導入時の調整の煩雑化を防ぐことができる。また、光ファイバ伝送路やLCXの線路長変更にも自動で対応することができ、保守運用の効率化を図ることができる。
【0095】
さらに、従来のシステムでファイバの線路長を調整していたために主信号の伝送レートが1Mbps程度±20m程度に調整する必要があり、10Mbps以上は困難と考えられていたことに対し、本システムでは、フィードバックによる自動調整によりnsオーダの調整が可能であり10Mbps超の高ビットレートの通信にも対応が可能である。
【0096】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、位相差検出部800にて位相差に比例した振幅を持つ周波数Frの位相差信号をアナログ信号として送信した。これに対して、この実施の形態2では、位相差検出部800aが位相差情報をA/D変換しキャリア周波数Frでデジタル変調(ASK変調)した信号を送信する。
【0097】
図12は、この発明の実施の形態2による光中継システムの構成を示す図であり、図1と同一又はこれに相当する構成要素には同一符号を付している。実施の形態2による光中継システムでは、基地局1の基地RF部100a、中継機の位相差検出部800a及び中継RF部900aが、上記実施の形態1の対応する構成要素と動作が異なる。なお、上り信号及び下り信号の流れは、上記実施の形態1と同様である。
【0098】
図13は、図12中の基地RF部の内部構成を示す図である。図13に示すように、基地RF部100aは、上記実施の形態1の基地RF部100と同様の構成を有するが、基地RF部100における検波部108が復調部151に置き換わり、ローパスフィルタ109がD/A変換部152に置き換わっている。
【0099】
復調部151は、バンドパスフィルタ106を通過したキャリア周波数Frでデジタル変調された位相差信号を復調する。例えば、後述するように位相差信号がASK変調されている場合は、包絡線検波によりASK変調信号からデジタル信号(位相差信号)を復調する。D/A変換部152では、復調部152により復調された位相差信号をデジタル信号からアナログ信号へD/A変換する。
【0100】
図14は、図12中の中継RF部の内部構成を示す図である。図14に示すように、中継RF部900aは、上記実施の形態1の中継RF部900と同様の構成を有するが、中継RF部900における検波部908が復調部951に置き換わり、ローパスフィルタ909がD/A変換部952に置き換わっている。
【0101】
復調部951は、バンドパスフィルタ906を通過したキャリア周波数Frでデジタル変調された位相差信号を復調する。例えば、位相差信号がASK変調されている場合、復調部151と同様に包絡線検波により復調する。D/A変換部952では、復調部952により復調された位相差信号をデジタル信号からアナログ信号へD/A変換する。
【0102】
図15は、図12中の位相差検出部の内部構成を示す図である。図15に示すように、位相差検出部800aは、上記実施の形態1の位相差検出部800と同様の構成を有するが、ローパスフィルタ804の出力を受けるA/D変換部851が追加され、可変減衰器808が変調部852に置き換わっている。
【0103】
A/D変換部851は、ローパスフィルタ804によりDC信号に変換された位相差信号をA/D変換してデジタル信号とする。このデジタル信号は、シリアルに生成されることから、基地RF部100aのD/A変換部152や中継RF部900aのD/A変換部952で非同期で判別できるように調歩同期やフレーム同期等を行う。また、このデジタル信号のビットレートは、キャリア信号の周波数Frを数百MHzとした場合、その1/100の1Mbps以下にする。
【0104】
変調部852は、A/D変換部851によりデジタル信号に変換された位相差信号を、キャリア周波数FrでASK変調する。なお、ASK変調では、デジタル化された位相差信号が「1」のときにキャリア信号を送出し、「0」のときにキャリア信号を送出しない変調方式であるので、変調部852では、デジタル化された位相差信号の値に応じてキャリア信号の送出をオンオフして該位相差信号を送出する。
【0105】
上記実施の形態1のようにアナログ信号での制御の場合、位相調整精度は良いメリットがあるが、逆に外乱など雑音に弱いデメリットがある。そこで、この実施の形態2のように位相差信号をデジタル化することにより雑音耐力を強くすることが可能である。ただし、デジタル変換する際の分解能(A/Dのビット数)によって位相差調整精度が決まるため、雑音耐力と位相差調整精度はトレードオフの関係となり、システムにより選択する必要がある。
【0106】
次に動作について説明する。
(1)基地RF部100aの動作
基地局1の基地RF部100aのフィルタ機能付き合成器104では、LCX3−1を介して受信した信号から上り信号を分離し、上り信号を上り信号用AMP103へ出力する。これにより、分配器105は、上り信号用AMP103で所望の信号レベルに増幅された上り信号をバンドパスフィルタ106及びバンドリジェクションフィルタ107へそれぞれ分配する。
【0107】
バンドパスフィルタ106では、入力した上り信号より中継機2−1からの位相差信号(周波数Frのキャリア信号で変調されたデジタル信号)を抽出して復調部151に出力する。一方、バンドリジェクションフィルタ107は、入力した上り信号から上記位相差信号を除去して位相調整器110に出力する。
【0108】
復調部151では、バンドパスフィルタ106を通過した周波数Frのキャリア信号でASK変調された位相差信号を包絡線検波等により復調してD/A変換部152に出力する。D/A変換部152は、復調部151により復調された位相差信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して位相調整器101及び位相調整器110にそれぞれ出力する。位相調整器110は、D/A変換部152でアナログ化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ107を通過した上り信号の位相を調整する。
【0109】
(2)中継RF部900aの動作
中継機2−1〜2−nの中継RF部900aのフィルタ機能付き合成器904では、LCX3−2〜3−nを介して受信した信号から上り信号を分離し、上り信号を上り信号用AMP903へ出力する。これにより、分配器905は、上り信号用AMP903で所望の信号レベルに増幅された上り信号をバンドパスフィルタ906及びバンドリジェクションフィルタ907へそれぞれ分配する。
【0110】
バンドパスフィルタ906は、入力した上り信号から位相差信号(周波数Frのキャリア信号で変調されたデジタル信号)を抽出して復調部951に出力する。一方、バンドリジェクションフィルタ907は、入力した上り信号から上記位相差信号を除去して位相調整器910に出力する。
【0111】
復調部951では、バンドパスフィルタ906を通過した周波数Frのキャリア信号でASK変調された位相差信号を包絡線検波等により復調してD/A変換部952に出力する。D/A変換部952では、復調部951により復調された位相差信号をデジタル信号からアナログ信号に変換して位相調整器901及び位相調整器910にそれぞれ出力する。
【0112】
位相調整器910は、D/A変換部952でアナログ化された位相差信号に基づいて、バンドリジェクションフィルタ907を通過した上り信号の位相を調整する。これにより調整される位相差は、LCX渡り区間6−1〜6−nにおける伝搬遅延差、つまり、LCX3−2〜3−nの伝搬遅延と光ファイバ伝送路4−1〜4−n及び中継機2−1〜2−nの伝搬遅延との差分である。
【0113】
(3)位相差検出部800aの動作
中継機2−1〜2−nの位相差検出部800aのバンドパスフィルタ801は、上述のようにして中継RF部900aの分配器911により入力された信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出して復調部802に出力する。復調部802では、バンドパスフィルタ801を通過した同期用変調信号に対してASK復調若しくはAM復調処理を施して同期信号(周波数Fs)を復調し、位相比較器(PC)803に出力する。
【0114】
また、バンドパスフィルタ805は、LCX3−2〜3−nを介して方向性結合器(CIR)809が受信した中継機2−1〜2−nの位相差信号から同期用変調信号(Fp*Fs)を抽出し、復調部810に出力する。位相比較器(PC)803では、復調部802及び復調部810で復調された各同期信号(周波数Fs)の位相を比較し、これら信号の位相差信号を生成する。
【0115】
ローパスフィルタ804では、位相比較器803により生成された位相差信号を平滑化してDC信号に変換する。A/D変換部851は、ローパスフィルタ804によりDC信号に変換された位相差信号をA/D変換し、変調部852に出力する。
【0116】
変調部852は、A/D変換部851によりデジタル信号に変換された位相差信号を、キャリア周波数FrでASK変調する。方向性結合器(CIR)809は、変調部852から出力された周波数Frのキャリア信号で変調された位相差信号を、LCX3−2〜3−nを介して中継機2−2〜2−nに送信する。
【0117】
以上のように、この実施の形態2によれば、位相差検出部800aが位相差情報をデジタル変調して前段の中継機又は基地局1に送信し、基地局1及び中継機が、位相差情報をデジタル復調する復調部151,951を備えたので、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、雑音耐力を強くすることが可能である。
【0118】
なお、特許文献1では、1つの中継機に繋がる2本のLCXから信号を送出する構成であり、上記実施の形態1、2では、1つの中継機に繋がる2本のLCXのうち1本を信号の受信用とし、もう1本を信号の送出用とする構成であるが、特許文献1のLCX構成であっても同様の方式が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】この発明の実施の形態1による光中継システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による光中継システムで扱われる下り信号と上り信号の周波数帯域の配置例を示す図である。
【図3】実施の形態1による光中継システムにおける電気光変換を説明するための図である。
【図4】図1中の基地RF部の内部構成を示す図である。
【図5】図1中の信号送信(TX)部の内部構成を示す図である。
【図6】図1中の信号受信(RX)部の内部構成を示す図である。
【図7】図1中の基地E/O及び基地O/Eの内部構成を示す図である。
【図8】図1中の中継RF部の内部構成を示す図である。
【図9】図1中の中継E/O及び中継O/Eの内部構成を示す図である。
【図10】図1中の位相差検出部の内部構成を示す図である。
【図11】位相調整の流れを示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態2による光中継システムの構成を示す図である。
【図13】図12中の基地RF部の内部構成を示す図である。
【図14】図12中の中継RF部の内部構成を示す図である。
【図15】図12中の位相差検出部の内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 基地局、2−1〜2−n 中継機、3−1〜3−n LCX、4−1〜4−n 光ファイバ伝送路、5 WDMフィルタ、6−1〜6−n LCX渡り区間、7 移動局、8 無線信号、100,100a 基地RF部、101,110 位相調整器(基地局側位相調整部)、102,902 下り信号用AMP、103,903 上り信号用AMP、104,904 フィルタ機能付き合成器、105,203,905,911 分配器、106,906 バンドパスフィルタ(BPF)、107,907 バンドリジェクションフィルタ(BRF)、108 検波部、109,804,909 ローパスフィルタ(LPF)、151,802,810,951 復調部、152,952 D/A変換部、200 信号送信(TX)部(送信部)、201 RF送信機(TX)、202,302 合成器、204 同期信号発生部、205 発振器(Fp)、206 変調器、300 信号受信(RX)部、301 RF受信機(RX)、400−1〜400−n 基地E/O、401 AMP、402 信号用レーザダイオード(LD)、500−1〜500−n 基地O/E、501 信号用フォトダイオード(PD)、502 AMP、600−1〜600−n 中継E/O、601,807 AMP、602 信号用レーザダイオード(LD)、700−1〜700−n 中継O/E、701 信号用フォトダイオード(PD)、702 AMP、800,800a 位相差検出部、801,805 バンドパスフィルタ(BPF)、803 位相比較器(PC)、806 発振器(Fr)、808 可変減衰器(ATT)、809 方向性結合器(CIR)、851 A/D変換部、852 変調部、900,900a 中継RF部、901,910 位相調整器(中継機側位相調整部)、908 検波部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を起点として漏洩同軸ケーブルを縦続きに接続するとともに、光ファイバ伝送路で前記基地局に各々接続され、前記光ファイバ伝送路及び前記漏洩同軸ケーブルを介して移動局と前記基地局との無線通信を中継する中継機を備えた光中継システムにおいて、
前記基地局は、
前記漏洩同軸ケーブル及び前記光ファイバ伝送路を介して前記移動局へ送信する信号に同期信号を合成して送信する信号送信部と、
自局から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、該後段の中継機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して該後段の中継機から更に後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する基地局側位相調整部を備え、
前記中継機は、
前段の中継機又は前記基地局に接続する漏洩同軸ケーブルを伝送する信号に合成された同期信号と、自機に接続された光ファイバ伝送路を伝送して自機から後段の中継機に接続する漏洩同軸ケーブルに伝送される信号に合成された同期信号との位相差を検出し、位相差情報として前記前段の中継機又は前記基地局に送信する位相差検出部と、
前記自機から漏洩同軸ケーブルを介して接続する前記後段の中継機の位相差検出部から受信した前記位相差情報に基づいて、両信号の位相を調整する中継機側位相調整部を備えたことを特徴とする光中継システム。
【請求項2】
位相差検出部は、位相差情報をデジタル変調して前段の中継機又は基地局に送信し、
前記基地局及び中継機は、前記位相差情報をデジタル復調する復調部を備えたことを特徴とする請求項1記載の光中継システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−193404(P2008−193404A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25692(P2007−25692)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】