説明

光中継増幅装置及び方法

【課題】
光サージを抑圧しつつ、バースト光信号を中継増幅する。
【解決手段】
分光器(44)、受光器(46,48)及び比較器(50)により、ONU(12−1〜12−n)からの時分割多重された上りバースト光信号λ3,λ4の現在の信号波長を判別する。この判別結果に基づき、比較器(50)は、波長可変光源(52)の波長及び選択反射器(62)の反射波長を、現在の信号波長と干渉しない波長に設定する。可飽和光増幅器(56)は、波長可変光源(52)からの利得制御光により利得飽和した状態で、上りバースト信号を光増幅する。光ファイバ増幅器(58)は、可飽和光増幅器(56)の出力光を光増幅する。光アイソレータ(60)及び選択反射器(62)が、光ファイバ増幅器(58)の出力光に含まれる利得制御光成分を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光中継増幅装置及び方法に関し、より具体的には、バースト光信号を光中継増幅する光中継増幅装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光アクセス系として、複数の加入者を1本の光ファイバに収容するPON(Passive Optical Network)システムが普及している。PONシステムは、1台の局側光回線終端装置OLT(Optical Line Terminal)が、1本の光伝送路及び通信帯域を複数の加入者側光回線終端装置ONU(Optical Network Unit)で共有する光伝送システムであり、上り信号伝送に時分割多元アクセス(TDMA)を使用し、OLTが各ONUの上り光信号の送信タイミングおよび送信期間を指示し、各ONUが指示された送信タイミング及び送信期間に上りバースト光信号を送信する。
【0003】
上下1Gbpsの通信帯域を複数のONUが共有するPONシステムに対し、その後継技術として、上下10Gbpsの通信帯域を有するPONシステムが提案され、機器コストおよび運用管理コストの観点から、両システムの併用が提案されている。1Gbpsと10Gbpsの上り伝送を併用するPONシステムでは、異なる波長の1Gbpsと10Gbpsの上りバースト光信号を時間軸上で重複しないようにして伝送する。
【0004】
他方、PONシステムのインフラコストを低減するために、FTTH(Fiber To The Home)サービスエリアを拡大し、OLT−ONU間の伝送距離の延長及び加入者数の増加を目指して、光信号を中継増幅する光中継伝送装置を光伝送路上に配置することが提案されている。PONシステムでは特に、上り方向において、ONUの送信する上りバースト光信号を、その品質を劣化させることなく増幅する必要がある。
【0005】
バースト光信号を光増幅器で増幅する場合、図9に示すように、増幅後のバースト光信号が急峻に立ち上がる、いわゆる光サージが発生して、信号波形が劣化する。図9(a)は増幅前のバースト光信号の波形例を示し、同(b)は増幅後の光サージを発生したバースト光信号の波形例を示す。図9(b)に示すように、バースト光信号の先頭部分で光サージが発生する。光サージを発生したバースト光信号がOLTの光受信器に入射した場合、ビット誤り率の劣化や光受信器の破壊を招く恐れがある。
【0006】
特許文献1には、光信号の増幅前後の伝送利得をモニターし、それに基づいて光増幅器の増幅利得および光送信レベルを制御することにより、増幅後の光信号レベルの等化および波形劣化の抑制を実現する技術が記載されている。
【0007】
特許文献2には、第1の希土類添加ファイバ(EDFA)、中間利得等化フィルタ及び第2のEDFAでバーストモード光ファイバ増幅器を構成し、第1のEDFAの長さを第2のEDFAより短くし、中間利得等化フィルタを第2のEDFAを透過した各波長の光信号強度が等しくなるように調整することで、光サージを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−141673号公報
【特許文献2】特開2008−300818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の技術では、光信号の常時モニター出力から利得を計算する利得計算回路と、利得計算結果から光増幅器の利得を制御する利得制御回路が必要となり、これらの複雑な電気回路の実装が装置コストの増大を招く。
【0010】
特許文献2に記載の技術では、バーストモードに対応する特別に設計された光ファイバ増幅器を用意する必要があり、また、中間利得等化フィルタを調節する機能も必要となり、これらが装置コストの増大に繋がる。
【0011】
バースト光信号を光中継増幅することにより、伝送距離を延伸することができるが、光増幅で発生する光サージが、信号品質を大幅に劣化させる。この種の劣化は伝送レートが高速化されるほど顕著となる。
【0012】
時間軸上で重複しない複数波長のバースト光信号を一括増幅する場合、単一波長の光増幅器よりも広い増幅帯域を必要とし、波形劣化の抑制も単一波長の場合よりも難しくなる。
【0013】
また、高速な伝送レートへの対応からも、全光処理による光中継増幅が望ましい。
【0014】
本発明は、バースト光信号を少ない波形劣化で中継増幅する全光処理の光中継増幅装置及び方法を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る光中継増幅装置は、異なる波長のバースト光信号が時間軸上で多重される入力光信号を光中継増幅する光中継増幅装置であって、当該入力光信号を分波する光分波手段と、当該光分波手段で分波された第1の成分光を所定時間遅延する光遅延手段と、当該光遅延手段の出力光に利得制御光を合波する光合波手段と、当該光合波手段の出力光が入力する可飽和光増幅手段であって、当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段と、当該可飽和光増幅手段の出力光に含まれ当該バースト光信号を光増幅する光増幅手段と、当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段と、当該利得制御光を出力する波長可変光源と、当該光分波手段で分波された第2の成分光から、当該入力光信号の現時点のバースト光信号の信号波長を計測する波長計測手段と、当該波長計測手段の計測結果に従い、計測された信号波長とは離れた波長に当該利得制御光の波長を変更すべく当該波長可変光源を制御すると共に、当該フィルタ手段の除去波長を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る光中継増幅方法は、異なる波長のバースト光信号が時間軸上で多重される入力光信号を光中継増幅する光中継増幅方法であって、当該入力光信号の現時点のバースト光信号の信号波長を計測する波長計測ステップと、当該波長計測ステップの計測結果に従い波長を制御される波長可変光源が、計測された信号波長とは離れた波長の利得制御光を生成する利得制御光生成ステップと、当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段により当該バースト光信号を増幅させる第1の光増幅ステップと、当該可飽和光増幅手段の出力光に含まれ当該バースト光信号を、利得飽和していない光増幅手段により光増幅する第2の光増幅ステップと、当該波長計測ステップの計測結果に従い入出力特性を制御されるフィルタ手段により当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するステップとを具備することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る光中継増幅装置は、バースト光信号を中継増幅する光中継増幅装置であって、当該バースト光信号の信号波長とは離れた波長の利得制御光を発生する利得制御光発生手段と、当該バースト光信号を光増幅する可飽和光増幅手段であって、当該バースト光信号と同方向で入射する当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段と、当該可飽和光増幅手段から出力されるバースト光信号を光増幅する光増幅手段と、当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る光中継増幅方法は、バースト光信号を中継増幅する光中継増幅方法であって、当該バースト光信号の信号波長とは離れた波長の利得制御光を発生するステップと、当該バースト光信号と同方向で入射する当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段により当該バースト光信号を光増幅するステップと、当該可飽和光増幅手段から出力されるバースト光信号を、利得飽和していない光増幅手段により光増幅するステップと、当該利得飽和していない光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、増幅すべきバースト光信号を、利得飽和状態の可飽和光増幅手段で増幅するので、光サージの発生を抑制できる。2段目の利得飽和していない光増幅手段により、必要な利得を確保できる。全光信号処理により光中継伝送可能なので、複雑な電気回路を必要とせずに安価な構成で光アクセスサービスエリアを拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】可飽和光増幅器の利得範囲、上りバースト光信号の波長及び利得制御光の波長の関係を示す。
【図3】可飽和光増幅器の入力光強度対利得特性を示す。
【図4】可飽和光増幅器の前後における上りバースト光信号の波形例を示す。
【図5】比較器による波長制御の動作フローチャートを示す。
【図6】本実施例における10Gbps上りバースト光信号と1Gbps上りバースト光信号の増幅過程の波形変化例を示す。
【図7】波長可変光源の別の構成例を示すブロック図である。
【図8】選択反射器62の別の構成例を示すブロック図である。
【図9】光サージを起こしたバースト光信号の波形例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明に係る光中継増幅器を組み込んだPONシステムの一実施例の概略構成ブロック図である。
【0023】
なお、図1に示すPONシステムでは、局側光回線終端装置(OLT)10から各加入者側光回線終端装置(ONU)12−1〜12−nへの下り信号の光伝送には、1Gbps用に1480〜1500nmの波長(λ1)を割り当て、10Gbps用に1575〜1580nmの波長(λ2)を割り当てるとする。逆の、各ONU12−1〜12−nからOLT10への上り信号の光伝送には、1Gbps用に1260〜1360nmの波長(λ3)を割り当て、10Gbps用に1260〜1280nmの波長(λ4)を割り当てるとする。以下、信号波長λ1〜λ4について、波長λの光信号を光信号λと表記する。信号波長λ3の上り光信号と信号波長λ4の上り光信号が時間軸上で多重された光信号を光信号λ3,λ4と表記する。なお、信号波長λ3と信号波長λ4は、OLTの光受信系の光分離素子で十分に分離できる程に離れている。もちろん、OLT10は、1GbpsPONシステムと10GbpsPONシステムの両方に対応する。
【0024】
OLT10は、シリアルに接続される光ファイバ14、双方向光中継伝送装置16及び光ファイバ18を介して、光カプラ20に接続する。ONU12−1〜12−nはそれぞれ、分岐光ファイバ22−1〜22−nを介して光カプラ20に接続する。光カプラ20は、光ファイバ18からの下り光信号をn分割して各分岐光ファイバ22−1〜22−nに出力し、各分岐光ファイバ22−1〜22−nからの上り光信号を合波又は時間軸で多重して光ファイバ18に出力する受動光素子である。
【0025】
双方向光中継伝送装置16は、下り光を1Gbps光と10Gbps光で別々に光増幅し、また、上り光を1Gbps光と10Gbps光で区別せずに光増幅する装置である。OLT10と光カプラ20との間の、本来的には受動素子のみからなる光伝送路上に双方向光中継伝送装置16を配置することで、OLT10からONU12−1〜12−nまでの伝送路の長距離化を実現し、多分岐化を容易にする。
【0026】
双方向光中継伝送装置16は、光ファイバ14側のWDM(Wavelength Division Multiplexing)光カプラ30と、光ファイバ18側のWDM光カプラ32と、WDM光カプラ30で分離された波長λ1,λ2の下り光信号をそれぞれ別々に増幅する光ファイバ増幅器34,36と、WDM光カプラ32で分離された波長λ3,λ4の上り光を一括して光増幅する光中継増幅装置38とからなる。すなわち、WDM光カプラ30,32は、信号波長λ1と、信号波長λ2と、これら以外の波長(波長λ3,λ4を含む。)とを分離する波長合分波素子である。具体的には、WDM光カプラ30は、光ファイバ14からの下り光信号のうちの下り光信号λ1を光ファイバ増幅器34に、下り光信号λ2を光ファイバ増幅器36に供給し、光中継増幅装置38から出力される上り光信号λ3,λ4を光ファイバ14に供給する。他方、WDM光カプラ32は、光ファイバ増幅器34,36から出力される下り光信号を光ファイバ18に供給し、光ファイバ18からの上り光信号λ3,λ4の上り光信号を光中継増幅装置38に供給する。
【0027】
光ファイバ増幅器34は例えば、1Gbpsの波長1480〜1500nmのバースト光信号を増幅可能なツリウム添加光ファイバ増幅器(TDFA:Thulium-Doped Fiber Amplifier)からなる。また、光ファイバ増幅器36は例えば、10Gbpsの波長1575〜1580nmのバースト光信号を増幅可能なL帯エルビウム添加光ファイバ増幅器(L−EDFA:L-band Erbium-Doped Fiber Amplifier)からなる。
【0028】
OLT10から各ONU12−1〜12−nへの下り光信号の流れを説明する。OLT10は、下り光信号λ1と下り光信号λ2を光ファイバ14に出力する。下り光信号λ1と下り光信号λ2は時間軸上で同時であっても良い。WDM光カプラ30は、光ファイバ14からの下り光信号λ1と下り光信号λ2を波長軸上で分離し、下り光信号λ1を光ファイバ増幅器34に、下り光信号λ2を光ファイバ増幅器36にそれぞれ供給する。光ファイバ増幅器34,36はそれぞれ、下り光信号λ1,λ2を光増幅し、増幅後の下り光信号λ1,λ2をWDM光カプラ32に供給する。
【0029】
WDM光カプラ32は、光ファイバ増幅器34,36により増幅された下り光信号λ1,λ2を合波して、光ファイバ18に供給する。光ファイバ18を伝搬した下り光信号λ1,λ2は光カプラ20によりn分割され、分割された各下り光信号λ1,λ2は、分岐光ファイバ22−1〜22−nを伝搬して、ONU12−1〜12−nに入射する。各ONU12−1〜12−nは、入射した下り光信号を光電変換し、自己宛の下り信号のみを受信処理する。
【0030】
ONU12−1〜12−nからOLTへの上り光信号の流れを説明する。OLT10は、ONU12−1〜12−nに対し、互いの上り光信号が光ファイバ14,18上で重ならないようなタイミングでの上り光信号の送信を許可する。各ONU12−1〜12−nは、OLT10により許可されたタイミングで上り光信号、実際には上りバースト光信号を出力する。先に説明したように、この実施例では、ONU12−1が、10Gbpsの上りバースト光信号λ4を分岐光ファイバ22−1に出力し、他のONU12−2〜12−nが1Gbpsの上りバースト光信号λ3をそれぞれ分岐光ファイバ22−2〜22−nに出力する。
【0031】
各分岐光ファイバ22−1〜22−nを伝搬した上りバースト光信号は光カプラ20を介して光ファイバ18に入射し、光ファイバ18を伝搬して双方向光中継伝送装置16のWDM光カプラ32に入射する。WDM光カプラ32は、光ファイバ18から入射する上りバースト光信号λ3,λ4を光中継増幅装置38に供給する。1Gbpsシステムの上り信号波長λ3と、10Gbpsシステムの上り信号波長λ4は、この実施例では十分に近いので、WDM光カプラ32は、上り光信号λ3と上り光信号λ4を同じポートから出力できる。上り光信号λ3と上り光信号λ4を互いに異なるポートからしか出力できないWDM光カプラを使用する場合には、出力直後に両上り光信号を合波すればよい。
【0032】
光中継増幅装置38では、光分波器40が、WDM光カプラ32からの上りバースト光信号λ3,λ4の一部を、時間軸で上りバースト光信号λ3と上りバースト光信号λ4のどちらが入力しているかを検出するために、分波する。光分波器40は、WDM光カプラ32からの上りバースト光信号λ3,λ4のほとんどを光遅延器42に供給し、残りを分光器44に供給する。
【0033】
分光器44は、分波器40からの上りバースト光信号λ3,λ4から信号波長λ3の成分と信号波長λ4の成分を分離し、前者を受光器46に、後者を受光器48に供給する。分光器44は、プリズムのように波長毎に光を屈折させて分波するものや、WDMフィルタなどを利用すれば良い。
【0034】
受光器46,48は入射光を電気信号に変換し、比較器50に供給する。比較器50は受光器46,48の出力レベルを比較する。受光器46,48の出力レベルの比較結果から、光ファイバ18からの上りバースト光信号が、1Gbpsのバースト光信号λ3か10Gbpsのバースト光信号λ4かを判別できる。もちろん、バースト光信号λ3とバースト光信号λ4の間には、一定長の無信号期間(一般に、500nsec以上)が存在し、この無信号期間では、受光器46,48の出力レベルは実質的に等しくなる。
【0035】
分光器44,受光器46,48及び比較器50からなる構成は、上り光信号λ3と上り光信号λ4のどちらがOLT10に入力されようとしているかを検出する波長検出手段として機能する。本実施例の場合、波長と上り伝送レートが対応しているので、分光器44,受光器46,48及び比較器50からなる構成は、上り伝送レート判別手段としても利用できる。伝送レート自体を判別できれば良い場合には、入力する上りバースト光信号のパルス周期を計測すれば良い。
【0036】
比較器50は、受光器46,48の出力レベルの比較結果に従い、波長可変光源52の出力波長λcを、現在、光中継増幅装置38に入力している上りバースト光信号とは干渉しない波長に制御し、波長可変光源52の出力波長λcと同じ波長に選択反射器62の反射波長を制御する。波長可変光源52は、比較器50により制御される波長λcの連続レーザ光を出力する。波長可変光源52の出力する連続レーザ光は、後述する可飽和光増幅器56の利得を外部から光制御する利得制御光であり、本実施例では、可飽和光増幅器56の利得を飽和させ、もって光サージを抑制する。
【0037】
比較器50による波長制御の詳細は後述するが、例えば、現在、光中継増幅装置38にWDM光カプラ32から入力している上りバースト光信号の波長がλ3であるとき、比較器50は、波長可変光源52の出力波長λcを波長λ4に制御し、選択反射器62の反射波長を波長λ4に制御する。逆に、現在、光中継増幅装置38にWDM光カプラ32から入力している上りバースト光信号の波長がλ4であるとき、比較器50は、波長可変光源52の出力波長λcを波長λ3に制御し、選択反射器62の反射波長を波長λ3に制御する。但し、波長可変光源52から出力される連続レーザ光は、可飽和光増幅器56を利得飽和させることが目的であるから、波長λcは、厳密に波長λ3又はλ4に制御される必要は無く、現在の波長と干渉しない波長であって、可飽和光増幅器56の利得を制御できるものであればよい。
【0038】
光合波器54は、光遅延器42で遅延された上りバースト光信号λ3,λ4に、波長可変光源52からの連続レーザ光(利得制御光)λcを合波し、合波光を可飽和光増幅器56に入射する。光遅延器42の遅延時間は、可飽和光増幅器56に上りバースト光信号に先行して波長可変光源52からの波長制御された利得制御光λcが入射するように、または、少なくとも、上りバースト光信号と波長制御された利得制御光λcが同時に入射するように、設定される。
【0039】
可飽和光増幅器56は、例えば、波長λ3,λ4をカバーするゲインプロファイルを具備する半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)からなる。波長可変光源52から出力される連続レーザ光(利得制御光)のパワーは、同時に可飽和光増幅器56に入射する上りバースト光信号に対する可飽和光増幅器56の利得を飽和させる程度の大きさ、具体的には、同時に入射する上りバースト光信号の光強度よりも十分に高い光強度に設定されており、これにより、可飽和光増幅器56は、入射する上りバースト光信号の波長がλ3かλ4かに関わらず、増幅利得が飽和している。この利得飽和により、光サージの発生が抑制される。
【0040】
図2は、可飽和光増幅器56の利得範囲、上りバースト光信号の波長λ3,λ4、及び利得制御光の波長λcの関係を示す。図2(a)は、可飽和光増幅器56のゲインプロファイルを示す。横軸は波長を示し、縦軸は増幅利得を示す。図2(b)は、上りバースト光信号λ3とこれに対する利得制御光λcの波長関係を示し、図2(c)は、上りバースト光信号λ4とこれに対する利得制御光λcの波長関係を示す。1Gbpsと10Gbpsの両方に対応するための波長可変レーザには、ファブリペロー型レーザが用いられることが多く、ファブリペロー型レーザは、図2に示すようにスペクトルが20nm程度と広い。従って、波長λ3,λ4を20nm以上、離す必要がある。利得制御光の波長λcも、波長λ3,λ4との干渉を防ぎ、選択反射器62で十分に選択的に反射できるように、波長λ3,λ4から同程度以上に離すのが望ましい。
【0041】
図3は、可飽和光増幅器56の入力光強度対利得特性を示す。横軸は入力光強度を示し、縦軸は増幅利得を示す。閾値Pth以上の光強度の光信号が入射すると増幅利得が減少する。バースト光信号の先端部分で光サージが発生するのは、増幅すべき光信号の入射時点で光増幅器の光増幅余力が大きいからである。本実施例では、バースト光信号の入力と同時に又は先行して、利得制御光により可飽和光増幅器56の増幅利得を飽和させておくので、光サージの発生を抑制できる。
【0042】
図4は、可飽和光増幅器56の前後における上りバースト光信号の波形例を示す。図4(a)は増幅前の上りバースト光信号の波形例を示し、同(b)は、増幅後の上りバースト光信号の波形例を示す。何れも、波長可変光源52から出力される連続レーザ光(利得制御光)は、図示していない。利得制御光により可飽和光増幅器56の利得が飽和しているので、時間的に前後するバースト光信号の光強度差Dが、増幅前ではDであったものが、増幅後ではD未満になっている。これは、光強度の異なる上りバースト光信号の光強度レベルを平均化する利得等化を実現しているともいえる。
【0043】
利得飽和状態の可飽和光増幅器56による増幅では、全体としての利得が不足するので、更に、光ファイバ増幅器58が、可飽和光増幅器56の出力信号光を増幅する。光ファイバ増幅器58は、可飽和光増幅器56と同様に、波長λ3,λ4をカバーする増幅帯域を具備するが、波長可変光源52からの利得制御光λcに関わらず、その利得は飽和しない。換言すると、光ファイバ増幅器58は、仮に高強度の光入力に対して利得飽和するものであっても、その利得飽和の閾値パワーが可飽和光増幅器56の閾値Pthよりも格段に高いものであればよい。また、利得制御光が存在することで、光ファイバ増幅器58においても、光サージは発生しにくくなる。
【0044】
1Gbpsシステムの上りバースト光信号と10Gbpsシステムの上りバースト光信号を共に増幅できる光ファイバ増幅器58としては、例えば、プラセオジミウム添加光ファイバ増幅器(PDFA:Praseodymium-Doped Fiber Amplifier)がある。
【0045】
光ファイバ増幅器58により増幅された上りバースト光信号λ3,λ4及び連続レーザ光λcは、光アイソレータ60を介して選択反射器62に入射する。選択反射器62は、比較器50からの波長制御信号に従い、波長可変光源52の出力波長λcを反射するように制御されているので、光アイソレータ60の出力光の内、利得制御光λcの成分を反射し、上りバースト光信号λ3又はλ4の成分を透過してWDM光カプラ30に供給する。光アイソレータ60は、選択反射器62で反射された利得制御光λcの成分を吸収して、光ファイバ増幅器58に逆流しないようにする。
【0046】
光アイソレータ60及び選択反射器62は、合波器54で上りバースト光信号に合波された利得制御光λcを除去する手段として機能する。すなわち、利得制御光λcを選択的に後方に反射する選択反射器62の代わりに、別方向に反射する反射器又は吸収する吸収素子を設ける場合には、光アイソレータ60は不要となる。
【0047】
WDM光カプラ30は、選択反射器62からの増幅された上りバースト光信号λ3,λ4を光ファイバ14に供給する。WDM光カプラ30からの上りバースト光信号λ3,λ4は、光ファイバ14を伝搬してOLT10に入射する。OLT10は、入射した上りバースト光信号λ3,λ4を受信処理し、上位ネットワーク向けのデータを上位ネットワークに送信し、内部的に処理すべき制御信号/応答信号に対しては相応する処理を内部的に実行する。
【0048】
比較器50による波長制御とこの波長制御に基づく利得制御動作を説明する。図5は、比較器50による波長制御の動作フローチャートを示す。
【0049】
比較器50は、初期設定として、波長可変光源52のレーザ波長と選択反射器62の反射波長を、1Gbps系の上り波長λ3に設定する(S1)。これにより、波長可変光源52は、波長λ3の連続レーザ光からなる利得制御光を出力し、この利得制御光は、合波器54を介して可飽和光増幅器56に入射し、可飽和光増幅器56の利得を飽和またはほぼ飽和状態にする。
【0050】
受光器46は、分光器44で分光された1Gbps系上りバースト光信号λ3の光強度(以下、P1とする)を測定し、受光器48は、分光器44で分光された10Gbps系上りバースト光信号λ4の光強度(以下、P2とする)を測定し、比較器50が受光器46,48の出力を読み込む(S2)。
【0051】
比較器50は先ず、受光器46,48の出力から1Gbps系上りバースト光信号λ3と、10Gbps系上りバースト光信号の有無を判定する(S3)。両上りバースト光信号が共に未検出の場合(S3)、比較器50は、再度、受光器46,48の出力を取り込む。例えば、上りバースト光信号間に混信をさけるために設けられている無信号期間で、波長λ3,λ4の両方が未検出となりうる。
【0052】
受光器46,48の何れかの出力が有意な値を示す場合(S3)、比較器50は、P1とP2のどちらが大きいかを調べる(S4)。P1がP2より大きい場合(S4)、比較器50は、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長を波長λ4に設定する(S5)。これにより、波長可変光源52は波長λ4の利得制御光を出力し、選択反射器62は波長λ4の光成分を反射する。S2に戻り、処理を継続する。
【0053】
他方、P2がP1より大きい場合(S4)、比較器50は、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長を波長λ3に設定する(S6)。これにより、波長可変光源52は波長λ3の利得制御光を出力し、選択反射器62は波長λ3の光成分を反射する。S2に戻り、処理を継続する。
【0054】
図6に示す波形例を参照して、比較器50による波長制御・利得制御の動作を具体的に説明する。図6は、10Gbps上りバースト光信号と1Gbps上りバースト光信号の増幅過程の波形変化例を示す。図6(a)は、増幅前の上りバースト光信号λ3,λ4の波形例を示す。図6(a)に示す例では、バースト光信号70,72,74,76の順に光中継増幅装置38に入力する。バースト光信号70,76は、10Gbps系の上り光信号λ4であり、バースト光信号72,74は、1Gbps系の上り光信号λ3である。図6(b)は、利得制御光としての波長λ3の連続レーザ光の強度波形例を示し、図6(c)は、利得制御光としての波長λ4の連続レーザ光の強度波形例を示す。図6(d)は、増幅前の上りバースト光信号に利得制御光を合波した後で、増幅前の光強度波形例を示す。図6(e)は、選択反射器62の出力光の波形例を示す。
【0055】
波長λ4の上りバースト光信号70に対しては、初期設定(S1)により、波長可変光源52は、図6(b)に示すように、波長λ3の利得制御光を出力している。もちろん、選択反射器62の反射波長もλ3である。
【0056】
利得制御光(λ3)の光強度が閾値Pth以上であることから、利得制御光のみが可飽和光増幅器56に入射する場合と、利得制御光と上りバースト光信号が同時に可飽和光増幅器56に入射する場合とで、前者の利得が後者の利得を上回る。この結果、例えば、図6(d)に示すように、可飽和光増幅器56に出力段階では、利得制御光のみの場合(t1以前と、t2〜t3)の光強度が、利得制御光と上りバースト光信号とからなる場合(t1〜t2)の光強度よりも大きくなる。利得制御光により可飽和光増幅器56を利得飽和させているので、光サージは発生せず、仮に発生するにしても微弱にできる。
【0057】
上りバースト光信号70と上りバースト光信号72との間の無信号期間t2〜t3では、図5のステップS3により、上りバースト光信号70に対する波長制御が維持され、波長可変光源52の波長と選択反射器62の反射波長は波長λ3に維持されている。
【0058】
光遅延器42により、可飽和光増幅器56に入射する上りバースト光信号72が立ち上がる時点t3より若干早いタイミングで受光器46の出力レベルP1が受光器48の出力レベルP2より大きくなる。これに応じて、比較器50は、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長を波長λ4に切り替える(S4,S5)。すなわち、図6(b),(c)に示すように、波長可変光源52は、波長λ4の利得制御光に切り替える。
【0059】
波長λ3の上りバースト光信号72(t3〜t4)に対しては、ステップS4,S5により、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長は、波長λ4に維持される。
【0060】
上りバースト光信号72(t3〜t4)に続く無信号期間(t4〜t5)に対しては、ステップS3により、直前の設定が維持される。すなわち、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長は、波長λ4のままとなる。
【0061】
2つめの波長λ3の上りバースト光信号74(t5〜t6)に対しても、ステップS4,S5により、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長は、波長λ4に維持され、続く無信号期間(t6〜t7)でも、ステップS3により、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長は、波長λ4のままとなる。
【0062】
2つめの波長λ4の上りバースト光信号74(t7〜t8)に対しても、波長が変化するので、時刻t7の直前に、受光器48の出力レベルP2が受光器46の出力レベルP1より大きくなる。これに応じて、比較器50は、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長を波長λ3に切り替える(S4,S6)。すなわち、図6(b),(c)に示すように、波長可変光源52は、波長λ4の利得制御光から波長λ3の利得制御光に切り替える。
【0063】
t3以降でも、可飽和光増幅器56に出力の光強度変化は、t3以前と同様である。すなわち、利得制御光(λ3又はλ4)の光強度が閾値Pth以上であることから、利得制御光のみが可飽和光増幅器56に入射する場合と、利得制御光と上りバースト光信号が同時に可飽和光増幅器56に入射する場合とで、前者の利得が後者の利得を上回る。この結果、例えば、図6(d)に示すように、可飽和光増幅器56に出力段階では、利得制御光のみの場合(t4〜t5,t6〜t7)の光強度が、利得制御光と上りバースト光信号とからなる場合(t3〜t4,t5〜t6)の光強度よりも大きくなる。
【0064】
選択反射器62が光ファイバ増幅器58の出力に残る利得制御光を反射し、反射された利得制御光は光アイソレータ60により吸収される。これにより、選択反射器62の出力段階では、図6(e)に示すように、図6(a)に示す上りバースト光信号列を、光サージ無しで又は従来よりも少ない光サージで光増幅したものが得られる。
【0065】
波長可変光源52は、可飽和光増幅器56のゲイン範囲内で波長を連続的又は離散的に変更可能なレーザ素子でもよいが、図7に示すように、互いに異なる波長の連続レーザ発振のレーザ素子の出力レーザ光を光スイッチで選択する構成であってもよい。図7において、レーザ素子80は、波長λ3にほぼ等しい波長で連続レーザ発振し、レーザ素子82は、波長λ4にほぼ等しい波長で連続レーザ発振する。光スイッチ84が、比較器50からの波長制御信号に従い、レーザ素子80又はレーザ素子82の出力光を選択する。光スイッチ84により選択されたレーザ光が、合波器54に供給される。
【0066】
図8は、選択反射器62の別の構成を示す。光スイッチ86は、比較器50からの波長λ3を指定する波長制御信号により、光アイソレータ60の出力光を反射波長λ3の反射器88に供給し、比較器50からの波長λ4を指定する波長制御信号により、光アイソレータ60の出力光を反射波長λ4の反射器90に供給する。すなわち、利得制御光の波長λcが波長λ3の場合には、光スイッチ86は、光アイソレータ60の出力光を反射波長λ3の反射器88に供給し、利得制御光の波長λcが波長λ4の場合には、光スイッチ86は、光アイソレータ60の出力光を反射波長λ4の反射器90に供給する。これにより、反射器88又は90が、光アイソレータ60の出力光に含まれる利得制御光を反射する。反射された利得制御光は、光スイッチ86を介して光アイソレータ60に逆方向で入射し、吸収される。
【0067】
このような特定波長を反射する反射器88,90は、例えば、FBG(Fiber Bragg Grating)又は帯域通過波長フィルタなどで実現できる。反射器88,90の代わりに、それぞれ波長λ3,λ4の成分光を吸収する素子を配置することで、光アイソレータ60を省略できる。
【0068】
上りバースト光信号は、反射器88又は90を透過し、光スイッチ92に入射する。光スイッチ92は、光スイッチ86と同期して、比較器50からの波長選択信号により切り替えられる。すなわち、光スイッチ86が反射器88を選択するとき、光スイッチ92も反射器88を選択する。光スイッチ86が反射器90を選択するとき、光スイッチ92も反射器90を選択する。
【0069】
このような光スイッチ92の制御により、光ファイバ増幅器58の出力光から利得制御光の成分のみが分離され、上りバースト光信号の成分のみがWDM光カプラ30に入射する。
【0070】
図8に示す構成は、図7に示す構成の波長可変光源52との併用に向いている。レーザ素子80の発振波長と反射器88の反射波長を予め一致させ、レーザ素子82の発振波長と反射器90の反射波長を予め一致させておくことで、運用が容易になるからである。
【0071】
このように、本実施例では、複雑な電気回路を必要とせずに、光サージの発生を抑制しつつ、バースト光信号を中継増幅することができる。
【0072】
ONU12−1〜12−nが1Gbps上り光信号又は10Gbps上り光信号として選択する信号波長に幅がある場合、分光器44、受光器46,48及び比較器50の代わりに簡易な波長計測器を設け、計測された波長から十分に離れた波長に、波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長を制御すればよい。この場合、選択すべき波長範囲によっては、波長可変光源52と選択反射器62には、これらの波長を連続的に変更可能のものを選択する必要がある。
【0073】
また、上り光伝送路上に存在する上りバースト光信号の波長が3つ以上ある場合には、受光器46,48を対応する数だけ増やせば良い。その場合の比較器50は、検出される上り波長から最も離れた波長を波長可変光源52の発振波長と選択反射器62の反射波長として制御すれば良い。
【0074】
本実施例では、上りバースト光信号を無劣化又は少ない劣化で増幅できるので、伝送距離を延伸でき、この結果、低コストで光アクセスサービスエリアを拡大可能となる。また、伝送レートの異なるバースト光信号の増幅時における波長管理・設定を自動化できるので、光中継伝送装置の運用管理コストを低減できる。
【0075】
2波長のバースト光信号を光中継増幅する実施例を説明したが、光サージを抑圧する作用は、単一波長のバースト光信号を中継増幅する用途にも適用可能である。但し、可飽和光増幅器として、信号波長と干渉しない波長の利得制御光を包含できる、単一波長用よりも広い増幅帯域を必要とする。
【0076】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10:局側光回線終端装置(OLT)
12−1〜12−n:加入者側光回線終端装置(ONU)
14:光ファイバ
16:双方向光中継伝送装置
18:光ファイバ
20:光カプラ
22-1〜22-n:分岐光ファイバ
30,32:WDM(Wavelength Division Multiplexing)光カプラ
34,36:光ファイバ増幅器
38:光中継増幅装置
40:光分波器
42:光遅延器
44:分光器
46,48:受光器
50:比較器
52:波長可変光源
54:光合波器
56:可飽和光増幅器
58:光ファイバ増幅器
60:光アイソレータ
62:選択反射器
70,72,74,76:バースト光信号
80,82:レーザ素子
84:光スイッチ
86:光スイッチ
88,90:反射器
92:光スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる波長のバースト光信号が時間軸上で多重される入力光信号を光中継増幅する光中継増幅装置であって、
当該入力光信号を分波する光分波手段(40)と、
当該光分波手段で分波された第1の成分光を所定時間遅延する光遅延手段(42)と、
当該光遅延手段の出力光に利得制御光を合波する光合波手段(54)と、
当該光合波手段の出力光が入力する可飽和光増幅手段であって、当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段(56)と、
当該可飽和光増幅手段の出力光に含まれ当該バースト光信号を光増幅する光増幅手段(58)と、
当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段(60,62)と、
当該利得制御光を出力する波長可変光源(52)と、
当該光分波手段で分波された第2の成分光から、当該入力光信号の現時点のバースト光信号の信号波長を計測する波長計測手段(44〜48)と、
当該波長計測手段の計測結果に従い、計測された信号波長とは離れた波長に当該利得制御光の波長を変更すべく当該波長可変光源を制御すると共に、当該フィルタ手段の除去波長を制御する制御手段(50)
とを具備することを特徴とする光中継増幅装置。
【請求項2】
当該波長可変光源が、それぞれ異なる波長で連続レーザ発振する複数のレーザ素子(80,82)と、当該制御手段からの波長制御信号に従い、当該複数のレーザ素子の出力光の何れか1つを選択する光スイッチ(84)とからなることを特徴とする請求項1に記載の光中継増幅装置。
【請求項3】
当該フィルタ手段が、反射波長を変更可能な選択反射器(62)と、当該光増幅手段の出力光を当該選択反射器に導入する光アイソレータ(60)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光中継増幅装置。
【請求項4】
当該選択反射器が、
それぞれ異なる波長を反射する複数の反射器と、
当該制御手段からの波長制御信号に従い、当該複数の反射器の何れか1つを選択する反射器選択光スイッチ(86,92)
とを具備することを特徴とする請求項3に記載の光中継増幅装置。
【請求項5】
当該波長計測手段が、当該光分波手段で分波された第2の成分光を、当該入力光信号に含まれるうる波長に分光する分光器と、当該分光器で分光された各波長の光成分を受光する受光器とを具備し、
当該制御手段が、当該受光器の出力を比較する手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光中継増幅装置。
【請求項6】
局側光回線終端装置が複数の加入者側光回線終端装置により共有される光伝送路を介して当該複数の加入者側光回線終端装置と通信し、当該局側光回線終端装置が当該複数の加入者側光回線終端装置から当該局側光回線終端装置への信号送信を時分割多元アクセス方式で管理する光伝送システムの、当該光伝送路の、当該複数の加入者側光回線終端装置により共有される位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光中継増幅装置。
【請求項7】
異なる波長のバースト光信号が時間軸上で多重される入力光信号を光中継増幅する光中継増幅方法であって、
当該入力光信号の現時点のバースト光信号の信号波長を計測する波長計測ステップと、
当該波長計測ステップの計測結果に従い波長を制御される波長可変光源が、計測された信号波長とは離れた波長の利得制御光を生成する利得制御光生成ステップと、
当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段により当該バースト光信号を増幅させる第1の光増幅ステップと、
当該可飽和光増幅手段の出力光に含まれ当該バースト光信号を、利得飽和していない光増幅手段により光増幅する第2の光増幅ステップと、
当該波長計測ステップの計測結果に従い入出力特性を制御されるフィルタ手段により当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するステップ
とを具備することを特徴とする光中継増幅方法。
【請求項8】
当該波長可変光源が、それぞれ異なる波長で連続レーザ発振する複数のレーザ素子(80,82)と、当該複数のレーザ素子の出力光の何れか1つを選択する光スイッチ(84)とからなることを特徴とする請求項7に記載の光中継増幅方法。
【請求項9】
当該フィルタ手段が、反射波長を変更可能な選択反射器(62)と、当該光増幅手段の出力光を当該選択反射器に導入する光アイソレータ(60)とからなることを特徴とする請求項7又は8に記載の光中継増幅方法。
【請求項10】
当該選択反射器が、
それぞれ異なる波長を反射する複数の反射器と、
当該複数の反射器の何れか1つを選択する反射器選択光スイッチ(86,92)
とを具備することを特徴とする請求項9に記載の光中継増幅方法。
【請求項11】
当該波長計測ステップが、
当該入力光信号を当該入力光信号に含まれるうる波長に分光するステップと、
分光された各波長の光成分強度を計測するステップ
とを具備することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の光中継増幅方法。
【請求項12】
バースト光信号を中継増幅する光中継増幅装置であって、
当該バースト光信号の信号波長とは離れた波長の利得制御光を発生する利得制御光発生手段(52)と、
当該バースト光信号を光増幅する可飽和光増幅手段(56)であって、当該バースト光信号と同方向で入射する当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段と、
当該可飽和光増幅手段から出力されるバースト光信号を光増幅する光増幅手段と、
当該光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段
とを具備することを特徴とする光中継増幅装置。
【請求項13】
バースト光信号を中継増幅する光中継増幅方法であって、
当該バースト光信号の信号波長とは離れた波長の利得制御光を発生するステップと、
当該バースト光信号と同方向で入射する当該利得制御光により利得飽和状態にされた可飽和光増幅手段により当該バースト光信号を光増幅するステップと、
当該可飽和光増幅手段から出力されるバースト光信号を、利得飽和していない光増幅手段により光増幅するステップと、
当該利得飽和していない光増幅手段の出力光から当該利得制御光の成分を除去するフィルタ手段
とを具備することを特徴とする光中継増幅方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115461(P2013−115461A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257131(P2011−257131)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】