説明

光伝送システム及び光中継装置

【課題】従来よりも簡素な構成で障害対策を行い、従来よりも頑健性の高い光伝送システムを実現する。
【解決手段】光クロージャ120は、複数の光伝送路によってセンタ110と多重接続され、センタ110から送信された光信号を中継して、ドロップクロージャ130へ出力する。光スイッチ200は、T.Line#0における光信号の伝送が途絶えたことが検出されると、センタ110との光信号の伝送に使用する光伝送路を、T.Line#1に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスネットワークとして利用される光伝送システムに関する。また、そのような光伝送システムに含まれる光中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
センタと各家庭とを接続するアクセスネットワークとして、近年、FTTH(Fiber To The Home)が普及している。FTTHは、センタから各家庭までの伝送路を全光化したアクセスネットワークであり、高速かつ広帯域な放送/通信環境を提供することができる。FTTHにおいて、センタから引き出された幹線光ファイバは、通常、クロージャに格納された光スプリッタにより分岐され、各家庭に引き込まれる。このように、光スプリッタを用いて実現されたPoint to Multi-Point型のFTTHは、光スプリッタが受動素子であることに因んで、PON(Passive Optical Network)と呼ばれる。
【0003】
PONは、伝送路が光ファイバと光スプリッタとのみによって構成されるため、故障による障害が発生し難い頑健なシステムである。しかしながら、センタと光スプリッタとを繋ぐ幹線光ファイバに断線等の故障が発生した場合、その光スプリッタに接続された全家庭に影響が及び、幹線光ファイバの再敷設などの復旧作業にも多大な時間を要する。したがって、CATV(Cable Television, Common Antenna Television, Community Antenna Television)のように、長期間に亘る放送/通信の中断が許容されないシステムへの適用に際しては、幹線光ファイバを冗長化するなどの障害対策が必要になる。
【0004】
例えば、特許文献1には、センタから光パッシブコンポーネント(上述した光スプリッタに相当)に下り光信号を伝送する伝送ルート(上述した幹線光ファイバに相当)を冗長化した光伝送システムが開示されている。この光伝送システムは、下り光信号のモニタレベルが低下すると、下り光信号の伝送ルートを運用系から非運用系に自動的に切り換えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−81492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光伝送システムでは、下り光信号の伝送ルートの切り換えをセンタ側の光スイッチで行っており、光パッシブコンポーネントに到達した下り光信号をセンタ側にフィードバックする必要がある。このため、特許文献1に記載の光伝送システムでは、光パッシブコンポーネントを2×2光カプラにより構成し、この2×2光カプラの一方のポートから出力された光信号を、運用系および非運用系の伝送ルートを介してセンタ側にフィードバックする構成を採用している。このため、運用系および非運用系の伝送ルートの各々について、下り光信号用を伝送するための光ファイバと上り光信号を伝送するための光ファイバとを設ける必要があり、その敷設にコストが掛かるという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1の光伝送システムでは、フィードバックのための構成に障害が発生した場合、光伝送ルートの障害が検出できないか、または、光伝送ルートに障害が発生していないにも関わらず、下り光送信器からの出力系統が他方の光伝送ルートに自動的に切り換えられてしまう。
【0008】
このように、従来の光伝送システムでは、障害対策のために構成が複雑になったり、複雑になった構成により頑健性が損なわれたりするという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡素な構成で障害対策を行い、より頑健性の高い光伝送システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係る光伝送システムは、センタと、上記センタから送信された光信号を伝送する2以上の光伝送路と接続され、上記2以上の光伝送路のいずれかを介して伝送された光信号を中継する光中継装置とを含む光伝送システムであって、上記光中継装置は、第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かを検出する検出手段と、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていないことを上記検出手段が検出したときに、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から第2の光伝送路に切り換える光スイッチと、を備えている、ことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、第1の光伝送路に何らかの障害が生じた場合であっても、直ぐにこれを検出し、光信号の伝送に使用する光伝送路を第2の光伝送路へ切り換えることで、光信号を継続して伝送することができる。
【0012】
特に、光伝送路の切り換えを行うための構成をセンタ側に設ける必要がないため、光信号を光中継装置からセンタにフィードバックするための構成を要さない。したがって、従来よりも簡素な構成で、従来よりも頑健な光伝送システムを実現することができる。
【0013】
上記光伝送システムにおいて、上記センタから送信され、上記2以上の光伝送路を介して伝送される光信号は、同一の光信号である、ことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、センタ側で光送信器に接続する光伝送路を切り換えるといった操作を行うことなく、光伝送路の切り換えを実現することができる。
【0015】
上記光伝送システムにおいて、上記センタから送信され、上記2以上の光伝送路を介して伝送される光信号には、特定の波長を有する監視用信号光が含まれており、上記検出手段は、上記第1の光伝送路を介して上記監視用信号光が正常に伝送されているか否かを検出する、ことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、データ伝送用の光信号が不連続な光信号である場合であっても、例えば、監視用光信号が途絶えたことを検出することによって、光伝送路において何らかの障害が発生したことを検出することができる。
【0017】
上記光伝送システムにおいて、上記光スイッチは、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から上記第2の光伝送路に切り換えた後、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていることを上記検出手段が検出すると、中継対象とする光伝送路を上記第2の光伝送路から上記第1の光伝送路に切り換える、ことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第2の光伝送路を介して伝送された光信号が中継されるのは、第1の光伝送路において光信号が正常に伝送されていないときに限られる。したがって、第2の光伝送路があくまでも予備用の光伝送路である場合や、第1の光伝送路よりも機能や性能に劣る場合等に有効である。
【0019】
上記光伝送システムにおいて、上記検出手段は、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かに加えて、上記第2の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かを検出するものであり、上記光スイッチは、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から上記第2の光伝送路に切り換えた後、上記第2の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていないことを検出すると、中継対象とする光伝送路を上記第2の光伝送路から上記第1の伝送路に切り換える、ことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、中継対象とする光伝送路の切り換えが起こるのは、第1の光伝送路において光信号が正常に伝送されなくなったときと、第2の光伝送路において光信号が正常に伝送されなくなったときとに限られる。したがって、中継対象とする光伝送路の切り替え回数を抑えたい場合に有効である。
【0021】
上記光伝送システムにおいて、上記光中継装置は、光電変換手段をさらに備えており、該光電変換手段により生成された電力により動作する、ことが好ましい
この構成によれば、光中継装置に外部から電力を供給する必要がないため、光伝送システムの構成を簡素化することができる。なお、上記光電変換手段は、太陽光から電力を生成するものであってもよいし、信号光等、光ファイバから伝送される光から電力を生成するものであってもよい。
【0022】
なお、本発明に掛かる光伝送システムに含まれる光中継装置も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来よりも簡素な構成で障害対策を行うことができるので、従来よりも頑健性の高い光伝送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係る光伝送システムの全体構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係るセンタの構成を示す図である。
【図3】実施形態1に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図4】制御回路による光スイッチの切り換え処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】制御回路による光スイッチの切り換え処理の手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図7】実施形態3に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図8】実施形態4に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図9】実施形態5に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図10】実施形態6に係る光クロージャの構成を示す図である。
【図11】実施形態3に係る光クロージャの変形例を示す図である。
【図12】実施形態6に係る光クロージャの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態(以下、「実施形態1」とも記載)について、図1および図2を参照して説明する。
【0026】
(光伝送システムの概要)
まず、実施形態1に係る光伝送システム10の概要について説明する。図1は、実施形態1に係る光伝送システム10の全体構成を示す図である。図1に示すように、光伝送システム10は、センタ110、光クロージャ120(光中継装置)、および複数の光ドロップクロージャ130を備える。
【0027】
この光伝送システム10は、PON型のFTTHとして、インターネット回線やCATVシステム等の通信システムに組み込まれ、このような通信システムにおいて、各種伝送データ(インターネットデータ、CATVデータ、通話データ等)の伝送機能を担うものである。
【0028】
この光伝送システム10では、各種伝送データの伝送媒体として光信号が用いられ、その伝送路(光伝送路)として、光ファイバが用いられている。特に、光伝送路として、一心の光ファイバが用いられている。
【0029】
特に、この光伝送システム10は、センタ110(OLT)と契約者宅内に設けられている光回線終端装置(ONU)との間の光伝送路を、光クロージャ120(光スプリッタ)で分岐することにより、センタ110と光回線終端装置とを1対多で接続するPDS(Passive Double Star)方式を採用している。
【0030】
もちろん、この光伝送システム10では、双方向通信を行うことも可能である。例えば、光伝送システム10では、センタ110から契約者宅に設けられた光回線終端装置へ、光信号(以下、「下り光信号」と示す)を伝送することが可能である。反対に、光回線終端装置からセンタ110へ、光信号(以下、「上り光信号」と示す)を伝送することが可能である。特に、光伝送システム10では、下り光信号と上り光信号とで波長を異ならせることにより同時に伝送することが可能となっている。例えば、下り光信号としては、波長が1480nm〜1580nmの光信号が用いられ、上り光信号としては、波長が1260nm〜1360nmの光信号が用いられる。なお、各図面において、光伝送路、すなわち、光信号が伝送される伝送路については、これを点線矢印で示す。特に、図2以降では、下り光信号の伝送路となる光伝送路を右向きの点線矢印で示すが、上記したとおり、これらの光伝送路は、上り光信号の伝送路ともなり得る。
【0031】
(センタ)
センタ110は、各種伝送データに応じた下り光信号を送信する光送信器として機能する。センタ110は、例えば、通信会社の局舎内や、CATV会社の局舎内に設置される。
【0032】
センタ110は、光伝送路(T.Line)によって、光クロージャ120と接続されている。特に、図1に示す例では、センタ110には、複数の光伝送路(T.Line#0およびT.Line#1)によって、光クロージャ120と多重接続されている。すなわち、センタ110と光クロージャ120との間の光伝送路は、二重化されている。
【0033】
これに応じて、センタ110は、複数の光伝送路の各々から、下り光信号を光クロージャ120へ送信することが可能となっている。
【0034】
なお、実際には、センタ110には、複数の光クロージャ120が接続されており、その各々がセンタ110と多重接続されているが、ここでは、そのうちの一つのみを例示する。
【0035】
(光クロージャ)
光クロージャ120は、センタ110から送信された下り光信号を中継して、光ドロップクロージャ130へ出力する光中継装置として機能する。光クロージャ120は、例えば、センタ110と光ドロップクロージャ130との間に配置されている架空ケーブルに設置される。なお、光クロージャは、電柱上又は架空ケーブル等々に設置されるのが通常である。このため、本実施形態では、光クロージャ120の設置場所を架空ケーブルとしているが、特にこれに限定されるものではない。
【0036】
既に説明したとおり、センタ110と光クロージャ120とは、複数の光伝送路によって多重接続されており、センタ110は、複数の光伝送路の各々から、下り光信号を光クロージャ120へ送信することができる。すなわち、光クロージャ120へは、複数の光伝送路の各々から下り光信号が供給されてくる。
【0037】
そこで、光クロージャ120は、複数の光伝送路のいずれかを、下り光信号の入力経路(すなわち、センタ110との光信号の伝送に使用する光伝送路)として使用する。そして、光クロージャ120は、上記入力経路とされた光伝送路から送信された下り光信号を、光ドロップクロージャ130へ出力する。
【0038】
光クロージャ120は、複数の光伝送路のいずれを上記入力経路とするかを、初期設定や各光伝送路の伝送状態等に基づいて決定する。
【0039】
図1に示す例では、光クロージャ120には、複数の光伝送路(B.Line#0〜#i)によって、複数の光ドロップクロージャ130(ドロップクロージャ#0〜#i)が接続されている。これに応じて、光クロージャ120は、センタ110から送信された下り光信号を分岐し、複数の光伝送路を介して、複数の光ドロップクロージャ130の各々へ出力することが可能となっている。
【0040】
(光ドロップクロージャ)
光ドロップクロージャ130は、光クロージャ120から出力された下り光信号を受信すると、受信した下り光信号をさらに分岐し、複数の光回線終端装置の各々へ出力する。例えば、光ドロップクロージャ130から出力された下り光信号は、ドロップケーブルを介して、契約者宅内に設けられている、V−ONU(映像用の光回線終端装置)やD−ONU(データ用の光回線終端装置)へ送信される。このため、光ドロップクロージャ130は、例えば、契約者宅の近傍の架空ケーブルに設置される。
【0041】
各契約者宅においては、このような光伝送システム10を介して、インターネット端末からインターネットにアクセスしたり、テレビジョン受像機によりCATV放送の映像データを受信したりすることができる。
【0042】
(センタの構成)
次に、図2を参照して、センタ110の構成について説明する。図2は、実施形態1に係るセンタ110の構成を示す図である。
【0043】
図2に示すように、センタ110は、光送信機112、光増幅器114、光分配器116を備えている。これらを含む、センタ110に設けられた機器をまとめて、ヘッドエンド設備と呼ぶ場合もある。
【0044】
光送信機112は、伝送データに応じた下り光信号を生成し、生成された下り光信号を出力する。
【0045】
光増幅器114は、光送信機112から出力された下り光信号を増幅し、増幅された下り光信号を出力する。
【0046】
光分配器116は、光増幅器114から出力された下り光信号を複数の出力先へ分配する。図2に示す例では、光分配器116は、光増幅器114によって増幅された下り光信号を2分配し、2つの光クロージャ120の各々へ出力するように構成されている。
【0047】
なお、実際には、光増幅器114の各々には、下り光信号の送信先となる光クロージャ120の数に応じて、複数の光分配器116が1対多接続されているが、ここでは、そのうちの一つのみを例示する。
【0048】
ここで、本実施形態のセンタ110では、光クロージャ120に対する下り光信号の送信系統が二重化されており、各送信系統に対して、光送信機112、光増幅器114、光分配器116が、それぞれ設けられている。
【0049】
例えば、図2に示す例では、センタ110と光クロージャ120とを接続する一方の光伝送路であるT.Line#0に対する下り光信号の送信系統#0には、光送信機#0、光増幅器#0、および光分配器#0が設けられている。
【0050】
また、センタ110と光クロージャ120とを接続する他方の光伝送路であるT.Line#1に対する下り光信号の送信系統#1には、光送信機#1、光増幅器#1、および光分配器#1が設けられている。
【0051】
このように、本実施形態のセンタ110は、光クロージャ120に対する下り光信号の送信系統が二重化されていることにより、一方の送信系統に障害が生じた場合であっても、他方の送信系統から、下り光信号を光クロージャ120へ送信することができる。
【0052】
特に、各送信系統に対して、構成要素一式(光送信機、光増幅器、および光分配器)が独自に設けられているため、一方の送信系統に障害が生じた場合でも、経路を切り換える等の制御を行うことなく、他方の送信系統から、下り光信号を光クロージャ120へ送信することができる。したがって、センタ110の構成を簡素化することができる。
【0053】
さらに、本実施形態のセンタ110は、上記2つの送信系統から、同一の下り光信号を並行して送信する構成を採用している。これにより、一方の送信系統に障害が生じた場合でも、切り換え等の制御を何ら行うことなく、他方の送信系統から、同一の下り光信号を光クロージャ120へ送信することができる。このため、本実施形態のセンタ110は、障害発生前に一方の送信系統から送信していた伝送データを、障害発生後に、他方の送信系統から継続して送信することができる。
【0054】
(光クロージャの構成)
次に、図3を参照して、光クロージャ120の構成について説明する。図3は、実施形態1に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0055】
図3に示すように、本実施形態の光クロージャ120は、光スイッチ200、制御回路210、光分配器220、太陽光発電パネル232、および蓄電池234を備えている。
【0056】
(光スイッチ)
光スイッチ200は、センタ110から送信された下り光信号の入力経路を、切り換えるためのものである。
【0057】
具体的には、図3に示す例では、光スイッチ200の入力側(センタ110側)のポートには、T.Line#0およびT.Line#1が接続されている。光スイッチ200には、T.Line#0およびT.Line#1の各々から、同一の下り光信号が送信されてくる。
【0058】
光スイッチ200は、下り光信号の入力経路を、T.Line#0またはT.Line#1のいずれかに切り換える。これにより、光スイッチ200は、入力経路とされたいずれか一方の光伝送路から送信された下り光信号を出力する。
【0059】
例えば、入力経路がT.Line#0に切り換えられると、光スイッチ200の出力側(光ドロップクロージャ130側)のポートからは、T.Line#0から送信されてきた下り光信号が出力される。反対に、入力経路がT.Line#1に切り換えられると、光スイッチ200の出力側のポートからは、T.Line#1から送信されてきた下り光信号が出力される。ここで、光スイッチ200の代わりに光カップラを採用した場合、T.Line#0とT.Line#1の伝送線路の長さが異なるため、各々の光伝送路から同一の光信号が送信されても、光クロージャ120において合波されると光信号が歪んでしまうことがある。このような問題を回避するため、本実施形態では光カップラではなく光スイッチ200を採用している。
【0060】
(光スイッチの種類)
光スイッチ200としては、低消費電力化を実現するために、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を採用しているが、これに限らず、機械式光スイッチや、導波路型光スイッチ等を採用することもできる。
【0061】
また、光スイッチ200としては、シングルステイブルリレー(単安定リレー)またはラッチングリレー(双安定リレー)が採用され得る。
【0062】
シングルステイブルリレーとは、電源が途絶えると、所定の状態に保持されるものである。例えば、入力経路がT.Line#0に切り換えられている状態を所定の状態とした場合、電源が途絶えると、シングルステイブルリレーは、入力経路がT.Line#0に切り換えられている状態を保持する。このとき、入力経路がT.Line#1に切り換えられている状態であれば、入力経路をT.Line#0に切り換え、入力経路がT.Line#0に切り換えられている状態であれば、その状態を維持する。
【0063】
このシングルステイブルリレーは、例えば、電源が途絶えた場合に、T.Line#0を使用することが予め取り決められているような場合に有効である。
【0064】
一方、ラッチングリレーとは、電源が途絶えると、そのときの状態が保持されるものである。例えば、入力経路がT.Line#0に切り換えられている状態で電源が途絶えると、ラッチングリレーは、そのまま入力経路がT.Line#0に切り換えられている状態を保持し、入力経路がT.Line#1に切り換えられている状態で電源が途絶えると、そのまま入力経路がT.Line#1に切り換えられている状態を保持する。
【0065】
このシングルステイブルリレーは、例えば、電源が途絶えた場合に、直前の光伝送路をそのまま使用することが予め取り決められているような場合に有効である。
【0066】
(制御回路)
上記した光スイッチ200の切り換え動作は、制御回路210によって制御される。具体的には、制御回路210は、入力経路とされた一の光伝送路からの光信号の伝送が途絶えたこと(以下、「伝送断」と示す。)が検出されると、入力経路を他の光伝送路に切り換えるように、光スイッチ200を制御する。
【0067】
例えば、T.Line#0が入力経路とされている場合、制御回路210は、このT.Line#0からの光信号の伝送断が検出されると、入力経路をT.Line#1に切り換えるように、光スイッチ200を制御する。
【0068】
反対に、T.Line#1が入力経路とされている場合、制御回路210は、このT.Line#1からの光信号の伝送断が検出されると、入力経路をT.Line#0に切り換えるように、光スイッチ200を制御する。
【0069】
制御回路210は、光信号の伝送断が検出されると、警告を発する機能を有している。例えば、制御回路210は、光信号の伝送断が検出されると、光クロージャ120に設けられたLEDを点灯させたり、Wi−Fi等の通信によって外部の装置へ通知したり、ラッチング型のリレーを用いて接点情報として保持し、管理者が適宜接点情報を取り出すことができるようにしたりする。
【0070】
(光信号の伝送断を検出するための構成)
光クロージャ120は、光信号の伝送断を検出するための構成として、光カップラ242,244,246、および検出回路252,254,256をさらに備えている。
【0071】
光カップラ242(光カップラ#0)は、T.Line#0の経路上に設けられている。光カップラ242は、T.Line#0から伝送されてきた下り光信号を、検出回路252(検出回路#0)へ分配する。検出回路252は、光カップラ242からの光信号の供給に基づいて、T.Line#0から伝送されてきた下り光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路252は、予め定められた時間以上、光カップラ242から上記下り光信号が供給されてこなかった場合、これをT.Line#0から伝送されてきた下り光信号の伝送断として検出する。検出回路252は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0072】
この通知により、例えば、制御回路210は、T.Line#0において、またはT.Line#0への光信号の送信系統において、何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0073】
光カップラ244(光カップラ#1)は、T.Line#1の経路上に設けられている。光カップラ244は、T.Line#1から伝送されてきた下り光信号を、検出回路254(検出回路#1)へ分配する。検出回路254は、光カップラ244からの光信号の供給に基づいて、T.Line#1から伝送されてきた下り光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路254は、予め定められた時間以上、光カップラ244から光信号が供給されてこなかった場合、これをT.Line#1から伝送されてきた下り光信号の伝送断として検出する。検出回路254は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0074】
この通知により、例えば、制御回路210は、T.Line#1において、またはT.Line#1への光信号の送信系統において、何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0075】
光カップラ246(光カップラ#2)は、光スイッチ200の出力側(光ドロップクロージャ130側)の経路上に設けられている。光カップラ246は、光スイッチ200から出力された下り光信号を、検出回路256(検出回路#2)へ分配する。検出回路256は、光カップラ246からの光信号の供給に基づいて、光スイッチ200からの下り光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路256は、予め定められた時間以上、光カップラ246から光信号が供給されてこなかった場合、これを光スイッチ200からの下り光信号の伝送断として検出する。検出回路256は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0076】
この通知により、例えば、制御回路210は、光スイッチ200に何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0077】
例えば、光カップラ242,244,246の各々には、分岐比が100(光スイッチ/光分配器側):1(検出回路側)程度のものが用いられる。このように、光カップラ242,244,246の各々について、検出回路側の強度が小さくなるものを用いることによって、光信号の分岐に伴う損失を最小限に抑制することができる。
【0078】
各光カップラの入出力が反対に接続されることにより、各検出回路は、各上り光信号の供給断を検出することができる。
【0079】
例えば、光カップラ242の入出力を反対に接続することにより、検出回路252は、光スイッチ200からT.Line#0へ出力された上り光信号の供給断を検出し、この上り光信号の供給断を制御回路210へ通知することができる。
【0080】
この通知により、例えば、制御回路210は、上り光信号をT.Line#0へ伝送する機能に関し、光スイッチ200に何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0081】
また、光カップラ244の入出力を反対に接続することにより、検出回路254は、光スイッチ200からT.Line#1へ出力された上り光信号の供給断を検出し、この上り光信号の供給断を制御回路210へ通知することができる。
【0082】
この通知により、例えば、制御回路210は、上り光信号をT.Line#1へ伝送する機能に関し、光スイッチ200に何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0083】
また、光カップラ246の入出力を反対に接続することにより、検出回路256は、下り側の光伝送路から光スイッチ200へ入力される上り光信号の供給断を検出し、この上り光信号の供給断を制御回路210へ通知することができる。
【0084】
この通知により、例えば、制御回路210は、下り側の光伝送路において、または、光スイッチ200よりも下り側の光伝送路への光信号の送信系統において、何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0085】
(光分配器)
光スイッチ200の出力側のポートには、光分配器220が接続されている。これにより、光スイッチ200から出力された下り光信号は、光分配器220へ出力される。
【0086】
光分配器220の出力側のポートには、複数の光伝送路(B.Line#0〜#i)が接続されている。光分配器220は、光スイッチ200から出力された下り光信号を受信する。そして、光分配器220は、受信した下り光信号を分配し、複数の光伝送路(B.Line#0〜#i)の各々へ出力することができる。
【0087】
(光クロージャの電源)
次に、光クロージャ120の電源について説明する。光クロージャ120は、電源として、太陽光発電パネル232および蓄電池234をさらに備えている。
【0088】
既に説明したとおり、光クロージャ120は、架空ケーブル等の比較的高い場所に設置される。すなわち、光クロージャ120は、太陽光を受け易い場所に設置される。
【0089】
これに応じて、太陽光発電パネル232は、受光面が光クロージャ120の外部へ露出するように、光クロージャ120に配置される。
【0090】
これにより、太陽光発電パネル232は、太陽光を受け、この太陽光を利用して光電変換を行うことにより、発電することができる。
【0091】
光クロージャ120(特に制御回路200)は、太陽光発電パネル232によって生成された電力によって動作することができる。
【0092】
太陽光発電パネル232によって生成された電力は、リチウムイオン二次電池等の蓄電池234に蓄えておくこともできる。
【0093】
これにより、光クロージャ120は、例えば昼間等、太陽光発電パネル232による発電量が十分な場合には、太陽光発電パネル232によって生成された電力によって動作するとともに、蓄電池234を充電し、夜間等、太陽光発電パネル232による発電量が不十分な場合には、蓄電池234に蓄えられている電力によって動作することができる。
【0094】
このように、本実施形態1の光クロージャ120は、自律的に発電する太陽光発電パネル232を備えており、この太陽光発電パネル232によって生成された電力を用いて動作する構成を採用しているので、従来困難であったAC100V等の外部電源の光クロージャ120へ供給を必要とせず、光スイッチ200を光クロージャ120へ設けることを可能としている。
【0095】
また、光クロージャ120へ電力を供給する必要が無い分、光伝送システム10への外部電力の供給量を削減することができる。
【0096】
また、電源供給用の電力線を設置できない場所であっても、光クロージャ120を設置することができるため、光クロージャ120の設置場所の制限を緩和することもできる。
【0097】
また、例えば停電が生じた場合であっても、太陽光発電パネル232によって生成された電力を用いて、引き続き動作することができるので、光伝送システム10を安定的に稼動させることができる。
【0098】
(切り換え処理の手順の一例)
次に、図4を参照して、制御回路210による光スイッチ200の切り換え処理の手順の一例について説明する。図4は、制御回路210による光スイッチ200の切り換え処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
ここでは、初期設定の光伝送路(T.Line#0)からの下り光信号の伝送断が検出されると、入力経路を他の光伝送路(T.Line#1)へ切り換え、その後、初期設定の光伝送路からの下り光信号の伝送が復帰すると、入力経路を初期設定の光伝送路へ切り換える例を説明する。
【0100】
まず、制御回路210は、入力経路を、初期設定の光伝送路であるT.Line#0へ切り換える(ステップS402)。
【0101】
その後、制御回路210は、T.Line#0からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS404)。
【0102】
ステップS404において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS404:No)、制御回路210は、引き続きステップS404の判断処理を行う。
【0103】
一方、ステップS404において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS404:Yes)、制御回路210は、処理をステップS406へ進める。
【0104】
ステップS406では、制御回路210は、T.Line#1からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS406)。
【0105】
ステップS406において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS406:Yes)、制御回路210は、警告を発し(ステップS408)、処理をステップS404へ戻す。
【0106】
一方、ステップS406において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS406:No)、制御回路210は、入力経路をT.Line#1へ切り換える(ステップS410)。
【0107】
その後、制御回路210は、T.Line#0からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS412)。
【0108】
ステップS412において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS412:No)、制御回路210は、入力経路をT.Line#0へ切り換え(ステップS414)、処理をステップS404へ戻す。
【0109】
一方、ステップS412において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS412:Yes)、制御回路210は、処理をステップS416へ進める。
【0110】
ステップS416では、制御回路210は、T.Line#1からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS416)。
【0111】
ステップS416において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS416:No)、制御回路210は、処理をステップS412へ戻す。
【0112】
一方、ステップS416において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS416:Yes)、制御回路210は、警告を発し(ステップS418)、処理をステップS412へ戻す。
【0113】
この手順によれば、初期設定の光伝送路に何らかの障害が発生した後であっても、できる限り初期設定の光伝送路を利用することができるので、例えば、他の光伝送路があくまでも予備用の光伝送路である場合や、初期設定の光伝送路よりも機能や性能に劣る場合等に有効である。特に、光伝送路を敷設する場合において、架空か地下埋設か、あるいは、幹線道路、鉄道、大規模施設の有無などにより、現用ルート(初期設定の光伝送路)と迂回ルート(他の光伝送路)とでは伝送線路の長さや途中の敷設条件が異なり、現用ルートの方が伝送線路の品質や管理条件に優れることがある。そのような場合には、できる限り現用ルートを使用することが好ましい。このような場合において本手順は有効である。
【0114】
(切り換え処理の手順の他の一例)
次に、図5を参照して、制御回路210による光スイッチ200の切り換え処理の手順の他の一例について説明する。図5は、制御回路210による光スイッチ200の切り換え処理の手順の他の一例を示すフローチャートである。
【0115】
ここでは、初期設定の光伝送路(T.Line#0)からの下り光信号の伝送断が検出されると、入力経路を他の光伝送路(T.Line#1)へ切り換え、その後、初期設定の光伝送路からの下り光信号の伝送が復帰したとしても、他の光伝送路からの下り光信号の伝送断が検出されるまで、入力経路を初期設定の光伝送路へ切り換えない例を説明する。
【0116】
まず、制御回路210は、入力経路を、初期設定の光伝送路であるT.Line#0へ切り換える(ステップS502)。
【0117】
その後、制御回路210は、T.Line#0からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS504)。
【0118】
ステップS504において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS504:No)、制御回路210は、引き続きステップS504の判断処理を行う。
【0119】
一方、ステップS504において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS504:Yes)、制御回路210は、処理をステップS506へ進める。
【0120】
ステップS506では、制御回路210は、T.Line#1からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS506)。
【0121】
ステップS506において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合、(ステップS506:Yes)、制御回路210は、警告を発し(ステップS508)、処理をステップS504へ戻す。
【0122】
一方、ステップS506において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS506:No)、制御回路210は、入力経路をT.Line#1へ切り換える(ステップS510)。
【0123】
その後、制御回路210は、T.Line#1からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS512)。
【0124】
ステップS512において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS512:No)、制御回路210は、引き続きステップS512の判断処理を行う。
【0125】
一方、ステップS512において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS512:Yes)、制御回路210は、処理をステップS514へ進める。
【0126】
ステップS514では、制御回路210は、T.Line#0からの光信号の伝送断が検出されたか否かを判断する(ステップS514)。
【0127】
ステップS514において、光信号の伝送断が検出されていないと判断した場合(ステップS514:No)、制御回路210は、入力経路をT.Line#0へ切り換え(ステップS516)、処理をステップS504へ戻す。
【0128】
一方、ステップS514において、光信号の伝送断が検出されたと判断した場合(ステップS514:Yes)、制御回路210は、警告を発し(ステップS518)、処理をステップS512へ戻す。
【0129】
この手順によれば、初期設定の伝送路に何らかの障害が発生し、他の光伝送路に切り換えられた後は、できる限り他の光伝送路を使用し続けることができるので、例えば、できる限り信頼性の高い光伝送路を使用したい場合等に有効である。特に、光伝送路に優劣が無く、どの光伝送路を使用しても機能や性能に大きな差が生じない場合には、信頼性の高い光伝送路を使用し続ければよく、これを不用意に切り変えることは、瞬断等々が発生して回線品質・サービスの低下に繋がる。このような場合には、本手順のように、重み付けの無い運用が好ましい。また、この手順によれば、光スイッチの切り換え回数が抑えられるため、光スイッチの寿命が短くなることを回避することができる。
【0130】
なお、本実施形態では、T.Line#0を初期設定の光伝送路としているが、当然、T.Line#1を初期設定の光伝送路としてもよい。この場合、図4、5、およびその説明において、T.Line#1とT.Line#0が入れ換わることとなる。
【0131】
(効果)
以上説明したように、本実施形態の光クロージャ120は、センタ110からの光伝送路が二重化されていることにより、一の光伝送路において何らかの障害が生じ、光信号を受信できなくなった場合であっても、他の光伝送路から光信号を受信することができる。
【0132】
これにより、一の光伝送路に何らかの障害が生じた場合であっても、直ぐにこれを検出し、光信号の伝送に使用する光伝送路を他の光伝送路へ切り換えることで、障害発生後も、他の光伝送路から受け取った光信号を、各光ドロップクロージャ130に対して送信することができる。
【0133】
特に、本実施形態の光クロージャ120は、光伝送路からの光信号の伝送が途絶えたことを検出した場合に、光信号の入力経路を切り換える構成を採用しているので、障害の発生場所や内容を問わず、簡単な構成で、迅速かつ確実に障害に対応することができる。
【0134】
さらに、本実施形態の光クロージャ120は、上記2つの光伝送路から、同一の光信号を並行して受信する構成を採用している。これにより、一方の光伝送路から光信号を受信できなくなった場合でも、他方の光伝送路から、同一の光信号を受信することができる。すなわち、本実施形態の光クロージャ120は、各光ドロップクロージャ130に対して障害発生前に送信していた伝送データを、障害発生後も継続して送信することができる。
【0135】
〔他の実施形態〕
以下、本発明に係る光クロージャ120の他の実施形態について説明する。他の実施形態で説明する光クロージャ120のうち、以下に説明する点以外の点については、これまでに説明した光クロージャ120と同様であるため、説明を省略する。以下、これまでに説明した光クロージャ120との相違点について説明する。
【0136】
(実施形態2)
まず、図6を参照して、本発明に係る光クロージャ120の実施形態2について説明する。図6は、実施形態2に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0137】
(クロージャの構成)
図6に示すように、本実施形態の光クロージャ120は、光分配器220を備えてなく、すなわち、下り光信号を複数の出力先に分配して出力する機能を有していない。このため、光スイッチ200の出力側(ドロップクロージャ130側)のポートには、1つのB.Line(B.Line#0)のみが接続されている。すなわち、本実施形態の光クロージャ120は、下り光信号を一のドロップクロージャ130のみに出力する構成となっている。
【0138】
本実施形態2の光クロージャ120は、上記以外の点については、実施形態1の光クロージャ120と同様である。したがって、本実施形態2の光クロージャ120は、実施形態1の光クロージャ120と同様の効果を奏することができる。このように、本発明に係る光クロージャ120は、光分配器の有無や、下り光信号の出力先の数を問わず、様々な形態で実施することができる。
【0139】
なお、光伝送システム10において、図6に示す光クロージャ120を用いた場合であっても、その外部(下り光信号の出力側)に光分配器を設置することにより、図3に示す光クロージャ120を用いた場合(実施形態1)と同様に、下り光信号を複数の出力先に分配して出力する構成とすることができる。
【0140】
(実施形態3)
次に、図7を参照して、本発明に係る光クロージャ120の実施形態3について説明する。図7は、実施形態3に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0141】
(クロージャの構成)
センタ110から光クロージャ120へは、T.Line#0およびT.Line#1の各々から、各種伝送データ用の光信号とは別に、所定の波長(例えば、1620nm〜1660nm)の光信号である監視用の光信号が伝送されてくる。この監視用の光信号は、少なくとも、各種伝送データ用の光信号とは波長が異なり、比較的短い間隔をもって連続的に送信されてくるものである。この監視用の光信号は、CW(Continuous Wave)光(すなわち連続光)を用いても良いが、省電力の観点から変調光を用いるのが望ましい。
【0142】
これに応じて、本実施形態の光クロージャ120は、図7に示すように、監視用の光信号を透過する光波長フィルタ262,264,266をさらに備えている。
【0143】
光波長フィルタ262は、光カップラ242から供給された光信号から、所定の波長を有する監視用の光信号を透過して出力する。光波長フィルタ262から出力された監視用の光信号は、検出回路252へ出力される。検出回路252は、光波長フィルタ262からの監視用の光信号の供給に基づいて、T.Line#0からの監視用の光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路252は、予め定められた時間以上、光波長フィルタ262から監視用の光信号が供給されてこなかった場合、これを監視用の光信号の伝送断として検出する。検出回路252は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0144】
この下り光信号の供給断の通知により、例えば、制御回路210は、T.Line#0において、またはT.Line#0への光信号の送信系統において、何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0145】
光波長フィルタ264は、光カップラ244から供給された光信号から、監視用の光信号を透過して出力する。光波長フィルタ264から出力された監視用の光信号は、検出回路254へ出力される。検出回路254は、光波長フィルタ264からの監視用の光信号の供給に基づいて、T.Line#1からの監視用の光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路254は、予め定められた時間以上、光波長フィルタ264から監視用の光信号が供給されてこなかった場合、これをT.Line#1からの監視用の光信号の伝送断として検出する。検出回路254は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0146】
この通知により、例えば、制御回路210は、T.Line#1において、またはT.Line#1への光信号の送信系統において、何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0147】
光波長フィルタ266は、光カップラ246から供給された光信号から、監視用の光信号を透過して出力する。光波長フィルタ266から出力された監視用の光信号は、検出回路256へ出力される。検出回路256は、光波長フィルタ266からの監視用の光信号の供給に基づいて、光スイッチ200からの監視用の光信号の伝送断を検出する。例えば、検出回路256は、予め定められた時間以上、光波長フィルタ266から監視用の光信号が供給されてこなかった場合、これを光スイッチ200からの監視用の光信号の伝送断として検出する。検出回路256は、当該伝送断を検出すると、その旨を制御回路210へ通知する。
【0148】
この通知により、例えば、制御回路210は、光スイッチ200において何らかの障害が発生したことを検知することができる。
【0149】
以上のとおり、本実施形態3の光クロージャ120によれば、連続的に伝送される監視用の光信号の伝送断を検出することによって、各光伝送路および光スイッチ200において何らかの障害が発生したことを検出することができる。
【0150】
このため、ある程度の間隔をおいて大量のデータをまとめて伝送するバースト回線(例えば、GE−PON)等、そもそも伝送データ用の光信号が連続的に伝送されないような場合であっても、各光伝送路および光スイッチ200において何らかの障害が発生したことを検出することができる。
【0151】
(実施形態4)
次に、図8を参照して、本発明に係る光クロージャ120の実施形態4について説明する。特に、この実施形態4では、上り信号および下り信号の双方を検出する構成の変形例を説明する。図8は、実施形態4に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0152】
(T.Line#0の光信号の伝送断を検出するための構成)
本実施形態4の光クロージャ120は、T.Line#0の光信号の伝送断を検出するための構成として、光カップラ802、検出回路804、および検出回路806を備えている。
【0153】
光カップラ802(光カップラ#0)は、T.Line#0への上り信号を分岐して検出回路804(検出回路#0a)へ出力する機能と、T.Line#0からの下り信号を分岐して検出回路806(検出回路#0b)へ出力する機能とをそれぞれ有する。
【0154】
検出回路804は、光カップラ802からの光信号の供給に基づいて、T.Line#0への上り光信号の伝送断を検出する。
【0155】
検出回路806は、光カップラ802からの光信号の供給に基づいて、T.Line#0からの下り光信号の伝送断を検出する。
【0156】
例えば、検出回路804,806は、予め定められた時間以上、光カップラ802から光信号が供給されてこなかった場合、これを光信号の伝送断として検出する。
【0157】
(T.Line#1の光信号の伝送断を検出するための構成)
また、本実施形態4の光クロージャ120は、T.Line#1の光信号の伝送断を検出するための構成として、光カップラ812、検出回路814、および検出回路816を備えている。
【0158】
光カップラ812(光カップラ#1)は、T.Line#1への上り信号を分岐して検出回路814(検出回路#1a)へ出力する機能と、T.Line#1からの下り信号を分岐して検出回路816(検出回路#1b)へ出力する機能とをそれぞれ有する。
【0159】
検出回路814は、光カップラ812からの光信号の供給に基づいて、T.Line#1への上り光信号の伝送断を検出する。
【0160】
検出回路816は、光カップラ812からの光信号の供給に基づいて、T.Line#1からの下り光信号の伝送断を検出する。
【0161】
例えば、検出回路814,816は、予め定められた時間以上、光カップラ812から光信号が供給されてこなかった場合、これを光信号の伝送断として検出する。
【0162】
このように、本実施形態4の光クロージャ120は、上り光信号および下り光信号の各々を分岐することが可能な光カップラ802,812を採用した。これにより、光スイッチにおいて何らかの障害が生じたことの検出を可能としつつ、光カップラの設置数を削減することができるので、光カップラの挿入損失およびシステム全体の製造コストを軽減することができる。
【0163】
(実施形態5)
次に、図9を参照して、本発明に係る光クロージャ120の実施形態5について説明する。特に、この実施形態5では、外部からの光を利用して電力を生成する構成の変形例を説明する。図9は、実施形態5に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0164】
本実施形態5の光クロージャ120は、電源生成回路900を備えている。電源生成回路900は、電力生成用の光を伝送するための光伝送路であるP.Lineによってセンタ110と接続されている。このP.Lineには、例えば、通信に使用する光ファイバと共に光ケーブル内に配線された、通信に使用しない光ファイバ(いわゆるダークファイバ)が用いられる。センタ110は、P.Lineを介して、電源生成回路900へ電力生成用の光を伝送する。
【0165】
例えば、センタ110は、光増幅器に使用される励起光源から照射された光(0.98μm等)や、YAGレーザ(1.06μm)から照射された光等を、電力生成用の光として電源生成回路900へ伝送する。この電力生成用の光は、各種の変調光を用いても良いが、効率良く電力を供給するためにはCW光を用いることが望ましい。
【0166】
電源生成回路900は、P.Lineから伝送されてきた電力生成用の光を受け、この電力生成用の光を利用して光電変換を行うことにより発電し、光クロージャ120が動作するための所定の電圧を出力する。
【0167】
例えば、電源生成回路900は、フォトダイオードにより、P.Lineから伝送されてきた電力生成用の光を受け、ある程度の電圧(例えば、0.6V)の電力を生成する。そして、フォトダイオードによって生成された電力の電圧を、昇圧型のDC/DCコンバータにより所定の電圧(例えば、3.3V)へ昇圧する。これにより、電源生成回路900は、光クロージャ120が動作するための所定の電圧を得ることができる。そして、光クロージャ120(特に制御回路200)は、電源生成回路900によって生成された電力によって動作することができる。
【0168】
電源生成回路900によって生成された電力は、蓄電池234に蓄えておくこともできる。これにより、光クロージャ120は、電源生成回路900による発電量が十分な場合には、電源生成回路900によって生成された電力によって動作するとともに、蓄電池234を充電し、電源生成回路900による発電量が不十分な場合には、蓄電池234に蓄えられている電力によって動作することができる。
【0169】
本実施形態5の構成によれば、電源供給用の電力線を設ける必要がないため、光伝送システム10の構成を簡素化することができる。
【0170】
また、伝送距離が長い場合、電力を光に変換して光ファイバによって伝送する方が、電力をそのまま電力線によって伝送するよりもエネルギー損失が小さくて済む。このような場合、本実施形態5の構成によれば、エネルギー損失をより低減することができる。
【0171】
なお、本実施形態5では、センタ110から電力生成用の光を伝送することとしたが、これ以外の装置から電力生成用の光を伝送するようにしてもよい。また、電力生成用の光の光伝送路(P.Line)を複数設け、この複数の光伝送路の各々から、電力生成用の光を電源生成回路900へ伝送する構成としてもよい。
【0172】
(実施形態6)
次に、図10を参照して、本発明に係る光クロージャ120の実施形態6について説明する。特に、この実施形態6では、外部からの光を利用して電力を生成する構成のさらなる変形例を説明する。図10は、実施形態6に係る光クロージャ120の構成を示す図である。
【0173】
本実施形態6では、センタ110は、T.Line#0を介して、電源生成回路1012へ電力生成用の光を伝送する。また、センタ110は、T.Line#1を介して、電源生成回路1014へ電力生成用の光を伝送する。
【0174】
例えば、センタ110は、光増幅器に使用される励起光源から照射された光(0.98μm等)や、YAGレーザ(1.06μm)から照射された光等を、電力生成用の光として電源生成回路1012,1014へ伝送する。この電力生成用の光は、各種の変調光を用いても良いが、効率良く電力を供給するためにはCW光を用いることが望ましい。
【0175】
電源生成回路1012,1014は、T.Line#0,#1から伝送されてきた電力生成用の光を受け、この電力生成用の光を利用して光電変換を行うことにより発電し、光クロージャ120が動作するための所定の電圧を出力する。
【0176】
具体的には、本実施形態6の光クロージャ120は、光カップラ1002、電源生成回路1012、光カップラ1004、および電源生成回路1014を備えている。
【0177】
光カップラ1002(光カップラ#0a)は、T.Line#0の経路上に設けられている。光カップラ1002は、T.Line#0から伝送されてきた下り光信号を、電源生成回路1012(電源生成回路#0)へ分配する。電源生成回路1012は、光カップラ1002から供給された下り光信号を受け、この光を利用して光電変換を行うことにより発電し、光クロージャ120が動作するための所定の電圧を出力する。
【0178】
光カップラ1004(光カップラ#1a)は、T.Line#1の経路上に設けられている。光カップラ1004は、T.Line#1から伝送されてきた下り光信号を、電源生成回路1014(電源生成回路#1)へ分配する。電源生成回路1014は、光カップラ1004から供給された下り光信号を受け、この光を利用して光電変換を行うことにより発電し、光クロージャ120が動作するための所定の電圧を出力する。
【0179】
電源生成回路1012,1014が所定の電圧を出力するための仕組みは、電源生成回路900と同様である。光クロージャ120(特に制御回路200)は、電源生成回路1012,1014によって生成された電力によって動作することができる。
【0180】
電源生成回路1012,1014によって生成された電力は、蓄電池234に蓄えておくこともできる。これにより、光クロージャ120は、電源生成回路1012,1014による発電量が十分な場合には、電源生成回路1012,1014によって生成された電力によって動作するとともに、蓄電池234を充電し、電源生成回路1012,1014による発電量が不十分な場合には、蓄電池234に蓄えられている電力によって動作することができる。
【0181】
本実施形態6の構成によれば、電源供給用の電力線を設ける必要がなく、また、電力生成用の光を伝送するための光伝送路(P.Line)を設ける必要もないため、光伝送システム10の構成をより簡素化することができる。
【0182】
また、光スイッチによって選択されていないほうの光伝送路から送信されてきた光信号についても、破棄されずに電力の生成に用いられるため、光エネルギーを有効に利用することができる。
【0183】
なお、電源生成回路1012,1014は、電力生成用の光信号だけでなく、伝送データ用の光信号からも電力を生成することができる。
【0184】
このため、伝送データ用の光信号から生成された電力が、光クロージャ120が動作するために十分なものであれば、センタ110は、電力生成用の光信号を送信しなくてもよい。
【0185】
また、本実施形態6の構成を変形して、光スイッチによって選択されていないほうの光伝送路から送信されてきた光信号のみを利用して、電力を生成する構成としてもよい。これにより、光スイッチによって選択されているほうの光伝送路から送信されてきた伝送データを損失させることなく伝送するとともに、これと並行して、電力を生成することができる。
【0186】
〔変形例〕
各実施形態では、伝送断検出用の光信号および電力生成用の光信号を抽出する抽出手段の一例として、光カップラおよび光波長フィルタを用いる例を説明した。上記抽出手段としては、光カップラおよび光波長フィルタに限らず、少なくとも伝送断検出用の光信号または電力生成用の光信号を抽出することができるものであれば、他の構成を用いてもよい。例えば、上記抽出手段として、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)フィルタ(ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ)を用いることもできる。WDMフィルタとは、共通ポートから入射された光信号のうち、ある波長帯域の光信号を透過して透過ポートから出力する一方、他の波長帯域の光信号を反射して反射ポートから出力することができるものである。この特性を利用し、伝送データ用の光信号を透過して透過ポートから出力する一方、伝送断検出用の光信号または電力生成用の光信号を反射して反射ポートから出力するようにWDMフィルタを設計することにより、そのWDMフィルタを上記抽出手段として機能させることができる。以下、実施形態3および6の変形例として、上記抽出手段としてWDMフィルタを用いる例を説明する。
【0187】
(変形例1:実施形態3の変形例)
まず、図11を参照して、実施形態3の光クロージャ120(図7)の変形例について説明する。図11は、実施形態3に係る光クロージャ120の変形例を示す図である。
【0188】
図11に示す光クロージャ120は、上記抽出手段として、光カップラ242および光波長フィルタ262の変わりにWDMフィルタ1102が用いられている点、および光カップラ244および光波長フィルタ264の変わりにWDMフィルタ1104が用いられている点で、図7に示す光クロージャ120と異なる。また、図11に示す光クロージャ120は、後述するように、図7に示す光カップラ246、光波長フィルタ266、検出回路256が省略されている。
【0189】
特に、図11に示すWDMフィルタ1102,1104は、伝送データ用の光信号の波長(下り:1480nm〜1580nm,上り:1260nm〜1360nm)および伝送断検出用の光信号の波長(1620nm〜1660nm)に応じて、1.6μm(1600nm)よりも波長が短い光信号を透過して透過ポートから出力する一方、1.6μm(1600nm)よりも波長が長い光信号を反射して反射ポートから出力する、ショートパスフィルタとして機能するように設計されている。
【0190】
すなわち、WDMフィルタ1102,1104は、伝送データ用の光信号と電力生成用の光信号とが互いに異なるポートから出力されるように、透過と反射とを分ける閾値が、伝送データ用の光信号の波長と、伝送断検出用の光信号の波長との中間に設定されている。
【0191】
これにより、図11に示すWDMフィルタ1102,1104は、伝送データ用の光信号(下り:1480nm〜1580nm,上り:1260nm〜1360nm)を透過して透過ポートから出力する一方、伝送断検出用の光信号(1620nm〜1660nm)を反射して反射ポートから出力することが可能となっている。
【0192】
この変形例によれば、上記抽出手段としてWDMフィルタを用いたことにより、伝送データ用の光信号の挿入損失を抑えつつ、伝送断検出用の光信号の挿入損失を抑えることができる。なお、伝送断検出用の光信号はWDMフィルタ1102,1104によりすべて反射ポートから出力されてしまうため、変形例1では、図7に示す光カップラ246、光波長フィルタ266、検出回路256を省略している。
【0193】
(変形例2:実施形態6の変形例)
次に、図12を参照して、実施形態6の光クロージャ120(図10)の変形例について説明する。図12は、実施形態6に係る光クロージャ120の変形例を示す図である。
【0194】
図12に示す光クロージャ120は、上記抽出手段として、光カップラ1002の変わりにWDMフィルタ1202が用いられている点、および光カップラ1004の変わりにWDMフィルタ1204が用いられている点で、図10に示す光クロージャ120と異なる。
【0195】
特に、図12に示すWDMフィルタ1202,1204は、伝送データ用の光信号の波長(下り:1480nm〜1580nm,上り:1260nm〜1360nm)および電力生成用の光信号の波長(0.98μm,1.06μm)に応じて、1.2μm(1200nm)よりも波長が長い光信号を透過して透過ポートから出力する一方、1.2μm(1200nm)よりも波長が短い光信号を反射して反射ポートから出力する、ロングパスフィルタとして機能するように設計されている。
【0196】
すなわち、WDMフィルタ1202,1204は、伝送データ用の光信号と電力生成用の光信号とが互いに異なるポートから出力されるように、透過と反射とを分ける閾値が、伝送データ用の光信号の波長と、電力生成用の光信号の波長との中間に設定されている。
【0197】
これにより、図12に示すWDMフィルタ1202,1204は、伝送データ用の光信号(下り:1480nm〜1580nm,上り:1260nm〜1360nm)を透過して透過ポートから出力する一方、電力生成用の光信号(0.98μm,1.06μm)を反射して反射ポートから出力することが可能となっている。
【0198】
この変形例によれば、上記抽出手段としてWDMフィルタを用いたことにより、伝送データ用の光信号の挿入損失を抑えつつ、電力生成用の光信号の挿入損失を抑えることができる。
【0199】
(補足説明)
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0200】
例えば、光クロージャ120が動作するためのより十分な電力を得るため、太陽光を利用して電力を生成する構成(実施形態1〜4のいずれか)と、センタ110から送信されてきた電力生成用の光または伝送データ用の光信号を利用して電力を生成する構成(実施形態5または6)とを、組み合わせて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明に係る光伝送システムは、アクセスネットワーク、特に、インターネット回線やCATVシステム等、サービスの提供が途絶えることが許されないシステムのアクセスネットワークとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0202】
10 光伝送システム
110 センタ
120 光クロージャ(光中継装置)
130 光ドロップクロージャ
200 光スイッチ
210 制御回路
220 光分配器
232 太陽光発電パネル(光電変換手段)
234 蓄電池
242 光カップラ
244 光カップラ
246 光カップラ
252 検出回路(検出手段)
254 検出回路(検出手段)
256 検出回路
900 電源生成回路(光電変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタと、上記センタから送信された光信号を伝送する2以上の光伝送路と接続され、上記2以上の光伝送路のいずれかを介して伝送された光信号を中継する光中継装置とを含む光伝送システムであって、
上記光中継装置は、少なくとも第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かを検出する検出手段と、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていないことを上記検出手段が検出したときに、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から第2の光伝送路に切り換える光スイッチと、を備えている、
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
上記センタから送信され、上記2以上の光伝送路を介して伝送される光信号は、同一の光信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【請求項3】
上記センタから送信され、上記2以上の光伝送路を介して伝送される光信号には、特定の波長を有する監視用信号光が含まれており、
上記検出手段は、上記第1の光伝送路を介して上記監視用信号光が正常に伝送されているか否かを検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送システム。
【請求項4】
上記光スイッチは、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から上記第2の光伝送路に切り換えた後、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていることを上記検出手段が検出すると、中継対象とする光伝送路を上記第2の光伝送路から上記第1の光伝送路に切り換える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光伝送システム。
【請求項5】
上記検出手段は、上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かに加えて、上記第2の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かを検出するものであり、
上記光スイッチは、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から上記第2の光伝送路に切り換えた後、上記第2の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていないことを検出すると、中継対象とする光伝送路を上記第2の光伝送路から上記第1の光伝送路に切り換える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光伝送システム。
【請求項6】
上記光中継装置は、光電変換手段をさらに備えており、該光電変換手段により生成された電力により動作する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光伝送システム。
【請求項7】
上記光電変換手段は、上記2以上の光伝送路のいずれかを介して伝送された信号光から電力を生成するものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の光伝送システム。
【請求項8】
上記光電変換手段は、太陽光から電力を生成するものである、
ことを特徴とする請求項6に記載に光伝送システム。
【請求項9】
センタから送信された光信号を伝送する2以上の光伝送路と接続され、上記2以上の光伝送路のいずれかを介して伝送された光信号を中継する光中継装置であって、
第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されているか否かを検出する検出手段と、
上記第1の光伝送路を介して光信号が正常に伝送されていないことを上記検出手段が検出したときに、中継対象とする光伝送路を上記第1の光伝送路から第2の光伝送路に切り換える光スイッチと、を備えている、
ことを特徴とする光中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−74319(P2013−74319A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209638(P2011−209638)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】