説明

光伝送システム及び光伝送方法

【課題】システム構成を簡単にできる光伝送システムを得る。
【解決手段】レーザー光からλ1及びλ2の光信号を発生する2光波発生器101と、光カプラ151により分配された2つの光信号からマイクロ波信号M12を検出する光検出器152と、2つの光信号を周波数シフトする光変調器153と、2つの光信号を反射するファラデー反射器154と、ファラデー反射器154により反射され、再び周波数シフトされ、光ファイバ1により伝送され、偏波ビームスプリッタ103により導かれた2つの光信号を、光カプラ102により分配された2つの光信号と混合する光カプラ104と、混合された4つの光信号をλ1及びλ2の光信号に波長分割する光分波器105と、波長分割されたλ1及びλ2の光信号のビート信号を各々検出する光検出器106、107と、λ1及びλ2の光信号のビート信号の位相差を検出する位相差検出器108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号伝送先で数秒より短い時間だけ積分処理が行われる場合、その積分タイミングに同期した時間間隔でラウンドトリップ伝送位相補償データを取得し、後処理で伝送位相補償を行う光伝送システム及び光伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に記載された光伝送システムにおける伝送位相補償装置を用いた伝送信号の位相安定度の改善の効果を測定された位相安定度と時間の関係(例えば、80GHz、伝送路長10km)として図6に示す。
【0003】
この図6は、原子周波数標準器等の位相安定度を示すアラン標準偏差という国際的に用いられている指標で示している。ファイバケーブルのみの場合(黒丸●印)は、10秒以上でフリッカ周波数雑音(アラン標準偏差値が時間によらず一定:特性線が略水平)が現れ、位相不安定な状態になっている。一方、特許文献1及び2に記載された発明を用いた場合(白四角□印)は、長期にわたりフリッカ周波数雑音が抑えられ位相安定な白色位相雑音(アラン標準偏差値が時間に逆比例)での信号伝送が行われていることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−060241号公報
【特許文献2】特開2011−071700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
伝送信号に高い位相安定度が要求される事例は、リアルタイム性が必要とされる場合(1)と、リアルタイム性が必要とされない場合(2)とに分類できる。一般的には、リアルタイム性が必要とされる場合(1)の要求が多いが、信号伝送先で信号処理を時間積分で行うときには、リアルタイム性が必要とされない場合(2)に相当する。例えば、天文観測では観測信号が非常に微弱なため、観測信号が時間積分され、信号対雑音比を向上させてから必要なデータ取得を行っている。
【0006】
図6を参照すると、数秒よりも短い積分時間では、伝送位相補償装置を用いても用いなくてもあまり位相安定度に差はないことが分かる。つまり、短期の位相安定度は光ファイバケーブル伝送ではあまり影響されないことになる。
【0007】
従って、リアルタイム性が必要とされない場合(2)、特に、信号伝送先で数秒(3秒程度)より短い時間だけ積分処理が行われる場合には、特許文献1及び2に記載された光伝送システムのラウンドトリップ伝送位相補償をリアルタイムで行う位相同期ループ回路や、マイクロ波信号移相器等が必要無く、逆に、位相同期ループ回路や、マイクロ波信号移相器等があることによってシステム構成が複雑になり、そのため信号のロスが多く、ひいては伝送された信号の位相安定度を向上することができず、さらに、デジタル化及び高集積化が難しくなり、多地点伝送補正が不利になるという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、リアルタイム性が必要とされない場合、システム構成を簡単にすることができ、そのため信号のロスを少なくすることができ、ひいては伝送された信号の位相安定度を向上することができ、さらに、デジタル化及び高集積化が容易になり、多地点伝送補正が有利となる光伝送システム及び光伝送方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光伝送システムは、高周波信号を光ファイバによって長距離伝送する光伝送システムであって、前記高周波信号である第1のマイクロ波信号を用いて、入力されたレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生する2光波発生器と、前記2光波発生器により発生された2つの光信号を分配する第1の光カプラと、前記第1の光カプラによって分配された一方の2つの光信号を前記光ファイバに導く偏波ビームスプリッタと、前記光ファイバを伝送してきた2つの光信号を分配する第2の光カプラと、前記第2の光カプラによって分配された一方の2つの光信号から第2のマイクロ波信号を検出する第1の光検出器と、前記第2の光カプラによって分配された他方の2つの光信号を第3のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトする光変調器と、前記光変調器によって周波数シフトされた2つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するファラデー反射器と、前記ファラデー反射器によって反射され、前記光変調器によって再び周波数シフトされ、前記第2の光カプラ及び前記光ファイバによって伝送され、かつ前記偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合する第3の光カプラと、前記第3の光カプラによって混合された4つの光信号を前記第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に波長分割する光分波器と、前記光分波器によって波長分割された前記第1の波長の光信号のビート信号を検出する第2の光検出器と、前記光分波器によって波長分割された前記第2の波長の光信号のビート信号を検出する第3の光検出器と、前記第2及び第3の光検出器によって検出された前記第1及び第2の波長の光信号のビート信号の位相差を検出する位相差検出器とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光伝送システムによれば、システム構成を簡単にすることができ、そのため信号のロスを少なくすることができ、ひいては伝送された信号の位相安定度を向上することができ、さらに、デジタル化及び高集積化が容易になり、多地点伝送補正が有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1−3に係る光伝送システムの位相差検出器の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1−3に係る光伝送システムの積分時間に対するアラン標準偏差の特性を示す図である。
【図6】リアルタイムの位相補償が有る光伝送システム及び位相補償が無い光伝送システムの積分時間に対するアラン標準偏差の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る光伝送システムは、リアルタイム性が必要とされない場合(2)、特に、信号伝送先で数秒(実験では3秒程度)より短い時間だけ積分処理が行われる場合、その積分タイミングに同期した時間間隔でラウンドトリップ伝送位相補償データを取得し、後処理で伝送位相補償を行うというものである。信号伝送先では、使用目的により異なるが、ユーザにより取得された時間積分データに、信号伝送元で取得されたラウンドトリップ伝送位相補償データを用いて、オフラインで伝送路位相補償を行う。当然ながら、積分時間以下の短時間の位相変動補償は行わないため移相器等の制御などは不要になる。実験では、3秒より短い積分処理を行って有効性を確認した。
【0013】
すなわち、信号伝送先で数秒(3秒程度)より短い時間だけ積分処理が行われる場合、2つの光信号の差周波数による高安定光信号伝送において、周波数シフトした戻り光を用いたラウンドトリップを行い、送信光とラウンドトリップ戻り光の検出をマイケルソン干渉計の原理で行い、送受信光をお互い直交した偏波状態とすることでラウンドトリップの送受信光を区別し、光信号またはマイクロ波信号で送信光と戻り光を分離する手段を持ち、信号伝送先の信号積分タイミングに同期した時間間隔でラウンドトリップ伝送位相補償データを取得し、後処理で伝送位相補償する光伝送システムである。以下、本発明の光伝送システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0014】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る光伝送システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る光伝送システムの構成を示す図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0015】
図1において、この発明の実施の形態1に係る光伝送システムは、送信側に、入力されたレーザー光から、マイクロ波信号M11を用いて波長の異なったコヒーレントな2つの光信号(波長λ1とλ2)を発生する2光波発生器101と、2つの光信号を分配する光カプラ102と、垂直偏波光を光カプラ102及び光ファイバ1間で通過させ、水平偏波光を光ファイバ1及び光カプラ104間で通過させる偏波ビームスプリッタ103と、光信号を混合する光カプラ104と、2つの光信号(波長λ1とλ2)を波長分割する光分波器105と、往きと戻りの光信号のビート信号(マイクロ波M13の2倍)を検出する光検出器106、107と、光検出器106、107から出力されるビート信号の位相差、すなわち光ファイバ1中を往復したことにより発生した位相差であり、マイクロ波信号M11とマイクロ波信号M12の位相差の2倍の量に相当する位相差を検出する位相差検出器108とが設けられている。
【0016】
また、図1において、この発明の実施の形態1に係る光伝送システムは、受信側に、光信号を分配する光カプラ151と、2つの光信号からマイクロ波信号M12を検出する光検出器(Photo-mixer)152と、2つの光信号をマイクロ波信号M13で周波数シフトする光変調器153と、2つの光信号の偏波を90度回転させて反射するファラデー(Faraday)反射器154とが設けられている。
【0017】
なお、図1において、送信側と受信側の間には、光ファイバ1が設けられている。この光ファイバ1は、一般のシングルモードファイバで伝送用の長距離のものであり、偏波保持ができないものを使用可能である。
【0018】
つぎに、この実施の形態1に係る光伝送システムの動作について図1を参照しながら説明する。
【0019】
この実施の形態1に係る光伝送システムは、光分離による20GHz以上の高周波信号を伝送するものである。
【0020】
光ファイバ1の伝送遅延は、2つの光信号によるラウンドトリップ遅延測定を2つの光信号独立に同時に行い、両者の差として伝送マイクロ波信号の往復による伝送遅延位相を測定するものである。
【0021】
送信側において、入力されるレーザー光から、2光波発生器101でマイクロ波信号M11を用いて2つの波長の異なったコヒーレントな光信号が作られる。これにより、マイクロ波信号M11の周波数だけ離れた2つの光信号(波長λ1とλ2)を作り出す。マイクロ波信号M11は、伝送したい高安定な高周波信号である。2光波発生器101の構成は、2つの光信号の偏波が揃うことが条件であり、LN変調器等の変調器、もしくはレーザー光と位相同期した副レーザーを用いて2つの光信号を作成する方式でも良い。
【0022】
2つの光信号は垂直偏波であり、光カプラ102、偏波ビームスプリッタ103に導かれる。垂直偏波の光信号は、光ファイバ1を通過後、受信側の光カプラ151で分配され、一方の2つの光信号は光検出器152に導かれ、マイクロ波信号M12として出力される。この信号(マイクロ波信号M12)を用いて、ユーザは積分処理が含まれた必要な信号処理を行う。積分処理時間は、3秒以内であることが重要である。
【0023】
光カプラ151で分配された他方の2つの光信号は、ラウンドトリップ信号として光変調器153でマイクロ波信号M13の周波数(シフト周波数)だけ周波数シフトされた後、ファラデー反射器154で反射される。このファラデー反射器154は、光信号に90度のファラデー回転を与えるので、90度だけ偏波が異なった光信号として反射される。この反射光は、光変調器153で再度、マイクロ波信号M13の周波数だけ周波数シフトされた後、光カプラ151、光ファイバ1を通過し、送信側の偏波ビームスプリッタ103に戻される。
【0024】
光の可逆性を考慮すると、戻された光信号は90度偏波の違った光信号となるため水平偏波となり、偏波ビームスプリッタ103に導かれる。光カプラ104で、光カプラ102により分配された他方の2つの光信号と偏波ビームスプリッタ103からの戻りの2つの光信号が混合される。偏波ビームスプリッタ103からの光信号は、光カプラ102からの光信号より、マイクロ波信号M13の周波数の2倍だけ周波数が異なっている。
【0025】
光カプラ104で混合された光信号は、光分波器105で波長分割(波長λ1と波長λ2)され、光検出器106で波長λ1の光信号のビート信号として検出され、光検出器107で波長λ2の光信号のビート信号として検出される。ビート周波数は、マイクロ波信号M13の周波数の2倍の周波数である。位相差検出器108により、これらのビート信号の位相差が検出される。
【0026】
位相測定は、伝送先(受信側)での信号積分処理タイミングと同期して測定する必要があるが、1積分時間以内で同期していれば十分である。積分処理時間は、短期の位相安定度を乱さない3秒以内であることが重要である。
【0027】
この位相差量は、光ファイバ1の往復分に相当する。つまり、求められた位相差は、光ファイバ1等を通過したための遅延の往復分の影響が入り込む。このため、位相差検出器108で求められた位相差の半分の量が光ファイバ1等の遅延による付加位相として求められる。この位相差測定量が伝送路位相補正量であり、伝送先に送られ、ユーザが取得した積分された信号処理データにオフラインで補正を行う。
【0028】
マイクロ波信号M13の周波数(シフト周波数)は、送信の光信号と戻りの光信号を区別するためのものであり、低周波数の信号である。このシフト周波数の影響及び光ファイバ1での伝送中に入り込む擾乱は、2つの光信号に同一に入るためコモンモードノイズとして扱うことができ、光検出器106、107の出力の差として位相角を計算すると消えてしまう。つまり、位相差検出器108で求められる位相差量に影響を及ぼさないこととなる。
【0029】
この実施の形態1に係る光伝送システムでは、光カプラ102、偏波ビームスプリッタ103、光カプラ104を偏波保持ファイバで構成する。光ファイバ1に比べ、偏波保持ファイバは、非常に短い。
【0030】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る光伝送システムについて図2を参照しながら説明する。図2は、この発明の実施の形態2に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【0031】
図2において、この発明の実施の形態2に係る光伝送システムは、送信側には、後述するマイクロ波信号M21の周波数だけ離れた2つの光信号(波長λ3とλ4)を発生する2光波発生器201と、光信号を分配する光カプラ202と、偏波ビームスプリッタ203と、光信号を混合する光カプラ204と、光信号をマイクロ波信号に変換する光検出器205と、マイクロ波信号M21を分配するマイクロ波分配器206と、マイクロ波信号M21を用いて、光検出器205からのマイクロ波信号を周波数変換するイメージリジェクションミキサ207と、フィルタ208と、フィルタ209と、フィルタ208、209の出力の位相差を検出する位相差検出器210とが設けられている。
【0032】
また、受信側には、光信号を分配する光カプラ251と、光信号をマイクロ波信号M22に変換する光検出器252と、光信号をマイクロ波信号M23の周波数だけ周波数シフトする光変調器253と、光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するファラデー反射器254とが設けられている。
【0033】
つぎに、この実施の形態2に係る光伝送システムの動作について図2を参照しながら説明する。
【0034】
この実施の形態2に係る光伝送システムは、マイクロ波信号分離による20GHz未満の低周波信号を伝送するものである。
【0035】
送信側において、入力されたマイクロ波信号M21は、マイクロ波分配器206を通過後、2光波発生器201に送られる。このマイクロ波信号M21は、伝送したい高安定な低周波信号である。
【0036】
入力されるレーザー光は、2光波発生器201でマイクロ波信号M21の周波数だけ離れた2つの波長の異なったコヒーレントな光信号(波長λ3とλ4)が作られる。2光波発生器201の構成は、2つの光信号の偏波が揃うことが条件であり、LN変調器等の光変調器、もしくはレーザー光と位相同期した副レーザーを用いて2つの光信号を作成する方式でも良い。
【0037】
2つの光信号は、垂直偏波であり、光カプラ202、偏波ビームスプリッタ203を通過後、光ファイバ1を通過し、受信側の光カプラ251で分配され、一方の2つの光信号は光検出器252に導かれマイクロ波信号M22として出力される。この信号(マイクロ波信号M22)を用いて、ユーザは積分処理が含まれた必要な信号処理を行う。積分処理時間は、3秒以内であることが重要である。
【0038】
光カプラ251で分配された他方の2つの光信号は、ラウンドトリップ信号として光変調器253でマイクロ波信号M23の周波数(シフト周波数)だけ周波数シフトされた後、ファラデー反射器254で反射される。このファラデー反射器254は、光信号に90度のファラデー回転を与えるので、90度だけ偏波が異なった光信号として反射される。この反射光は、光変調器253で再度、シフト周波数だけ周波数シフトされた後、光カプラ251、光ファイバ1を通過し、送信側の偏波ビームスプリッタ203に戻される。
【0039】
光の可逆性を考慮すると、戻された光信号は90度偏波の違った光信号となるため水平偏波となり、偏波ビームスプリッタ203で光カプラ204へ導かれる。この光カプラ204で、光カプラ202により分配された2つの光信号と偏波ビームスプリッタ203からの2つの光信号が混合される。偏波ビームスプリッタ203からの光信号は、光カプラ202からの光信号より、シフト周波数の2倍だけ周波数が異なっている。
【0040】
光カプラ204を通過した光信号は、光検出器205でマイクロ波信号として検出される。検出されたマイクロ波信号は、マイクロ波信号M21と同一周波数の信号位相と、マイクロ波信号M21よりシフト周波数の2倍の周波数だけ高い信号位相と、マイクロ波信号M21よりシフト周波数の2倍の周波数だけ低い信号位相とが混じったものである。
【0041】
光検出器205で検出されたこれらの信号は、イメージリジェクションミキサ207でマイクロ波分配器206から分配されたマイクロ波信号M21により周波数変換が行われる。イメージリジェクションミキサ207から、上側帯波と下側帯波が出力される。上側帯波には、(マイクロ波信号M21よりシフト周波数の2倍の周波数だけ高い信号位相)−(マイクロ波信号M21の位相)があらわれ、下側帯波には、(マイクロ波信号M21の位相)−(マイクロ波信号M21よりシフト周波数の2倍の周波数だけ低い信号位相)があらわれる。
【0042】
これらの信号は、フィルタ208、209に入力される。光検出器205で検出されたマイクロ波信号の内、入力されたマイクロ波信号M21と同一周波数のものはDC成分としてフィルタ208、209で除去される。
【0043】
フィルタ208、209を通過した信号は、位相差検出器210で位相差が検出さる。
【0044】
位相測定は、伝送先(受信側)での信号積分処理タイミングと同期して測定する必要があるが、1積分時間以内で同期していれば十分である。積分処理時間は、短期位相安定度を乱さない3秒以内であることが重要である。位相差検出器210で検出された位相差量は、光ファイバ1の往復分に相当する。つまり、求められた位相差は、光ファイバ1等を通過したための遅延の往復分の影響が入り込む。このため、位相差検出器210で求められた位相差の半分の量が光ファイバ1等の遅延による付加位相として求められる。この位相差測定量が伝送路位相補正量であり、伝送先に送られ、ユーザが取得した積分された信号処理データにオフラインで補正を行う。
【0045】
シフト周波数は、送信の光信号と戻りの光信号を区別するためのものであり、低周波数の信号である。シフト周波数の影響及び光ファイバ1での伝送中に入り込む擾乱は、2つの光信号に同一に入るためコモンモードノイズとして扱うことができ、イメージリジェクションミキサ207の出力の上側帯波と下側帯波の位相差として位相角を計算すると消えてしまう。つまり、位相差検出器210で求められる位相差量に影響を及ぼさないこととなる。
【0046】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る光伝送システムについて図3を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態3に係る光伝送システムの構成を示す図である。
【0047】
この発明の実施の形態3に係る光伝送システムは、上記の実施の形態1及び2に係る光伝送システムを組み合わせたもので、図3は、多チャンネル対応、並びに高周波信号及び低周波信号の同時運用対応の構成を示す。
【0048】
図3において、上段のレーザー光(波長1(λ1とλ2))と、下段のレーザー光(波長2(λ3とλ4))とは、光の波長が異なる。高周波信号用及び低周波信号用の同時運用対応の構成は、受信側の光カプラ151(251)、光変調器153(253)、ファラデー反射器154(254)並びにシフト周波数は共用できる。
【0049】
伝送信号は、受信側の波長分波器351で波長1(λ1とλ2)と波長2(λ3とλ4)に分けられ、マイクロ波信号M12(高周波用)とマイクロ波信号M22(低周波用)が、光検出器152Aと光検出器152Bよりそれぞれ出力される。
【0050】
図2の低周波信号用のマイクロ波分配器206は、図3に示すように、光カプラ323、光検出器324及びマイクロ波増幅器325にから構成されるマイクロ波信号供給手段に置き換え、光カプラ323によって、2つの光信号(波長λ3とλ4)を取り出し、光検出器324によって、2つの光信号からマイクロ波信号M21を検出し、マイクロ波増幅器325によって、マイクロ波信号M21を増幅してイメージリジェクションミキサ207へマイクロ波信号M21を供給することで、低周波信号用のマイクロ波分配器206を不要にすることが可能である。
【0051】
この他に、図3において、送信側に、多チャンネル対応の高周波信号用の光増幅器301及び光分配器302、低周波信号用の光増幅器321及び光分配器322が設けられている。また、高周波信号用の偏波ビームスプリッタ103と低周波信号用の偏波ビームスプリッタ203の出力を合成する波長合成器341が設けられている。この波長合成器341は、反対側から入力される光信号を偏波ビームスプリッタ103、203へそれぞれ分波する機能も合わせ持つ。
【0052】
ここで、上記の各実施の形態で共通の位相差検出器について図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態1−3に係る光伝送システムの位相差検出器の構成を示すブロック図である。
【0053】
図4は、デジタル対応の位相差検出器の例を示す。低周波用、高周波用ともに位相差検出器108、210に入力される信号は、シフト周波数の2倍の周波数であるので共用可能である。
【0054】
2つの入力信号はアナログデジタル変換器401、402でそれぞれA/D変換され、以後全てデジタル処理される。まず、シフト周波数の2倍の周波数に僅かだけ周波数がずれた参照信号(周波数FHz:数kHz程度)とFHzの基準クロック信号をデジタルダイレクトシンセサイザ(DDS)403で作成し、デジタルミキサー404、405でA/D変換された信号と掛け合わせることによりデジタル周波数変換を行う。不要波は、デジタルフィルタ406、407で除去され、位相差検出回路408では基準クロック信号と直交検波手法によりデジタルフィルタ406、407の出力信号を相関積分処理後、それぞれ位相及び振幅が計算される。また、位相差検出回路408で両者の位相差が計算され出力される。直交検波は、ヒルベルト(Hilbert)変換等を用いることができるが、よりデジタル回路向きなデジタル平均位相検出法(Digital Averaging Phase Detector)を一例として説明する。基準クロック信号に相当するFHzの正弦波信号とFHzの余弦波信号をデジタルダイレクトシンセサイザ403で作成し、位相差検出回路408では、FHzの正弦波信号及び余弦波信号とデジタルフィルタ406の出力とをそれぞれ掛け合わせ、また、FHzの正弦波信号及び余弦波信号とデジタルフィルタ407の出力とをそれぞれ掛け合わせることで4つの相関をとることができ、4つの相関出力をそれぞれ平均化後(平均化後の4つの信号を順にS1、S2、S3、S4とする)に振幅(二乗和の平方根:振幅A1=SQRT(S12+S22)、振幅A2=SQRT(S32+S42))と位相(逆正接:アークタンジェント:位相φ1=ATAN(S1/S2)、位相φ2=ATAN(S3/S4))を求める。求めた2つの位相(φ1とφ2)の差(φ1−φ2)を計算することで、光ファイバ1中を往復したことにより発生した位相差を求めることができる。
【0055】
各実施の形態に係る光伝送システムよる改善効果を位相安定度のグラフとして図5に示す。積分時間は、0.1秒を用いた。図6と比較し、リアルタイム伝送路補償と同様にフリッカ周波数雑音が無いことが分かる。また、全体的にシステム構成が簡単になるため信号のロスが少なく、図6よりも、伝送された信号の位相安定度が向上している。
【0056】
各実施の形態に係る光伝送システムは、干渉計等の基準信号伝送、国家周波数標準等高安定信号の伝送及び分配等の高い安定度を問題にした信号伝送分野への応用、並びに伝送遅延を問題にする分野への応用が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 光ファイバ、101 2光波発生器、102 光カプラ、103 偏波ビームスプリッタ、104 光カプラ、105 光分波器、106 光検出器、107 光検出器、108 位相差検出器、151 光カプラ、152 光検出器、152A 光検出器、152B 光検出器、153 光変調器、154 ファラデー反射器、201 2光波発生器、202 光カプラ、203 偏波ビームスプリッタ、204 光カプラ、205 光検出器、206 マイクロ波分配器、207 イメージリジェクションミキサ、208 フィルタ、209 フィルタ、210 位相差検出器、251 光カプラ、252 光検出器、253 光変調器、254 ファラデー反射器、301 光増幅器、302 光分配器、321 光増幅器、322 光分配器、323 光カプラ、324 光検出器、325 マイクロ波増幅器、341 波長合成器、351 波長分波器、401 アナログデジタル変換器、402 アナログデジタル変換器、403 デジタルダイレクトシンセサイザ、404 デジタルミキサー、405 デジタルミキサー、406 デジタルフィルタ、407 デジタルフィルタ、408 位相差検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を光ファイバによって長距離伝送する光伝送システムであって、
前記高周波信号である第1のマイクロ波信号を用いて、入力されたレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生する2光波発生器と、
前記2光波発生器により発生された2つの光信号を分配する第1の光カプラと、
前記第1の光カプラによって分配された一方の2つの光信号を前記光ファイバに導く偏波ビームスプリッタと、
前記光ファイバを伝送してきた2つの光信号を分配する第2の光カプラと、
前記第2の光カプラによって分配された一方の2つの光信号から第2のマイクロ波信号を検出する第1の光検出器と、
前記第2の光カプラによって分配された他方の2つの光信号を第3のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトする光変調器と、
前記光変調器によって周波数シフトされた2つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するファラデー反射器と、
前記ファラデー反射器によって反射され、前記光変調器によって再び周波数シフトされ、前記第2の光カプラ及び前記光ファイバによって伝送され、かつ前記偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合する第3の光カプラと、
前記第3の光カプラによって混合された4つの光信号を前記第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に波長分割する光分波器と、
前記光分波器によって波長分割された前記第1の波長の光信号のビート信号を検出する第2の光検出器と、
前記光分波器によって波長分割された前記第2の波長の光信号のビート信号を検出する第3の光検出器と、
前記第2及び第3の光検出器によって検出された前記第1及び第2の波長の光信号のビート信号の位相差を検出する位相差検出器と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
低周波信号を光ファイバによって長距離伝送する光伝送システムであって、
前記低周波信号である第1のマイクロ波信号を分配するマイクロ波分配器と、
前記マイクロ波分配器によって分配された一方の前記第1のマイクロ波信号を用いて、入力されたレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生する2光波発生器と、
前記2光波発生器によって発生された2つの光信号を分配する第1の光カプラと、
前記第1の光カプラによって分配された一方の2つの光信号を前記光ファイバに導く偏波ビームスプリッタと、
前記光ファイバを伝送してきた2つの光信号を分配する第2の光カプラと、
前記第2の光カプラによって分配された一方の2つの光信号から第2のマイクロ波信号を検出する第1の光検出器と、
前記第2の光カプラによって分配された他方の2つの光信号を第3のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトする光変調器と、
前記光変調器によって周波数シフトされた2つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するファラデー反射器と、
前記ファラデー反射器によって反射され、前記光変調器によって再び周波数シフトされ、前記第2の光カプラ及び前記光ファイバによって伝送され、かつ前記偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合する第3の光カプラと、
前記第3の光カプラによって混合された4つの光信号をマイクロ波信号に変換する第2の光検出器と、
前記第2の光検出器によって変換されたマイクロ波信号を、前記マイクロ波分配器によって分配された他方の前記第1のマイクロ波信号で周波数変換して上側帯波及び下側帯波を出力するイメージリジェクションミキサと、
前記イメージリジェクションミキサによって出力された上側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去する第1のフィルタと、
前記イメージリジェクションミキサによって出力された下側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去する第2のフィルタと、
前記第1及び第2のフィルタによって出力された信号の位相差を検出する位相差検出器と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項3】
高周波信号及び低周波信号を送信側から受信側へ光ファイバによって長距離伝送する光伝送システムであって、
前記高周波信号である第1のマイクロ波信号を用いて、入力された第1のレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生する第1の2光波発生器と、
前記第1の2光波発生器により発生された2つの光信号を分配する前記送信側の第1の光カプラと、
前記第1の光カプラによって分配された一方の2つの光信号を導く第1の偏波ビームスプリッタと、
前記低周波信号である第2のマイクロ波信号を用いて、入力された第2のレーザー光から前記第2のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第3の波長の光信号及び第4の波長の光信号を発生する第2の2光波発生器と、
前記第2の2光波発生器によって発生された2つの光信号を分配し、分配された他方の2つの光信号から検出した前記第2のマイクロ波信号を供給するマイクロ波信号供給手段と、
前記マイクロ波信号供給手段によって分配された一方の2つの光信号を再度分配する前記送信側の第2の光カプラと、
前記第2の光カプラによって分配された一方の2つの光信号を導く第2の偏波ビームスプリッタと、
前記第1の偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号と前記第2の偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を合成して前記光ファイバに導く波長合成器と、
前記光ファイバを伝送してきた4つの光信号を分配する前記受信側の第3の光カプラと、
前記第3の光カプラによって分配された一方の4つの光信号を、前記第1の波長及び第2の波長の2つの光信号と、前記第3の波長及び第4の波長の2つの光信号とに分ける波長分波器と、
前記波長分波器によって分けられた前記第1の波長及び第2の波長の2つの光信号から第3のマイクロ波信号を検出する前記受信側の第1の光検出器と、
前記波長分波器によって分けられた前記第3の波長及び第4の波長の2つの光信号から第4のマイクロ波信号を検出する前記受信側の第2の光検出器と、
前記第3の光カプラによって分配された他方の4つの光信号を第5のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトする光変調器と、
前記光変調器によって周波数シフトされた4つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するファラデー反射器と、
前記ファラデー反射器によって反射され、前記光変調器によって再び周波数シフトされ、前記第3の光カプラ及び前記光ファイバによって伝送され、かつ前記波長合成器及び第1の偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合する前記送信側の第4の光カプラと、
前記第4の光カプラによって混合された4つの光信号を前記第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に波長分割する光分波器と、
前記光分波器によって波長分割された前記第1の波長の光信号のビート信号を検出する前記送信側の第3の光検出器と、
前記光分波器によって波長分割された前記第2の波長の光信号のビート信号を検出する前記送信側の第4の光検出器と、
前記第3及び第4の光検出器によって検出された前記第1及び第2の波長の光信号のビート信号の位相差を検出する第1の位相差検出器と、
前記ファラデー反射器によって反射され、前記光変調器によって再び周波数シフトされ、前記第3の光カプラ及び前記光ファイバによって伝送され、かつ前記波長合成器及び第2の偏波ビームスプリッタによって導かれた2つの光信号を、前記第2の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合する前記送信側の第5の光カプラと、
前記第5の光カプラによって混合された4つの光信号をマイクロ波信号に変換する前記送信側の第5の光検出器と、
前記第5の光検出器によって変換されたマイクロ波信号を、前記マイクロ波信号供給手段によって供給された前記第1のマイクロ波信号で周波数変換して上側帯波及び下側帯波を出力するイメージリジェクションミキサと、
前記イメージリジェクションミキサによって出力された上側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去する第1のフィルタと、
前記イメージリジェクションミキサによって出力された下側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去する第2のフィルタと、
前記第1及び第2のフィルタによって出力された信号の位相差を検出する第2の位相差検出器と
を備えたことを特徴とする光伝送システム。
【請求項4】
前記位相差検出器、前記第1の位相差検出器、又は前記第2の位相差検出器は、
第1の入力信号をアナログ/デジタル変換する第1のアナログデジタル変換器と、
第2の入力信号をアナログ/デジタル変換する第2のアナログデジタル変換器と、
シフト周波数の2倍の周波数に所定の周波数だけ周波数がずれた参照信号と前記参照信号の周波数と同じ周波数の基準クロック信号を生成するデジタルダイレクトシンセサイザと、
前記第1のアナログデジタル変換器の出力信号と前記参照信号を掛け合わせてデジタル周波数変換する第1のデジタルミキサーと、
前記第2のアナログデジタル変換器の出力信号と前記参照信号を掛け合わせてデジタル周波数変換する第2のデジタルミキサーと、
前記第1のデジタルミキサーの出力信号から不要波を除去する第1のデジタルフィルタと、
前記第2のデジタルミキサーの出力信号から不要波を除去する第2のデジタルフィルタと、
前記第1及び第2のデジタルフィルタの第1及び第2の出力信号について、前記基準クロック信号と直交検波手法により相関積分処理を行い、前記第1及び第2の出力信号の位相をそれぞれ算出し、前記第1及び第2の出力信号の位相差を算出して出力する位相差検出回路とを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光伝送システム。
【請求項5】
高周波信号を光ファイバによって長距離伝送する光伝送方法であって、
2光波発生器によって、前記高周波信号である第1のマイクロ波信号を用いて、入力されたレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生するステップと、
第1の光カプラによって、前記2光波発生器により発生された2つの光信号を分配するステップと、
偏波ビームスプリッタによって、前記第1の光カプラにより分配された一方の2つの光信号を前記光ファイバに導くステップと、
第2の光カプラによって、前記光ファイバを伝送してきた2つの光信号を分配するステップと、
第1の光検出器によって、前記第2の光カプラにより分配された一方の2つの光信号から第2のマイクロ波信号を検出するステップと、
光変調器によって、前記第2の光カプラにより分配された他方の2つの光信号を第3のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトするステップと、
ファラデー反射器によって、前記光変調器により周波数シフトされた2つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するステップと、
第3の光カプラによって、前記ファラデー反射器により反射され、前記光変調器により再び周波数シフトされ、前記第2の光カプラ及び前記光ファイバにより伝送され、かつ前記偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラにより分配された他方の2つの光信号と混合するステップと、
光分波器によって、前記第3の光カプラにより混合された4つの光信号を前記第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に波長分割するステップと、
第2の光検出器によって、前記光分波器により波長分割された前記第1の波長の光信号のビート信号を検出するステップと、
第3の光検出器によって、前記光分波器により波長分割された前記第2の波長の光信号のビート信号を検出するステップと、
位相差検出器によって、前記第2及び第3の光検出器により検出された前記第1及び第2の波長の光信号のビート信号の位相差を検出するステップと
を含むことを特徴とする光伝送方法。
【請求項6】
低周波信号を光ファイバによって長距離伝送する光伝送方法であって、
マイクロ波分配器によって、前記低周波信号である第1のマイクロ波信号を分配するステップと、
2光波発生器によって、前記マイクロ波分配器により分配された一方の前記第1のマイクロ波信号を用いて、入力されたレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生するステップと、
第1の光カプラによって、前記2光波発生器により発生された2つの光信号を分配するステップと、
偏波ビームスプリッタによって、前記第1の光カプラにより分配された一方の2つの光信号を前記光ファイバに導くステップと、
第2の光カプラによって、前記光ファイバを伝送してきた2つの光信号を分配するステップと、
第1の光検出器によって、前記第2の光カプラにより分配された一方の2つの光信号から第2のマイクロ波信号を検出するステップと、
光変調器によって、前記第2の光カプラにより分配された他方の2つの光信号を第3のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトするステップと、
ファラデー反射器によって、前記光変調器により周波数シフトされた2つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するステップと、
第3の光カプラによって、前記ファラデー反射器により反射され、前記光変調器により再び周波数シフトされ、前記第2の光カプラ及び前記光ファイバにより伝送され、かつ前記偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラにより分配された他方の2つの光信号と混合するステップと、
第2の光検出器によって、前記第3の光カプラにより混合された4つの光信号をマイクロ波信号に変換するステップと、
イメージリジェクションミキサによって、前記第2の光検出器により変換されたマイクロ波信号を、前記マイクロ波分配器により分配された他方の前記第1のマイクロ波信号で周波数変換して上側帯波及び下側帯波を出力するステップと、
第1のフィルタによって、前記イメージリジェクションミキサにより出力された上側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去するステップと、
第2のフィルタによって、前記イメージリジェクションミキサにより出力された下側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去するステップと、
位相差検出器によって、前記第1及び第2のフィルタにより出力された信号の位相差を検出するステップと
を含むことを特徴とする光伝送方法。
【請求項7】
高周波信号及び低周波信号を送信側から受信側へ光ファイバによって長距離伝送する光伝送方法であって、
第1の2光波発生器によって、前記高周波信号である第1のマイクロ波信号を用いて、入力された第1のレーザー光から前記第1のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号を発生するステップと、
前記送信側の第1の光カプラによって、前記第1の2光波発生器により発生された2つの光信号を分配するステップと、
第1の偏波ビームスプリッタによって、前記第1の光カプラにより分配された一方の2つの光信号を導くステップと、
第2の2光波発生器によって、前記低周波信号である第2のマイクロ波信号を用いて、入力された第2のレーザー光から前記第2のマイクロ波信号の周波数だけ離れた第3の波長の光信号及び第4の波長の光信号を発生するステップと、
マイクロ波信号供給手段によって、前記第2の2光波発生器により発生された2つの光信号を分配し、分配された他方の2つの光信号から検出した前記第2のマイクロ波信号を供給するステップと、
前記送信側の第2の光カプラによって、前記マイクロ波信号供給手段により分配された一方の2つの光信号を再度分配するステップと、
第2の偏波ビームスプリッタによって、前記第2の光カプラにより分配された一方の2つの光信号を導くステップと、
波長合成器によって、前記第1の偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号と前記第2の偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号を合成して前記光ファイバに導くステップと、
前記受信側の第3の光カプラによって、前記光ファイバを伝送してきた4つの光信号を分配するステップと、
波長分波器によって、前記第3の光カプラにより分配された一方の4つの光信号を、前記第1の波長及び第2の波長の2つの光信号と、前記第3の波長及び第4の波長の2つの光信号とに分けるステップと、
前記受信側の第1の光検出器によって、前記波長分波器により分けられた前記第1の波長及び第2の波長の2つの光信号から第3のマイクロ波信号を検出するステップと、
前記受信側の第2の光検出器によって、前記波長分波器により分けられた前記第3の波長及び第4の波長の2つの光信号から第4のマイクロ波信号を検出するステップと、
光変調器によって、前記第3の光カプラにより分配された他方の4つの光信号を第5のマイクロ波信号の周波数だけ周波数シフトするステップと、
ファラデー反射器によって、前記光変調器により周波数シフトされた4つの光信号に90度のファラデー回転を与えて反射するステップと、
前記送信側の第4の光カプラによって、前記ファラデー反射器により反射され、前記光変調器により再び周波数シフトされ、前記第3の光カプラ及び前記光ファイバにより伝送され、かつ前記波長合成器及び第1の偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号を、前記第1の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合するステップと、
光分波器によって、前記第4の光カプラにより混合された4つの光信号を前記第1の波長の光信号及び第2の波長の光信号に波長分割するステップと、
前記送信側の第3の光検出器によって、前記光分波器により波長分割された前記第1の波長の光信号のビート信号を検出するステップと、
前記送信側の第4の光検出器によって、前記光分波器により波長分割された前記第2の波長の光信号のビート信号を検出するステップと、
第1の位相差検出器によって、前記第3及び第4の光検出器により検出された前記第1及び第2の波長の光信号のビート信号の位相差を検出するステップと、
前記送信側の第5の光カプラによって、前記ファラデー反射器により反射され、前記光変調器により再び周波数シフトされ、前記第3の光カプラ及び前記光ファイバにより伝送され、かつ前記波長合成器及び第2の偏波ビームスプリッタにより導かれた2つの光信号を、前記第2の光カプラによって分配された他方の2つの光信号と混合するステップと、
前記送信側の第5の光検出器によって、前記第5の光カプラにより混合された4つの光信号をマイクロ波信号に変換するステップと、
イメージリジェクションミキサによって、前記第5の光検出器により変換されたマイクロ波信号を、前記マイクロ波信号供給手段により供給された前記第1のマイクロ波信号で周波数変換して上側帯波及び下側帯波を出力するステップと、
第1のフィルタによって、前記イメージリジェクションミキサにより出力された上側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去するステップと、
第2のフィルタによって、前記イメージリジェクションミキサにより出力された下側帯波から前記第1のマイクロ波信号と同一周波数の信号を除去するステップと、
第2の位相差検出器によって、前記第1及び第2のフィルタにより出力された信号の位相差を検出するステップと
を含むことを特徴とする光伝送方法。
【請求項8】
前記位相差検出器、前記第1の位相差検出器、又は前記第2の位相差検出器は、
第1の入力信号をアナログ/デジタル変換する第1のアナログデジタル変換器と、
第2の入力信号をアナログ/デジタル変換する第2のアナログデジタル変換器と、
シフト周波数の2倍の周波数に所定の周波数だけ周波数がずれた参照信号と前記参照信号の周波数と同じ周波数の基準クロック信号を生成するデジタルダイレクトシンセサイザと、
前記第1のアナログデジタル変換器の出力信号と前記参照信号を掛け合わせてデジタル周波数変換する第1のデジタルミキサーと、
前記第2のアナログデジタル変換器の出力信号と前記参照信号を掛け合わせてデジタル周波数変換する第2のデジタルミキサーと、
前記第1のデジタルミキサーの出力信号から不要波を除去する第1のデジタルフィルタと、
前記第2のデジタルミキサーの出力信号から不要波を除去する第2のデジタルフィルタと、
前記第1及び第2のデジタルフィルタの第1及び第2の出力信号について、前記基準クロック信号と直交検波手法により相関積分処理を行い、前記第1及び第2の出力信号の位相をそれぞれ算出し、前記第1及び第2の出力信号の位相差を算出して出力する位相差検出回路とを有する
ことを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれかに記載の光伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227640(P2012−227640A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91943(P2011−91943)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】