説明

光伝送装置及び光伝送装置システム

【課題】
VCSELを使用した光伝送装置の障害を検知し、通信状態を維持させながら、障害の発生した光伝送装置の交換を行うまでの通信障害を最小限度にとどめることができる光伝送装置を提供する。
【解決手段】
光信号を出力する複数のレーザダイオードと、出力された光信号を合波する光合波部と、1つの外部信号により、複数のレーザダイオードの出力を制御するレーザダイオードドライバと、レーザダイオードドライバに設けられて、少なくとも1つのレーザダイオードの異常の発生によりアラーム信号を伝搬するアラーム部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置に関するものである。より、詳しくは、VCSELを使用した送信用光リンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、短距離に使われる光伝送装置(以下、光リンクという。)では、短波長発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)が使用されており、短波長発光ダイオードに障害(故障)が生じると、追加発注や、修理といったメンテナンスがなされていた。
【0003】
しかしながら、近年では、短波長発光ダイオードの製造メーカが激減しており、その結果、短波長発光ダイオードの入手が困難となり、また、その価格も高騰することとなった。
【0004】
そこで、短波長発光ダイオードと代わり、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emission Laser)と呼ばれるウェハ基板面に垂直に光を出射するレーザダイオード(Laser Diode;LD)が光リンクシステムに使用することも考えられる。このVCSELは安価で、光ファイバとの結合性がよく、また、アレー化が容易である。
【0005】
図7は、上述した従来のVCSELを使用した光リンクシステムを模式的に示す図である。
【0006】
図7に示すように、光リンクシステムは、電気信号が入力されるレーザダイオードドライバ3、レーザダイオード5を備える送信用光リンク1と、光信号から電気信号へ変換する、フォトダイオード等のO/E変換器11を備える受信用光リンク9とを有している。
【0007】
さらに、レーザダイオードドライバ3は、レーザダイオード5に異常が発生した場合、アラームを伝搬するアラーム部を備えており、レーザダイオード5に異常が発生すると、外部に接続されたアラーム装置(図示せず)に障害である旨を表示する。
【0008】
次に従来のVCSELを使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部から入力される電気信号は、レーザダイオードドライバ3入力され、レーザダイオード5を制御する。レーザダイオード5は、電気信号を光信号に変換し、光ファイバ7に伝搬する。
【0009】
光ファイバ7を通じて、光信号はO/E変換器11によって電気信号に変換され、受信用光リンク9から伝搬される。
【0010】
なお、この光リンクシステムにおいて、レーザダイオード5に異常が発生した場合は、レーザダイオードドライバ3からアラーム信号が伝搬され、外部に接続されたアラーム装置(図示せず)に障害である旨を表示する。
【0011】
また、特許文献1は、伝送路に障害が生じた場合、障害発生区間を迂回したり、切り離したりするための伝送路切替制御をして、障害が最小限にとどめられるようにする方法を開示している。
【特許文献1】特開2003−46456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、上述したVCSELは、光出力が0W(ワット)となる寿命期は個体間でばらつきが大きく、いつ寿命を迎えるか予測が不可能である。そのため、VCSELを使用した光リンクシステムは、故障等の予測が不可能であるという問題点がある。さらには、障害中、通信が遮断され、映像等の情報が送信されなくなるという問題点がある。
【0013】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、VCSELを使用した光伝送装置の障害を検知し、通信状態を維持させながら、障害の発生した光伝送装置の交換を行うまでの通信障害を最小限度にとどめることができる光伝送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光伝送装置の第1の態様は、光信号を出力する複数のレーザダイオードと、出力された光信号を合波する光合波部と、1つの外部信号により、複数のレーザダイオードの出力を制御するレーザダイオードドライバと、レーザダイオードドライバに設けられて、少なくとも1つのレーザダイオードの異常の発生によりアラーム信号を伝搬するアラーム部を有することを特徴とする。
【0015】
これによって、本光リンクの劣化を知る、もしくは、本光リンクに使用している光素子の障害を知ることができ、その劣化情報により適切な時期に光リンクの交換を行うことができる。さらには、レーザダイオードの劣化による映像、通信機能障害を最小限にすることができる。
【0016】
本発明の光伝送装置の第2の態様は、光伝送装置が、レーザダイオードドライバから伝搬されるアラーム信号を集約し、伝送路を通じてアラーム装置に接続する接続部を有することを特徴とする。
【0017】
これによって、外部のアラーム装置にアラーム信号が送信され、レーザダイオードの異常を検知することができる。
【0018】
本発明の光伝送装置の第3の態様は、レーザダイオードドライバが、少なくとも1つのレーザダイオードが異常である場合に、他のレーザダイオードに対して駆動電流を増加させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0019】
これによって、伝搬される光レベルのパワーを減少させずに、光信号を伝搬することができる。
【0020】
本発明の光伝送装置の第4の態様は、複数のレーザダイオードと光合波部に代わり、光信号を出力する複数のレーザダイオードと、出力された光信号を合波する光合波部とからなる光素子であることを特徴とする。
【0021】
本発明の光伝送装置の第5の態様は、光合波部に代わり、レーザダイオードドライバからの電気信号によって制御される光スイッチであることを特徴とする。
【0022】
本発明の光伝送装置の第6の態様は、レーザダイオードが、VCSELであることを特徴とする。
【0023】
レーザダイオードにVCSELを使用することにより、アレー化が容易となり、さらに光伝送装置は安価にできる。
【0024】
本発明の光伝送装置システムの第1の態様は、上述の光伝送装置と、光伝送路と、光信号から電気信号に変換するO/E変換器と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の光リンクにより、VCSELの障害を検知し、通信状態を維持しながら故障したVCSELの交換を行うことができ、さらには、映像、通信機能の障害状態を最小限に押さえることが可能になる。また、LNG(Liquefied Natural Gas;液化天然ガス)船陸間光伝送装置などの高信頼性システムやFTTH(Fiber To The Home)などの分野にも利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図1から図6を参照して、詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の光リンクシステムの第1の態様を模式的に示す図である。
【0028】
図1で示す光リンクシステムは、送信用光リンク13と、受信用光リンク27とが、光ファイバ25によって接続されている。
【0029】
さらに、図1で示す送信用光リンク13は、外部からの1つの電気信号が入力される第1のレーザダイオードドライバ15、第2のレーザダイオードドライバ17、第1のレーザダイオードドライバ15によって出力を制御される第1のレーザダイオード19、第2のレーザダイオードドライバ17によって出力を制御される第2のレーザダイオード21、第1のレーザダイオード19及び第2のレーザダイオード21により出力される光信号を合波する光合波部23により構成される。すなわち、第1のレーザダイオード19と、第2のレーザダイオード21とが並列に接続されている。
【0030】
さらに、第1のレーザダイオードドライバ15、第2のレーザダイオードドライバ17からは、第1のレーザダイオード19または第2のレーザダイオード21に障害が発生した場合に、アラームを出力するレーザダイオードアラーム部が備えられており、出力されるそれぞれのアラーム信号は外部のアラーム装置に接続される。なお、図示しないが、必要に応じてアラーム信号を集約するORゲート、ANDゲートを送信用光リンク13内に形成させてもよい。
【0031】
次に本発明の送信用光リンク13を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ15及び第2のレーザダイオードドライバ17に入力される。さらに、それぞれの電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ15、第2のレーザダイオードドライバ17によって、第1のレーザダイオード19、第2のレーザダイオード21を制御し、電気信号から光信号に変換される。
【0032】
第1のレーザダイオード19、第2のレーザダイオード21から出力された光信号は、光合波部23で合波され、1つの光信号となりPD(Photodiode;光検出器)等で構成されるO/E変換器29に向けて伝搬される。光合波部23から出力された光信号は、光ファイバ25を通じて、受信用光リンク27に備えられたO/E変換器29に入力される。O/E変換器29では、受光した光信号を電気信号に変換し、外部に出力する。したがって、図1に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク13で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝播され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0033】
ここで、第1のレーザダイオード19が寿命を迎えると、電気信号は第1のレーザダイオード19によって光信号とならず、第1のレーザダイオードドライバ15がアラーム信号を伝搬する。第1のレーザダイオードドライバ15から伝搬されたアラーム信号は、外部に接続されたアラーム装置に流れ、送信用光リンク13に障害が発生した旨を表示する。一方で、もう第2のレーザダイオード21が正常に動作しているため、電気信号はレーザダイオード21によって光信号に変換され、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0034】
すなわち、本発明の光リンクの第1の態様は、一方のレーザダイオードに障害が発生しても、他のレーザダイオードが正常に稼動していることにより、電気信号は光信号に変換され、通信が遮断されずに、映像等の情報が送信される。
【0035】
(第2実施形態)
図2は、本発明の光リンクシステムの第2の態様を模式的に示す図である。
【0036】
図2で示す光リンクシステムは、送信用光リンク30と、受信用光リンク27とが光ファイバ25によって接続されている。
【0037】
さらに、図2で示す送信用光リンク30は、外部からの1つの電気信号が入力される第1のレーザダイオードドライバ31、第2のレーザダイオードドライバ33、第1のレーザダイオードドライバ31によって出力を制御された第1のレーザダイオード35、第2のレーザダイオードドライバ33によって出力を制御された第2のレーザダイオード37、第1のレーザダイオード35及び第2のレーザダイオード37により出力される光信号を合波する光合波部23により構成される。すなわち、第1のレーザダイオード35と、第2のレーザダイオード37とが並列に接続されている。
【0038】
さらに、第1のレーザダイオードドライバ31、第2のレーザダイオードドライバ33からは、第1のレーザダイオード35または第2のレーザダイオード37に障害が発生した場合に、アラーム信号を出力するレーザダイオードアラーム部が備えられており、出力されるそれぞれのアラーム信号は相対するレーザダイオードドライバ31、33および外部のアラーム装置に接続される。なお、図示しないが、必要に応じてアラーム信号を集約するORゲート、ANDゲートを送信用光リンク30内に形成させてもよい。さらになお、図2において、図1と同じ符号を有するものは、図1と同じ動作を行う。
【0039】
次に本発明の送信用光リンク30を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ31及び第2のレーザダイオードドライバ33に到達する。さらに、それぞれの電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ35、第2のレーザダイオードドライバ37によって、第1のレーザダイオード35、第2のレーザダイオード37を制御し、電気信号から光信号に変換する。
【0040】
第1のレーザダイオード35、第2のレーザダイオード37から出力された光信号は、光合波部23で合波され、1つの光信号となりPD(Photodiode;光検出器)等で構成されるO/E変換器29に向けて伝搬される。光合波部23から出力された光信号は、光ファイバ25を通じて、受信用光リンク27に備えられたO/E変換器29に到達する。O/E変換器29では、受光した光信号を電気信号に変換し、外部に出力する。したがって、図2に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク30で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝播され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0041】
ここで、第1のレーザダイオード35が寿命を迎えると、電気信号は第1のレーザダイオード35によって光信号とならず、第1のレーザダイオードドライバ31がアラーム信号を伝搬する。第1のレーザダイオードドライバ31から伝搬されたアラーム信号は、第2のレーザダイオードドライバ33及び外部に接続されたアラーム装置に流れる。アラーム信号を受けた第2のレーザダイオードドライバ33は、第1のレーザダイオード35の異常を検知し、第2のレーザダイオード37の制御電流を増加させる。第2のレーザダイオードドライバ33が第2のレーザダイオード37の制御電流を増加させることにより、送信用光リンク30から出力される光信号の強度は、第1のレーザダイオード35の障害前と比較して、減少することはない。したがって、電気信号から変換された光レベル(光信号)は減少せずに通信が可能となる。
【0042】
また、外部のアラーム装置は、第1のレーザダイオードドライバ31からのアラーム信号を受信すると、送信用光リンク30に障害が発生した旨を表示する。一方で、第2のレーザダイオード37が正常に動作しているため、電気信号は第2のレーザダイオード37によって光信号に変換され、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0043】
すなわち、本発明の送信用光リンクの第2の態様は、1つのレーザダイオードに障害が発生しても、他のレーザダイオードが正常に稼動しており、さらに、他のレーザダイオードの制御電流を増加させることにより、光信号を3dB(デシベル)増加させ、光ファイバ25へ出力する光信号レベルを障害前と同じレベルに確保することができる。したがって、通信が遮断されずに、映像等の情報が送信される。
【0044】
(第3実施形態)
図3は、本発明の光リンクシステムの第3の態様を模式的に示す図である。
【0045】
図3で示す光リンクシステムは、送信用光リンク45と、受信用光リンク27とが光ファイバ25によって接続されている。
【0046】
さらに、図3で示す送信用光リンク45は、外部からの1つの電気信号が入力される第1のレーザダイオードドライバ47、第2のレーザダイオードドライバ49、第1のレーザダイオードドライバ47によって出力を制御された第1のレーザダイオード51、第2のレーザダイオードドライバ49によって出力を制御された第2のレーザダイオード53、第1のレーザダイオード51及び第2のレーザダイオード53により出力される光信号を合波する光合波部23により構成される。すなわち、送信用光リンク45内の第1のレーザダイオード51と、第2のレーザダイオード53とが並列に接続されている。
【0047】
さらに、第1のレーザダイオードドライバ47は、第1のレーザダイオード51に異常が発生した場合に、アラーム信号を出力するアラーム部が備えられており、第2のレーザダイオードドライバ49及び外部のアラーム装置に接続される。なお、図3において、図1と同じ符号を有するものは、図1と同じ動作を行う。
【0048】
次に本発明の送信用光リンク45を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ47に到達し、さらに、第1のレーザダイオードドライバ47によって、第1レーザダイオード51を制御し、電気信号から光信号に変換する。
【0049】
第1のレーザダイオード51から出力された光信号は、光合波部23で合波される。光合波部23によってPD(Photodiode;光検出器)等で構成されるO/E変換器29に向けて伝搬された光信号は、光ファイバ25を通じて、受信用光リンク27に備えられたO/E変換器29に到達する。O/E変換器29では、受光した光信号を電気信号に変換し、外部に出力する。したがって、図3に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク45で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝播され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0050】
ここで、第1のレーザダイオード51が寿命を迎えると、電気信号は第1レーザダイオード51によって光信号とならず、第1のレーザダイオードドライバ47がアラーム信号を伝搬する。第1のレーザダイオードドライバ47から伝搬されたアラーム信号は、第2のレーザダイオードドライバ49及び外部のアラーム装置に流れる。アラーム信号を受けた第2のレーザダイオードドライバ49は、第1のレーザダイオード51の異常を検知し、レーザダイオードの制御電流を第2のレーザダイオードドライバ49に増加させる。第2のレーザダイオードドライバ49がレーザダイオードの制御電流を増加させることにより、送信用光リンク45から出力される光信号の強度は、第1のレーザダイオード51の障害前と比較して減少することはない。したがって、電気信号から変換された光レベル(光信号)は減少せずに通信が可能となる。
【0051】
また、外部のアラーム装置は、第1のレーザダイオードドライバ47からのアラーム信号を受信すると、送信用光リンク45に障害が発生した旨を表示する。一方で、第2のレーザダイオード53が正常に動作するため、電気信号は第2のレーザダイオード53によって光信号に変換され、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0052】
すなわち、本発明の光リンクの第3の態様は、1つのレーザダイオードドライバ及びレーザダイオードをバックアップとして使用し、一方のレーザダイオードに障害が発生しても、他のレーザダイオードに切り替えることにより、通信が遮断されずに、映像等の情報が送信される。
【0053】
(第4実施形態)
図4は、本発明の光リンクシステムの第4の態様を模式的に示す図である。
【0054】
図4で示す光リンクシステムは、送信用光リンク63と、受信用光リンク27とが光ファイバ25によって接続されている。
【0055】
さらに、図4で示す送信用光リンク63は、外部からの電気信号が入力される第1のレーザダイオードドライバ65、第2のレーザダイオードドライバ67、第1のレーザダイオードドライバ65によって出力を制御された第1のレーザダイオード69、第2のレーザダイオードドライバ67によって出力を制御された第2のレーザダイオード71、第1のレーザダイオード69及び第2のレーザダイオード71から出力される光信号を受光し、第1のレーザダイオードドライバ65または第2のレーザダイオードドライバ67によって制御される光スイッチ73により構成される。すなわち、送信用光リンク63内の第1のレーザダイオード69と、第2のレーザダイオード71とが並列に接続されている。
【0056】
さらに、第1のレーザダイオードドライバ65または第2のレーザダイオードドライバ67には、第1のレーザダイオード69または第2のレーザダイオード71に障害が発生した場合に、アラーム信号を出力するアラーム部が接続され、アラーム信号は、光スイッチ73及び外部のアラーム装置に接続される。なお、図4において、図1と同じ符号を有するものは、図1と同じ動作を行う。
【0057】
次に本発明の送信用光リンク63を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、第1のレーザダイオードドライバ65に入力し、さらに、レーザダイオードドライバ65によって、第1のレーザダイオード69を制御し、電気信号から光信号に変換する。
【0058】
第1のレーザダイオード69から出力された光信号は、光スイッチ73で伝搬方向が決定される。光スイッチ73から出力された光信号は、光ファイバ25を伝搬し、受信用光リンク27に備えられ、PD(Photodiode;光検出器)等で構成されるO/E変換器29に入力される。O/E変換器29では、受光した光信号を電気信号に変換し、外部に出力する。したがって、図4に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク63で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝播され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0059】
ここで、第1のレーザダイオード69が寿命を迎えると、電気信号は第1のレーザダイオード69によって光信号に変換されず、第1のレーザダイオードドライバ65が、アラーム信号を第2のレーザダイオードドライバ67、光スイッチ73及び外部のアラーム装置に送信する。アラーム信号を受けた光スイッチ73は、第2のレーザダイオード71から発信される光信号を受光し、受信用光リンク27に伝送させる形態に切り替わる。アラーム信号を受けた第2のレーザダイオードドライバ67は、第1のレーザダイオード69の異常を検知し、第2のレーザダイオード71に制御電流を注入する(流す)。これにより、送信用光リンク63から出力される光信号の強度は、第1のレーザダイオード69の障害前と比較して、減少することはない。したがって、電気信号から変換された光レベル(光信号)は減少せずに通信が可能となる。
【0060】
また、外部のアラーム装置は、第1のレーザダイオードドライバ65からのアラーム信号を受信すると、送信用光リンク63に障害が発生した旨を表示する。一方で、第2のレーザダイオード71が正常に動作するため、電気信号は第2のレーザダイオード71で光信号に変換され、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0061】
すなわち、本発明の光リンクの第4の態様は、1つのレーザダイオードドライバ及びレーザダイオードをバックアップとして使用し、一方のレーザダイオードに障害が発生しても、光スイッチにより他のレーザダイオードから発信される光信号を受光する形態に切り替えることが出来るので、映像等の情報を送信することが可能となる。また、1つのレーザダイオードドライバ及びレーザダイオードをバックアップとして使用せずに、両方のレーザダイオードドライバ及びレーザダイオードに電気信号を流すようにしてもよい。
【0062】
(第5実施形態)
図5は、本発明の光リンクシステムの第5の態様を模式的に示す図である。
【0063】
図5で示す光リンクシステムは、送信用光リンク79と、受信用光リンク27とが光ファイバ25によって接続されている。
【0064】
さらに、図5で示す送信用光リンク79は、外部からの電気信号が入力されるレーザダイオードドライバ81、レーザダイオードドライバ81によって出力を制御された第1のレーザダイオード83、第2のレーザダイオード85、第1のレーザダイオード83、第2のレーザダイオード85に接続された光合波部23により構成される。
【0065】
さらに、レーザダイオードドライバ81からは、第1のレーザダイオード83または第2のレーザダイオード85に障害が発生した場合に、アラーム信号を出力するアラーム部が備えられ、アラーム信号は、外部のアラーム装置に接続される。なお、図5において、図1と同じ符号を有するものは、図1と同じ動作を行う。
【0066】
次に本発明の送信用光リンク79を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、レーザダイオードドライバ81に入力し、さらに、レーザダイオードドライバ81によって、第1のレーザダイオード83、第2のレーザダイオード85を制御し、電気信号から光信号に変換する。
【0067】
第1のレーザダイオード83、第2のレーザダイオード85から出力された光信号は、光合波部23で合波される。光合波部23から出力された光信号は、光ファイバ25を伝搬し、受信用光リンク27に備えられたO/E変換器29に入力される。O/E変換器29では、受光した光信号が電気信号に変換され、外部に出力される。したがって、図5に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク79で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝送され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0068】
ここで、第1のレーザダイオード83が寿命を迎えると、電気信号は第1のレーザダイオード83によって光信号に変換されないが、第2のレーザダイオード85により光信号に変換される。レーザダイオードドライバ81は第1のレーザダイオード83の異常を検知して、制御電流を増加させる。さらに、第2のレーザダイオード85の光信号レベルを増加させ、障害前と比較して同じ光信号レベルを確保するとともに、アラーム信号を送信する。なお、アラーム信号は、レーザダイオードの寿命等により発生した送信用光リンク79の障害を外部のアラーム表示装置(図示せず)に表示させてもよい。一方で、第1のレーザダイオード83は光レベルが極端に低下し、光信号に変換されない不具合が生じるが、レーザダイオードドライバ81によって第2のレーザダイオード85を制御し、光レベルが正常にするため、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0069】
すなわち、本発明の光リンクの第5の態様は、一方のレーザダイオードに障害が発生し、発光しなくなっても、他のレーザダイオードの光レベルを制御することにより、通信が遮断されずに、映像等の情報が送信される。
【0070】
(第6実施形態)
図6は、本発明の光リンクシステムの第6の態様を模式的に示す図である。
【0071】
図6で示す光リンクシステムは、送信用光リンク87と、受信用光リンク27とが光ファイバ25によって接続されている。
【0072】
さらに、図6で示す送信用光リンク87は、外部からの電気信号が入力されるレーザダイオードドライバ89、レーザダイオードドライバ89によって出力を制御された光素子95とを有している。
【0073】
そして、図6で示す光素子95は、第1のレーザダイオード91と、第2のレーザダイオード93と、第1のレーザダイオード91と及び第2のレーザダイオード93とから出力される光信号を合波する光合波部97とを有している。
【0074】
レーザダイオードドライバ89からは、第1のレーザダイオード91または第2のレーザダイオード93に障害が発生した場合に、アラーム信号を出力するアラーム部が備えられ、アラーム信号は、外部のアラーム装置に接続される。なお、図6において、図1と同じ符号を有するものは、図1と同じ動作を行う。
【0075】
次に本発明の送信用光リンク87を使用した光リンクシステムの動作について詳細に説明する。外部より入力された電気信号は、レーザダイオードドライバ89に入力され、さらに、光素子95は、レーザダイオードドライバ89によって制御される。
【0076】
光素子95に入力された電気信号は、第1のレーザダイオード91、第2のレーザダイオード93によって光信号に変換され、出力される。出力された光信号は、光合波部97で合波される。光合波部97から出力された光信号は、光ファイバ25を伝搬し、受信用光リンク27に備えられ、PD(Photodiode;光検出器)等で構成されるO/E変換器29に入力される。O/E変換器29では、受光した光信号が電気信号に変換され、外部に出力される。したがって、図6に示す光リンクシステムでは、入力された電気信号が、送信用光リンク87で光信号に変換され、光ファイバ25を通じて伝送され、受信用光リンク27で再度、電気信号に変換されることになる。
【0077】
ここで、第1のレーザダイオード91が寿命を迎えると、電気信号は第1のレーザダイオード91によって光信号に変換されないが、第2のレーザダイオード93により光信号に変換される。レーザダイオードドライバ89は第1のレーザダイオード91の異常を検知し、制御電流を増加させることにより、第2のレーザダイオード93の光信号レベルを増加させる。これによって、障害前と比較して同じ光信号レベルを確保するとともに、アラーム信号が送信され、光信号は通信障害を生じることなく送信される。
【0078】
すなわち、本発明の光リンクの第6の態様は、一方のレーザダイオードに障害が発生し、発光しなくなっても、他のレーザダイオードの光レベルを制御することにより、通信が遮断されずに、映像等の情報が送信される。
【0079】
さらに、上述した実施形態では、レーザダイオードドライバ及びレーザダイオードを1組とし、それを2組に並列接続した光リンクを説明したが、2組以上を並列接続してもよい。
【0080】
さらに、本発明の光リンクを高速データ通信で使用する場合、VCSELのピーク波長を半値幅以上ずらしてもよい。これにより、光の位相で打ち消しあうことにより発生する伝送エラーを減少させることができる。
【0081】
さらに、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の光リンクにより、VCSELの障害を検知し、通信状態を維持しながら故障したVCSELの交換を行うことができ、さらには、映像、通信機能の障害状態を最小限に押さえることが可能となり、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の光リンクシステムの第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の光リンクシステムの第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】本発明の光リンクシステムの第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】本発明の光リンクシステムの第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の光リンクシステムの第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】本発明の光リンクシステムの第6実施形態を模式的に示す図である。
【図7】従来の光リンクシステムの実施形態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1、13、30、45、63、79、87 送信用光リンク
3、15、17、31、33、47、49、65、67、81、89 レーザダイオードドライバ
5、19、21、35、37、51、53、69、71、83、85、91、93 レーザダイオード
7、25 光ファイバ
9、27 受信用光リンク
11、29 O/E変換器
23、97 光合波部
73 光スイッチ
95 光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を出力する複数のレーザダイオードと、
出力された前記光信号を合波する光合波部と、
1つの外部信号により、複数の前記レーザダイオードの前記出力を制御する少なくとも1つのレーザダイオードドライバと、
前記レーザダイオードドライバに設けられて、少なくとも1つの前記レーザダイオードの異常の発生によりアラーム信号を送出するアラーム部と、
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記光伝送装置は、前記レーザダイオードドライバから送出されるアラーム信号を集約し、伝送路を通じてアラーム装置に接続する接続部
を有することを特徴とする、請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記レーザダイオードドライバは、少なくとも1つの前記レーザダイオードが異常である場合に、他のレーザダイオードに対して駆動電流を増加させる制御部を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
複数の前記レーザダイオードと前記光合波部に代わり、光信号を出力する複数のレーザダイオードと、出力された前記光信号を合波する光合波部とからなる光素子
であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記光合波部に代わり、前記レーザダイオードドライバからの電気信号によって制御される光スイッチであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記レーザダイオードは、VCSELであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6に記載の光伝送装置と、
光伝送路と、
光信号から電気信号に変換する変換器と、
を備えることを特徴とする光伝送装置システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−211305(P2006−211305A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20752(P2005−20752)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(505035954)古河インフォネット株式会社 (7)
【Fターム(参考)】