説明

光出射装置

【課題】発光の取り出し効率が改良された電界発光を利用した光出射装置を提供する。
【解決手段】第1発光部と光導波路部からなる光出射装置であって、前記第1発光部は電界発光層を有し、前記光導波路部はコアとクラッドを有し、該コアの一部領域に前記第1発光部から放射された第1発光を吸収して第2発光する第2発光材料が前記光取り出し面を前記クラッドに面して配置され、前記第1発光部は前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の側面を少なくとも2平面で被覆するか、又は、前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の外周を取り囲む様に配置され、かつ、前記第1発光部と前記光導波路部の組み合わせ領域の外周を被覆する光反射手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光を利用した光出射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通じることによって励起され発光する薄膜材料を用いた電界発光素子(EL素子と略記する。)が知られている。EL素子は、低電圧で高輝度の発光が得られるために、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い潜在用途を有し、それらの分野でデバイスの薄型化、軽量化、小型化、および省電力などの利点を有する。
【0003】
有機電界発光素子(有機EL素子と略記する。)は、発光層もしくは発光層を含む複数の有機層と、有機層を挟んだ対向電極とから構成されている。有機EL素子は、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子からの発光及び前記励起子からエネルギー移動して生成した他の分子の励起子からの発光の少なくとも一方を利用した、発光を得るための素子である。
【0004】
従来より、光ファイバおよび光導波路中を導波する光(導波光)は、光通信、医療、装飾などの分野で多用されているが、前記導波光の中でも、特にレーザー光は、コヒーレントな光であり、高い指向性を示し、スペクトル幅がシャープであることから、各種分野において好適に使用されている。前記レーザー光の照射装置としては、例えば、GaAs等の無機半導体の固体レーザー(半導体レーザー)を用いたダイオードレーザー装置が広く知られている。一般に、前記ダイオードレーザー装置は、注入された電子と正孔とのレーザーキャビティでの再結合に起因する発光を利用するものであるが、かかる利用には電気的条件(電位降下、オーミック損失など)及び光学的条件(屈折率差など)の両条件を充たすことが必要になる。ところが、前記無機半導体の場合、高いキャリア移動度を示すため、電位降下やオーミック損失に関してあまり大きな犠牲を払わずに比較的厚い層を用いることができ、また、屈折率差の大きな半導体材料を利用可能であるため、プレーナ導波路レーザや分布ブラッグ反射器型垂直キャビティレーザを容易に製造することができ、前記両条件を比較的容易に充たすため、該無機半導体を用いた無機半導体レーザーの開発が盛んに行われてきている。
【0005】
しかしながら、該無機半導体レーザーの場合、高価であり、装置が大型化し、変調が容易ではなく、レーザー光の波長が半導体材料の種類によって特定されてしまい、任意の波長のレーザー光が得られず、用途等が限定されてしまう等の問題がある。前記半導体レーザーよりも安価であり、小型で変調が容易で、既存のレーザー光の波長とは異なる波長の線状光を出射可能な光出射装置の提供が望まれている。
【0006】
有機EL素子を利用して導波光出射装置ならびにレーザー放射装置を構成する試みが開示されている。例えば、特許文献1には、有機EL素子で発生した第一波長のインコヒーレント光をクラッド領域のクラッド層を通して導光し、該クラッド領域より第2波長のコヒーレント光を放射する固体レーザー放射装置が開示されている。
【0007】
ここで提案されている装置は、図8に示すように、導体層(正極)131と、有機発光層(EL発光層)14と、導体(負極)132とをこの順に積層してなる平面型発光素子(有機EL素子)で構成された第一領域における有機発光層(EL発光層)14に生じたインコヒーレントなEL光を導体(負極)131側から取り出し、このインコヒーレントなEL光16を、クラッド層171、コア層18、およびクラッド層172とをこの順に積層してなる平面型光導波路で構成された第二領域におけるコア層18内に取り込み、コア層18内に存在する発光材料が前記EL光により励起されてコヒーレントな発光を生じ、該発光材料によるコヒーレントな光を導波させ、コア層18の端部から出力光19を出射させる装置が記載されている。
【0008】
しかし、この装置の場合、第二領域は平面型光導波路を用いることが必須となる。なぜなら平面型発光素子から発せられる光を効率よく第二領域に吸収させるためには、第二領域は必然的に平面型発光素子と同程度の面積を有することが必要となるからである。しかし、一般的に用いられる光導波路素子の大半の形態は光ファイバやチャネル導波路など線状のコアを有する導波路素子である。線状導波路をこの装置の第二領域とした場合、平面型発光素子から発せられる光の大部分は第二領域に吸収されることなく透過してしまい、装置全体での発光効率は極めて小さいものとなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特許文献2には、EL素子と、その周囲に形成されたチャネル導波路から成り、該EL素子の端面から出射される第一発光を、該導波路のコアに含まれる蛍光材料により吸収させ、該蛍光材料が発する蛍光を該導波路中を導波させる光出射装置が記述されている。この装置は、EL光の利用効率が高く、チャネル導波路を使用できるという特徴がある。一方この装置では、一枚の基板上にEL素子と光導波路を形成することが必須なため製造工程が複雑になること、また光導波路の代わりに光ファイバを使用することはできないという問題点がある。
【特許文献1】特開平10−321941号公報
【特許文献2】特開2006−278494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における問題を解決し、製造が容易で、使用する光導波路および光ファイバの形態の自由度が大きく、EL光乃至EL光由来の光を導波光乃至レーザー光として出射することができ、前記半導体レーザーよりも安価で小型であり、既存のレーザー光の波長とは異なる波長の導波光を出射可能であり、変調も容易であり、各種分野において好適であり高性能な光出射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決する事を見出された。
<1> 第1発光部と光導波路部からなる光出射装置であって、
1)前記第1発光部は少なくとも一対の電極間に電界発光層を有し、該電極の少なくとも一方が透明で光取り出し面を形成し、かつ、
2)前記光導波路部はコアとその周囲を被覆するクラッドを有し、該コアの一部領域に前記第1発光部から放射された第1発光を吸収して第2発光する第2発光材料を有し、かつ、前記第1発光部は前記光取り出し面を前記クラッドに面していて、
3)前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の側面を少なくとも2平面で被覆するか、又は、前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の外周を取り囲む様に配置され、かつ、
4)前記第1発光部と前記光導波路部の組み合わせ領域の外周を被覆する光反射手段を有することを特徴とする光出射装置。
<2> 前記光導波路部の一部に光共振器構造を有することを特徴とする<1>に記載の光出射装置。
<3> 前記光共振器構造がコアまたはクラッドの少なくとも一方の屈折率が周期的に変化するグレーテイング構造であることを特徴とする<2>に記載の光出射装置。
<4> 前記第2発光材料を有するコア領域を同一の光導波路部に複数有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の光出射装置。
<5> 前記複数のコア領域の第2発光材料の発光波長が互いに異なることを特徴とする<4>に記載の光出射装置。
<6> 前記光反射手段が白色光反射材料の分散物の塗布層であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の光出射装置。
<7> 前記電界発光層が有機電界発光層であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の光出射装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、発光の取り出し効率が向上し高輝度発光が得られる光出射装置が提供される。特に高輝度のコヒーレント光が得られる光出射装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.光出射装置
本発明の光出射装置は、第1発光部と光導波路部からなる光出射装置であって、
1)前記第1発光部は少なくとも一対の電極間に電界発光層を有し、該電極の少なくとも一方が透明で光取り出し面を形成し、かつ、
2)前記光導波路部はコアとその周囲を被覆するクラッドを有し、該コアの一部領域に前記第1発光部から放射された第1発光を吸収して第2発光する第2発光材料を有し、かつ、前記第1発光部は前記光取り出し面を前記クラッドに面していて、
3)前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の側面を少なくとも2平面で被覆するか、又は、前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の外周を取り囲む様に配置され、かつ、
4)前記第1発光部と前記光導波路部の組み合わせ領域の外周を被覆する光反射手段を有する。
【0014】
即ち、本発明においては光導波路の一部領域のコアに第2発光材料を有し、該コア領域の周囲にクラッドを介して第1発光手段が配されている。さらにその外周面が光反射手段により被覆されているので、第1発光手段により発生した光が外部に漏れることなく効率よく第2発光材料に吸収され、第2発光材料により放射された光がコアの外部に漏れることなく光導波路を経て放射される。従って、取り出し効率が向上し、高輝度の発光を得ることが出来る。特に、第2発光材料を含む導波路部をコヒーレント光発生手段とすることによって、簡易に高輝度レーザー発振手段を得ることができる。
【0015】
好ましくは、前記光導波路の一部に光共振器構造を有することによりより単一波長の高輝度発光を得ることが出来る。好ましくは、前光共振器構造がコアまたはクラッドの少なくとも一方の屈折率が周期的に変化するグレーテイング構造である。
好ましくは、前記第1発光手段を配し、第2発光材料を含むコア領域を1つの光導波路に複数有し、発光波長が互いに異なる光を発生させ、これらの光の混合により白色光などの種々の色調の合成光を得ることができる。
【0016】
好ましくは、前記光反射手段が白色光反射材料の分散物の塗布層である。光反射手段は、第1発光手段の光を取り出さない面、前記クラッドの第1発光手段で覆われていない面、第1発光手段の端面およびクラッドの端面など種々の形状、面積、および配置に対して設けられるが、これらに対して白色光反射材料の分散物を塗布法によって容易に設けることができる。
好ましくは、第1発光手段が有機EL素子あり、前記電界発光層が有機EL層である。
以下により詳細に説明する。
【0017】
本発明の光出射装置においては、前記第1発光手段が第1発光を発し、前記光導波路部の前記コア部において、前記第2発光材料が前記第1発光を吸収して励起状態となり、基底状態に戻るときに発光を生ずる(前記第1発光が該第1発光とは異波長の光に変調乃至増幅される)。このため、外部に前記第1発光とは異波長の光が放出(出射)される結果、出射光の強度、明るさ等に優れる。なお、このとき、前記第1発光手段における前記発光層に注入する電流注入量を増加していくと、該発光層において生ずる第1発光の強度乃至光量が増大するが、この第1発光の強度乃至光量の増大に伴って前記第2発光材料の励起密度も増大する。そして、前記第2発光材料の励起密度が閾値を超えると、レーザー発振が生ずる。このとき、該光出射装置からはレーザー光が出射される。
【0018】
また、本発明の光出射装置においては、前記クラッドの屈折率が、前記コアの屈折率よりも低い態様が好ましい。該光出射装置においては、前記第2発光材料からの発光(以下、導波光と呼ぶ)が、前記コアから外部に漏出しようとしても、前記コアと前記クラッドとの屈折率差により、前記クラッドに進入することなく、該コアと該クラッドとの界面で反射されて該コア内を進行する。このため、前記コアとクラッドは光導波路として機能し、該コア内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記コア内を導光する光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が低減乃至抑制され、光強度の大きな光が出射可能である。
【0019】
また、本発明の光出射装置においては、前記第1発光手段がEL素子であるので、前記EL発光の波長等が任意に選択可能である。また、発光効率、駆動電圧などの点から、前記EL素子が有機EL素子であることがより好ましい。
【0020】
−光導波路部材−
前記光導波路部材としては、前記導波光を導波することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記導波光を導波可能なコアと、前記導波光を導波しないクラッドとを有してなるものが好ましい。なお、本発明においては、前記光出射装置から出射される光を、導波光、出射光、出力光などと称する。
【0021】
前記光導波路部の形状乃至構造としては、前記第2発光材料からの発光(導波光)を導波することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、平板状、線状導波路構造などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2以上を組合せて使用してもよい。これらの中でも、前記導波光の損失を可能な限り低減させる観点からは、前記線状導波路構造が好ましい。
【0022】
前記導波路部の長さとしては、前記導波光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が実用上十分低い範囲内であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該導波路部に後述する発光材料を含有させておき、インコヒーレントな前記EL光をコヒーレントな光に変調させる場合には、この変調に十分な長さであることが好ましい。
【0023】
−コア部材−
前記コアの材料としては、前記導波光および第2発光材料からの発光の減衰を生じさせないものであるのが好ましく、例えば、無機材料、有機材料の中から適宜選択することができる。
前記無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、ITO、及びガラスなどが挙げられる。
【0024】
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、樹脂などが挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル等のスチレン系樹脂、シクロブテン樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、などが挙げられ、これらの中でも、フッ素化ポリイミド、ベンゾシクロブテン、重水素化シリコーン、重水素化ポリメチルメタクリレート、UVエポキシ樹脂、UVアクリレート、感光性ポリイミド、などがより好ましい。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フォトリソグラフィー法により、所望の形状の光導波路として機能する前記導光部を容易にかつ正確、精細に所望のパターン状に形成可能な点で、感光性ポリイミドが好ましい。
【0025】
前記コアの屈折率としては、特に制限はなく、前記クラッドの屈折率に応じて適宜選択することができ、例えば、1.4〜1.8であるのが好ましく、1.5〜1.7であるのがより好ましい。
前記屈折率が、1.4未満であると、導波光の閉じ込めが不十分なことがあり、吸収損失が増大することがある。
【0026】
前記コア部の軸方向(長さ方向)に対し略直交方向の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円形、楕円形、四角形(略正方形、略長方形)等の角形、不定形、などが好適に挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2以上を組合せてもよい。これらの中でも、製造性の観点からは、前記四角形状が好ましい。
また、前記断面形状の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、線状光乃至レーザー光を出射させる観点からは、前記断面形状の大きさが小さい方が好ましく、該断面形状の直径乃至最大径としては、例えば、1μm〜100μmが好ましい。
【0027】
前記光導波路部と、前記第1発光手段との距離としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該光導波路部が前記第1発光手段と接していてもよいし離れていてもよく、例えば、0.1μm〜2mmが好ましい。
【0028】
なお、前記光導波路部と前記発光層とが離れて配置されている場合、両者の間は、エアギャップが存在していてもよいし、透光性材料が配置されていてもよく、後者の場合、前記第1発光のフレネル反射損失を低減乃至抑制することができる点で好ましい。
前記透光性材料としては、前記第1発光を透過することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、後述するクラッドの材料のうち、透光性に優れた材料などが好適に挙げられる。
【0029】
本発明においては、前記コア部に、前記第1発光手段から放射される前記第1発光を吸収して発光可能な第2発光材料が含まれているのが必須である。この場合、前記第1発光を所望の波長の光に変換させることができ、また、誘導放出が可能な条件においてはインコヒーレントな前記第1発光をコヒーレントな光にすることができ、その結果、該発光材料を含む光出射装置から出射される光の光強度の向上、変調等が可能となり、各種用途への適用が可能となる等の点で好ましい。
【0030】
また前記コア部が、前記EL光を吸収する材料(ホスト材料)と、その材料からのエネルギー移動により励起され発光する発光材料(ゲスト材料)の2種の材料を含んでいてもよい。この形態は、前記ゲスト材料の濃度消光の影響がない低濃度にすることができ、かつ前記ホスト材料の濃度を大きくすることにより、前記導光部における前記EL光の吸収率を十分大きくすることができる点で有利である。ただし、前記コア部に含まれる前記ホスト、ゲスト材料においては、電荷輸送機能に関する条件は必要ない。
【0031】
前記発光材料の吸収波長領域としては、前記第1発光手段から放射される前記第1発光の波長領域と重なりがあることが必要である。該発光材料の吸収ピーク波長は、前記EL発光ピーク波長に対し、±50nmに位置するのが好ましく、±20nmに位置するのがより好ましい。
【0032】
前記発光材料の吸収ピーク波長が、前記第1発光の発光ピーク波長に対し、50nm以上離れていると、該発光材料の前記第1発光の吸収・変換効率が低下してしまい、前記第1発光の損失(例えば、伝送損失)乃至減衰が生じてしまうことがあり、光強度の大きな光を出射させることができないことがある。なお、前記コアが前記発光材料を含んでいる場合、一般に、該導波路部から外部に出射される光を前記第1発光のピーク波長よりも長波長側にピーク波長がある光を出射させることができる。
【0033】
前記第2発光材料としては、前記第1発光を吸収して励起状態となり、基底状態に戻るときに発光を生ずるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー活性物質などとして公知のものを使用することができ、無機化合物、有機化合物、などが挙げられる。
【0034】
前記無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、希土類イオン、などが挙げられ、具体的には、プラセオジムイオン、ツリウムイオン、ルミウムイオン、エルピウムイオン、ネオジムイオン、ユーロピウムイオンなどが挙げられる。
【0035】
前記有機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ルブレン、ペリレン、1,3,6,8−テトラフェニルピレンなどが好適に挙げられる。なお、前記発光材料が前記ルブレンである場合、該光出射装置から出射される光は、前記ルブレンの発光色である黄色となる。
【0036】
【化1】

【0037】
これらの発光材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、出射させる光をコヒーレントなレーザー光にする観点からは前記発光材料を1種単独で使用するのが好ましい。これらの中でも、一般に、前記コアの材料が無機材料であるときは該発光材料も前記無機化合物であるのが好ましく、前記コアの材料が有機材料であるときは該発光材料も前記有機化合物であるのが、該コアへの前記発光材料の均一分散の観点からは好ましい。
【0038】
前記発光材料の前記コアにおける存在状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第2発光の増幅乃至変調効率の観点からは、例えば、該コアに均一分散しているのが好ましい。
前記発光材料を前記コア内に均一に分散させる方法としては、特に制限はなく、該発光材料、前記コアの材料の種類、大きさ、形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、前記発光材料及び前記コアの材料がいずれも有機材料、有機化合物である場合には、両材料を溶剤等に溶解、あるいは溶融等させる方法などが好適に挙げられる。
【0039】
前記発光材料の前記コアにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜20モル%が好ましく、0.2〜10モル%がより好ましい。
前記発光材料の含有量が、0.1モル%未満であると、前記第1発光の増幅ないし変調効率が十分でないことがあり、光強度の大きな光を出射させることができない、コヒーレントで指向性の高いレーザー光を出射させることができないことがあり、20モル%を超えると、該コア内に導波される光に損失(例えば、伝送損失)乃至減衰、および発光材料の濃度消光による発光効率の低下が生することがある。
【0040】
−クラッド−
前記クラッドとしては、それ自身は前記導波光を導光せず、前記コアと組み合わされた際に該コアのみが前記導波光を導波可能にさせ得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記クラッドの配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記コアの周囲を覆うようにして設けられた配置が好ましく、前記コアを内部に埋め込むようにして設けられた配置が特に好ましい。これらの場合、前記コア内に取り込まれた前記導波光は、該コアの周囲から外部に漏出しようとしても、該コアの周囲に該クラッドが存在するため、前記コアと前記クラッドとの屈折率差により、前記クラッドに進入することなく、該コアと該クラッドとの界面で反射されて該コア内を進行する。このため、前記クラッドおよびそれに埋め込まれた前記コアは、光導波路として機能し、該コア内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記コア内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)が生ずるのを防ぐことができ、光強度の大きな光を出射可能である点で有利である。
【0041】
前記クラッドの屈折率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コアの屈折率よりも低いのが好ましい。この場合、前記クラッドの屈折率が前記コアの屈折率よりも低いため、前記導光部内を進行する前記導波光が該クラッドに進入することなく、該コアと該クラッドとの界面で反射されて該コア内を進行する。このため、前記クラッドおよびそれに埋め込まれた前記コアは、光導波路として機能し、該コア内を進行する光の外部への漏出が効果的に抑制され、前記コア内に導光する光の損失(例えば、伝送損失)が生ずるのを防ぐことができ、光強度の大きな光を出射可能である点で有利である。
【0042】
前記コアと前記クラッドとの屈折率差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、大きい方が好ましく、0.05以上であるのがより好ましく、0.1以上であるのが特に好ましい。
前記屈折率差が、0.05未満であると、導光部への光の閉じ込めが不十分なことがあり、前記導波光の導波効率が十分でなく、該出射装置から出射される光の強度乃至明るさが十分でないことがある。
【0043】
前記クラッドの材料としては、特に制限はなく、前記コアの屈折率、形状等に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料、などが挙げられる。
なお、前記クラッドは、空気で形成してもよく、即ち該クラッドを設けずに空気を存在させてもよく、このような場合であっても、前記コア部の屈折率が前記空気の屈折率よりも高くなっていれば、該空気を前記クラッドとして機能させることができる。また、前記クラッドを後述する基板上に設ける場合には、該基板も前記クラッドとしての機能を有することが好ましい。
【0044】
前記無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記コアの材料として例示したものなどが挙げられ、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、ITO、ガラス、MgFおよびCaFなどが挙げられる。
【0045】
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コアの材料として例示したものなどが挙げられ、例えば、樹脂などが好適に挙げられる。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル等のスチレン系樹脂、シクロブテン樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、などが挙げられる。
【0046】
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾシクロブテン、重水素化シリコーン、ポリメチルメタクリレート、UVエポキシ樹脂、UVアクリレート、感光性ポリイミド、フッ素化ポリイミド、光透過性ポリイミド、などがより好ましく、前記コアを覆うのが容易であり、取扱性、耐久性等に優れる点で、ポリメチルメタクリレートなどが好ましい。
【0047】
本発明においては、上述した第1発光手段及び前記光出射手段の数が、各々1つであってもよいし、少なくともいずれかが2以上であってもよい。
本発明の光出射装置又は光出射方法によって出射される前記出射光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、350〜800nmであるのが好ましい。
【0048】
−その他の手段及びその他の工程−
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1発光手段を固定配置させるための基板(基材、支持体)、光導波路形成用部材、などが好適に挙げられる。
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ガラス基板、石英基板(SiO基板)、プラスチック基板などが好適に挙げられる。該基板は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基板の中でも製造性およびコスト の点で、ガラス基板、石英基板(SiO基板)、が好ましい。
【0049】
本発明においては、前記第1発光手段及び前記光出射手段(例えば、前記光導波路部)を前記基板上に、同時に乃至順次形成することができ、この場合、該第1発光手段と、前記光導波路部との配置、位置関係の制御が容易であり、該発光層と該導波路との光学的接続を容易に行うことができる点で有利である。一般に、光学的接続を行う場合には、接続する2つの部材の位置を精度よく調整することが必要になり容易ではなく、接続損失が生じ易いという問題があるが、上述したように、前記基板上に前記第1発光手段と前記導波路を同時に乃至順次、例えば、蒸着法、塗布法、フォトリソグラフィー法、エッチング法、などにより形成することにより、容易に光学的接続を行うことができる点で有利である。
【0050】
本発明の光出射装置の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1発光手段及び前記光出射手段をそれぞれ別個に製造し、最後に両者を光学的に接続する方法、前記第1発光手段及び前記光出射手段を前記基板上に同時に乃至順次形成する方法、などが挙げられる。これらの中でも、前記第1発光手段及び前記光出射手段を前記基板上に同時に乃至順次形成する方法が、該第1発光手段と該光出射手段との位置合せが容易であり、両者の光学的接続が容易である点で好ましい。従来における発光ダイオード装置、半導体レーザー装置等においては、一般に、発光ダイオードや半導体レーザーを別個に作製した光導波路に正確に位置合せをしなければならず、この位置合せが容易ではなく、僅かなズレによって光の接続損失が生じ得るという問題があるが、本発明の光出射装置において、前記第1発光手段と前記導光部材および光取出部とを同時に形成した場合には、上記問題がなく、光の損失(例えば、接続損失)を効果的に抑制乃至低減することができ、更に製造効率に優れる点で好ましい。
【0051】
なお、前記第1発光手段及び前記光出射手段の製造乃至形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法、蒸着法(CVD法など)、塗布法(スピンコート法など)、フォトリソグラフィー法、エッチング法、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】
2.光反射手段
本発明における光反射手段は、光反射材料の蒸着やスパッタリングにより形成してもよく、あるいは有機バインダーと光反射材料を含有する分散物の塗布により形成される塗布層でも良い。より好ましくは、本発明における光反射手段は、有機バインダーと光反射材料を含有する。
【0053】
1)蒸着またはスパッタリングにより光反射手段の形成
蒸着またはスパッタリングにより光反射手段の形成は、EL素子において知られている不透明電極の形成と同様に行うことができる。例えば、EL素子の光取り出し面ではない面は、陰極電極としてアルミニウムを用いることによって光反射層を形成することができる。
【0054】
光反射手段の好ましい例としては、金属層、及び屈折率の異なる2種以上の透明材料の周期繰返し構造層が好ましい。この場合、金属層が製造の容易さの点で好ましい。
前記金属層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ag、Al、Cr、Au、Mg、Ni、およびLiなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、反射率の高さおよび製造の容易さの点でAg、およびAlが好ましい。
【0055】
前記屈折率の異なる2種以上の透明材料の周期繰返し構造層としては、特に制限はなく、光反射層として公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、MgF,CaF,ITOなどで形成された層の周期繰返し構造などが好適に挙げられる。前記周期繰返し構造を構成する各層の厚みとしては、例えば、100nm〜1000nmなどが好ましい。
【0056】
本発明における光反射手段は、好ましくは絶縁構造もしくは絶縁層の上に設けられる。前記絶縁層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該絶縁層は、EL光に対して透明であることが望ましい。該絶縁層の材料としては、例えば、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。
【0057】
前記無機材料としては、例えば、Al、MgO、SiO、SiO、TiO、LiF、MgF,及びCaFなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、樹脂が好適に挙げられ、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、及びエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0058】
前記絶縁層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10nm〜5mmが好ましく、100nm〜1mmがより好ましい。
前記絶縁層の厚みが、10nm未満であると、絶縁性が十分でないことがあり、5mmを超えると、第1発光吸収率が大きくなり素子動作に悪影響を及ぼすことがある。
【0059】
2)塗布法による光反射手段の形成
本発明における光反射手段の別の形成方法は、有機バインダーと光反射材料を含有する分散物の塗布による方法である。好ましくは、有機バインダーに対する光反射材料の質量比は、10%以上90%以下であり、より好ましくは、20%以上80%以下である。
【0060】
<有機バインダー>
本発明に用いられる有機バインダーは、皮膜形成性ポリマーであって、光反射材料を該皮膜中に分散して保持する。
本発明に用いられる有機バインダーは、好ましくは、水または有機溶剤に可溶性である。より好ましくは、有機バインダーを有機溶剤に溶解し、その中に無機導電性微粒子を分散した分散液を塗布もしくは印刷することにより光散乱層が形成される。
【0061】
本発明に用いることのできる有機バインダーとしては下記のポリマーが挙げられる。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、紫外線効果樹脂など。
【0062】
<光反射材料>
本発明に用いられる光反射材料は、好ましくは、白色で、高屈折率の有機もしくは無機材料である。
有機材料では、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂、中空粒子が好ましく用いられる。無機材料では、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、あるいは硫酸ストロンチウなどの金属化合物、あるいは、ガラス、粘度、リトポン、ゼオライト、シリカ、あるいは雲母などの天然無機粒子が用いられる。より好ましくは、屈折率が高いことから酸化チタンである。
【0063】
本発明に用いられる光反射材料の平均粒子サイズは、好ましくは、0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.05μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.1μm以上2.0μm以下である。
好ましくは、有機バインダーに対する光反射材料の質量比は、10%以上90%以下であり、より好ましくは、20%以上80%以下である。
本発明における層形成手段としては、好ましくは、有機バインダーと光反射材料を溶媒に溶解または分散して塗布または印刷する方法が用いられる。該手段によれば、有機バインダーの選択の自由度が広がり、高い生産性で光散乱層を作製することができる。
【0064】
塗布または印刷に用いられる分散物は、公知の手段により作製することができる。
媒体としては有機バインダーを溶解し得る溶媒を選択するのが好ましい。有機バインダーが水溶性の場合は、有機バインダーを水に溶解し、その中に無機導電性微粒子が分散される。有機バインダーが有機溶媒に可溶性の場合は、有機バインダーを有機溶媒に溶解し、その中に無機導電性微粒子が分散される。有機溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、フッ素アルコール類など)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ケトン類(アセトン、MEK、シクロヘキサノン等)、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど)が用いられる。
【0065】
微粒子分散手段としては、ボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波分散方法が挙げられる。分散媒体としてガラス、セラミックス、鉄、ジルコン、ジルコニア等のビーズが使われる。
また、分散に際して、界面活性剤を用いてもよい。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
【0066】
3)光反射手段の配置、構造
前記光反射手段の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0067】
前記光反射手段の形状乃至構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リング状壁構造物、箱状構造物などが好適に挙げられる。
【0068】
3.光出射装置の構造
本発明における光出射装置の構造の具体例を図面を用いて説明するが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。また、本発明に直接関連した発光手段を配置したクラッド、および光反射手段を有する部分を具体的に説明し、発光素子の駆動部、配線、および光導波路についての説明は簡略もしくは省略しているが、これらの部分については従来当業界で知られている構造をそのまま利用ないし応用して本発明に用いることができる。
【0069】
1)ファイバー型構成
第1発光手段が光ファイバーのクラッドの一端を円筒状に取り囲んだ構造である。図1aはその概略外観図であり、図1bは概略横断面図であり、図1cは概略端面図である。線状の光ファイバーの一端に第2発光材料2をコアに内包し、該光ファイバーのクラッドの外周を円筒状に内側電極3、発光層4、外側電極5、および光反射層6を積層して被覆している。なお、発光層4は発光のための機能層全体を指すものであって、単一の発光層を意味するものではなく、電子もしくは正孔注入層、および電子もしくは正孔輸送層などを含む複数の層から構成される。また、光反射層6は、金属材料である場合、間に絶縁層(図示していない)を介して外側電極5と電気的に絶縁された状態で設けられる。
【0070】
図には示していないが、端面からの光の漏れを防ぎ、導波光の取りだし効率を高めるために、端面を光反射手段で被覆することができる。
【0071】
内側電極3と外側電極5に電圧を印加すると発光層が発光して放射された第1発光がクラッド層を透してコア領域に達し、第2発光材料により吸収され第2発光が放射され導波される。第1発光は光反射層6により反射されるため、外部に漏れることなく、発生した第1発光は効率よく第2発光に利用される。
【0072】
2)導波路型構成
導波路型構成においては、第2発光材料をコアに有する領域の導波路のクラッドを第1発光手段が箱型に被覆する。概略図を図2a〜図2cに示した。図2aはその概略外観図であり、図2bは概略横断面図であり、図2cは概略端面図である。
第2発光材料12、内側電極13、発光層14、および外側電極15を配し、箱型の外面は光反射手段16により被覆されている。ファイバー型構成と同様に、第1発光手段で発生した光は外部に漏れることなく効率よく第2発光材料により第2発光に変換され、導波光となる。
【0073】
また、本発明における光出射装置は、光導波路の一部にコアまたはクラッド、あるいはその両方に周期的に屈折率が変化するグレーテイング構造を設け、共振効果を得ることも好ましい態様である。図3は、このグレーテイング構造の一例を示すものであり、クラッド11の第2発光手段を有する部分にグレーテイング構造11gを設け、その形状と間隔を制御して有効な共振を得られる。
【0074】
3)多段発光の構成
本発明における光出射装置は、同一の線状導波路に複数個配することができる。例えば図4は、赤色の第2発光材料を含むコア領域、緑色第2発光材料を含むコア領域、および青色の第2発光材料を含むコア領域を配し、各コア領域より出射した光を混合し白色の導波光を取り出すことが出来る構成である。
【0075】
4)並列発光の構成
本発明における光出射装置は、並列して配しても良い。例えば、図5に示すように、赤色の第2発光するクラッド領域を有する導波路、緑色第2発光のクラッド領域を有する導波路、および青色の第2発光のクラッド領域を有する導波路を並列して配し、多色ディスプレーや光通信等に利用することができる。
【0076】
5)多面被覆ファイバー型構成
ファイバー状クラッド材の一端を2面もしくはそれ以上の平面状第1発光手段によって取り囲んだ構造である。図6は6枚の第1発光手段により被覆し6角柱の構成とした例である。図6aはその概略外観図であり、図6bは概略横断面図であり、図6cは概略端面図である。
第1発光手段の外面を光反射層6で被覆している。
【0077】
6)光信号電送の構成
本発明における光出射装置は、コヒーレントな導波光の特性を利用して光信号電送の手段として応用することが出来る。図9は本発明における光出射装置を利用した光信号電送の概念図である。電気信号を光出射装置に送り、該電気信号を光信号に変換し、光ファイバーケーブルを通して光信号は受信装置に送信され、受信された光信号は受光素子によって再び電気信号に変換される。
【0078】
4.第1発光手段
次に、本発明における第1発光について詳細に説明する。
本発明における第1発光として、有機電界発光素子(以後の説明に於いて、有機EL素子と記述する場合がある)および無機電界発光素子(以後の説明に於いて、無機EL素子と記述する場合がある)が挙げられる。
【0079】
4−1.有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極(陽極と陰極)間に少なくとも発光層を含む有機化合物層を有し、更に、好ましくは、陽極と該発光層との間に正孔注入層を、また陰極と該発光層との間に電子輸送層を有する。
【0080】
1)層構成
<電極>
本発明の有機電界発光素子の一対の電極は、少なくとも一方は透明電極であり、もう一方は背面電極となる。背面電極は透明であっても、非透明であっても良い。
<有機化合物層の構成>
前記有機化合物層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機化合物層の形状、大きさ、および厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0081】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
【0082】
以下に各層について詳細に説明する。
2)正孔輸送層
本発明に用いられる正孔輸送層は正孔輸送材を含む。前記正孔輸送材としては正孔を輸送する機能、もしくは陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば特に制限されることはなく用いることが出来る。本発明に用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、および高分子正孔輸送材のいずれも用いることができる。
本発明に用いられる正孔輸送材の具体例として、例えば以下の材料を挙げることができる。
【0083】
カルバゾ−ル誘導体、トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、イミダゾ−ル誘導体、ポリアリ−ルアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリ−ルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、およびポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0084】
正孔輸送層の厚みとしては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。前記厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると該発光素子が短絡することがあるので好ましくない。
【0085】
3)正孔注入層
本発明おいては、正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層を設けることができる。
正孔注入層とは、陽極から正孔輸送層に正孔を注入しやすくする層であり、具体的には前記正孔輸送材の中でイオン化ポテンシャルの小さな材料が好適用いられる。例えばフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、およびスターバースト型トリアリールアミン化合物等を挙げることができ、好適に用いることができる。
正孔注入層の膜厚は、1nm〜30nmが好ましい。
【0086】
4)発光層
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材料を含み、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材料としては特に限定されることはなく、蛍光発光材料または燐光発光材料のいずれも用いることができる。発光効率の点から燐光発光材料が好ましい。
【0087】
蛍光発光材料としては、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、およびポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0088】
燐光発光材料としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0089】
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁〜232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」、71頁〜77頁、135頁〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を発光材料として発光層に用いることは、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0090】
上記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、および2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。また、上記オルトメタル化金属錯体は、上記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0091】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg Chem.,1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁、同1994年,33号,545頁、Inorg.Chim.Acta,1991年,181号,245頁、J.Organomet.Chem.,1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
上記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
【0092】
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
燐光発光材料は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、蛍光発光材料と燐光発光材料を同時に用いてもよい。
【0093】
ホスト材とは、その励起状態から、蛍光発光材料または燐光発光材料へエネルギー移動を起こし、その結果、蛍光発光材料または燐光発光材料を発光させる機能を有する材料のことである。
【0094】
ホスト材としては、励起子エネルギーを発光材料にエネルギー移動させることのできる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、およびポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホスト材の発光層における含有量としては0質量%〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0質量%〜99.0質量%である。
【0095】
5)ブロック層
本発明においては、発光層と電子輸送層との間にブロック層を設けることができる。ブロック層とは発光層で生成した励起子の拡散抑制する層であり、また正孔が陰極側に突き抜けることを抑制する層である。
【0096】
ブロック層に用いられる材料は、電子輸送層より電子を受け取り、発光層にわたす事のできる材料で有れば特に限定されることはなく、一般的な電子輸送材を用いることができる。例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、およびポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0097】
6)電子輸送層
本発明においては電子輸送材を含む電子輸送層を設けることができる。
電子輸送材としては電子を輸送する機能、もしくは陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、前記ブロック層の説明時に挙げた電子輸送材を好適に用いることができる。
前記電子輸送層の厚みとしては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。
【0098】
前記厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると該発光素子が短絡することがあり好ましくない。
【0099】
7)電子注入層
本発明おいては、電子輸送層と陰極の間に電子注入層を設けることができる。
電子注入層とは、陰極から電子輸送層に電子を注入しやすくする層であり、具体的にはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム塩、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属塩、酸化リチウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、または酸化マグネシウム等の絶縁性金属酸化物等を好適に用いることができる。
電子注入層の膜厚は0.1nm〜5nmが好ましい。
【0100】
8)有機化合物層の形成方法
前記有機化合物層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコ−ト法、ディップコ−ト法、キャスト法、ダイコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、バ−コ−ト法、またはグラビアコ−ト法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
中でも発光効率、耐久性の点から乾式法が好ましい。
【0101】
次に、本発明の有機電界発光素子に用いられる基板と電極について説明する。
9)基板
本発明に用いられる基板の材料としては、第一の基板および第二の基板ともに水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、前記有機化合物層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましい。具体的例として、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリアリレ−ト、アリルジグリコ−ルカ−ボネ−ト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。
前記有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、低吸湿性等に優れていることが好ましい。これらの中でも、前記透明電極の材料が該透明電極の材料として好適に使用される酸化錫インジウム(ITO)である場合には、該酸化錫インジウム(ITO)との格子定数の差が小さい材料が好ましい。これらの材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0102】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0103】
基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0104】
基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基板には、さらに必要に応じて、ハ−ドコ−ト層、およびアンダ−コ−ト層などを設けてもよい。
【0105】
10)陽極
本発明に用いられる陽極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0106】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0107】
陽極は例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレ−ティング法等に従って行うことができる。また陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0108】
陽極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該陽極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0109】
なお、前記陽極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0110】
陽極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
【0111】
陽極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明においては、生じた発光を導光部材となる透明基板に効率良く導光させるために、透明基板にあらかじめ設けられる電極は光透過性電極であることが好ましい。特に好ましい陽極電極はITOである。
【0112】
陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シ−エムシ−刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
【0113】
11)陰極
本発明に用いることの出来る陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
【0114】
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、および電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、またはCs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、およびイッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0115】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0116】
陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されていて、これらを本発明に適用することができる。
【0117】
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0118】
陰極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0119】
陰極の有機電界発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該陰極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、該誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレ−ティング法等により形成することができる。
【0120】
陰極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、前記陰極の材料を1nm〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0121】
4−2.無機電界発光素子
本発明における無機電界発光素子としては、従来公知のものを用いることができる。
例えば、本発明に用いられる無機電界発光素子は、電極間に配置した高誘電率を有する酸化物からなる第1及び第2絶縁膜、それら絶縁膜の間に狭持された硫化物からなる発光層等の機能層を含む。絶縁層としては、五酸化タンタル(Ta)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム(Y)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、等の材料を用いることができる。発光層としては、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化ストロンチウム(SrS)、バリウムチオアルミネート(BaAl)、等の材料を発光層の母体材料に用い、発光中心としてマンガン(Mn)、等の遷移金属元素やユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、テルビウム(Tb)、等の希土類元素を微量含有したものを用いることができる。
【0122】
5.その他の素子構成部材
【0123】
(封止接着剤)
本発明に用いられる封止接着剤は、端部よりの水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。
<素材>
前記封止接着剤の材料としては、前記樹脂封止層で用いる材料と同じものを用いることができる。中でも、水分防止の点からエポキシ系の接着剤が好ましく、中でも光硬化型接着剤あるいは熱硬化型接着剤が好ましい。
【0124】
また、上記材料にフィラーを添加することも好ましい。
封止剤に添加されているフィラーとしては、SiO、SiO(酸化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)またはSiN(窒化ケイ素)等の無機材料が好ましい。フィラーの添加により、封止剤の粘度が上昇し、加工適正が向上し、および耐湿性が向上する。
【0125】
<封止接着剤の処方>
・ポリマー組成、濃度、
封止接着剤としては特に限定されることはなく、前記のものを用いることができる。例えば光硬化型エポキシ系接着剤としては長瀬ケムテック(株)製のXNR5516を挙げることができる。そこに直接前記乾燥剤を添加し、分散せしめれば良い。
・厚み
封止接着剤の塗布厚みは1μm以上1mm以下であることが好ましい。これよりも薄いと封止接着剤を均一に塗れなくなり好ましくない。またこれよりも厚いと、水分が侵入する道筋が広くなり好ましくない。
<封止方法>
本発明においては、封止接着剤をディスペンサー等により任意量塗布し、塗布後第2基板を重ねて、硬化させることにより機能素子を得ることができる。
【0126】
6.駆動
【0127】
本発明の発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
【0128】
本発明の発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0129】
(本発明の用途)
本発明の光出射装置は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、医療器具用光源、または光通信用光源等に好適に利用できる。
【実施例】
【0130】
以下、実施例により本発明の光出射装置を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0131】
実施例1
1.ファイバー型光出射装置の作製
下記の手順により図1に概略図を示したファイバー型光出射装置を作製した。
【0132】
1)第1発光手段の形成
光導波路部のクラッドとなる内径4mm、外径6mm、長さ200mmの石英管の外面に順に下記の有機EL層を設けた。
<円筒状に各層を蒸着する方法の説明>
真空蒸着室内で、上記石英管の一方の端から長さ150mmに渡り、軸を中心として回転させながら通常の手法により材料を蒸着することによって、以下の各層を設けた。
<透明陽極106>
ITOを膜厚150nmに蒸着した。
<正孔注入層、正孔輸送層105>
陽極の上に2−TNATAを膜厚100nm、α−NPDを膜厚20nmに蒸着した。
【0133】
<発光層104>
発光層の上に2モル%の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンを含むCBPを30nmに蒸着した。
<電子輸送層、電子注入層103>
正孔輸送層の上にAlq3を厚み50nm、フッ化リチウムを厚み0.5nmに蒸着した。
<陰極102兼光反射手段>
金属アルミニウムを厚み100nmに蒸着した。
【0134】
1)光導波路部の作製
上記で外面に第1発光手段を形成した石英管の一端を、アルミニウム蒸着した石英板を用いて、アルミニウム蒸着面を内面にして封止した。管内に第2発光材料としてルブレンを0.1質量%溶解したクロロホルム溶液を注入した後、管のもう一端を透明石英板で封止した。
【0135】
【化2】

【0136】
2.発光試験
【0137】
有機EL素子に8Vの電圧を印加すると、EL素子から緑色のEL光が発せられ、そのEL光を石英管中のクロロホルム溶液中のルブレンが吸収して黄色蛍光を発し、その黄色発光が石英管中のクロロホルム溶液がコア、石英管がクラッドである光ファイバ中を導波し、結果として光ファイバの透明石英板端面よりルブレンの黄色発光が高輝度で得られた。
【0138】
実施例に用いた化合物の構造を下記に示す。
【0139】
【化3】

【0140】
実施例2(6角柱型の実施例)
1.6角柱型光出射装置の作製
実施例1と同様にして、一端をアルミニウム蒸着した石英板を用いて、アルミニウム蒸着面を内面にして封止した石英管(内径4mm、外径6mm、長さ200mm)に、第2発光材料としてルブレンを0.1質量%溶解したクロロホルム溶液を注入した後、管のもう一端を透明石英板で封止した。ただし、本実施例では石英管の外周にEL素子は作製しない。
【0141】
<有機EL素子平板の作製>
厚み0.5mm、幅5mm、長さ150mmのガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロ派パノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明基板上に真空蒸着法により以下の層を蒸着した。
【0142】
陽極:ガラス基板端部1mmをマスクで覆い、その上にITOを膜厚150nmに蒸着した。
正孔注入層:陽極蒸着時のマスクを外し、陽極の上全面に2−TNATAを膜厚100nmに蒸着した。
正孔輸送層:α−NPDを膜厚20nmに蒸着した。
発光層:正孔輸送層の上に、2質量%の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンを含むCBPを30nmに蒸着した。
電子輸送層:発光層の上にAlq3を厚み50nmに蒸着した。
電子注入層:フッ化リチウムを厚み0.5nmに蒸着した。
陰極兼反射層:金属アルミニウムを厚み100nmに蒸着した。
保護層:フッ化リチウムを厚み100nmに蒸着した。
【0143】
<有機EL素子平板組立体の構成>
図6に示す様に、上記有機EL素子平板6枚を組み立てて6角柱を形成した。
【0144】
2.発光試験
【0145】
有機EL素子に8Vの電圧を印加すると、実施例1と同様にEL素子から緑色のEL光が発せられ、そのEL光を石英管中のクロロホルム溶液中のルブレンが吸収して黄色蛍光を発し、その黄色発光が石英管中のクロロホルム溶液がコア、石英管がクラッドである光ファイバ中を導波し、結果として光ファイバの透明石英板端面よりルブレンの黄色発光が高輝度で得られた。
【0146】
実施例3(導波路型の実施例)
1.導波路型光出射装置の作製
コア部分に発光材料を含む光導波路が2枚の有機EL素子平板で挟まれ、側面が光反射材で被覆された構造を作製した。作製した構造の図2a〜cに示す。
【0147】
(1)片面にITO薄膜(膜厚150nm)が製膜された厚さ0.5mmの石英板を第一および第二の基板とし、以下のようにその間に導波路構造を作製した。
前記第一基板のITOの反対面上に、フッ素化ポリイミド(日立化成OPI−N3405、屈折率1.536)にルブレンを0.1%質量部添加、溶解した材料をスピンコートにより製膜し、真空オーブン中での加熱処理(300℃3時間)により厚さ5μmの薄膜を得た。この薄膜を、通常のレジスト工程と酸素プラズマエッチング処理により直線状に加工することにより、前記第一基板を下部クラッドとするコア断面が幅10μm、高さ5μmの矩形導波路を得た。この上にPMMA(屈折率1.49)をスピンコートにより厚さ10μmに形成し、上部のクラッドとした。この第一基板上の積層体をオーブン中で180℃に加熱しながら、PMMA膜上に第二の基板をITOの反対面を接して貼り合わせた。
【0148】
(2)冷却後、通常の切断、研磨工程により、第一、第二の基板に挟まれた長さ方向に直線導波路が形成された箱型(幅5mm、長さ30mm、厚さ1.0mm)の導波路構造体を得た。
【0149】
<外面の光反射材による被覆>
箱形箱型構造体外面に、基板のITO面および導波路端面に保護テープを貼った状態で、ディップコートにより下記の二酸化チタン微粒子の水分散物を約厚み100μmに塗布した。
・二酸化チタン微粒子(平均粒子サイズ0.2μm) 70質量%
・バインダー(ポリビニルアルコール) 30質量%
ディップコート後、60℃1時間予備乾燥し、ITO面上の保護テープを剥がした後、オーブン中で150℃3h乾燥し、側面が光反射材で被覆された箱型構造体を得た。
【0150】
<第一発光体の作製>
上記で作製した箱型構造体の上下のITO上に、以下の手順で有機EL素子を作製した。
表面処理:ITO表面を2−プロパノールで洗浄後、30分間UV−オゾン処理を行った。
正孔注入層:ITOの上に2−TNATAを膜厚100nmに蒸着した。
正孔輸送層:α−NPDを膜厚20nmに蒸着した。
発光層:正孔輸送層の上に、2質量%の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンを含むCBPを30nmに蒸着した。
電子輸送層:発光層の上にAlq3を厚み50nmに蒸着した。
電子注入層:フッ化リチウムを厚み0.5nmに蒸着した。
陰極兼反射層:金属アルミニウムを厚み100nmに蒸着した。
保護層:フッ化リチウムを厚み100nmに蒸着した。
【0151】
2.発光試験
有機EL素子に8Vの電圧を印加すると、EL素子から緑色のEL光が発せられ、そのEL光を導波路コア中のルブレンが吸収して黄色蛍光を発し、その黄色発光が光導波路中を導波し、結果として光導波路の端面よりルブレンの黄色発光が高輝度で得られた。
【0152】
実施例4
<グレーテイング構造の実施例>
1.グレーティング構造を含む導波路型光出射装置の作製
コア部分に発光材料を含む光導波路が2枚の有機EL素子平板で挟まれ、側面が光反射材で被覆された構造を作製した。作製した構造の図2a〜cに示す。
(1)片面にITO薄膜(膜厚150nm)が製膜された厚さ0.5mmの石英板を第一および第二の基板とし、以下のようにその間に導波路構造を作製した。
まず、以下の方法で前記第一の基板のITOの反対面の導波路部分にグレーティング構造を作製した。基板のITOの反対面にレジストを厚さ500nm塗布し、He−Cdレーザからのレーザ光(325nm)をハーフミラーにより2本のビームに分割後、上記レジスト面上で合波させ、レジストをレーザ光の干渉パターン状に露光した。レジスト現像後、CF4反応性イオンエッチングにより石英をエッチングした。溶剤によりレジストを除去し、石英基板表面にピッチ350nm,深さ200nmのグレーティング構造を得た。
【0153】
上記グレーティング構造を作製した面上に、フッ素化ポリイミド(日立化成OPI−N3405、屈折率1.536)にルブレンを0.1%質量部添加、溶解した材料をスピンコートにより製膜し、真空オーブン中での加熱処理(300℃3時間)により厚さ5μmの薄膜を得た。この薄膜を、通常のレジスト工程と酸素プラズマエッチング処理によりグレーティング構造にそって直線状に加工することにより、前記第一基板を下部クラッドとするコア断面が幅10μm、高さ5μmの矩形導波路を得た。この上にPMMA(屈折率1.49)をスピンコートにより厚さ10μmに形成し、上部のクラッドとした。この第一基板上の積層体をオーブン中で180℃に加熱しながら、PMMA膜上に第二の基板をITOの反対面を接して貼り合わせた。
【0154】
(2)冷却後、通常の切断、研磨工程により、第一、第二の基板に挟まれた長さ方向に直線導波路が形成された箱型(幅5mm、長さ30mm、厚さ1.0mm)の導波路構造体を得た。
【0155】
<外面の光反射材による被覆>
箱形箱型構造体外面に、基板のITO面および導波路端面に保護テープを貼った状態で、ディップコートにより下記の二酸化チタン微粒子の水分散物を約厚み100μmに塗布した。
・二酸化チタン微粒子(平均粒子サイズ0.2μm) 70質量%
・バインダー(ポリビニルアルコール) 30質量%
ディップコート後、60℃1時間予備乾燥し、ITO面上の保護テープを剥がした後、オーブン中で150℃3h乾燥し、側面が光反射材で被覆された箱型構造体を得た。
【0156】
<第一発光体の作製>
上記で作製した箱型構造体の上下のITO上に、以下の手順で有機EL素子を作製した。
表面処理:ITO表面を2−プロパノールで洗浄後、30分間UV−オゾン処理を行った。
正孔注入層:ITOの上に2−TNATAを膜厚100nmに蒸着した。
正孔輸送層:α−NPDを膜厚20nmに蒸着した。
発光層:正孔輸送層の上に、2質量%の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンを含むCBPを30nmに蒸着した。
電子輸送層:発光層の上にAlq3を厚み50nmに蒸着した。
電子注入層:フッ化リチウムを厚み0.5nmに蒸着した。
陰極兼反射層:金属アルミニウムを厚み100nmに蒸着した。
保護層:フッ化リチウムを厚み100nmに蒸着した。
【0157】
2.発光試験
【0158】
有機EL素子に電圧8Vを印加すると、EL素子から緑色のEL光が発せられ、そのEL光を導波路コア中のルブレンが吸収して黄色蛍光を発し、その黄色発光が光導波路中を導波し、結果として光導波路の端面よりルブレンの黄色発光が高輝度で得られた。
【0159】
実施例5 <多色の実施例>
1.導波路型光出射装置の作製
コア部分に赤、緑、青3種の発光材料を含む光導波路が2枚の有機EL素子平板で挟まれ、側面が光反射材で被覆された構造を作製した。作製した構造の概念図4に示す。
(1)片面にITO薄膜(膜厚150nm)が製膜された厚さ0.5mmの石英板を第一および第二の基板とし、以下のようにその間に導波路構造を作製した。
前記第一基板のITOの反対面上に、フッ素化ポリイミド(日立化成OPI−N3405、屈折率1.536)に赤発光材料として4−dicyanomethylene−6−cp−julolidinostyryl−2−tert−butyl−4H−pyran(DCJTB)を0.1%質量部添加、溶解した材料をスピンコートにより製膜し、真空オーブン中での加熱処理(300℃3時間)により厚さ5μmの薄膜を得た。
【0160】
【化4】

【0161】
この薄膜を、通常のレジスト工程と酸素プラズマエッチング処理により直線状に加工することにより、前記第一基板を下部クラッドとするコア断面が幅10μm、高さ5μm、長さ10mmの矩形導波路を得た。
【0162】
続いて、上記矩形導波路を作製した面に、上記DCJTBを緑発光材料の1,3,6,8−テトラキス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ピレンに変えた以外は上記と同様の方法で、上記の矩形導波路の延長上にコア断面が幅10μm、高さ5μm、長さ10mmの矩形導波路を得た。
【0163】
続いて、上記矩形導波路を作製した面に、上記DCJTBを青発光材料の1,3,6,8−テトラキス(4−ビフェニリル)ピレンに変えた以外は上記と同様の方法で、上記の2本の矩形導波路の延長上にコア断面が幅10μm、高さ5μm、長さ10mmの矩形導波路を得た。
【0164】
【化5】

【0165】
続いて、上記矩形導波路を作製した面に、フッ素化ポリイミド(日立化成OPI−N3405、屈折率1.536)をスピンコートにより製膜し、真空オーブン中での加熱処理(300℃3時間)により厚さ5μmの薄膜を得た。この薄膜を、通常のレジスト工程と酸素プラズマエッチング処理により直線状に加工することにより、上記で作製した3本の色素含有矩形導波路間を接続するコア断面が幅10μm、高さ5μm、長さ10mmの矩形導波路を得た。
【0166】
この上にPMMA(屈折率1.49)をスピンコートにより厚さ10μmに形成し、上部のクラッドとした。この第一基板上の積層体をオーブン中で180℃に加熱しながら、PMMA膜上に第二の基板をITOの反対面を接して貼り合わせた。
(2)冷却後、通常の切断、研磨工程により、第一、第二の基板に挟まれた長さ方向に直線導波路が形成された箱型(幅5mm、長さ50mm、厚さ1.0mm)の導波路構造体を得た。
【0167】
<外面の光反射材による被覆>
箱形箱型構造体外面に、基板のITO面および導波路端面に保護テープを貼った状態で、ディップコートにより下記の二酸化チタン微粒子の水分散物を約厚み100μmに塗布した。
・二酸化チタン微粒子(平均粒子サイズ0.2μm) 70質量%
・バインダー(ポリビニルアルコール) 30質量%
ディップコート後、60℃1時間予備乾燥し、ITO面上の保護テープを剥がした後、オーブン中で150℃3h乾燥し、側面が光反射材で被覆された箱型構造体を得た。
【0168】
<第一発光体の作製>
上記で作製した箱型構造体の上下のITO上に、以下の手順で有機EL素子を作製した。
表面処理:ITO表面を2−プロパノールで洗浄後、30分間UV−オゾン処理を行った。
正孔注入層:ITOの上に2−TNATAを膜厚100nmに蒸着した。
正孔輸送層:α−NPDを膜厚20nmに蒸着した。
発光層:正孔輸送層の上に、2質量%の1,3,6,8−テトラフェニルピレンを含むCBPを30nmに蒸着した。
電子輸送層:発光層の上にAlq3を厚み50nmに蒸着した。
電子注入層:フッ化リチウムを厚み0.5nmに蒸着した。
陰極兼反射層:金属アルミニウムを厚み100nmに蒸着した。このとき、前記赤緑青3種の色素を含有させた導波路を囲む部分以外にはマスクを施し、色素を含有させた導波路の周囲のみに陰極兼反射層を製膜した。
保護層:フッ化リチウムを厚み100nmに蒸着した。
【0169】
【化6】

【0170】
2.発光試験
赤、青、緑の発光材料を添加した導波路それぞれの周囲の有機EL素子に、個別に電圧8Vを印加すると、EL素子から発せられた青紫色のEL光を吸収して、添加発光材料の発光色に応じて赤、青、緑の発光が導波路中で発生し、光導波路の端面からそれぞれの色の発光が高輝度で得られた。
赤、青、緑の発光材料を添加した導波路それぞれの周囲の有機EL素子に、同時に電圧8Vを印加すると、EL素子から発せられた青紫色のEL光を吸収して、添加発光材料の発光色に応じて赤、青、緑の発光が導波路中で発生し、光導波路の端面から赤、緑、青発光が混合した白色発光が高輝度で得られた。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1は、ファイバー型光出射装置の概略説明図である。図1aは概念図であり、図1bは横断面の概略構成図であり、図1cは端面の概略構成図である。
【図2】図2は、導波路型光出射装置の概略説明図である。図2aは概念図であり、図2bは横断面の概略構成図であり、図2cは端面の概略構成図である。
【図3】図3は、グレーティング構造を含む導波路型光出射装置の横断面の概略説明図である。
【図4】図4は、多段型光出射装置の概略説明図である。
【図5】図5は、並列型光出射装置の概略説明図である。
【図6】図6は、6角柱型光出射装置の概略説明図である。図6aは概念図であり、図6bは横断面の概略構成図であり、図6cは端面の概略構成図である。
【図7】図7は、本発明の光出射装置に用いられる有機EL素子の層構成の概略図である。
【図8】図8は、従来における光導波路型の有機ELレーザー装置の一例を説明するための概略図である。
【図9】図9は本発明における光出射装置を利用した光信号電送の概念図である。
【符号の説明】
【0172】
1 クラッド部
2 第2発光材料を有するコア部
3 内側電極
4 EL発光層
5 外側電極
6 光反射手段
11 クラッド部
12 第2発光材料を有するコア部
13 内側電極
14 EL発光層
15 外側電極
16 光反射手段
100 光反射層
101 透明絶縁層
102 陰極
103 電子注入・輸送層
104 発光層
105 正孔注入・輸送層
106 透明陽極
107 透明絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光部と光導波路部からなる光出射装置であって、
1)前記第1発光部は少なくとも一対の電極間に電界発光層を有し、該電極の少なくとも一方が透明で光取り出し面を形成し、かつ、
2)前記光導波路部はコアとその周囲を被覆するクラッドを有し、該コアの一部領域に前記第1発光部から放射された第1発光を吸収して第2発光する第2発光材料を有し、かつ、前記第1発光部は前記光取り出し面を前記クラッドに面していて、
3)前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の側面を少なくとも2平面で被覆するか、又は、前記第2発光材料を有するコア領域を含む光導波路の外周を取り囲む様に配置され、かつ、
4)前記第1発光部と前記光導波路部の組み合わせ領域の外周を被覆する光反射手段を有することを特徴とする光出射装置。
【請求項2】
前記光導波路部の一部に光共振器構造を有することを特徴とする請求項1に記載の光出射装置。
【請求項3】
前記光共振器構造がコアまたはクラッドの少なくとも一方の屈折率が周期的に変化するグレーテイング構造であることを特徴とする請求項2に記載の光出射装置。
【請求項4】
前記第2発光材料を有するコア領域を同一の光導波路部に複数有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光出射装置。
【請求項5】
前記複数のコア領域の第2発光材料の発光波長が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載の光出射装置。
【請求項6】
前記光反射手段が白色光反射材料の分散物の塗布層であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光出射装置。
【請求項7】
前記電界発光層が有機電界発光層であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光出射装置。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−212361(P2009−212361A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54892(P2008−54892)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】