説明

光刺激を与えるための装置

人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与える装置を提供する。一実施形態において、装置は、450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する発光ダイオード(16,18)を2対(14)と、着用者の顔に支持されるように適合されたフレーム(1)とを含む。フレームは、2対の発光ダイオードを支持するように配置され、1対が、着用者の各眼の表面付近に支持される。各対の発光ダイオードは、それぞれの眼の網膜の異なる領域を照射する光出力を投射し、また、これらの発光ダイオードの間に目視ゾーン(21)を設けるように間隔を有して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入眠障害及び早朝覚醒による不眠症、ジェットラグ、交代制勤務の疲労、冬期うつ病又は季節性情動障害(SAD)を含むサーカディアンリズム障害、並びに、人間のサーカディアンリズム(24時間周期の体内時計)のリタイミングを必要とする他の状態の治療のために、比較的強い可視光の刺激を与えることに関する。
【背景技術】
【0002】
身体のサーカディアンリズムのタイミングは、我々が睡眠及び覚醒するのに最適な時間を非常に強く決定する。この明るい光が体内時計をリセットする能力の根底に、網膜から脳への解剖学的通路、並びに、ホルモン及び生物学的メカニズムがあることがよく知られている。明るさへの露出が、人間の生理学的脳機能に重大で直接的な影響を与え得ることが、1980年に最初に示された。それ以降、24時間中の適切な時間に用いられる明るい光刺激が身体の内因性サーカディアンリズムのタイミングを変えることが示されている。正常に同調している個体(例えば、午後11時〜午前7時まで睡眠する人)においては、夕方に(ほぼ午前4時までに)与えられる刺激がサーカディアンリズムを遅らせ、一方、午前5時から午前9時の間の朝に刺激を与えると、サーカディアンリズムをより早い時間に位相前進させる。
【0003】
サーカディアンリズムの不適切なタイミングは、様々な睡眠/覚醒障害及び気分障害に関わる。睡眠相後退症候群及び睡眠相前進症候群は、この症状の患者の睡眠及び覚醒に、毎日数時間も不都合に影響し、この症状は、サーカディアンリズムの後退及び前進に起因する。調査によれば、入眠障害及び早朝覚醒が、それぞれ、サーカディアンリズムの後退及び前進により生じ得ることが示されている。季節性情動障害を持つ患者の多くは、位相が後退したサーカディアンリズムを有している。
【0004】
サーカディアンリズムの調節のために可視光刺激を与えるための幾つかの方法が提示されてきた。1つの方法は、高輝度蛍光灯器具を収容しているライトボックスを利用する。しかし、これらのライトボックスは大きく、家庭内の高圧電源を必要とする。ユーザは、ライトボックスの使用中にライトボックスを目視し続けなければならず、従って、ユーザの移動が制限される。
【0005】
別の方法は、米国特許第5,447,528号に開示されているような頭部装着式ライトバイザーの使用である。額に取り付けられたライトバイザーは、通常の注視方向よりかなり上にあり、用いられる多くのセッティングにおいて、体内時計のリタイミングを行うための十分な光強度で視覚体系を刺激する可能性が低い。この目的に関するこれらの方法の有効性を確認する研究はない。
【0006】
本発明は、人間の体内時計のリタイミングを行うための適切な波長を十分な強度で、便利で効率的に与えるための装置を提供しようとするものである。
【0007】
(発明の開示)
本発明は、人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置を提供する。この装置は、450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する少なくとも2つの発光ダイオードと、前記発光ダイオードの少なくとも1つを各眼の表面付近に支持して各眼の瞳孔に光を投射するために着用者の顔に装着されるように適合されたフレームと、を含む。
【0008】
フレームは、慣例的な方法で着用者の鼻により支持される眼鏡フレームであり得る。任意の適切な眼鏡フレームが、前記発光ダイオードの各々をそれぞれの眼の表面付近に支持するために用いられ得る。適切な眼鏡フレームの1つは、1対のレンズ要素を含むことができ、レンズ要素の各々が、それぞれのテンプルと鼻ブリッジ部材との間に支持される。レンズ要素は、矯正レンズであっても、矯正レンズでなくてもよい。好ましくは、眼鏡フレームは、実質的に慣用のテンプルを含む。
【0009】
好ましくは、発光ダイオードは、少なくとも2つの発光ダイオードが単一の電源(例えばバッテリ)により電力供給されるように配置される。しかし、別の配置、すなわち、少なくとも2つの発光ダイオードの各々に、又は発光ダイオードの組合せに、個別の電源を設ける配置も考えられる。いずれの場合においても、電源は、フレームに機械的に取り付けられ、或いは、フレームから離隔して配置され得る。電源は離隔して配置されても、適切な接続機構を用いて、少なくとも2つの発光ダイオードに電気接続される。
【0010】
一実施形態において、発光ダイオードは、端子を有する電気回路の一部であり、電気回路は、適切な接続機構を用いて電源が発光ダイオードに電気接続されることを可能にしている。フレーム自体が、電源を発光ダイオードに接続するために用いられる電気回路の一部を形成することが好ましい。この点に関し、フレームは、電源の正電位に接続するための第1の端子、及び、電源のより低い電位に接続するための第2の端子を含み得る。
【0011】
好ましくは、第1端子と第2端子は、フレームのそれぞれのテンプル上に配置される。従って、フレームが電気回路の一部として含まれる実施形態において、テンプル自体が導電性であり得る。
【0012】
端子は、電源に、永久結合(例えばはんだ接合)を用いて、又は、メイクブレイクタイプの電気コネクタを用いて接続され得る。有利には、導電性のテンプル上に端子を含むことが、追加の電気配線をフレーム自体に含む必要がない比較的単純な設計の整然とした装置をもたらす。
【0013】
発光ダイオードの各々は、好ましくは、1以上の支持部材を終端とし、これらの支持部材も、フレームの第1端子と第2端子の間に電気回路の一部を形成する。少なくとも2つの発光ダイオードが、発光ダイオードの各々又はグループがそれぞれの支持部材を終端とするように配置されることが好ましい。
【0014】
各支持部材は、電流路をもたらすように導電トラックがその上に配置された基板を含み得る。電流路は、電流路を終端とする発光ダイオードを含み、且つ、基板の入力端子と出力端子の間に延在する。実際、一実施形態において、基板の端子は、電気回路がフレームの第1端子とフレームの第2端子の間に、それぞれの基板及び鼻ブリッジ部材を介して延在するように、フレームに接続される。従って、この実施形態に従えば、鼻ブリッジ部材も導電性であり得る。
【0015】
一実施形態において、各基板は、それぞれのレンズ要素の面を横切って延在するようにフレームにより支持された細長いフレキシブル基板(例えばフレキシブルプリント回路カード)であり得る。こうして、フレキシブル基板の柔軟性が、好ましくは、基板がレンズ要素の面の湾曲に追従することを可能する。フレキシブル基板の各々が、それぞれのレンズ要素の背面を横切って延在することが好ましい。
【0016】
各基板は、それぞれのレンズに、レンズから着脱可能であるように取り付けられることができ、これにより、欠陥のある部品又は損傷した部品の修理又は交換を容易にする。しかし、別の実施形態において、基板は、それぞれのレンズに、基板がレンズ要素に永久的に固定されるように接着剤を用いて取り付けられ得る。
【0017】
各発光ダイオードの脚部(すなわち、アノード及びカソード)は、それぞれの基板にて終端となり、また、それぞれの発光ダイオードの発光要素を基板自体から離して配置するように形成されている。各基板がそれぞれのテンプルと鼻ブリッジ部材の間に連結されることが好ましい。この配置において、各基板は、概ね、それぞれの単眼視野の中央点より上に配置されるであろう。この点に関し、本明細書全体を通じて、用語「単眼視野」は、片方の眼が目視の前方向を注視するときにこの眼に見える空間の範囲のことであり、中央視野及び周辺視野の両方を含むと理解されるべきである。さらに、本明細書全体を通じて、用語「着用者の視野」は、着用者の各眼が目視の前方向を注視するときに着用者の両目に見える空間の範囲のことであり、中央視野及び周辺視野の両方を含むと理解されるべきである。
【0018】
一実施形態において、発光ダイオードのアノード及びカソードは、それぞれの基板から垂下するように、そしてそれにより、発光ダイオードの発光要素を、着用者のそれぞれの単眼視野の中央点と交差する水平線上又はその付近に配置するように形成されている。
【0019】
好ましくは、2つの発光ダイオードは、眼鏡フレーム上に、発光ダイオードの光出力が各眼の瞳孔に向けられるように取り付けられる。一実施形態に従えば、2つの発光ダイオードは、これらの発光ダイオード間に目視ゾーンをもたらすように間隔を有して取り付けられる。従って、本発明は、また、人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための以下の装置を提供する。この装置は、
450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する2対の発光ダイオードと、
着用者の顔に装着されるように適合され、且つ発光ダイオードの一方の対が着用者の各眼の表面付近に支持されるように2対の発光ダイオードを支持するように配置されたフレームと、
を含み、この装置において、各対の発光ダイオードは、それぞれの眼の網膜の異なる領域を照射する光出力を投射し、また、各対の発光ダイオードは、これらの発光ダイオード間に目視ゾーンをもたらすように間隔を有して配置されている。
【0020】
一実施形態において、各対のダイオードにより照射される、網膜の異なる領域は、網膜の、黄斑の外側の領域を含む。従って、一実施形態において、前記異なる領域が、黄斑を含まないように照射される。これらの異なる領域は、本明細書中、以下に「周辺網膜」と称される部位に位置する。さらに、この説明のために、用語「黄斑を含まない」は、用語「異なる領域の照射」に関して用いられる場合、黄斑が発光ダイオードのそれぞれの対の光出力により直接照射されないことを意味すると理解されるべきである。しかし、眼内散乱の結果として、発光ダイオードのそれぞれの対の光出力により黄斑が間接的に照射され得ることが理解されよう。
【0021】
網膜の、黄斑を含まない領域の照射は、黄斑自体の照射を回避するため、特に有益である。理解されるように、黄斑は、真直な前方目視(読書及び車の運転などの機能に必要)に関わる網膜の一部である。従って、黄斑を、発光ダイオードからの光出力で照射しないことが、発光ダイオードの光出力が正常な視野を妨げる程度を低減する。さらに、周辺網膜は、概日光受容を支配する光受容体の高度発現を含むため、周辺網膜の照射は、人体の体内時計のリタイミングの実行に特に有利である。
【0022】
特に、青色光受容体(クリプトクロム1(CRY1)及びクリプトクロム2(CRY2))の組が、周辺網膜の内顆粒層(INL)及び神経細胞層(GCL)に局在する。従って、一実施形態において、約470nmの波長(すなわち、光受容体が反応する波長)にてピーク強度を有する発光ダイオードが用いられる。このようにして、そしてまた、周辺網膜の異なる領域が照射されることを可能にする発光ダイオードの位置決めと組み合わされたとき、人体の体内時計のリタイミングを実行するための発光ダイオードの光出力に特に反応する光受容体を照射することができる。
【0023】
好ましくは、各発光ダイオードは、拡散ビーム状の光出力(例えば円錐ビーム)を投射し、且つ、各眼の表面付近に、各眼の表面上に照射領域をもたらすように支持される。好ましくは、照射される領域は、ディスク状の領域であり、この領域は、光出力の一部がそれぞれの眼の瞳孔を通過して周辺網膜のそれぞれの領域を照射することを可能にする。一実施形態において、ディスク状領域は、虹彩の直径と実質的に同一の直径を有する。
【0024】
発光ダイオードを目の表面付近に支持することを、ビーム状の光出力の形状寸法と組み合せることにより、周辺網膜の領域が眼の動きの全範囲にわたって照射されることを可能にする照射領域がもたらされ得る。
【0025】
一実施形態において、各発光ダイオードは、各眼の表面付近に支持され、且つ、1対の発光ダイオードの各々からの光出力が結合して、それぞれの眼の瞳孔の実質的に全領域に実質的に均一の放射照度をもたらすように配置される。実際、一実施形態において、実質的に均一な放射照度が、それぞれの瞳孔の移動範囲を許容するようにもたらされる。この点に関し、用語「移動範囲」とは、本明細書を全体を通じて瞳孔に関して用いられる場合、眼の拡張及び/又は回転の結果、瞳孔が移動し得る領域のことであると理解されるべきである。
【0026】
好ましくは、発光ダイオードの先端から眼の角膜表面までの距離は、約10mm〜15mmであり、より好ましくは、約12mmである。この実施形態に従えば、ディスク状領域は、好ましくは、15度〜20度の間に範囲が定まっている。好ましい実施形態において、発光ダイオードは、着用者の注視の順方向から鼻側視野及び側方視野の両方に約15度離れて配置される。
【0027】
一実施形態において、角膜表面における発光ダイオードの有効照度(光度計により測定)は、1000ルクス〜4000ルクスの範囲にある。より詳細には、眼の瞳孔に入射する電磁エネルギーに関して、有効強度は、好ましくは、100マイクロワット/cm〜400マイクロワット/cmである。
【0028】
好ましくは、発光ダイオードは、1対の発光ダイオードにより照射される周辺網膜のそれぞれの異なる領域が鼻側領域及び側方領域を含むように配置される。従って、一実施形態において、各対の一方の発光ダイオードが、それぞれの周辺網膜鼻側領域を照射することができ、この対の他方の発光ダイオードが、側方領域を照射することができる。
【0029】
各目視ゾーンが、発光ダイオード間を測定したとき15mm〜20mmの範囲の幅を有することが好ましい。このような配置は特に有益である。なぜならこの配置は、発光ダイオードが、周辺網膜の領域(この領域は、発光ダイオードがこの幅より離れた間隔で配置されると照射されることができない)を照射するように瞳孔を通して光を投射することを可能にし、なお且つ、発光ダイオード間に、目視に十分な目視ゾーンをもたらすからである。
【0030】
各対の発光ダイオードは、好ましくは、一方の対の発光ダイオードにより視覚的に不明瞭な外部物体が、他方の対の発光ダイオードによっては視覚的に不明瞭でないように配置される。一実施形態において、これは、発光ダイオードの対を、各対の発光ダイオード間に設けられた目視ゾーンがそれぞれ異なる幅を有するように配置することにより達成される。或いは(又はさらに)、発光ダイオードの対自体が、異なる対における発光ダイオードが対応する視野位置に配置されないように、異なる向きを有することができる。この配置もまた、一方の対の発光ダイオードにより不明瞭に見える外部物体が、他方の対の発光ダイオードによっては不明瞭にされないことを可能にする。
【0031】
一実施形態において、発光ダイオードの対は、発光ダイオードが同一線上にあるように配置される。同一線上に配置された発光ダイオードが、水平軸に沿って位置づけられることが好ましい。この水平軸は、着用者が前方向を注視する姿勢をとるとき(すなわち、着用者が「真直ぐ前方」を見ているとき)、着用者の単眼視野の水平中央線より上又はより下に位置する。
【0032】
発光ダイオードが着用者の単眼視野の水平中央線より下に位置づけられる場合、発光ダイオードは、周辺網膜のそれぞれの上方領域に光を投射するように配置され得る。従って、この実施形態において、各対の一方の発光ダイオードが周辺網膜の鼻側領域の上方を照射し、他方の発光ダイオードが周辺網膜の側方領域の上方を照射し得る。このようにして、各単眼視野の中央部の妨害が、同一線上に配置された発光ダイオードが着用者の単眼視野の水平中央線上に配置される場合と比較して、低減される。
【0033】
一実施形態において、同一線上に配置された発光ダイオードは、着用者の単眼視野の水平中央線より約15度下に位置づけられる。この配置が、着用者の網膜の効率的な照射と、着用者の単眼視野の妨害の低減との快適なバランスをもたらすことが分かっている。
【0034】
発光ダイオードが着用者の正常な単眼視野の水平中央線より上に位置づけられる場合、発光ダイオードは、周辺網膜のそれぞれの下方領域に光を投射するように配置され得る。従って、この実施形態に従えば、各対の一方の発光ダイオードが周辺網膜の鼻側領域の下方を照射し、他方の発光ダイオードが周辺網膜の側方領域の下方を照射することになる。
【0035】
好ましくは、発光ダイオードの対は、目視ゾーンの中央点間の距離が着用者の瞳孔間距離と実質的に同一であるように間隔を有して配置される。このような配置により、概して、目視ゾーンの中央点間の距離が65mm〜75mmの範囲になる。各目視ゾーンの中央点が、着用者のそれぞれの単眼視野の中央点と一致し得ることが理解されよう。しかし、発光ダイオードの一方の対、又は両方の対の中心点が、着用者の正常な単眼視野に対して水平方向にずらされることができ、その結果、対間の距離が着用者の瞳孔間距離と異なることも可能である。実際、一実施形態において、対間の距離は、着用者の瞳孔間距離よりも大きい。この場合もまた、このような配置が、一方の対の発光ダイオードにより不明瞭に見える外部物体が、他方の対の発光ダイオードによっては不明瞭にされないことを可能にする。
【0036】
本発明は、また、人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための、以下の装置を提供する。この装置は、
着用者の各眼に関連する発光要素であって、各発光要素が450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する発光要素と、
各発光要素を、各発光要素がそれぞれの眼の網膜の或る領域を照射するように配置されるように支持する支持部材と、
を含み、この装置において、それぞれの発光要素により照射されるそれぞれの網膜の領域は、黄斑を含まない。
【0037】
本発明は、また、人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための以下の装置を提供する。この装置は、
着用者の各眼に関連する発光要素であって、各発光要素が450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する発光要素と、
各発光要素を、各発光要素がそれぞれの眼の網膜の或る領域を照射するように配置されるように支持する支持部材と、
を含み、この装置において、発光要素は、着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持され、これにより、それぞれの発光要素により生じる一方の目の視野の妨害が、他方の発光要素により生じる他方の目の視野の妨害と組み合わされず、従って、着用者の視野のいずれの領域においても両眼の妨害が生じない。
【0038】
幾つかの実施形態は、9ボルト乾電池から一定の低電流(2mA〜10mA)を伝送し、40時間の使用まで一定の電流供給をもたらするための安定化された電子回路を含み得る。
【0039】
好ましくは、バッテリの寿命が近づいたとき、バッテリ容量低下警告が発光ダイオードの点滅により行われて、ユーザに、バッテリを交換しなければならないことを表示する。
【0040】
電源がオンになったとき、発光ダイオードが有効動作に必要な最大強度に到達する前に、強度の上昇が数秒間にわたってあり、これにより、ユーザの眼を光に対してゆっくりと慣れさせることが可能である。
【0041】
本発明は、また、人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与える方法を提供する。この方法は、着用者の眼の周辺網膜の異なる領域を、450nm〜530nmの範囲の波長を有する発光を用いて照射することを含む。
【0042】
本発明の装置は頭部に装着されるため、眼鏡に取り付けられた発光ダイオードが、頭部の移動に関係なく連続した光刺激を保証することが明らかであろう。さらに、発光ダイオードは、着用者の視野の中央付近及びそれよりわずかに下に配置されるため、注視状態又は眼瞼が垂れ下がった状態に関係なく、連続した光刺激を保証する。
【0043】
ここで、本発明の実施形態を、単に例として、添付図面を参照しつつ説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の第1の好ましい実施形態
図1は、第1の好ましい実施形態に従う、人間の体内時計のリタイミングを行うために光刺激を与えるための装置を示す。例示された実施形態において、装置は、テンプル(イヤーステム)2及び鼻ブリッジ3を有する、実質的に慣用の眼鏡フレーム1の形態を有する。眼鏡は、慣用の方法で患者の頭部に装着される。発光ダイオード4,5として図示されている2つの発光ダイオード要素が、眼鏡フレーム1のリム8,0のほぼ中央に配置されるように、二股ステム6,7に取り付けられている。図示されている眼鏡にはレンズが嵌め込まれている。発光ダイオード4,5は、付近にある眼の瞳孔に直接向けられ、眼の表面から約12mmの位置に配置される。発光ダイオード4,5は、高輝度発光ダイオードであり、例えば、約470nmの主波長をもたらす、キングブライト(Kingbright)社のT−1(3mm)固体(半導体)ダイオードである。
【0045】
図示のように、発光ダイオード4,5は、電源ユニット11に接続された、慣用的な配線10を通じて電力供給される。電源ユニット11は、9ボルトの乾電池から約3.5ミリアンペアの電流を供給する。これは、最長約35時間までの連続使用を可能にする。
【0046】
本発明に至るテストにおいて、「青色」発光源(470nmの波長で発光ピーク)高輝度発光ダイオードが、生体時計のタイミングに生物学的作用をもたらすことが示されている。これらのダイオードは松果体からのメラトニンの生成を抑制する作用を有する。リタイミング能力の直接試験において、青色/緑色発光ダイオード光を1回、午前0時から午前2時まで2時間にわたり適用設定にて与えると、メラトニン・サーカディアンリズムの平均相後退が51分という結果になった。白色発光ダイオードを用いて同じ手順を行うと、平均相後退は30分であった。
【0047】
本発明の第2の好ましい実施形態
図3〜図5を参照すると、本発明の第2の好ましい実施形態に従う、人間の体内時計のリタイミングを行うために光刺激を与えるための装置12が示されている。
【0048】
図3に示すように、装置12は、発光ダイオード16,18の対14を2つ、及び、フレーム20を含む。フレーム20は、発光ダイオード16,18の各対14をそれぞれの眼の表面付近にて支持してその眼の瞳孔に光を投射させるよう、着用者の顔面に装着されるように適合されている。この図に示されている発光ダイオード16,18は、図2に示した発光ダイオードと類似のスペクトルパワー密度、及び、約20度の視角を有する青色タイプ発光源デバイス(例えば、インキャノン(incanon)シリコンカーバイド発光ダイオード)である。図2に示すように、発光ダイオード16,18は、約470nmでピーク発光波長を有する。約470nmの発光波長が、位相後退、及びメラトニンリズムの前進の両方に関して、人間の体内時計のリタイミングの実行に非常に効果的であることが示されている。
【0049】
以下により詳細に記載するように、使用において、対14の発光ダイオード16,18は、着用者の眼の周辺網膜の異なる領域を照射する。
【0050】
図3に示すように、各対14の発光ダイオード16,18は、ダイオード16と18の間に目視ゾーン21をもたらすように間隔を有し、且つ、それぞれの発光ダイオードからの光出力を周辺網膜のそれぞれの領域に投射するように配置されている。理解されるように、発光ダイオード16,18の実際の配置は、着用者の眼に対する発光ダイオード16,18の位置決めに依存する。例示された実施形態において、装置が着用者に装着されるとき、発光ダイオード16,18は、着用者の目視の順方向から鼻側視野及び側方視野の両方に約15度離れて配置される。
【0051】
再び図3を参照すると、発光ダイオード16,18は、第1端子22及び第2端子24を有する電気回路の一部であり、端子は、各々、電源装置(図示せず)が発光ダイオード16,18に、適切な接続機構を用いて電気接続されることを可能にする。図3に示されているフレーム20は電気回路の一部を形成し、第1端子22及び第2端子24が、フレーム20のそれぞれのテンプル25,26上に設けられている。従って、例示された実施形態において、テンプル25,26は導電性である。
【0052】
図4に示すように、発光ダイオード16,18の各対14は、それぞれの支持部材28,30を終端とする。支持部材28,30は、また、電気回路の一部を、フレーム20の第1端子22(図3参照)と第2端子24(図3参照)の間に形成し、且つ、発光ダイオード16,18を機械的に支持する。
【0053】
例示された実施形態において、各支持部材28,30は、電流路をもたらすように導電トラック(図示せず)がその上に配置された基板を含み得る。電流路は、電流路を終端とする発光ダイオード16,18を含む。電流路は、各基板28,30の入力端子32と出力端子34の間に延在する。
【0054】
図5に示すように、各基板28,30の端子32,34が、フレーム20に、適切な取付け機構(図5では締結具として示す)を介して接続されており、従って、電気回路が、フレームの第1端子22(図3参照)とフレームの第2端子24(図3参照)との間に、それぞれの基板28,30及び導電性の鼻ブリッジ部材36を介して延在している。例示された実施形態において、各基板28,30は、それぞれのレンズ要素38に着脱可能に取り付けられて、欠陥のある部品又は損傷した部品の修理又は交換を容易にする。
【0055】
基板28,30自体に関しては、例示された実施形態において、各基板28,30は、細長いフレキシブル基板(本明細書では、フレキシブルプリント回路カードとして示す)であり、それぞれのレンズ要素38の面を横切って延在するように、フレーム20により支持されている。こうして、基板28,30の柔軟性が、基板がレンズ要素38の面の湾曲に追従することを可能する。例示された実施形態において、フレキシブル基板28,30は、各々、それぞれのレンズ要素38の背面を横切って延在する。
【0056】
図5に示すように、発光ダイオード16,18の各々の脚部(すなわち、アノード及びカソード)は、それぞれの基板28,30にて終端となり、また、それぞれの発光ダイオード16,18の発光要素を基板28,30自体から離して配置するように形成されている。
【0057】
基板28,30は、各々、それぞれのテンプル25,26と、導電性の鼻ブリッジ部材36との間に連結されている。例示された実施形態において、各基板28,30は、概ね、着用者のそれぞれの眼の正常な単眼視野の中央点より上に配置されるであろう。従って、発光ダイオード16,18の脚部は、それぞれの基板28,30から垂下し、それにより、各発光ダイオード16,18の発光要素を、それぞれの単眼視野の中央点と交差する水平線より下に配置するように形成されている。この点に関し、各発光ダイオードの発光要素の位置が調節可能であり、これにより、目視ゾーンの幅が、及び/又は、着用者の単眼視野の中央点に対する発光要素の位置が調節されることが好ましい。このような調節は、装置が着用者の眼の形状寸法に合うように構成されることを、有利に可能にする。
【0058】
発光ダイオード16,18の、着用者の眼に対する位置決めに関し、図6〜図8に示すように、各発光ダイオード16,18は、拡散光状の光出力40(図中、円錐ビームとして示す)をそれぞれの眼の瞳孔に投射するように配置される。
【0059】
図6に示すように、各発光ダイオード16,18は、対14の各発光ダイオード16,18の光出力が着用者の眼の領域44を照射するように、各眼の表面42の付近に支持されている。図5に示されている領域44はディスク状の領域44であり、領域44は、それぞれの発光ダイオード16,18の光出力の一部が、周辺網膜のそれぞれの領域を照射するように眼の瞳孔50を通過することを可能にする区域を有する。実際、各ディスク状領域44は、虹彩48の直径と実質的に同一の直径を有する。この形態において、周辺網膜の領域が、眼の動きの全範囲にわたって照射されることができる。
【0060】
この場合、発光ダイオード16,18は、各発光ダイオード16,18によりもたらされるディスク状領域44が、それぞれの眼の瞳孔50の実質的に全領域に実質的に均一の放射照度をもたらすように結合するように配置される。例示された実施形態において、各発光ダイオード16,18によりもたらされるディスク状領域44の結合が、これらのディスク状領域が重なる領域46にて生じる。有利には、領域46は、瞳孔50の実質的に全領域に実質的に均一の放射照度を、それぞれの瞳孔50の移動範囲にわたってもたらすことを可能にする。
【0061】
例示された実施形態において、図示されている発光ダイオードの対14は、発光ダイオード16,18が実質的に同一線上にあり、且つ、水平軸54(この軸自体は着用者の単眼視野の水平中央線52より下に位置する)に沿って位置するように配置されている。
【0062】
実際、図6に示すように、例示された実施形態において、同一線上に配置した発光ダイオード16,18が、着用者の正常な単眼視野の水平中央線52より約15度下に位置付けられる。この配置が、着用者の網膜の効率的な照射と、着用者の単眼視野の妨害の低減との快適な(満足のいく)バランスをもたらすことが分かっている。
【0063】
図8を参照すると、例示された実施形態において、発光ダイオード16,18は、照射されることができる周辺網膜の領域が鼻側領域56及び側方領域58を含むように配置されている。すなわち、各対の一方の発光ダイオード18が、それぞれの周辺網膜の鼻側領域56を照射することができ、他方の発光ダイオード16が、側方領域58を照射することができる。
【0064】
再び図6を参照すると、例示された実施形態において、発光ダイオード16,18は、それぞれの周辺網膜の上方領域に光を投射するように、着用者の正常な単眼視野の中央線52より下に配置される。従って、各対の一方の発光ダイオードは、周辺網膜の鼻側領域上方を照射し、他方の発光ダイオードは、周辺網膜の側方領域上方を照射する。
【0065】
発光ダイオード16と18の間に位置する目視ゾーン21は、15mm〜20mmの幅を有する。この間隔により、発光ダイオード16,18は周辺網膜の領域を照射することができ、この領域は、発光ダイオード16と18がこの間隔よりも離されると照射されることができない。この間隔は、各対の発光ダイオード16,18の間に目視ゾーン21をもたらし、目視ゾーン21は、目視障害物のない30度〜40度の中央視野をもたらす。さらに、発光ダイオード16,18の対は、各目視ゾーン21の中央点間の距離が着用者の瞳孔間距離と実質的に同じであり、従って、各目視ゾーン21の中央点は着用者の正常な単眼視野の中央点と一致するように、間隔を空けて配置される。
【0066】
発光ダイオードの一方の対、又は両方の対が、それぞれの単眼視野に対して水平方向にずらされ得ることが可能であり、この場合、対間の距離は、着用者の瞳孔間距離と異なる。実際、一実施形態において、対間の距離は、着用者の瞳孔間距離より大きい。
【0067】
図9及び図10に示すように、発光ダイオードは、着用者の視野の非相応領域(ノン・ホモローグ・エリア)に配置されるように支持され得る。これにより、発光ダイオードのそれぞれの対14により生じる一方の眼の単眼視野の目視妨害が、発光ダイオードの他方の対14により生じる他方の眼の単眼視野の目視妨害と組み合わされず、これにより、着用者の視野のいずれの領域においても両眼妨害が生じない。
【0068】
図9に示すように、発光ダイオードが着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持されている一実施形態において、発光ダイオードは、各対14の発光ダイオード16,18が、異なる幅D1,D2を有する目視ゾーン21をもたらすように配置される。このような配置は、外部物体が1対の発光ダイオードにより視覚的に不明瞭であっても、発光ダイオードの他方の対によっては視覚的に不明瞭にならないことを可能にすると考えられる。
【0069】
図10に示すように、別の実施形態において、発光ダイオード16,18を着用者の視野の非相応領域に配置することは、発光ダイオード16,18の対14を、対14が互いに対して異なる向きを有するように配置することを含む。
【0070】
上記の説明は、本発明の2つの好ましい実施形態のみを示しており、本発明の範囲から逸脱せずに変更が行われることができることが理解されよう。
【0071】
本明細書における先行技術の参照は、いずれも、これらの先行技術がオーストラリア連邦での周知の事実の一部を成すことの確認及び何らかの示唆であるとは見なされず、また、見なされてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に従う、光刺激を与えるための装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施形態と共に用いるのに適した発光ダイオードのスペクトルパワー(分光)分布である。
【図3】図3は、本発明の第2の好ましい実施形態に従う、光刺激を与えるための装置の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示した装置の前面図である。
【図5】図5は、図3に示した装置の後面図である。
【図6】図6は、図3に示した装置の1対の発光ダイオードにより放射される光と、着用者の眼との相互作用を示す前面図である。
【図7】図7は、図3に示した装置の1対の発光ダイオードにより放射される光と、着用者の眼との相互作用を示す側面図である。
【図8】図8は、図3に示した装置の1対の発光ダイオードにより放射される光と、着用者の眼との相互作用を示す上面図である。
【図9】図9は、本発明の第3の好ましい実施形態に従う、光刺激を与えるための装置の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の第4の好ましい実施形態に従う、光刺激を与えるための装置の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置であって、
450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する少なくとも2つの発光ダイオードと、着用者の顔に装着されるように適合され、且つ前記発光ダイオードの1つを各眼の表面付近に支持して光を各眼の瞳孔に向けるように適合されたフレームと、を含む装置。
【請求項2】
前記フレームが、慣例的な方法で鼻により支持される眼鏡フレームの形態を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
眼鏡フレームが、実質的に慣用的なテンプルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
発光ダイオードが約470nmの波長でピーク強度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
発光ダイオードが、それぞれの眼の網膜の或る領域を照射する光出力を投射し、前記領域が黄斑を含まない、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
1対の発光ダイオードが、各々、眼鏡のそれぞれのアイフレームの下方枝状部に、各発光ダイオードの光出力がそれぞれの眼の瞳孔に向けられるように取り付けられている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
1対の発光ダイオードの各々が、それぞれの眼の網膜の異なる領域を照射する出力光を投射し、各対の発光ダイオードが、発光ダイオード間に目視ゾーンをもたらすように間隔を有して配置されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
各目視ゾーンが、それぞれの眼の虹彩の直径と実質的に同一の幅を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
各発光ダイオードが、それぞれの光出力がそれぞれの眼の瞳孔の実質的に全領域に実質的に均一な放射照度をもたらすように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
それぞれの瞳孔の移動範囲にわたり実質的に均一な放射照度がもたらされる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
発光ダイオードが、着用者の眼の単眼視野の中央点と交差する線より10度〜20度下に配置される、請求項1又は6に記載の装置。
【請求項12】
発光ダイオードが着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持され、これにより、発光ダイオードのそれぞれの対により生じる一方の目の単眼視野の目視妨害が、発光ダイオードの他方の対により生じる他方の目の単眼視野の目視妨害と組み合わされず、従って、着用者の視野のいずれの領域においても両眼妨害が生じない、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
発光ダイオードの先端からそれぞれの眼の角膜表面までの距離が実質的に10mm〜15mmの間である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
発光ダイオードの先端からそれぞれの眼の角膜表面までの距離が実質的に12mmである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
角膜表面における発光ダイオードの有効照度が1000ルクス〜4000ルクスの範囲にある、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
一定の低電流をバッテリから伝送するための電子回路をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記電子回路がフレームを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
バッテリの寿命が近づいたときにバッテリ容量低下警告が行われる、請求項19記載の装置。
【請求項19】
バッテリ容量低下警告が、発光ダイオードの点滅により行われる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
発光ダイオードが有効動作に必要な最大強度に到達する前に、強度の上昇が実質的に5秒間あり、これにより、ユーザの眼を光に対してゆっくりと慣れさせることが可能である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置であって、
450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する2対の発光ダイオードと、
着用者の顔に装着されるように適合されたフレームであって、前記発光ダイオードの一方の対が着用者の各眼の表面付近に支持されるように前記2対の発光ダイオードを支持するように配置されたフレームと、
を含み、各対の発光ダイオードが、それぞれの眼の網膜の異なる領域を照射する光出力を投射し、各対の発光ダイオードが、これらの発光ダイオード間に目視ゾーンをもたらすように間隔を有して配置されている装置。
【請求項22】
それぞれの網膜の異なる領域が周辺網膜の領域を含み、前記異なる領域が黄斑を含まない、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
発光ダイオードが約470nmの波長でピーク強度を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
各発光ダイオードが、各眼の表面付近に支持され、且つ、1対の発光ダイオードの各々からの光出力が、それぞれの眼の瞳孔の実質的に全領域に実質的に均一な放射照度をもたらすように結合するように配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
実質的に均一な放射照度がそれぞれの瞳孔の移動の範囲にわたってもたらされる、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
発光ダイオードの対の各々が、それぞれの眼の単眼視野の中央より10度〜20度下に配置される、請求項21に記載の装置。
【請求項27】
発光ダイオードが、それぞれの眼の角膜表面にて1000ルクス〜4000ルクスの範囲の有効照度をもたらす、請求項21に記載の装置。
【請求項28】
眼の瞳孔に入射する電磁エネルギーが、100マイクロワット/cm〜400マイクロワット/cmの範囲にある、請求項21に記載の装置。
【請求項29】
発光ダイオードが、1対の発光ダイオードにより照射される周辺網膜のそれぞれの異なる領域が鼻側領域及び側方領域を含むように配置されている、請求項22に記載の装置。
【請求項30】
各目視ゾーンが、それぞれの眼の虹彩の直径と実質的に同一の幅を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項31】
発光ダイオードが着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持され、これにより、発光ダイオードのそれぞれの対により生じる一方の目の単眼視野の目視妨害が、発光ダイオードの他方の対により生じる他方の目の単眼視野の目視妨害と組み合わされず、従って、着用者の視野のいずれの領域においても両眼妨害が生じない、請求項21に記載の装置。
【請求項32】
発光ダイオードを着用者の視野の非相応領域に配置することが、発光ダイオードの対を、発光ダイオードの各対間に設けられた目視ゾーンがそれぞれ異なる幅を有するように配置することを含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
発光ダイオードを着用者の視野の非相応領域に配置することが、発光ダイオードの対を、前記対が互いに対して異なる向きを有するように配置することを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
発光ダイオードの対が、発光ダイオードが着用者の単眼視野の水平中央線上又はそれより下に位置する水平軸上に位置するように配置された、請求項21に記載の装置。
【請求項35】
発光ダイオードが、着用者の単眼視野の水平中央線より約15度下にある水平軸上に配置された、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
各対の発光ダイオードが、各目視ゾーンの中央点間の距離が着用者の瞳孔間距離と実質的に同一であるように間隔を有して配置されている、請求項21に記載の装置。
【請求項37】
各目視ゾーンが、それぞれの単眼視野の中央点と交差する鉛直方向の中央線上に位置する中央点を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項38】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置であって、
着用者の各眼に関連する発光要素であって、各発光要素が450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する発光要素と、
各発光要素がそれぞれの眼の網膜の或る領域を照射するように配置されるように各発光要素を支持する支持部材と、
を含み、それぞれの発光要素により照射されるそれぞれの網膜の前記領域が黄斑を含まない装置。
【請求項39】
各発光要素が、それぞれの眼の瞳孔の実質的に全領域の実質的に均一な放射照度をもたらすように配置されている、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
それぞれの瞳孔の移動範囲にわたり実質的に均一な放射照度がもたらされる、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
発光要素が着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持され、これにより、それぞれの発光要素により生じる一方の視野の目視妨害が、他方の発光要素により生じる他方の視野の妨害と組み合わされず、従って、着用者の視野のいずれの領域においても両眼妨害が生じない、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置であって、
着用者の各眼に関連する発光要素であって、各発光要素が450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する発光要素と、
各発光要素がそれぞれの眼の網膜の或る領域を照射するように配置されるように各発光要素を支持する支持部材と、
を含み、発光要素が、着用者の視野の非相応領域に配置されるように支持され、これにより、それぞれの発光要素により生じる一方の目の単眼視野の視覚妨害が、他方の発光要素により生じる他方の目の単眼視野の視覚妨害と組み合わされず、従って、着用者の視野のいずれの領域においても両眼妨害が生じない装置。
【請求項43】
それぞれの発光要素により照射されるそれぞれの網膜の前記領域が黄斑を含まない、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
各発光要素が、それぞれの眼の瞳孔の実質的に全領域の実質的に均一な放射照度をもたらすように配置されている、請求項42に記載の装置。
【請求項45】
それぞれの瞳孔の移動範囲にわたり均一な放射照度がもたらされる、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与えるための装置であって、
450nm〜530nmの範囲の発光波長を有する2対の発光要素と、
着用者の顔に装着されるように、且つ前記2対の発光要素を支持するように配置されるように適合されたフレームであって、前記発光要素の一方の対が着用者の各眼の表面付近に支持され、これにより、各対の発光要素が、周辺網膜の異なる領域を照射する光出力を投射するように前記2対の発光要素を支持するフレームと、を含み、
各対の発光要素が、これらの発光要素間に目視ゾーンをもたらすように間隔を有して配置されている装置。
【請求項47】
前記周辺網膜の異なる領域が、周辺網膜の鼻側領域及び側方領域を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与える方法であって、着用者の眼の周辺網膜の異なる領域を、450nm〜530nmの範囲の波長を有する発光を用いて照射することを含む方法。
【請求項49】
人間の体内時計のリタイミングを行うために光を与える方法であって、請求項1〜47のいずれか一項に記載の装置を用いることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−525039(P2006−525039A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504026(P2006−504026)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000559
【国際公開番号】WO2004/096364
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505405803)フリンダーズ テクノロジーズ ピーティワイ リミテッド (2)