説明

光刺激装置

【課題】光刺激装置は、広い領域に光を照射して生体内の神経細胞を活性化及び/または抑制することができ、さらに生体内に挿入することなく生体内に光感応物質を注入することができる光刺激装置を提供する。
【解決手段】光刺激装置は、生体に挿入される薄膜2、及び上記薄膜上に位置する一つ以上のセル1を備えうる。各セルは、生体内の光感応物質に光を照射する第1光源を備えてもよい。また、光刺激装置は、生体に挿入される薄膜、及び上記薄膜上に位置し、生体内の光感応物質に光を照射する一つ以上の第1光源を備えうる。光刺激装置は、大脳皮質又は硬膜の上に載置されるため、脳組職の損傷を最小化することができ、光を利用して広い部位を同時に活性化及び/または抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、脳研究分野において、特定の波長の光に反応して神経細胞を活性化または抑制する光感応タンパク質(light−sensitive protein)が開発されている。上記光感応タンパク質を通じて神経回路内の神経細胞をより自在に且つ精度よく制御することができるようになった。微細刺激剤(micro−stimulant)を用いた従来の電気的な方式の微細刺激では、対象となる神経細胞を活性化することしかできないという短所があった。また、神経回路の研究のためには、特定の細胞を刺激するとともに神経回路の相互接続による他の部位の神経細胞の反応を測定する必要があるが、人為的な電気的刺激を与える場合には、ノイズにより、他の細胞の微細な電気生理的反応を測定しにくいという制限が生じる。
【0003】
一方、光刺激の場合、プロモーターの選択により刺激対象となる神経細胞を自在に選択することができる。対象神経細胞に光感応タンパク質が発現された後は、光刺激の波長帯を調節することで活性化から抑制まで自在に調節することができる。したがって、光刺激を利用すれば、より精度よく且つ体系的に神経回路を研究することができ、さらには、特定の神経精神医学的疾病に対し、どのような特定の脳神経細胞が関係しており、どのような方式で神経回路上の問題を引き起こすかといったことに関する研究及び治療を行う上で大いに役立つようになる。特に、臨床用への適用においても、既存の深部脳刺激法では、電気刺激による神経細胞の活性化しか提供することができなかったが、光刺激法は活性化及び抑制を提供することで、神経精神医学的疾病を治療する上で画期的なターニングポイントになりうる。
【0004】
また、人間の大脳皮質は、記憶、注意力、知覚、認知、思考、言語、意識などの役割を果たす領域であって脳の外側部分を構成し、各位置別の機能がよく知られている。大脳皮質は、頭蓋骨の直下に位置するため事故及び疾病によって損傷を受けやすい一方で、脳の外側に位置しているため、治療上のアクセス性は比較的高い。したがって、大脳皮質は上記の神経光刺激法の適用対象として好適である。
【発明の概要】
【0005】
光刺激装置は、広い領域に光を照射して生体内の神経細胞を活性化及び/または抑制することができる。さらに該装置は、生体内に挿入することなく生体内に光感応物質を注入することができてもよい。
【0006】
本発明の一実施形態による光刺激装置は、生体に挿入される薄膜、及び上記薄膜上に位置する一つ以上のセルを備えうる。このとき、上記各セルは、生体内の光感応物質に光を照射する第1光源を備えることができる。
【0007】
本発明の他の実施形態による光刺激装置は、生体に挿入される薄膜、及び上記薄膜上に位置し、生体内の光感応物質に光を照射する一つ以上の第1光源を備えてもよい。
【0008】
該光刺激装置を利用すれば、生体内に光感応物質を注入し、注入された光感応物質に光を照射して、光刺激の確認のために生体からの電気信号を測定するという一連の過程を単一の装置によって行うことができ、生体に対する外科手術回数を低減させることができる。
【0009】
また、装置は大脳皮質又は硬膜の上に載置されるため、脳組職の損傷を最小化することができ、光を利用して広い部位を同時に活性化及び/または抑制することができる。このため、脳研究及び神経精神医学的疾病の治療などに有用に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
開示された例示的な実施形態の、上記あるいは別の側面、特徴、および利点は、以下の詳細な説明およびこれに付随する以下の図面によりさらに明らかにされる。
【図1a】一実施形態による光刺激装置の斜視図である。
【図1b】図1aのA部分を拡大して示した斜視図である。
【図2a】他の実施形態による光刺激装置の斜視図である。
【図2b】図2aのB部分を拡大して示した斜視図である。
【図3a】人体に挿入された状態の、一実施形態による光刺激装置を示した概略図である。
【図3b】人体に挿入された状態の、他の実施形態による光刺激装置を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を示す添付図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら本開示は様々な異なる形態として実施でき、以下の実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。それよりも、これらの実施形態は本開示を詳細かつ完全なものにするため、また当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるために提供されるものである。以下の記載においては、提示される実施形態を不必要に不明瞭にしないように、周知の構成や技術について省略されることがある。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を既述することを目的とするものであって、本開示を限定することを目的とするものではない。本明細書で用いられている、単数を示す「a」、「an」および「the」は、文脈に明らかに反しない限り、複数を含むことが意図されている。さらに、a、anおよびtheの使用は量を限定するものではなく、当該項目が少なくとも1個は存在することを示す。「第1」、「第2」などの用語の使用は、特定の序列を示すものではなく、第1、第2などの用語はある要素を他の要素から区別するために用いられる。本明細書における「含む」、「からなる」あるいは「備える」(comprise,comprising,includes,including)という用語は、言及された特徴、範囲、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成部材が存在することを示すものであって、1以上の他の特徴、範囲、整数、ステップ、動作、要素、構成部材あるいはこれらの集合体が存在したり追加されることを排除するものではない。
【0013】
特に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的および科学的な用語を含む)は当業者により普通に理解されるのと同じ意味を持つ。普通に用いられる辞書において定義されている用語は、関連する技術と本開示の文脈における意味と整合性をもつような意味を有するものとして理解されるべきであり、特別に定義されない限り、理想的なあるいは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0014】
図面においては、図面中の類似する参照符号は類似する要素を示す。図の形状、大きさ、範囲などは明瞭化のため誇張されている場合がある。
【0015】
図1aは、一実施形態による光刺激装置の斜視図であり、図1bは、図1aのA部分を拡大して示した斜視図である。
【0016】
図1a及び図1bを参照すれば、光刺激装置は、薄膜2及び薄膜2上に位置する一つ以上のセル1を備えうる。上記光刺激装置は、ヒトや動物などの生体の脳と相対的に隣接した位置に挿入して使用することができる。
【0017】
薄膜2は、ナノ製作技術(nanofabrication)を用いることにより、生体内への挿入に適した大きさ及び厚さを有するように製造することができる。例えば、薄膜2の厚さtは、約1mm以下であればよい。また、薄膜2の厚さtは、約100μm以下であればよい。また、薄膜2の大きさは、約300mm以下であればよい。本明細書でいう大きさとは、構成要素が占める空間のうち、最も長い方向の長さのことを意味し、多角形の場合には最も長い辺の長さのことを意味しうるし、楕円形の場合には長軸方向の直径のことを意味しうる。例えば、薄膜2は、四角形の板形状であり、四角形の各辺の長さL、Lは、約300mm以下としうる。四角形の各辺の長さL、Lは、互いに同じであってもよいし、または互いに異なっていてもよい。他の実施形態において、薄膜2は、円板形状または他の形状としうる。
【0018】
薄膜2は、有機物質または無機物質からなっていてよい。また、薄膜2は、脳の動きに応じて撓み得るフレキシブルな物質からなっていてもよい。例えば、薄膜2は、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane;PDMS)、または他の好適な物質からなっていてよい。
【0019】
薄膜2上には、一つ以上のセル1が位置しうる。一実施形態において、各セル1は四角形板形状を有し、四角形の各辺の長さL、Lは、約5mm以下としうる。四角形の各辺の長さL、Lは、互いに同じであるか、または互いに異なっていてよい。一つ以上のセル1は規則的にあるいは不規則的に配列することができる。
【0020】
一実施形態において、上記セル1は複数個がアレイ状に配列することができる。例えば、複数個のセル1は格子状の長方形のアレイとして配列することもできる。このとき、複数個のセル1は、横方向及び縦方向にそれぞれ間隔d、dだけ互いに離間していてよい。例えば、複数個のセル1間の間隔d、dは、約1mm以下としうる。横方向及び縦方向のそれぞれの間隔d、dは、互いに同じであるか、または互いに異なっていてよい。各セル1が互いに離間しており、離間された部分の薄膜2が折り曲げられるかまたは撓むことで光刺激装置の全体が脳の形状または動きに応じて撓むことができる。
【0021】
一方、図1a及び1bに示された複数個のセル1からなるアレイの形状は例示的なものであって、他の実施形態において、アレイの形状は円形または他の異なる形状であってよい。または、一つ以上のセル1は薄膜2上に不規則に配列することができる。
【0022】
また、図1a及び図1bに示されたセル1の形態は例示的なものであって、他の実施形態において、セル1は、図1a及び図1bに示された形態と異なる形態の多面体または曲面体であってよい。上記各セル1は、薄膜2上に物質を積層して形成することもでき、または、後述するように薄膜2の表面に光源などを設けることで形成される薄膜2の上の所定の領域を指し示すこともある。
【0023】
一つ以上のセル1のそれぞれは、光刺激装置が挿入された生体内の光感応物質に所定の波長を有する光を照射することにより、光感応物質が発現された神経細胞を活性化及び/または抑制してもよい。また、各セル1は、光感応物質への光の照射によって脳神経細胞の活動を検出してもよい。さらには、各セル1を利用して上記光感応物質を生体に注入してもよい。
【0024】
光感応物質は、照射された光に反応して神経細胞内へ陽イオンあるいは陰イオンを通過させることにより当該神経細胞を活性化あるいは抑制するイオンチャネルあるいはイオンポンプを、当該神経細胞に生成する。光感応物質としては、例えば、光に反応して化学的に変形するイオンチャネル/ポンプ及び受容体、または天然の光感応タンパク質(photosensitive protein)などがある。
【0025】
光に反応して変形するイオンチャネル及び受容体は、受容体に隣接してフォトスイッチが取り付けまたは注入された構造であってよい。例えば、イオンチャネルは、シェーカー型カリウムチャネルであってもよい。また、受容体は、光によってゲーティングされるイオン性グルタミン酸塩受容体(例えば、iGluR6)であってもよい。フォトスイッチは、光によって異性化されるアゾベンゼン基を有し、例えば、カリウムチャネルアンタゴニスト及びiGluR6アゴニストが共有結合された構造を有しても良い。上記イオンチャネル及び受容体に所定の波長、例えば、約460nmの波長を有する光を照射することで、神経細胞を活性化し、電気信号を発生させることができる。逆に、所定の波長、例えば、約580nmの波長を有する光を照射して神経細胞の電気信号の発生を抑制することもできる。
【0026】
光感応タンパク質は、所定の波長の光が照射されると異性化するロドプシンをベースとする。例えば、複数のコンポーネントからなるDrosophila sp.の視覚系ロドプシンカスケード(ChArGe)またはチャネルロドプシン−2(ChR2)などを含むことができる。光感応タンパク質に所定の波長、例えば、ChR2の場合は約460nmの波長を有する光を照射することで光感応タンパク質を活性化させ、神経細胞内部に陽イオンを流入させることにより神経細胞を活性化することができる。
【0027】
このために、各セル1は第1光源11を備えていてよい。第1光源11は、光感応物質によって神経細胞を活性化させるかまたは抑制するための所定の波長の光を照射しうる。例えば、神経細胞を活性化させる場合は、第1光源11から約500nm未満の波長を有する光を照射してもよく、逆に、神経細胞を抑制する場合は、第1光源11から約500nm以上の波長を有する光を照射してもよい。
【0028】
一実施形態において、各セル1は、第1光源11とともに第2光源12を更に備えていてもよい。第1光源11と第2光源12は、互いに異なる波長の光を照射することができる。例えば、第1光源11は、約500nm未満の波長を有する光を照射し、第2光源12は、約500nm以上の波長を有する光を照射するように構成することができる。これにより、第1光源11を利用して神経細胞を活性化させるとともに、第2光源12を利用して神経細胞を抑制することができる。
【0029】
第1光源11及び第2光源12は、有機発光素子または無機発光素子としうる。例えば、第1光源11及び第2光源12は、有機発光ダイオード(OLED)のような有機発光素子であるか、または発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)及び垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)のような無機発光素子であってよい。
【0030】
一実施形態において、各セル1は、生体内に上記光感応物質を注入するための注入器13を更に備えることもできる。注入器13により光感応物質を生体に注入し、注入された光感応物質に第1及び第2光源11、12から光を照射することで、光感応物質によって神経細胞を活性化及び/または抑制することができる。注入器13は、光感応物質が搬送されるチャンネル及びバルブなどに連結されていてよい。また、光感応物質の注入量を調節するために、注入器13はマイクロディスペンサ、マイクロマルチプレクサなどに連結されていてもよい。
【0031】
一実施形態において、各セル1は、第1及び第2光源11、12から光感応物質に光が照射されることによって活性化または抑制された神経細胞の電気生理学的信号を検出する電極14を更に備えることもできる。電極14は、金属などの導電物質からなっていてよい。電極14を利用して電気信号を検出することによって、生体の神経細胞が光によって活性化及び/または抑制された状態を観察することができる。また、一実施形態においては、薄膜2上に複数個のセル1がアレイ状に配列され、より広い領域において電気信号を検出することができる。
【0032】
図1a及び図1bに示されたセル1内の第1及び第2光源11、12、注入器13、及び電極14の配置形態及び薄膜2上のセル1の配置形態は例示的なものであって、他の実施形態では図1a及び図1bに示されたものと異なる形態で配置することもできる。
【0033】
図2aは、他の実施形態による光刺激装置の斜視図であり、図2bは図2aのB部分を拡大して示した斜視図である。
【0034】
図2a及び図2bを参照すれば、光刺激装置は、薄膜2及び薄膜2上に位置する一つ以上の第1光源21を備えうる。上記光刺激装置は、ヒトや動物などの生体の脳と相対的に隣接した位置に挿入して使用することができる。薄膜2の構成及び機能は、図1a及び図1bを参照して上述した実施形態と同一であるため、その詳しい説明を省く。
【0035】
薄膜2上には、一つ以上の第1光源21が位置していてよい。各第1光源21は、穴が開けられた円板形状を有していてよい。一実施形態において、第1光源21の直径Dは、約5mmであるか、それより小さくてよい。一つ以上の第1光源21は規則的にあるいは不規則的に配列されていてよい。
【0036】
一実施形態において、上記第1光源21は複数個がアレイ状に配列されていてもよい。例えば、複数個の第1光源21は格子状の長方形のアレイとして配列されていてもよい。このとき、各第1光源21は、縦方向及び横方向に間隔d、dだけ互いに離間していてよい。例えば、複数個の第1光源21間の間隔d、dは、約1mmであるか、それより小さくてよい。横方向及び縦方向のそれぞれの間隔d、dは、互いに同じであるか、または互いに異なっていてよい。第1光源21が互いに離間した部分で薄膜2が折り曲げられるか撓むことにより、光刺激装置の全体が脳の形状または動きに応じて撓むことができる。
【0037】
図2a及び図2bに示された複数個の第1光源21のアレイの形状は例示的なものであって、他の実施形態におけるアレイ形状は円形または他の異なる形状であってよい。または、一つ以上の第1光源21は薄膜2上に不規則的に配列されていてもよい。
【0038】
第1光源21は、光感応物質によって神経細胞を活性化させるかまたは抑制するための特定波長の光を照射することができる。例えば、神経細胞を活性化させる場合は、第1光源21から約500nm未満の波長を有する光を照射してもよく、逆に、神経細胞を抑制する場合は、第1光源21から約500nm以上の波長を有する光を照射してもよい。
【0039】
一実施形態において、薄膜2上には一つ以上の注入器23がさらに位置していてよい。上記注入器23は複数個がアレイ状に配列されていてもよい。例えば、複数個の注入器23は複数個の第1光源21と同一な形態のアレイとして配列され得る。このとき、複数個の注入器23は、それぞれの注入器23の間に一つ以上の上記第1光源21が位置するように配列されてもよい。すなわち、複数個の第1光源21のアレイにおいて、注入器23は、所定の間隔ごとに第1光源21を置換するように配置されうる。一方、他の実施形態において、複数個の注入器23と複数個の第1光源21は互いに異なる形状のアレイとして配列されていてもよい。
【0040】
注入器23により光感応物質を生体に注入し、注入された光感応物質に第1光源21から光を照射することで、光感応物質によって神経細胞を活性化及び/または抑制することができる。光感応物質を注入するために、注入器23は、光感応物質が搬送されるチャンネル及びバルブなどに連結されていてよい。また、光感応物質の注入量を調節するために、注入器23は、マイクロディスペンサ及びマイクロマルチプレクサなどに連結されていてもよい。
【0041】
一実施形態において、一つ以上の第1光源21のそれぞれの中に第2光源22が位置することもできる。各第1光源21は、穴が開けられた円板形状を有し、円板形状の穴が開けられた部分に第2光源22が位置しうる。例えば、第1光源21の直径Dが約180μmである場合、第1光源21の中に位置する第2光源22の直径Dは、約128μmであるか、またはそれより小さくてよい。
【0042】
第1光源21と第2光源22は、互いに異なる波長の光を照射してもよい。例えば、第1光源21は約500nm未満の波長を有する光を照射し、第2光源22は約500nm以上の波長を有する光を照射するように構成することができる。この場合、第1光源21の光を用いて神経細胞を活性化させるとともに、第2光源22の光を用いて神経細胞を抑制することが可能である。
【0043】
第1光源21及び第2光源22は、有機発光素子または無機発光素子としうる。例えば、第1光源21及び第2光源22は、OLEDのような有機発光素子であるか、またはLED、LD及びVCSELのような無機発光素子であってよい。
【0044】
一実施形態において、一つ以上の第2光源22は、穴が開けられた円板形状を有していてよく、各第2光源22の中に電極24が位置していてもよい。例えば、第2光源22の直径Dが約128μmである場合、第2光源22の中に位置する電極24の直径Dは、約20μmであるか、またはそれより小さくてよい。電極24は、第1及び第2光源21、22から光感応物質に光が照射されることによって神経細胞から発生する電気信号を検出することができる。電極24は、金属などの導電物質からなっていてよい。電極24を利用して電気信号を検出することにより、神経細胞が活性化及び/または抑制された状態を観察することができる。
【0045】
図3aは、人体に挿入された状態の、一実施形態による光刺激装置を示した概略図である。
【0046】
図3aを参照すれば、人体の頭蓋骨200の一部に頭蓋骨200を貫通する穴を形成し、形成された穴に光刺激装置100を位置させてもよい。穴の下の部分から露出した光刺激装置100が脳と隣接して位置するため、脳に光感応物質を注入する、光感応物質に光を照射する、または光感応物質によって神経細胞から発生した電気信号を検出するなどの動作が可能である。
【0047】
図3bは、人体に挿入された状態の、他の実施形態による光刺激装置を示した概略図である。
【0048】
図3bを参照すれば、人体の頭蓋骨200の底面に光刺激装置100を挿入してもよい。すなわち、光刺激装置100を頭蓋骨200と脳との間に位置させてもよい。このとき、頭蓋骨200の底面一部を削り取って相対的に薄くし、その薄くなった部分に光刺激装置100を位置させてもよい。結果的に、光刺激装置100全体を脳と隣接して位置させることができ、相対的に広い領域を光によって活性化及び/または抑制することが可能である。
【0049】
以上、実施形態を例示しつつ説明したが、当該分野における通常の知識を有する者ならば、添付の特許請求の範囲により規定される本開示の精神と範囲から離れることなく、形状や詳細の様々な変形が可能であることが理解できるであろう。さらに、具体的な状況や材料に適応するように、本開示の教示内容に対してその範囲から本質的に離れることなく、数多くの変形が可能である。よって、本開示は、本開示を実施するためのベストモードとして開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる全ての実施形態を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に挿入される薄膜、及び
前記薄膜上に位置する一つ以上のセルを備え、
前記一つ以上のセルの各々は、生体内の光感応物質に光を照射する第1光源を備える光刺激装置。
【請求項2】
前記一つ以上のセルの各々は、前記光感応物質に前記第1光源と異なる波長の光を照射する第2光源を更に備える請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項3】
前記第1光源及び前記第2光源は、有機発光ダイオード、発光ダイオード、レーザーダイオードまたは垂直共振器面発光レーザーを備える請求項2に記載の光刺激装置。
【請求項4】
前記一つ以上のセルの各々は、生体内に前記光感応物質を注入する注入器を更に備える請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項5】
前記一つ以上のセルの各々は、生体から電気信号を検出する電極を更に備える請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項6】
前記薄膜の厚さは、約1mm以下である請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項7】
前記一つ以上のセルの各々の大きさは、約5mm以下である請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項8】
前記一つ以上のセルは、互いに離間している複数個のセルからなる請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項9】
前記薄膜の表面は曲面形状である請求項8に記載の光刺激装置。
【請求項10】
前記一つ以上のセルは、アレイ状に配列された複数個のセルからなる請求項1に記載の光刺激装置。
【請求項11】
生体に挿入される薄膜、及び
前記薄膜上に位置し、生体内の光感応物質に光を照射する一つ以上の第1光源を備える光刺激装置。
【請求項12】
前記一つ以上の第1光源は、アレイ状に配列された複数個の第1光源からなる請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項13】
前記薄膜上に位置し、生体内に前記光感応物質を注入する一つ以上の注入器を更に備える請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項14】
前記一つ以上の第1光源は、アレイ状に配列された複数個の第1光源からなり、前記一つ以上の注入器は、アレイ状に配列された複数個の注入器からなり、
前記複数個の注入器の各々の間に一つ以上の前記第1光源が位置する請求項13に記載の光刺激装置。
【請求項15】
前記一つ以上の第1光源の各々は、穴が開けられた円板形状を有し、
前記一つ以上の第1光源の各々の中に位置し、前記光感応物質に前記第1光源と異なる波長の光を照射する一つ以上の第2光源を更に備える請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項16】
前記第1光源及び前記第2光源は、
有機発光ダイオード、発光ダイオード、レーザーダイオードまたは垂直共振器面発光レーザーを備える請求項15に記載の光刺激装置。
【請求項17】
前記一つ以上の第2光源の各々は、穴が開けられた円板形状を有し、
前記一つ以上の第2光源の各々の中に位置し、生体から電気信号を検出する一つ以上の電極を更に備える請求項15に記載の光刺激装置。
【請求項18】
前記薄膜の厚さは、約1mm以下である請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項19】
前記第1光源の大きさは、約5mm以下である請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項20】
前記一つ以上の第1光源は、互いに離間した複数個の第1光源からなる請求項11に記載の光刺激装置。
【請求項21】
前記薄膜の表面は曲面形状である請求項20に記載の光刺激装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate


【公開番号】特開2010−227537(P2010−227537A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−211785(P2009−211785)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(595001181)コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】