説明

光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物

【課題】硬化性に優れる光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサン100質量部、(B)シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジン1〜200質量部、並びに(C)シラノール縮合触媒を0.01〜5質量部を含有する、光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来本願出願人は高屈折率LED用封止材用組成物としてフェニル基及びシラノール基を有するシラノール基含有化合物等を含有する組成物を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−208160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら本願発明者はフェニル基及びシラノール基を有するシラノール基含有化合物等を含有する組成物は硬化に必要とされる時間が長く硬化性に改善の余地があることを見出した。
そこで本願発明は硬化性に優れる(具体的には例えば、短時間で高い硬度を発現させ硬化後は経時的な硬度変化が少ない。)光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、組成物が25℃で液状のオルガノポリシロキサン及び25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジンを含有し、オルガノポリシロキサンがシラノール基を有し、オルガノポリシロキサンレジンがシラノール基及びアルコキシシリル基を有する場合、オルガノポリシロキサン及びオルガノポリシロキサンレジンの双方がそれぞれさらにフェニル基を有すると、組成物に優れた硬化性を発現させることを見出し、さらに研究を進めて、(A)シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサン100質量部、(B)シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジン1〜200質量部、並びに(C)シラノール縮合触媒を0.01〜5質量部を含有する組成物が硬化性に優れる光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物となりうることを見出し本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜9を提供する。
1. (A)シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサン100質量部、
(B)シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジン1〜200質量部、並びに
(C)シラノール縮合触媒を0.01〜5質量部を含有する、光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
2. 前記(A)成分が下記式(1)で示される上記1に記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
式(1):(SiO4/2a(RSiO3/2b(R2SiO2/2c(R3SiO1/2d(HO1/2e
[式中、Rは置換基を有してもよいフェニル基又は1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)であり同一でも異なっていてもよく、1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であり、a、b及びdは0又は正数であり、cは正数であり、cはa、b及びdのいずれよりも大きく、eは正数である。]
3. 前記(B)成分が下記式(2)で示される上記1又は2に記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
式(2):(SiO4/2a(RSiO3/2b(R2SiO2/2c(R3SiO1/2d(HO1/2e(R11/2f
[式中、Rは置換基を有してもよいフェニル基又は1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)であり同一でも異なっていてもよく、1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であり、R1はアルキル基であり、aは0又は正数であり、bは0又は正数であり、cは正数であり、dは0又は正数であり、eは正数であり、fは正数である。]
4. 前記成分(B)の量が前記(A)成分100質量部に対して5〜50質量部である上記1〜3のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
5. 前記成分(C)が錫化合物、亜鉛化合物及びジルコニウム化合物から選ばれる1種以上の触媒である上記1〜4のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
6. 前記成分(C)が錫化合物及び亜鉛化合物を少なくとも含む上記1〜5のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
7. 前記成分(A)の屈折率が1.5以上である上記1〜6のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
8. 前記成分(B)の屈折率が1.5以上である上記1〜7のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
9. 光半導体が上記1〜8のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物によって封止されている封止体。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物は硬化性に優れる。
本発明の封止体は硬化性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物(本発明の組成物)は、
(A)シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサン100質量部、
(B)シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジン1〜200質量部、並びに
(C)シラノール縮合触媒を0.01〜5質量部を含有する、光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0009】
本発明の組成物に含有されるオルガノポリシロキサン[これを(A)又は(A)成分ともいう。]は、シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサンである。
本発明においてオルガノポリシロキサンは25℃において液状である。本発明の組成物はオルガノポリシロキサンを含有することによって25℃において固体である(B)成分を溶解させることができる。
本発明の組成物はオルガノポリシロキサン(A)を含有することによって、硬化性に優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができる。
【0010】
オルガノポリシロキサン(A)の主鎖はシロキサン骨格を有するものであれば特に制限されない。なかでも、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、少なくとも鎖状のものを含むのが好ましい。オルガノポリシロキサン(A)は主鎖が鎖状であるものの他にさらに分岐状のものを含むことができる。主鎖が分岐状のものの量は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、オルガノポリシロキサン(A)全量中の30質量%以下であるのが好ましい。
本発明はオルガノポリシロキサン(A)がシラノール基及びフェニル基(置換基を有してもよい。以下同様。)を有することによって、シラノール基、アルコキシシリル基及びフェニル基を有するオルガノポリシロキサンレジン(B)との相溶性、反応性に優れこれによって、本発明の組成物は硬化性に優れ、十分に長いポットライフを確保することができる。
【0011】
オルガノポリシロキサンが有するシラノール基は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、オルガノポリシロキサン1分子中2個以上であるのが好ましい。シラノール基はオルガノポリシロキサンの末端または両末端に結合するのが好ましい。シラノール基としては例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【化1】

式中、Raは炭化水素基である。炭化水素基としては例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組合わせが挙げられる。
【0012】
オルガノポリシロキサン(A)が有するフェニル基は高屈折率で透明性が高くポットライフと硬化性のバランスに優れるという観点から、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子に結合するのが好ましく、ケイ素原子に直接結合するのがより好ましい。フェニル基は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、炭化水素基(脂肪族炭化水素基等)、ハロゲン、水酸基が挙げられる。
【0013】
オルガノポリシロキサン(A)は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く、ポットライフと硬化性のバランスに優れるという観点から、アルコキシシリル基を有さないのが好ましい。
【0014】
(A)成分は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、下記式(1)で示される化合物であるのが好ましい。
式(1):(SiO4/2a(RSiO3/2b(R2SiO2/2c(R3SiO1/2d(HO1/2e
[式中、Rは置換基を有してもよいフェニル基又は1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)であり同一でも異なっていてもよく、1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であり、a、b及びdは0又は正数であり、cは正数であり、cはa、b及びdのいずれよりも大きく、eは正数である。]
置換基を有してもよいフェニル基は上記と同義である。
1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組合わせのような炭化水素基;酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有する炭化水素基が挙げられる。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
オルガノポリシロキサン1分子中に含まれるRの合計量中、置換基を有してもよいフェニル基の量は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、30モル%以上であるのが好ましく、40〜80モル%であるのがより好ましい。
【0015】
式(1)中の(RSiO3/2)において、Rは硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、アルキル基、フェニル基であるのが好ましい。
また(R2SiO2/2)においてRは(RSiO3/2)が有するRに関する同様の理由からアルキル基、フェニル基であるのが好ましく、2つのRのうち1つがアルキル基であり残りがフェニル基であるのがより好ましく、(C65−Si−CH3)O2/2がさらに好ましい。
(R3SiO1/2)においてRは(RSiO3/2)が有するRに関する同様の理由からアルキル基、フェニル基であるのが好ましく、3つのRのうち少なくとも1つがフェニル基であり残りがアルキル基であるのが好ましく、3つのRが全てフェニル基であるのがより好ましく、(C653SiO2/2がさらに好ましい。
【0016】
式(1)中、aは0又は正数であり、好ましくは0〜0.2である。
bは0又は正数であり、好ましくは0〜0.2である。
dは0又は正数であり、好ましくは0.3〜1.0である。
cは正数であり、好ましくは0.1以下である。
eは正数であり、好ましくは0.01〜0.1である。
【0017】
本発明の組成物に含有されるオルガノポリシロキサンはその製造について特に制限されない。例えば、式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを構成し得るハロゲン化シランを0〜60℃で反応させることによって製造することができる。オルガノポリシロキサン(A)を製造する際分子量の調整をするためにモノマーとしてトリアルキルモノクロロシランのような1個のハロゲンを有するトリアルキルシラン化合物を使用することができる。
成分(A)の分子量(重量平均分子量)は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、500〜2000であるのが好ましく、500〜1500であるのがより好ましい。本発明において、成分(A)の分子量はテトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算で求められた。
成分(A)の屈折率は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、1.5以上であるのが好ましく、1.52〜1.55であるのがより好ましい。上記式(1)において1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であるとする場合、成分(A)の屈折率を1.5以上とすることができる。
オルガノポリシロキサンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
本発明の組成物に含有されるオルガノポリシロキサンレジン[これを(B)又は(B)成分ともいう。]は、シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジンである。
本発明においてオルガノポリシロキサンレジンは25℃において固体である。
本発明の組成物はオルガノポリシロキサンレジンを含有することによって、硬化性に優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができる。
オルガノポリシロキサンレジンの骨格は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、例えば、MQレジン、MTQレジン、MTDレジン、TDレジンが挙げられる。
【0019】
オルガノポリシロキサンレジン(B)が有するシラノール基は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、オルガノポリシロキサン1分子中2個以上であるのが好ましい。シラノール基は(A)が有するシラノール基と同様である。1分子のオルガノポリシロキサンレジン(B)が有するシラノール基含有量は10%前後(重量%)とすることができる。
フェニル基は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子に結合するのが好ましく、ケイ素原子に直接結合するのがより好ましい。フェニル基は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、炭化水素基(脂肪族炭化水素基等)、ハロゲン、水酸基が挙げられる。
【0020】
オルガノポリシロキサンレジン(B)が有するアルコキシシリル基はアルコキシシリル基は1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子に結合する基をいう。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基が挙げられる。ケイ素原子に結合する、アルコキシ基以外の基は置換基を有しない芳香族炭化水素基とすることができ、置換基を有しない芳香族炭化水素基であるのが好ましい。アルコキシシリル基は置換基を有しない芳香族炭化水素基の他にメチル基、エチル基、プロピル基などの脂肪族炭化水素基を有していてもよい。
アルコキシシリル基はオルガノポリシロキサンレジンの末端、両末端、側鎖に結合することができる。
【0021】
(B)成分は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、下記式(2)で示される化合物であるのが好ましい。
式(2):(SiO4/2a(RSiO3/2b(R2SiO2/2c(R3SiO1/2d(HO1/2e(R11/2f
式中、Rは置換基を有してもよいフェニル基又は1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)であり同一でも異なっていてもよく、1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であり、R1はアルキル基であり、aは0又は正数であり、bは0又は正数であり、cは正数であり、dは0又は正数であり、eは正数であり、fは正数である。
置換基を有してもよいフェニル基、1価の有機基は式(1)と同様である。R1としてのアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
オルガノポリシロキサンレジン1分子中に含まれるRの合計量中、置換基を有してもよいフェニル基の量は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、30モル%以上であるのが好ましく、40〜80モル%であるのがより好ましい。
【0022】
式(2)中の(RSiO3/2)において、Rは硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、アルキル基、フェニル基であるのが好ましい。
また(R2SiO2/2)においてRは(RSiO3/2)が有するRに関する同様の理由からアルキル基、フェニル基であるのが好ましく、2つのRのうち1つがアルキル基であり残りがフェニル基であるのがより好ましく、(C65−Si−CH3)O2/2がさらに好ましい。
(R3SiO1/2)においてRは(RSiO3/2)が有するRに関する同様の理由からアルキル基、フェニル基であるのが好ましく、3つのRのうち少なくとも1つがフェニル基であり残りがアルキル基であるのが好ましく、3つのRが全てフェニル基であるのがより好ましく、(C653SiO2/2がさらに好ましい。
【0023】
式(2)中、aは0または正数であり、好ましくは0〜0.3である。
bは0または正数であり、好ましくは0〜0.5である。
dは正数であり、好ましくは0.1〜0.8である。
cは0または正数であり、好ましくは0〜0.1である。
eは正数であり、好ましくは0.05〜0.2である。
fは正数であり、好ましくは0.05〜0.2である。
【0024】
本発明の組成物に含有されるオルガノポリシロキサンレジンはその製造について特に制限されない。例えば、式(2)で表されるオルガノポリシロキサンレジンを構成し得るハロゲン化シランを0〜60℃で反応させることによって製造することができる。
成分(B)の分子量(数平均分子量)は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、1000〜5000であるのが好ましく、1500〜4000であるのがより好ましく、1500を超え(又は1600以上)4000以下であるのがさらに好ましい。本発明において、成分(B)の分子量はTHFを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算で求められた。
成分(B)の屈折率は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、1.5以上であるのが好ましく、1.52〜1.55であるのがより好ましい。上記式(2)において1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基とする場合、成分(B)の屈折率を1.5以上とすることができる。
オルガノポリシロキサンレジン(B)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
オルガノポリシロキサンレジン(B)の量は、硬化性に優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、1〜200質量部であり、同様の理由から、5〜50質量部であるのが好ましく、10〜40質量部であるのがより好ましい。
【0026】
(C)シラノール縮合触媒について以下に説明する。本発明の組成物に含有されるシラノール縮合触媒[これを(C)または成分(C)ともいう。]は、シラノール基とこれと縮合可能な基との縮合反応に適用できる化合物であれば特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。なかでも、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、錫化合物、亜鉛化合物及びジルコニウム化合物から選ばれる1種以上の触媒であるのが好ましく、錫化合物及び亜鉛化合物を少なくとも含む場合がより好ましい。
【0027】
錫化合物は錫を有する化合物であれば特に制限されない。なかでも、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、4価の錫化合物が好ましく、エステル結合を含む基及びアルキル基を有する4価のスズ化合物がより好ましい。
錫化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
2a−Sn−[O−CO−R34-a (3)
式中、R2はアルキル基であり、R3は炭化水素基であり、aは1〜3の整数である。
2で表されるアルキル基は炭素原子数1以上のものが挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基が挙げられる。
3で表される炭化水素基は特に制限されない。例えば、メチル基、エチル基のような脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
【0028】
錫化合物としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズマレエートのようなジアルキルスズ化合物[上記式(3)で表され、aが2であるもの]);ジブチルスズオキシアセテートジブチスズオキシオクチレート、ジブチルスズオキシラウレートジブチルスズビスメチルマレート、ジブチルスズオキシオレエートのようなジアルキルスズの2量体;またはジブチルスズマレートポリマー、ジオクチルスズマレートポリマー;モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)[上記式(3)で表され、aが1であるもの]が挙げられる。
錫化合物は硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、なかでも、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジラウリレートが好ましい。
【0029】
亜鉛化合物は亜鉛を含む化合物であれば特に制限されない。例えば、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセテート、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛のような脂肪族カルボン酸亜鉛;ナフテン酸亜鉛のような脂環式カルボン酸亜鉛;安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、亜鉛サリチレートのような芳香族カルボン酸亜鉛等のカルボン酸塩;亜鉛(メタ)アクリレート;亜鉛アセチルアセトナート[Zn(II)アセチルアセトナート、Zn(acac)2]、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートZnのような亜鉛キレートが挙げられる。なかでも、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛が好ましい。
【0030】
ジルコニウム化合物はジルコニウム原子を含む化合物であれば特に制限されない。例えば、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化2】

(4)
式中、Rは炭素原子数1〜18の炭化水素基である。
式(4)で表される化合物としては、例えば、ジオクチル酸ジルコニル、ジネオデカン酸ジルコニルのような脂肪族カルボン酸塩;ナフテン酸ジルコニル、シクロヘキサン酸ジルコニルのような脂環式カルボン酸塩;安息香酸ジルコニルのような芳香族カルボン酸塩が挙げられる。
【化3】

(5)
式中、R10は同一または異なる、炭素原子数1〜16の炭化水素基であり、R11は同一または異なる、炭素原子数1〜18の炭化水素基であり、mは1〜3の整数である。式(5)において複数のR10は同じでも異なっていてもよい。
10で表される炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
10で表される炭化水素基は硬化性により優れるという観点から環状構造を有するのが好ましい。環状構造としては、例えば、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。R10は環状構造のほかに例えば脂肪族炭化水素基を有することができる。
【0031】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基のようなシクロアルキル基;ナフテン環(ナフテン酸由来のシクロパラフィン環);アダマンチル基、ノルボルニル基のような縮合環系炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレンが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基が挙げられる。
なかでも硬化性により優れるという観点から、R10で表される炭化水素基は脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であることが好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環(R10COO−としてのナフテート基)、フェニル基がより好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ナフテン環がさらに好ましい。
【0032】
また、耐熱着色安定性により優れ、相溶性に優れるという観点から、R11で表される炭化水素基の炭素原子数は3〜8であるのが好ましい。
11で表される炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐していてもよい。炭化水素基は不飽和結合を有することができる。炭化水素基は例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。耐熱着色安定性により優れ、相溶性に優れるという観点から、R11で表される炭化水素基は脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
【0033】
ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムトリアルコキシモノナフテート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロプロパンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシシクロブタンカルボキレート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロペンタンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシモノシクロヘキサンカルボキシレート、ジルコニウムトリアルコキシモノアダマンタンカルボキシレートが挙げられる。
ジルコニウム化合物はその製造につい特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0034】
シラノール縮合触媒の量は、硬化性に優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、同様の理由から、0.01〜3質量部であるのが好ましく、0.01〜2質量部であるのがより好ましい。
シラノール縮合触媒が錫化合物及び亜鉛化合物を少なくとも含む場合、錫化合物及び亜鉛化合物の量比は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、亜鉛化合物の量が、錫化合物100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましく、5〜30質量部であるのがより好ましい。
シラノール縮合触媒が錫化合物、亜鉛化合物及びジルコニウム化合物を含む場合、錫化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物の量比は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、錫化合物100質量部に対して、亜鉛化合物が5〜50質量部であるのが好ましく、5〜30質量部であるのがより好ましく、ジルコニウム化合物が5〜50質量部であるのが好ましく、5〜30質量部であるのがより好ましい。
複数のシラノール縮合触媒を併用する場合、これらをそれぞれ別個に用いて本発明の組成物に含有させることができる。また、複数のシラノール縮合触媒を予め加熱して反応させたものを用いることができる。
【0035】
本発明の組成物は上記の成分以外に本発明の目的や効果を損なわない範囲で必要に応じてさらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、無機フィラー、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、無機蛍光体、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤が挙げられる。各種添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0036】
本発明の組成物はその製造について特に制限されない。例えば上記の成分を混合することによって製造することができる。本発明の組成物を2液型として製造する場合、第1液に成分(A)を入れ、第2液に成分(B)を入れ、第1液及び/又は第2液にシラノール縮合触媒、添加剤を入れることができる。
【0037】
本発明の組成物は加熱することによって硬化することができる。本発明の組成物を硬化させる際の温度は、硬化性により優れ、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができるという観点から、100〜200℃であるのが好ましく、100〜180℃であるのがより好ましい。
本発明の組成物は光半導体封止用として使用することができ、高屈折率LED封止用として最適である。本発明の組成物を適用できる光半導体は特に制限されない。本発明の組成物を光半導体に適用する方法は特に制限されない。
本発明の組成物は光半導体封止用以外にも例えば、光学レンズとして使用することができる。
【0038】
本発明の封止体について以下に説明する。本発明の封止体は、光半導体が本発明の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物によって封止されているものである。
本発明の封止体に使用される光半導体は特に制限されない。
本発明の封止体に使用される光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物は本発明の組成物であれば特に制限されない。
本発明の封止体はその製造について特に制限されない。例えば、光半導体に本発明の組成物を適用(例えば、塗布、ポッティング)し、その後組成物を加熱して硬化させ光半導体を封止する方法が挙げられる。
本発明の封止体の用途としては、例えば、自動車用ランプ(ヘッドランプ、テールランプ、方向ランプ等)、家庭用照明器具、工業用照明器具、舞台用照明器具、ディスプレイ、信号、プロジェクターが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明する。但し本発明はこれらに限定されない。
<評価>
以下のとおり製造した組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1、2表に示す。
・JIS A硬度:得られた組成物を150℃の条件下で5時間、24時間または500時間硬化させて得られた硬化物(厚さ2mm)についてJIS K 6253に準拠して、スプリング式A型硬さ試験機を用いて測定した。
・屈折率
得られた組成物を150℃の条件下で5時間硬化させて得られた硬化物(厚さ2mm)について、JIS K 7105:1981に準拠する測定法でATAGO社製アッベリフレクトメータを用いて、ナトリウムのスペクトルのD線589.6nmにおける屈折率を測定した。
・保持率
透過率評価試験において、下記のとおり得られた組成物を150℃の条件下で5時間硬化させて得られた初期硬化物、および耐熱試験(初期硬化物をさらに150℃の条件下で10日間加熱する試験)後の硬化物(いずれも厚さが2mm。)についてそれぞれ、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製)を用いて波長400nmにおける透過率を測定した。
また、耐熱試験後の透過率の初期の透過率に対する保持率を下記計算式によって求めた。
保持率(%)=(耐熱試験後の透過率)/(初期の透過率)×100
【0040】
・ポットライフ
初期粘度(各々の成分を混合して製造した直後の25℃の条件下での組成物の粘度)に対する24時間後の粘度(得られた組成物を25℃の条件下に置き製造から24時間経過した後の組成物の粘度)の相対値と、組成物を25℃の条件下において製造から24時間が経過した後の混合液の外観とをポットライフとして評価した。
ポットライフの評価基準としては、初期粘度に対する24時間後の粘度の相対値が2.0以下であり、混合液を25℃の条件下において製造から24時間が経過した後の状態が製造時と変化していない場合を良好とする。
【0041】
<組成物の製造>
各表に示す成分を同表に示す量(質量部)で用いて、(C)成分を予め(A)成分に加え、次いで得られた混合物に(B)成分を混合して組成物を製造した。
【0042】
【表1】

【0043】
第1表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・ポリシロキサン−1:下記式で表されるメチルフェニルジクロロシランの加水分解縮合物。メチルフェニルジクロロシラン100gを室温の条件下で3時間反応させて得られたもの。得られたポリシロキサンをポリシロキサン−1とする。ポリシロキサン−1は、重量平均分子量870、シラノール基及びフェニル基を有し、フェニル基含有量50モル%、25℃で液状、屈折率1.53である。
(C65−Si−CH32/2c(HO1/2e
[式中、cは0.76であり、eは0.24である。]
・ポリシロキサン−2:下記式で表される、メチルフェニルジクロロシランおよびフェニルトリクロロシランの加水分解縮合物。メチルフェニルジクロロシラン(100g)およびフェニルトリクロロシラン(20g)を室温の条件下で3時間反応させて得られたもの。得られたポリシロキサンをポリシロキサン−2とする。ポリシロキサン−2は、重量平均分子量920、シラノール基及びフェニル基を有し、フェニル基含有量57.7モル%、25℃で液状、屈折率1.55であり、ポリシロキサン−2に含まれる少なくとも一部の縮合物は分岐を有する。
(C65−SiO3/2b(C65−Si−CH32/2c(HO1/2e
[式中、bは0.12でありcは0.66でありeは0.22である。]
・ポリシロキサン−3:下記式で表される、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシランおよびトリメチルクロロシランの加水分解縮合物。メチルフェニルジクロロシラン(100g)、フェニルトリクロロシラン(20g)およびトリメチルクロロシラン(1g)を室温の条件下で3時間反応させて得られたもの。得られたポリシロキサンをポリシロキサン−3とする。ポリシロキサン−3は、重量平均分子量850、シラノール基及びフェニル基を有し、フェニル基含有量57.5モル%、25℃で液状、屈折率1.55であり、ポリシロキサン−3に含まれる少なくとも一部の縮合物に分岐を有する。
(C65−SiO3/2b(C65−Si−CH32/2c((CH33−SiO1/2d(HO1/2e
[式中、bは0.12でありdは0.01でありcは0.66であり、eは0.21である。]
・シリコーンレジン−1:下記式で表される化合物。商品名SILRES604(屈折率1.53。シラノール基、アルコキシシリル基、フェニル基を有する。25℃で固体。数平均分子量3000)(旭化成ワッカー製)
・シリコーンレジン−2:下記式で表される化合物。商品名SILRES605(屈折率1.53。シラノール基、アルコキシシリル基、フェニル基を有する。25℃で固体。数平均分子量2000)(旭化成ワッカー製)
・錫触媒:ネオスタンU−200、ジブチル錫ジアセテート(日東化成)
・亜鉛触媒:22%オクトープZn(ホープ製薬)(表中の量は使用した製品の量を示す。)
・ジルコニウム触媒:ナフテン酸とZrテトラブトキサイドを1mol:1molで用いてこれらを室温で2時間撹拌して反応させた後、得られた反応物(トリブトキシジルコニウムナフテート)と0.1molのネオスタンU−200(上述の錫触媒)とを加熱で反応させて作製した。
【0044】
【表2】

【0045】
第2表に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・ポリシロキサン−1:第1表と同様
・ポリシロキサン4:ポリシロキサン−1の末端シラノールをテトラメトキシシランでキャップしたもの。ポリシロキサン−1(100g)とテトラメトキシシラン15gとを触媒として酢酸を用いて100℃の条件下で4時間反応させた後、過剰のテトラメトキシシランを減圧下で除去して得られたもの。得られたポリシロキサンをポリシロキサン5とする。ポリシロキサン5は、フェニル基を有しシラノール基を有さない。
・ポリシロキサン5:シラノール基を有しフェニル基を有さないポリシロキサン。商品名PRX413、信越化学工業社製
・シリコーンレジン−1:第1表と同様
・シリコーンレジン3:商品名DC3074(屈折率1.507。アルコキシシリル基、フェニル基を有しシラノール基を有さない。25℃で液体。東レ・ダウコーニング社製)
・シリコーンレジン4:249FLAKE(屈折率1.55。シラノール基、フェニル基を有し、アルコキシシリル基を有さない。25℃で固体。東レダウコーニング製)
・シリコーンレジン5:KR480(屈折率1.55。アルコキシシリル基、フェニル基を有し、シラノール基を有さない。25℃で固体。信越化学工業製)
・シリコーンレジン6:商品名SR1000(屈折率1.41。アルコキシシリル基、シラノール基を有し、フェニル基を有さない。25℃で固体。モメンティブパフォーマンス社製)
・(C)成分:第1表と同様
【0046】
第1表、第2表に示す結果から明らかなように、シラノール基を有さないポリシロキサンを含有する比較例1は初期硬化性が低く経時的に硬度が上昇して硬度変化が大きく硬化性に劣り十分に長いポットライフを確保することができなかった。アルコキシシリル基を有さないシリコーンレジンを含有する比較例2は初期硬化性が低く硬度変化が大きく硬化性に劣り十分に長いポットライフを確保することができなかった。シラノール基を有さないシリコーンレジンを含有する比較例3は初期硬化せず硬化性が著しく劣り十分に長いポットライフを確保することができなかった。シラノール基がなく室温で液体のシリコーンレジンとアルコキシシリル基がないシリコーンレジンとを含有する比較例4は初期硬化性及び硬化性、屈折率が低かった。フェニル基を有さないポリシロキサンを含有する比較例5は初期硬化性及び硬化性、屈折率が低く十分に長いポットライフを確保することができなかった。フェニル基を有さないシリコーンレジンを含有する比較例6は初期硬化性及び硬化性、屈折率が低く十分に長いポットライフを確保することができなかった。フェニル基を有さないポリシロキサン及びフェニル基を有さないシリコーンレジンを含有する比較例7は初期硬化性及び硬化性、屈折率が低く十分に長いポットライフを確保することができなかった。
これに対して実施例1〜10は短時間で高い硬度を発現させ経時的な硬度変化が少なく硬化性に優れる。また実施例1〜10は高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができる。
このように本発明の組成物は硬化性に優れ(具体的には短時間で高い硬度を発現させ経時的な硬度変化が少ない。)、高屈折率で透明性が高く十分に長いポットライフを確保することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シラノール基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で液状のオルガノポリシロキサン100質量部、
(B)シラノール基、アルコキシシリル基、及び、置換基を有してもよいフェニル基を有し、25℃で固体のオルガノポリシロキサンレジン1〜200質量部、並びに
(C)シラノール縮合触媒を0.01〜5質量部を含有する、光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が下記式(1)で示される請求項1に記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
式(1):(SiO4/2a(RSiO3/2b(R2SiO2/2c(R3SiO1/2d(HO1/2e
[式中、Rは置換基を有してもよいフェニル基又は1価の有機基(置換基を有してもよいフェニル基を除く。)であり同一でも異なっていてもよく、1分子中に含まれるRの合計量中30モル%以上が置換基を有してもよいフェニル基であり、a、b及びdは0又は正数であり、cは正数であり、cはa、b及びdのいずれよりも大きく、eは正数である。]
【請求項3】
前記成分(B)の量が前記(A)成分100質量部に対して5〜50質量部である請求項1又は2に記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
前記成分(C)が錫化合物、亜鉛化合物及びジルコニウム化合物から選ばれる1種以上の触媒である請求項1〜3のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
前記成分(C)が錫化合物及び亜鉛化合物を少なくとも含む請求項1〜4のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
前記成分(A)の屈折率が1.5以上である請求項1〜5のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項7】
前記成分(B)の屈折率が1.5以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項8】
光半導体が請求項1〜7のいずれかに記載の光半導体封止用熱硬化性シリコーン樹脂組成物によって封止されている封止体。

【公開番号】特開2013−95904(P2013−95904A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242617(P2011−242617)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】