説明

光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物、樹脂封止光半導体素子の製造方法、および樹脂封止光半導体素子

【課題】 トランスファー成形や圧縮成形により、成形性よく、また、効率的に樹脂封止し、表面タックの低い硬化物を与える光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ケイ素原子結合ビニル基を一分子中に少なくとも2個有し、その他のケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有さないオルガノポリシロキサン、(B)平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン、(C)ケイ素原子結合水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、ケイ素原子結合水素原子を0.7〜1.6質量%含有するオルガノポリシロキサン、および(D)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなり、前記(D)成分を含まない組成物の25℃の粘度と100℃の粘度が特定の関係である光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物、該組成物を用いる樹脂封止光半導体素子の製造方法、および該方法により製造される樹脂封止光半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトカプラー、発光ダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子を樹脂封止するために硬化性シリコーン組成物が用いられている。この硬化性シリコーン組成物には、得られるシリコーン硬化物が光半導体素子から発光する光あるいは該素子に受光される光を吸収・散乱しないことが要求されると共に、樹脂封止光半導体素子の信頼性を向上させるため、前記硬化物の着色や接着性の低下を生じないことが要求される。
【0003】
例えば、特許文献1には、(A)平均組成式:R1n(C65)mSiO(4-n-m)/2{式中、R1は同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基(但し、非置換のフェニル基を除く)、アルコキシ基または水酸基で、全R1の30〜90モル%がアルケニル基であり、nおよびmは、0.1≦n<0.8、0.2≦m<1.9、1≦n+m<2、且つ0.20≦m/(n+m)≦0.95を満たす正数である。}で示されるオルガノポリシロキサン、(B)平均組成式:R2abSiO(4-a-b)/2{式中、R2は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一または異種の置換(但し、エポキシ基置換およびアルコキシ基置換を除く)または非置換の一価炭化水素基、aおよびbは、0.7≦a≦2.1、0.01≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満たす正数である。}で示されるケイ素原子と結合する水素原子を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:組成物中全ケイ素原子結合アルケニル基に対する組成物中のケイ素原子結合水素原子の合計のモル比が0.5〜4.0となる量、および(C)ヒドロシリル化反応用触媒を含有し、キュラストメーターで測定した場合、成形温度において、測定直後から1dNmのトルクに達するまでの時間が5秒以上であり、且つ成形温度において1dNmのトルクから20dNmのトルクに達するまでの時間が2分以内である加熱硬化性シリコーン組成物が提案されている。しかし、この組成物は、成形温度において、熱時強度が高く、射出成形等に適用可能であるが、高温での粘度低下が大きいために、トランスファー成形や圧縮成形によると、バリの発生やボイド混入による不良率が高いという課題がある。
【0004】
一方、特許文献2には、(A)一分子中に平均0.2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)平均単位式:(R'3SiO1/2)a(SiO4/2)b(式中、R'は、同じかまたは異なる置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、a、bはそれぞれ正数であり、かつa/bは0.2〜3の数である。)で表され、かつケイ素原子に結合する水酸基量が400〜5000ppmである三次元網目状構造のオルガノポリシロキサン{前記(A)成分と(B)成分との合計量に対して10〜80重量%}、(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン{前記(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基との合計1モルに対して、本成分中ケイ素原子結合水素原子が0.2〜5モルとなる量}、および(D)ヒドロシリル化反応用触媒(触媒量)を有する硬化性シリコーン組成物が提案されている。また、特許文献3には、(A)平均組成式:(R1SiO3/2)a(R23SiO)b(R456SiO1/2)c(SiO4/2)d{式中、R1〜R6はそれぞれ同一もしくは異種の一価炭化水素基を示し、その全一価炭化水素基の1〜50モル%は非共有結合性二重結合含有基であり、a、b、cおよびdは各シロキサン単位のモル比を示す正数であり、a/(a+b+c+d)=0.40〜0.95、b/(a+b+c+d)=0.05〜0.60、c/(a+b+c+d)=0〜0.05、d/(a+b+c+d)=0〜0.10、a+b+c+d=1.0である。}で示されるオルガノポリシロキサンを(A)成分全体の30〜100質量%含有する、一分子中に2個以上の非共有結合性二重結合基を有する有機ケイ素化合物、(B)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)触媒量の白金系触媒を必須成分とする付加硬化型シリコーン樹脂組成物であって、前記(A)成分及び(B)成分のオルガノポリシロキサンがシラノール基を含有しない光半導体素子封止用樹脂組成物が提案されています。しかし、このような組成物は、フェニル基を高濃度で含有する硬化性シリコーン組成物に比べて、高温での粘度低下が低いことが知られているが、十分な機械的強度と低表面タック性を得るのに十分な高硬度を得るために、分岐状ポリマーの含有量を高くすると、粘度低下が大きくなり、フェニル基を含有する硬化性シリコーン組成物と同様に、高温での粘度が低下し、トラスファー成形や圧縮成成形において上記と同様の課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−185226号公報
【特許文献2】特開2006−213789号公報
【特許文献3】特開2006−299099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、トランスファー成形や圧縮成形により、成形性よく、また、効率的に樹脂封止し、表面タックの低い硬化物を与える光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物、この組成物を用いて、成形性よく、効率的に光半導体素子を樹脂封止する方法、及びこの方法により得られる、表面タックが低く、バリやボイドの少ない光半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物は、
(A)25℃における粘度が50〜100,000mPa・sであり、ケイ素原子結合ビニル基を一分子中に少なくとも2個有し、その他のケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有さないオルガノポリシロキサン、
(B)平均単位式:
(ViRSiO1/2)(RSiO1/2)(SiO4/2)(HO1/2)
{式中、Viはビニル基であり、Rは同じかまたは異なる炭素原子数1〜10のアルキル基であり、a、b、cおよびdはいずれも、a+b+c=1、a/(a+b)=0.15〜0.35、c/(a+b+c)=0.53〜0.62、d/(a+b+c)=0.005〜0.03を満たす正数である。}
で表されるオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分の合計の15〜35質量%}、
(C)ケイ素原子結合水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、ケイ素原子結合水素原子を0.7〜1.6質量%含有するオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分の合計のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.8〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物を硬化させるのに十分な量)
から少なくともなり、前記(D)成分を含まない組成物の25℃の粘度が3,000〜10,000mPa・sであり、当該粘度(mPa・s)をη25℃とし、前記(D)成分を含まない組成物の100℃での粘度(mPa・s)をη100℃としたとき、式:
Log10η100℃/Log10η25℃
の値が0.830〜0.870であることを特徴とする。この組成物は、硬化して、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータ硬さが60〜80であるシリコーン硬化物を形成するものが好ましい。
【0008】
本発明の樹脂封止光半導体素子の製造方法は、JIS C 2105に規定の熱板法によるゲル化時間が30〜120秒となる温度で、上記の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を用いてトランスファー成形または圧縮成形により光半導体素子を樹脂封止することを特徴とする。
【0009】
本発明の樹脂封止光半導体素子は、上記の方法により製造されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物は、トランスファー成形や圧縮成形により、成形性よく、また、効率的に光半導体素子を樹脂封止し、表面タックの低い硬化物を与えることができるという特徴がある。また、本発明の樹脂封止光半導体素子の製造方法は、成形性よく、効率的に光半導体素子を樹脂封止することができるという特徴がある。さらに、本発明の樹脂封止光半導体素子は、表面タックが低く、バリやボイドの少ないという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに、本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。
(A)成分は、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物に適度な柔軟性を付与するための成分であり、ケイ素原子結合ビニル基を一分子中に少なくとも2個有し、その他のケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有さないオルガノポリシロキサンである。本成分中のビニル基以外のケイ素原子結合有機基は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャルブチル基等の分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が例示される。本成分の25℃における粘度は50〜100,000mPa・sの範囲内であり、本組成物の取扱作業性が良好であり、また、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の機械的強度が良好であることから、300〜50,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。このような(A)成分の分子構造は特に限定されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状が挙げられる。
【0012】
(A)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Viはビニル基、Meはメチル基を表す。
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
ViMeSiO(MeSiO)800SiMeVi
MeSiO(MeSiO)140(MeViSiO)20SiMe
ViMeSiO(MeSiO)500(MeViSiO)15SiMeVi
ViMeSiO(MeSiO)780(MeViSiO)20SiMeVi
MeSi{O(MeSiO)80SiMeVi}
Si{O(MeSiO)60SiMeVi}
【0013】
(B)成分は、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物に適度な硬さと機械的強度を付与するための成分であり、平均単位式:
(ViRSiO1/2)(RSiO1/2)(SiO4/2)(HO1/2)
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Viはビニル基である。また、式中、Rは同じかまたは異なる炭素原子数1〜10のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャルブチル基等の分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が例示される。また、式中、a、b、cおよびdはいずれも、a+b+c=1、a/(a+b)=0.15〜0.35、c/(a+b+c)=0.53〜0.62、d/(a+b+c)=0.005〜0.03を満たす正数である。なお、a/(a+b)は0.15〜0.35の範囲内の数であり、本組成物に十分な硬化性を付与するため、0.2〜0.3の範囲内の数であることが好ましい。また、c/(a+b+c)は0.53〜0.62の範囲内の数であり、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物に十分な硬さや機械的強度を付与するため、0.55〜0.60の範囲内の数であることが好ましい。さらに、d/(a+b+c)は0.005〜0.03の範囲内の数であり、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物に十分な接着性や機械的強度を付与するため、0.01〜0.025の範囲内の数であることが好ましい。
【0014】
(B)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Viはビニル基、Meはメチル基を表す。
(ViMeSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.32(SiO4/2)0.58(HO1/2)0.02
(ViMeSiO1/2)0.15(MeSiO1/2)0.29(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
【0015】
(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計の15〜35質量%の範囲内であり、本組成物の25℃における粘度の著しい上昇を抑制し、また、100℃における粘度の著しい低下を抑制し、さらに、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物に適度な硬さと機械的強度を付与できることから、20〜30質量%の範囲内であることが好ましい。また、本組成物において、(A)成分と(B)成分の合計の含有量は特に限定されないが、(A)成分〜(D)成分の合計に対して80質量%以上であることが好ましく、特に、90質量%以上であることが好ましい。
【0016】
(C)成分は、本組成物を硬化するための成分であり、ケイ素原子結合水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基であるオルガノポリシロキサンである。本成分のケイ素原子結合有機基は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャルブチル基等の分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が例示される。また、本成分はケイ素原子水素原子を0.7〜1.6質量%含有する。これは、ケイ素原子水素原子の含有量が少ないと、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の硬さが低下し、接着性が不十分となるからであり、一方、含有量が多くなると、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の機械的強度が低下したり、硬さが高くなりすぎるからである。(C)成分の粘度は特に限定されないが、本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の機械的特性が良好であり、本組成物の充填性が良好であることから、25℃における粘度は1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、さらには、1〜5,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特には、5〜1,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0017】
(C)成分としては、次のようなオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Meはメチル基を表す。
MeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMe
MeSiO(MeHSiO)14SiMe
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
【0018】
(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分に含まれるビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.8〜2.0モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.9〜1.8モルの範囲内となる量である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物の硬化性が良好であり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の機械的特性や耐熱性が良好であるからである。
【0019】
(D)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。このような(D)成分としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、本組成物の硬化を著しく促進できることから白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体が例示され、特に、白金−アルケニルシロキサン錯体であることが好ましい。このアルケニルシロキサンとしては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンが例示される。特に、この白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−トテラメチルジシロキサンであることが好ましい。また、この白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性を向上させることができることから、この錯体に1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジアリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサンやジメチルシロキサンオリゴマー等のオルガノシロキサンオリゴマーを添加することが好ましく、特に、アルケニルシロキサンを添加することが好ましい。
【0020】
(D)成分の含有量は、本組成物の硬化を促進する量であれば特に限定されないが、具体的には、本組成物に対して、本成分中の金属原子が質量単位で0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、0.01〜50ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、本組成物の硬化性が良好であり、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の着色等の問題が生じ難いからである。
【0021】
本組成物には、その他任意の成分として、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール等の反応抑制剤を含有してもよい。この反応抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.0001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0022】
また、本組成物には、その接着性を向上させるための接着付与剤を含有してもよい。この接着付与剤としては、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を一分子中に少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が好ましい。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基が例示され、特に、メトキシ基が好ましい。また、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基;3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基等のエポキシ基含有一価有機基;3−メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;水素原子が例示される。この有機ケイ素化合物は本組成物中のアルケニル基又はケイ素原子結合水素原子と反応し得る基を有することが好ましく、具体的には、ケイ素原子結合アルケニル基またはケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。また、各種の基材に対して良好な接着性を付与できることから、この有機ケイ素化合物は一分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有するものであることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、アルキルシリケートが例示される。このオルガノシロキサンオリゴマーあるいはアルキルシリケートの分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、環状、網状が例示され、特に、直鎖状、分枝鎖状、網状であることが好ましい。このような有機ケイ素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物;一分子中にケイ素原子結合アルケニル基もしくはケイ素原子結合水素原子、およびケイ素原子結合アルコキシ基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物、ケイ素原子結合アルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物またはシロキサン化合物と一分子中にケイ素原子結合ヒドロキシ基とケイ素原子結合アルケニル基をそれぞれ少なくとも1個ずつ有するシロキサン化合物との混合物、メチルポリシリケート、エチルポリシリケート、エポキシ基含有エチルポリシリケートが例示される。この接着付与剤は低粘度液状であることが好ましく、その粘度は限定されないが、25℃において1〜500mPa・sの範囲内であることが好ましい。また、上記組成物において、この接着付与剤の含有量は限定されないが、本組成物の合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0023】
また、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、シリカ、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛等の無機質充填剤;ポリメタクリレート樹脂等の有機樹脂微粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤、溶剤等を含有してもよい。
【0024】
本組成物は、上記(D)成分を含まない組成物、すなわち、上記(A)成分〜(C)成分からなる組成物の25℃における粘度が3,000〜10,000mPa・sの範囲内であり、当該粘度(mPa・s)をη25℃とし、上記(A)成分〜(C)成分からなる組成物の100℃における粘度(mPa・s)をη100℃としたとき、式:
Log10η100℃/Log10η25℃
の値が0.830〜0.870の範囲内であり、好ましくは0.840〜0.860の範囲内であることを特徴とする。これは、この値が上記範囲の下限以上であると、バリが発生し難く、成形性が良好であるからであり、上記範囲の上限以下であると、金型中へ充填性や成形性が良好となるからである。
【0025】
本組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物の硬さは特に限定されないが、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータ硬さが60〜80の範囲内であり、好ましくは65〜75の範囲内である。これは、シリコーン硬化物の硬さが上記範囲の下限以上であると、シリコーン硬化物の表面タックが小さくなり、樹脂封止光半導体素子どうしの付着や封止樹脂表面へのごみの付着を抑制することができ、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーン硬化物の機械的特性が良好となり、高温での実装工程などで、封止樹脂にクラックを生じ難くなるからである。
【0026】
次に、本発明の樹脂封止光半導体素子の製造方法を詳細に説明する。
本方法で使用される封止用樹脂は上記の光半導体封止用硬化性シリコーン組成物である。本方法では、JIS C 2105に規定の熱板法によるゲル化時間が30〜120秒、好ましくは45〜90秒の範囲内となる温度で、光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を用いてトランスファー成形または圧縮成形により光半導体素子を樹脂封止することを特徴とする。これはゲル化時間が上記範囲の下限以上であると、成形時の金型中への充填性が良好となり、一方、上記範囲の上限以下であると、成形時間が短くなり、生産性が向上するからである。
【0027】
成形温度としては、生産性の点から、80℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、特に、100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。なお、光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物中の(D)成分や反応抑制剤の含有量を調整することにより、上記成形温度におけるゲル化時間を30〜120秒、好ましくは45〜90秒の範囲内とすることができる。
【0028】
次に、本発明の樹脂封止光半導体素子について詳細に説明する。
本発明の樹脂封止光半導体素子は、上記の方法により製造されたものである。このような光半導体素子としては、発光ダイオード(LED)が例示される。
【0029】
本半導体素子の一例である表面実装型LEDの断面図を図1に示した。図1で示されるLEDは、光半導体素子1がリードフレーム2上にダイボンドされ、この光半導体素子1とリードフレーム3とがボンディングワイヤ4によりワイヤボンディングされている。この光半導体素子1は本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物により形成されるシリコーン硬化物5により樹脂封止されている。
【0030】
図1で示される表面実装型LEDを製造する方法としては、光半導体素子1をリードフレーム2にダイボンドし、この光半導体素子1とリードフレーム3とを金製のボンディングワイヤ4によりワイヤボンドし、次いで、光半導体素子1に本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物をトランスファー成形または圧縮成形により、そのゲル化時間が30〜120秒、好ましくは45〜90秒の範囲内となるような成形温度で樹脂封止する方法が例示される。
【実施例】
【0031】
本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物、樹脂封止光半導体素子の製造方法、および樹脂封止光半導体素子を実施例と比較例により詳細に説明する。なお、粘度は25℃における値である。また、式中のMeはメチル基を表し、Viはビニル基を表している。
【0032】
[粘度]
光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物において、ヒドロシリル化反応用触媒を含まない組成物の25℃と100℃における粘度をそれぞれ、TA Instruments Advanced Rheometer AR550を用いて測定した。
【0033】
[ゲル化時間]
JIS C 2105-1992「電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法」に準じて、光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物の120℃のゲル化時間を、Alpha Technologies Rheometer MDR 2000Pを用いて測定した。
【0034】
[シリコーン硬化物の硬さ]
光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を150℃で2時間加熱して得たシリコーン硬化物の硬さをJIS K 6253-1997「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に規定されたタイプAデュロメータを用いて測定した。
【0035】
[成型性]
トランスファーモールド装置で組成物を平板のアルミナセラミック基板上に120℃、3分間で成型し、得られた成型物中のボイドの有無およびバリの発生の有無を確認した。
【0036】
[実施例1]
平均単位式:
(ViMe2SiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン25.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン44.50質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン26.06質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン4.30質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、および3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.04質量部を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0037】
[実施例2]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン30.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン45.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
で表されるジメチチルポリシロキサン10.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン10.56質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン4.30質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.3モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.04部を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0038】
[実施例3]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン20.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン30.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン45.19質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)14SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン4.66質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.8モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.05質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0039】
[実施例4]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン25.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン37.50質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン23.37質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン10.00質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン4.00質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.4モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.03質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0040】
[比較例1]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン15.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン23.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン58.20質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン3.67質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が2.0モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.03質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0041】
[比較例2]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.04(MeSiO1/2)0.4(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン15.00質量部、式:
(ViMeSiO1/2)0.15(MeSiO1/2)0.47(SiO4/2)0.38(HO1/2)0.0001
で表されるオルガノポリシロキサン20.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン10.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン49.36質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン5.5質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.04質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0042】
[比較例3]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.06(MeSiO1/2)0.44(SiO4/2)0.50(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン45.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン18.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)310SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン19.70質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン13.55質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)14SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン3.60質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.2モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.05質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0043】
[比較例4]
平均単位式:
(ViMeSiO1/2)0.11(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.56(HO1/2)0.01
で表されるオルガノポリシロキサン35.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)515SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン25.00質量部、式:
ViMeSiO(MeSiO)160SiMeVi
で表されるジメチルポリシロキサン35.94質量部、式:
MeSiO(MeHSiO)50SiMe
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン3.93質量部(前記ポリシロキサン中のケイ素原子結合ビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が1.0モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約6000ppm)0.10質量部、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール0.03質量部を均一に混合して光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物は、表面粘着性が無く、可撓性を有する高透明のシリコーン硬化物を形成することから、可視光、赤外線、紫外線、遠紫外線等の光を発光する光半導体素子の封止剤として好適である。特に、本発明の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を硬化してなるシリコーン硬化物は、温度によって透明性が変化しないので、高エネルギー、高出力の光半導体素子の封止剤として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の光半導体装置の一例であるLEDの断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 光半導体素子
2 リードフレーム
3 リードフレーム
4 ボンディングワイヤ
5 シリコーン硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃における粘度が50〜100,000mPa・sであり、ケイ素原子結合ビニル基を一分子中に少なくとも2個有し、その他のケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を有さないオルガノポリシロキサン、
(B)平均単位式:
(ViRSiO1/2)(RSiO1/2)(SiO4/2)(HO1/2)
{式中、Viはビニル基であり、Rは同じかまたは異なる炭素原子数1〜10のアルキル基であり、a、b、cおよびdはいずれも、a+b+c=1、a/(a+b)=0.15〜0.35、c/(a+b+c)=0.53〜0.62、d/(a+b+c)=0.005〜0.03を満たす正数である。}
で表されるオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分の合計の15〜35質量%}、
(C)ケイ素原子結合水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜10のアルキル基である、ケイ素原子結合水素原子を0.7〜1.6質量%含有するオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分の合計のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.8〜2.0モルとなる量}、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物を硬化させるのに十分な量)
から少なくともなり、前記(D)成分を含まない組成物の25℃の粘度が3,000〜10,000mPa・sであり、当該粘度(mPa・s)をη25℃とし、前記(D)成分を含まない組成物の100℃での粘度(mPa・s)をη100℃としたとき、式:
Log10η100℃/Log10η25℃
の値が0.830〜0.870である光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
硬化して、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータ硬さが60〜80であるシリコーン硬化物を形成する、請求項1記載の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
JIS C 2105に規定の熱板法によるゲル化時間が30〜120秒となる温度で、請求項1記載の光半導体素子封止用硬化性シリコーン組成物を用いてトランスファー成形または圧縮成形により光半導体素子を樹脂封止することを特徴とする樹脂封止光半導体素子の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法により製造されてなる樹脂封止光半導体素子。

【図1】
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【公開番号】特開2013−67683(P2013−67683A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205480(P2011−205480)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】