説明

光半導体装置用白色硬化性組成物、光半導体装置用成形体及び光半導体装置

【課題】硬化性に優れており、かつ硬化物の黄変が生じ難い半導体装置用白色硬化性組成物を提供する。
【解決手段】半導体装置用白色硬化性組成物は、エポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、酸化チタンと、酸化チタンとは異なる充填材とを含む。上記酸化チタン及び上記充填材の内の少なくとも一方の成分は、該成分5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物、並びに該光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた成形体及び光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)装置などの光半導体装置の消費電力は低く、かつ寿命は長い。また、光半導体装置は、過酷な環境下でも使用され得る。従って、光半導体装置は、携帯電話用バックライト、液晶テレビ用バックライト、自動車用ランプ、照明器具及び看板などの幅広い用途で使用されている。
【0003】
光半導体装置に用いられている発光素子である光半導体素子(例えばLED)が大気と直接触れると、大気中の水分又は浮遊するごみ等により、光半導体素子の発光特性が急速に低下する。このため、上記光半導体素子は、通常、光半導体装置用封止剤により封止されている。また、該封止剤を充填するために、上記光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に、枠状の成形体が配置されている。該枠状の成形体の内側に、上記封止剤が充填されている。該成形体は、リフレクター又はハウジングと呼ばれることがある。
【0004】
上記成形体を形成するための組成物の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と硬化剤と硬化触媒と無機充填材とを含む硬化性組成物が開示されている。この硬化性組成物を硬化させた硬化物を150℃の高温条件下に500時間放置した後に測定される光波長400nmにおける光拡散反射率は80%以上である。また、上記硬化性組成物では、トランスファー成形時のせん断離型力が10ショット以内に200KPa以下である。
【0005】
下記の特許文献2には、エポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と無機充填材と白色顔料とを含む硬化性組成物が開示されている。また、特許文献2では、硬化性組成物を用いたトランスファー成形によって貫通孔が複数形成された光反射層を配線部材上に形成し、上記貫通孔の一方の開口部を上記配線部材で塞いでなる複数の凹部が形成された成形体を得る工程と、光半導体素子を上記凹部内にそれぞれ配置する工程と、上記光反射層の表面を覆うように上記半導体素子が配置された上記凹部に封止樹脂を供給する工程と、上記封止樹脂を介在させることにより、上記光反射層の上記表面から離間させた状態で上記凹部を覆うレンズを配置した後、上記封止樹脂を硬化させる工程と、上記成形体を上記凹部ごとに分割して複数の光半導体装置を得る工程とを備える光半導体装置の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−141327号公報
【特許文献2】特開2011−9519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載のような従来の硬化性組成物をトランスファー成形する場合には、硬化性組成物の硬化速度が遅いという問題がある。このため、成形後の成形体を金型から取り出すことが困難であるという問題がある。
【0008】
さらに、従来の硬化性組成物を用いて成形体を得た場合には、成形体が黄変することがある。
【0009】
また、特許文献1に記載のような従来の硬化性組成物をトランスファー成形する場合には、ランナー部分から、トランスファー成形された成形体を含むLEDパッケージを分離する必要がある。しかしながら、従来の酸化チタンを含む硬化性組成物を用いた成形体は脆いので、上記LEDパッケージをランナー部分から分離する際に、成形体が損傷又は変形したり、成形体にクラック又は欠けが生じたりすることがある。
【0010】
また、特許文献2に記載のような光半導体装置の製造方法では、成形体が複数連なった分割前成形体を、個々の成形体に分割する必要がある。しかしながら、該分割前成形体を個々の成形体に分割する際に、成形体にクラックが生じたり、欠けが生じたりすることがある。すなわち、従来の硬化性組成物を用いた場合には、成形体の加工性が低いという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、硬化性に優れており、かつ硬化物の黄変が生じ難い光半導体装置用白色硬化性組成物、並びに該光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた成形体及び光半導体装置を提供することである。
【0012】
本発明の限定的な目的は、加工性に優れた成形体を得ることができる光半導体装置用白色硬化性組成物、並びに該光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた成形体及び光半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であって、エポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、酸化チタンと、酸化チタンとは異なる充填材とを含み、上記酸化チタン及び上記充填材の内の少なくとも一方の成分が、該成分5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有する、光半導体装置用白色硬化性組成物が提供される。
【0014】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物のある特定の局面では、上記酸化チタン及び上記充填材の内の少なくとも一方が、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されている。
【0015】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物の他の特定の局面では、上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物を構成する金属元素が、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、ストロンチウム、アンチモン、バリウム及びカルシウムからなる群から選択された少なくとも1種である。
【0016】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、上記酸化チタン及び上記充填材の内の少なくとも一方が、酸化ジルコニウムを含む被覆材料により被覆されている。
【0017】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物の別の特定の局面では、上記酸化チタンがルチル型酸化チタンであり、該ルチル型酸化チタンが、上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されている。
【0018】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物のさらに別の特定の局面では、塩基性を有する硬化促進剤がさらに含まれている。
【0019】
上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物及び脂環式骨格を有するエポキシ化合物の内の少なくとも1種を含むことが好ましい。上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。上記芳香族骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ当量は、400以上、3000以下であることが好ましい。上記エポキシ化合物は、脂環式骨格を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0020】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物の他の特定の局面では、上記充填材は、球状充填材と破砕充填材との双方を含む。
【0021】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる白色の光半導体装置用白色硬化性組成物であることが好ましい。この場合に、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、複数の成形体が連なった分割前成形体を得た後に、該分割前成形体を分割して個々の成形体を得るために用いられることが好ましい。
【0022】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上にかつ上記光半導体素子の側方に配置され、上記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部を有する成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る光半導体装置用成形体は、上述した光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる。
【0024】
本発明に係る光半導体装置は、リードフレームと、該リードフレーム上に搭載された光半導体素子と、該リードフレーム上に配置された成形体とを備えており、上記成形体が、上述した光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる。
【0025】
本発明に係る光半導体装置は、上記成形体が、上記光半導体素子の側方に配置されており、上記成形体の内面が上記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、エポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、酸化チタンと、酸化チタンとは異なる充填材とを含み、更に上記酸化チタン及び上記充填材の内の少なくとも一方の成分が、煮沸法によるpHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有するので、硬化性が良好であり、かつ硬化物の黄変を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた成形体を備える光半導体装置の一例を模式的に示す断面図及び斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた複数の成形体が連なった分割前成形体を含む分割前光半導体装置用部品の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた複数の成形体が連なった分割前成形体を含む分割前光半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
(光半導体装置用白色硬化性組成物)
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、エポキシ化合物(A)と、硬化剤(B)と、酸化チタン(C)と、酸化チタンとは異なる充填材(D)とを含む。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物では、硬化剤(B)は、酸無水物硬化剤である。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、硬化促進剤(E)を含まないか又は含む。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、硬化促進剤(E)を含むことが好ましい。
【0030】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物では、酸化チタン(C)及び充填材(D)の内の少なくとも一方の成分が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有する。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物では、酸化チタン(C)が煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンを含んでいてもよく、充填材(D)が煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す充填材を含んでいてもよく、酸化チタン(C)が煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンを含みかつ充填材(D)が煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す充填材を含んでいてもよい。また、酸化チタン(C)の全体が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示してもよく、酸化チタン(C)の一部が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示してもよい。充填材(D)の全体が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示してもよく、充填材(D)の一部が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示してもよい。
【0031】
上記煮沸法とは、上記成分5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定する方法である。
【0032】
本願明細書では、上記成分5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定する方法を、煮沸法と呼ぶことがある。
【0033】
上記煮沸法では、具体的には、上記成分5gを純水100mLに加えた液を、開口を有する容器内に入れる。上記容器を加熱することにより容器内の液を加熱し、容器内の液を沸騰させる。沸騰し始めてから5分間、沸騰状態を維持する。その後、容器の開口に栓体を取り付けて、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得る。容器の開口から栓を取り外して、得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて、水量を100mLとする。容器の開口に栓体を取り付けて、1分間振り混ぜた後、5分間静置する。このようにして、測定液を得る。得られた測定液のpHは、JIS Z8802の7.に記載された操作に準拠して測定できる。
【0034】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であることが好ましい。上記成形体は、所定の形状に成形された硬化物である。
【0035】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物における上述した構成の採用により、特に上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分の使用によって、白色硬化性組成物の硬化性を良好にし、かつ硬化物の黄変を生じ難くすることができる。硬化性を良好にするために、上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分以外の成分の塩基性を高めた場合には、黄変が生じやすくなる傾向があるが、上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分の使用により、黄変を十分に抑制できる。
【0036】
一般に酸化チタン及び充填材の表面にはそれぞれ、酸点と塩基点とが存在する。上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分の表面には、酸点に比べて塩基点が多く存在するので、上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分は硬化性の向上に大きく寄与する。なお、上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分とともに、上記煮沸法におけるpHが7以下である成分を用いても、上記煮沸法におけるpHが7を超え、11以下である成分による硬化性の向上効果は十分に得られる。
【0037】
酸化チタン(C)が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有することが好ましい。また、充填材(D)が、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有することも好ましい。
【0038】
酸化チタン(C)と充填材(D)との合計100重量%中、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す上記成分の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、100重量%以下である。煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す上記成分の含有量が上記下限以上であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、成形体の黄変がより一層生じ難くなる。酸化チタン(C)と充填材(D)との全体が煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す上記成分であってもよい。
【0039】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す上記成分の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは20重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは93重量%以下、更に好ましくは90重量%以下である。煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す上記成分の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、成形体の黄変がより一層生じ難くなる。
【0040】
さらに、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物における上述した構成の採用により、加工性に優れた成形体を得ることができる。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は成形性に優れているので、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物の使用により、均質なかつ良好な形状を有する成形体を容易に得ることができる。
【0041】
本発明では、例えば、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物を成形した後、ランナー部分から、成形された成形体を含むLEDパッケージを分離する際に、成形体に損傷、変形、クラック及び欠けが生じ難くなる。さらに、成形体が複数連なった分割前成形体を、個々の成形体に分割して、分割後成形体を得る場合に、成形体にクラック及び欠けが生じ難くなる。すなわち、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物の使用により、該光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた成形体を良好にダイシングすることができる。
【0042】
また、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物における上記組成を採用することによって、光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる成形体の光の反射率を高めることができる。得られる成形体は、光の反射率が高いので、光半導体素子から発せられる光が成形体に到達したときに光を効果的に反射させる。このため、光半導体装置から取り出される光の明るさを明るくすることができる。
【0043】
表面を塩基性にするために、酸化チタン(C)と充填材(D)との内の少なくとも一方は、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されていることが好ましい。この場合には、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、成形体の黄変がより一層生じ難くなる。酸化チタン(C)が、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されていることが好ましく、充填材(D)が、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されていることも好ましい。上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物としては、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、ストロンチウム、アンチモン、バリウム又はカルシウム等を含有する金属化合物が挙げられる。白色硬化性組成物の硬化性をより一層高め、かつ成形体の黄変をより一層抑制する観点からは、上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物を構成する金属元素は、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、ストロンチウム、アンチモン、バリウム及びカルシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。白色硬化性組成物の硬化性を更に一層高め、かつ成形体の黄変を更に一層抑制する観点からは、酸化チタン(C)と充填材(D)との内の少なくとも一方は、酸化ジルコニウムを含む被覆材料により被覆されていることが好ましい。酸化チタン(C)が、酸化ジルコニウムを含む被覆材料により被覆されていることが好ましく、充填材(D)が、酸化ジルコニウムを含む被覆材料により被覆されていることも好ましい。上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物として、酸化ジルコニウムが好適に用いられる。
【0045】
白色硬化性組成物の硬化性を更に一層高め、かつ成形体の黄変を更に一層抑制する観点からは、酸化チタン(C)がルチル型酸化チタンであり、該ルチル型酸化チタンが、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されていることが好ましい。
【0046】
上記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物による被覆方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0047】
水又は水を主成分とする液中に酸化チタン又は充填材を分散させ、スラリーを得る。必要に応じてサンドミル又はボールミル等により、酸化チタン又は充填材を粉砕する。次いで、スラリーのpHを中性又はアルカリ性、場合によっては酸性にする。その後、被覆材料の原料となる水溶性塩をスラリーに添加し酸化チタン又は充填材の表面を被覆する。その後、スラリーを中和し、酸化チタン又は充填材を回収する。回収された酸化チタン又は充填材は、乾燥又は乾式粉砕されてもよい。
【0048】
以下、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物に含まれている各成分の他の詳細を説明する。
【0049】
[エポキシ化合物(A)]
上記白色硬化性組成物は、熱の付与によって硬化可能であるように、エポキシ化合物(A)を含む。エポキシ化合物(A)はエポキシ基を有する。熱硬化性化合物としてエポキシ化合物(A)を用いることにより、成形体の耐熱性及び絶縁信頼性が高くなる。エポキシ化合物(A)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0050】
上記エポキシ化合物(A)の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、多塩素酸化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ化合物、ポリアミン化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、水添型芳香族エポキシ化合物、脂環式骨格を有するエポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物などが挙げられる。上記多塩素酸化合物としては、フタル酸及びダイマー酸等が挙げられる。上記ポリアミン化合物としては、ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸等が挙げられる。
【0051】
上記光半導体装置用白色樹脂組成物に含まれている上記エポキシ化合物(A)全体のエポキシ当量は好ましくは500以上、好ましくは20000以下である。該エポキシ当量が500以上であると、上記白色硬化性組成物の成形性がより一層良好になり、更に成形体が脆くなり難く、成形体の加工性がより一層良好になる。該エポキシ当量が20000以下であると、上記白色硬化性組成物の成形性がより一層良好になり、更に成形体の強度がより一層高くなる。上記エポキシ当量は、JIS K7236に準拠して測定される。
【0052】
成形体の強度を高め、成形体の加工性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物(A)は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)及び脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)の内の少なくとも1種を含むことが好ましい。上記エポキシ化合物(A)は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)と脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)との双方を含んでいてもよい。上記白色硬化性組成物は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)のみを含んでいてもよく、脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)のみを含んでいてもよい。
【0053】
成形体の強度及び耐熱性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物(A)は、芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)を含むことが好ましい。上記芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
リードフレームと成形体との密着性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物(A)は、脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)を含むことが好ましい。上記脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
上記芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、芳香族骨格を有する多塩基酸化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ化合物、及び芳香族骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0056】
上記成形体の強度及び耐熱性をより一層高める観点からは、上記芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)は、ビスフェノール骨格又はノボラック骨格を有することが好ましい。
【0057】
上記芳香族骨格を有するエポキシ化合物(A1)のエポキシ当量は、好ましくは400以上、好ましくは3000以下である。該エポキシ当量が400以上であると、上記白色硬化性組成物の成形性がより一層良好になる。該エポキシ当量が3000以下であると、成形体の強度がより一層高くなる。
【0058】
上記脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)の具体例としては、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ε−カプロラクトン修飾テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。上記成形体の耐熱性をより一層高める観点から、上記脂環式骨格を有するエポキシ化合物(A2)は2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学社製「EHPE−3150」)が好ましい。
【0059】
上記エポキシ化合物(A)の配合量は、熱の付与により適度に硬化するように適宜調整され、特に限定されない。上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、エポキシ化合物(A)の含有量は好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。エポキシ化合物(A)の含有量が上記下限以上であると、加熱により白色硬化性組成物がより一層効果的に硬化する。エポキシ化合物(A)の含有量が上記上限以下であると、成形体の耐熱性がより一層高くなる。
【0060】
[硬化剤(B)]
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、熱の付与によって効率的に硬化可能であるように、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)は、エポキシ化合物(A)を硬化させる。硬化剤(B)は酸無水物硬化剤である。上記酸無水物硬化剤としては、芳香族骨格を有する酸無水物及び脂環式骨格を有する酸無水物の内のいずれも使用可能である。上記硬化剤(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
好ましい上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0062】
上記酸無水物硬化剤は、二重結合を有さないことが好ましい。二重結合を有さない好ましい酸無水物硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0063】
上記エポキシ化合物(A)と上記硬化剤(B)との配合比率は特に限定されない。エポキシ化合物(A)100重量部に対して、硬化剤(B)の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、特に好ましくは3重量部以上、好ましくは500重量部以下、より好ましくは300重量部以下、更に好ましくは100重量部以下である。
【0064】
また、上記光半導体装置用白色硬化性組成物中で、エポキシ化合物(A)全体のエポキシ当量と硬化剤(B)の硬化剤当量との当量比(エポキシ当量:硬化剤当量)は、0.3:1〜2:1であることが好ましく、0.5:1〜1.5:1であることがより好ましい。上記当量比(エポキシ当量:硬化剤当量)が上記範囲を満足すると、成形体の耐熱性及び耐候性がより一層高くなる。
【0065】
(酸化チタン(C))
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は酸化チタン(C)を含むので、光の反射率が高い成形体を得ることができる。また、上記酸化チタン(C)の使用によって、酸化チタン(C)とは異なる充填材のみを用いた場合と比較して、光の反射率が高い成形体が得られる。上記光半導体装置用白色硬化性組成物に含まれている酸化チタン(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0066】
上記酸化チタン(C)は、ルチル型酸化チタン又はアナターゼ型酸化チタンであることが好ましい。ルチル型酸化チタンの使用により、耐熱性により一層優れた成形体が得られる。上記アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンよりも、硬度が低い。このため、アナターゼ型酸化チタンの使用により、上記硬化性組成物の成形性がより一層高くなる。
【0067】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記酸化チタン(C)の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下である。酸化チタン(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、成形体の光の反射率がより一層高くなり、更に成形体の耐熱性が高くなって、成形体が高温に晒されたときに黄変し難くなる。
【0068】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンの含有量は、0重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは15重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下である。上記煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、成形体の黄変がより一層生じ難くなる。
【0069】
(充填材(D))
上記充填材(D)は、酸化チタンとは異なる充填材である。上記充填材(D)は特に限定されない。上記充填材(D)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記充填材(D)として、無機充填材及び有機充填材の内のいずれも用いることができる。上記充填材(D)の具体例としては、シリカ、アルミナ、マイカ、ベリリア、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、ホウ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、炭化ケイ素、架橋アクリルの樹脂粒子及びシリコーン粒子等が挙げられる。上記充填材(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
成形体の強靭性を高め、成形体の加工性をより一層高める観点からは、上記充填材(D)は、球状充填材(D1)と破砕充填材(D2)との双方を含むことが好ましい。
【0072】
上記球状充填材(D1)は球状である。球状充填材(D1)はアスペクト比が2以下である充填材をいう。球状充填材(D1)は、真球状であってもよく、球を扁平にした楕円球状であってもよく、又はこれらに類似した形状であってもよい。
【0073】
上記破砕充填材(D2)は、破砕された充填材である。上記破砕充填材(D2)のアスペクト比は、特に限定されない。破砕充填材(D2)のアスペクト比は好ましくは1.5以上、好ましくは20以下である。アスペクト比が1.5未満である破砕充填材(D2)は、比較的高価である。従って、白色硬化性組成物のコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、破砕充填材(D2)の充填が容易である。
【0074】
上記破砕充填材(D2)のアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて、破砕充填材(D2)の破砕面を測定することにより求めることができる。
【0075】
上記球状充填材(D1)の好ましい例としては、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウム等の無機球状充填材、並びに架橋アクリルの樹脂粒子等の有機球状充填材等が挙げられる。上記球状充填材(D1)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記破砕充填材(D2)の好ましい例としては、シリカ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム及び炭化ケイ素等が挙げられる。上記破砕充填材(D2)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
成形性を高め、かつ熱伝導性及び光反射特性に優れた成形体を得る観点からは、上記破砕充填材(D2)は、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムであることが好ましい。
【0078】
上記充填材(D)の平均粒径、上記球状充填材(D1)の平均粒径及び上記破砕充填材(D2)の平均粒径はそれぞれ、好ましくは0.1μm以上、好ましくは100μm以下である。該平均粒径が上記下限以上であると、上記白色硬化性組成物の成形性がより一層良好になる。該平均粒径が上記上限以下であると、成形体の外観不良がより一層生じ難くなる。
【0079】
上記充填材(D)の上記球状充填材(D1)における平均粒径及び上記破砕充填材(D2)における平均粒径とは、体積基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値である。該平均粒径は、例えばレーザ光式粒度分布計を用いて測定可能である。該レーザ光式粒度分布計の市販品としては、Beckman Coulter社製の商品「LS
13 320」等が挙げられる。
【0080】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記充填材(D)の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下である。充填材(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の成形性がより一層高くなる。充填材(D)の含有量が上記上限以下であると、成形体の光の反射率がより一層高くなる。
【0081】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンとは異なる充填材の含有量は、0重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは20重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下である。上記煮沸法により測定されたpHが7を超え、11以下の値を示す酸化チタンとは異なる充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、成形体の黄変がより一層生じ難くなる。
【0082】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記酸化チタン(C)と上記充填材(D)との合計の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは93重量%以下、更に好ましくは90重量%以下である。酸化チタン(C)と充填材(D)の合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の成形性及び成形体の光の反射率がより一層高くなる。
【0083】
上記球状充填材(D1)と上記破砕充填材(D2)とを併用する場合には、上記光半導体装置用白色硬化性組成物では、上記球状充填材(D1)の含有量の上記破砕充填材(D2)の含有量に対する重量比(球状充填材(D1)/破砕充填材(D2))が、0.3以上、30以下であることが好ましく、1以上、15以下であることがより好ましい。上記球状充填材(D1)の含有量及び上記破砕充填材(D2)の含有量は、上記白色硬化性組成物100重量%中での含有量を示す。すなわち、上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、球状充填材(D1)と破砕充填材(D2)とを重量比(球状充填材(D1):破砕充填材(D2))で、3:10〜30:1で含むことが好ましく、1:1〜15:1で含むことがより好ましい。球状充填材(D1)の含有量が相対的に多くなると、成形体が脆くなり難く、成形体の加工性がより一層高くなって、成形体にクラック及び欠けがより一層生じ難くなる。破砕充填材(D2)の含有量が相対的に多くなると、成形体の強度がより一層高くなる。
【0084】
(硬化促進剤(E))
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、上記エポキシ化合物(A)と上記硬化剤(B)との反応を促進するために、硬化促進剤(E)を含むことが好ましい。硬化促進剤(E)の使用により、上記白色硬化性組成物の硬化性を高めることができ、更に成形体の耐熱性を高めることができる。硬化促進剤(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0085】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物では、上記硬化促進剤(E)が塩基性を有する硬化促進剤を含有することが好ましい。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、塩基性を有する硬化促進剤を含むことが好ましい。塩基性を有する硬化促進剤の使用により、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなる。
【0086】
なお、上記硬化剤が塩基性を有するか否かは、硬化剤1gをアセトン5gと純水5gとを含む液10g中に入れ、80℃で1時間撹拌しながら加熱し、次に加熱後の液中の不溶成分をろ過によって除去して抽出液を得たときに、該抽出液のpHが塩基性であることにより判断される。
【0087】
上記硬化促進剤(E)としては、例えば、ウレア化合物、オニウム塩化合物、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
【0088】
上記ウレア化合物としては、ウレア、脂肪族ウレア化合物及び芳香族ウレア化合物等が挙げられる。上記ウレア化合物の具体例としては、ウレア、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア及びトリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。これら以外のウレア化合物を用いてもよい。
【0089】
上記オニウム塩化合物としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩化合物等が挙げられる。
【0090】
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0091】
上記リン化合物は、リンを含有し、リン含有化合物である。上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート、及びテトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレート等が挙げられる。これら以外のリン化合物を用いてもよい。
【0092】
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、4,4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロアルカン、ジアザビシクロアルケン、第4級アンモニウム塩、トリエチレンジアミン、及びトリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールが挙げられる。これらの化合物の塩を用いてもよい。フェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−テトラフェニルボレートが挙げられる。
【0093】
上記有機金属化合物としては、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物等が挙げられる。上記有機金属化合物の具体例としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
【0094】
上記白色硬化性組成物の硬化性をより一層高め、更に成形体の耐熱性をより一層高める観点からは、上記硬化促進剤(E)は、ウレア化合物、オニウム塩化合物又はリン化合物であることが好ましい。上記硬化促進剤(E)は、ウレア化合物であることが好ましく、オニウム塩化合物であることも好ましく、リン化合物であることも好ましい。
【0095】
上記エポキシ化合物(A)と上記硬化促進剤(E)との配合比率は特に限定されない。エポキシ化合物(A)100重量部に対して、硬化促進剤(E)の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
【0096】
上記エポキシ化合物(A)100重量部に対して、上記塩基性を有する硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。塩基性を有する硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、硬化物の黄変がより一層生じ難くなる。
【0097】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、塩基性を有する硬化促進剤の含有量は好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。塩基性を有する硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、白色硬化性組成物の硬化性がより一層高くなり、硬化物の黄変がより一層生じ難くなる。
【0098】
(カップリング剤(F))
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、カップリング剤(F)をさらに含むことが好ましい。カップリング剤(F)の使用により、成形体において熱硬化性成分と酸化チタン(C)と充填材(D)との接着性が良好になる。カップリング剤(F)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0099】
上記カップリング剤(F)としては特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤が挙げられる。該シランカップリング剤としては、一般にエポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、カチオニックシラン系カップリング剤、ビニルシラン系カップリング剤、アクリルシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤及びこれらの複合系カップリング剤が挙げられる。カップリング剤(F)は、シランカップリング剤であることが好ましい。
【0100】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物100重量%中、上記カップリング剤(F)の含有量は好ましくは0.01重量%以上、好ましくは5重量%以下である。
【0101】
(他の成分)
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、離型剤、樹脂改質剤、着色剤、希釈剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、タレ防止剤又は蛍光体等を含んでいてもよい。上記希釈剤は、反応性希釈剤であってもよく、非反応性希釈剤であってもよい。
【0102】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0103】
上記フェノール系酸化防止剤の市販品としては、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 245、IRGANOX 259、及びIRGANOX 295(以上、いずれもBASF社製)、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−90、及びアデカスタブ AO−330(以上、いずれもADEKA社製)、Sumilizer GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、及びSumilizer GP(以上、いずれも住友化学工業社製)、HOSTANOX O10、HOSTANOX O16、HOSTANOX O14、及びHOSTANOX O3(以上、いずれもクラリアント社製)、アンテージ BHT、アンテージ W−300、アンテージ W−400、及びアンテージ W500(以上、いずれも川口化学工業社製)、並びにSEENOX 224M、及びSEENOX 326M(以上、いずれもシプロ化成社製)等が挙げられる。
【0104】
上記リン系酸化防止剤としては、シクロヘキシルフォスフィン及びトリフェニルフォスフィン等が挙げられる。上記リン系酸化防止剤の市販品としては、アデアスタブ PEP−4C、アデアスタブ PEP−8、アデアスタブ PEP−24G、アデアスタブ PEP−36、アデアスタブ HP−10、アデアスタブ 2112、アデアスタブ 260、アデアスタブ 522A、アデアスタブ 1178、アデアスタブ 1500、アデアスタブ C、アデアスタブ 135A、アデアスタブ 3010、及びアデアスタブ TPP(以上、いずれもADEKA社製)、サンドスタブ P−EPQ、及びホスタノックス PAR24(以上、いずれもクラリアント社製)、並びにJP−312L、JP−318−0、JPM−308、JPM−313、JPP−613M、JPP−31、JPP−2000PT、及びJPH−3800(以上、いずれも城北化学工業社製)等が挙げられる。
【0105】
上記アミン系酸化防止剤としては、トリエチルアミン、メラミン、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−トリル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン及び第四級アンモニウム塩誘導体等が挙げられる。
【0106】
上記エポキシ化合物(A)100重量部に対して、上記酸化防止剤の含有量は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。上記酸化防止剤の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、耐熱性により一層優れた成形体が得られる。
【0107】
上記着色剤としては特に限定されず、フタロシアニン、アゾ化合物、ジスアゾ化合物、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ化合物、アゾメチン化合物、赤外吸収材及び紫外線吸収剤などの各種有機系色素、並びに硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム及びコバルトグリーン等の無機顔料等が挙げられる。
【0108】
(光半導体装置用白色硬化性組成物の他の詳細及び光半導体装置用成形体)
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物である。上記リードフレームは、例えば、光半導体素子を支持しかつ固定し、光半導体素子の電極と外部配線との電気的な接続を果たすための部品である。上記成形体は、光半導体装置用成形体であり、光半導体素子搭載用基板であることが好ましい。
【0109】
光の反射率が高い成形体が得られるので、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上にかつ上記光半導体素子の側方に配置され、上記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部を有する成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であることが好ましい。
【0110】
光の反射率が高い成形体が得られるので、本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上にかつ上記光半導体素子を取り囲むように配置され、上記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部を内面に有する成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であることが好ましい。上記成形体は、上記光半導体素子を取り囲む外壁部材であることが好ましく、枠状部材であることが好ましい。なお、上記成形体は、光半導体装置において、光半導体素子を接合(ダイボンディング)するためのダイボンド材とは異なる。
【0111】
本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物は、複数の成形体が連なった分割前成形体を得た後に、該分割前成形体を分割して個々の成形体を得るために用いられることが好ましい。本発明に係る光半導体装置用白色硬化性組成物を用いた分割前成形体の加工性は高いので、該分割前成形体を分割して個々の成形体を得ても、成形体にクラック及び欠けを生じ難くすることができる。
【0112】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物は、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と酸化チタン(C)と充填材(D)と必要に応じて配合される他の成分とを、従来公知の方法で混合することにより得られる。上記白色硬化性樹脂組成物を作製する一般的な方法としては、各成分を押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等によって混練した後、混練物を冷却し、粉砕する方法が挙げられる。分散性を向上する観点からは、各成分の混練は、溶融状態で行うことが好ましい。混練の条件は、各成分の種類及び配合量により適宜決定される。15〜150℃で5〜40分間混練することが好ましく、20〜100℃で10〜30分間混練することがより好ましい。
【0113】
本発明に係る光半導体装置用成形体は、上述した光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる。上記光半導体装置用白色硬化性組成物は所定の形状に成形される。上記光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる成形体は、光半導体装置において、光半導体素子から発せられた光を反射するために好適に用いられる。
【0114】
上記光半導体装置用白色硬化性組成物を用いて上記光半導体装置用成形体を得る方法としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、積層成形法、射出成形法、押出成形法及びブロー成形法等が挙げられる。なかでも、トランスファー成形法が好ましい。
【0115】
トランスファー成形法では、例えば、成形温度100〜200℃、成形圧力5〜20MPa及び成形時間60〜300秒の条件で、上記光半導体装置用白色硬化性組成物をトランスファー成形することにより、成形体が得られる。
【0116】
(光半導体装置の詳細及び光半導体装置の実施形態)
本発明に係る光半導体装置は、リードフレームと、該リードフレーム上に搭載された光半導体素子と、上記リードフレーム上に配置された成形体とを備え、該成形体が、上記光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる。
【0117】
本発明に係る光半導体装置では、上記成形体は、上記光半導体素子の側方に配置されており、上記成形体の内面が上記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部であることが好ましい。
【0118】
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係る光半導体装置を断面図及び斜視図で示す。
【0119】
本実施形態の光半導体装置1は、リードフレーム2と光半導体素子3と第1の成形体4と第2の成形体5とを有する。光半導体素子3は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。第1の成形体4と第2の成形体5とは一体的に形成されておらず、別の2つの部材である。第1の成形体4と第2の成形体5とは一体的に形成されていてもよい。
【0120】
リードフレーム2上に、光半導体素子3が搭載され、配置されている。また、リードフレーム2上に、第1の成形体4が配置されている。また、複数のリードフレーム2間とリードフレーム2の下方とには、第2の成形体5が配置されている。第1の成形体4の内側に光半導体素子3が配置されている。光半導体素子3の側方に第1の成形体4が配置されており、光半導体素子3を取り囲むように第1の成形体4が配置されている。第1,第2の成形体4,5は、上述した光半導体装置用白色硬化性組成物の硬化物であり、上述した光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる。従って、第1の成形体4は、光反射性を有し、内面4aに光反射部を有する。すなわち、第1の成形体4の内面4aは光反射部である。従って、光半導体素子3の周囲は、第1の成形体4の光反射性を有する内面4aにより囲まれている。
【0121】
第1の成形体4の内面4aは、内面4aの径が開口端に向かうにつれて大きくなるように形成されている。従って、光半導体素子3から発せられた光のうち、内面4aに到達した矢印Bで示す光が内面4aにより反射され、光半導体素子3の前方側に進行する。
【0122】
光半導体素子3は、リードフレーム2上に、ダイボンド材6を用いて接続されている。光半導体素子3に設けられたボンディングパッド(図示せず)とリードフレーム2とが、ボンディングワイヤー7により電気的に接続されている。光半導体素子3及びボンディングワイヤー7を封止するように、第1の成形体4の内面4aで囲まれた領域内には、封止剤8が充填されている。
【0123】
光半導体装置1では、光半導体素子3を駆動すると、破線Aで示すように光が発せられる。光半導体装置1では、光半導体素子3からリードフレーム2の上面とは反対側すなわち上方に照射される光だけでなく、第1の成形体4の内面4aに到達した光が矢印Bで示すように反射される光も存在する。従って、光半導体装置1から取り出される光の明るさは明るい。
【0124】
なお、図1に示す構造は、本発明に係る光半導体装置の一例にすぎず、成形体の構造及び光半導体素子の実装構造等には適宜変形され得る。
【0125】
また、図2に示すように、複数の光半導体装置用部品が連なった分割前光半導体装置用部品11を用意して、分割前光半導体装置用部品11を破線Xで示す部分で切断して、個々の光半導体装置用部品を得てもよい。光半導体装置用部品11は、分割前リードフレーム2Aと、分割前第1の成形体4Aと、分割前第2の成形体5Aとを有する。個々の光半導体装置用部品得た後、光半導体素子3を搭載し、該光半導体素子3を封止剤8により封止して、光半導体装置1を得てもよい。分割前リードフレーム2Aを破線Xで示す部分で切断すると、リードフレーム2が得られる。分割前第1の成形体4Aを破線Xで示す部分で切断すると、第1の成形体4が得られる。分割前第2の成形体5Aを破線Xで示す部分で切断すると、第2の成形体5が得られる。
【0126】
さらに、図3に示すように、複数の分割前光半導体装置が連なった分割前光半導体装置12を用意して、分割前光半導体装置12を破線Xで示す部分で切断して、個々の光半導体装置を得てもよい。分割前光半導体装置12は、分割前リードフレーム2Aと、分割前第1の成形体4Aと、分割前第2の成形体5Aとを有する。また、図1に示す光半導体装置1と同様に、分割前光半導体装置12では、分割前リードフレーム2A上に、光半導体素子3が搭載され、配置されている。なお、図2,3では、分割前光半導体装置用部品及び分割前光半導体装置では、複数の成形体が連なって分割前成形体が形成されているが、複数の成形体が連なっていない分割前光半導体装置用部品及び分割前光半導体装置を分割して、光半導体装置用部品及び光半導体装置を得てもよい。
【0127】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0128】
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
【0129】
(エポキシ化合物(A))
1)YD−012(芳香族骨格を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量650、新日鐵化学社製)
2)YD−019(芳香族骨格を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量2900、新日鐵化学社製)
3)YDCN704(芳香族骨格を有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210、新日鐵化学社製)
4)EHPE3150(脂環式骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ当量180、ダイセル化学社製)
【0130】
(硬化剤(B))
1)リカシッドHH(ヘキサヒドロ無水フタル酸、新日本理化社製)
2)リカシッドMH−700(ヘキサヒドロ無水フタル酸とメチルヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、新日本理化社製)
【0131】
(酸化チタン(C))
1)UT771(ルチル型酸化チタン、煮沸法によるpH8.1、Al,Zrにより表面処理されている、有機処理されている、石原産業社製)
2)CR−97(ルチル型酸化チタン、煮沸法によるpH7.1、Al,Zrにより表面処理されている、石原産業社製)
3)CR−90(ルチル型酸化チタン、煮沸法によるpH6.2、Al,Siにより表面処理されている、石原産業社製)
【0132】
なお、1)〜3)の酸化チタンは、塩基性金属化合物又は塩基性金属水酸化物により被覆されている。酸化チタンを表面処理する際に、金属種がAlである場合は水酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム、金属種がSiである場合は酸化珪素、金属種がZrである場合は酸化ジルコニウムが用いられている。
【0133】
(充填材(D))
1)MSR−3512(球状シリカ、煮沸法によるpH6.5、平均粒径30μm、龍森社製)
2)HSP−2000(球状シリカ、煮沸法によるpH6.5、平均粒径2μm、東亜合成社製)
3)A−1(破砕シリカ、煮沸法によるpH6.8、平均粒径11μm、龍森社製)
4)LMS−400(破砕充填材であるタルク、煮沸法によるpH9.0、平均粒径3.8μm、富士タルク工業社製)
5)B−55(破砕充填材である硫酸バリウム、煮沸法によるpH8.5、平均粒径1.2μm、堺化学工業社製)
【0134】
(硬化促進剤(E))
1)SA102(DBU−オクチル酸塩、塩基性を有する、サンアプロ社製)
2)PX−4ET(テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオネート、塩基性を有する、日本化学工業社製)
【0135】
(実施例1〜15及び比較例1,2)
下記表1,2に示す各成分を下記表1,2に示す配合量で配合し、混合機(ラボプラストミルR−60、東洋精機製作所製)にて15分間混合し、溶融混練物を得た。溶融混練物が常温(23℃)で液状である場合、溶融混練物を白色硬化性組成物として用いた。溶融混練物が常温(23℃)で固体である場合、常温で粉砕した後、タブレット化して、白色硬化性組成物を得た。
【0136】
(評価)
(1)硬化性
銅素材(TAMAC 194)にエッチングにより回路を形成した後、銀メッキを施し、厚み0.2mmのリードフレームを得た。トランスファー成形(成形温度180℃、成形時間4分)でMAP成形法により上記リードフレーム上に、成形体を備えた光半導体装置搭載用基板を作製した。金型としては、縦15個×横10個のマトリックス状に配置された150個の凹部(光半導体素子搭載部)を有する一括成形用金型を用いた。キャビティサイズは、1個当たり6mm×3mm、深さ5mmとした。得られた光半導体装置搭載用基板を金型から取り外す際の状態から、硬化性を下記の基準で判定した。
【0137】
[硬化性の判定基準]
○:金型から取り出しが可能であった
×:金型から取り出す際に、成形体の金型への付着又は成形体の変形が見られた
【0138】
(2)外観
上記硬化性の評価で得られた成形体の色目を目視で観察した。
【0139】
(3)加工性
上記硬化性の評価で得られた成形体を170℃で2時間アフターキュアした。複数の成形体がマトリックス状に連なった分割前成形体を、ダイシング装置(ディスコ社製「DAD3350」)を用いて、個々の成形体に分割し、光半導体素子搭載部を1つ有する光半導体搭載用基板を150個得た。
【0140】
上記150個の光半導体搭載用基板における成形体のダイシング面を観察し、加工性を下記の基準で判定した。
【0141】
[加工性の判定基準]
○○:成形体にクラック又は欠けが発生した光半導体搭載用基板が、150個中3個以下
○:成形体にクラック又は欠けが発生した光半導体搭載用基板が、150個中4個以上、10個以下
×:成形体にクラック又は欠けが発生した光半導体搭載用基板が、150個中11個以上
【0142】
結果を下記の表1,2に示す。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【符号の説明】
【0145】
1…光半導体装置
2…リードフレーム
2A…分割前リードフレーム
3…光半導体素子
4…第1の成形体
4A…分割前第1の成形体
4a…内面
5…第2の成形体
5A…分割前第2の成形体
6…ダイボンド材
7…ボンディングワイヤー
8…封止剤
11…分割前光半導体装置用部品
12…分割前光半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物であって、
エポキシ化合物と、酸無水物硬化剤と、酸化チタンと、酸化チタンとは異なる充填材とを含み、
前記酸化チタン及び前記充填材の内の少なくとも一方の成分が、該成分5gを純水100mLに加えた液を加熱し、5分間沸騰させた後、23℃に達するまで静置し、沸騰処理液を得、次に得られた沸騰処理液に、沸騰により蒸発した水量の水を加えて水量を100mLとした液のpHを測定したときに、pHが7を超え、11以下の値を示す成分を含有する、光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項2】
前記酸化チタン及び前記充填材の内の少なくとも一方が、塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されている、請求項1に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項3】
前記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物を構成する金属元素が、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、ストロンチウム、アンチモン、バリウム及びカルシウムからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項4】
前記酸化チタン及び前記充填材の内の少なくとも一方が、酸化ジルコニウムを含む被覆材料により被覆されている、請求項2又は3に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項5】
前記酸化チタンがルチル型酸化チタンであり、
前記ルチル型酸化チタンが、前記塩基性金属酸化物又は塩基性金属水酸化物により被覆されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項6】
塩基性を有する硬化促進剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項7】
前記エポキシ化合物が、芳香族骨格を有するエポキシ化合物及び脂環式骨格を有するエポキシ化合物の内の少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項8】
前記エポキシ化合物が、芳香族骨格を有するエポキシ化合物を含む、請求項7に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項9】
前記芳香族骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ当量が、400以上、3000以下である、請求項7又は8に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項10】
前記エポキシ化合物が、脂環式骨格を有するエポキシ化合物を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項11】
前記充填材が、球状充填材と破砕充填材との双方を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項12】
光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる白色の光半導体装置用白色硬化性組成物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項13】
光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上に配置される成形体を得るために用いられる白色の光半導体装置用白色硬化性組成物であって、
複数の成形体が連なった分割前成形体を得た後に、該分割前成形体を分割して個々の成形体を得るために用いられる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項14】
光半導体装置において、光半導体素子が搭載されるリードフレーム上にかつ上記光半導体素子の側方に配置され、前記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部を有する成形体を得るために用いられる光半導体装置用白色硬化性組成物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる、光半導体装置用成形体。
【請求項16】
リードフレームと、
前記リードフレーム上に搭載された光半導体素子と、
前記リードフレーム上に配置された成形体とを備え、
前記成形体が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光半導体装置用白色硬化性組成物を硬化させることにより得られる、光半導体装置。
【請求項17】
前記成形体が、前記光半導体素子の側方に配置されており、前記成形体の内面が前記光半導体素子から発せられた光を反射する光反射部である、請求項16に記載の光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−43917(P2013−43917A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181553(P2011−181553)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】