説明

光半導体装置

【課題】比較的簡便な構成で光電変換素子の交換作業を簡略化することができる光半導体装置を提供する。
【解決手段】
フレキシブル基板は、表面に複数の光電変換素子を有する。位置決め手段は、複数の光電変換素子の配列方向に沿ってフレキシブル基板を移動せしめ、光電変換素子の少なくとも1つを使用位置に位置決めする。基板ガイドは、フレキシブル基板が摺動可能に当接され、フレキシブル基板の移動をガイドする。基板ガイドは、使用位置において光電変換素子の1つを挟む両側に配置される一対の棒状部材により構成される。光電変換素子は、一対の棒状部材を介して駆動電力の供給を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス等の光電変換素子を用いた光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置のエネルギー効率を改善すべく、白熱球や蛍光灯に代わる光源の研究開発が進められている。最近では高輝度LED(発光ダイオード)などが候補のひとつとして有力視されており、実際に応用製品が商品化されている。そして、それを追う形で有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと称する)を用いた照明も商品化が見え始めている。
【0003】
LED照明は発光素子が点のように発光するため光を何らかの方法で拡散させる必要がある。これに対して、有機EL照明はパネル自体が発光するので、広く均一な光を得ることができるといったメリットがある。また、パネルが非常に薄型であり、壁や天井などにパネルを張り付けることで部屋の壁面そのものを照明にすることも可能であり、またプラスチック基板のパネルを用いることにより曲面に張り付けることもできる。
【0004】
また、LED照明では発光素子自体の青色光と、青色光が蛍光体に当たることで得られる黄色系の光によって白色光を得ている。これに対して有機EL照明では例えば赤、緑、青の発光層を積層あるいは並置することで白色光を得ることができる。これにより自然でやわらかい色合いでかつ紫外線も含まない目にやさしい光を得ることができる。各色の層厚を変えることで色温度の異なるパネルを製造することも可能である。
【0005】
特許文献1には、フレキシブル基板上に形成された有機EL素子を供給ロールと巻き取りロールに収納可能とした照明システムが開示されている。フレキシブル基板を巻き取りロールに巻き取ることにより、フレキシブル基板の表側に形成された正電極と負電極がフレキシブル基板の裏面側に形成されたストライプ状の電極により短絡状態とされ、巻き取りロールに巻き取られた有機EL素子が非発光となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−176633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機EL素子を用いた照明装置においては、他の照明装置と同様、有機EL素子の故障または劣化によって所望の輝度が得られなくなった場合には有機EL素子を新しいものに交換する必要がある。交換に際しては、新しい有機EL素子の購入や設置、使用済み有機EL素子の取り外しや廃棄といった作業が必要となり、交換作業に手間と時間を費やすこととなる。とりわけ有機EL素子は蛍光灯などの他の光源デバイスと比較して寿命が短く交換頻度は高まると、ユーザにとって使い勝手が悪いものとなってしまう。
【0008】
また、特許文献1に記載されるように、供給ロールと巻き取りロールの間の領域を面状光源として使用する場合、フレキシブル基板の巻き取り量に応じて各ロールの径が変動し、発光面の向きも変動することとなる。照明装置の光取り出し面に対して有機EL素子が正対していないと、光の取り出し量が減少してしまい効率が低下する。従って、特にフレキシブル基板を用いた有機EL照明装置においては、照明装置の光取り出し面と有機EL素子とを平行に保つための機構が必要となる。
【0009】
また、特許文献1に記載の照明システムの構成によれば、巻き取りロールに巻き取られた有機EL素子以外は、発光状態となる。すなわち、供給ロールに蓄積された有機EL素子を未使用状態で保管しておくといった使い方ができない。従って、照明光源として機能していない供給ロールに蓄積された有機EL素子も劣化が進行してしまう。
【0010】
また、特許文献1に記載の照明システムにおいては、有機EL素子の通電を制御するために、フレキシブル基板の両面に電極を形成する必要がある。また、巻き取ったロールの径が変化した場合でも、巻き取りによって電極間の短絡を可能とするべくストライプ状の電極をフレキシブル基板の全長に亘って形成する必要があり製造コストが増加する。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、比較的簡便な構成で光電変換素子の交換作業を簡略化することができる光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光半導体装置は、表面に複数の光電変換素子を有するフレキシブル基板と、前記複数の光電変換素子の配列方向に沿って前記フレキシブル基板を移動せしめ、前記光電変換素子の少なくとも1つを使用位置に位置決めする位置決め手段と、前記フレキシブル基板が摺動可能に当接され、前記フレキシブル基板の移動をガイドする基板ガイドと、を含み、前記基板ガイドは、前記使用位置において前記光電変換素子の1つを挟む両側に配置される一対の棒状部材により構成され、前記光電変換素子は、前記一対の棒状部材を介して駆動電力の供給を受けることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は本発明の実施例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。図1(b)は図1(a)における1b−1b線に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施例に係るフレキシブル基板上に形成された有機EL素子を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は本発明の実施例に係る素子電極の配置のバリエーションを示す平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】図6(a)は本発明の実施例に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図である。図6(b)は本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】図6(a)は本発明の実施例に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図である。図6(b)は本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】図6(a)は本発明の実施例に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図である。図6(b)は本発明の実施例に係る基板上分離電極のパターンを示す図である。
【図9】本発明の実施例に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図
【図10】図10(a)は本発明の実施例に係る照明装置の構成を示す斜視図である。図10(b)は図10(a)における10b−10b線に沿った断面図である。図10(c)は本発明の実施例に係るガイドの構成を示す平面図である。
【図11】本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施例に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【図13】本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施例に係る太陽光発電装置の構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施例に係る光起電力素子の構成を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光半導体装置は、表面に複数の光電変換素子および複数の光電変換素子の各々に接続された素子電極を有するフレキシブル基板と、複数の光電変換素子の配列方向に沿ってフレキシブル基板を移動せしめ、光電変換素子を使用位置に位置決めする位置決め手段と、フレキシブル基板が摺動可能に当接され、フレキシブル基板の移動をガイドする基板ガイドと、を含む。基板ガイドは、使用位置において素子電極と接触する導電部を有する。
【0015】
このような本発明の構成によれば、フレキシブル基板の移動および位置決めが自動化され、光電変換素子の交換作業の簡略化を図ることが可能となる。また、基板ガイドは、使用位置において素子電極と接触する導電部を有する故、フレキシブル基板の移動をガイドするガイド機能のみならず光電変換素子との間で電力の授受を行う電力伝達機能を有をも有し得る。このように基板ガイドが複数の機能を持つことにより、装置の構成を簡略化することが可能となる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。尚、以下に示す図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。
【実施例1】
【0016】
図1(a)は、本発明の実施例に係る光半導体装置としての照明装置1の構成を示す斜視図、図1(b)は、図1(a)における1b−1b線に沿った断面図である。図2は、本発明の実施例に係る照明装置1を構成するフレキシブル基板10上に形成された複数の有機EL素子20を示す斜視図である。
【0017】
フレキシブル基板10は、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)等の良好な可撓性を有するプラスチック材料により構成される。図2に示すように、フレキシブル基板10上には、光電変換素子の一種である複数の有機EL素子20がフレキシブル基板10の長手方向に沿って一定間隔で配列されている。有機EL素子20の各々を挟む両側には、有機EL素子20に駆動電力を供給するための素子電極32および34が形成されている。尚、フレキシブル基板10上には有機材料または無機材料からなる防湿膜や平坦化膜などの機能膜が1層以上形成されていてもよい。
【0018】
フレキシブル基板10の長手方向の両端には回転軸12aおよび14aが接続されており、回転軸12aおよび14aの軸周りにフレキシブル基板10を巻き取ることにより、供給ロール12および回収ロール14が形成される。供給ロール12は、未使用の有機EL素子を蓄積しておくための収納部であり、回収ロール14は、例えば故障または劣化した使用済みの有機EL素子を蓄積しておくための収納部である。回転軸12aおよび14aは、それぞれギアまたはベルトを介してモータ52および54に接続されており、モータ52および54を駆動することにより回転軸12aおよび14aが回転し、未使用の有機EL素子が供給ロール12から送出されるとともに使用済みの有機EL素子が回収ロール14に回収される。すなわち、有機EL素子20の配列方向に沿ってフレキシブル基板10が供給ロール12側から回収ロール14側に移動する。回転軸12aおよび14aは、フレキシブル基板10の移動方向と直交する方向に向けられている。
【0019】
枠体70は、供給ロール12、回収ロール14および後述する基板ガイド42、44等の照明装置1の各構成要素を内部に収容する。このため、これらの各構成要素は外部から視認されないようになっている。枠体70は有機EL素子20の大きさとほぼ等しいまたはこれよりも若干小さい光取り出し開口部72を有する。有機EL素子20から放射された光は、光取り出し開口部72から外部に取り出せるようになっている。光取り出し開口部72は例えば部分的に形成された光透過性部材により構成することとしてもよい。この場合、光取り出し開口部72の表面が照明装置1の光取り出し面となる。モータ52および54が制御部60から供給されるモータ駆動信号に応じて動作することにより、供給ロール14に蓄積されている未使用の有機EL素子20が順次光取り出し開口部72の形成位置(以下使用位置と称する)に位置決めされる。フレキシブル基板10に形成された複数の有機EL素子20の各々は、使用位置において照明光源としての機能を発揮する。尚、説明のため図1において枠体70は省略されている。
【0020】
一対の基板ガイド42および44は、供給ロール12から送出されるフレキシブル基板10を使用位置において平坦に保持して照明装置1の光取り出し面とフレキシブル基板10とが平行となるようにフレキシブル基板10をガイドするとともに有機EL素子20に駆動電力を与える。基板ガイド42および44は例えば有機EL素子20を棒状部材により構成され、供給ロール12と回収ロール14の間においてフレキシブル基板10の表面に当接するように配置される。また、基板ガイド42および44は、その長手方向がフレキシブル基板10の移動方向に対して直交し且つ光取り出し面に対して平行となるように配置される。基板ガイド42と44は、有機EL素子20が使用位置に位置決めされたときに当該有機EL素子の素子電極32および34に当接されるように一定間隔を隔てて互いに平行になるように配置される。基板ガイド42および44は、光取り出し開口部72の外側に配置され、供給ロール12および回収ロール14は、基板ガイド42および44の外側であって且つこれよりも投光方向後方に配置される。
【0021】
モータ52および54の駆動に伴ってフレキシブル基板10は、基板ガイド42および44上を摺動する。基板ガイド42および44は、フレキシブル基板10の移動を妨げないように、フレキシブル基板10と接触する部分の断面形状が円弧状であることが好ましい。ただし、この円弧の半径は、フレキシブル基板10が基板ガイド42および44に沿って曲げられた状態のときに、フレキシブル基板10、有機EL素子20、素子電極32、34が損傷することがない程度に十分に大きくする必要がある。基板ガイド42および44の形状は円柱状または円筒状の他、フレキシブル基板10と接する面が湾曲した角柱状であってもよい。基板ガイド42および44の長さはフレキシブル基板10の幅よりも長いことが好ましいが、フレキシブル基板10の幅よりも短い棒状部材を間隔を隔てて複数個並べて構成してもよい。
【0022】
基板ガイド42および44を設けることにより、供給ロール12および回収ロール14におけるフレキシブル基板10の巻き取り量の変化に伴ってロールの径が変化した場合でも、使用位置に位置決めされた有機EL素子20は、光取り出し面に対して平行な状態が維持される。尚、図1(b)に示すように、補助ガイド402および404を追加してフレキシブル基板10を両面から挟み込む構造としてもよい。
【0023】
基板ガイド42および44は、それぞれ配線202および204を介して制御部60に接続される。図5に示すように、制御部60は、有機EL素子20を駆動するための駆動電力を生成する駆動電力生成回路61を有しており、生成された駆動電力は配線202および204を介して基板ガイド42および44に供給される。基板ガイド42および44の材料は特に限定されないが、基板ガイド42および44が例えばプラスチックやガラス等の絶縁体により構成される場合、基板ガイド42および44には駆動電力生成部61から供給された駆動電力を出力するガイド上電源電極42aおよび44aがそれぞれ設けられる。ガイド上電源電極42aおよび44aは、例えば金属の薄板またはワイヤをガイド表面に配置したり、スパッタリング、蒸着、めっきなどの方法でガイド表面に金属や導電性酸化物などの導電性材料を堆積することにより形成することができる。有機EL素子20が使用位置に位置決めされたときに、当該有機EL素子の素子電極32および34とガイド上電源電極42aおよび44aとがそれぞれ接触することにより有機EL素子20に駆動電力の供給が行われる。フレキシブル基板10は、供給ロール12と回収ロール14との間で一定の張力が与えられており、基板ガイド42および44は一定の押圧でフレキシブル基板10に当接される。これにより、ガイド上電源電極42aおよび44aと、素子電極32および34との電気的接触が良好に保たれる。尚、ガイド本体をアルミニウムや銅などの導電性材料で構成することも可能である。この場合、ガイド本体が電極として機能するためガイド上電源電極を別途設けることを要しない。
【0024】
図3は、有機EL素子20の構造を例示す断面図である。有機EL素子20は、フレキシブル基板10上に陽極21、有機半導体層28、陰極26をこの順で積層することにより構成されるいわゆるボトムエミッション型の発光素子である。
【0025】
陽極21は、例えばスパッタリング法により100nm程度のITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの導電性酸化物をフレキシブル基板10上に成膜した後、エッチングによりパターニングすることで形成される。陽極21は素子電極34に接続するようにパターニングされる。尚、陽極21の材料はAlなどの金属やMg−Agなどの合金であってもよい。成膜方法としてはスパッタリングの他、蒸着法やめっき法などを用いることが可能である。パターニングの方法としてはエッチングの他、リフトオフ法やマスク蒸着法などを用いることが可能である。
【0026】
有機半導体層28は例えばホール注入層22、ホール輸送層23、発光層24、電子注入層25をこの順で積層することにより構成される。ホール注入層22は例えば厚さ10nm程度の銅フタロシアニン(CuPc)により構成され、ホール輸送層23は例えば厚さ50nm程度のα−NPD(Bis[N-(1-naphthyl)-N-pheny]benzidine)により構成され、発光層24は例えば厚さ50nm程度のAlq(tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum)により構成され、電子注入層25は例えば厚さ1nm程度のフッ化リチウム(LiF)により構成される。有機半導体層28を構成する上記各層は例えばマスク蒸着法などにより成膜することができる。
【0027】
陰極26は、例えばマスク蒸着法により100nm程度のAlを成膜することで形成される。陰極26は素子電極32に接続するようにパターニングされる。尚、陰極26の材料はMg−Agなどの合金であってもよいし、ITOやIZOなどの導電性酸化物であってもよい。
【0028】
尚、有機EL素子20を酸素や水分から保護する目的で、有機EL素子20の全面を被覆するように有機材料または無機材料からなる封止膜を形成してもよい。
【0029】
素子電極32および34は、有機EL素子20の陰極26および陽極21にそれぞれ接続される。素子電極32および34は、陽極21または陰極26と同じ材料により構成されていてもよいし、異なる材料により構成されていてもよい。素子電極32および34の材料としては、例えばAl、Cu、Au、Agなどの金属、Mg−AgやAg−Pd−Cuなどの合金、ITOやIZOなどの導電性酸化物、PEDOT(ポリ(3、4−エチレンジオキシフェン))などの導電性ポリマー、Agやカーボンブラックなどの導電性粒子を混合した樹脂やゴムなどが挙げられる。素子電極32および34の形状は、基板ガイド42および44と良好な接触が得られるように十分な接触面積を有している限り、特に限定されない。
【0030】
図4(a)〜(c)に素子電極32および34の配置のバリエーションを示す。図4(a)に示すように、素子電極32および34を有機EL素子20を挟む両側に配置してもよい。また、図4(b)に示すように、素子電極32および34を有機EL素子20の一辺に沿って配置してもよい。この場合、素子電極32および34の配置に対応するようにガイド上電源電極を配置する必要がある。すなわち、ガイド上電源電極42aおよび44aは、基板ガイド42または44のいずれか一方に設けられ、他方のガイドにはガイド上電源電極を設けることを要しない。また、図4(c)に示すように、1の有機EL素子に属する陰極側の素子電極32と当該1の有機EL素子に隣接する他の有機EL素子に属する陽極側の素子電極34とを接続してもよい。この場合、フレキシブル基板10上の全ての有機EL素子20が直列に接続された状態となるが、電力供給は基板ガイド42および44を介して有機EL素子毎に行われるため、動作上問題となることはない。
【0031】
図5は、制御部60の構成を示すブロック図である。制御部60は、有機EL素子20を駆動するための駆動電力を生成するとともに、有機EL素子20の位置検出を行い、位置検出結果に基づいてモータ52および54の駆動制御を行う。制御部60は、駆動電力生成回路61、電流センサ62、位置検出回路63およびモータ駆動回路64と、により構成される。
【0032】
駆動電力生成回路61は、外部より供給される照明ON/OFF指令に基づいて駆動電力を生成する。生成された駆動電力は、配線202および204を介してガイド上電源電極42aおよび44aから出力される。電流センサ62は、配線202を経由して有機EL素子20に供給される駆動電流の大きさに応じた電流検出信号を生成し、これを位置検出回路63に供給する。位置検出回路63は、電流検出信号によって示される電流値が所定値よりも大きいことを検出すると有機EL素子20が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成し、これをモータ駆動回路64に供給する。モータ駆動回路64は、外部より供給されるフレキシブル基板10の供給・回収指令に基づいてモータ52および54を駆動する一方、位置検出回路63より供給される位置検出信号に基づいてモータ52および54の駆動を停止させるべくモータ駆動信号を生成し、これをモータ52および54に供給する。
【0033】
モータ52および54はそれぞれ、ギアまたはベルトを介して供給ロール12および回収ロール14の回転軸12aおよび14aに接続され、回転軸12aおよび14aを回転駆動する。モータ52および54がモータ駆動回路64から供給されるモータ駆動信号に応じて駆動されると、フレキシブル基板10が供給ロール12から送出されるとともに回収ロール14に巻き取られる。モータ52および54は直流モータ、交流モータ、ステッピングモータなどにより構成することができるが、回転軸12aおよび14aを回転駆動する機能を有する限りその種類は特に限定されるものではない。尚、回収ロール14の回転軸14aのみにモータを接続して、フレキシブル基板10の供給および回収を行うことも可能である。
【0034】
本実施例に係る照明装置1における有機EL素子20の交換動作について以下に説明する。有機EL素子20に劣化や故障等の不具合が生じた場合、例えばユーザの手動によりモータ駆動回路64にフレキシブル基板10の供給・回収指令が発せられる。
【0035】
これを受信したモータ駆動回路64は、モータ52および54を動作させるべくモータ駆動信号を生成する。モータ52および54は、モータ駆動信号に応じてそれぞれ回転軸12aおよび14aを所定の方向に回転させる。回転軸12aおよび14aの回転に伴って、フレキシブル基板10は供給ロール12側から回収ロール14側へ基板ガイド42および44と接触しながら移動する。すなわち、供給ロール12から未使用の有機EL素子が光取り出し開口部72(使用位置)に向けて送出されるとともに使用済みの有機EL素子が回収ロール14に回収される。
【0036】
供給ロール12から送出された未使用の有機EL素子20が使用位置に達するまでは、素子電極32および34とガイド上電源電極42aおよび44aとは非接触状態であるので、有機EL素子20に対して駆動電力の供給は行われない。供給ロール12から送出された未使用の有機EL素子20が使用位置に達すると、素子電極32および34とガイド上電源電極42aおよび44aとが接触し、駆動電力生成回路61において生成された駆動電力は、基板ガイド42および44を介して当該有機EL素子20に供給される。これに伴って配線202および204に駆動電流が流れる。
【0037】
電流センサ62は、この駆動電流に応じた信号レベルを有する電流検出信号を生成し、これを位置検出回路63に供給する。位置検出回路63は、電流検出信号において示される電流値と所定のしきい値とを比較して、検出された電流値が所定のしきい値よりも高いことを検出した場合、有機EL素子20が使用位置に達したことを示す位置検出信号を生成し、これをモータ駆動回路64に供給する。
【0038】
モータ駆動回路64は、位置検出信号を受信すると、モータ52および54の回転を停止させるべくモータ駆動信号を生成し、これをモータ52および54に供給する。モータ52および54は、このモータ駆動信号に応じて回転軸12aおよび14aの回転を停止させる。これにより、フレキシブル基板10の移動が停止して、供給ロール12から送出された未使用の有機EL素子が光取り出し開口部72の形成位置、すなわち使用位置に位置決めされ、有機EL素子の交換動作が終了する。このとき、素子電極32および34は、それぞれガイド上電源電極42aおよび44aと接触しており、駆動電力生成回路61において生成された駆動電力は基板ガイド42および44を介して当該有機EL素子に供給され、当該有機EL素子が発光する。当該有機EL素子から発せられた光は、光取り出し開口部72から取り出される。
【0039】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施例に係る照明装置によれば、複数の有機EL素子20の配列方向に沿ってフレキシブル基板10を移動せしめ、有機EL素子20を使用位置に位置決めする位置決め手段として、位置検出回路63、モータ駆動回路64、モータ52および54、回転軸12aおよび14a等を含む故、供給ロール12に蓄積された未使用の有機EL素子の使用位置への位置決めと、劣化または故障した使用済みの有機EL素子の回収ロール14への回収を自動で行うことが可能となる。従って、有機EL素子の交換作業の手間を大幅に削減することが可能となる。
【0040】
また、有機EL素子20の供給・回収に際し、供給ロール12と回収ロール14の径の変動に関わらず、基板ガイド42および44はフレキシブル基板10を使用位置において平坦に保持し、照明装置の光取り出し面とフレキシブル基板とが平行となるようにフレキシブル基板10をガイドするので、照明装置の効率低下を防止することができる。
【0041】
また、本発明の実施例に係る照明装置によれば、基板ガイド42および44は、フレキシブル基板10をガイドする機能に加え、駆動電力の伝達経路としての機能を備えるとともに、有機EL素子の位置検出機能をも担う。このように、基板ガイド42および44に複数の機能を持たせることにより、部品点数を削減することができ、小型・軽量な照明装置を低コストで製造することが可能となる。
【0042】
また、本発明の実施例に係る照明装置によれば、使用位置に位置決めされた有機EL素子のみを発光させるので、供給ロール12に蓄積された有機EL素子を非発光状態で保管しておくことが可能となる。また、フレキシブル基板10の両面に電極を形成することを要しないので、製造が容易であり製造コストを抑えることができる。
【実施例2】
【0043】
図6(a)は、本発明の実施例2に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図である。本実施例に係る照明装置は、有機EL素子20の位置検出を行うために、フレキシブル基板10上に素子電極32、34から分離された基板上分離電極36が設けられ、基板ガイド42上にガイド上電源電極42aから分離されたガイド上分離電極46が設けられている点が上記した実施例1に係る照明装置と異なる。他の構成部分については上記した実施例1と同様である。以下、実施例1と相違する部分について詳細に説明する。
【0044】
フレキシブル基板10上には、各有機EL素子20に付随して基板上分離電極36が設けられている。基板上分離電極36は、例えば素子電極32の近傍に配置され且つ素子電極32から電気的に分離されている。基板上分離電極36は、各有機EL素子20に付随して少なくとも1つ設けられていればよく、素子電極34の近傍に形成されていてもよい。基板上分離電極36の形状やサイズに特に限定はないが、素子電極32および34よりも小さいサイズで形成することが可能である。
【0045】
図6(a)に示すように、基板ガイド42上には基板上分離電極36に対応する位置に一片のガイド上分離電極46が設けられている。ガイド上分離電極46は、例えばガイド上電源電極42aの近傍に配置され且つガイド上電源電極42aから電気的に分離されている。尚、ガイド上分離電極46は、基板上分離電極36の配置に応じて基板ガイド42および44のうちのいずれか一方にのみ形成されていればよい。
【0046】
有機EL素子20が使用位置に達したときに、ガイド上電源電極42aが素子電極32と基板上分離電極36の双方に接触し且つガイド上分離電極46が基板上分離電極36にのみ接触するように各電極36、42a、46が配置される。このような電極配置とすることにより、有機EL素子20が使用位置に到来すると、ガイド上分離電極46は基板上分離電極36を介してガイド上電源電極42aと電気的に接続される。これにより、ガイド上分離電極46にはガイド上電源電極42aから出力される駆動電圧が印加される。
【0047】
図6(b)は、図6(a)に示す態様の基板上分離電極36およびガイド上分離電極46を用いて有機EL素子20の位置検出を行うための制御部60bの構成を示すブロック図である。制御部60bは、上記実施例1における電流センサ62に代えて電圧センサ65を有する。電圧センサ65は、ガイド上分離電極46に接続され、ガイド上分離電極46に生ずる電圧の大きさに応じた信号レベルを有する電圧検出信号を生成し、これを位置検出回路63に供給する。位置検出回路63は、電圧センサ65より供給される電圧検出信号によって示される電圧値が所定値よりも大きいことを検出したときに有機EL素子20が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成する。すなわち、位置検出回路63は、ガイド上分離電極46と基板上分離電極36との接触に伴いガイド上分離電極46に駆動電圧が印加されたことを検出して有機EL素子20の位置検出を行う。
【0048】
図7(a)は、ガイド上分離電極46の他の形態を示した平面図である。同図に示すように、ガイド上分離電極46は互いに電気的に絶縁された2つのセグメントにより構成されていてもよい。有機EL素子20が使用位置に到来したときに、この2つのセグメントはそれぞれ、基板上分離電極36に接触するように配置され、ガイド上電源電極42aは基板上分離電極36と接触しないように配置される。このような電極配置とすることにより、有機EL素子20が使用位置に到来したときに、ガイド上分離電極46の2つのセグメントは、基板上分離電極36を介して互いに電気的に接続(短絡)される。
【0049】
図7(b)は、図7(a)に示す態様の基板上分離電極36およびガイド上分離電極46を用いて有機EL素子20の位置検出を行うための制御部60cの構成を示すブロック図である。制御部60cは、図6(b)に示す電圧センサ65に代えて抵抗センサ66を有する。抵抗センサ66は、ガイド上分離電極46に接続され、ガイド上分離電極46のセグメント間の抵抗の大きさに応じた信号レベルを有する抵抗検出信号を生成し、これを位置検出回路63に供給する。位置検出回路63は、抵抗センサ66より供給される抵抗検出信号によって示される抵抗値が所定値よりも低いことを検出したときに有機EL素子20が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成する。すなわち、位置検出回路63は、ガイド上分離電極46と基板上分離電極36との接触に伴いガイド上分離電極46のセグメント間が短絡されたことを検出して有機EL素子20の位置検出を行う。
【0050】
このように、実施例2に係る照明装置では、基板上分離電極36とガイド上分離電極46の接触によって生ずるガイド上分離電極46の電位状態に基づいて有機EL素子20の位置検出を行って有機EL素子20の位置決めを行う。実施例2に係る照明装置によれば、有機EL素子への電力供給と、有機EL素子の位置検出とを個別に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0051】
図8(a)は、本発明の実施例3に係る照明装置の部分的な構成を示す平面図である。本実施例に係る照明装置は、上記した実施例2に係る照明装置と同様、フレキシブル基板10上および基板ガイド42、44上にそれぞれ基板上分離電極36およびガイド上分離電極46が設けられている。本実施例に係る照明装置は、基板上分離電極36およびガイド上分離電極46を用いてフレキシブル基板10上に設けられた複数の有機EL素子20の個体識別を行う。以下、実施例1および2と相違する部分について詳細に説明する。
【0052】
フレキシブル基板10上には、各有機EL素子20に付随して基板上分離電極36が設けられている。基板上分離電極36は、素子電極32の近傍に配置され且つ素子電極32から電気的に絶縁されている。基板上分離電極36は、付随する有機EL素子毎に異なるパターンを有する。図8(b)に有機EL素子20の各々に付随する基板上分離電極36のパターンの一例を示す。基板上分離電極36は、例えば付随する有機EL素子毎に櫛歯の本数が異なる櫛歯型のパターンを有する。図8(b)の例では、互いに異なる7種類のパターンが例示されている。この7種類のパターンにより、フレキシブル基板10上に形成された7つの有機EL素子を識別することができる。
【0053】
図8(a)に例示すように、ガイド上分離電極46は、基板上分離電極36の櫛歯パターンに対応した3つのセグメントにより構成される。有機EL素子20が使用位置に到来すると、基板上分離電極36の図中最も左に位置する櫛歯は、ガイド上電源電極42aに接触する一方、他の櫛歯はガイド上分離電極46の対応するセグメントに接触する。これにより、ガイド上分離電極46は基板上分離電極36を介してガイド上電源電極42aと電気的に接続される。ガイド上分離電極46の各セグメントには、基板上分離電極36の櫛歯パターンに応じて付随する有機EL素子毎に互いに異なる態様で駆動電圧が印加される。
【0054】
電圧センサ65(図6(b)参照)は、ガイド上分離電極46に生じる電圧の大きさに応じた信号レベルを有する電圧検出信号を基板上分離電極36のパターンに応じてセグメント毎に出力する。位置検出回路63は、電圧センサ65より供給される電圧検出信号によって示される電圧値が所定値を超えたことを検出すると有機EL素子20が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成する。更に、位置検出回路63は、ガイド上分離電極46のどのセグメントに電圧が発生しているかを検出して有機EL素子20を特定して、その結果を識別信号として出力する。
【0055】
識別信号は、例えば供給ロール12に蓄積された未使用の有機EL素子の残数を表示するために使用することができる。この場合、位置検出回路63に接続された残数表示部(図示せず)が設けられ、機EL素子の残数は例えば、数値やランプの点灯数などの表示形態で表示される。
【0056】
図9は、有機EL素子20の個体識別を行うための他の構成を示す平面図である。同図に示すように、付随する有機EL素子毎に互いに異なる抵抗値を有する抵抗素子37が基板上分離電極36のセグメント間に設けられている。ガイド上分離電極46は、有機EL素子20が使用位置に到来したときに基板上分離電極36の各セグメントに接触するように配置された互いに絶縁された2つのセグメントにより構成される。
【0057】
抵抗センサ66(図7(b)参照)は、ガイド上分離電極46のセグメント間の抵抗の大きさに応じた信号レベルを有する抵抗検出信号を生成し、これを位置検出回路63に供給する。位置検出回路63は、抵抗センサ66より供給される抵抗検出信号によって示される抵抗値が所定値よりも低いことを検出したときに有機EL素子20が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成する。更に、位置検出回路63は、抵抗検出信号によって示される抵抗値に基づいて有機EL素子20の個体識別を行い、識別結果に応じた識別信号を生成する。
【0058】
このように、本実施例に係る照明装置よれば、基板上分離電極36のパターンや抵抗素子を有機EL素子の識別標識として用いることにより、有機EL素子20の位置検出と個体識別を同時に行うことが可能となり、照明装置の利便性を更に高めることができる。例えば、フレキシブル基板10上に互いに異なる発光色または発光形状を有する複数の有機EL素子を形成し、これらを選択的に使用位置に位置決めするといった利用も可能となり、1つの装置で多彩な発光態様を実現することが可能となる。
【実施例4】
【0059】
図10(a)は、本発明の実施例4に係る照明装置4の構成を示す斜視図、図10(b)は、図10(a)における10b−10b線に沿った断面図である。図10(c)は、本実施例に係る基板ガイド48の有機EL素子20との当接面を示す平面図である。本実施例に係る照明装置4は、基板ガイド48の形状が上記各実施例と異なる。他の構成部分は、上記した実施例1と同様である。
【0060】
基板ガイド48は、有機EL素子20が使用位置にあるときに、当該有機EL素子20の全面および素子電極32、34に当接される平坦面を有する面状部材により構成される。基板ガイド48は、有機EL素子20と当接する面が照明装置の光取り出し面と平行となるように配置される。フレキシブル基板10は、供給ロール12および回収ロール14の回転に応じて基板ガイド48の表面を摺動する。基板ガイド48は、フレキシブル基板10の移動を妨げないように、端面の断面形状が円弧状であることが好ましい。ただし、この円弧の半径は、フレキシブル基板10が基板ガイド48の端面に沿って曲げられた状態のときに、フレキシブル基板10、有機EL素子20、素子電極32、34が損傷することがない程度に十分に大きくする必要がある。
【0061】
基板ガイド48は、熱伝導性の高い材料により構成されていることが好ましく、例えばアルミや銅などの金属により構成される。また、基板ガイド48は絶縁体により構成されていてもよい。基板ガイド48の表面には、ガイド上電源電極42aおよび44bが設けられている。ガイド上電源電極42aおよび44aは、有機EL素子20が使用位置に到来したときに、素子電極32および34に接触するように配置される。基板ガイド48が導電性材料により構成されている場合、ガイド上電極42aおよび44aの直下に絶縁性を有する樹脂などからなる絶縁シート49を設け、電極42a−44a間を絶縁しておく必要がある。
【0062】
基板ガイド48は、上記各実施例において示した棒状部材からなる一対の基板ガイド42および44と同様、使用位置においてフレキシブル基板10を平坦に保持して光取り出し面とフレキシブル基板10とが平行となるように供給ロール12から順次送出されるフレキシブル基板10をガイドするとともに有機EL素子20に駆動電力を与える。さらに、基板ガイド48は、有機EL素子20の全面と接する平坦面を有していることから、有機EL素子20から発せられた熱を効率的に外部に放出するヒートシンクとしても機能有する。尚、基板ガイド48に、上記実施例2および3において示したガイド上分離電極46を設けることも可能である。
【実施例5】
【0063】
図11は、本発明の実施例5に係る照明装置を構成する制御部60dの構成を示すブロック図である。本実施例に係る照明装置は、有機EL素子20の劣化を検出するとともに、劣化検出時に有機EL素子20の交換を自動で行う機能を有する。かかる機能を実現するため、制御部60dは実施例1における制御部60の構成に加え、劣化検出回路67を更に有する。他の構成部分は上記した実施例1と同様である。
【0064】
劣化検出回路67は、ガイド上電源電極42aおよび44aと電気的に接続され、駆動時における有機EL素子20の陽極−陰極間の電圧をモニタする。有機EL素子20は劣化が進行すると発光輝度が低下するとともに順方向電圧が上昇するという特性を有する。劣化検出回路67はこの特性を利用して有機EL素子20の劣化検出を行う。すなわち、劣化検出回路67は基板ガイド42および44を介して観測される有機EL素子20の陽極−陰極間の順方向電圧が所定のしきい値よりも高いことを検出した場合にフレキシブル基板10の供給・回収指令を生成し、これをモータ駆動回路64に供給する。
【0065】
モータ駆動回路64は、供給・回収指令を受信すると、モータ52および54を回転させるべくモータ駆動信号を生成する。モータ52および54は、モータ駆動信号に応じてそれぞれ回転軸12aおよび14aを所定の方向に回転させる。これにより、供給ロール12から未使用の有機EL素子が送出されるとともに、使用済みの有機EL素子が回収ロール14に回収され、有機EL素子の交換動作が開始される。交換動作のその後のプロセスは上記した実施例1と同様である。
【0066】
このように、本実施例に係る照明装置によれば、有機EL素子の劣化が進行したときに、有機EL素子の交換動作が自動的に開始されるので、有機EL素子の交換に際してユーザが介在する必要がなくなり、利便性を更に向上させることができる。
【0067】
尚、有機EL素子20の劣化検出は、有機EL素子20の発光輝度をモニタすることでも実現することが可能である。具体的には、有機EL素子20から放射される光を受光できる位置にフォトダイオード等の受光素子(図示せず)を配置する。受光素子は、受光した光の強度に応じた光電流を生成する。劣化検出回路67は、受光素子が生成する光電流をモニタし、光電流が所定のしきい値よりも小さいことを検出した場合にフレキシブル基板10の供給・回収指令を生成する。
【実施例6】
【0068】
図12は、本発明の実施例6に係る表示装置6の構成を示す平面図である。上記各実施例では、有機EL素子を照明光源として用いたが、本実施例では複数の有機EL素子を表示装置の表示画素として用いる。本実施例に係る表示装置6において、フレキシブル基板10上には、任意の文字、画像および映像などを表示するための表示ユニット80が形成されている。表示ユニット80は、行方向に配列された行電極32a〜32eと、行電極32a〜32eと交差するように列方向に配列された列電極34a〜34eと、行電極32a〜32eと列電極34a〜34eの各交差部においてこれらの電極に挟持された複数の有機EL素子20により構成される。行電極32a〜32eは有機EL素子20の陰極26に接続され、列電極34a〜34eは有機EL素子20の陽極21に接続される。すなわち、行電極32a〜32eおよび列電極34a〜34eは、上記各実施例における素子電極32および34に対応する。行電極と列電極の間に挟まれた有機EL素子20の各々は表示セルとして機能する。フレキシブル基板10上には、複数の表示ユニット80が形成されており、未使用の表示ユニットは供給ロール12に蓄積され、劣化または故障した表示ユニットは回収ロールに蓄積される。
【0069】
基板ガイド42および44は、その長手方向がフレキシブル基板10の移動方向に対して直交し且つ光取り出し面に対して平行となるように配置される。基板ガイド42および44上には、行電極32a〜32eおよび列電極34a〜34eに対応するガイド上電源電極42a〜42eおよび44a〜44eが形成されている。表示ユニット80が使用位置に位置到来したときに、列電極32a〜32eおよび行電極34a〜34eとガイド上電源電極42a〜42eおよび44a〜44eとがそれぞれ接触するように各電極が配置されている。またフレキシブル基板10および基板ガイド42上にはそれぞれ、表示ユニット80を使用位置に位置決めするための基板上分離電極36およびガイド上分離電極46が形成されている。
【0070】
表示ユニット80を構成する有機EL素子の各々は、所謂パッシブマトリクス方式により駆動される。すなわち、行電極32a〜32eおよび列電極34a〜34eを介して表示セルを選択的に発光させることにより、任意の文字、画像および映像を表示する。
【0071】
図13は、本実施例に係る制御部60eの構成を示すブロック図である。表示コントローラ91は、外部から与えられる映像信号を受信すると、表示ユニット80において当該映像信号に応じた画像を表示すべく制御信号を生成し、これをロウドライバ92およびカラムドライバ93に供給する。ロウドライバ92は、当該制御信号に基づいて行電極32a〜32eに順次所定の電圧を印加していく。この電圧印加期間が行電極32a〜32eの選択期間とされる。カラムドライバ93は行電極32a〜32eの選択期間に同期して列電極34a〜34eに選択的に駆動電力を供給していく。これにより、表示ユニット80は入力映像信号に対応した映像を表示する。
【0072】
尚、表示ユニット80の交換動作は例えば上記した実施例2の場合と同様とすることができる。すなわち、抵抗センサ66がガイド上分離電極46のセグメント間の抵抗値をモニタし、位置検出回路63は、モニタされた抵抗値が所定値よりも低いことを検出すると表示ユニット80が使用位置に到来したことを示す位置検出信号を生成する。これにより、表示ユニット80の位置検出が行われ、表示ユニット80の交換を自動で行うことが可能となる。このように、本実施例に係る構成によれば、上記実施例1に係る照明装置の効果と同様の効果を表示装置においてももたらすことができる。
【実施例7】
【0073】
図14は、本発明の実施例7に係る太陽光発電装置7の構成を示す斜視図である。上記各実施例では、光電変換素子の一種である有機EL素子を照明光源または表示画素として機能させた。本実施例では光電変換素子として光起電力素子を用い、これを太陽電池として機能させている。すなわち、本実施例に係る太陽光発電装置7において、フレキシブル基板10上には、受光した光を電力に変換して出力する複数の光起電力素子100がフレキシブル基板10の長手方向に配列されている。
【0074】
太陽光発電装置7の基本構成は、有機EL素子が光電変換素100に置き換わる点を除き、実施例1に係る照明装置1と同様である。すなわち、未使用の光起電力素子は供給ロール12に蓄積され、劣化または故障した使用済みの光起電力素子が回収ロール14に蓄積される。供給ロール12および回収ロール14がモータ52および54の駆動力により回転することで、フレキシブル基板10は供給ロール12側から回収ロール14側へ光起電力素子100の配列方向に沿って基板ガイド42および44と接触しながら移動する。フレキシブル基板10上に形成された複数の光起電力素子100の各々は、これらが使用位置に位置決めされたときに太陽電池としての機能を発揮する。また、フレキシブル基板10およびガイド44にはそれぞれ、光起電力素子100を使用位置に位置決めするための基板上分離電極36およびガイド上分離電極46が形成されている。
【0075】
図15は、本実施例に係る光起電力素子100の構成を例示す断面図である。光起電力素子100は、フレキシブル基板10上に陽極101、有機半導体層108、陰極106をこの順で積層することにより構成される。
【0076】
陽極101は、例えばスパッタリング法により厚さ100nm程度のITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの導電性酸化物をフレキシブル基板10上に成膜した後、エッチングによりパターニングすることで形成される。陽極101は素子電極34に接続するようにパターニングされる。尚、陽極101の材料はAlなどの金属やMg−Agなどの合金により構成されていてもよい。成膜方法としてはスパッタリングの他、蒸着法やめっき法などを用いることが可能である。パターニングの方法としてはエッチングの他、リフトオフ法やマスク蒸着法などを用いることが可能である。
【0077】
有機半導体層108は例えばホール取り出し層102、発電層103、電子取出し層104、励起子ブロッキング層105をこの順で積層することにより構成される。ホール取り出し層102は例えば厚さ20nm程度の銅フタロシアニン(CuPc)により構成され、発電層103は例えば銅フタロシアニン(CuPc)およびフラーレン(C60)をモル比1:1で混合した厚さ40nm程度の混合材料により構成され、電子取り出し層104は例えば厚さ30nm程度のフラーレン(C60)で構成され、励起子ブロッキング層105は例えば厚さ10nm程度のBCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)で構成される。有機半導体層108を構成する各層は例えばマスク蒸着法などにより成膜される。尚、有機半導体層108を構成する各層の材料は例示したCuPcなどの低分子有機半導体に限らず、P3HT(poly(3-hexyl thiophene))などの高分子有機半導体や、フラーレン、カーボンナノチューブなどでもよく、特に限定されない。また、各層の成膜方法としてマスク蒸着法以外にインクジェット法や凸版印刷法などの塗布法を用いてもよい。
【0078】
陰極106は、例えばマスク蒸着法により100nm程度のAlを成膜することで形成される。陰極106は素子電極32に接続するようにパターニングされる。尚、陰極106の材料はAlなどの金属やMg−Agなどの合金により構成されていてもよいし、ITOやIZOなどの導電性酸化物により構成されていてもよい。
【0079】
尚、光起電力素子100を酸素や水分から保護する目的で、光起電力素子100の全面を被覆するように有機材料または無機材料からなる封止膜を形成してもよい。また、光起電力素子100は1つのセルから構成されていてもよいし、互いに直列接続または並列接続された複数のセルに分割されていてもよい。また、上記した例では有機半導体層108をホール取り出し層102、発電層103、電子取出し層104、励起子ブロッキング層105により構成したが、これらの他に平坦化層や光学バッファー層などの機能層を挿入してもよい。また、有機半導体層108を繰り返し積層した所謂タンデム構造としてもよい。この場合、積層した各ユニットは構成や材料が互いに異なっていてもよい。
【0080】
有機半導体層108は光を受けると直流電力を発電する。生成された電力は素子電極32および34から取り出され、基板ガイド42および44を介して制御部60fに供給される。基板ガイド42および44には、光起電力素子100が使用位置に位置決めされたときに素子電極32および34に接触するように配置されたガイド上受電電極42cおよび44cが設けられている。
【0081】
図16は、本実施例に係る制御部60fの構成を示すブロック図である。光起電力素子100において生成された電力は、ガイド上受電電極42cおよび44cにより受電され、配線202および204を介してインバータ68に供給される。インバータ68は光起電力素子100において生成された直流電力を所望の周波数および電圧の交流電力に変換してこれを出力端子69に出力する。尚、光起電力素子100において生成された直流電流を任意の電圧に昇圧または降圧して出力するDC−DCコンバータをインバータ69の代わりにまたはインバータ69とともに設けることとしてもよい。
【0082】
光起電力素子100の交換動作は例えば上記した実施例2の場合と同様とすることができる。すなわち、抵抗センサ66がガイド上分離電極46のセグメント間の抵抗値をモニタし、位置検出回路63は、モニタされた抵抗値が所定値よりも低いことを検出すると位置検出信号を生成する。これにより、光起電力素子100の位置検出が行われ、光起電力素子100の交換を自動で行うことが可能となる。
【0083】
本実施例に係る太陽光発電装置7は、屋外に設置されることが想定され、主に室内で使用される照明装置と比較して厳しい環境に曝される。このため、劣化や故障の可能性が高まり、交換頻度も高くなると考えられる。本実施例に係る太陽光発電装置によれば、太陽電池として機能する光起電力素子の交換作業の手間を大幅に削減することが可能となる。このように、本実施例に係る構成によれば、上記実施例1に係る照明装置の効果と同様の効果を太陽光発電装置においてももたらすことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 照明装置
10 フレキシブル基板
12 供給ロール
14 回収ロール
12a、14a 回転軸
20 有機EL素子
32、34 素子電極
36 基板上分離電極
42、44、48 基板ガイド
42a、44a ガイド上電源電極
46 ガイド上分離電極
52、54 モータ
60 制御部
63 位置検出回路
64 モータ駆動回路
70 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の光電変換素子を有するフレキシブル基板と、
前記複数の光電変換素子の配列方向に沿って前記フレキシブル基板を移動せしめ、前記光電変換素子の少なくとも1つを使用位置に位置決めする位置決め手段と、
前記フレキシブル基板が摺動可能に当接され、前記フレキシブル基板の移動をガイドする基板ガイドと、を含み、
前記基板ガイドは、前記使用位置において前記光電変換素子の1つを挟む両側に配置される一対の棒状部材により構成され、
前記光電変換素子は、前記一対の棒状部材を介して駆動電力の供給を受けることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記フレキシブル基板は、前記光電変換素子の各々に接続された素子電極を有し、
前記基板ガイドは、前記駆動電力を出力するガイド上電源電極を有し、
前記光電変換素子は、前記使用位置において前記素子電極と前記ガイド上電源電極との接触によって前記駆動電力の供給を受け、
前記位置決め手段は、前記光電変換素子への前記駆動電力の供給の開始に応じて前記フレキシブル基板の移動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記フレキシブル基板は、前記光電変換素子の各々に接続された素子電極と、前記光電変換素子の各々に付随し且つ前記素子電極から分離された基板上分離電極と、を有し、
前記基板ガイドは、前記駆動電力を出力するガイド上電源電極と、前記ガイド上電源電極から分離されたガイド上分離電極と、を有し、
前記光電変換素子は、前記使用位置において前記素子電極と前記ガイド上電源電極との接触によって前記駆動電力の供給を受け、
前記位置決め手段は、前記基板上分離電極と前記ガイド上分離電極との接触によって生ずる前記ガイド上分離電極の電位状態に応じて前記フレキシブル基板の移動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記基板上分離電極は、付随する光電変換素子毎に異なるパターンを有し、
前記光半導体装置は、前記基板上分離電極と前記ガイド上分離電極との接触によって生ずる前記ガイド上分離電極の電位状態に応じて前記光電変換素子を特定する識別信号を生成する識別手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載の光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−160703(P2012−160703A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266895(P2011−266895)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2011−546509(P2011−546509)の分割
【原出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】