説明

光及び腐食物質に対する材料の耐性を判断するための方法及び装置

促進耐候性試験装置は、試験チャンバ、ランプ(16)、ディスペンサ(18、20)、及び試験片支持部(14)を含む。ランプはUV放射を発生させて、該放射を試験片支持部に向けることができる。ディスペンサは、水又は酸の何れか、あるいはその両方を供給するために関連する液体源に接続される。試験片支持部は、試験チャンバ内でランプ及びディスペンサの下に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
天候が製品に損傷を与えることがある。損傷には、いくつかの例を挙げると、退色、黄変、変色、強度損失、脆化、酸化、光沢損失、亀裂、ぼやけ及びチョーキングがある。単に日光が製品に損傷を引き起こすだけでなく、酸性雨を含む雨もまた製品に損傷を与えることがある。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの自動車は、塗装された下地の上に、金属又はプラスチックであるクリアコーティングを含む。自動車のコーティングへの損傷は酸性雨から発生することがある。酸性雨が発生し温度が高かった場合に起こる酸触媒加水分解から、「ウォータースポット」の腐食が形成されることがある。腐食は、材料がそのコーティングの表面から失われる場合に形成される。十分な量の結合が壊されたときに、ポリマ分子又はその一部片が残りのコーティングから離され、洗い流される。
【0003】
自動車のクリアコートの腐食耐性を予測するための検査技術を開発する試みがなされてきた。コーティングされた下地に対する天候の影響を予測するために、促進耐候性試験装置が開発されてきた。このような促進耐候性試験装置は、試験片が配置される試験チャンバを有する。周知の促進耐候性試験装置は、コーティングされた下地に対する酸性雨及び日光の影響を正確にシミュレートしない。従って、このような耐候性試験装置ならびにこのような装置における試験片の性能を試験するための方法を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
促進耐候性試験装置が、酸性雨の存在下でのコーティングの腐食耐性に関連して説明されるが、以下で説明される装置は、酸性雨の作用に関して試験片を試験することのみに制限されない。この装置は、木材、屋根ふき材、織物、インク、接着剤、シーラント、パッケージング、プラスチック、金属などを含むいくつかの製品に対する光及び/又は腐食性溶液の影響を検査するのに用いることができる。以下で説明される耐候性試験装置は、他の用途にも同様に適用でき、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0005】
促進耐候性試験装置は、試験チャンバ、ランプ、ディスペンサ、及び試験片支持部を含む。ランプはUV放射を生成し、該放射を試験片支持部に向けることができる。ディスペンサは、水又は酸性溶液の何れかあるいはその両方を供給するために関連する液体源に接続される。試験片支持部は、試験チャンバ内でランプ及びディスペンサの下に配置される。試験片支持部は少なくとも実質的に水平な配向に試験片を支持するように構成される。
【0006】
促進耐候性装置における試験片に対する腐食性溶液の影響を生成するための方法もまた提供される。この方法は、試験片支持部の上に少なくとも実質的に水平に試験片を位置決めすることを含む。この方法は、さらに試験片を濡らすことを含む。この方法は、放射が試験片に当たるようにランプからの放射を選択的に放出することをさらに含む。この方法はまた試験片の制御された乾燥を含む。
【0007】
促進耐候性装置における試験片の風化を促進するための方法が提供される。この方法は、試験チャンバ内に試験片を位置決めし、所望の放射照度を選択し、所望のチャンバ空気温度を選択し、所望のブラックパネル温度を選択し、所望のチャンバ相対湿度を選択し、ブラックパネル温度を感知し、チャンバ空気温度を感知し、チャンバ相対湿度を感知することを含む。この方法はさらに、感知したブラックパネル温度を所望のブラックパネル温度と比較することを含む。この方法はまた、感知したチャンバ空気温度を所望のチャンバの空気温度と比較することを含む。この方法はまた、前述した比較ステップに応答して送風機システムを調整することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
促進耐候性装置10は、いくつかの異なる構成要素及びシステムを含む又はそれらと連通することができる試験チャンバ12を含み、以下でより詳細に説明される。促進耐候性装置10は、チャンバ12に配置される試験片支持部14、該試験片支持部14に光を向けるランプ16、流体を試験片支持部14に供給する流体ディスペンサ18及び20を含む。
【0009】
試験チャンバ12は複数の試験サンプルを保持するのに十分なだけ大きい。試験チャンバ12はまた、ランプ16ならびに流体ディスペンサ18及び20につながる配管を保持するのに十分なだけ大きくすることができる。試験チャンバはまた、ランプ16と試験片との間に適切なスペースをあけ、流体ディスペンサ18及び20と該試験片との間に適切なスペースをあけるのに十分なだけ大きくすることができる。適切なスペースは、放射及び液体を試験片上により均一に分配することを可能にする。
【0010】
試験片支持部14は、ランプ16ならびに流体ディスペンサ18及び20の下に位置している。試験片支持部は、複数の試験片を保持するのに十分なだけ大きいラック又はトレイとすることができる。試験片支持部は、サンプルの液体の流出の流れを妨げうる上方向に延びる側壁を含まないことが好ましい。代替的に、試験片支持部は、過剰な液体を試験片から自由に流出させる排水孔を含み、それにより試験片は液体が除去されるので液体に浸らない。試験片支持部は、実質的に水平な配向に試験片を支持するように設計される。このような実質的に水平な配向は、水平面から15度より小さいことが好ましく、水平面から10度より小さいことがより好ましい。このような水平な配向は、自動車のボンネット、トップ又はトランクの配向をシミュレートするという利点がある。水平な配向は、試験片上の水滴の形成を促進し、雨がこれらの実質的に平坦な水平面から容易には流出しないので、水滴が一定の位置で乾燥するという点で、自動車のボンネット、トップ又はトランクをより正確にシミュレートする。試験片支持部は固定してもよく、あるいは、例えば回転するなど、動いてもよい。
【0011】
キセノンランプ又は他の適切なランプとすることができるランプ16は、反射器22及び赤外線(IR)ミラー24の近くに取り付けられる。さらに、日光によって放出されたスペクトルをシミュレートするために、フィルタ26を用いてランプ16にフィルタをかけることができる。このようなフィルタ及びフィルタリングシステムは、当該技術分野では周知である。1つのランプが図2に概略的に示される。複数のランプ16を用いることもできる。
【0012】
放射照度コントローラ28がランプ16の出力を調整する。放射照度コントローラ28は出力を調整するためにランプ16に供給される電力の量を制御する調光器を含むことができる。放射照度コントローラ28は、ランプ16及びランプ30の放射照度センサと通信し、試験チャンバ12の光の量を測定し、この情報を放射照度コントローラ28に提供する。放射照度コントローラ28は入力制御パネル(図示せず)を介してユーザによって設定された値に従ってランプの出力を調整することができる。放射照度コントローラ及び入力制御パネルの実施例を含む促進耐候性装置が例えば米国特許第5,206,518号に示され、引用によりここに組み込まれる。
【0013】
バラスト32がランプ16に供給された電力を制御する。バラスト32は電力が該ランプ16にどれくらいの時間、供給されるかを制御するためにスイッチ及びタイマー機構34を通してランプ16と通信することができる。バラスト32はまたユーザの入力に応じてランプに供給される電力を制御するために放射照度コントローラ28と通信する。スイッチ及びタイマー機構34を用いることによって、昼間又は夜間の状態をシミュレートするようにランプ16をサイクルさせる、すなわち、電源を切ったり入れたりすることができる。スイッチ及びタイマー機構34が入力パネル(図示せず)からの入力を受信することができ、ユーザは特定のサイクル時間を設定することができる。
【0014】
試験片を放射に曝すことに加えて、試験片もまた腐食性溶液に曝すことができる。2つのディスペンサ18及び20が示され、説明されるが、しかしながら、1つのディスペンサ又は複数のディスペンサを設けることもできる。試験片に液体をスプレーする装置を参照して試験片を濡らすことが説明されるが、しかしながら、試験片は如何なる従来の様式ででも濡らすことができる。例えば、試験片は溶液に浸漬することができる。試験片を浸漬するために、側壁を有するトレイに試験片を配置することができ、該トレイに試験片を浸漬するための溶液を入れることができる。
【0015】
図7を参照すると、第1のディスペンサ18は、腐食性溶液源と流体連通しており、酸性雨をシミュレートするための酸性溶液、ならびに塩基性溶液、塩、有機体、他の化学物質を含むほかの腐食性溶液を収容することができる。第2のディスペンサ20は、脱イオンした市の水道水、ならびに、典型的な水道水、蒸留水などを含むことができる「清潔な」水源と流体連通する。第1のディスペンサは、その自由端に取り付けられたスプレーノズル36を備えたスプレーバー組立体を有する。同様に、第2のディスペンサは、その自由端に取り付けられたスプレーノズル38を備えたスプレーバー組立体を有する。ノズル36及び38は、該ノズルを通る液体の流量を調節するために、バルブ(図示せず)などを含むことができる。1つの実施形態において、ノズル36及び38が霧をスプレーする。霧を、所望の直径の水滴が試験片上に形成されるようにするのに十分なだけ長い時間、試験片上にスプレーすることができる。代替の実施形態において、ノズル36及び38は、暴風雨での水滴のサイズと同様の、試験片上に落ちる大きい水滴を噴出するように適合される。ノズルはまた、霧と大きい水滴との間のサイズで液体を供給し、あるいは、蛇口と同様の水流を提供するように構成することができる。タイマー40は、各ディスペンサが液体を供給する時間の長さ及びディスペンサ間の時間間隔を制御するために、ディスペンサ18及び20の各々と通信する。タイマー40は、入力パネル(図示せず)と通信することができ、それにより、ユーザは、各ディスペンサが液体を供給する時間の量及びディスペンサ間の時間間隔を入力することができる。また各ノズルのバルブ(図示せず)は、該ノズルから供給される水滴のサイズを制御するために、入力パネルと通信することができる。
【0016】
腐食性溶液の流れを説明すると、貯蔵容器42が腐食性溶液を収容する。貯蔵容器42は、パイプ46を通してポンプ組立体44と連通する。ポンプ組立体44はパイプ48を通してチェックバルブ50及び第1のディスペンサ18へ腐食性溶液をポンプで送り込む。第1のディスペンサ18は、試験チャンバ12に配置されるノズル36を含む。腐食性溶液の流路におけるパイプ及び構成要素は、それらを通って流れる腐食性溶液の存在下で劣化しないような好適な材料から構成される。
【0017】
水源(図示せず)からの水の流れを説明すると、水は、パイプ52を通過して水の入口バルブ56を通ってウォーター・フィルタ54と連通する。水は、ウォーター・フィルタ54でろ過され、次に、パイプ58を通る。パイプ58はティー62に接続され、該ティー62の一方の出口にパイプ64が接続され、該ティーの他方の出口にフロースイッチ66が接続される。フロースイッチ66は、該フロースイッチを通過する水の量を制御して、ティー62を介するパイプ64を通して如何なる過剰な水をも送る。パイプ64はパイプ72を介して給水組立体68に接続される。フロースイッチ66は流量計74と連通する。流量計74は第2のディスペンサ20に供給された水の量を測定する。流量計74はパイプ78を介してソレノイドバルブ76と連通する。ソレノイドバルブ76は第2のディスペンサ20に供給される水の量を制御する。ソレノイドバルブ76はパイプ84を介して圧力調整器82と連通する。圧力調整器82を通過する水の圧力を測定するために、圧力ゲージ86が設けられる。圧力調整器82は第2のディスペンサ20に供給される水の圧力を調整する。圧力調整器82はチェックバルブ92を介して第2のディスペンサ20と連通するパイプ88と連通する。第2のディスペンサ20は試験チャンバ12に配置されるノズル38を含む。
【0018】
チャンバ12は該チャンバから液体を除去するための排水管94を含む。排水管94はパイプ96に接続される。パイプ96は継手102を通して排水パイプ98と連通する。排水パイプ98はティー104に接続され、該ティー104は、第1の出口を介して出口パイプ106と、及び第2の出口を介して給水組立体68と連通する。給水組立体はパイプ108を介して、以下により詳細に説明されるように、水を加湿器に供給する。
【0019】
試験チャンバ12での試験片の乾燥を制御するために、試験チャンバの空調を制御するための調節システムが設けられる。試験チャンバ12と連通する多数の送風機を含む、調節システムの1つの実施形態が示される。しかし、他の調節システム、例えば、単一の送風機及びダンパーを有する調節システムを、試験チャンバ12内部の空調を制御するのに用いることもできる。
【0020】
図2を参照すると、促進耐候性装置10は、外気入口114を通して室内空気又は外気を空気混合ダクト116に引き込む外気送風機112を有する。外気は、空気混合ダクト116を通って移動し、そこで、湿度コントローラ120によって制御される加湿器118が、必要に応じて空気に付加的な湿度を加える。空気加熱器122は、空気がチャンバの入口ダクト124に流入する前に、必要に応じて空気の温度を上げる。図2にある複数の矢印は、促進耐候性装置全体にわたる空気の流れのパターンを例示するためのものである。
【0021】
任意に、第1空気温度センサ126が、その動作は以下でより十分に説明されるが、試験チャンバ12に入る前の空気温度を測定する。空気が、試験チャンバに及び試験片支持部14に配置された1つ又はそれ以上のサンプル132上に流入する。ブラックパネル温度センサ136が試験片支持部14に取り付けられることが好ましい。
【0022】
空気は、試験片支持部14の周りを通った後に、試験チャンバ12から流出し、排気ダクト140に流入し、第2のチャンバ空気温度センサ142及びチャンバ湿度センサ144が、排気空気温度及び相対湿度か又は湿球温度の何れかを測定する。この地点で、再循環空気送風機146が、任意に一部の空気を排気ダクトから引き戻し、再循環空気入口148を通して空気混合ダクト116に引き込み、システムを通る再循環のために外気送風機112によって引き込まれた外気と混合する。再循環空気送風機146を通してシステムに引き戻されなかった空気が、排気管150を通してシステムから流出する。以下でより十分に説明されるように、チャンバ空気とブラックパネル温度の両方を制御するために送風機コントローラ152が外気送風機112及び再循環空気送風機146の速度を制御する。図2は、2つの空気送風機を含む実施形態を例示しているが、耐候性装置は、他の多数の送風機システム、又は上述したような単一の送風機及びダンパーを含むことができると理解される。
【0023】
耐候性装置10において試験を実行するより前に、オペレータが適用可能な試験パラメータを指定又は設定する。所望の放射照度(IRRSP)及び以下、すなわち、(i)所望のブラックパネル温度(BPTSP)、(ii)所望のチャンバ空気温度(CATSP)のうちの少なくとも1つが設定されることが好ましい。さらに、所望の相対湿度(RHSP)を、実行される試験がそのように要求する場合にはオペレータが選択することができる。CAT及びBPTのうちの一方のみが指定される場合には、式によってか又はルックアップテーブルを通してかの何れかによって他方が推定されると理解される。
【0024】
技術者は、ランプ16からの放射の加熱効果のために、実際のチャンバ空気温度(CAT)を試験チャンバ12では直接測定できないことを理解するであろう。それゆえに、チャンバ空気温度は、典型的には第2のチャンバ空気温度センサ142を用いてチャンバ出口で測定される。代替的に、実際のチャンバ空気温度又は乾球温度が、試験チャンバ入口に配置される第1のチャンバ空気センサ126からの温度の読取値及び該チャンバ出口に配置される第2のチャンバ空気温度センサ142からの温度の読取値の平均を用いて測定される。第1及び第2のチャンバ空気温度センサからの温度の加重あるいは単純平均の何れかを使用できることが理解される。
【0025】
1つの実施形態において、ブラックパネル温度センサ136は、実際のブラックパネル温度(BPT)を測定する非絶縁ブラックパネルセンサを含む。代替的に、ブラックパネル温度センサ136は、実際のブラック標準温度(BST)を測定する絶縁ブラックパネルセンサを含む。以下に説明される制御方法においては、実行される耐候性試験の要求に応じて、BPT及びBSTを交互に用いることができると理解される。1つの実施形態において、チャンバ湿度センサ144は従来の相対湿度センサを含む。代替の実施形態において、乾球温度を提供するチャンバ空気温度センサ126、142の1つ又は両方からの温度の読取値に従って、相対湿度が湿球温度センサからの測定値に基づいて計算され、あるいは、検査される。
【0026】
図3を参照し、かつ同じ参照番号が同じ要素を示す図2を引き続き参照すると、送風機コントローラ152は、BPTSP及びCATSPといった所望の温度パラメータを受信し、格納する設定値(Set Point)手段170を含む。比較プロセッサ174が、第1及び第2のCATセンサ126、142及びBPTセンサ136からのCAT読取値及びBPT読取値と共に、設定値手段170からの所望の試験パラメータを受信する。以下により十分に説明されるように、比較プロセッサ174が所望の試験パラメータと測定されたパラメータを比較して、モータコントローラの信号を一対のモータコントローラ176、178に送信し、外気送風機112及び再循環空気送風機146のファンの速度を順に制御する。
【0027】
図4を参照すると、一旦、耐候性装置が作動すると、放射照度が設定され200、従来の様式でランプバラスト32(図1)によってIRRSPに制御される。バラスト32はランプ16に供給される電力を制御して、スイッチ及びタイマー機構34と通信することができる。従って、昼間又は夜間のサイクルをシミュレートするために、ランプ16がオンになっている時間ならびに該ランプの放射照度を周期的に変化させることができる。
【0028】
図4を参照すると、図2に例示される2つの送風機の実施形態が送風機コントローラ152によって制御される。ブラックパネル温度(BPT)とチャンバ空気温度(CAT)の両方が、所定の試験のために設定される210、220。空気がシステム全体にわたって循環するので、BPTが測定され230、該BPTが設定値BPTSPより上にあるかどうかを判断するために設定値と比較される250。BPTが設定値より上にある場合には、温度の上昇を補償するために外気送風機の速度が増加する270。すなわち、より多くの外気が外気送風機によって外気の入口を通して空気混合ダクトに引き込まれる。
【0029】
同時に、チャンバの空気温度(CAT)が測定されて240、CAT設定値、CATSPと比較される260、280。より具体的には、CATが設定値より上の場合には、再循環送風機の速度が減少する290。さらに、CATが設定値より下の場合には280、空気加熱器が使用可能になる295。この実施形態において2つの送風機が2つの自動の閉ループシステムとして送風機コントローラによって制御されることが理解される。すなわち、外気送風機(SF)の速度が、BPTによって制御され、判断され、一方再循環空気送風機(SR)の速度が、CATによって制御され、判断される。代替的に、送風機コントローラは、2つの自動の閉ループシステムとして2つの送風機を制御し、SFがCATによって制御され、判断され、一方SRがBPTによって制御され、判断される。この実施形態において、測定された温度が上昇すると、それぞれの送風機は速度が増加する。この実施形態において、空気加熱器を、CATの付加的な範囲を提供するために外気送風機と組み合わせて用いることができる。
【0030】
図5を参照すると、代替の実施形態において、送風機コントローラが、2つの送風機の速度を制御するために2つの出力を用いて、1つの自動の閉ループシステムとして2つの送風機を制御する。この実施形態において、全送風機速度(STOTAL=SF+SR)が、ブラックパネル温度(BPT)によって制御され、判断され、一方外気の割合(RFRESH=SF/STOTAL)又は同様の加重比が、チャンバ空気温度CATによって制御され、判断される。
【0031】
最初に、所望の放射照度が設定される300。さらに、所望のBPT及びCATが設定される310、320。測定されたBPT330は設定されたBPTと比較される340。さらに、CATが測定され350、CAT設定値と比較される360。この実施形態において、BPTが設定値であってCATが設定値より低い場合には、外気の割合RFRESHが減少し370、一方で全送風機速度STOTALが一定に維持される。言い換えると、外気送風機の速度が減少し、一方で再循環空気送風機の速度は増加する。BPTが設定値より低く、一方CATが設定値又はそれより高い場合には、外気の割合は一定のままであり、一方全送風機速度は減少する380。言い換えると、外気送風機の速度と再循環空気送風機の速度の両方が減少する。この実施形態において、達成できる温度の範囲を増加させるために、空気加熱器を用いることができる。
【0032】
図6を参照すると、代替の実施形態において、全送風機速度STOTALは、BPTによって制御され、判断され、一方送風機の速度比(RFRESH=SF/STOTAL)又は同様の加重比は、CATによって制御され、判断される。
【0033】
放射輝度が所望の値に設定される400。さらに、BPT及びCATは、両方ともそれぞれの所望の値に設定される410、420。BPT及びCATの両方が測定され430、450、それぞれの設定値と比較される440、460。この実施形態において、BPTが設定値であるが、しかし、CATが設定値より低い場合には、STOTALが一定に維持され、一方送風機の速度比RSPEEDが減少する470。言い換えると、外気送風機の速度SFが減少し、一方再循環空気送風機の速度SRが増加する。代替的に、BPTが設定値より低く、一方CATが設定値か又はそれより高い場合には、送風機の速度比RSPEEDが一定のままで、一方全送風機速度STOTALが減少する、すなわち、SFとSRの両方が減少する。この実施形態において、達成できる温度の範囲を増加するために、空気加熱器を用いることができる。
【0034】
代替の実施形態において、送風機コントローラが2つの開ループシステムとして外気送風機及び再循環空気送風機を制御する。この実施形態において、外気送風機の速度及び再循環空気送風機の速度が、例えば、モータ速度コントローラに取り付けられた電位差計を用いて、手動で各々別個に制御される。2つの送風機速度を調整することによって、幾分相互依存的ではあるが、システムのBPT及びCATが特定の範囲内にあるように各々調整される。所望であれば、1つ又はそれ以上の空気加熱器がより大きい範囲のチャンバ温度を提供するために外気及び/又は再循環空気送風機と併せて使用される。
【0035】
上で特定された多数の送風機温度制御方法の何れかにおいて、送風機の各々の動作に応じて、送風機の速度を固定最大値及び最小値内及び/又は浮動最大値及び最小値内に保持できることが理解される。浮動の制限は、1つの送風機の最小の速度が間違った通路を通る他の送風機からの流れを妨げるのに必要となるので有用である。例えば、100%の外気がある試験に要求される場合には、外気送風機が必要とされる気流を提供する速度で回転する。しかしながら、再循環空気送風機が停止する場合には、大量の外気が再循環空気送風機を通って逆流し、機械から排気される。これを防ぐために、再循環空気送風機がより遅い「阻止」速度で作動され、それによってこの漏れを止めて試験チャンバに外気送風機のフル出力を提供する。
【0036】
さらに、所望であれば、一旦送風機の速度が確立されると、外気送風機の速度を、例えば10%の公称量だけ増加することができ、再循環空気送風機を同等の全流量をもたらすように調整することができる。この実施形態において、空気加熱器は空気温度を微調整してより安定した温度をもたらす。
【0037】
再び、図2を参照すると、試験チャンバ12内の相対湿度が、手動で、半自動で又は自動で動作する湿度コントローラ120を用いて制御される。半自動制御の実施形態は、直接相対湿度を感知する、あるいは、感知された湿球温度を用いてそれを計算することを要求する。湿度コントローラ120内のフィードバック機構は、測定された相対湿度が特定の相対湿度RHSPより低いように、あるいは、RHがRHSPを超える場合にはそれより低いように、加湿器118により多い湿度を放出するように指示する。加湿器118は直接の水スプレー、空気噴霧水スプレー、機械的に生成した水の霧、超音波の霧生成、すなわち、噴霧器又は湯沸器のうちの少なくとも1つの形態を取る。さらに、相対湿度が空気温度に対して「相対的」であるので、湿度コントローラは2つの空気送風機の動作に影響を及ぼすことができる。それゆえに、特定の試験が温度制御を明確に要求しない場合でさえ、空気温度の制御は相対湿度を制御することが重要である。例えば、RHが設定値より低い場合には、再循環空気送風機が、相対湿度を保持し増加するためにより高いパーセンテージの空気を再循環する。対照的に、相対湿度がRH設定値より高い場合には、外気送風機が付加的な「乾燥した」室内空気を混合空気ダクトに引き込み、一方再循環送風機がより少なく再循環させ、それゆえに試験チャンバからの「湿った」空気をより多く排気する。
【0038】
上述の装置は、試験片に対して耐候性試験を行う際にユーザに高い柔軟性を提供する。この試験は、試験片に酸性雨をシミュレートする溶液が与えられるとして実施することができる。例えば、溶液の試験片への供給は、水滴が1cmから24cmの範囲に及ぶ試験片上に形成されるように供給されるように制御することができる。試験片が実質的に水平に置かれるので、溶液が溜まることができ、それが、自動車のトランク、トップ、ボンネットの状態をより正確にシミュレートする。ランプを昼間及び夜間をシミュレートするように周期的に変化させることができ、相対湿度を戸外の状態をシミュレートするように制御することができ、チャンバの温度を戸外の状態をまたシミュレートするように制御することができるという点で、乾燥時間及び状態を制御するために制御が与えられる。これらのパラメータを制御することによって、乾燥時間及び状態は、試験片が最終的に達する環境をより正確にシミュレートすることができる。さらに、酸性溶液が約1分から約1週間で試験片のどこででも十分に乾燥するように、乾燥時間を制御することができる。それにより、酸性雨といった腐食性溶液に対する下地の耐性を判断することができる。
【0039】
好ましい実施形態を参照しながら装置及び方法を説明してきた。これまでの詳細な説明を読み、理解すれば、修正及び変更が想到されるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限りにおいて、このような全ての変更物及び代替物を含むように解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】促進耐候性装置の概略図である。
【図2】相対湿度制御及び明確にするために除去された幾つかの構成要素を有する図1の促進耐候性装置の概略図である。
【図3】図1の促進耐候性装置に用いられる送風機コントローラの概略図である。
【図4】図1の促進耐候性装置に用いられる多数の送風機システムを制御する方法を例示するフローチャートである。
【図5】図1の促進耐候性装置に用いられる多数の送風機システムを制御する別の方法を例示するフローチャートである。
【図6】図1の促進耐候性装置に用いられる多数の送風機システムを制御する別の実施形態を例示するフローチャートである。
【図7】図1の促進耐候性装置に用いられる配管の系統図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片を濡らし、乾燥させるための装置であって、
試験チャンバと、
前記試験チャンバ内においてUV放射を生成することができるランプと、
前記試験チャンバに配置され、水以外の関連する溶液源に接続される第1のディスペンサと、
前記第1のディスペンサを制御するために該ディスペンサと通信するコントローラと、
前記試験チャンバ内に配置され、少なくとも実質的に水平な配向で関連する試験片を支持する試験片支持部と、
を備え、前記試験片支持部は、前記ランプから放出された放射が該試験片支持部によって支持されている関連する試験片に当たるように前記ランプに対して配置され、前記試験片支持部は、前記第1のディスペンサから供給された液体が該試験片支持部によって支持されている関連する試験片に接触して試験片の上に水滴を形成するように前記第1のディスペンサに対して配置され、前記試験片支持部は、過剰な液体が関連する試験片から流出して関連する試験片が関連する溶液に浸漬されない形状にされた、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ランプと電気的に通信して前記ランプを昼間又は夜間をシミュレートするように周期的に変化させることができるタイマーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試験チャンバに流体的に連通する加湿器、前記試験チャンバ内又はそれに隣接する湿度センサ、前記湿度センサ及び前記加湿器と通信する加湿器コントローラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ランプと電気的に通信して前記ランプを昼間又は夜間をシミュレートするように周期的に変化させることができるタイマーをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ランプがキセノンランプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記試験片支持部が水平面から10°より小さい角度で関連する試験片を支持するように適合されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ランプと電気的に通信して前記ランプの放射照度を制御する調光器と、前記試験チャンバ内に配置され前記調光器と電気的に通信する放射照度センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記試験チャンバ内又はそれに隣接して配置される温度センサ、前記試験チャンバに連通する加熱器、前記試験チャンバに流体連通する送風機システム、前記温度センサ、前記加熱器及び前記送風機システムと通信する温度コントローラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記温度センサが空気温度センサ及びブラックパネルセンサのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記送風機システムが送風機及びダンパーを含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記送風機システムが2つの送風機を含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが前記2つの送風機のうちの1つと通信して前記ブラックパネルセンサから受信したデータに応じて送風機を制御し、前記コントローラが前記2つの送風機のうちのもう一方と通信して前記空気温度センサから受信したデータに応じてもう一方の送風機を制御することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラが前記空気温度センサから受信したデータに応じて加熱器と通信することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記温度コントローラが、温度サイクルを可能にするために前記送風機システム及び前記加熱器を制御するようにされたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項15】
関連する水源に接続される第2のディスペンサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のディスペンサが関連する試験片にスプレーするためのノズルを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ランプと電気的に通信して前記ランプを昼間又は夜間をシミュレートするように周期的に変化させることができるタイマーをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記試験チャンバ内又はそれに隣接して配置される温度センサ、前記試験チャンバに連通する加熱器、前記試験チャンバに流体連通する送風機システム、前記温度センサ、前記加熱器及び前記送風機システムと通信する温度コントローラをさらに備え、前記温度コントローラが温度サイクルを可能にするために前記送風機システム及び前記加熱器を制御するようにされたことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
試験チャンバ、前記試験チャンバ内に配置される試験片支持部、前記試験チャンバ内に放射を射出するランプ、前記ランプと電気的に通信するタイマー、前記試験チャンバ内又はそれに隣接して配置された温度センサ、前記試験チャンバ及び流体ディスペンサに連通する空気加熱器を有する促進耐候性装置において、試験片に対する腐食性溶液の影響を生じさせるための方法であって、
前記試験片支持部上に少なくとも実質的に水平に前記試験片を位置決めし、
水滴が前記試験片の表面上に形成されるように腐食性溶液で前記試験片を濡らし、
前記試験片に向けてランプから選択的に放射を射出し、
前記試験片に対して制御された乾燥を行わせる、
ことを含む方法。
【請求項20】
前記濡らすステップが、腐食性溶液を前記試験片にスプレーすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記試験片を水で濡らすことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、前記試験チャンバ内の空気温度を制御することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、少なくとも2つの温度の間で前記試験チャンバ内の空気温度を周期的に変化させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、前記試験チャンバ内のブラックパネル温度を制御することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、少なくとも2つの温度の間でブラックパネル温度を周期的に変化させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、多数の送風機システムを用いて前記試験チャンバ内の空気温度及びブラックパネル温度を制御することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、送風機及びダンパーシステムを用いて前記試験チャンバ内の空気温度及びブラックパネル温度を制御することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
制御された乾燥を行わせる前記ステップが、前記試験チャンバ内部の相対湿度を制御することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記選択的に放射を放出するステップが、UV放射を放出することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記選択的に放射を放出するステップが、前記ランプを夜及び昼サイクルで周期的に変化させることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試験片を濡らすステップが、酸性雨をシミュレートする溶液で前記試験片を濡らすことを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
試験チャンバ、前記試験チャンバ内に配置された試験片支持部、バラスト制御された電源によって電力を供給されるランプ、前記試験チャンバ内に又はそれに隣接して配置された空気温度センサ、前記試験チャンバ内に配置されたブラックパネル温度センサ、前記試験チャンバに連通する空気加熱器、前記試験チャンバに流体連通する加湿器、前記試験チャンバに連通する送風機システムを有する促進耐候性装置において、試験片の促進耐候性試験をするための方法であって、
前記試験チャンバ内に試験片を位置決めし、
前記試験チャンバ内の前記試験片を濡らし、
所望のチャンバ空気温度を選択し、
所望のブラックパネル温度を選択し、
所望のチャンバ相対湿度を選択し、
前記ブラックパネル温度を感知し、
前記チャンバ空気温度を感知し、
前記チャンバ相対湿度を感知し、
前記感知されたブラックパネル温度を所望のブラックパネル温度と比較し、
前記感知されたチャンバ空気温度を所望のチャンバ空気温度と比較し、
前記比較するステップに応答して、前記送風機システムを調整する、
ことを含む方法。
【請求項33】
前記位置決めするステップが、水平面から約15°より小さい角度をなすように試験片を位置決めすることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
感知されたチャンバ相対湿度を所望の相対湿度と比較し、それに応じて加湿器を調整することをさらに含む、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−506969(P2007−506969A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527956(P2006−527956)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/006123
【国際公開番号】WO2005/040768
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506100107)キュー ラブ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】