説明

光反射性ブロックおよびその製造方法

【課題】摩耗や剥離に対して強く、透水性を有する光反射性ブロックおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポーラスコンクリートであって、白色セメント21に白色骨材22と光反射材23とを練り混ぜたものを固め、表層20の表面の白色セメント21を加圧水により洗い出して白色骨材22と光反射材23とを露出させたものである。厚く成形することができ、摩耗や剥離に対して強い。光反射材23を傷つけることなく露出することができ、効率よく光を反射することができる。透水性を有し、雨水が表面に溜まらないので、雨天時でも走行・歩行の安全性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射性ブロックおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、道路や駐車場等に敷設されるブロックであって、その表面に光反射性を持たせた光反射性ブロックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場等にはインターロッキングブロックが敷設されることがあり、この場合、境界を示す白線の代わりに白色の塗料が塗布されたブロックを敷設することが行われている。また、特に夜間の視認性を向上させるため、ガラスビーズが添加された塗料が塗布された光反射性ブロックを敷設することが行われている。
塗料にガラスビーズが添加されていれば、車や自転車等のライトの光がガラスビーズで再帰反射されることによりブロックが輝き、視認性が高まるのである。
【0003】
前述のごとく、従来の光反射性ブロックは、硬化したブロックの表面にガラスビーズが添加された塗料を塗布したものである(例えば、特許文献1)。
しかるに、塗膜の厚みは約1〜2mmと薄いため、車や歩行者等による摩擦や衝撃により塗膜が剥離したり、摩耗したりしやすい。そのため、塗膜が摩耗してガラスビーズが脱落し光反射効果が得られなくなるという問題がある。
また、ブロックをポーラスコンクリートで成形したとしても、その表面が塗料により塞がれてしまうので、透水性の機能を付加できないという問題がある。
さらに、一般に、塗料は合成樹脂を主成分とした材料を使用しているため、太陽光の紫外線による劣化が生じやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−134813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、摩耗や剥離に対して強く、透水性を有する光反射性ブロックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の光反射性ブロックは、光反射材を含有するコンクリートであることを特徴とする。
第2発明の光反射性ブロックは、第1発明において、セメントに骨材と前記光反射材とを練り混ぜたものを固め、ブロックの表面から前記セメントを除いて前記骨材と前記光反射材とを露出させたものであることを特徴とする。
第3発明の光反射性ブロックは、第1発明において、セメントに骨材と前記光反射材とを練り混ぜたものを固め、ブロックの表面の前記セメントを加圧水により洗い出して前記骨材と前記光反射材とを露出させたものであることを特徴とする。
第4発明の光反射性ブロックは、第2または第3発明において、前記セメントは白色セメントであり、前記骨材は白色骨材であることを特徴とする。
第5発明の光反射性ブロックは、第1、第2、第3または第4発明において、ポーラスコンクリートであることを特徴とする。
第6発明の光反射性ブロックの製造方法は、セメントに骨材と光反射材とを練り混ぜたものを固め、ブロックの表面から前記セメントを除いて前記骨材と前記光反射材とを露出させることを特徴とする。
第7発明の光反射性ブロックの製造方法は、セメントに骨材と光反射材とを練り混ぜたものを固め、ブロックの表面の前記セメントを加圧水により洗い出して前記骨材と前記光反射材とを露出させることを特徴とする。
第8発明の光反射性ブロックの製造方法は、第6または第7発明において、前記セメントは白色セメントであり、前記骨材は白色骨材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、表層は光反射材を含有するコンクリートであるので、厚く成形することができ、摩耗や剥離に対して強い。また、ブロック内に光反射材が分散されているので、摩耗したり剥離したりした場合でも表面に新たな光反射材を露出でき、光反射効果を持続できる。また、コンクリートであるから、太陽光の紫外線により劣化することがない。
第2発明によれば、光反射材を露出させているので、光反射材は効率よく光を反射することができる。
第3発明によれば、加圧水により洗い出して光反射材を露出させているので、光反射材を傷つけることなく露出することができる。そのため、光反射材は効率よく光を反射することができる。
第4発明によれば、白色セメント、白色骨材および光反射材とから構成されているので、明度が高く昼間の視認性が高い。また、反射光の輝度が高く夜間の視認性が高い。さらに、明度の高い白色骨材が露出しているため、視認性が高い。
第5発明によれば、ポーラスコンクリートであるから、透水性を有し、雨水が表面に溜まらないので、雨天時でも走行・歩行の安全性が高い。また、ポーラスコンクリートであるから、白色骨材と光反射材の露出面積が広くなるので、明度が高くなり、反射光の輝度が高くなる。
第6発明によれば、光反射材を露出させているので、光反射材は効率よく光を反射することができる。
第7発明によれば、加圧水により洗い出して光反射材を露出させているので、光反射材を傷つけることなく露出することができる。そのため、光反射材は効率よく光を反射することができる。
第8発明によれば、白色セメント、白色骨材および光反射材とから構成されているので、明度が高く昼間の視認性が高い。また、反射光の輝度が高く夜間の視認性が高い。さらに、明度の高い白色骨材が露出しているため、視認性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る光反射性ブロックの斜視図である。
【図2】基層の構成の説明図である。
【図3】基層表面の側面視拡大断面図であって、再帰反射の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光反射性ブロックを敷設した場合の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光反射性ブロックの製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る光反射性ブロックAは、基層10と、その基層10の上面に積層された表層20とからなる。
【0010】
基層10は、ポーラスコンクリートであり、普通セメントと、粒径2.5〜10mmの骨材と、混練り水と混和剤の混合液とを練り混ぜた基層材料を押し固めて形成されている。普通セメントは重量比16%混入されており、骨材は重量比79.2%混入されており、混練り水と混和剤の混合液は重量比4.8%混入されている。なお、普通セメントに代えて高炉セメントを用いてもよい。また、骨材としては、リサイクル骨材や天然骨材等が用いられる。
【0011】
図2に示すように、表層20は、比表面積3440cm2/gの白色セメント21に、粒径2.5〜5.0mmの白色骨材22と、粒径1.0〜5.0mmのガラスビーズ23と、混練り水と混和剤の混合液とを練り混ぜた表層材料を押し固めて形成されている。白色セメント21は重量比16%混入されており、白色骨材22は重量比69.2%混入されており、ガラスビーズ23は重量比10%混入されており、混練り水と混和剤の混合液は重量比4.8%混入されている。白色セメント21は、白色骨材22とガラスビーズ23の周囲を均一な厚みで覆うように固まっている。
なお、ガラスビーズ23は、透明な真球体であって、再帰反射を利用した車道等の路面標示材に使用される公知のものであり、特許請求の範囲に記載の「光反射材」に相当する。
【0012】
本実施形態のごとく、白色骨材22とガラスビーズ23の粒径の比率を、1:2〜1:0.2とすれば、白色骨材22とガラスビーズ23との接触面積が広くなり、ガラスビーズ23が表層20に固定されやすくなる。
【0013】
後述のごとく、表層20は、押し固められた後に、表面の白色セメント21が加圧水で洗い流されており、その表面にガラスビーズ23が露出されている。したがって、図3に示すように、表層20の表面のガラスビーズ23は、白色セメント21に覆われることなく露出している。そのため、ガラスビーズ23は効率よく光を再帰反射することができる。
ここで、再帰反射とは、入射した光が再び入射方向へ帰る反射現象をいう。具体的には、昼間の太陽光や、夜間のライト等から放たれた光が、表層20表面のガラスビーズ23に入射し、ガラスビーズ23に入射した光は屈折し、ビーズ内で反射して再び入射方向に戻る。これにより、光反射性ブロックAは輝いて見え、視認性が高くなる。
【0014】
また、白色セメント21が加圧水で洗い流されていることにより、表層20の表面には白色骨材22も露出されている。明度の高い白色骨材22が白色セメント21に覆われることなく、表層20の表面に露出しているため、光反射性ブロックAは視認性が高い。
【0015】
さらに、表層20は、白色セメント21、白色骨材22およびガラスビーズ23といった白や透明の部材から構成されているので、明度が高く昼間の視認性が高い。また、ガラスビーズ23により反射される反射光の輝度が高く夜間の視認性が高い。
【0016】
本実施形態においては、表層20の厚さは、光反射性ブロックAの厚さの10%である。より具体的には、光反射性ブロックAの厚さが60〜80mmであり、表層20は6〜8mmと厚く設けられている。
このように、表層20はコンクリートであるので、表層20を厚く成形することができ、摩耗や剥離に対して強い。そのため、車や歩行者等による摩擦や衝撃により、摩耗したり剥離したりしにくい。また、表層20内にガラスビーズ23が分散されているので、摩耗したり剥離したりした場合でも表面に新たなガラスビーズ23を露出でき、光反射効果を持続できる。
また、表層20はコンクリートであるから、太陽光の紫外線により劣化することがない。
【0017】
表層20は、表層材料に空隙部を20%程度設けることで、ポーラスコンクリートとして形成されている。表層20はポーラスコンクリートであるから、透水性を有し、雨水が表面に溜まらないので、雨天時でも走行・歩行の安全性が高い。そして、表層20は保水性も有することとなるので、ヒートアイランド対策が可能となる。
また、表層20をポーラスコンクリートとすることにより、表面積が増大するから、白色骨材22とガラスビーズ23の露出面積が広くなるので、明度が高くなり、反射光の輝度も高くなる。
なお、表層20の表面に、塗料を塗布する必要がないので、透水性、保水性の機能が失われることがない。
【0018】
図4に示すように、光反射性ブロックAは、舗装ブロックBとともに道路や駐車場等に敷設され、境界を示す白線の代わりに敷設される。そのため、通常のインターロッキング工事と同時期に施工でき、専用機械や特殊作業員を伴う事なく、路面標示の白線を設けることができる。
【0019】
つぎに、図5に基づき、光反射性ブロックAの製造方法について説明する。
まず、普通セメント、骨材、混和剤、混練り水をそれぞれ計量して適量とし(101)、それらを練り混ぜて基層材料として(102)、それをブロックの型枠に供給する(基層給材(103))。
つぎに、型枠内の基層材料をプレス機でプレスし、押し固めて基層10を形成する(基層プレス(104))。
【0020】
つぎに、白色セメント21、白色骨材22、ガラスビーズ23、混和剤、混練り水をそれぞれ計量して適量とし(201)、それらを練り混ぜて表層材料として(202)、それをブロックの型枠内の基層10の上面に供給する(表層給材(203))。
つぎに、型枠内の表層材料をプレス機でプレスし、押し固めて表層20を形成する(表層プレス(204))。
【0021】
つぎに、型枠から取り出し(脱型(301))、表層20の表面の白色セメント21を加圧水により洗い出して白色骨材22とガラスビーズ23とを露出させる(洗い出し加工(302))。
ここで、加圧水により洗い出してガラスビーズ23を露出させているので、ガラスビーズ23を傷つけることなく露出することができる。そのため、ガラスビーズ23は効率よく光を反射することができる。
【0022】
最後に、養生し(303)、キュービング(304)して光反射性ブロックAが完成する。
【0023】
(他の実施形態)
上記実施形態では、表層20の表面の白色セメント21を加圧水により洗い出して白色骨材22とガラスビーズ23とを露出させたが、この加圧水による洗い出しに代えて、ショットブラストによる洗い出しとしてもよい。しかし、ショットブラストによる洗い出しの場合には、ガラスビーズ23が傷つけられる恐れがあるため、加圧水による洗い出しの方が好ましい。また、酸洗いや、セメントの硬化遅延剤を表層20の表面に塗布することによっても、白色骨材22とガラスビーズ23とを露出させることができる。
【0024】
上記実施形態では、表層20を、白色セメント21、白色骨材22およびガラスビーズ23で構成したが、白色セメント21や白色骨材22に代えて、他の色の普通セメントや骨材を採用することができる。このようにすれば、様々な色の光反射性ブロックを形成することができる。様々な色の光反射性ブロックを、公園等の地面に敷設すれば、意匠効果を得ることができる。
【0025】
また、ポーラスコンクリートである基層10の空隙を少なくすれば、強度を増すことができ、車両等の乗り入れに対応することができる。
また、基層材料を融雪材料に変更することで、光反射性ブロックが敷設された路面の凍結防止や積雪の対策ができる。
【0026】
また、上記実施形態では、基層10と表層20の2層構造としたが、表層20のみの一層構造としてもよい。
【0027】
さらに、光反射性ブロックは矩形のブロック以外にも種々の形状のブロックとして形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る光反射性ブロックは、道路や駐車場、歩道等に敷設され境界を示す白線の代わりに敷設される。例えば、歩道においては自転車と歩行者の通行を分離するのに用いられる。また、公園等の地面に敷設してデザインを施すために用いられる。
【符号の説明】
【0029】
10 基層
20 表層
21 白色セメント
22 白色骨材
23 ガラスビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射材を含有するコンクリートである
ことを特徴とする光反射性ブロック。
【請求項2】
セメントに骨材と前記光反射材とを練り混ぜたものを固め、
ブロックの表面から前記セメントを除いて前記骨材と前記光反射材とを露出させたものである
ことを特徴とする請求項1記載の光反射性ブロック。
【請求項3】
セメントに骨材と前記光反射材とを練り混ぜたものを固め、
ブロックの表面の前記セメントを加圧水により洗い出して前記骨材と前記光反射材とを露出させたものである
ことを特徴とする請求項1記載の光反射性ブロック。
【請求項4】
前記セメントは白色セメントであり、
前記骨材は白色骨材である
ことを特徴とする請求項2または3記載の光反射性ブロック。
【請求項5】
ポーラスコンクリートである
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の光反射性ブロック。
【請求項6】
セメントに骨材と光反射材とを練り混ぜたものを固め、
ブロックの表面から前記セメントを除いて前記骨材と前記光反射材とを露出させる
ことを特徴とする光反射性ブロックの製造方法。
【請求項7】
セメントに骨材と光反射材とを練り混ぜたものを固め、
ブロックの表面の前記セメントを加圧水により洗い出して前記骨材と前記光反射材とを露出させる
ことを特徴とする光反射性ブロックの製造方法。
【請求項8】
前記セメントは白色セメントであり、
前記骨材は白色骨材である
ことを特徴とする請求項6または7記載の光反射性ブロックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−149395(P2012−149395A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7180(P2011−7180)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】